JP6427606B2 - 無機質板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる無機質板の製造方法に関するものである。
従来、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧板の基材として、エンボス型で加熱圧縮することによって化粧面となる表面に凹凸模様が形成された無機質板が用いられている(下記の特許文献1を参照)。
特許文献1では、無機質板は、以下の工程で製造される。鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを含むスラリーを湿式抄造して形成した湿潤マット(ウェットマット)で板状の湿潤基材を形成する。次に、湿潤基材を、結合剤が硬化しない条件下で乾燥させて乾燥基材(ドライボード)を形成する。そして、乾燥基材をエンボス型で加熱圧縮して結合剤を硬化させることにより、表面に凹凸模様が形成された無機質板が得られる。
上記無機質板の製造方法では、乾燥基材をエンボス型で加熱圧縮する前に、乾燥基材の表面及び裏面に水又は樹脂水溶液を塗布することとしている。このように水又は樹脂水溶液を塗布することにより、乾燥基材の表面及び裏面の表層部が軟化するため、加熱圧縮時に比較的亀裂や割れが生じるのを防止することができる。
特開2005−298988号公報
ところで、乾燥基材の表面及び裏面への水又は樹脂水溶液の塗布量は、多ければ多いほど表面の割れ防止効果が高まり、彫りが深くシャープな凹凸模様でも、亀裂や割れを生じさせることなく形成することが可能になる。
しかしながら、乾燥基材の表面及び裏面への水又は樹脂水溶液の塗布量を増やすと、加熱圧縮時に、蒸気となって乾燥基材内に浸透した大量の水分が、凹凸模様の形成時における割れを防止する役割を果たす一方、乾燥基材からなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなるという問題があった。また、加熱圧縮時に、大量の水分が蒸発することにより、乾燥基材が膨脹して変形する虞もあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面に凹凸模様が形成された無機質板の製造方法に工夫を加え、彫りが深くシャープな凹凸模様が施された無機質板を、短時間で亀裂や割れや変形を生じさせることなく製造することができるようにすることにある。
本願発明者等は、鋭意研究の結果、塗布工程において、後の加熱圧縮工程において凹凸模様が形成される乾燥基材の表面に多量の軟化剤を塗布すれば、加熱圧縮工程時に多量の軟化剤が蒸気となって乾燥基材中に浸透するため、裏面への軟化剤の塗布量が少なくても、乾燥基材の亀裂や割れを防止できることを見出した。
また、本願発明者等は、加熱圧縮工程時に蒸気となって乾燥基材中に浸透した軟化剤によって結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘るために、表面では凹凸模様がシャープに形成され、裏面では平滑性が向上することを見出した。
一方、本願発明者等は、塗布工程において乾燥基材の裏面に軟化剤を全く塗布しないと、乾燥基材中の結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘る前に、裏面において結合剤が硬化してしまうために、下地材等に貼り付けられる裏面の平滑性が得られず、無機質板が剥がれやすくなることも見出した。
かかる点より、本発明では、上記の目的を達成するために、乾燥基材の表面及び裏面に水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する塗布工程において、後の加熱圧縮工程において凹凸模様が形成される乾燥基材の表面への軟化剤の塗布量を、裏面への塗布量よりも多くすることとした。
具体的には、第1の発明は、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分として含むスラリーから湿式抄造によって形成した湿潤マットで全体又は少なくとも表層及び裏層が構成された板状の湿潤基材を形成する湿潤基材形成工程と、上記湿潤基材中の上記結合剤が硬化しない条件下で該湿潤基材を乾燥させて乾燥基材とする乾燥工程と、上記乾燥基材の表面及び裏面に水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する塗布工程と、上記塗布工程後、エンボス型で上記乾燥基材を加熱圧縮して上記結合剤を硬化させて上記乾燥基材の表面に凹凸模様を形成する加熱圧縮工程とを備え、表面に上記凹凸模様が形成された無機質板を製造する無機質板の製造方法を前提としている。
そして、第1の発明に係る無機質板の製造方法は、上記塗布工程において、上記乾燥基材の裏面に塗布する上記軟化剤の塗布量を、1平方メートル当たり50g以上100g以下にすると共に、上記乾燥基材の表面に塗布する上記軟化剤の塗布量を、該乾燥基材の裏面に塗布する上記軟化剤の塗布量よりも多い1平方メートル当たり200g以上400g以下にすることを特徴とする。
