JP4016524B2 - 既存建物の耐震補強用架構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存の鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物に耐震補強を施すに際して、当該建物の架構面内に組み込まれる耐震補強用架構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における建物の耐震性に対する意識の高まりから、旧耐震設計に基づいて架構の変形制限がなされていなかった既存の建物に対して、地震発生時に大きな変形が生じることを抑制するため、新たに架構面内に耐震補強を施す要請が強まりつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、このような架構の変形を抑える耐震補強としては、通常鉄骨ブレースを架設したり、あるいは架構内に鉄筋コンクリートによる耐震壁を増設する方法が採られている。
しかしながら、上記従来の耐震補強は、いずれも架構面内の通行を妨げるものであるために、既存建物の使用勝手に新たな制約が生じるという問題点があった。また、特に鉄骨ブレースにあっては、架構の対角にわたる長尺部材となるために、既存建物内への搬入を含めて、施工性に劣るという欠点があり、他方耐震壁を増設する場合には、施工自体に多くの時間と手間とを要するために、既存建物の使用を長期間にわたって妨げてしまうという問題点があった。
【0004】
さらに、これら従来の耐震補強においては、地震動に対する架構の変形を抑える効果はあるものの、制震効果までを期待することはできないという欠点もあった。
本発明は、上記従来の耐震補強が有する課題を解決すべくなされたもので、施工性に優れ、かつ既存建物の使用勝手に大きな制約を与えること無く、地震時における架構の変形を抑えることができ、さらには制震効果も発揮することができる既存建物の耐震補強用架構を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、既存建物の架構面内に組み込まれる耐震補強用架構であって、上記架構面内において分割可能な間柱および/または中間梁が、ボルト接合されることにより全体として格子状に組み立てられてなり、かつ上記間柱と中間梁との交差部が、上記間柱および中間梁より降伏点が低くなるように構成されているとともに、上記交差部の間において上記中間梁が上記既存建物の大梁にボルト接合されることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の交差部が、極低降伏点鋼材によって構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、分割可能な間柱および/または中間梁を全体として格子状に組み立てるものであるため、既存建物内への搬入および室内での建て込み作業が容易であるとともに、分割されたこれら間柱および/または中間梁を、ボルト接合によって組み立て、かつ既存の架構にボルト接合によって取付けているので、現場における溶接作業を大幅に減らすことができて施工性に優れる。
なお、上記間柱および/または中間梁の連結部の位置は、適宜選択することが可能であるが、特に当該部材において曲げ応力の反曲点位置となる中央に設ければ、剛接合でなく、ウエブのみピン接合で済ませることができるために好適である。
【0007】
加えて、本発明によれば、上記間柱と中間梁との交差部(パネルゾーン)を、間柱および中間梁よりも低降伏点となるように構成しているので、大地震が発生した際には、当該交差部が降伏して地震エネルギーを吸収することにより、制震効果を発揮することができる。この際に、本発明においては、柱のウエブよりも大きな応力が作用するパネルゾーンに低降伏点箇所を設けているので、より早期に当該パネルゾーンの降伏が起こり、この結果より多くの地震エネルギーを吸収することができる。
【0008】
このように、交差部を、間柱および中間梁よりも低降伏点に構成する手段としては、例えば当該交差部における鋼材の板厚を薄くすることが挙げられるが、特に請求項2に記載の発明のように、上記交差部を極低降伏点鋼材によって構成すれば、肉厚を同等にしたままで、交差部における降伏点を低く構成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る既存建物の耐震補強用架構を既存鉄骨建物に適用した一実施形態を示すもので、図中符号1が既存鉄骨建物の柱、符号2が既存の鉄骨大梁である。そして、既存のこれら柱1および鉄骨大梁2によって画成される架構面内に、本発明に係る耐震補強用架構が組み込まれている。
この耐震補強用架構は、4本の間柱3と、3本の中間梁4によって構成されたものである。
