JP2004169210A - 硬質繊維薄板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半裁作業が容易で、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる硬質繊維薄板の製造方法を提供することである。
【解決手段】繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得る。そして、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成する。ついで、前記湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得る。そして、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成する。ついで、前記湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装用基材等の表面材料として使用できる表面硬度および平滑性に優れた硬質繊維薄板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の硬質繊維薄板を製造方法としては、スラリーを抄造して得た湿潤マットを熱圧して製造する方法が知られている。そして、生産性向上のために抄造スピードを高めることが望まれているが、マット切れなく均一に抄造するためには一定量の仕込み量を必要とし、熱圧プレスの機械的能力にも限界があり、厚さ1〜2mmの硬質繊維薄板を得ることは通常の製造方法では困難であった。このため、例えば、成板された2枚の重合した硬質繊維板を湾曲させてせん断力を加え、半裁して硬質繊維薄板を得る製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、二枚重ねて熱圧成形した二層硬質繊維板の一縁に沿って層間剥離部を設け、前記層間剥離部から半裁して硬質繊維薄板を得る製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭55−36504号公報(第1頁)
【0004】
【特許文献2】
特開平10−128713号公報(第2頁 第2,3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のいずれの製造方法も硬質繊維板に全体あるいは部分に大きなせん断力を加え、界面を強制的に剥離させて半裁する製造方法である。このため、薄く、かつ、一様な厚さに半裁することが容易でなく、熟練を必要とした。さらに、半裁した後の硬質繊維薄板の表面に微小なヒビ割れ等が発生し、美麗な硬質繊維薄板が得られないという問題点があった。
【0006】
本発明は、半裁作業が容易で、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる硬質繊維薄板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる硬質繊維薄板の製造方法は、前記目的を達成すべく、繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、この湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得る工程からなる。
【0008】
本発明によれば、従来例のように大きなせん断力を加える必要がなく、剥離層に沿って簡単に半裁できる硬質繊維板が得られる。このため、半裁作業が容易であるとともに、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる。
【0009】
実施形態としては、剥離材が無機質粉状体であってもよい。
本実施形態によれば、剥離材の取り扱いが容易な上、安価であり、剥離材が硬質繊維板の剥離面に浸透することがないので、物性に影響を与えない。
【0010】
また、他の実施形態としては、湿潤繊維板を仮圧締してセミキュアマットを得た後、熱圧プレスで結合剤を硬化させて硬質繊維板を得てもよい。
本実施形態によれば、仮圧締することで、剥離面の密度,平滑性が向上し、品質が安定した硬質繊維板を得られる。また、保型性やハンドリング性が向上し、その後の工程に好都合である。
【0011】
本発明にかかる硬質繊維薄板は、繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して得た複数枚の湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、前記湿潤繊維板の結合剤を熱圧プレスで硬化させて得た硬質繊維板を、前記剥離層に沿って半裁して得たものである。
【0012】
