JP4015341B2 - ベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベッドより蒲団が側方に脱落するのを防止する装置として作用すると同時に、病人や老人が自力でベッドを降りまたベッドへ上るのを補助する装置として作用するベッド用補助装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ベッドより蒲団が側方に脱落するのを防止する装置として、本件出願人は、先般、実用新案登録第3034422号により、マットの下面とベッドの上面との間に差し込める様に金属パイプを屈曲成形せしめたコ字形の水平差し込み部と、該水平差し込み部の両端から延設されたコ字形をした金属パイプ製のサイド立上り部とからなり、サイド立上り部はその側柱部が内側に向って曲線状に湾曲していると共に、両側柱部間には網状体が取付けられていることを特徴とするベッドの蒲団脱落防止棚を提案した。
【0003】
このベッド用蒲団脱落防止棚は、特に、サイド立上り部の側柱部が内側に向って曲線状に湾曲していることにより、それ以前の単純な垂直衝立型の蒲団脱落防止装置に比して、蒲団に縦皺を生じさせることなく蒲団を側方より押さえ、ベッド側縁から蒲団がずり落ちることを防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
畳の上に蒲団を延べる旧来の日本式床延べ方式に比して、介護がより容易なことから、近年は病人だけでなく老人にもベッドを用いることが盛んになってきている。確かにベッドは、病人や老人を介護する者にとっては、介護をより容易にするものではあるが、ベッド上に横たわる病人や老人にとっては、ベッドの昇降、特にベッドより誤って転落することのないよう自力でベッドを降りることは、容易でないことが多い。
【0005】
本発明は、ベッド側方からの蒲団のずり落ちを防止すると同時に、病人や老人が安全に且つ安定して自力でベッドの昇降を行なうことを助ける装置を簡便な構造にて提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、ベッドの上面とその上に載置されたマットまたは敷蒲団の間またはベッドの上に重ね載置されたマットまたは敷蒲団の間に差し込まれるよう構成された扁平な差し込み部と、下端を前記差し込み部により支持されベッド側縁に沿って隔置されて管材をベッド側縁に沿う方向に逆U字型に湾曲させた上端まで上向きに延在するよう構成された一対の支柱部とを有し、前記一対の支柱部の隔置距離は人の肩幅よりやゝ大きい程度とされ且つ該一対の支柱部間の空隙は人を通過させる大きさとされていることを特徴とするベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置を提供するものである。
【0007】
上記の如き基本の構成に加えて、前記一対の支柱部の各々の上端及びその近傍を含む上端部はそれより下の主部に対し鋭角の範囲で前記差し込み部の側へ折り曲げられていてよい。
【0009】
更にまた、前記一対の支柱部の各々とそれに対応する前記差し込み部の縁部とは前記の逆U字型湾曲部にて折り返され逆U字の両脚を互いに平行に延在させた長脚の逆U字型管材により一体に構成され、該長脚逆U字型管材は前記支柱部と前記差し込み部の境界となる部分にて折り曲げられていてよい。
【0010】
更にまた、前記差し込み部は一対の前記長脚逆U字型管材をその逆U字型端部とは反対の側の端部と前記境界部にて梁部材により互いに連結した構造を有していてよい。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記の如き基本構成の装置によれば、前記差し込み部によりベッド側縁部に装着された装置の前記一対の支柱部は、従来のベッド用蒲団脱落防止装置と同様に蒲団を側縁部にて外から押さえてその脱落を防止する作用を行なうと同時に、ベッドの使用者が横臥状態から起き上がってベッドを降りようとするとき、先ず前記一対の支柱部のうちのベッド使用者の上体に近い方の一つにより、使用者が横臥状態より上体を起こすことを容易にするよう片方の手にて掴まるための把手を提供し、次いで前記一対の支柱部の間に開けられた空隙により、ベッド使用者がその両脚をそこに通すことにより身体を正確にベッドの側方へ向けた状態で両脚をベッド外へ降ろすことを案内する手段を提供し、最後に前記一対の支柱部の残る他の一つにより、ベッド使用者がこれを残る他方の手にて掴むことにより、最初に片方の手にて掴まれた一方の支柱部と共に、ベッド使用者が両手にて一対の支柱部に掴まってその間に両腕にて支えられつつベッド外へ降り立つ状態をもたらす手段を提供する。
【0012】
またベッド使用者がベッドに上るときには、前記一対の支柱部は上記の如きベッドを降りる際の作用と同様の作用を上記と逆の順序にて発揮してよいが、或いはまた、前記一対の支柱部は、ベッド使用者が前向きでベッドに上る際、両手で別々に掴まる一対の把手を提供するように作用してもよい。