第1の発明では、エンボス型で乾燥基材を加熱圧縮する前に、乾燥基材に塗布する軟化剤の塗布量を、凹凸模様が形成される表面の方が裏面より多くなるようにしている。このように乾燥基材の表面に裏面に比べて多量の水又は樹脂水溶液を塗布することにより、加熱圧縮工程においてエンボス型によって凹凸模様が形成されるために亀裂や割れが生じ易い表面が、裏面より軟化する。そのため、彫りが深くシャープな凹凸模様を形成する場合にも、亀裂や割れを生じさせることなく加工することができる。
なお、第1の発明では、塗布工程において、乾燥基材の裏面に塗布する軟化剤の塗布量が、該乾燥基材の表面に塗布する軟化剤の塗布量よりも少ないが、加熱圧縮工程時には、乾燥基材の表面に多量に塗布された軟化剤が蒸気となって乾燥基材中に浸透するため、裏面への軟化剤の塗布量が少なくても、乾燥基材の亀裂や割れを防止できる。
また、第1の発明では、塗布工程において、乾燥基材の裏面にも、表面への塗布量に比べて少ないものの軟化剤を塗布することとしている。そのため、上述した乾燥基材の裏面に軟化剤を全く塗布しない場合のように、後の加熱圧縮工程において乾燥基材中の結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘る前に、裏面において結合剤が硬化してしまうことがない。つまり、加熱圧縮工程時には、乾燥基材の表面と裏面のそれぞれに塗布された軟化剤が蒸気となって乾燥基材中に浸透し、これにより、結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘ることとなる。そのため、加熱圧縮工程時に、乾燥基材の表面において凹凸模様をシャープに形成することができ、裏面を平滑に形成することができる。よって、下地材等に貼り付けられる裏面の平滑性が得られず、無機質板が剥がれやすくなることがない。
さらに、第1の発明では、塗布工程において、乾燥基材の表面に塗布する軟化剤の塗布量を、該乾燥基材の裏面に塗布する軟化剤の塗布量よりも多くしている。つまり、乾燥基材の裏面に塗布する軟化剤の塗布量を、該乾燥基材の表面に塗布する軟化剤の塗布量に比べて少なくしている。そのため、乾燥基材の表面と裏面とに同量の軟化剤を塗布する場合に比べて、乾燥基材に含まれる水分量が少なくなるため、加熱圧縮工程において乾燥基材の乾燥に要する時間を短縮することができる。また、加熱圧縮工程において乾燥基材に塗布された多量の水分が一気に蒸発することによって乾燥基材を変形させてしまうようなこともない。
従って、第1の発明によれば、彫りが深くシャープな凹凸模様が施された無機質板を、短時間で亀裂や割れや変形を生じさせることなく製造することができる。
また、第1の発明では、塗布工程において、乾燥基材の表面には、裏面の2倍以上もの軟化剤が塗布される。言い換えると、乾燥基材の裏面には、表面の2分の1以下の軟化剤しか塗布されない。このような比率にすることにより、塗布工程における軟化剤の塗布総量を著しく低減することができる。よって、加熱圧縮工程時に、乾燥基材の乾燥に要する時間を著しく短縮することができる。
ところで、塗布工程において、乾燥基材の表面への軟化剤の塗布量が少なすぎると、凹凸模様が形成される乾燥基材の表面の軟化が足りず、後の加熱圧縮工程において表面に亀裂や割れが生じるおそれがある。一方、塗布工程において、乾燥基材の表面への軟化剤の塗布量が多すぎると、後の加熱圧縮工程において蒸気となって乾燥基材内に浸透する大量の水分が乾燥基材からなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなる。
第1の発明では、塗布工程において、乾燥基材の表面に塗布する軟化剤の塗布量を、1平方メートル当たり200g以上600g以下にしている。塗布工程において、このような分量の軟化剤を乾燥基材の表面に塗布することにより、後の加熱圧縮工程において、凹凸模様が形成されて化粧面となる乾燥基材の表面に亀裂や割れが生じるのを確実に防止することができる。また、塗布工程において乾燥基材に含ませる水分量を必要最小限に抑えることにより、加熱圧縮工程において乾燥基材の乾燥に要する時間を短縮することができる。
ところで、塗布工程において、乾燥基材の裏面への軟化剤の塗布量が少なすぎると、後の加熱圧縮工程において乾燥基材中の結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘る前に、裏面において結合剤が硬化するために、完成した無機質板の裏面の平滑性が得られなくなるおそれがある。一方、乾燥基材の裏面への軟化剤の塗布量が多すぎると、後の加熱圧縮工程において蒸気となって乾燥基材内に浸透する大量の水分が乾燥基材からなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなる。
第1の発明では、塗布工程において、乾燥基材の裏面に塗布する軟化剤の塗布量を、1平方メートル当たり50g以上100g以下にしている。塗布工程において、このような分量の軟化剤を乾燥基材の裏面に塗布することにより、後の加熱圧縮工程において乾燥基材中の結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘る前に、裏面において結合剤が硬化してしまうことがなく、軟化剤が蒸気となって乾燥基材中に浸透することによって結合剤が流動性を得て乾燥基材中に行き亘った状態でエンボス型によって加熱圧縮されることとなる。そのため、表面には凹凸模様がシャープに形成され、裏面は平滑な無機質板を得ることができる。よって、下地材等に貼り付けられる裏面の平滑性が得られず、無機質板が剥がれやすくなることがない。また、上述のような少量の軟化剤を乾燥基材の裏面に塗布することにより、乾燥基材の表面と裏面とに同量の軟化剤を塗布する場合に比べて、乾燥基材に含まれる水分量が少なくなるため、加熱圧縮工程において乾燥基材の乾燥に要する時間を短縮することができる。さらに、加熱圧縮工程において乾燥基材に塗布された多量の水分が一気に蒸発することによって乾燥基材を変形させてしまうことを防止することもできる。
