JP4014186B2 - 内視鏡用対物レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡の先端部に設けられる対物レンズに関するものであり、特に画像情報を伝送するために用いられる高解像な撮像用素子に対応した内視鏡用対物レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内視鏡用対物レンズにおいては、画角が広くバックフォーカスも長いレンズが要求される。また、高精度な観察や正確な診断を行うために色収差の補正が重要となる。これらの要求を満足するものとして、例えば、本出願人は既に特開平2−188709号公報記載の内視鏡用対物レンズを開示している。
【0003】
しかし、近年では、画像伝達に使用されるCCD素子やイメージファイバーの高解像化に伴い、レンズもより高解像のものが要望されている。特開平2−188709号公報記載の内視鏡用対物レンズは、画像伝達に用いられる素子の高解像化を考慮するとさらなる倍率色収差の改善が必要となっている。
【0004】
また、色収差を補正する手段として回折光学面を備えた光学系(以下回折光学素子と称する)を用いた対物レンズも知られている。回折光学素子のアッベ数はν=-3.45と分散が通常のガラスレンズと1桁異なるほど大きく、またその符号も異なるので、通常のレンズでは期待できないほど効果的な色収差の補正が可能となる利点がある。このような内視鏡用対物レンズとして、例えば特開平10−197806号公報記載のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−197806号公報記載の内視鏡用対物レンズでは、回折光学素子を用いたために生じる、設計上では不要な光となる他次数の回折光や、製造誤差等で生じるフレア光等が高解像化に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、回折光学素子を用いることにより収差、特に倍率色収差を良好に補正しつつも、このような高解像化に悪影響を及ぼす光を低減させた内視鏡用対物レンズを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内視鏡用対物レンズは、
物体側より順に、回折光学面を備えた少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配され、該回折光学面が以下の条件式(1)を満足するとともに、
前記第1レンズ群中の該回折光学面を備えた負の屈折力を有するレンズのうち最も強い負の屈折力を有するレンズが、以下の条件式(2)を満足するように構成されてなることを特徴とするものである。
(1) E > 0
(2) -2.0 < f /f < -0.3
ただし、
E:回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
:第1レンズ群中、回折光学面を有し最も強い負の屈折力を有するレンズの焦点距離
:レンズ全系の焦点距離
【0009】
また、本発明に係る内視鏡用対物レンズは、
物体側より順に、回折光学面を備えた少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配され、該回折光学面が以下の条件式(1)を満足するように構成されてなるとともに、
記第1レンズ群中の該回折光学面を備えた負の屈折力を有するレンズのうち最も強い負の屈折力を有するレンズが、以下の条件式(3)を満足するように構成されてなることを特徴とするものである。
(1) E > 0
(3) f/f < -100
ただし、
E:回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
:第1レンズ群中、回折光学面を有し最も強い負の屈折力を有するレンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
【0010】
また、本発明に係る内視鏡用対物レンズは、物体側より順に、少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配され、前記第1レンズ群は、回折光学面を備えた少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズを含み、前記第1レンズ群中の該回折光学面を備えた正の屈折力を有するレンズのうち最も強い正の屈折力を有するレンズが、以下の条件式(4)、(5)を満足するように構成されてなることを特徴とするものである。
(4) E > 0
(5) 1.0 < f/f
ただし、
E:回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
:第1レンズ群中、回折光学面を有し最も強い正の屈折力を有するレンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
【0011】
ここで、「回折光学面の位相差関数」とは、Φ(Y)=EY+FY+GY+HY+IY10で表わされるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態1〜3について図面を用いて説明する。
【0013】
ここで、図1は本発明の実施形態1を代表させるものとして実施例1のレンズ基本構成を示すものである。
【0014】
図1に示すように、本実施形態1に係る内視鏡用対物レンズは、物体側より順に、少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群Gと、絞り1と、正の屈折力を有する第2レンズ群Gとが配され、第1レンズ群Gは回折光学面を有する少なくとも1枚の負の屈折力のレンズを含み、以下の条件式(1)および(2)を満足するように構成されている。
(1) E > 0
(2) -2.0 < f/f < -0.3
ただし、
E :回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
:第1レンズ群G中、回折光学面を有し最も強い負の屈折力を有するレンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
