JP2004059373A - 無機質成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機結合材の添加量を増やさず、少量の有機結合材で所望の強度を保持できる無機質成形体およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化して得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化して得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、シリカ粉状体、特に、非晶質シリカ粉状体とを混合,成形し、加熱硬化して得られる無機質成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、ガラス繊維等の無機繊維にセメント等の無機結合材を用いて成形,硬化させた無機質成形体があるが、硬くて加工し難く、かつ、重いという欠点があった。一方、無機繊維や無機粉状体に有機結合材を用いた無機質成形体は軽量で加工性に優れるが、所望の強度を確保しようとすると、有機結合材の添加量を高める必要があった。このため、防火上の規格から有機結合材の添加量を減らし、強度を向上させる手法が望まれている。
【0003】
有機結合材の添加量を増やさずに強度を向上させる手法として、本出願人が出願した特願平8−281851号において、有機シリコーンモノマーを添加し、無機成分と有機成分とを強固に連結することにより、強度を向上させる手法が提案されている。しかし、この手法によっても2割程度の強度向上が得られるだけであり、結合材の添加量を大巾に減らすと、所望の強度が得られないという問題点があった。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、有機結合材の添加量を増やさず、少量の有機結合材で所望の強度を保持できる無機質成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、熱硬化性樹脂に微細な非晶質シリカ粉状体を添加すると、強度が向上することを知見し、この知見に基づいて完成した。
すなわち、本発明にかかる無機質成形体は、無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化させたものである。
【0006】
また、本発明にかかる無機質成形体は、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを表裏層とし、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に配置して芯層とし、加熱,圧締して一体化した無機質成形体において、前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したことを特徴とする構成であってもよい。
【0007】
また、本発明にかかる無機質成形体の成形方法は、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して少なくとも2枚の表裏層用湿潤マットを得、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に均一な厚さに堆積させて芯層とした後、熱圧工程および乾燥工程を経て一体化する無機質成形体の製造方法において、前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したことを特徴とする方法であってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる第1実施形態は3層構造の無機質成形体に適用した場合である。
すなわち、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを表裏層とし、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に配置して芯層とし、加熱,圧締して一体化した無機質成形体において、前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したものである。
【0009】
無機繊維としては、例えば、ロックウール,スラグウール,グラスウール,ミネラルウール,ニッケルウール、および、ガラス繊維等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上組み合せて使用できる。無機繊維の含有量は、表裏層全体の20〜60重量%とするのが好ましい。20重量%未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、60重量%を越えると、相対的に無機粉状体の割合が減少するために所望の表面硬度が確保できないからである。
【0010】
なお、必要に応じ、無機繊維だけでなくポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、麻、亜麻等の植物繊維、および、パルプ等の木質繊維を補助繊維として添加してもよい。
【0011】
