JP4013705B2 - におい測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、未知のにおい(香気、臭気など全て含む)がどのような種類のにおいであるのか、或いはどの程度の強さのにおいであるのかを測定するにおい測定装置に関する。なお、本発明に係るにおい測定装置は、悪臭測定装置、食品や薬品などの品質検査や品質評価を行う装置など、幅広い分野に適用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来、においの識別や評価は、実際に人間の嗅覚を用いて行われるのが一般的であった。しかしながら、実際に臭いを嗅ぐ人(パネル)の個人差やその日の体調によって嗅覚が変動することを想定する必要があるため、客観的な結果を精度良く得るためには、パネルを一定人数以上確保し、試験場所の環境等にも十分な配慮を必要とする。そのため、手間と時間が膨大なものとなる。また、このような配慮を行っても、人間の嗅覚はにおいに順応するという特性を有しているため、常に一定基準で確定的な判断を下すことは困難であった。
【0003】
これに対し、近年、におい物質に対して応答特性を有するにおいセンサを利用したにおい測定装置が、特許文献1及び特許文献2などに開示されるとともに商品化されている(例えば島津製作所のFF−1など)。このようなにおい測定装置では、複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、クラスター分析、主成分分析等の各種多変量解析処理、或いはニューラルネットワークを用いた非線形解析処理などを行って、複数の試料のにおいの離間距離(近い範疇のにおいであるかどうか)を求めることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−352088号公報
【特許文献2】
特開2002−22692号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のにおい測定装置は、例えば食品の品質検査などを目的とした、比較的狭い範疇に属する複数のにおいの類似性を判断するには適していたが、例えば悪臭測定といった広範囲の種類のにおいの類似性を客観的に判断するのは難しかった。また、においセンサの応答感度と人間の鼻の感度とは相違するため、場合によっては、嗅覚を利用した官能試験と一致しないような結果が出ることもあった。こうした点に鑑み、本出願人は、特願2002−41465号及び特願2002−254975号において、新規な構成のにおい測定装置を提案している。
【0006】
このにおい測定装置では、m個のにおいセンサの検出出力をそれぞれ軸にとったm次元におい空間を考え、既知の標準においの測定結果から作成したベクトルをそのm次元におい空間内に位置付ける。測定対象である未知試料についても同様にベクトルとして表現できるから、その未知においベクトルと標準においベクトルとの成す角度を求めて、その角度が小さいほど両者のにおいの類似性が高いものとの判断の下に、未知試料が有する未知においと標準においとの類似度などを算出する。また、m次元におい空間内での方向性を考えない標準におい曲線を用いた場合には、未知試料による測定点から各標準におい曲線までの最短距離を算出することにより、標準においとの類似度を算出する。
【0007】
さて、こうしたにおい測定装置を例えば大気中の悪臭測定装置に適用しようとした場合、一口に悪臭と言ってもそのにおいの種類は非常に広範である。従って、予め測定しておくべき標準においの種類が或る程度多くなることは止むを得ない。しかしながら、こうしたにおい測定装置に搭載されるにおいセンサは、通常、複数のにおい種に対して応答感度を有しているため、標準においの種類を多くして、それら標準においに対する類似性により未知においの性質を表現しようとすると、却ってにおいの特徴を捉えにくくなるという問題が生じることが判明した。また、こうした類似性に基づいて未知においに寄与する標準においの濃度や臭気強度、臭気指数などを算出すると、誤差が大きくなる場合があることも判った。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的とするところは、未知試料が有する未知においの質を一層的確に表現することができるとともに、その未知においの濃度やにおいの強さの程度を表す指標値の算出精度を向上させることができるにおい測定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るにおい測定装置では、複数種類の標準においをそれぞれ測定することによって得られる基準データを必ずしも全て使用せず、測定対象である未知試料の種別や区分などに応じて、その未知においの強さの程度などを表現するのに適切な標準においを適宜選択し、その選択された標準においに対応する基準データのみを使用してにおいの強さの程度を表す指標値を算出している。適切な標準においを選択する動作として、測定者がその選択を指示する場合と、装置がその未知においの質を判断して標準においの選択を行う場合とが考えられる。
【0010】
