JP2006341453A - 不燃性合板と、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産効率に優れた高性能の不燃材料を得る。
【解決手段】植物繊維粉に対し、ホウ酸、ホウ砂を原料とし、ラマンスペクトルにおいて880±150cm-1にピークを有する不燃剤溶液を加え、ホットプレスにより板状に圧縮成形する。
【選択図】図1
【解決手段】植物繊維粉に対し、ホウ酸、ホウ砂を原料とし、ラマンスペクトルにおいて880±150cm-1にピークを有する不燃剤溶液を加え、ホットプレスにより板状に圧縮成形する。
【選択図】図1
Description
この発明は、建材や家具材などとして好適に使用することができる不燃性合板と、その製造方法に関する。
ホウ酸、ホウ砂を原料とする新しい不燃剤組成物が提案されている(特許文献1)。
このものは、水100部に対してホウ酸(H3BO3またはHBO2 )x部、ホウ砂(Na2B4O7・10H2O)y部(ただし、x<35、y<40、0<x<y+5)を添加し、加熱して溶解させ、室温まで冷却することにより水溶液として調整することができ、この水溶液を加熱してたとえばスプレイドライ法により蒸発乾固させ、粉末として調整することができる。なお、ホウ砂は、相当のホウ素量の無水物としてもよい。水溶液は、ホウ素換算で2.5mol /kg以上のポリホウ酸イオンを含み、ラマンスペクトルにおいて880±150cm-1にピークを有する。また、粉末は、同様量の非晶質ホウ酸ナトリウム塩を含み、粉末X線回析において2θ=27.8±1.2および45.7±1.2にピークを有する。水溶液は、木材、紙、織布、不織布などに含浸または噴霧することにより、良好な不燃化処理を実現することができる。
特開2005−112700号公報
かかる従来技術によるときは、不燃剤溶液を含浸または噴霧することにより木材、紙、織布、不織布などの基材を不燃化するが、木材のような空隙率が小さい基材の場合、必要量の有効成分を含浸させるために長時間を要し、生産効率がよくないという問題があった。なお、繊維板(ファイバーボード)、パーティクルボードなどとして知られている従来の合板は、合成樹脂系の接着剤(バインダ)を利用して植物繊維や木材の小片などを板状に圧縮成形するから、接着剤の燃焼発熱が避けられず、良好な不燃性能を実現することが困難である。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、不燃剤溶液の有効成分自体に接着性があることに着目し、接着剤を使用することなく、生産効率に優れた高性能の不燃性合板と、その製造方法を提供することにある。
かかる目的を達成するためのこの出願に係る第1発明(請求項1に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、植物繊維粉に不燃剤溶液を加えて圧縮成形してなり、不燃剤溶液は、ホウ酸、ホウ砂を原料とし、粉末X線回析(CuKα線1.5418Å)において2θ=27.8±1.2および45.7±1.2にピークを有する有効成分の水溶液であることをその要旨とする。
第2発明(請求項2に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、植物繊維粉に対し、ホウ酸、ホウ砂を原料とし、ラマンスペクトルにおいて880±150cm-1にピークを有する不燃剤溶液を加え、ホットプレスにより板状に圧縮成形することをその要旨とする。
なお、剥離用の台紙を介して圧縮成形してもよく、圧縮成形後、不燃剤溶液を含浸させた複数枚をホットプレスにより積層して接着してもよい。
かかる第1発明、第2発明の構成によるときは、不燃剤溶液は、特開2005−112700号公報に記載の粉末状の不燃剤組成物16〜30重量%を有効成分として含む水溶液であり、所定量の不燃剤組成物の粉末を50〜80℃の湯に溶解させ、室温にまで冷却させて調整する。また、植物繊維粉は、たとえば竹粉または木粉の一方または双方の任意比率の混合物であって、繊維長1〜15mm(特に好ましくは3mm前後)に調整したものを使用する。たとえば含水率20%以下に乾燥処理した植物繊維粉に同重量の不燃剤溶液を加えて混合し、ホットプレスにより厚さ約1/6にまで板状に圧縮成形すると、水分が蒸発飛散し、不燃剤溶液の有効成分の接着力により植物繊維粉が一体に固化され、建築基準法2条9号、同法施行令108条の2に十分適合する不燃性合板を作ることができる。