無機粉状体は、防火性を維持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるためであり、例えば、炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,スラグ等を挙げることができ、これらは単独あるいは2種以上組み合せて使用できる。無機粉状体の含有量は、表裏層全体の40〜70重量%とするのが好ましい。40重量%未満であると、所望の表面硬度が得られず、70重量%を越えると、強度を付与する無機繊維の割合が少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0012】
熱硬化性樹脂としては、前記無機繊維および無機粉状体を相互に結合一体化して最終的な実用強度を発現するために添加されるものであり、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ユリアメラミン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フルフラール樹脂、グリオキザール樹脂等が挙げられ、特に、前記フェノール樹脂は粉状体であってもよく、液体であってもよい。そして、表裏層における熱硬化性樹脂の添加量は、表裏層全体の2重量%から20重量%とするのが好ましい。2重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量%を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0013】
中層を構成する無機発泡体は、軽量化を図るために添加されるものであり、例えば、パーライト,黒曜石発泡体,シラス発泡体,ガラス発泡体等が挙げられる。そして、中層における無機発泡体の添加量は、中層全体の25重量%から90重量%とするのが好ましい。25重量%未満であると、所望の重量軽減効果が得られないからであり、90重量%を越えると、結合剤および繊維等の添加量が相対的に少なくなり、所望の圧縮強度が得られないからである。なお、中層には、必要に応じ、表裏層で使用する前記無機粉状体を添加してもよい。中層を密にし、釘保持力を高めることができるからである。
【0014】
中層を形成する熱硬化性樹脂は、無機発泡体を相互に、あるいは、無機発泡体と他の無機質構成要素、例えば、無機繊維とを結合一体化させて強度を高めるために添加されるものである。そして、中層を形成する熱硬化性樹脂は、中層全体の2重量%から20重量%とするのが好ましい。2重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量%を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0015】
非晶質シリカ粉状体としては、シリカヒューム、ガラス粉、シラス等の火山性ガラス粉、ホワイトカーボン等が挙げられる。そして、前記シリカ粉状体は平均粒径5μm以下、特に、3μm以下が好適である。前記シリカ粉状体が平均粒径5μmを越えると、十分な強度が得られないからである。
【0016】
次に、本実施形態にかかる無機質成形体の製造方法の一例を説明する。
無機繊維、無機粉状体、熱硬化性樹脂等を水中に投入,攪拌し、さらに、凝集剤およびその他の添加剤を加えることにより、固形分が数%のスラリーを得、これを長網式または丸網式等の抄造機に導いて表裏層となる湿潤マットを得る。
【0017】
一方、無機発泡体、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂に水を噴霧しながら均一に混合して中層用混合物を得る。そして、これを下層となる前記湿潤マットの片面に散布して一様に堆積させ、その上に上層となる前記湿潤マットを重ねて3層構造の積層体を得る。ついで、前記積層体を80℃〜180℃に加熱された熱圧プレスでプレスした後、100℃〜250℃の熱風ドライヤーで乾燥し、板状無機質成形体を得る。
【0018】
なお、前記熱圧プレスは80℃〜180℃に加熱されたスチール製ベルトからなる連続プレスで行ってもよい。また、本発明の表裏層は乾式製法で製造してもよく、中層は湿式製法で実施してもよい。
【0019】
本発明にかかる第2実施形態は単層の無機質成形体であり、無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化させたものである。
【0020】
無機質構成要素としては、前述の第1実施形態で使用される無機繊維、無機粉状体、無機発泡体等が挙げられ、これら単体あるいは2種以上組み合せて使用できる。
【0021】
熱硬化性樹脂は、前述の無機構質成要素を相互に結合一体化して最終的な実用強度を発現するために添加されるものである。そして、熱硬化性樹脂は、無機質成形体全体の2重量%から20重量%とするのが好ましい。2重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量%を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0022】
そして、非晶質のシリカ粉状体の添加量は熱硬化性樹脂に対して5ないし80重量%であることが好ましい。5重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、80重量%を越えると、熱硬化性樹脂や無機質構成要素の添加量が相対的に少なくなり、所望の強度が得られないからである。
【0023】
【実施例】
(実施例1〜8)
図1の図表Aに示す割合でシラス発泡体(平均粒径250μm)、フェノール樹脂(レゾール型、ノボラック型)、非晶質シリカ粉状体(pH=3.7〜8.1)をそれぞれ混合して混合物を得た。そして、前記混合物100重量部に対して水50重量部を加えて均一に混合攪拌した後、所定の型枠に入れ、厚さ5mm、密度0.55g/cm3に圧縮成形した。ついで、温度180℃で1時間乾燥し、試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルを平面引張り試験用治具に貼り合わせ、剥離強度を測定した。測定結果を図1の図表Aに示す。