以上説明したように、本発明によると、乾燥基材の表面及び裏面に水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する塗布工程において、後の加熱圧縮工程において凹凸模様が形成される乾燥基材の表面への軟化剤の塗布量を、裏面への塗布量よりも多くすることとしたため、彫りが深くシャープな凹凸模様が施された無機質板を、短時間で亀裂や割れや変形を生じさせることなく製造することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る無機質板を示す斜視図である。 図2は、図1のII−II線方向の断面図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る無機質板の製造方法を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態1に係る無機質板の製造工程を示す図であり、(A)は、三層構造の湿潤基材を形成する湿潤基材形成工程を示し、(B)は、湿潤基材を乾燥させて乾燥基材とする乾燥工程を示し、(C)は、乾燥基材の表裏面に軟化剤を塗布する塗布工程を示し、(D)は、乾燥基材を加熱圧縮する加熱圧縮工程において加熱圧縮前の状態を示し、(E)は、乾燥基材を加熱圧縮する加熱圧縮工程において加熱圧縮中の状態を示し、(F)は、表面に凹凸模様が施された無機質板の完成状態を示している。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る無機質板の製造方法によって製造された無機質板10を示している。無機質板10は、化粧面となる表面1にエンボス加工によって凹凸模様が形成され、例えば、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる。
−構成−
無機質板10は、本実施形態では、表面1側(図2の上側)に位置する表層11と、裏面2側(図2の下側)に位置する裏層12と、表層11と裏層12との間に位置する芯層13とを有し、三層構造に構成されている。表層11と裏層12とは、互いに同じものであり、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分とする層である。一方、芯層13は、軽量骨材と結合剤と繊維を主成分とする層である。表層11と裏層12と芯層13とは、結合剤の硬化によって複合一体化されている。
無機質板10は、エンボス型20によって加熱圧縮されることにより、表層11側の表面1に、凹凸模様が形成されている。凹凸模様は、本実施形態では、深彫り形状の石目調のタイル模様に形成されている。なお、凹凸模様は、いかなるものであってもよい。本実施形態では、無機質板10の厚みは、最も薄い部分が2.3mm、最も厚い部分が5.5mmで、平均厚さが3.2mmとなるように、凹凸模様が形成されている。また、無機質板10は、比重が、最も高い部分(厚みが最も薄い部分)で2.0程度、平均で1.5程度に構成されている。
〈表層及び裏層の主成分〉
[鉱物質繊維]
表層11と裏層12の鉱物質繊維として、ロックウール、スラグウール、ミネラルウール、グラスウール等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。鉱物質繊維は、粘りと強度とを持たせつつ、高い表面性を得るために添加されるものであり、固形成分全体の40重量%以上80重量%以下だけ添加される。鉱物質繊維は、添加量が40重量%未満になると、鉱物質繊維どうしの絡み合いが少なくなって曲げ強度が弱くなり、また、80重量%を超えると、無機質紛状体の添加割合が少なくなるため、表面の緻密性が低くなり、化粧性が損なわれるためである。
[無機質紛状体]
表層11と裏層12の無機質紛状体として、炭酸カルシウム、マイクロシリカ、水酸化アルミニウム、スラグ紛等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。無機質紛状体は、防火性及び硬度を確保するために添加されるものであり、固形成分全体の20重量%以上60重量%以下だけ添加される。無機質紛状体は、添加量が20重量%未満になると、形成される無機質板10の表面の緻密性が低くなって化粧性が損なわれ、また、60重量%を超えると、鉱物質繊維の添加割合が少なくなるため、曲げ強度が弱くなるためである。
[結合剤]
表層11と裏層12の結合剤は、熱硬化性樹脂結合剤であり、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂等の粉末状、或いは水性結合剤を用いることができる。また、結合剤として、ポリビニルアルコール、スターチ類、ポリアクリルアミド、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の水溶性又は水分散性の高分子結合剤を、熱硬化性樹脂と併用することも可能である。結合剤は、鉱物質繊維及び無機質紛状体を含む成分を結合するために添加されるものであり、固形成分全体の5重量%以上20重量%以下、好ましくは、7重量%以上15重量%以下だけ添加される。結合剤は、添加量が5重量%未満になると、強度が不足する一方、20重量%を超えると、不燃性が損なわれるためである。