本発明によれば、硬質繊維板を剥離層から容易に半裁できるので、大きなせん断力を加える必要がなく、半裁作業が容易で、薄く、かつ、一様で美麗な硬質繊維薄板を得られるという効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる硬質繊維薄板の製造方法は、繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、この湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得る工程からなるものである。
【0014】
本実施形態の繊維としては、鉱物質繊維および木質繊維が挙げられる。そして、鉱物質繊維を必須成分とする場合には無機質粉状体を添加する必要がある。
【0015】
鉱物質繊維としては、例えば、ロックウール,スラグウール,ミネラルウール,ガラスウール,ガラス繊維等が挙げられ、全体重量の20〜50重量%が添加される。20重量%未満であれば、無機質粉状体を保持できず、所望の曲げ強度が得られないからであり、50重量%を越えると、無機質粉状体の添加量が相対的に少なくなり、所望の表面硬度を確保できないからである。
【0016】
無機質粉状体は、防火性および硬度を確保するために添加されるものであり、例えば、シラス発泡体,炭酸カルシウム,マイクロシリカ,スラグ,水酸化アルミニウム等が挙げられ、全体重量の40〜70重量%が添加される。40重量%未満であると、所望の表面硬度が得られないからであり、70重量%を越えると、鉱物質繊維の添加量が相対的に少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0017】
木質繊維としては、例えば、広葉樹、針葉樹、建築廃材から得られるものが挙げられ、全体重量の90〜98重量%が添加される。90重量%未満であれば、結合剤等の添加剤の量が多すぎて製造コストが高くなるからであり、98重量%を越えると、結合剤の添加量が相対的に少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0018】
結合剤は、前記鉱物質繊維および前記無機質粉状体、あるいは、前記木質繊維同士を結合するために添加されるものであるが、湿潤繊維板を所定の含水率まで乾燥させる間に反応しにくいものを選択することが好ましい。結合剤としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、デンプン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。そして、強度および防火性の両方を満足させたい場合の添加量として、全体重量の7〜15重量%を添加することが好ましい。7重量%未満であれば、曲げ強度が不足するからであり、15重量%を越えると、防火性が低下し、製造コストが高くなってしまうからである。なお、結合剤を木質繊維に添加する場合は、2〜10重量%の添加量が好ましい。
【0019】
剥離材は、半裁作業を容易に行うために界面間に散布されるものであり、たとえば、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体、炭酸カルシウム等の無機質粉状体が挙げられる。前記剥離材の散布量は、全体重量の1〜10重量%が好適である。1重量%未満であれば、結合剤の移動によって半裁作業が困難となるからであり、10重量%を越えると、半裁作業前に表裏層が剥離してしまい、ハンドリング性が悪くなるからである。
【0020】
また、剥離材は前述の無機質粉状体に限らず、層間剥離を生じやすいものであれば有機質であってもよく、例えば、ポエチレン等の石油系ワックス、天然油脂系のカルナバワックスが挙げられる。また、必ずしも粉状体である必要はなく、粒状、繊維状およびシート状であってもよい。繊維状剥離材としては、例えば、木質繊維、ガラス繊維、熱可塑性繊維が挙げられる。さらに、シート状剥離材としては、例えば、フッ素樹脂シート、プラスチックシート、あるいは、層間剥離しやすい紙が挙げられる。
【0021】
次に、2枚の硬質無機質薄板を製造する場合の製造方法について説明する。
まず、表裏層を形成する各材料を水中に投入,攪拌し、ついで、凝集剤等の補助添加材を加え、固形成分数%のスラリーを得る。そして、前記スラリーを長網式あるいは丸網式抄造機にて表裏層となる湿潤マットを得る。
【0022】
さらに、裏層となる前記湿潤マットの表面に剥離材を均一に散布した後、表層となる前記湿潤マットを積み重ねて湿潤繊維板を得る。
【0023】
そして、十分な保型性やハンドリング強度を得るため、所定の圧力、温度(80から180℃)で前記湿潤繊維板を仮圧締する。このとき、熱圧手段は加熱ロールであってもよく、連続プレスであってもよい。
【0024】
ついで、前記湿潤繊維板を熱風ドライヤー(80〜250℃)で乾燥し、含水率10パーセント以下まで乾燥させる。10%を越えると、最終硬化の熱圧プレス時間が長くなり、生産性が低下するからである。この工程では、前記湿潤繊維板を完全に乾燥させる必要がなく、結合剤を完全に反応させる必要がない。このため、乾燥を短時間で処理でき、生産性の向上を確保しつつ、乾燥設備の簡素化が可能となる。
なお、ここで含水率とは、乾燥前の重量から全乾重量を引いて得た値と、全乾重量との割合をいう。