【0024】
(比較例1〜11)
図1の図表Bに示す割合でシラス発泡体(平均粒径250μm)、フェノール樹脂(レゾール型)、ケイ石粉状体(粒径5.9μm、1μm)、酸性白土、活性白土、ケイ石(pH=6.8、)、メタカリオンをそれぞれ混合して混合物を得た。以後、前述の実施例1〜8と同様に処理して試験用サンプルを得、同一の条件で剥離強度を測定した。測定結果を図1の図表Bに示す。
なお、前記酸性白土、活性白土、ケイ石(pH=6.8、)、メタカリオンの粒径は50〜100μmであった。
【0025】
図表Aおよび図表Bから明かなように、実施例1〜8の全ての剥離強度が0.9N/mm2を越えているのに対し、比較例1〜11のいずれの剥離強度も0.7N/mm2以下であり、非晶質シリカ粉状体を添加することにより、剥離強度が向上することが明らかとなった。また、非晶質シリカ粉状体の酸性度が高くなるにつれて剥離強度が大きくなる傾向にあることも判明した。なお、実施例1〜8の処理中にアルコール等の副生物の発生は見受けられなかった。
【0026】
(実施例9)
図2の図表Aで示す割合でシラス発泡体(平均粒径250μm)、フェノール樹脂、および、無機骨材料として非晶質シリカ粉状体(平均粒径1μm)を混合して混合物を得た。そして、前記混合物100重量部に対して水50重量部を加えて均一に混合攪拌した後、所定の型枠に入れ、厚さ5mm、密度0.55g/cm3に圧縮成形した。ついで、温度180℃で1時間乾燥し、試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルを平面引張り試験用治具に貼り合わせ、剥離強度を測定した。測定結果を図2の図表Aおよび図表Bに示す。
【0027】
(比較例12)
無機骨材料として結晶質シリカ粉状体(平均粒径1μm)を使用する点を除き、他は前述の実施例9と同様に処理して剥離強度を測定した。測定結果を図2の図表Aおよび図表Bに示す。
【0028】
(比較例13)
無機骨材料として水酸化アルミニウム(粒径50〜100μm)を使用する点を除き、他は前述の実施例9と同様に処理して剥離強度を測定した。測定結果を図2の図表Aおよび図表Bに示す。
【0029】
図2の図表Aおよび図表Bから明かなように、非晶質シリカ粉状体を添加すれば、結晶質シリカ粉状体および水酸化アルミニウムを添加するよりも大きな剥離強度を得られることが判った。また、実施例9の処理中にアルコール等の副生物の発生は見受けられなかった。
【0030】
(実施例10)
図3の図表に示す割合で無機繊維としてグラスウール、無機骨材料として炭酸カルシウム、フェノール樹脂、および、非晶質シリカ粉状体(平均粒径1μm)を、水中に投入して均一に攪拌して固形分5%のスラリーを得た。そして、このスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを温度90℃で加熱,圧締した後、温度180℃で1時間乾燥し、厚さ6.1mm、密度0.76g/cm3の試験用サンプルを得た。ついで、得られた試験用サンプルの曲げ強度を測定した。測定結果を図3の図表に示す。
【0031】
(比較例14)
非晶質シリカ粉状体を添加する代りに同量の結晶質シリカ粉状(平均粒径1μm)を添加する点を除き、他は前述の実施例10と同様に処理して厚さ6.1mm、密度0.75g/cm3の試験用サンプルを得た。そして、得られた試験用サンプルの曲げ強度を実施例10と同一の条件で測定した。測定結果を図3の図表に示す。
【0032】
図3から明かなように、実施例10の曲げ強度が比較例14のそれよりも大きいことから、非晶質シリカ粉状体の添加が剥離強度の向上のみならず、曲げ強度の向上にも貢献することが判った。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、熱硬化性樹脂に微細な非晶質シリカ粉状体を添加することにより、有機結合材の添加量を増やすことなく、強度の大きい無機質成形体が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる実施例および比較例を示す図表である。
【図2】本発明にかかる他の実施例および比較例を示す図表である。
【図3】本発明にかかる別の実施例および比較例を示す図表である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、シリカ粉状体、特に、非晶質シリカ粉状体とを混合,成形し、加熱硬化して得られる無機質成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、ガラス繊維等の無機繊維にセメント等の無機結合材を用いて成形,硬化させた無機質成形体があるが、硬くて加工し難く、かつ、重いという欠点があった。一方、無機繊維や無機粉状体に有機結合材を用いた無機質成形体は軽量で加工性に優れるが、所望の強度を確保しようとすると、有機結合材の添加量を高める必要があった。このため、防火上の規格から有機結合材の添加量を減らし、強度を向上させる手法が望まれている。
【0003】
