JP5255788B2 - 調湿ボード - Google Patents
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Description
そこで、従来から住宅の内装建材などに使用される調湿機能を有した建築材料が提案されている。
一般的には、珪藻土、炭、シリカゲル、ゼオライト等の調湿材を無機系あるいは樹脂系のバインダーと混合して湿式製法で製造された調湿建材が提案されている。しかし、このものでは、製造時において、下地処理、下塗り、上塗り等の作業が必要となり、作業が煩雑である。また、内装の表面建材として使用される場合は、切断・穴あけ加工や釘打ち等がなされるため、表面強度や耐欠け性が要求されるが、これらを向上すべくバインダーの添加量を増加させると、通気性・透湿性が損なわれ、調湿建材としての機能を十分に発揮できないものとなる。
上記表裏層は、ロックウールやスラグウールなどの鉱物質繊維と、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムなどの無機粉体と、ポリビニルアルコール樹脂やフェノール樹脂などの結合剤とを主成分としている。また、上記中層は、製材屑や建築廃材などからなる植物由来の炭化物と、パーライトやシラス発泡体などの開放型無機発泡体と、上記同様の結合剤とを主成分としている。
このものでは、多量の鉱物質繊維を含有させているので、高い曲げ強度を有する、とされている。
この機能性マットは、ケナフ繊維とポリエステル繊維とを混合して得た上下一対の綿材と、それら綿材の間にシリカゲルを包含し、これらケナフ繊維及びシリカゲルが熱溶着によって接着され、圧縮加工されて厚さ10cmに形成されている。また、各綿材の密度が15〜25kg/m2に設定されている。
このものでは、上記のような構成により、軽量化が図れるとともに、柔軟性、通気性に優れている、とされている。
また、前記特許文献2に記載の機能性マットは、外壁と内装材との間に内設される断熱材としては、使用可能であるが、内装の表面建材として使用する場合は、その表面強度の観点からも困難である。
また、各層が合成樹脂繊維材を含有し、その合成樹脂繊維材の熱溶着によって、連結固化されているので、調湿材が持つ調湿性能を阻害することがない。すなわち、例えば、表裏層の接着に、液体状の樹脂材やエマルジョン状態の接着剤を含漬させたり、スプレー塗布したりすると、それらのバインダーが調湿材の表面を覆う場合があり、調湿材本来の調湿性能が阻害される恐れがあるが、バインダーを合成樹脂繊維材とすることで、その繊維が絡み合うようにして各層の連結がなされ、通気性・透湿性の確保がなされる。
さらにまた、表裏層として天然繊維材を使用しているので、柔軟性があり、例えば、熱プレスにて凹凸形状や曲面形状を有する調湿ボードの形成が可能となる。
これにより、内装の表面建材として使用し得る調湿ボードとなる。すなわち、そのような箇所に施工される場合は、切断・穴あけ加工や釘打ち等がなされるが、本発明に係る調湿ボードは、上記構成により十分な表面強度や耐欠け性を有している。従って、生活スペースに一番近い箇所への施工が可能となり、効率的に調湿機能が発揮できるものとなる。
また、調湿ボードは、前記調湿材の粒径を100μm以上、2mm以下としているので、調湿性能を阻害することなく、十分な表面強度を有したものとなる。すなわち、通常、3mm〜12mm程度の板厚とされている内装の表面材に、本発明に係る調湿ボードを適用すると、調湿材の粒径が2mm超の場合は、各層の連結固化が十分になされず、ボード自体の強度が低減する。また、ボード自体に局部的な密度差が生じる恐れもある。さらに、調湿材の含有量を同量とした場合は、その調湿材の表面積が大きいほど調湿性能が高くなり、よって、粒径を大きくすると表面積が小さくなり、調湿性能が低減する。
また、調湿材の粒径が100μm未満の場合は、積層形成する際に、調湿材の偏りが生じたり、調湿材が表裏層の天然繊維材に保持されずに抜け落ちたりする恐れがある。
図1は、本実施形態に係る調湿ボードを模式的に示す概略縦断面図である。
尚、図1では、調湿ボードの断面を模式的に示している。また、以下では、調湿ボードの表面とは、室内空間側の面を指すものとする。
尚、この調湿ボードAの施工箇所としては、内装建材として広く施工可能であり、住宅の内壁の留め付け仕上げ用の表面建材、打上天井材、押入れやクローゼット内の内壁や天井などが挙げられる。
また、調湿ボードAの表面に表面処理として、通気性・透湿性を有する化粧シートや壁紙を更に貼着するようにしてもよい。