【0013】
上記の如き基本の構成に加えて、前記一対の支柱部の各々の上端及びその近傍を含む上端部がそれより下の主部に対し鋭角の範囲で前記差し込み部の側へ折り曲げられているときには、ベッドの使用者が横臥状態から起き上がってベッドを降りようとするとき、先ず一対の支柱部のうちのベッド使用者の上体に近い方の一つを片方の手にて掴むとき、それが掴みやすくなる。
【0014】
更に、前記一対の支柱部の各々の上端部が管材を逆U字型に湾曲させた構造よりなっているときには、ベッド使用者は、最初に片方の手で逆U字型に曲げられた管よりなる支柱部上端を掴むとき手前の管部を掴んでおけば、両脚を一対に支柱部間に通し、上体を起こし、更に他方の手にて他方の支柱部を掴んでベッドを降りるまで、最初に管を掴んだ手を逆U字型に曲げられた管に沿って滑らせることにより、横臥状態よりベッドを去るまでの間に支柱部に対する身体の向きが反転しても、始終管に対する手の掴み状態を変えなくてよくなる。
【0015】
更にまた、前記一対の支柱部の各々とそれに対応する前記差し込み部の縁部とが前記の逆U字型湾曲部にて折り返され逆U字の両脚を互いに平行に延在させた長脚の逆U字型管材により一体に構成され、該長脚逆U字型管材が前記支柱部と前記差し込み部の境界となる部分にて折り曲げられているときには、簡単な構成にて支柱部が差し込み部により安定して支持された構造が得られる。
【0016】
そして、これら一対の長脚逆U字型管材を、その逆U字型端部とは反対の側の端部と前記境界部にて梁部材により互いに連結することにより前記差し込み部が構成されれば、簡単な構造にて上記の各機能を十分に達成する装置を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明を一つの実施例について更に詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明によるベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置の一つの実施例をその使用状態にて示す斜視図である。10にて全体的に示されたベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置は、扁平な差し込み部12と、一対の支柱部14とを有している。
【0019】
図示の実施例では、一対の支柱部14の各々は、断面が円形の管材16を逆U字型の部分18にて折り曲げ、逆U字の両脚20を互いに平行に延在させた長脚逆U字型管材よりなり、これらの管材は途中の曲げ部22にて滑らかに90o折り曲げられて差し込み部12の縁部を構成している。管材16よりなる支柱部14はその逆U字の上端より幾分下の曲げ部24にて45o程度差し込み部12のある側に折り曲げられている。さらに支柱部14を構成する平行な管材16の間には、曲げ部22及び24の部分にて、横桁26及び28が張り渡され、さらにその間に網材30が張られ、管材16よりなる支柱部14の強度及び剛性を増大させている。
【0020】
一対の支柱部14は曲げ部22の部分にて一対の梁部材32及び34により連結され、さらにその間に網材36が張られ、一対の支柱部14をその下端にて剛固に支持する差し込み部12の前縁部が形成されている。一対の管材16の逆U字型曲げ部とは反対の端部には、これらの端部を互いに連結する梁部材38が取り付けられており、これによって差し込み部12は、一対の支柱部14の下端に連なる二本ずつの管材16と、梁材32、34、38とにより四辺を構成された四角形枠体構造をなしている。
【0021】
使用に当たっては、ベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置10は、その四角形枠体構造をなす差し込み部12が、図1に例示されている如く、ベッド40の上面42とその上に載置されたマットまたは敷蒲団44の間に差し込まれ、一対の支柱部14がベッドの側縁に沿って隔置されるように設置される。ベッド側縁に沿うベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置10の設置位置は、以下に説明されるその使用要領より理解される如く、ベッド側縁のほぼ中央であってよい。
【0022】
尚、図1及び以下の図2ないし4においては、また差し込み部12が差し込まれるのは、ベッド40の上面42とその上に載置されたマットまたは敷蒲団44の間となっているが、差し込み部12はベッド上に重ね載置されたマットまたは敷き蒲団の間であってもよいことは明らかであろう。
【0023】
図1には、ベッド使用者の概略の輪郭が、仰向けに横臥した状態で示されている。この状態では、ベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置10は、ベッド使用者の上に掛けられた図には示されていない掛け蒲団がベッド側縁よりずり落ちることを防止する装置として作用する。