有機結合材の添加量を増やさずに強度を向上させる手法として、本出願人が出願した特願平8−281851号において、有機シリコーンモノマーを添加し、無機成分と有機成分とを強固に連結することにより、強度を向上させる手法が提案されている。しかし、この手法によっても2割程度の強度向上が得られるだけであり、結合材の添加量を大巾に減らすと、所望の強度が得られないという問題点があった。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、有機結合材の添加量を増やさず、少量の有機結合材で所望の強度を保持できる無機質成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、熱硬化性樹脂に微細な非晶質シリカ粉状体を添加すると、強度が向上することを知見し、この知見に基づいて完成した。
すなわち、本発明にかかる無機質成形体は、無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化させたものである。
【0006】
また、本発明にかかる無機質成形体は、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを表裏層とし、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に配置して芯層とし、加熱,圧締して一体化した無機質成形体において、前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したことを特徴とする構成であってもよい。
【0007】
また、本発明にかかる無機質成形体の成形方法は、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して少なくとも2枚の表裏層用湿潤マットを得、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に均一な厚さに堆積させて芯層とした後、熱圧工程および乾燥工程を経て一体化する無機質成形体の製造方法において、前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したことを特徴とする方法であってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる第1実施形態は3層構造の無機質成形体に適用した場合である。
すなわち、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを表裏層とし、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に配置して芯層とし、加熱,圧締して一体化した無機質成形体において、前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したものである。
【0009】
無機繊維としては、例えば、ロックウール,スラグウール,グラスウール,ミネラルウール,ニッケルウール、および、ガラス繊維等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上組み合せて使用できる。無機繊維の含有量は、表裏層全体の20〜60重量%とするのが好ましい。20重量%未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、60重量%を越えると、相対的に無機粉状体の割合が減少するために所望の表面硬度が確保できないからである。
【0010】
なお、必要に応じ、無機繊維だけでなくポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、麻、亜麻等の植物繊維、および、パルプ等の木質繊維を補助繊維として添加してもよい。
【0011】
無機粉状体は、防火性を維持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるためであり、例えば、炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,スラグ等を挙げることができ、これらは単独あるいは2種以上組み合せて使用できる。無機粉状体の含有量は、表裏層全体の40〜70重量%とするのが好ましい。40重量%未満であると、所望の表面硬度が得られず、70重量%を越えると、強度を付与する無機繊維の割合が少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0012】
熱硬化性樹脂としては、前記無機繊維および無機粉状体を相互に結合一体化して最終的な実用強度を発現するために添加されるものであり、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ユリアメラミン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フルフラール樹脂、グリオキザール樹脂等が挙げられ、特に、前記フェノール樹脂は粉状体であってもよく、液体であってもよい。そして、表裏層における熱硬化性樹脂の添加量は、表裏層全体の2重量%から20重量%とするのが好ましい。2重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量%を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0013】