なお、このときの有効成分の含有量は、植物繊維粉の重量1t当り160〜300kgであるが、一般に、1t当り200kgとすれば十分である。また、ホットプレスの操業条件は、上下の熱板温度120〜220℃(好ましくは150〜190℃)、面積120×240cm2 当りの圧力10〜30t(好ましくは20t前後)、プレス時間5〜60分(好ましくは10〜30分)である。ただし、ホットプレスの熱源は、電気ヒータ、蒸気、高周波加熱などのいずれであってもよい。また、植物繊維粉としては、竹粉、木粉の他、米、麦などの籾殻、藁、紙屑などの任意の植物繊維の細粉を利用することも可能である。
剥離用の台紙を介して圧縮成形すると、ホットプレスの熱板と圧縮成形後の合板との接着を防止し、搬出を容易にすることができる。そこで、圧縮成形前の不燃剤溶液を加えた植物繊維粉は、両側端縁を内側に斜めに折り返した下側の台紙上に厚さ5〜90mm程度にほぼ均一に投入し、上から別の台紙を被せ、上下の台紙を剥離紙として圧縮成形することができる。台紙の紙質は、クラフト紙、中性紙、新聞紙などでよい。このようにして製造する単板の不燃性合板は、サンダ処理して表面に付着している台紙を除去し、製品として仕上げることができる。
圧縮成形後、不燃剤溶液を含浸させて複数枚の単板の不燃性合板を積層して接着すれば、複合板の不燃性合板を作ることができる。ただし、このときの含浸工程は、各単板の上下に付着している剥離用の台紙に不燃剤溶液を含浸させればよく、各単板を1〜10分程度の短時間だけ不燃剤溶液に浸漬し、斜めにして水切りするだけで十分である。積層接着のためのホットプレスは、熱板温度120〜220℃(好ましくは150〜200℃)、面積120×240cm2 当りの圧力100〜250t(好ましくは150〜250t)、プレス時間5〜60分(好ましくは10〜30分)の操業条件とする。なお、このときも、上下に剥離用の台紙を介在させることが好ましく、台紙をテフロン(登録商標)加工紙とすれば、一層良好な剥離性を得ることができる。ただし、接着用の不燃剤溶液は、圧縮成形用のそれと同一濃度でもよいが、有効成分20重量%以上の高濃度とすることが好ましい。積層して接着した合板は、サンダ処理して表面の台紙を除去し、製品として仕上げることができる。
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
図1に不燃性合板の製造手順を示す。
竹材、木材(木屑材を含む)を破砕機、粉砕機にて粉砕し、繊維長1〜15mmの竹粉、木粉として含水率20%以下に乾燥した上(図1のステップ(1)、(2)、以下、単に(1)、(2)のように記す)、任意比率に混合する(3)。ただし、竹粉、木粉は、いずれか一方のみとしてもよい。また、竹粉、木粉の含水率は、不燃剤の浸透性の点から少ない程よいが、その実用的な下限は、約0.75%である。一方、ホウ酸、ホウ砂を原料とする特開2005−112700号公報に記載の粉末の不燃剤組成物16〜30重量%の水溶液を不燃剤溶液として準備しておき、竹粉、木粉の一方または双方の混合物に対し、同重量を混合させる(4)。その後、ホットプレスを使用して板状に圧縮成形して(5)、単板の不燃性合板を作ることができる。
竹粉、木粉に不燃性溶液を混合した材料Wをホットプレスの熱板12、13により圧縮成形する工程を図2に図示する。ただし、図2(A)、(B)は、それぞれ全体模式図、同図(A)のX−X線矢視拡大断面図である。
まず、ホッパ11内に蓄えた材料Wを下の台紙P1 上に均一に落下させる。ただし、ロールP1aから供給する台紙P1 は、左右の側端縁を内向きに斜めに折り返して縁P1b、P1bを作りながらホッパ11の下を等速進行させ(図2(A)の矢印K1 方向)、断面三角形のロッド14を介してほぼ均一の厚さtに均しながら、ロールP2aからの上の台紙P2 とともに熱板12、13の間に進入させる。その後、上の熱板12を下の熱板13に向けて押し付け、材料Wを圧縮成形する(同図(A)の矢印K2 、K2 …方向)。その後、熱板12を熱板13から離して、成形済の単板の製品を取り出せばよく、このとき、上下の台紙P1 、P2 は、製品と一体に接着されている。なお、このような単板の製品は、サンダ処理によって表面の台紙P1 、P2 を剥離し、不燃性合板として仕上げることができる。
