JP4016269B2 - プラズマディスプレイパネル用隔壁材料及び隔壁形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル用隔壁材料と、その形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルは、自己発光型のフラットディスプレイであり、軽量薄型、高視野角等の優れた特性を備えており、また大画面化が可能であるから、最も将来性のある表示装置の一つとして注目されている。
【0003】
プラズマディスプレイパネルは、一般に前面ガラス基板と背面ガラス基板とが対向して設けられており、これら基板の間の空間には、ガス放電部を区切るための多数の隔壁(バリアリブともいう)が形成されている。隔壁を形成する材料としては、ガラス粉末とセラミック粉末を混合した材料が広く用いられており、例えば、PbO−B2O3系のガラス粉末に、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、チタニア、無機顔料等のセラミック製耐火性フィラー粉末を含有させたものが広く使用されている。またセラミック製の耐火性フィラー粉末の代わりに高融点ガラス粉末を用いた材料(例えば特許文献1、2)も知られている。またガラス粉末として2種類のガラスを併用した材料(例えば特許文献1、3)も提案されている。これらの隔壁材料には、500〜600℃の焼成で緻密に焼成でき、また焼成後も所定の形状を正確に維持できることが求められる。
【0004】
上記隔壁を形成する方法としては、印刷積層法やサンドブラスト法などが知られている。印刷積層法は、隔壁を形成すべき箇所にスクリーン印刷により複数回印刷を繰り返し、重ね塗りすることにより積層して所定形状の隔壁材料層を形成した後、焼成して隔壁を形成する方法である。
【0005】
サンドブラスト法は、ペーストをスクリーン印刷等により塗布した後乾燥するか、あるいはグリーンシートまたは一括コート法などで、隔壁材料の層を所定の厚みとなるように背面ガラス基板上に直接、あるいはアドレス保護用誘電体層が形成される場合にはその上に全面にわたって形成する。さらにその上にDFR(ドライフィルムレジスト)をラミネートし露光、現像した後に、レジスト膜が形成されていない箇所をサンドブラストにより除去することで所定形状の隔壁材料層を形成し、これを焼成することによって隔壁を形成する方法である。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−337226号公報
【特許文献2】
特開2001−294444号公報
【特許文献3】
特開2002−50280号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料は、焼成温度幅がとても狭いという欠点を有している。そのため、形状維持性に優れ、且つ緻密な隔壁を得るには焼成温度を厳しく管理する必要がある。
【0008】
しかし近年のプラズマディスプレイパネルの大型化に伴い、パネル全体に亘って緻密で形状維持性の優れた隔壁を形成することが困難になってきている。これは焼成炉の炉内温度分布にバラツキがあり、パネルが大型になるほどパネル中央部と周辺部の温度差が大きくなるためである。
【0009】
本発明の目的は、焼成温度幅が広く、緻密で形状維持性に優れた隔壁を形成可能なプラズマディスプレイパネルの隔壁材料と隔壁形成方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料は、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含み、ガラス粉末が第一のガラス粉末と、第一のガラス粉末より低い軟化点を有する第二のガラス粉末からなり、第一のガラス粉末の軟化点Ts1と焼成予定温度との温度差△T1が35℃以内、第二のガラス粉末の軟化点Ts2と焼成予定温度との温度差△T2が35℃以内、及び第一のガラス粉末の軟化点Ts1と第二のガラス粉末の軟化点Ts2の温度差△Tsが45℃以内であることを特徴とする。
【0011】
本発明のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法は、上記隔壁材料を用いて基板上に所定形状の隔壁材料層を形成した後、焼成することを特徴とする。
【0012】
なお、本発明における軟化点Tsは、マクロ型示差熱分析計を用いて測定された示差熱分析曲線から読み取られる温度を意味する。ガラスを示差熱分析すると、図1の示差熱分析曲線が示すように、測定開始後第1の変曲点1が現れ、ガラス転移領域におけるガラスの比熱の急激な変化に伴う吸熱が生じる。次に第2の変曲点が現れ、吸熱状態が一定になる。さらに、第3、第4、第5の変曲点が現れる。ここで、第4の変曲点を軟化点と定めている。