〈芯層の主成分〉
[軽量骨材]
芯層13の軽量骨材として、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体等を用いることができる。軽量骨材は、圧縮強度を確保しつつ、軽量化するために添加されるものであり、固形成分全体の40重量%以上90重量%以下だけ添加される。軽量骨材は、添加量が40重量%未満になると、軽量化が不十分になり、また、散布時に均一に撒くことが難しくなる一方、90重量%を超えると、強度が弱くなり、また、圧縮時の圧力が高くなりすぎて生産性が低下するためである。
[結合剤]
芯層13の結合剤は、熱硬化性樹脂結合剤であり、表層11及び裏層12に用いることができるもの、即ち、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂等の粉末状、或いは水性結合剤を用いることができる。また、表層11及び裏層12の結合剤と同様に、ポリビニルアルコール、スターチ類、ポリアクリルアミド、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の水溶性又は水分散性の高分子結合剤を、熱硬化性樹脂と併用することも可能である。結合剤は、軽量骨材を含む成分を結合するために添加されるものであり、固形成分全体の5重量%以上20重量%以下、好ましくは、7重量%以上15重量%以下だけ添加される。結合剤は、添加量が5重量%未満になると、強度が不足する一方、20重量%を超えると、不燃性が損なわれる。
[繊維]
芯層13の繊維として、無機繊維又は有機繊維を用いることができる。具体的には、無機繊維として、ガラス繊維、ワラストナイト等を用いることができる。また、有機繊維として、ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、木質繊維、パルプ等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。繊維は、粘りと強度とを持たせるために添加されるものであり、固形成分全体の1重量%以上10重量%以下だけ添加される。繊維は、添加量が1重量%未満になると、粘りが無くなり、補強効果が低くなり、10重量%を超えると、抄造時に凹凸が生じ、抄造時に凹凸が生じ、良好な湿潤マットを得ることができなくなるためである。
−製造方法−
以下、本発明の実施形態1に係る無機質板10の製造方法について図3及び図4に基づいて説明する。
無機質板10の製造方法は、湿潤基材形成工程S1と、乾燥工程S2と、塗布工程S3と、加熱圧縮工程S4とを有する。
(1)湿潤基材形成工程
まず、湿潤基材形成工程S1を行う。本実施形態では、湿潤基材形成工程S1は、裏層マット形成工程と、芯層マット形成工程と、表層マット形成工程とで構成されている。
〈裏層マット形成工程〉
裏層マット形成工程では、裏層12を形成するための材料、即ち、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを水中に添加して攪拌し、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分とするスラリーを生成する。そして、生成したスラリーを長網式湿式抄造装置又は丸網式湿式抄造機で湿式抄造して湿潤マット(裏層マット10c)を形成する。
〈芯層マット形成工程〉
芯層マット形成工程では、芯層13を形成するための材料、即ち、軽量骨材と結合剤と繊維とを、水を噴霧しながら混合して芯層用組成物を生成する。そして、生成した芯層用組成物を、先に生成した裏層マット10cの上に均一に散布して2層目の芯層マット10bを形成する。
〈表層マット形成工程〉
表層マット形成工程では、裏層マット形成工程と同様に、表層11を形成するための材料、即ち、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを水中に添加して攪拌し、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分とするスラリーを生成する。そして、生成したスラリーを長網式湿式抄造装置又は丸網式湿式抄造機で湿式抄造して湿潤マット(表層マット10a)を形成する。この表層マット10aを、芯層マット10bの上に積層して3層目の表層マット10aを形成する。
以上のような湿潤基材形成工程S1を行うことにより、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分として含む湿潤マットからなる表層マット10a及び裏層マット10cで、軽量骨材と結合剤と繊維とを主成分として含む芯層マット10bを挟む三層構造の板状の湿潤基材10Aが形成される(図4(A)を参照)。
(2)乾燥工程