【0024】
ベッド使用者が自力でベッドを降りようとするときには、ベッド使用者は、先ず図2に示されている如く、一方の手(図示の例では右手)にて上半身に近い側の支柱部14の上端部を掴む。このとき図示の如く支柱部の上端部が管材16を逆U字型に曲げた構造であるときには、逆U字型の二つの脚部20の手前の脚部を掴む。
【0025】
次に、ベッド使用者は、図3に示されている如く、腰をひねりつつ両脚を腰部と共に一対の支柱部14の間を通してベッド外へ突き出す。
【0026】
次に、ベッド使用者は、最初に支柱部14を掴んだ手(この場合右手)に力を入れ、さらに残る他方の手(この場合左手)にて残る他方の支柱部14の上端部を掴み、上体を起こしつつ、両脚をベッド側縁に直角になるように下半身を回転させ、図4に示されている状態に達する。かかる状態に達すれば、後は必要なら両腕に力を入れて体重の一部を支えつつ、両脚に力を入れて立ち上がればよい。
【0027】
かくしてベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置10は、ベッド使用者が体力の衰えた病人や老人である場合にも、誤って転落することのないよう、その身体を安全に且つ安定して案内しつつ、ベッド使用者が自力でベッドを降りることを補助する作用をなす。
【0028】
また、ベッド使用者がベッドに戻るときには、上記の如きベッドを降りる際の手順が上記と逆の順序にて行われればよい。或いはまた、ベッド使用者は、ベッドに向かったまま、一対の支柱部14に両手で掴まり、これらを手摺として両腕の助けを得てベッド上に戻ってもよい。
【0029】
以上においては本発明を一つの実施例について詳細に説明したが、かかる実施例について本発明の範囲内にて種々の修正が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置の一つの実施例を、その差し込み部がベッド上面とその上に載置されたマットまたは敷蒲団の間に差し込まれる要領にてベッドに取り付けられた状態にて示す斜視図であり、図にはベッドが仮想線にて示され、その上に横臥したベッド使用者の姿勢が概輪郭にて示されている。
【図2】ベッド使用者が図1に示す横臥状態よりベッドを降りようとするときの動作の第一の段階を示す図1と同様の図である。
【図3】ベッド使用者がベッドを降りようとするときの動作の第二の段階を示す図1及び2と同様の図である。
【図4】ベッド使用者がベッドを降りようとするときの動作の第三の段階を示す図1、2及び3と同様の図である。
【符号の説明】
10…ベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置
12…差し込み部
14…支柱部
16…管材
18…逆U字型部
20…脚部
22、24…曲げ部
26、28…横桁
30…網材
32、34…梁部材
36…網材
38…梁部材
40…ベッド
42…ベッドの上面
44…マットまたは敷蒲団
Claims (4)
- ベッドの上面とその上に載置されたマットまたは敷蒲団の間またはベッドの上に重ね載置されたマットまたは敷蒲団の間に差し込まれるよう構成された扁平な差し込み部と、下端を前記差し込み部により支持されベッド側縁に沿って隔置されて管材をベッド側縁に沿う方向に逆U字型に湾曲させた上端まで上向きに延在するよう構成された一対の支柱部とを有し、前記一対の支柱部の隔置距離は人の肩幅よりやゝ大きい程度とされ且つ該一対の支柱部間の空隙は人を通過させる大きさとされていることを特徴とするベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置。
- 前記一対の支柱部の各々の上端及びその近傍を含む上端部はそれより下の主部に対し鋭角の範囲で前記差し込み部の側へ折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載のベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置。
- 前記一対の支柱部の各々とそれに対応する前記差し込み部の縁部とは前記の逆U字型湾曲部にて折り返され逆U字の両脚を互いに平行に延在させた長脚の逆U字型管材により一体に構成され、該長脚逆U字型管材は前記支柱部と前記差し込み部の境界となる部分にて折り曲げられていることを特徴とする請求項1または2に記載のベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置。
- 前記差し込み部は一対の前記長脚逆U字型管材をその逆U字型端部とは反対の側の端部と前記境界部にて梁部材により互いに連結した構造を有していることを特徴とする請求項3に記載のベッド用蒲団脱落防止兼昇降補助装置。
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