【0013】
また、本発明における焼成予定温度とは、下記式で求めた値である。
【0014】
焼成予定温度=(第一のガラスの軟化点Ts1×(第一のガラス粉末量/全ガラス粉末量)+第二のガラスの軟化点Ts2×(第二のガラス粉末量/全ガラス粉末量))
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の隔壁材料は、軟化点の異なる少なくとも2種類のガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含む。本発明におけるガラス粉末は、いずれも焼成により軟化して緻密な隔壁を形成する働きを有する。一方、耐火性フィラー粉末は骨材であり、隔壁材料の形状を維持する働きがある。
【0016】
さらに本発明で使用する2種類のガラス粉末は、軟化点が焼成予定温度付近にあり、しかも両者の軟化点差が大きくないガラスを選択している。これによって焼成温度幅が広がり、炉内温度にバラツキが生じても緻密で形状維持性に優れた隔壁を形成することができる。
【0017】
焼成温度幅が広くなる理由は次の通りである。つまり通常の隔壁材料は、1種類のガラス粉末を使用し、その軟化点付近で焼成される。このため仮に炉内温度が高温側に振れるとガラス粉末が軟化し過ぎて隔壁形状を保つことが困難になる。逆に低温側に振れると軟化が不十分になり、緻密に焼結することができなくなる。また焼成すると隔壁材料は一旦収縮するが、軟化が不十分であると隔壁頂部の稜線部分が取り残されて突出した状態となる。この突出部は欠けの原因となる。
【0018】
これに対して本発明の材料は、高軟化点側のガラス粉末(第一のガラス粉末)の軟化点Ts1及び低軟化点側のガラス粉末(第二のガラス粉末)の軟化点Ts2の付近の温度で焼成されるために、両ガラス粉末とも軟化するが、その軟化程度が異なる。つまり第一のガラス粉末は粘性がやや高い状態で留まり、一方で第二のガラス粉末は軟化が進んで粘性がやや低い状態となる。このため仮に炉内温度が高温側に振れた場合でも、第一のガラス粉末の軟化点Ts1を大きく超えない限り、第一のガラス粉末が軟化し過ぎることがなく、隔壁の形状を維持することが可能となる。逆に炉内温度が低温側に振れた場合でも、第二のガラス粉末の軟化点Ts2を大きく下回らない限り、第二のガラス粉末が緻密に焼結するのに十分な程度に軟化しており、緻密な隔壁を形成することができる。
【0019】
焼成温度幅を大きくするには第一及び第二のガラス粉末の軟化点の温度差△Tsを大きくすればよい。しかしこの差が大きくなると、第一及び/又は第二のガラス粉末の軟化点と焼成温度との温度差(△T1及び/又は△T2)が大きくなって緻密性が低下したり、或いは形状維持性が低下したりする傾向が現れる。またこの差が大きすぎる場合は、焼成温度幅を大きくする効果も失われる。
【0020】
そこで本発明において第一及び第二のガラス粉末に求められる条件は、第一及び第二のガラス粉末の軟化点と焼成予定温度との温度差(△T1、△T2)が何れも35℃以内、好ましくは30℃以内、さらに好ましくは20℃以内であり、且つ第一及び第二の軟化点の温度差△Tsが45℃以内、好ましくは5〜45℃、さらに好ましくは5〜40℃である。また焼成予定温度は、500〜600℃、特に530〜590℃の範囲内であることが好ましい。
【0021】
第一のガラス粉末の軟化点Ts1が焼成予定温度より35℃を超えて上回ると第一のガラス粉末が軟化しにくくなり、緻密な隔壁を形成することが難しくなる。また隔壁頂部に突出部が生じる等の欠点が現れる。第一のガラス粉末の軟化点Ts1が焼成予定温度より35℃を超えて下回ると第二のガラス粉末のみならず、第一のガラス粉末までもが軟化し過ぎて隔壁の形状維持が難しくなる。一方、第二のガラス粉末の軟化点Ts2が焼成予定温度より35℃を超えて上回ると第一のガラス粉末のみならず、第二のガラス粉末までもが軟化しにくくなり、緻密な隔壁を形成することが難しくなる。また隔壁頂部に突出部が生じる等の欠点が現れる。第二のガラス粉末の軟化点Ts1が焼成予定温度より35℃を超えて下回ると第二のガラス粉末が軟化し過ぎて隔壁の形状維持が難しくなる。
【0022】
また第一のガラス粉末と第二のガラス粉末の軟化点の温度差△Tsが45℃を超えると緻密性と形状維持性とを両立することが困難になる。また焼成温度幅を大きくすることが難しくなる。
【0023】