次に、乾燥工程S2を行う。乾燥工程S2では、湿潤基材形成工程S1によって形成された湿潤基材10Aを熱風循環式ドライヤーに搬入し、含水率が10重量%未満、好ましくは、4重量%未満となるように乾燥し、乾燥基材(ドライボード)10Bを形成する(図4(B)を参照)。このとき、湿潤基材10A中に含まれる結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)がプレキュアー状態に至らないように、即ち、結合剤が硬化しない条件下で湿潤基材10Aを乾燥させる。これは、結合剤が完全に硬化しないまでもプレキュアー状態に至ると、プレキュアー状態の結合剤によって結合された組織が後の加熱圧縮工程S4で潰れることにより、得られる無機質板10が脆弱化するおそれがあるためである。
また、湿潤基材10Aは、熱風循環式ドライヤーによる乾燥の前に、加熱ロール、連続プレス、平板プレス等で加熱圧縮してもよい。このように乾燥前に予備的な加熱圧縮を行うことにより、強度の高い乾燥基材10Bに形成することができる。この予備的な加熱圧縮を行う場合も、湿潤基材10A中の結合剤がプレキュアー状態に至らない条件下で行う。
なお、結合剤がプレキュアー状態に至らない条件は、結合剤によって異なるが、例えば、結合剤として粉末フェノール樹脂を用いた場合、熱風循環式ドライヤーによる乾燥では、60℃〜140℃程度の温度条件、予備的な加熱圧縮では、80℃〜180℃程度の温度条件で行うことができる。
(3)塗布工程
次に、塗布工程S3を行う。塗布工程S3では、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに、水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する(図4(C)を参照)。これにより、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bが軟化し、後の加熱圧縮工程S4において乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bにおいて亀裂や割れが生じ難くなる。
また、塗布工程S3では、後の加熱圧縮工程S4において凹凸模様が形成される乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量を、凹凸模様が形成されない裏面2Bに塗布する軟化剤の塗布量よりも多くする。このように乾燥基材10Bの表面1Bに裏面2Bに比べて多量の水又は樹脂水溶液を塗布することにより、後の加熱圧縮工程S4においてエンボス型20によって凹凸模様が形成されるために亀裂や割れが生じ易い表面1Bが、裏面2Bより軟化することとなる。また、乾燥基材10Bの裏面2Bに塗布する軟化剤の塗布量が、該乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量よりも少なくても、後の加熱圧縮工程時に、乾燥基材10Bの表面1Bに多量に塗布された軟化剤が蒸気となって乾燥基材10B中に浸透するため、裏面2Bへの軟化剤の塗布量が少なくても、乾燥基材10Bの亀裂や割れが防止されることとなる。
本実施形態では、乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量を、裏面2Bに塗布する軟化剤の塗布量の2倍以上にしている。
具体的には、乾燥基材10Bの表面1Bには、200g/m以上600g/m以下の軟化剤を塗布する。乾燥基材10Bの表面1Bへの軟化剤の塗布量が200g/m未満になると、凹凸模様が形成される乾燥基材10Bの表面1Bの軟化が足りず、後の加熱圧縮工程S4において表面1Bに亀裂や割れが生じるおそれがある一方、表面1Bへの軟化剤の塗布量が600g/mを超えると、後の加熱圧縮工程S4において蒸気となって乾燥基材10B内に浸透する大量の水分が乾燥基材10Bからなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなるためである。
一方、乾燥基材10Bの裏面2Bには、50g/m以上100g/m以下の軟化剤を塗布する。ところで、後の加熱圧縮工程S4では、蒸気となって乾燥基材10B中に浸透した軟化剤によって結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘るために、表面1Bでは凹凸模様がシャープに形成され、裏面2Bでは平滑性が向上する。そのため、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの裏面2Bへの軟化剤の塗布量が50g/m未満になると、後の加熱圧縮工程S4において乾燥基材10B中の結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘る前に、裏面2Bにおいて結合剤が硬化するために、完成した無機質板10の裏面2の平滑性が得られなくなるおそれがある。一方、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの裏面2Bへの軟化剤の塗布量が100g/mを超えると、後の加熱圧縮工程S4において蒸気となって乾燥基材10B内に浸透する大量の水分が乾燥基材10Bからなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなるためである。
(4)加熱圧縮工程