【0015】
ここで、実施例1に係る内視鏡用対物レンズの構成は、第1レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズL、および物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズからなる第2レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に凸面を向け物体側の平面に絞り1が形成された平凸レンズからなる第3レンズL、および像側に凸面を向けた凸メニスカスレンズからなる第4レンズLと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズからなる第5レンズLとの接合レンズからなる。なお、実施例1および以下の他の実施例において、絞り1の曲率半径は無限大とされている。
【0016】
また、第2レンズ群Gの像側にはフィルタ部2が配され、さらに図示されない像側にはCCD素子やイメージファイバが配されて画像情報が伝達される。なお、図1中Xは光軸を示す。
【0017】
本実施形態1に係る内視鏡用対物レンズは、第1レンズ群Gのうちの少なくとも1枚の負レンズに、下記に示す回折光学面の非球面形状式および位相差関数式により表される回折光学面を備えている。実施例1に係る内視鏡用対物レンズは、第1レンズLの像側の面が回折光学面とされている。
【0018】
【数1】
Figure 0004014186
【0019】
なお、この回折光学面による現実の光路差を規定する回折光学面光路差関数は、波長をλ、位相差関数をΦ(Y)として、λ×Φ(Y)/2πで表わされる。
【0020】
前述したとおり、回折光学面は逆分散性および異常分散性という特性を有するものである。回折光学面を備えた本実施形態1に係る内視鏡用対物レンズは、この特性を利用することにより倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0021】
また、本実施形態1に係る内視鏡用対物レンズは、設定波長をd線(587.6nm)とすることが望ましく、この波長としたとき回折光学面により生じた+1次光が最も効率よく絞り1付近で収束する。絞り1の開口部を所定の大きさとし、回折光学面を絞り1よりも物体側に配置することにより、絞り1を透過するのは+1次光のほぼ全光量のみとなり、不要光の大部分を絞り1によりカットすることができる。ここでいう不要光とは、例えば、回折光学面によって生じる0次、一次および2次以上の高次数の回折光でレンズ設計上利用されない光や、レンズの製造誤差等により生ずるフレア光のことで、これらの光はレンズの高解像化を妨げる原因ともなるものである。なお、厳密には、例えば回折光学面を透過した0次光のごく一部も絞り1開口部を透過するが、その光量は絞り1を透過する全光量のうちごく小さい割合であるため無視できる。
【0022】
ここで、各条件式について説明する。
【0023】
条件式(1)は回折光学面の位相差関数の2次の項の係数について数値範囲を規定している。この数値範囲を規定することによりレンズ系の負の倍率色収差を良好に補正することが可能となり、この下限値を超えるとさらに負の倍率色収差が増えてしまう。
【0024】
条件式(2)は第1レンズ群G中の回折光学面を有するレンズのうち、最も強い負の屈折力を有するレンズのパワーを規定している。回折光学面を強い負のパワーを有するレンズに形成する場合、この数値範囲に規定されるパワー配分とすることにより諸収差をバランス良く補正することができる。この下限値を超えるとバックフォーカスが短くなりすぎ、この上限値を超えると負のパワーが強くなりすぎて収差補正が困難になる。
【0025】
内視鏡用対物レンズにおいては、広画角でバックフォーカスの長いレンズが要求されるため、レトロフォーカスタイプのレンズが使用されるのが一般的である。そのため、第1レンズ群G中にある程度強い負のパワーを有するレンズを配して必要なバックフォーカスを確保することになるが、本実施形態1においては、この第1レンズ群G中の強い負のパワーを有するレンズに回折光学面を形成して、簡易な構成で良好な倍率色収差補正を可能にするものである。
【0026】
つぎに、本発明の実施形態2について図面を用いて説明する。
【0027】
ここで、図4は本発明の実施形態2を代表させるものとして実施例4のレンズ基本構成を示すものである。
【0028】
図4に示すように、本実施形態2に係る内視鏡用対物レンズは、物体側より順に、少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群Gと、絞り1と、正の屈折力を有する第2レンズ群Gとが配され、第1レンズ群Gは回折光学面を有する少なくとも1枚の負の屈折力のレンズを含み、以下の条件式(1)および(3)を満足するように構成されている。
(1) E > 0
(3) f/f < -100
ただし、
E :回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
:第1レンズ群G中、回折光学面を有しレンズのうち最も強い負の屈折力を有するレンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
【0029】
ここで、実施例4に係る内視鏡用対物レンズの構成は、第1レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズL、および両面ともに平面で物体側に回折光学面を形成された第2レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に曲率の大きい面を向けた両凸レンズからなる第3レンズL、および像側に曲率の大きい面を向けた両凸レンズからなる第4レンズLと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズからなる第5レンズLとの接合レンズからなる。ここで、絞り1は近軸上において第2レンズLの像側の面頂点に接する位置に配されている。なお、その他の構成および回折光学面の非球面形状式および位相差関数式は実施形態1と略同様である。