そこで、第1発明に係るにおい測定装置は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)測定対象の様々なにおい種を複数に分類した各区分毎に前記指標値を算出するために好適な標準においの組み合わせを記述したテーブルに基づき、測定者は該テーブルにおいて測定対象である未知試料が該当する区分を探すことにより、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択指示するための選択指示手段と、
d)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に位置付け、前記選択指示されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線との位置関係に基づいて、前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を表す指標値、及び/又は、該未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
また、第2発明に係るにおい測定装置は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に位置付け、前記n種類の標準においに対応したn本の基準においベクトル又は基準におい曲線との位置関係に基づいて、前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を判断する類似性判断手段と、
d)測定対象の様々なにおい種を複数に分類した各区分毎に、前記指標値を算出するために好適な標準においの組み合わせを記述したテーブルを作成しておき、前記類似性判断手段による類似性の判断結果に応じて、前記テーブルにおいて該当する区分を探すことにより、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択する標準におい選択手段と、
e)前記m次元空間内に位置付けられた未知試料の測定結果と、前記標準におい選択手段により選択されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線との位置関係に基づいて、その未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態、及び効果】
1個の標準においをm個のにおいセンサで測定すると、各においセンサからその強度信号が出力されるため、m個のデータが生成される。これらは数学的には、m次元におい空間における1つの点で表される。この標準においの濃度が相違した複数の標準試料をそれぞれ測定すると、その濃度変化に伴ってにおい空間での点が或る方向に移動するから、その点を繋ぐ1本のベクトルを考えることができる。このにおいベクトルは、そのにおいの種類に特有な向きを有する。また、濃度変化に対する点移動の方向性を考慮しない場合には、ベクトルではなく曲線であると捉えることもできる。本発明に係るにおい測定装置において、基準データ取得手段はn種類の標準におい毎にこうした基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、そのベクトル又は曲線を表現するデータをメモリなどに保存しておく。ここで、標準においとしては、様々なにおい種に対応できるように、例えば各種の系列(芳香族系、硫黄系、炭化水素系など)を代表するにおいを適宜に選択しておく。
【0013】
第1発明に係るにおい測定装置による測定を行おうとする測定者は、測定対象である未知試料が有する未知においの種別や区分についての何らかの情報を予め得ている。例えば悪臭を測定しようとする場合、その未知試料がどのような場所で採取されたものであるか知っていれば、どのような種類の工場から発せられた悪臭であるのかを容易に推断することができる。そこで、第1発明に係るにおい測定装置では、測定者はこうした事前に知り得た情報を基に、その未知試料のにおい測定を行うために適切と思われる標準においを選択指示手段により入力する。この際に、においの種別や区分に対応してどのような標準においを選択するのが適当であるのかを記載した参照情報として、測定対象の様々なにおい種を複数に分類した各区分毎に前記指標値を算出するために好適な標準においの組み合わせを記述したテーブルが測定者に提示されるから、測定者はそれを利用する。
【0014】
未知試料の測定結果は、上述したような基準においベクトル又は基準におい曲線が形成されたm次元空間内に、或る1つの点(測定点)として位置付けられる。従って、指示値算出手段は、その測定点と上記選択指示手段により指定された標準においに対応するh本の基準においベクトルとの位置関係や、未知試料の濃度を変えて測定することによって得られる未知においベクトルの向きとそのh本の基準においベクトルの向きとの関係、標準におい曲線の場合には、測定点からh本の各基準におい曲線への最短距離などに応じて、その未知においと標準においとの類似性を判断する。また、基準においベクトル又は基準におい曲線上の各点の位置は標準におい成分の濃度に対応しているから、測定点から最短の距離を与える該基準においベクトル又は基準におい曲線上の点の位置などから、未知においにおける標準におい相当の換算濃度を得る。