中層を構成する無機発泡体は、軽量化を図るために添加されるものであり、例えば、パーライト,黒曜石発泡体,シラス発泡体,ガラス発泡体等が挙げられる。そして、中層における無機発泡体の添加量は、中層全体の25重量%から90重量%とするのが好ましい。25重量%未満であると、所望の重量軽減効果が得られないからであり、90重量%を越えると、結合剤および繊維等の添加量が相対的に少なくなり、所望の圧縮強度が得られないからである。なお、中層には、必要に応じ、表裏層で使用する前記無機粉状体を添加してもよい。中層を密にし、釘保持力を高めることができるからである。
【0014】
中層を形成する熱硬化性樹脂は、無機発泡体を相互に、あるいは、無機発泡体と他の無機質構成要素、例えば、無機繊維とを結合一体化させて強度を高めるために添加されるものである。そして、中層を形成する熱硬化性樹脂は、中層全体の2重量%から20重量%とするのが好ましい。2重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量%を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0015】
非晶質シリカ粉状体としては、シリカヒューム、ガラス粉、シラス等の火山性ガラス粉、ホワイトカーボン等が挙げられる。そして、前記シリカ粉状体は平均粒径5μm以下、特に、3μm以下が好適である。前記シリカ粉状体が平均粒径5μmを越えると、十分な強度が得られないからである。
【0016】
次に、本実施形態にかかる無機質成形体の製造方法の一例を説明する。
無機繊維、無機粉状体、熱硬化性樹脂等を水中に投入,攪拌し、さらに、凝集剤およびその他の添加剤を加えることにより、固形分が数%のスラリーを得、これを長網式または丸網式等の抄造機に導いて表裏層となる湿潤マットを得る。
【0017】
一方、無機発泡体、無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂に水を噴霧しながら均一に混合して中層用混合物を得る。そして、これを下層となる前記湿潤マットの片面に散布して一様に堆積させ、その上に上層となる前記湿潤マットを重ねて3層構造の積層体を得る。ついで、前記積層体を80℃〜180℃に加熱された熱圧プレスでプレスした後、100℃〜250℃の熱風ドライヤーで乾燥し、板状無機質成形体を得る。
【0018】
なお、前記熱圧プレスは80℃〜180℃に加熱されたスチール製ベルトからなる連続プレスで行ってもよい。また、本発明の表裏層は乾式製法で製造してもよく、中層は湿式製法で実施してもよい。
【0019】
本発明にかかる第2実施形態は単層の無機質成形体であり、無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化させたものである。
【0020】
無機質構成要素としては、前述の第1実施形態で使用される無機繊維、無機粉状体、無機発泡体等が挙げられ、これら単体あるいは2種以上組み合せて使用できる。
【0021】
熱硬化性樹脂は、前述の無機構質成要素を相互に結合一体化して最終的な実用強度を発現するために添加されるものである。そして、熱硬化性樹脂は、無機質成形体全体の2重量%から20重量%とするのが好ましい。2重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量%を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0022】
そして、非晶質のシリカ粉状体の添加量は熱硬化性樹脂に対して5ないし80重量%であることが好ましい。5重量%未満であると、十分な強度が得られないからであり、80重量%を越えると、熱硬化性樹脂や無機質構成要素の添加量が相対的に少なくなり、所望の強度が得られないからである。
【0023】
【実施例】
(実施例1〜8)
図1の図表Aに示す割合でシラス発泡体(平均粒径250μm)、フェノール樹脂(レゾール型、ノボラック型)、非晶質シリカ粉状体(pH=3.7〜8.1)をそれぞれ混合して混合物を得た。そして、前記混合物100重量部に対して水50重量部を加えて均一に混合攪拌した後、所定の型枠に入れ、厚さ5mm、密度0.55g/cm3に圧縮成形した。ついで、温度180℃で1時間乾燥し、試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルを平面引張り試験用治具に貼り合わせ、剥離強度を測定した。測定結果を図1の図表Aに示す。
【0024】
(比較例1〜11)
図1の図表Bに示す割合でシラス発泡体(平均粒径250μm)、フェノール樹脂(レゾール型)、ケイ石粉状体(粒径5.9μm、1μm)、酸性白土、活性白土、ケイ石(pH=6.8、)、メタカリオンをそれぞれ混合して混合物を得た。以後、前述の実施例1〜8と同様に処理して試験用サンプルを得、同一の条件で剥離強度を測定した。測定結果を図1の図表Bに示す。
なお、前記酸性白土、活性白土、ケイ石(pH=6.8、)、メタカリオンの粒径は50〜100μmであった。
【0025】
図表Aおよび図表Bから明かなように、実施例1〜8の全ての剥離強度が0.9N/mm2を越えているのに対し、比較例1〜11のいずれの剥離強度も0.7N/mm2以下であり、非晶質シリカ粉状体を添加することにより、剥離強度が向上することが明らかとなった。また、非晶質シリカ粉状体の酸性度が高くなるにつれて剥離強度が大きくなる傾向にあることも判明した。なお、実施例1〜8の処理中にアルコール等の副生物の発生は見受けられなかった。
【0026】
(実施例9)