また焼成予定温度が高くなりすぎると、実際に焼成したときに緻密な隔壁を形成することが難しくなる。一方、焼成予定温度が低くなりすぎると、実際に焼成したときには形状維持性が悪化する。なお実際の焼成温度は、他の部材の耐熱性等を考慮して決定され、通常500〜600℃の範囲内に設定される。
【0024】
本発明において使用する第一のガラス粉末は、上記条件を満たすものであれば制限はなく、第二のガラス粉末及び焼成予定温度との関係を考慮して選択すればよい。同様に第二のガラス粉末も上記条件を満たすものであれば制限はなく、第一のガラス粉末及び焼成予定温度との関係を考慮して選択すればよい。具体的には、第一のガラス粉末は軟化点Ts1が500〜620℃、特に505〜600℃、さらには550〜590℃の範囲で適宜調整することが好ましく、第二のガラス粉末は軟化点Ts2が480〜600℃、特に500℃〜595℃、さらには510〜570℃の範囲で適宜調整することが好ましい。
【0025】
また第一及び第二のガラス粉末にはどのような組成系を採用してもよいが、両者は同一の組成系であることが好ましい。
【0026】
なお鉛系のガラスを選択する場合、第一及び第二のガラス粉末としては、何れも質量%でPbO 50〜75%、B2O3 0.5〜20%、SiO2 5〜35%、Al2O3 0〜6%、CaO+MgO+SrO+BaO+ZnO 0〜10%、SnO2+TiO2+ZrO2 0〜6%の組成範囲内にあるガラスを採用することが好ましい。組成範囲の限定理由は以下の通りである。
【0027】
PbOは軟化点を下げる成分である。その含有量が上記範囲よりも少ないと軟化点が高くなり過ぎ、600℃以下の焼成では焼結性が不十分となりやすい。またその含有量が上記範囲よりも多くなると軟化点が低くなり過ぎ、500℃以上の焼成で隔壁形状を維持することが難しくなる。加えて熱膨張係数も高くなり、他の材料との整合性がとりにくくなる。なおPbOの好適な範囲は55〜70%である。
【0028】
B2O3はガラス化範囲を広げる成分である。その含有量が上記範囲よりも少ないとガラス化が困難となり、逆に上記範囲よりも多いと耐アルカリ性が低下してサンドブラスト法におけるドライフィルムレジストの現像あるいは剥離工程で隔壁の劣化を招く。なおB2O3の好適な範囲は1〜20%である。特に第二のガラス粉末においては1〜15%であることが望ましい。
【0029】
SiO2はガラスの骨格を形成する成分である。その含有量が上記範囲よりも少ないと耐アルカリ性が低下し、上記範囲よりも多いと軟化点が高くなる。なおSiO2の好適な範囲は5〜30%、特に7〜30%である。
【0030】
Al2O3はガラスの分相性を制御すると同時に、B2O3との置換による導入により、軟化点を500〜600℃の範囲で任意に変更させる機能を有する成分である。Al2O3が上記範囲より多くなると軟化点が高くなりすぎる。なおAl2O3の好適な範囲は0〜5%である。特に第一のガラス粉末においては0〜3%であることが、また第二のガラス粉末においては0〜4%であることがそれぞれ望ましい。
【0031】
CaO、MgO、SrO、BaOおよびZnOは熱膨張係数を調整することのできる成分であり、その含有量が上記範囲よりも多くなると熱膨張係数が高くなり易い。なおこれらの成分の合量の好適な範囲は0〜10%である。またCaOの範囲は0〜10%、MgOの範囲は0〜10%、SrOの範囲は0〜10%、BaOの範囲は0〜10%およびZnOの範囲は0〜10%であることが望ましい。
【0032】
SnO2、TiO2及びZrO2はいずれもガラスの耐アルカリ性を向上させる成分である。これらの合計の含有量が上記範囲よりも多くなると軟化点が高くなるため好ましくない。なおこれらの成分の合量の好適な範囲は0〜6%である。またSnO2の範囲は0〜6%、TiO2の範囲は0〜6%及びZrO2の範囲は0〜6%であることが望ましい。
【0033】
上記成分以外にも隔壁材料として要求される特性を損なわない範囲でLi2O、Na2O、K2O等のガラス成分が含まれてもよい。これらのガラス成分の含有量としては10質量%以下が好ましく、さらに好ましくは7質量%以下である。
【0034】
本発明のプラズマディスプレイ用隔壁材料は、質量比でガラス粉末60〜90%(特に70〜90%)と耐火性フィラー粉末10〜40%(特に10〜30%)であることが好ましい。耐火性フィラー粉末が10質量%未満である(即ち、ガラス粉末が90質量%を超える)と形状維持性が悪化する。一方、耐火性フィラー粉末が40質量%を超える(即ち、ガラス粉末が60質量%未満である)と焼結性が不十分となり緻密な隔壁を形成することが困難になる。
【0035】