【0030】
実施形態2においても、回折光学面を利用することにより、倍率色収差を効果的に補正することができる。また、この回折光学面を絞り1よりも物体側に配置し、実施形態1と同様の設定波長とすることにより、不要光の大部分を絞り1によりカットすることができ、レンズの高解像化を図ることができる。
【0031】
また、条件式(3)は、第1レンズ群G中の回折光学面を有するレンズのうち、最も強い負の屈折力を有するレンズのパワーを規定している。回折光学面を平面形状のレンズ面に形成する場合、この面のパワーは面の屈折系のパワーが大略0であることから回折光学面の有するパワーに依存することになる。条件式(1)によりE>0であるため、この回折光学面の有するパワーは負となるが、条件式(3)の数値範囲に規定されるパワー配分とすることにより、諸収差をバランス良く補正することができる。この上限値を超えプレート回折光学面のパワーが強くなると、他の屈折レンズとのバランスが崩れ、収差補正が困難になる。また、この上限値を超えプレート回折光学面のパワーを強くするためには、回折光学面の輪帯ピッチを細かくする必要があるため、製造性が不良となる。
【0032】
つぎに、本発明の実施形態3について図面を用いて説明する。
【0033】
ここで、図5は本発明の実施形態3を代表させるものとして実施例5のレンズ基本構成を示すものである。
【0034】
図5に示すように、本実施形態3に係る内視鏡用対物レンズは、物体側より順に、少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群Gと、絞り1と、正の屈折力を有する第2レンズ群Gとが配され、第1レンズ群Gは、回折光学面を有する少なくとも1枚の正の屈折力のレンズを含み、以下の条件式(4)および(5)を満足するように構成されている。
(4) E > 0
(5) 1.0 < f/f
ただし、
E :回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
:第1レンズ群G中、回折光学面を有しレンズのうち最も強い正の屈折力を有するレンズの焦点距離
f :レンズ全系の焦点距離
【0035】
ここで、実施例5に係る内視鏡用対物レンズの構成は、第1レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズL、および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる第2レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に凸面を向け物体側の平面に絞り1が形成された平凸レンズからなる第3レンズL、および像側に凸面を向けた平凸レンズからなる第4レンズLと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズからなる第5レンズLとの接合レンズからなる。実施例5に係る内視鏡用対物レンズは、第2レンズLの物体側の面が回折光学面とされている。なお、その他の構成および回折光学面の非球面形状式および位相差関数式は実施形態1と略同様である。
【0036】
実施形態3においても、回折光学面を利用することにより、倍率色収差を効果的に補正することができる。また、この回折光学面を絞り1よりも物体側に配置し、実施形態1と同様の設定波長とすることにより不要光の大部分を絞り1によりカットすることができ、レンズの高解像化を図ることができる。
【0037】
条件式(5)は、第1レンズ群G中の回折光学面を有するレンズのうち、最も強い正の屈折力を有するレンズのパワーを規定している。回折光学面は、必ずしも負の屈折力を有する面に形成される必要はなく、本実施形態3に示すように正の屈折力を有する面であってもよい。この場合、負の屈折力を有する第1レンズ群Gの中で正の屈折力を有するレンズということになり、諸収差をバランス良く補正しつつ、必要なバックフォーカスを確保するために条件式(5)の数値範囲が必要となる。この下限値を超えるとバックフォーカスが短くなりすぎてしまう。
【0038】
以下、本発明の実施例1〜7について具体的に説明する。
【0039】
<実施例1>
本実施例1に係る内視鏡用対物レンズの構成は前述したとおりである。
【0040】
表1に、本実施例1の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表1の下段には本実施例1における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0041】
なお、実施例1〜7において、レンズ系全体の焦点距離fは1.00mmとされている。また、表1および以下の表において、各記号に対応させた数字は物体側から順次増加するようになっており、数字の左側の*印は回折光学面であることを示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004014186
【0043】
本実施例1において条件式(1)および(2)に対応する値はE=4.8154×10−1、f/f=-0.72となり、各条件式をすべて満足している。
【0044】
<実施例2>
本実施例2に係る内視鏡用対物レンズは実施形態1に上述した構成とされているが、実施例1とはレンズ構成が異なる。
【0045】
ここで、第1レンズ群Gは像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に凸面を向け物体側の平面に絞り1が形成された平凸レンズからなる第2レンズL、および像側に曲率の大きい面を向けた両凸レンズからなる第3レンズLと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズからなる第4レンズLとの接合レンズからなる。
【0046】
なお、実施例2に係る内視鏡用対物レンズは、第1レンズLの像側の面に回折光学面を備えている。
【0047】
表2に、本実施例2の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表2の下段には本実施例2における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0048】
