JP4015491B2 - 成形金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばタレットパンチプレスなどのごときパンチプレスに使用する成形金型に係り、さらに詳細には、板状のワークの材質等に拘りなく立上がり部を垂直に立上げることのできる成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係る先行例として、特許第2611089号公報がある。この先行例においては、パンチプレスにおけるパンチホルダに支持されるパンチ金型のパンチボディの下面に凹部を設け、ダイホルダに支持されるダイ金型に、板状のワークを支持する支持面に対して出没自在のダイチップを設けた構成である。上記ダイチップは、前記パンチボディの下面によって上記ワークを前記支持面へ押圧固定した状態にあるときに、ワークの立上り部を垂直に形成すべく、前記凹部の垂直面へ前記立上り部を押圧自在に設けてある。すなわち前記ダイチップは、前記ワーク支持面に対して出没自在かつ前記凹部の垂直面に対して接近離反する方向へ移動自在に設けてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行例においては、パンチボディの下面に形成した凹部の垂直面に対して立上り部を押圧するダイチップの押圧面が垂直に形成してあるので、ワークの立上り部を立上げ成形した状態においては垂直状態にあるものの、前記ダイチップの押圧を解除すると、スプリングバックによって前記立上り部が僅かに戻り、正確な角度(直角)に立上げることが難しいという問題がある。
【0004】
また、前記先行例のごとき構成においては、立上り部を成形加工した後に、当該立上り部をさらに折り曲げて二次加工としてヘミング加工を行うことが困難であると共に、例えば前記立上り部を成形加工する位置に近接して予め別個の立上り部等が成形加工してある場合には、当該立上り部に干渉して変形することがある等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき従来の諸問題に鑑みてなされたもので、パンチホルダに移動自在に支持されるパンチ金型と、前記パンチホルダに対向したダイホルダに支持されるダイ金型とを備えてなる成形金型において、前記パンチ金型は、板状のワークの折曲げ加工時に、前記ダイ金型におけるワーク支持面に対して前記ワークを押圧固定するための押圧パンチを備え、前記ダイ金型は、前記ワークの立上り部を折曲げ加工するために、前記ワーク支持面に対して出没可能かつ前記押圧パンチに対して接近離反する方向へ移動自在の曲げダイを備えた構成であって、前記押圧パンチは上下方向に揺動可能に設けられていると共に常に上方向に付勢されており、前記パンチ金型の上昇時に、前記立上り部から外れるように、前記付勢力に抗して下方向に揺動可能に設けてあることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1を参照するに、本発明の参考例に係る成形金型1は、例えばタレットパンチプレス等のごときパンチプレスにおけるパンチホルダ3(タレットパンチプレスの場合は上部タレットが相当する)に移動自在に支持されるパンチ金型5と、前記パンチホルダ3に対向したダイホルダ7(同、下部タレット)に支持されるダイ金型9とを備えている。
【0010】
前記パンチ金型5は、前記パンチホルダ3に、図1において上下動自在に支持されたパンチボディ11を備えており、このパンチボディ11の端面すなわち下面には、前記ダイ金型9におけるダイプレート(ダイチップ)13のワーク支持面13Fへ板状のワークを押圧自在の押圧パンチ15を備えている。
【0011】
上記押圧パンチ15は、ヒンジピン17を介して前記パンチボディ11の端面に僅かに揺動可能に支持されており、この押圧パンチ15の先端部19は突出して形成してあって、二次加工としてヘミング加工が可能なように鋭角に形成してある。そして、前記押圧パンチ15の先端部19と反対側の後端部側には、大きな切欠きを形成した形態の段差状の逃げ部21が形成してある。
【0012】
上記構成により、ワークWの立上り部STを成形加工するとき、上記立上り部STをワークWに対して垂直に立上げて成形加工することができると共に、先端部19に沿って成形加工することにより、前記立上り部STを鋭角に折曲げ加工できるものである。また、前記立上り部STに近接した位置に僅かに突出した突出部PRが予め成形加工してある場合、前記逃げ部21が対応して、前記突出部PRを回避することができるものである。
【0013】