【0015】
一方、第2発明に係るにおい測定装置では、類似性判断手段が、未知試料の測定点とn種類の全ての標準においに対応するn本の基準においベクトルとの位置関係や、未知試料の濃度を変えて測定することによって得られる未知においベクトルの向きとそのn本の基準においベクトルの向きとの関係、標準におい曲線の場合には、測定点からh本の各基準におい曲線への最短距離などに応じて、その未知においと標準においとの類似性を判断する。そして、標準におい選択手段は、類似性の判断結果を用いて、未知においが別途作成された上述のようなテーブルのうちのどのにおいの範疇に属するのかを判断し、それに対応付けられた標準においを選択する。すなわち、類似性判断手段及び標準におい選択手段が、上記第1発明に係るにおい測定装置における、未知試料に関する事前情報と測定者による判断と選択指示手段との機能を果たす。
【0016】
その後に、指示値算出手段は、上記測定点から最短の距離を与える該基準においベクトル上の点の位置などから、未知においにおける標準におい相当の換算濃度を得る。そして、人間の嗅覚の特性を反映した嗅覚閾値又はこれに相当する値を含む演算式に則って、上記換算濃度から例えばにおい強度、臭気指数などのにおいの強さの程度を表す指標値を算出する。
【0017】
また具体的には、未知試料が有する未知においと標準においとの類似性は、未知試料の測定結果をm次元空間内に1個の測定点として位置付け、選択指示されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線のそれぞれに対し上記測定点からの距離が最短となるような前記ベクトル又は曲線上の点を求めたときの、その距離に基づいて判断することができる。また、未知においの強さの程度は、前記基準においベクトル又は基準におい曲線上での前記点の位置に基づいて求めることができる。
即ち、第3発明に係るにおい測定装置は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)測定者が、測定対象である未知試料の種類又は区分に応じて、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択指示するための選択指示手段と、
d)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に1個の測定点として位置付け、前記選択指示されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線のそれぞれに対し前記測定点からの距離が最短となるような前記ベクトル又は曲線上の点を求め、その距離に基づいて前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を表す指標値を算出し、及び/又は、前記ベクトル又は曲線上での前記点の位置に基づいて前記未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴としている。
また第4発明に係るにおい測定装置は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に1個の測定点として位置付け、前記n種類の標準においに対応したn本の基準においベクトル又は基準におい曲線のそれぞれに対し前記測定点からの距離が最短となるような前記ベクトル又は曲線上の点を求め、その距離に基づいて前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を判断する類似性判断手段と、
d)その類似性の判断結果に応じて、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択する標準におい選択手段と、
e)前記標準におい選択手段により選択されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線上での前記点の位置に基づいて前記未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0018】
以上のように本発明に係るにおい測定装置によれば、測定対象である未知においのにおい強度などに寄与の低い標準においを除き、比較的少数の標準においを用いてその未知においの質を表現したり、或いは、その未知においの強さの程度を示す指標値を算出する。従って、寄与の度合の低い又は殆ど寄与しない標準においを含む多数の標準においを用いて、未知においの質を表現する場合に比べて、においの質をより的確に且つ明確に表現することができ、測定者にとってみればにおいの質を一層理解し易くなる。
【0019】