一方、台紙P1 、P2 付きの単板の製品に対し、さらに不燃剤溶液を含浸させ(6)、ホットプレスにより複数枚を積層して接着させると(7)、複合板の製品を作ることができる。各単板の製品は、台紙P1 、P2 に含浸される不燃剤溶液の接着力により、一体に接着されるからである。なお、このときも、ホットプレスの熱板12、13に接する最上面、最下面には、図示しない剥離用の台紙を介在させるものとする。複合板の製品は、サンダ処理によって表面の台紙を剥離し、不燃性合板として仕上げることができる。ただし、接着前の単板の製品は、積層精度を高めるために周囲を切り揃え、同一寸法の複数枚を積層するものとし、接着してサンダ処理の後に、最終的な規定寸法に切断して仕上げるものとする。また、このようにして切断した後の端材は、再粉砕して竹粉、木粉とし、再利用することができる。
以上の説明において、単板、複合板の製品は、それぞれ片面または両面に不燃性の金属板を接着することにより、全体厚さを薄くしても高度の不燃特性を実現することができる。なお、金属板は、たとえば不燃剤溶液を含浸させた台紙を裏面側に貼り、乾燥前にホットプレスにより接着し、不燃剤溶液の接着力だけを利用して接着することが好ましい。
図1、図2の製造手順により、不燃剤溶液の粉末状の有効成分16重量%として、竹粉100%の単板の試験体A、竹粉50%ヒノキ木粉50%の単板の試験体Bを作り、JIS A5908に基づく含水率、密度、曲げ強さの各測定試験を行った結果を図3にまとめて示す。ただし、含水率、密度の試験体A、Bは、それぞれ100×100mm厚さ15mmとし、曲げ強さの試験体A、Bは、それぞれ50×275mm厚さ15mmとした。合成樹脂系の接着剤を全く使用していないにも拘らず、建材や家具材用のパーティクルボードとして必要な機械的性能を十分に満足していることがわかる。
実施例1の不燃剤溶液を用い、竹粉30%ヒノキ木粉70%の単板の試験体について、建築基準法2条9号、同法施行令108条の2の技術的基準に対する合否を確認するために、国土交通省の依託を受けて(財)日本建築総合試験所が定めた建築材料の防火・耐火性能評価試験方法の不燃性能試験・評価方法のうち、発熱性試験・評価方法の試験結果を図4にまとめて示す。ただし、試験体は、99×99mm厚さ15mmとした。
図4(B)は、コーンカロリーメータ(CCM)による試験時間20分間の測定試験結果であり、同図(A)は、同図(B)のデータの集約表である。これによれば、質量減少率31.9%、着火時間なし、総発熱量1.2MJ/m2 、最高発熱速度7.46kW/m2 、非加熱面への穴および亀裂なしであって、20分間の総発熱量8MJ/m2 以下、発熱速度200kW/m2 を10秒以上継続して超過しないこと、裏面に達する亀裂や穴を生じないことを定める建築基準法2条9号、同法施行令108条の2の不燃材料の技術的基準に対し、十分余裕がある合格品であったことがわかる。
W…材料
P1 、P2 …台紙
12、13…熱板
特許出願人 株式会社 トラストライフ
有限会社 マイスター・マトバ
代理人 弁理士 松 田 忠 秋
P1 、P2 …台紙
12、13…熱板
特許出願人 株式会社 トラストライフ
有限会社 マイスター・マトバ
代理人 弁理士 松 田 忠 秋
Claims (4)
- 植物繊維粉に不燃剤溶液を加えて圧縮成形してなり、前記不燃剤溶液は、ホウ酸、ホウ砂を原料とし、粉末X線回析(CuKα線1.5418Å)において2θ=27.8±1.2および45.7±1.2にピークを有する有効成分の水溶液であることを特徴とする不燃性合板。
- 植物繊維粉に対し、ホウ酸、ホウ砂を原料とし、ラマンスペクトルにおいて880±150cm-1にピークを有する不燃剤溶液を加え、ホットプレスにより板状に圧縮成形することを特徴とする不燃性合板の製造方法。
- 剥離用の台紙を介して圧縮成形することを特徴とする請求項2記載の不燃性合板の製造方法。
- 圧縮成形後、前記不燃剤溶液を含浸させた複数枚をホットプレスにより積層して接着することを特徴とする請求項2または請求項3記載の不燃性合板の製造方法。
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JP2020131511A (ja) * | 2019-02-18 | 2020-08-31 | 株式会社ノダ | 不燃板およびその製造方法 |
WO2024018714A1 (ja) * | 2022-07-19 | 2024-01-25 | 株式会社ダイセル | 積層材並びにその製造方法及び応用 |
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WO2024018714A1 (ja) * | 2022-07-19 | 2024-01-25 | 株式会社ダイセル | 積層材並びにその製造方法及び応用 |
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