また第一のガラス粉末と第二のガラス粉末の割合は質量比で8:2〜2:8、特に6:4〜4:6であることが好ましい。第一のガラス粉末の割合が多くなり過ぎると緻密な隔壁が得にくくなり、第二のガラス粉末が多くなり過ぎると形状維持性が低下する。
【0036】
本発明において使用する耐火性フィラー粉末は、焼成温度(500〜600℃)において軟化変形しないものであれば使用可能である。例えばアルミナ、酸化チタン、コージェライト、ムライト、シリカ等のセラミック粉末を単独又は組み合わせて使用すればよい。これらの中でも機械的強度の観点から特にアルミナを使用することが好ましい。
【0037】
次に、本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料を用いた隔壁の形成方法を説明する。
【0038】
まず隔壁を形成するに当たり、本発明の隔壁材料は、例えばペーストやグリーンシートなどの形態にして使用される。
【0039】
ペーストの形態で用いる場合、上述した隔壁材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を使用する。隔壁材料のペースト中の含有量としては、30〜90質量%程度が一般的である。
【0040】
熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1〜20質量%程度が一般的である。熱可塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0041】
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0042】
溶剤は材料をペースト化するための材料であり、その含有量は10〜30質量%程度が一般的である。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
【0043】
ペーストの作製は、隔壁材料、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を用意し、これを所定の割合で混練することによりペーストとすることができる。
【0044】
このようなペーストを用いて隔壁材料層を形成にするには、まずこれらのペーストをスクリーン印刷法や一括コート法等を用いて塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成した後、乾燥させ、次いでレジスト膜を形成し、露光・現像する。続いてサンドブラスト法を用いて不要な部分を除去すればよい。
【0045】
グリーンシートの形態で使用する場合、上記隔壁材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤等を使用する。
【0046】
隔壁材料のグリーンシート中の含有量は、60〜80質量%程度が一般的である。
【0047】
熱可塑性樹脂及び可塑剤としては、上記ペーストの調製の際に用いられるのと同様の熱可塑性樹脂及び可塑剤を用いることができ、熱可塑性樹脂の混合割合としては、5〜30質量%程度が一般的であり、可塑剤の混合割合としては、0〜10質量%程度が一般的である。
【0048】
グリーンシートを作製する一般的な方法としては、上記隔壁材料と、熱可塑性樹脂及び可塑剤とを用意し、これらに、トルエン等の主溶媒や、イソプロピルアルコール等の補助溶媒を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムの上にシート成形する。シート成形後、乾燥させることによって溶媒や溶剤を除去し、グリーンシートとすることができる。
【0049】
このようにして得られたグリーンシートを、隔壁材料層を形成すべき箇所に熱圧着した後に、上述のペーストの場合と同様にして所定の隔壁の形状に加工する。
【0050】
上記の説明においては、隔壁形成方法として、ペーストまたはグリーンシートを用いたサンドブラスト法を例にして説明しているが、これらの方法に限定されるものではなく、印刷積層法、リフトオフ法、感光性ペースト法、感光性グリーンシート法、プレス成形法などその他の形成方法を採用することもできる。
【0051】
ところでサンドブラスト法により隔壁が形成される場合、およそ次の様に行われる。すなわち、膜厚約200μmの隔壁材料の乾燥膜上にドライフィルムレジストをラミネートして、隔壁を形成する箇所をマスクする。次にマスクされていない部分を、サンドブラスト装置にてブラスト材を吹き付けて切削、除去することでなされる。
【0052】