前記ダイ金型9は、前記ダイホルダ7に形成したダイ係合孔7Hに係合自在の円形状のダイベース23を備えており、このダイベース23の上面に前記ダイプレート13が一体的に取付けてある。このダイプレート13の前記ワーク支持面13Fは、前記ダイベース23のワーク支持面23Fと面一に形成してある。
【0014】
そして、前記ダイベース23には、前記ワーク支持面に対して出没可能かつ前記ダイプレート13,押圧パンチ15に対して接近離反する方向へ移動自在の曲げダイ25が備えられている。より詳細には、前記ダイベース23には、当該ダイベース23の軸方向すなわち図1において上下方向へ移動可能の曲げダイ支持部材27が設けられている。この曲げダイ支持部材27の一端側に設けたフランジ28は、前記ダイベース23の筒状部23Tの中空部23C内に移動自在に嵌合してあり、かつ前記筒状部23Tの端部に形成した内フランジ23Fに係脱自在に設けられている。
【0015】
そして、前記曲げダイ支持部材27は、曲げダイ支持部材27の他端部に設けたフランジ29と前記ダイベース23の筒状部23Tの端部との間に弾装したコイルスプリングのごとき弾性部材31によって、図1において下方向へ付勢されている。すなわち、曲げダイ支持部材27は、前記パンチ金型5に対して離反する方向へ常に付勢されている。
【0016】
前記曲げダイ支持部材27が前記中空部23C内において前記曲げダイ25を支持した支持面にはダイベース23の径方向のガイド部27Gが形成しており、このガイド部27Gに前記曲げダイ25の基部が径方向へ移動可能に案内支持されている。上記ガイド部27Gに沿って曲げダイ25を移動するために、前記ダイベース23には、ワーク支持面23F側ほど前記ダイプレート13側へ接近するように傾斜した傾斜ガイド面23Gが形成してある。そして、前記曲げダイ25には、前記傾斜ガイド面23Gに摺動自在に摺接した傾斜面25Fが形成してある。
【0017】
さらに、前記ダイベース23の傾斜ガイド面23Gと曲げダイ25の傾斜面25Fとを常に摺接した状態に保持するために、前記ダイベース23には前記曲げダイ25を前記傾斜ガイド面23G側へ押圧付勢するための押圧ピン33が移動自在に設けられている。この押圧ピン33は、図1において左右方向へ移動可能に設けてあり、その先端部は前記曲げダイ25に当接してある。そして、前記ダイベース23内に弾装した弾性部材35によって前記押圧ピン33は突出する方向へ付勢してあって前記曲げダイ25に常に当接してある。
【0018】
ワークWの前記立上り部STを前記押圧パンチ15側へ折曲げるために、前記曲げダイ25の先端側には前記押圧パンチ15側へ突出した傾斜突出部25Pが形成してある。この傾斜突出部25Pは、前記立上り部STを折曲げ成形加工するとき、前記押圧パンチ15の先端部19を越えて前記立上り部STを折曲げ可能に傾斜して突出してあるものである。
【0019】
以上のごとき構成において、ワークWの立上り部STが折曲げ加工される前のワークWをダイ金型9におけるダイベース23上に載置し、上記立上り部STの折曲げ部が前記ダイプレート13の先端部とほぼ一致するようにワークWの位置決めを行う。その後、パンチ金型5におけるパンチボディ11を下降すると、下端部に備えた押圧パンチ15が前記ダイプレート13のワーク支持面13FにワークWを押圧固定する。この際、ダイプレート13の先端部と押圧パンチ15の先端部19は、前記立上り部STの折曲げ部を間にして対向した位置関係にある。
【0020】
前述のごとく押圧パンチ15によってワークWを押圧固定した状態にあるとき、前記ダイ金型9の下方位置に設けてある油圧シリンダ等のアクチュエータ(図示省略)を作動して押圧ロッド37によって前記曲げダイ支持部材27を弾性部材31の付勢力に抗して押圧すると、前記曲げダイ25の傾斜突出部25Pが前記ワーク支持面13Fから突出し、前記立上り部STとなる部分を次第に折曲げることになる。
【0021】
前述のごとく曲げダイ支持部材27が移動されて前記曲げダイ25の先端側の傾斜突出部25Pがワーク支持面から突出するとき、曲げダイ25は、ダイベース23に設けた傾斜ガイド面23Gに案内されて、押圧ピン33の付勢力に抗して前記ダイプレート13側へ次第に移動する。したがって、ワークWの立上り部STは、前記押圧パンチ15の先端部19を支点として上方向に折曲げられることになる。
【0022】
この際、前記立上り部STのスプリングバックを考慮して、前記立上り部STがワークWに対して垂直に折曲げられた後、さらに僅かにオーバーベンドして鋭角に折曲げることにより、ワークWに対して前記立上り部STを直角(垂直)に折曲げることができるものである。
【0023】
前述のごとく立上り部STが直角に折曲げられた後、前記曲げ支持部材27をさらに押圧移動すると、前記傾斜ガイド面23Gとの摺接により曲げダイ25が押圧パンチ15側へ移動され、曲げダイ25の傾斜突出部25Pが前記押圧パンチ15の先端部19を越えて移動し、前記立上り部STを上記先端部19に沿って鋭角に折り曲げることになる。