【0025】
所定の含水率まで乾燥させた湿潤繊維板を熱圧プレスで所定の圧力,温度,時間で圧締する。所定の圧力を加えながら結合剤を完全に硬化させるので、スプリングバックが発生せず、所望の厚み精度、表面平滑性、表面硬度、密度および曲げ強度等の物性に優れた硬質繊維板が得られる。また、前述の乾燥工程で予め含水率が低く調整されているので、短い熱圧プレス時間で十分な強度が得られ、結果的に生産性の高い硬質繊維板が得られる。なお、熱圧プレス時に加熱板の上下にエンボス板を介在させ、硬質繊維板にエンボス加工を施してもよい。
【0026】
そして、得られた硬質繊維板の剥離層にナイフ等を差し込んで2分割に半裁して硬質繊維薄板を得る。本実施形態によれば、硬質繊維薄板の界面全面に均一な剥離層が形成されているので、容易に半裁できる。
また、本実施形態においても前記硬質繊維板を軽く湾曲させてせん断力を加えてもよいが、従来例のように大きなせん断力を加える必要がないので、微小なヒビ割れが発生する心配がなく、美麗な硬質繊維薄板が得られるという利点がある。
【0027】
なお、熱圧プレスで最終硬化させる前に、水性あるいは油性液状物を湿潤繊維板の表裏面あるいは片面に塗布してもよい。結合剤のフローが促進され、表面平滑性および表面硬度が向上するからである。前記水性液状物としては、例えば、清水の他、酢酸ビニルエマルジョン、PVA等の水溶性樹脂が使用できる。油性液状物としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系等のアルコール希釈品を使用できる。そして、前記液状物の塗布量としては、片面20〜100g/m2が好ましい。20g/m2未満であると、殆ど効果が見受けられず、100g/m2を越えると、塗布作業性に手間がかかりすぎるからである。
【0028】
前述の実施形態では、2枚の硬質繊維薄板を形成する場合について説明したが、3枚あるいは4枚の硬質繊維薄板を製造するために3層あるいは4層構造の硬質繊維板を製造して半裁するようにしてもよいことは勿論である。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
ロックウール50%、炭酸カルシウム35%、シラス発泡体5%、粉末フェノール6%、スターチ4%を水中に投入,攪拌し、さらに、凝集剤等の添加剤を添加して固形成分5%のスラリーを得た。そして、このスラリーを抄造機で抄造して2枚の表裏層用湿潤マットを作成した。このときの前記湿潤マットの含水率は50%であった。
【0030】
さらに、表層用湿潤マットの上面に無機質粉状体として平均粒径200μmのシラス発泡体(全体重量の3%)を均一に散布した後、裏層用湿潤マットを積層して湿潤繊維板を得た。
【0031】
前記湿潤繊維板を温度90℃、圧力5kgf/cm2の熱圧プレスで120秒間、仮圧締した。ついで、150℃の熱風ドライヤーで20分間乾燥し、含水率10%のセミキュアマットを得た。
【0032】
ついで、3.3mmのデイスタンスバーを介して200℃の熱圧プレスにて3分間プレスし、厚さ3.3mm、比重1.2の硬質繊維板を得た。このとき、各層の重量は表層:裏層=2.0:2.0(kg/m2)であった。そして、前記硬質繊維板の厚さ方向の中央部に切削ナイフを差し込んで2枚に半裁して硬質繊維薄板を得た。さらに、この硬質繊維薄板の半裁した界面から露出するフィラーを除去し、表面をサンディング研削して厚さ1.5mmの硬質繊維薄板を得た。
【0033】
そして、前記硬質繊維薄板の表面を目視で観察したが、微小なヒビ割れは見受けられなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来例のように大きなせん断力を加える必要がなく、剥離層に沿って簡単に半裁できる硬質繊維板が得られる。このため、半裁作業が容易であるとともに、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる。また、1回の抄造工程とプレス工程とで2枚の硬質繊維板が得られるので、生産性が高い。さらに、抄造工程とプレス工程とには従来品(中厚品)および製造装置を利用できるので、生産効率が良いという効果がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装用基材等の表面材料として使用できる表面硬度および平滑性に優れた硬質繊維薄板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の硬質繊維薄板を製造方法としては、スラリーを抄造して得た湿潤マットを熱圧して製造する方法が知られている。そして、生産性向上のために抄造スピードを高めることが望まれているが、マット切れなく均一に抄造するためには一定量の仕込み量を必要とし、熱圧プレスの機械的能力にも限界があり、厚さ1〜2mmの硬質繊維薄板を得ることは通常の製造方法では困難であった。このため、例えば、成板された2枚の重合した硬質繊維板を湾曲させてせん断力を加え、半裁して硬質繊維薄板を得る製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、二枚重ねて熱圧成形した二層硬質繊維板の一縁に沿って層間剥離部を設け、前記層間剥離部から半裁して硬質繊維薄板を得る製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭55−36504号公報(第1頁)