次に、加熱圧縮工程S4を行う。加熱圧縮工程S4では、表面1B及び裏面2Bに軟化剤が塗布された乾燥基材10Bを多段式ホットプレス等の加熱圧縮装置の熱盤間に挿入し(図4(D)を参照)、表面1Bに所定の凹凸模様を形成するためのエンボス型20を用いて、結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)の硬化温度以上の温度で加熱圧縮する(図4(E)を参照)。
乾燥基材10Bを加熱圧縮すると、先の塗布工程S3において乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに塗布された軟化剤が、蒸気となって乾燥基材10B中に浸透する。ここで、乾燥基材10B中の表層マット10a、芯層マット10b及び裏層マット10cの結合剤は、プレキュアーしていない状態にあるため、乾燥基材10B中に浸透した軟化剤によって流動性を得て軟化剤と共に乾燥基材10B中に行き亘る。
また、乾燥基材10Bは、エンボス型20を用いて加熱圧縮されるため、圧縮されると共に、裏面2Bは平滑に、表面1Bは凹凸模様形状に変形していく。このとき、先の塗布工程S3において、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに軟化剤が塗布されて軟化しているため、特に、表面1Bには多量の軟化剤が塗布されて裏面2Bより軟化している。そのため、乾燥基材10Bは、亀裂や割れなどを生じることなく変形することとなる。
そして、乾燥基材10Bが変形した状態で、該乾燥基材10B中に行き亘った結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)が硬化することにより、表面1に彫りの深いシャープな凹凸模様が形成された無機質板10が形成される(図4(F)を参照)。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1の製造方法によれば、エンボス型20で乾燥基材10Bを加熱圧縮する加熱圧縮工程S4の前に、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する塗布工程S3において、乾燥基材10Bに塗布する軟化剤の塗布量を、凹凸模様が形成される表面1Bの方が裏面2Bより多くなるようにしている。このように乾燥基材10Bの表面1Bに裏面2Bに比べて多量の水又は樹脂水溶液を塗布することにより、加熱圧縮工程S4においてエンボス型20によって凹凸模様が形成されるために亀裂や割れが生じ易い乾燥基材10Bの表面1Bが、裏面2Bより軟化する。そのため、彫りが深くシャープな凹凸模様を形成する場合にも、亀裂や割れを生じさせることなく加工することができる。
なお、本実施形態1の製造方法では、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの裏面2Bに塗布する軟化剤の塗布量が、該乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量よりも少ないが、加熱圧縮工程時には、乾燥基材10Bの表面1Bに多量に塗布された軟化剤が蒸気となって乾燥基材10B中に浸透するため、裏面2Bへの軟化剤の塗布量が少なくても、乾燥基材10Bの亀裂や割れを防止できる。
また、本実施形態1の製造方法では、塗布工程S3おいて、乾燥基材10Bの裏面2Bにも、表面1Bへの塗布量に比べて少ないものの軟化剤を塗布することとしている。そのため、上述した乾燥基材10Bの裏面2Bに軟化剤を全く塗布しない場合のように、後の加熱圧縮工程S4において乾燥基材10B中の結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘る前に、裏面2Bにおいて結合剤が硬化してしまうことがない。つまり、加熱圧縮工程時には、乾燥基材10Bの表面1Bと裏面2Bのそれぞれに塗布された軟化剤が蒸気となって乾燥基材10B中に浸透し、これにより、結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘ることとなる。そのため、加熱圧縮工程時に、乾燥基材10Bの表面1Bにおいて凹凸模様をシャープに形成することができ、裏面2Bを平滑に形成することができる。よって、下地材等に貼り付けられる裏面2の平滑性が得られず、無機質板10が剥がれやすくなることがない。
さらに、本実施形態1の製造方法では、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量を、該乾燥基材10Bの裏面2Bに塗布する軟化剤の塗布量よりも多くしている。つまり、乾燥基材10Bの裏面2Bに塗布する軟化剤の塗布量を、該乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量に比べて少なくしている。そのため、乾燥基材の表面1Bと裏面2Bとに同量の軟化剤を塗布する場合に比べて、乾燥基材10Bに含まれる水分量が少なくなるため、加熱圧縮工程S4において乾燥基材の乾燥に要する時間を短縮することができる。また、加熱圧縮工程S4において乾燥基材10Bに塗布された多量の水分が一気に蒸発することによって乾燥基材10Bを変形させてしまうようなこともない。
従って、本実施形態1の製造方法によれば、彫りが深くシャープな凹凸模様が施された無機質板10を、短時間で亀裂や割れや変形を生じさせることなく製造することができる。