さらに、調湿ボードAの裏面に石膏ボードや木質ボード、樹脂ボードなどを貼着して施工する態様としてもよい。
特に、近年、枯渇化が叫ばれている木材資源ではなく、麻類植物からなる繊維を天然繊維材として使用すれば、環境資源にも配慮した調湿ボードAとなる。
尚、上記各種の繊維は、一種あるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記以外の天然繊維材を使用してもよい。
また、本実施形態に係る調湿ボードAに含有される合成樹脂繊維材の含有量は、10重量%以上、50重量%以下とすることが好ましい。これにより、調湿性能を阻害することなく、各層の連結性を高められる。すなわち、合成樹脂繊維材の含有量が10重量%未満であれば、合成樹脂繊維材の熱溶着による互いの層の連結固化が十分になされず、天然繊維材がばらけたり、剥離が生じたりする恐れがある。また、合成樹脂繊維材の含有量が50重量%超であれば、調湿性能が阻害される恐れがある。
尚、上記以外の合成樹脂繊維材を使用してもよい。
また、調湿材の粒径は、100μm以上、2mm以下とすることが好ましい。これにより、調湿性能を阻害することなく、十分な表面強度を有した調湿ボードAとなる。すなわち、通常、3mm〜12mm程度の板厚とされている内装の表面材に、調湿ボードAを適用すると、調湿材の粒径が2mm超の場合は、各層の連結固化が十分になされず、ボード自体の強度が低減する。また、ボード自体に局部的な密度差が生じる恐れもある。さらに、調湿材の含有量を同量とした場合は、その調湿材の表面積が大きいほど調湿性能が高くなり、よって、粒径を大きくすると表面積が小さくなり、調湿性能が低減する。
また、調湿材の粒径が100μm未満の場合は、積層形成する際に、調湿材の偏りが生じたり、調湿材が表裏層の天然繊維材に保持されずに抜け落ちたりする恐れがある。
尚、上記各種の調湿材は、一種あるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記以外の調湿材を使用してもよい。
尚、以下では、天然繊維材として、ケナフ繊維を使用し、合成樹脂繊維材として、ポリプロピレン繊維(以下、PP繊維と略す場合がある。)を使用し、調湿材として、珪藻土を使用した場合について説明するが、天然繊維材、合成樹脂繊維材、調湿材としては、上記した各種、あるいはそれ以外から適宜、選択可能である。
また、PP繊維を太さが2〜15デニール、長さが20mm〜60mm程度となるようにして、合成樹脂繊維片とする。
また、珪藻土を粒径が100μm以上、2mm以下となるようにして、珪藻土粒子とする。
また、上記合成樹脂繊維片と珪藻土粒子とを、それぞれ所定の混合量で混合して、中間層用混合物とする。
次いで、裏層12となる上記マット体の上面に、中間層11となる上記中間層用混合物を所定量、分散・堆積させ、その上に、表層10となる上記マット体を重ね合わせて積層体とする。
この積層体を、熱プレス機に導入し、PP繊維が溶融する例えば、180℃〜200℃程度に型面温度が設定されたプレス型によって、所定のプレス圧で所定時間、熱プレス(加熱圧縮)し、冷却した後に、脱型して、調湿ボードAの製造がなされる。
また、これにより、内装の表面建材として使用し得る調湿ボードAとなる。すなわち、そのような箇所に施工される場合は、切断・穴あけ加工や釘打ち等がなされるが、この
調湿湿ボードAは、十分な表面強度や耐欠け性を有している。従って、生活スペースに一番近い箇所への施工が可能となり、効率的に調湿機能が発揮できるものとなる。
さらに、各層10,11,12が合成樹脂繊維片を含有し、その合成樹脂繊維片の熱溶着によって、連結固化されているので、調湿材が持つ調湿性能を阻害することがない。すなわち、例えば、表裏層の接着に、液体状の樹脂材やエマルジョン状態の接着剤を含漬させたり、スプレー塗布したりすると、それらのバインダーが調湿材の表面を覆う場合があり、調湿材本来の調湿性能が阻害される恐れがあるが、バインダーを上記したような合成樹脂繊維片とすることで、その繊維が絡み合うようにして各層10,11,12の連結がなされ、通気性・透湿性の確保がなされる。
また、表裏層10,12として天然繊維片を使用しているので、柔軟性があり、例えば、熱プレスにて、後記する凹凸形状を有する調湿ボードB(図3参照)や曲面形状を有する調湿ボードの形成が可能となる。