【表2】
Figure 0004014186
【0049】
本実施例2において条件式(1)および(2)に対応する値はE=4.7550×10−1、f/f=-0.90となり、各条件式をすべて満足している。
【0050】
<実施例3>
本実施例3に係る内視鏡用対物レンズは実施形態1に上述した構成とされているが、実施例1とはレンズ構成が異なる。
【0051】
ここで、第1レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズL、および像側に凸面を向けた凸メニスカスレンズからなる第2レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向け物体側の平面に絞り1が形成された平凹レンズからなる第3レンズLと物体側に曲率の大きい面を向けた両凸レンズからなる第4レンズLとの接合レンズからなる。
【0052】
なお、実施例3に係る内視鏡用対物レンズは、第1レンズLの像側の面に回折光学面を備えている。
【0053】
表3に、本実施例3の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表3の下段には本実施例3における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0054】
【表3】
Figure 0004014186
【0055】
本実施例3において条件式(1)および(2)に対応する値はE=1.0501×10 2、f/f= -1.11となり、各条件式をすべて満足している。
【0056】
<実施例4>
本実施例4に係る内視鏡用対物レンズの構成は前述したとおりである。
【0057】
表4に、本実施例4の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表4の下段には本実施例4における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0058】
【表4】
Figure 0004014186
【0059】
本実施例4において条件式(1)および(3)に対応する値はE=7.5022×10−3、f/f=-7.13×10となり、各条件式をすべて満足している。
【0060】
<実施例5>
本実施例5に係る内視鏡用対物レンズの構成は前述したとおりである。
【0061】
表5に、本実施例5の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表5の下段には本実施例5における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0062】
【表5】
Figure 0004014186
【0063】
本実施例5において条件式(4)および(5)に対応する値はE=2.2001×10 2、f/f=3.35となり、各条件式をすべて満足している。
【0064】
<実施例6>
本実施例6に係る内視鏡用対物レンズは実施形態3に上述した構成とされているが、実施例5とはレンズ構成が異なる。
【0065】
ここで、第1レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズL、および像側に曲率の大きい面を向けた両凸レンズからなる第2レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向け物体側の平面に絞り1が形成された平凹レンズからなる第3レンズLと物体側に曲率の大きい面を向けた両凸レンズからなる第4レンズLとの接合レンズからなる。
【0066】
なお、実施例6に係る内視鏡用対物レンズは、第2レンズLの物体側の面に回折光学面を備えている。
【0067】
表6に、本実施例6の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表6の下段には本実施例6における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0068】
【表6】
Figure 0004014186
【0069】
本実施例6において条件式(4)および(5)に対応する値はE=3.8070×10−3、f/f=1.84となり、各条件式をすべて満足している。
【0070】
<実施例7>
本実施例7に係る内視鏡用対物レンズの構成は、上述の実施形態1と実施形態3をともに満足するものである。すなわち、第1レンズ群G中で、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズに各々回折光学面を有し、条件式(1)、(2)および(5)を満足する。なお、条件式(4)は条件式(1)と同様であるので省略する。
【0071】
ここで、第1レンズ群Gは物体側より順に、像側に凹面を向けた平凹レンズからなる第1レンズL、および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる第2レンズLからなり、第2レンズ群Gは物体側より順に、像側に凸面を向け物体側の平面に絞り1が形成された平凸レンズからなる第3レンズL、および像側に凸面を向けた平凸レンズからなる第4レンズLと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズからなる第5レンズLとの接合レンズからなる。ここで、回折光学面は、第1レンズLと第2レンズLの各々物体側の面である。なお、その他の構成ならびに回折光学面の非球面形状式および位相差関数式は実施形態1および実施形態3と略同様である。
【0072】
表7に、本実施例7の各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの軸上面間隔(各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔)D(mm)、各レンズのd線における屈折率N、およびアッベ数νを示す。また、表7の下段には本実施例7における上記回折光学面の非球面形状式および位相差関数式に示される回折光学面の各定数の値を示す。
【0073】
【表7】
Figure 0004014186