また、未知においのにおいの強さの程度を見積もる際に、寄与の度合の低い又は殆ど寄与しない標準においも考慮してしまうと、特ににおいが比較的弱い場合にオーバーエスティメイト(過大見積もり)をする傾向にあって誤差が大きくなるが、本発明に係るにおい測定装置によれば、こうしたオーバーエスティメイトが解消又は軽減され、においの強さを従来よりも一層高い精度で算出することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の一実施例である第1実施例のにおい測定装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例によるにおい測定装置のブロック構成図である。
【0021】
本実施例のにおい測定装置は、試料を吸引するための吸入口1、吸引した試料に前処理を施す前処理部2、未知試料又は標準におい成分を含む標準試料を測定するための、応答特性が異なる複数(この例では10個であるがこれに限らない)のにおいセンサ30〜39を備えたセンサセル3、未知試料又は標準試料をセンサセル3に引き込むためのポンプ4、においセンサ30〜39による検出信号を解析処理する信号処理部5、解析処理の出力をディスプレイ画面上に表示する表示部6、本装置全体の動作を制御する制御部7、キーボードを含む標準におい選択指示部8等から構成される。
【0022】
前処理部2では、試料に含まれる水分の除去、試料の濃縮/希釈、妨害ガスの除去等が行われる。においセンサ30〜39は、例えばにおい成分に応じて抵抗値が変化する酸化物半導体センサであるが、導電性高分子センサや、水晶振動子やSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出手法によるセンサでもよい。信号処理部5(及び制御部7)はパーソナルコンピュータを中心に構成され、該コンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより、ピーク抽出部51、ベクトル演算部52、基準ベクトル記憶部53、標準におい換算濃度算出部54、臭気指数算出部55、嗅覚閾値記憶部56等として機能する。
【0023】
なお、硫化水素やアンモニアなど酸化物半導体センサでは検出しにくいにおい物質については、センサセル3とは別の部分で測定できるようにすることにより、におい識別力を増すようにしてもよい。
【0024】
次いで、本実施例のにおい測定装置による測定手順を説明する。本におい測定装置では、予め複数種類のにおい成分をそれぞれ単独で含む標準試料を測定して基準データとして保持しておく。標準試料は、例えばボンベ(気体)、液体、固体から発生する原料ガスを混合・希釈することにより調製される。原料ガスは、常温でガスのものについてはガスボンベに封入しておき、一定量を取り出して使用すればよい。液体の場合はガラス容器等に入れ、所定温度に保ったり窒素ガスをバブリングしたりすることによりにおいを発生させればよい。また、固体のものは、所定温度に保つことによりにおいを発生させればよい。
【0025】
ここでは、主として大気中の悪臭を測定することを想定し、良性の標準においとして、芳香族系(トルエンなど)、炭化水素系(ヘプタンなど)、エステル系(酢酸エチルなど)の3種を用い、悪性の標準においとして、アミン系(トリメチルアミンなど)、アルデヒド系(ブチルアルデヒドなど)、硫黄系(メチルメルカプタンなど)、有機酸系(酪酸など)、アンモニア、硫化水素の6種を採用している。
【0026】
上記9種類の標準においについて、それぞれ濃度を変えて調製した標準試料を吸入口1に供給し、ポンプ4を作動させることにより該標準試料をセンサセル3に引き込む。センサセル3に導入された標準試料がにおいセンサ30〜39に接触すると、各においセンサ30〜39からそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。信号処理部5においてピーク抽出部51は、1系統の出力信号の時間的変動の中で極大点(ピークトップ)を捉え、各においセンサ30〜39毎に1つずつの検出信号を得る。もちろん、ピークトップを検出信号とするほかに、例えばピーク面積を用いる等、適宜に変形を行うことができる。従って、ピーク抽出部51では、1個の標準試料に対して全部で10個の測定データDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6,DS7,DS8,DS9,DS10が得られる。10個のにおいセンサ30〜39による検出信号をそれぞれ異なる方向の軸として形成される10次元におい空間を考えると、上記10個の測定データはにおい空間内の或る1点(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6,DS7,DS8,DS9,DS10)で表すことができる。
【0027】
濃度の相違する同一標準においを含む標準試料を測定することによって上記10次元におい空間内に位置付けられる測定点は、その濃度変化に応じて或る方向に移動するから、ベクトル演算部52は同一標準においに対して取得された複数の測定点に基づいて1本の基準においベクトルを作成する。そして、上記9種類の標準においを測定することでそれぞれ異なる9本の基準においベクトルS1〜S9を作成し、その基準においベクトルを表現するデータを基準ベクトル記憶部53に格納する。この基準ベクトル記憶部53に格納されるデータが、未知試料に含まれる未知においの性質や強度などを推算する際の基準データとなる。