すなわち、前記同様、上記天然繊維片と上記合成樹脂繊維片とを混合して、マット体を形成し、該マット体の上面に、珪藻土粒子を分散・堆積させ、その上に、マット体をさらに重ね合わせて積層体とした後に、ニードルパンチする。これにより、珪藻土粒子を含む中間層11にも合成樹脂繊維片が絡められ、各層10,11,12に合成樹脂繊維片が含有された状態となる。これによれば、珪藻土粒子と合成樹脂繊維片とを前もって混合する必要がなく、混合工程の簡略化が図れる。
このようにして形成された積層体を上記同様、熱プレスして調湿ボードAを製造するようにしてもよい。
このようにして形成された積層体を上記同様、熱プレスして調湿ボードAを製造するようにしてもよい。
尚、上記した調湿ボードAの各製造方法は、一例に過ぎず、上記以外の製造方法によって製造し得ることは当然である。
また、天然繊維材及び調湿材のそれぞれ含有量は、上記の構成を充足するようにして、選択する天然繊維材及び調湿材によって、適宜、設定可能である。
尚、実施例1〜7では、表裏層10,12となる天然繊維片として、平均径82μm、長さが30mm〜50mmのケナフ繊維(比較例1〜4も同様)を用い、合成樹脂繊維片として、太さが3〜10デニール、長さが20mm〜30mmのPP繊維を用い、中間層11となる珪藻土粒子として、粒径が700μmアンダーの稚内珪藻土粒子(比較例1〜5も同様)を用いた。
上記のケナフ繊維及び珪藻土粒子に、それぞれ所定の含有量となるように、PP繊維を混合した。各実施例におけるPP繊維の含有量は、実施例1では、10重量%、実施例2では、20重量%、実施例3では、50重量%である。
上記のようにケナフ繊維とPP繊維とを混合した後、マット体を形成し、該マット体の上面に、珪藻土粒子が1平方メートル当たり500g(500g/m2)含まれるように、PP繊維との中間層用混合物を均一に分散・堆積し、その上にさらにマット体を重ね合わせて、積層体とし、この積層体をプレス型に載置して、熱プレスした。
熱プレスでの条件は、プレス型間(スペーサー厚)が4.5mm、型面温度が185℃、プレス圧が3.5Mpa、プレス時間120秒の条件で、熱プレスを行い、冷却後にプレス型から脱離させて、板厚が4.5mm、密度が1000kg/m3の実施例1〜3の調湿ボードAをそれぞれ得た。
ケナフ繊維のみにPP繊維を混合してマット体を形成し、該マット体の上面に、珪藻土粒子が1平方メートル当たり500g(500g/m2)含まれるように、珪藻土粒子のみを均一に分散・堆積し、その上にさらにマット体を重ね合わせて、積層体とした後に、ニードルパンチ法によって、PP繊維を各層に絡み合わせた。その後、実施例1〜3と同様、熱プレスして、板厚が4.5mm、密度が1000kg/m3の調湿ボードAを得た。尚、実施例4では、PP繊維の含有量が20重量%として設定している。
実施例1〜3と同様にして積層体を形成し、その後、凹凸形状のあるプレス型で熱プレスを実施し、図3に示す密度が1000kg/m3の調湿ボードBを得た。以下、調湿ボードBについて、図3に基づいて説明する。図3(a)は、概略平面図、(b)は、概略側面図である。
調湿ボードBは、図3(a)、(b)に示すように、平坦部14と凹部15を有した平面視正方形状の凹凸ボードであり、その板厚D1は、前記各実施例同様、4.5mm、平坦部14の裏面から凹部15の裏面までの高さD2は、20mmである。凹部15は、底部及び上端部が調湿ボードB自体の正方形状と同心状とされた平面視正方形状とされ、底面からその上端縁に向けて次第に拡開する傾斜面を有している。また、調湿ボードBは、その幅W1が200mm、凹部15の上端縁一辺の幅W2が140mm、凹部15の底面の一辺の幅W3が90mmである。
尚、実施例5では、PP繊維の含有量が20重量%として設定している。
実施例6及び7では、成形後の密度がそれぞれ異なるのみで他の条件は、実施例1と同様である。すなわち、以下の各実施例では、ケナフ繊維の含有量を調整して、成形後の各調湿ボードの密度が以下の値となるようにした。
実施例6の調湿ボードAは、密度が1100kg/m3、実施例7の調湿ボードAは、密度が1200kg/m3である。
比較例1及び2のボードは、上記実施例1乃至3の各調湿ボードとは、PP繊維の含有量を異ならせたものである。各比較例におけるPP繊維の含有量は、比較例1では、5重量%、比較例2では、60重量%である。
(比較例3)
比較例3のボードは、上記実施例1の調湿ボードとは、成形後の密度を異ならせたものである。比較例3のボードでは、ケナフ繊維の含有量を調整して、成形後の密度が、1300kg/m3である。