【0010】
ここで、隣接する間柱3間に架け渡された中間梁4は、それぞれの中央で切断されており、これにより、各間柱3に半分の長さ寸法の中間梁4が一体化された4つの分割ユニットによって構成されている。そして、これら4つの分割ユニットが、中間梁4の中央において継手板5を介してボルト6によって互いに接合されることにより、全体として格子状に組み立てられている。
【0011】
また、この耐震補強用架構は、図中斜線で示す間柱3と中間梁4との交差部(パネルゾーン)が、極低降伏点鋼材7によって形成されている。
そして、この耐震補強用架構は、既存鉄骨大梁2に沿う上下の中間梁4が、それぞれ既存鉄骨大梁に接合された基台8にボルト9によって接合されることにより、上記架構内に取付けられている。
【0012】
以上の構成からなる耐震補強用架構によれば、間柱3に半分の長さ寸法の中間梁4が一体化された4つの分割ユニットによって構成しているので、既存建物内への搬入および室内での建て込み作業が容易である。しかも、分割されたこれら4つの分割ユニットを、互いにボルト接合によって組み立てて全体として格子状にするとともに、この耐震補強用架構を既存の架構にボルト接合によって取付けているので、現場における溶接作業を大幅に減らすことができて施工性にも優れる。また、場合によっては、中間梁4のみでなく、間柱3についてもそれぞれの中間部において分割することができ、これにより分割ユニットをより一層縮小化することも可能になる。
さらに、本実施形態においては、中間梁4を曲げ応力の反曲点位置となる中央部において連結しているので、剛接合でなく、ウエブのみピン接合で済ませることができる。
【0013】
しかも、上記耐震補強用架構は、間柱3と中間梁4との交差部に極低降伏点鋼材7を用いているので、大地震が発生した際に、この極低降伏点鋼材7が降伏して地震エネルギーを吸収することにより、制震効果を発揮することができる。特に、極低降伏点鋼材7を、間柱3のウエブよりも大きな応力が作用するパネルゾーンに設けているので、より早期に当該パネルゾーンの降伏が起こり、この結果より多くの地震エネルギーを吸収することができる。
【0014】
また、上記耐震補強用架構は、図2に示す他の実施形態のように、既存建物において、柱1および梁2間に通路等の構造上通行を要する箇所が設定されている場合には、当該箇所の間柱および中間梁を省略することにより、上記通路等を生かすための開口部10を自由に形成することができる。このため、従来の耐震補強のように、既存建物の使用勝手に新たな制約を発生させること無く、架構の耐震補強を行なうことが可能になる。
【0015】
なお、上記実施の形態においては、中間梁の中央部に連結部を設けた場合について説明したが、これに限るものではなく、間柱3の中間部に上記連結部を形成してもよい。
また、本発明は、上述した既存の鉄骨建物の他、既存の鉄筋コンクリート建物の架構に対しても、同様に適用することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る既存建物の耐震補強用架構によれば、既存建物内への搬入および室内での建て込み作業が容易であるとともに、ボルト接合によって組み立ておよび架構への取付けを行なっているので、現場における溶接作業を大幅に減らすことができて施工性に優れる。しかも、地震時に大きな応力が作用する間柱と中間梁との交差部(パネルゾーン)に極低降伏点鋼材を用いているので、地震時に当該交差部が降伏して地震エネルギーを吸収することにより、早期に多くの地震エネルギーを吸収することができ、よって制震効果も発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐震補強用架構の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 既存柱
2 既存鉄骨大梁
3 間柱
4 中間梁
6、9 ボルト
7 極低降伏点鋼材
10 開口部
Claims (2)
- 既存建物の架構面内に組み込まれる耐震補強用架構であって、上記架構面内において分割可能な間柱および/または中間梁が、ボルト接合されることにより全体として格子状に組み立てられてなり、かつ上記間柱と上記中間梁との交差部が、上記間柱および中間梁よりも降伏点が低くなるように構成されているとともに、上記交差部の間において上記中間梁が上記既存建物の大梁にボルト接合されることを特徴とする既存建物の耐震補強用架構。
- 上記交差部は、極低降伏点鋼材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の耐震補強用架構。
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