【0004】
【特許文献2】
特開平10−128713号公報(第2頁 第2,3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のいずれの製造方法も硬質繊維板に全体あるいは部分に大きなせん断力を加え、界面を強制的に剥離させて半裁する製造方法である。このため、薄く、かつ、一様な厚さに半裁することが容易でなく、熟練を必要とした。さらに、半裁した後の硬質繊維薄板の表面に微小なヒビ割れ等が発生し、美麗な硬質繊維薄板が得られないという問題点があった。
【0006】
本発明は、半裁作業が容易で、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる硬質繊維薄板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる硬質繊維薄板の製造方法は、前記目的を達成すべく、繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、この湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得る工程からなる。
【0008】
本発明によれば、従来例のように大きなせん断力を加える必要がなく、剥離層に沿って簡単に半裁できる硬質繊維板が得られる。このため、半裁作業が容易であるとともに、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる。
【0009】
実施形態としては、剥離材が無機質粉状体であってもよい。
本実施形態によれば、剥離材の取り扱いが容易な上、安価であり、剥離材が硬質繊維板の剥離面に浸透することがないので、物性に影響を与えない。
【0010】
また、他の実施形態としては、湿潤繊維板を仮圧締してセミキュアマットを得た後、熱圧プレスで結合剤を硬化させて硬質繊維板を得てもよい。
本実施形態によれば、仮圧締することで、剥離面の密度,平滑性が向上し、品質が安定した硬質繊維板を得られる。また、保型性やハンドリング性が向上し、その後の工程に好都合である。
【0011】
本発明にかかる硬質繊維薄板は、繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して得た複数枚の湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、前記湿潤繊維板の結合剤を熱圧プレスで硬化させて得た硬質繊維板を、前記剥離層に沿って半裁して得たものである。
【0012】
本発明によれば、硬質繊維板を剥離層から容易に半裁できるので、大きなせん断力を加える必要がなく、半裁作業が容易で、薄く、かつ、一様で美麗な硬質繊維薄板を得られるという効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる硬質繊維薄板の製造方法は、繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、この湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得る工程からなるものである。
【0014】
本実施形態の繊維としては、鉱物質繊維および木質繊維が挙げられる。そして、鉱物質繊維を必須成分とする場合には無機質粉状体を添加する必要がある。
【0015】
鉱物質繊維としては、例えば、ロックウール,スラグウール,ミネラルウール,ガラスウール,ガラス繊維等が挙げられ、全体重量の20〜50重量%が添加される。20重量%未満であれば、無機質粉状体を保持できず、所望の曲げ強度が得られないからであり、50重量%を越えると、無機質粉状体の添加量が相対的に少なくなり、所望の表面硬度を確保できないからである。
【0016】
無機質粉状体は、防火性および硬度を確保するために添加されるものであり、例えば、シラス発泡体,炭酸カルシウム,マイクロシリカ,スラグ,水酸化アルミニウム等が挙げられ、全体重量の40〜70重量%が添加される。40重量%未満であると、所望の表面硬度が得られないからであり、70重量%を越えると、鉱物質繊維の添加量が相対的に少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0017】
木質繊維としては、例えば、広葉樹、針葉樹、建築廃材から得られるものが挙げられ、全体重量の90〜98重量%が添加される。90重量%未満であれば、結合剤等の添加剤の量が多すぎて製造コストが高くなるからであり、98重量%を越えると、結合剤の添加量が相対的に少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0018】