上記同様のケナフ繊維でマット体を形成し、該マット体を液状のフェノール樹脂接着剤(群栄化学工業(株)PL−3725)に含浸させ、絞り機によって量を調整した後、乾燥機によって揮発分を蒸発させ、フェノール樹脂含浸マット体を形成した。
このフェノール樹脂含浸マット体を表裏層とし、その間に、上記同様の珪藻土粒子を介在させ、積層体とし、この積層体をプレス型に載置して、熱プレスした。尚、この積層体のフェノール樹脂の含有量は、20重量%として設定している。
熱プレスでの条件は、プレス型間(スペーサー厚)が4.5mm、型面温度が170℃、プレス圧が3.5Mpa、プレス時間120秒の条件で、熱プレスを行い、冷却後にプレス型から脱離させて、板厚が4.5mm、密度が1000kg/m3の比較例4のボードを得た。
予め抄造・乾燥工程を経て形成したロックウール繊維を主成分とするロックウール板を切削機によって、5mm厚の表裏層となるロックウール板を形成した。
澱粉系糊(矢沢化学工業 ウォールボンド100)に上記同様の珪藻土粒子を混合し、上記表裏層となるロックウール板の接着層とした。
スペーサーによって成型後の厚みが11.5mmとなるように規制し、澱粉系糊の水分が飛び、持ち運び可能な状態まで常温プレスを実施して、持ち運び可能となった後、乾燥機(80℃)にて乾燥して、密度が850kg/m3の比較例5のボードを得た。
(比較例6)
市販の板厚が9mmのインシュレーションボードを用いた。
尚、一般的なインシュレーションボードの密度は、350kg/m3以下とされている。
(評価試験)1)吸放湿試験
各実施例1乃至7、比較例1乃至6から得られた各試験体を、重量変動がなくなるまで、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿雰囲気中に放置した。
その後、各試験体を、温度25℃、湿度90%の恒温恒湿雰囲気中に24時間放置した後、各試験体の重量を測定して、吸湿後の重量を得た。
その後、さらに、各試験体を、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿雰囲気中に24時間放置した後、各試験体の重量を測定して、放湿後の重量を得た。
調湿性能の比較は、インシュレーションボード(比較例6)の吸放湿量を調湿性基準として、そのインシュレーションボードの吸放湿量よりも15%以上良い場合(吸放湿量が149.5g/m2以上)を○と判定した。
結果は、図2の表の通りである。
すなわち、比較例1では、PP繊維の含有量が5重量%と少なく、各層がバラける結果となり測定不可であった。
比較例2では、PP繊維の含有量が60重量%と多く、調湿性能を十分に発揮できない結果となった。
比較例3では、試験体の密度が高密度であるため、調湿性能を十分に発揮できない結果となった。
実施例1乃至7では、調湿性能の結果は、概ね良好であった。
他の比較例については、表に記載の通りである。
各実施例1乃至7、比較例1乃至6のボードの耐欠け性、表面強度の特性評価のために以下の落球試験を行った。
各実施例1乃至7、比較例1乃至6から得られた各試験体の表面に対して、1mの高さから重さ5gの鉄球を20回垂直に落下させ、各試験体表面の変化を目視観察した。
結果は、図2の表の通りである。
実施例1乃至7、及び比較例2乃至4では、各試験体表面に変化が見られなかった。
比較例5では、欠け、崩れの発生が見られた。
比較例6では、表面に凹みが見られた。
以上の結果から実施例1乃至7の各ボードは、調湿性能及び耐欠け性、表面強度ともに良好な結果となった。
11 中間層(調湿材)
12 裏層(天然繊維材)
13 合成樹脂繊維材
A、B 調湿ボード
Claims (2)
- 天然繊維材に合成樹脂繊維材をバインダーとして含有させた表裏層の間に、水分の吸放湿性を有する粒状の調湿材に合成樹脂繊維材をバインダーとして含有させた中間層を介在させ、これら各層の合成樹脂繊維材を熱溶着させて連結固化して積層形成されており、
その密度が500kg/m3以上、1200kg/m3以下とされ、かつ、前記合成樹脂繊維材の含有量が、10重量%以上、50重量%以下とされており、
前記調湿材の粒径が、100μm以上、2mm以下とされていることを特徴とする調湿ボード。 - 請求項1において、
前記合成樹脂繊維材をニードルパンチ法によって前記各層に絡み合わせた後に、該合成樹脂繊維材を熱溶着させて連結固化して積層形成されている調湿ボード。
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