【0024】
その後、前記押圧ロッド37による押圧を解除すると、弾性部材31,35の作用によって前記曲げダイ25は元の初期状態に復帰する。そして、前記パンチ金型5のパンチボディ11を上昇すると、押圧パンチ15の先端部19が下降するように回動するので、ワークWの鋭角に折曲げられた立上り部STは押圧パンチ15の先端部19から外れることになる。
【0025】
上述のごとくワークWの立上り部STを押圧パンチ15の先端部19から外した後、パンチ金型5のパンチボディ11を再び下降すると、前記押圧パンチ15の下面でもって鋭角に折曲げられた立上り部STを押し潰す態様となり、ヘミング加工が行われるものである。
【0026】
既に理解されるように、ワークWに対して立上り部STを、スプリングバックを考慮して直角に折曲げ加工することができると共に、二次加工としてヘミング加工が可能なものである。そして、上記加工を行うとき、折曲げ部に近接して突出部PRが予め形成してある場合であっても、前記突出部PRを前記逃げ部21に対応することにより、押圧パンチ15と前記突出部PRとの干渉を回避して立上り部ST等を加工することができ、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【0027】
図2は本発明の実施形態を示すもので、前述した参考例と同一機構を奏する構成部分には同一符合を付することとして重複した説明は省略する。
【0028】
この実施の形態において、押圧パンチ15Aは、パンチボディ11に設けた引張りスプリング等の弾性部材39によって、図2に示すように、常に上方向に水平な状態に付勢されている。この押圧パンチ15Aの先端部は、直角より僅かに小さい鋭角に形成してあり、そして段差状の逃げ部21を有しない点において、前記押圧パンチ15と相違している。
【0029】
前記曲げダイ支持部材27を下方向へ付勢する弾性部材31はダイ支持部材27とダイベース23との間に設けてあり、また曲げダイ25を傾斜ガイド面23G側へ押圧付勢するための押圧ピン33、弾性部材35を前記曲げダイ25に備えた点が前述した構成と相違しているが、その作用は同様である。
【0030】
上記の実施の形態においては、ワークWの立上り部STをヘミング加工すること、及びワークWに予め突出部PRが形成してある場合に当該突出部PRとの干渉を回避することはできないが、ワークWに対して前述立上り部STを直角に折曲げ加工できる点において、またパンチ金型5の上昇時に、ワークWの重量によって押圧パンチ15Aの先端部側が前記弾性部材39の付勢力に抗して下方向に回動してワークWの立上り部STが外れて元の状態に復帰される点において、前述した先行例の構成に比較してより精度の良い折曲げ加工を行い得るものである。
【0031】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明によれば、ワークの立上り部をワークに対して直角に正確に折曲げ加工することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例に係る成形金型の構成を概略的に示した説明図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る成形金型の概略説明図である。
【符号の説明】
1…成形金型
3…パンチホルダ
5…パンチ金型
7…ダイホルダ
9…ダイ金型
11…パンチボディ
13…ダイプレート(ダイチップ)
13F…ワーク支持面
15…押圧パンチ
19…先端部
21…逃げ部
23…ダイベース
23G…傾斜ガイド面
25…曲げダイ
25P…傾斜突出部
27…曲げダイ支持部材
31…弾性部材
33…押圧ピン
35…弾性部材
Claims (1)
- パンチホルダに移動自在に支持されるパンチ金型と、前記パンチホルダに対向したダイホルダに支持されるダイ金型とを備えてなる成形金型において、前記パンチ金型は、板状のワークの折曲げ加工時に、前記ダイ金型におけるワーク支持面に対して前記ワークを押圧固定するための押圧パンチを備え、前記ダイ金型は、前記ワークの立上り部を折曲げ加工するために、前記ワーク支持面に対して出没可能かつ前記押圧パンチに対して接近離反する方向へ移動自在の曲げダイを備えた構成であって、前記押圧パンチは上下方向に揺動可能に設けられていると共に常に上方向に付勢されており、前記パンチ金型の上昇時に、前記立上り部から外れるように、前記付勢力に抗して下方向に揺動可能に設けてあることを特徴とする成形金型。
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