図2の図表Aで示す割合でシラス発泡体(平均粒径250μm)、フェノール樹脂、および、無機骨材料として非晶質シリカ粉状体(平均粒径1μm)を混合して混合物を得た。そして、前記混合物100重量部に対して水50重量部を加えて均一に混合攪拌した後、所定の型枠に入れ、厚さ5mm、密度0.55g/cm3に圧縮成形した。ついで、温度180℃で1時間乾燥し、試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルを平面引張り試験用治具に貼り合わせ、剥離強度を測定した。測定結果を図2の図表Aおよび図表Bに示す。
【0027】
(比較例12)
無機骨材料として結晶質シリカ粉状体(平均粒径1μm)を使用する点を除き、他は前述の実施例9と同様に処理して剥離強度を測定した。測定結果を図2の図表Aおよび図表Bに示す。
【0028】
(比較例13)
無機骨材料として水酸化アルミニウム(粒径50〜100μm)を使用する点を除き、他は前述の実施例9と同様に処理して剥離強度を測定した。測定結果を図2の図表Aおよび図表Bに示す。
【0029】
図2の図表Aおよび図表Bから明かなように、非晶質シリカ粉状体を添加すれば、結晶質シリカ粉状体および水酸化アルミニウムを添加するよりも大きな剥離強度を得られることが判った。また、実施例9の処理中にアルコール等の副生物の発生は見受けられなかった。
【0030】
(実施例10)
図3の図表に示す割合で無機繊維としてグラスウール、無機骨材料として炭酸カルシウム、フェノール樹脂、および、非晶質シリカ粉状体(平均粒径1μm)を、水中に投入して均一に攪拌して固形分5%のスラリーを得た。そして、このスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを温度90℃で加熱,圧締した後、温度180℃で1時間乾燥し、厚さ6.1mm、密度0.76g/cm3の試験用サンプルを得た。ついで、得られた試験用サンプルの曲げ強度を測定した。測定結果を図3の図表に示す。
【0031】
(比較例14)
非晶質シリカ粉状体を添加する代りに同量の結晶質シリカ粉状(平均粒径1μm)を添加する点を除き、他は前述の実施例10と同様に処理して厚さ6.1mm、密度0.75g/cm3の試験用サンプルを得た。そして、得られた試験用サンプルの曲げ強度を実施例10と同一の条件で測定した。測定結果を図3の図表に示す。
【0032】
図3から明かなように、実施例10の曲げ強度が比較例14のそれよりも大きいことから、非晶質シリカ粉状体の添加が剥離強度の向上のみならず、曲げ強度の向上にも貢献することが判った。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、熱硬化性樹脂に微細な非晶質シリカ粉状体を添加することにより、有機結合材の添加量を増やすことなく、強度の大きい無機質成形体が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる実施例および比較例を示す図表である。
【図2】本発明にかかる他の実施例および比較例を示す図表である。
【図3】本発明にかかる別の実施例および比較例を示す図表である。
Claims (3)
- 無機質構成要素と、熱硬化性樹脂と、平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体とを必須成分とする混合物を成形し、加熱,硬化させたことを特徴とする無機質成形体。
- 無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して得た湿潤マットを表裏層とし、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に配置して芯層とし、加熱,圧締して一体化した無機質成形体において、
前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したことを特徴とする無機質成形体。 - 無機繊維、無機粉状体および熱硬化性樹脂を必須成分とするスラリーから湿式抄造して少なくとも2枚の表裏層用湿潤マットを得、無機発泡体および熱硬化性樹脂を必須成分とする芯層用混合物を前記表裏層用湿潤マット間に均一な厚さに堆積させて芯層とした後、熱圧工程および乾燥工程を経て一体化する無機質成形体の製造方法において、
前記表裏層および芯層のうち、少なくともいずれか一層に平均粒径5μm以下の非晶質シリカ粉状体を添加したことを特徴とする無機質成形体の製造方法。
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JP2002220177A JP2004059373A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 無機質成形体およびその製造方法 |
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JP2007063075A (ja) * | 2005-08-31 | 2007-03-15 | Daiken Trade & Ind Co Ltd | 無機質成形体およびその製造方法 |
JP2008231788A (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-02 | Daiken Trade & Ind Co Ltd | 建築用板及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002220177A patent/JP2004059373A/ja active Pending
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