以上のようにして所定形状の隔壁材料層を形成した後、焼成することにより、背面ガラス基板上に隔壁を形成することができる。焼成温度は、焼成予定温度付近に設定すればよい。具体的には500〜600℃、特に530〜590℃の間で適宜選択する。また第一のガラス粉末の軟化点Ts1との温度差が35℃以内、且つ第二のガラス粉末の軟化点Ts2との温度差が35℃以内の温度となるように設定することが望ましい。
【0053】
以上のようにして所定形状の隔壁材料層を形成した後、焼成することにより、背面ガラス基板上に隔壁を形成することができる。焼成温度は、高軟化点ガラスである第一のガラス粉末が軟化融着するのに十分な温度で行えばよく、他の部材の耐熱性等を考慮して500〜600℃、特に530〜590℃の間で適宜決定すればよい。また焼成温度を、第一のガラス粉末の軟化点Ts1及び第二のガラス粉末の軟化点Ts2との温度差がそれぞれ35℃以内となる温度に設定すれば、緻密で形状維持性の高い隔壁を形成することが容易になる。また焼成温度を、第一のガラス粉末の軟化点Ts1以下、且つ第二のガラス粉末の軟化点Ts2以上となる温度に設定すれば、低温側及び高温側ともに広い焼成温度幅を得ることができる。さらに焼成温度と焼成予定温度との差を20℃以内、特に15℃以内、さらには10℃以内とすることが好ましく、5℃以内とすることが理想的である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料について説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
[ガラス粉末の調製]
表1に示すガラス組成となるように、各種酸化物、炭酸塩等のガラス原料を調合し、均一に混合した後、白金坩堝に入れ、1250℃で2時間溶融して均一なガラス体を得た。これをアルミナボールミルで粉砕し、目開き53μmの網篩で分級した。
【0055】
得られたガラス粉末について軟化点を測定した。軟化点は、マクロ型示差熱分析計により測定し、第4の変曲点の値を軟化点とした。
【0056】
【表1】
【0057】
[隔壁材料の評価]
表2、3に示す配合割合となるように、各ガラス粉末a〜dとアルミナ粉末を混合した。また焼成予定温度、第一のガラス粉末の軟化点Ts1と焼成予定温度との温度差△T1、第二のガラス粉末の軟化点Ts2と焼成予定温度との温度差△T2、及び第一のガラス粉末の軟化点Ts1と第二のガラス粉末の軟化点Ts2の温度差△Tsをそれぞれ算出し、各表に示した。なお、表2、3に示す配合割合は質量%を示している。また焼成予定温度は、次の式により求めた。
【0058】
焼成予定温度=(第一のガラスの軟化点Ts1×(第一のガラス粉末量/全ガラス粉末量)+第二のガラスの軟化点Ts2×(第二のガラス粉末量/全ガラス粉末量))
上記のようにして得られたガラス粉末とアルミナ粉末の混合物を、エチルセルロースのターピネオール溶液と混練してペーストにした後、このペーストを窓板ガラスの上にスクリーン印刷法で塗布し、厚み200μmの層を3枚形成した。200μmの層を形成した3枚は、この上にドライフィルムレジスト(DFR)をラミネートして、次にこのレジストをマスクとしてサンドブラスト法により、レジストで覆われていない部分を除去して、所定の形状を有する隔壁材料層を形成した。
【0059】
次に、形成された隔壁材料層を、表に示す焼成温度(T1)、焼成温度+20℃(T2)、焼成温度−30℃(T3)でそれぞれ10分間焼成した。焼成温度(T1)で焼成した隔壁の高さをH1、焼成温度+20℃(T2)で焼成した隔壁の高さをH2、焼成温度−30℃(T3)で焼成した隔壁の高さをH3とし、その変化率を以下の様な計算式により求め、隔壁材料としての形状維持性を評価した。
【0060】
△Hh=H2/H1×100
△Hl=H 1 /H 3 ×100
なお隔壁の高さ(H1、H2、H3)は、隔壁の断面をSEM観察し、その写真上から求めた。△Hhおよび△Hlの値が96%以上であれば、形状維持性は良好と判断した。
【0061】
さらに、焼成温度T1で焼成した隔壁について、隔壁の断面形状及び内部の空隙部の有無をSEM観察によって評価した。隔壁の断面形状は、欠けがある場合、頂部中央が凹み、稜線部部分に突出部が存在する場合、又は流動し過ぎて頂部両端にエッジ部分が存在せず、なだらかになっている場合は不良であるとして「×」で現わし、それ以外は良好として「○」で評価した。内部の空隙の有無は、空隙部分が認められない場合は良好として「○」で表し、空隙部分が認められる場合は不良として「×」で表した。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
表2、3の結果から明らかなように、本発明に従うNo.1〜6の実施例は、△Hhおよび△Hlが97〜100%であり、焼成温度幅が広かった。また隔壁の断面形状が良好であり、内部の空隙もなかったため、緻密に焼結し、しかも形状維持性に優れた材料であることが確認された。