結合剤は、前記鉱物質繊維および前記無機質粉状体、あるいは、前記木質繊維同士を結合するために添加されるものであるが、湿潤繊維板を所定の含水率まで乾燥させる間に反応しにくいものを選択することが好ましい。結合剤としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、デンプン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。そして、強度および防火性の両方を満足させたい場合の添加量として、全体重量の7〜15重量%を添加することが好ましい。7重量%未満であれば、曲げ強度が不足するからであり、15重量%を越えると、防火性が低下し、製造コストが高くなってしまうからである。なお、結合剤を木質繊維に添加する場合は、2〜10重量%の添加量が好ましい。
【0019】
剥離材は、半裁作業を容易に行うために界面間に散布されるものであり、たとえば、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体、炭酸カルシウム等の無機質粉状体が挙げられる。前記剥離材の散布量は、全体重量の1〜10重量%が好適である。1重量%未満であれば、結合剤の移動によって半裁作業が困難となるからであり、10重量%を越えると、半裁作業前に表裏層が剥離してしまい、ハンドリング性が悪くなるからである。
【0020】
また、剥離材は前述の無機質粉状体に限らず、層間剥離を生じやすいものであれば有機質であってもよく、例えば、ポエチレン等の石油系ワックス、天然油脂系のカルナバワックスが挙げられる。また、必ずしも粉状体である必要はなく、粒状、繊維状およびシート状であってもよい。繊維状剥離材としては、例えば、木質繊維、ガラス繊維、熱可塑性繊維が挙げられる。さらに、シート状剥離材としては、例えば、フッ素樹脂シート、プラスチックシート、あるいは、層間剥離しやすい紙が挙げられる。
【0021】
次に、2枚の硬質無機質薄板を製造する場合の製造方法について説明する。
まず、表裏層を形成する各材料を水中に投入,攪拌し、ついで、凝集剤等の補助添加材を加え、固形成分数%のスラリーを得る。そして、前記スラリーを長網式あるいは丸網式抄造機にて表裏層となる湿潤マットを得る。
【0022】
さらに、裏層となる前記湿潤マットの表面に剥離材を均一に散布した後、表層となる前記湿潤マットを積み重ねて湿潤繊維板を得る。
【0023】
そして、十分な保型性やハンドリング強度を得るため、所定の圧力、温度(80から180℃)で前記湿潤繊維板を仮圧締する。このとき、熱圧手段は加熱ロールであってもよく、連続プレスであってもよい。
【0024】
ついで、前記湿潤繊維板を熱風ドライヤー(80〜250℃)で乾燥し、含水率10パーセント以下まで乾燥させる。10%を越えると、最終硬化の熱圧プレス時間が長くなり、生産性が低下するからである。この工程では、前記湿潤繊維板を完全に乾燥させる必要がなく、結合剤を完全に反応させる必要がない。このため、乾燥を短時間で処理でき、生産性の向上を確保しつつ、乾燥設備の簡素化が可能となる。
なお、ここで含水率とは、乾燥前の重量から全乾重量を引いて得た値と、全乾重量との割合をいう。
【0025】
所定の含水率まで乾燥させた湿潤繊維板を熱圧プレスで所定の圧力,温度,時間で圧締する。所定の圧力を加えながら結合剤を完全に硬化させるので、スプリングバックが発生せず、所望の厚み精度、表面平滑性、表面硬度、密度および曲げ強度等の物性に優れた硬質繊維板が得られる。また、前述の乾燥工程で予め含水率が低く調整されているので、短い熱圧プレス時間で十分な強度が得られ、結果的に生産性の高い硬質繊維板が得られる。なお、熱圧プレス時に加熱板の上下にエンボス板を介在させ、硬質繊維板にエンボス加工を施してもよい。
【0026】
そして、得られた硬質繊維板の剥離層にナイフ等を差し込んで2分割に半裁して硬質繊維薄板を得る。本実施形態によれば、硬質繊維薄板の界面全面に均一な剥離層が形成されているので、容易に半裁できる。
また、本実施形態においても前記硬質繊維板を軽く湾曲させてせん断力を加えてもよいが、従来例のように大きなせん断力を加える必要がないので、微小なヒビ割れが発生する心配がなく、美麗な硬質繊維薄板が得られるという利点がある。
【0027】
なお、熱圧プレスで最終硬化させる前に、水性あるいは油性液状物を湿潤繊維板の表裏面あるいは片面に塗布してもよい。結合剤のフローが促進され、表面平滑性および表面硬度が向上するからである。前記水性液状物としては、例えば、清水の他、酢酸ビニルエマルジョン、PVA等の水溶性樹脂が使用できる。油性液状物としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系等のアルコール希釈品を使用できる。そして、前記液状物の塗布量としては、片面20〜100g/m2が好ましい。20g/m2未満であると、殆ど効果が見受けられず、100g/m2を越えると、塗布作業性に手間がかかりすぎるからである。
【0028】