また、本実施形態1の製造方法では、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの表面1Bには、裏面2Bの2倍以上もの軟化剤を塗布することとしている。言い換えると、乾燥基材10Bの裏面2Bには、表面1Bの2分の1以下の軟化剤しか塗布されない。このような比率にすることにより、塗布工程S3における軟化剤の塗布総量を著しく低減することができる。よって、加熱圧縮工程時に、乾燥基材10Bの乾燥に要する時間を著しく短縮することができる。
ところで、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの表面1Bへの軟化剤の塗布量が少なすぎると、凹凸模様が形成される乾燥基材10Bの表面1Bの軟化が足りず、後の加熱圧縮工程S4において表面1Bに亀裂や割れが生じるおそれがある。一方、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの表面1Bへの軟化剤の塗布量が多すぎると、後の加熱圧縮工程S4において蒸気となって乾燥基材10B内に浸透する大量の水分が乾燥基材10Bからなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなる。
本実施形態1の製造方法では、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの表面1Bに塗布する軟化剤の塗布量を、1平方メートル当たり200g以上600g以下にしている。塗布工程S3において、このような分量の軟化剤を乾燥基材10Bの表面1Bに塗布することにより、後の加熱圧縮工程S4において、凹凸模様が形成されて化粧面となる乾燥基材10Bの表面1Bに亀裂や割れが生じるのを確実に防止することができる。また、塗布工程S3において乾燥基材10Bに含ませる水分量を必要最小限に抑えることにより、加熱圧縮工程S4において乾燥基材10Bの乾燥に要する時間を短縮することができる。
ところで、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの裏面2Bへの軟化剤の塗布量が少なすぎると、後の加熱圧縮工程S4において乾燥基材10B中の結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘る前に、裏面2Bにおいて結合剤が硬化するために、完成した無機質板10の裏面2の平滑性が得られなくなるおそれがある。一方、乾燥基材10Bの裏面2Bへの軟化剤の塗布量が多すぎると、後の加熱圧縮工程S4において蒸気となって乾燥基材10B内に浸透する大量の水分が乾燥基材10Bからなかなか抜けず、乾燥に要する時間が長くなる。
本実施形態1の製造方法では、塗布工程S3において、乾燥基材10Bの裏面2Bに、1平方メートル当たり50g以上100g以下の軟化剤を塗布することとしている。塗布工程S3において、このような分量の軟化剤を乾燥基材10Bの裏面2Bに塗布することにより、後の加熱圧縮工程S4において乾燥基材10B中の結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘る前に、裏面2Bにおいて結合剤が硬化してしまうことがなく、軟化剤が蒸気となって乾燥基材10B中に浸透することによって結合剤が流動性を得て乾燥基材10B中に行き亘った状態でエンボス型20によって加熱圧縮されることとなる。そのため、表面1には凹凸模様がシャープに形成され、裏面2は平滑な無機質板10を得ることができる。よって、下地材等に貼り付けられる裏面2の平滑性が得られず、無機質板10が剥がれやすくなることがない。また、上述のような少量の軟化剤を乾燥基材10Bの裏面2Bに塗布することにより、乾燥基材10Bの表面1Bと裏面2Bとに同量の軟化剤を塗布する場合に比べて、乾燥基材10Bに含まれる水分量が少なくなるため、加熱圧縮工程S4において乾燥基材10Bの乾燥に要する時間を短縮することができる。さらに、加熱圧縮工程S4において乾燥基材10Bに塗布された多量の水分が一気に蒸発することによって乾燥基材10Bを変形させてしまうことを防止することもできる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、湿潤基材10Aを三層構造としていたが、湿潤基材10Aは、これに限られない。表層11及び裏層12を構成する1つの湿潤マットからなる単層構造でもよく、また、芯層13のない二層構造であってもよい。その他、芯層13の他に中間層を設けて四層以上の構造としてもよい。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例1)
鉱物質繊維としてスラグウール50重量%と、無機質紛状体として水酸化アルミニウム39重量%と、熱硬化性樹脂結合剤として粉末フェノール樹脂6重量%と、水溶性又は水分散性結合剤としてスターチ4重量%と、熱融着繊維としてのポリエステル繊維1重量%と、凝集剤とからなる原料を大量の水中に添加して攪拌し、固形分濃度3重量%のスラリーを得た。そして、このスラリーを丸網式湿式抄造装置により湿式抄造し、ウェットプレスで厚み調整を行って、含水率80%の表裏層用の湿潤マット(表層マット、裏層マット)を得た。