【0065】
一方、比較例である試料No.7は、緻密に焼結したが、焼成温度幅は実施例の各試料と比較して狭く、しかも形状維持性も劣っていた。
【0066】
【発明の効果】
本発明の隔壁材料は、焼成温度幅が広く、緻密で形状維持性に優れた隔壁を形成することができる。それゆえプラズマディスプレイパネルの大型化に十分対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差熱分析曲線を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第一の変曲点
2 第二の変曲点
3 第三の変曲点
4 第四の変曲点(軟化点)
5 第五の変曲点
Claims (12)
- ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含み、ガラス粉末が第一のガラス粉末と、第一のガラス粉末より低い軟化点を有する第二のガラス粉末からなり、第一のガラス粉末の軟化点Ts1と焼成予定温度との温度差△T1が35℃以内、第二のガラス粉末の軟化点Ts2と焼成予定温度との温度差△T2が35℃以内、及び第一のガラス粉末の軟化点Ts1と第二のガラス粉末の軟化点Ts2の温度差△Tsが45℃以内であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用隔壁材料。
- 焼成予定温度が500〜600℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料。
- 質量比で、ガラス粉末が60〜90%と、耐火性フィラー粉末が10〜40%であることを特徴とする請求項1のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料。
- 第一のガラス粉末と第二のガラス粉末とが質量比で2:8〜8:2であることを特徴とする請求項1のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料。
- 第一のガラス粉末が、質量%でPbO 50〜75%、B2O3 0.5〜20%、SiO2 5〜35%、Al2O3 0〜6%、CaO+MgO+SrO+BaO+ZnO 0〜10%、SnO2+TiO2+ZrO2 0〜6%の組成を有することを特徴とする請求項1のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料。
- 第二のガラス粉末が、質量%でPbO 50〜75%、B2O3 0.5〜20%、SiO2 5〜35%、Al2O3 0〜6%、CaO+MgO+SrO+BaO+ZnO 0〜10%、SnO2+TiO2+ZrO2 0〜6%の組成を有することを特徴とする請求項1のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料。
- 請求項1〜6の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁材料を用いて基板上に所定形状の隔壁材料層を形成した後、焼成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
- 第一のガラス粉末が軟化融着するのに十分な温度で焼成することを特徴とする請求項7のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
- 500〜600℃の温度で焼成することを特徴とする請求項7のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
- 第一のガラス粉末の軟化点Ts1との温度差が35℃以内、且つ第二のガラス粉末の軟化点Ts2との温度差が35℃以内の温度で焼成することを特徴とする請求項7のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
- 第一のガラス粉末の軟化点Ts1以下の温度で、且つ第二のガラス粉末の軟化点Ts2以上の温度で焼成することを特徴とする請求項7のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
- 焼成予定温度との差が20℃以内の温度で焼成することを特徴とする請求項7のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
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