前述の実施形態では、2枚の硬質繊維薄板を形成する場合について説明したが、3枚あるいは4枚の硬質繊維薄板を製造するために3層あるいは4層構造の硬質繊維板を製造して半裁するようにしてもよいことは勿論である。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
ロックウール50%、炭酸カルシウム35%、シラス発泡体5%、粉末フェノール6%、スターチ4%を水中に投入,攪拌し、さらに、凝集剤等の添加剤を添加して固形成分5%のスラリーを得た。そして、このスラリーを抄造機で抄造して2枚の表裏層用湿潤マットを作成した。このときの前記湿潤マットの含水率は50%であった。
【0030】
さらに、表層用湿潤マットの上面に無機質粉状体として平均粒径200μmのシラス発泡体(全体重量の3%)を均一に散布した後、裏層用湿潤マットを積層して湿潤繊維板を得た。
【0031】
前記湿潤繊維板を温度90℃、圧力5kgf/cm2の熱圧プレスで120秒間、仮圧締した。ついで、150℃の熱風ドライヤーで20分間乾燥し、含水率10%のセミキュアマットを得た。
【0032】
ついで、3.3mmのデイスタンスバーを介して200℃の熱圧プレスにて3分間プレスし、厚さ3.3mm、比重1.2の硬質繊維板を得た。このとき、各層の重量は表層:裏層=2.0:2.0(kg/m2)であった。そして、前記硬質繊維板の厚さ方向の中央部に切削ナイフを差し込んで2枚に半裁して硬質繊維薄板を得た。さらに、この硬質繊維薄板の半裁した界面から露出するフィラーを除去し、表面をサンディング研削して厚さ1.5mmの硬質繊維薄板を得た。
【0033】
そして、前記硬質繊維薄板の表面を目視で観察したが、微小なヒビ割れは見受けられなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来例のように大きなせん断力を加える必要がなく、剥離層に沿って簡単に半裁できる硬質繊維板が得られる。このため、半裁作業が容易であるとともに、薄く、かつ、一様な厚さを有する美麗な硬質繊維薄板が得られる。また、1回の抄造工程とプレス工程とで2枚の硬質繊維板が得られるので、生産性が高い。さらに、抄造工程とプレス工程とには従来品(中厚品)および製造装置を利用できるので、生産効率が良いという効果がある。
Claims (4)
- 繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して複数枚の湿潤マットを得、前記湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、この湿潤繊維板を熱圧プレスで前記結合剤を硬化させて硬質繊維板とした後、前記剥離層に沿って半裁して硬質繊維薄板を得ることを特徴とする硬質繊維薄板の製造方法。
- 剥離材が、無機質粉状体であることを特徴とする請求項1に記載の硬質繊維薄板の製造方法。
- 湿潤繊維板を仮圧締してセミキュアマットを得た後、熱圧プレスで結合剤を硬化させて硬質繊維板を得ることを特徴とする請求項1または2に記載の硬質繊維薄板の製造方法。
- 繊維および結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して得た複数枚の湿潤マットの界面間に剥離材を散布して積層することにより、剥離層を有する湿潤繊維板を形成し、前記湿潤繊維板の結合剤を熱圧プレスで硬化させて得た硬質繊維板を、前記剥離層に沿って半裁して得たことを特徴とする硬質繊維薄板。
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---|---|---|---|
JP2002335387A JP2004169210A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 硬質繊維薄板およびその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2008274456A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Daiken Trade & Ind Co Ltd | 繊維板の製造方法 |
JP2010253808A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Noda Corp | 木質繊維板およびその製造方法 |
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JP2014031019A (ja) * | 2013-10-04 | 2014-02-20 | Noda Corp | 木質繊維板 |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002335387A patent/JP2004169210A/ja active Pending
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