【0074】
本実施例7において条件式(1)、(2)および(5)に対応する値は第1レンズLのE=2.2127×10−2、第2レンズLのE=1.6499×10−2、f/f=-0.61、f/f=3.46となり、各条件式をすべて満足している。
【0075】
図8〜14は、本実施例1〜7に係る内視鏡用対物レンズの諸収差(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差)を示す収差図である。なお、これらの収差図においてωは半画角を示す。
【0076】
図8〜14に示すように、本実施例1〜7に係る内視鏡用対物レンズは、収差、特に倍率色収差を良好に補正したものであることが明らかである。
【0077】
なお、本発明の内視鏡用対物レンズとしては、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径Rおよびレンズ間隔(もしくはレンズ厚)Dを適宜変更することが可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る内視鏡用対物レンズによれば、回折光学面を用いることにより特に倍率色収差を良好に補正し、また、その回折光学面を絞りより物体側に配設することにより、回折光学面を用いたために生じる設計上では不要な光となる回折光や、製造誤差等で生じるフレア光等の悪影響を低減させ、高解像化に適用可能な内視鏡用対物レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図2】実施例2に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図3】実施例3に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図4】実施例4に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図5】実施例5に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図6】実施例6に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図7】実施例7に係る内視鏡用対物レンズの構成を示す図
【図8】実施例1に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【図9】実施例2に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【図10】実施例3に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【図11】実施例4に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【図12】実施例5に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【図13】実施例6に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【図14】実施例7に係る内視鏡用対物レンズの各収差図
【符号の説明】
〜L レンズ
,G レンズ群
〜R11 曲率半径
〜D10 軸上面間隔
光軸
絞り
フィルタ部

Claims (3)

  1. 物体側より順に、回折光学面を備えた少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配され、該回折光学面が以下の条件式(1)を満足するとともに、
    前記第1レンズ群中の該回折光学面を備えた負の屈折力を有するレンズのうち最も強い負の屈折力を有するレンズが、以下の条件式(2)を満足するように構成されてなることを特徴とする内視鏡用対物レンズ。
    (1) E > 0
    (2) -2.0 < f /f < -0.3
    ただし、
    E:回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
    :第1レンズ群中、回折光学面を有し最も強い負の屈折力を有するレンズの焦点距離
    :レンズ全系の焦点距離
  2. 物体側より順に、回折光学面を備えた少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配され、該回折光学面が以下の条件式(1)を満足するとともに、
    記第1レンズ群中の該回折光学面を備えた負の屈折力を有するレンズのうち最も強い負の屈折力を有するレンズが、以下の条件式(3)を満足するように構成されてなることを特徴とする内視鏡用対物レンズ。
    (1) E > 0
    (3) f/f < -100
    ただし、
    E:回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
    :第1レンズ群中、回折光学面を有し最も強い負の屈折力を有するレンズの焦点距離
    f :レンズ全系の焦点距離
  3. 物体側より順に、少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを含む第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とが配され、前記第1レンズ群は、回折光学面を備えた少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズを含み、前記第1レンズ群中の該回折光学面を備えた正の屈折力を有するレンズのうち最も強い正の屈折力を有するレンズが、以下の条件式(4)、(5)を満足するように構成されてなることを特徴とする内視鏡用対物レンズ。
    (4) E > 0
    (5) 1.0 < f/f
    ただし、
    E:回折光学面の位相差関数の2次の項の係数
    :第1レンズ群中、回折光学面を有し最も強い正の屈折力を有するレンズの焦点距離
    f :レンズ全系の焦点距離
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