一方、軽量骨材としてパーライト55重量%と、無機質紛状体として水酸化アルミニウム34重量%と、熱硬化性樹脂結合剤として粉末フェノール樹脂5重量%と、水溶性又は水分散性結合剤としてスターチ4重量%と、熱融着繊維としてのポリエステル繊維1重量%とからなる原料を、水を噴霧しながらミキサー内で均一に混合し、含水率20%の芯層用組成物を得た。そして、この芯層用組成物を、裏層マット(湿潤マット)上に均一に散布堆積させると共に、その散布面上に表層マット(湿潤マット)を積層して三層構造の湿潤基材(湿潤積層体)を形成した。
次に、上記三層構造の湿潤基材を、厚さ8mmのディスタンスバーを介して130℃の温度下で90秒仮圧締した後、熱風循環式ドライヤーに搬入してその表面温度が140℃を超えない乾燥条件で20分間乾燥させた(1次乾燥)。これにより、含水率3%の乾燥基材(ドライボード)を得た。この乾燥基材は、その表面の層の粉末フェノール樹脂がプレキュアーに至っていない状態で、上記含水率まで乾燥されていた。
次に、得られた乾燥基材をホットプレス装置に搬入し、その表面に400g/m、裏面に100g/mの水を塗布した。その後、乾燥基材をホットプレス装置の熱盤間に挿入し、エンボス型を介して200℃の温度条件下で加熱圧縮して、フェノール樹脂粉末を十分硬化させた。この加熱圧縮を3.5分間行うことにより、乾燥基材内に浸透した大量の水分が抜けて乾燥基材が乾燥した(2次乾燥)。そして、平均厚さ3.2mm(2.3〜5.5mm)、比重1.5程度の表面に彫りが深くシャープな凹凸模様が施された無機質板を得た。なお、加熱圧縮前の乾燥基材は、平均厚さ8mm、比重0.6〜0.7(真比重2.4)程度であった。得られた無機質板の表面には、亀裂や割れや変形等が見られなかった。
(比較例1)
上記実施例で得られたものと同じ含水率3%の乾燥基材(ドライボード)を、ホットプレス装置に搬入し、その表面及び裏面に400g/mの水を塗布した。その後、乾燥基材をホットプレス装置の熱盤間に挿入し、エンボス型を介して200℃の温度条件下で加熱圧縮して、フェノール樹脂粉末を十分硬化させた。なお、乾燥基材内に浸透した大量の水分が抜けて乾燥基材が乾燥(2次乾燥)するまで7分程度かかった。そして、平均厚さ3.2mm(2.3〜5.5mm)、比重1.5程度の表面に凹凸模様が施された無機質板を得た。得られた無機質板の表面には、亀裂や割れや変形等が見られなかった。
(比較例2)
上記実施例で得られたものと同じ含水率3%の乾燥基材(ドライボード)を、ホットプレス装置に搬入し、その表面及び裏面に100g/mの水を塗布した。その後、乾燥基材をホットプレス装置の熱盤間に挿入し、エンボス型を介して200℃の温度条件下で加熱圧縮して、フェノール樹脂粉末を十分硬化させた。この加熱圧縮を3.5分間行うことにより、乾燥基材内に浸透した大量の水分が抜けて乾燥基材が乾燥した(2次乾燥)。そして、平均厚さ3.2mm(2.3〜5.5mm)、比重1.5程度の表面に凹凸模様が施された無機質板を得た。得られた無機質板の表面には、亀裂や割れや変形等が見られた。
(比較例3)
上記実施例で得られたものと同じ含水率3%の乾燥基材(ドライボード)を、ホットプレス装置に搬入し、その表面のみに400g/mの水を塗布し、裏面には水を塗布しなかった。その後、乾燥基材をホットプレス装置の熱盤間に挿入し、エンボス型を介して200℃の温度条件下で加熱圧縮して、フェノール樹脂粉末を十分硬化させた。この加熱圧縮を3.5分間行うことにより、乾燥基材内に浸透した大量の水分が抜けて乾燥基材が乾燥した(2次乾燥)。そして、平均厚さ3.2mm(2.3〜5.5mm)、比重1.5程度の表面に凹凸模様が施された無機質板を得た。得られた無機質板の表面には、亀裂や割れや変形は見られなかったが、裏面において結合剤が不均一に硬化しており、裏面の平滑性が低かった。
以上説明したように、本発明は、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる無機質板の製造方法について有用である。
10 無機質板
10a 表層マット(湿潤マット)
10b 芯層マット
10c 裏層マット(湿潤マット)
10A 湿潤基材
10B 乾燥基材
11 表層
12 裏層
13 芯層
20 エンボス型

Claims (1)

  1. 鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分として含むスラリーから湿式抄造によって形成した湿潤マットで全体又は少なくとも表層及び裏層が構成された板状の湿潤基材を形成する湿潤基材形成工程と、
    上記湿潤基材を乾燥させて乾燥基材とする乾燥工程と、
    上記乾燥基材の表面及び裏面に水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する塗布工程と、
    上記塗布工程後、エンボス型で上記乾燥基材を加熱圧縮して上記結合剤を硬化させて上記乾燥基材の表面に凹凸模様を形成する加熱圧縮工程とを備え、
    表面に上記凹凸模様が形成された無機質板を製造する無機質板の製造方法であって、
    上記塗布工程において、上記乾燥基材の裏面に塗布する上記軟化剤の塗布量を、1平方メートル当たり50g以上100g以下にすると共に、上記乾燥基材の表面に塗布する上記軟化剤の塗布量を、該乾燥基材の裏面に塗布する上記軟化剤の塗布量よりも多い1平方メートル当たり200g以上400g以下にする
    ことを特徴とする無機質板の製造方法。
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