【0028】
10次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図2に示すような、第1、第2なる2個のにおいセンサの検出信号DS1,DS2により形成される2次元におい空間で考えることとする。この2次元におい空間内において、或る1個の標準試料に対する第1、第2においセンサによる2個の測定データは、或る1点(DS1,DS2)で表され、1種類の標準においの測定結果により作成される1本の基準においベクトルSは、例えば図2に示すように位置付けられる。
【0029】
測定対象である未知試料を測定するに先立って、測定者9はその未知試料のにおい測定に利用する標準においの種類を、標準におい選択指示部8により指定する。この際に測定者9は、例えば装置メーカから提供される標準におい選択例示一覧表10を利用する。
【0030】
図3は標準におい選択例示一覧表10の一例を示す図である。ここでは、においの種別や区分を悪臭源として規定しており、図示したように、例えば樹脂製造工場、魚加工工場、…などの悪臭源に分類している。そして、各悪臭源毎に、その悪臭源から発生したにおいを測定するのに好適な標準においを最大4種類指定してあり、それを〇印で示している。一例を挙げると、悪臭源がごみ処理場である場合には、そのにおいを測定するのに適した標準においは、硫化水素、アミン系、有機酸系、アルデヒド系の4種である。こうした標準におい選択例示一覧表10は、例えばにおいの成分分析データと各悪臭物質の閾値を利用して作成することができ、図3は単に一例に過ぎない。標準におい選択例示一覧表10に指定されている標準においは、各悪臭源から発生するにおいに対して、濃度とは直接関係なく、あくまでも官能的なにおい強度に寄与する度合が高いものが選択されているとみることができる。
【0031】
未知試料であっても、その悪臭源が特定されている場合又は悪臭源の類推が可能である場合には、上記のような標準におい選択例示一覧表10を利用して最大4種類の標準においを選択することができる。そうして標準におい選択指示部8から与えられた選択情報は制御部7を経て信号処理部5へと入力され、標準におい換算濃度算出部54に保持される。
【0032】
未知試料を測定する際には、吸入口1に該未知試料を供給し、ポンプ4を作動させて未知試料をセンサセル3に引き込む。このとき10個のにおいセンサ30〜39による出力信号は上述したようにピーク抽出部51に与えられ、各においセンサ30〜39毎に1つずつの検出信号が得られ標準におい換算濃度算出部54へと入力される。
【0033】
未知試料が有する未知においの成分は不明であるが、そのにおいの質を推算する仮定として、上記9種類の標準においのうち上述したように選択されている最大4種類の標準においの合成臭であるものと仮定する。その仮定の下で、基準ベクトル記憶部53に格納されている最大4本の基準においベクトルを利用し、その未知においを構成する各標準におい相当の換算量(換算濃度)を算出する。具体的には、標準におい換算濃度算出部54は例えば次のような方法により、標準におい相当の換算濃度を算出する。
【0034】
説明を簡単にするために、ここでも図2に示した2次元におい空間で説明する。まず、未知試料の測定によって2次元におい空間内に位置付けられた測定点Pから基準においベクトルSへの距離が、最短となるような該ベクトルS上の点Qを探索する。基準においベクトルS上の各点は標準においの濃度に対応付けられるから、上記点Qの位置(又はベクトルS上の長さL)に基づいて、その未知においに対する標準におい相当の仮の濃度を求めることができる。また、測定点Pと点Qとの間の距離dが短いほど未知においとその標準においとの類似性が高いと看做すことができるから、距離dに応じて上記のように求まった標準におい相当の仮の濃度を補正し、標準におい相当の換算濃度として定める。
【0035】
なお、未知試料の測定結果から標準におい相当の換算濃度を求める方法はこれに限るものではなく、各種の方法によることができる。他の一例としては、未知試料の濃度を変えて測定することにより、基準においベクトルと同様に未知試料に対する未知においベクトルをにおい空間内に作成し、その未知においベクトルと基準においベクトルとの成す角度や、未知においベクトルを基準においベクトル上に正射影してできるベクトルの長さなどに基づいて、標準におい相当の換算濃度を算出するようにしてもよい。
【0036】
各においセンサ30〜39において、におい成分の濃度とその検出出力との関係が線形である場合には、においベクトルは図2に示したように直線形状となるが、におい成分の濃度と検出出力との関係が非線形である場合には、においベクトルは2次元(実際には10次元)におい空間内で図6に示すように湾曲した曲線形状となる。しかし、その場合でも、上記趣旨に基づき、測定点Pから基準においベクトルSへの距離dが最短となるような該ベクトルS上の点Qを見つければよいことは同様である。
【0037】
また、においベクトルは濃度変化(濃度上昇)に対する測定点の移動の方向を考慮したものであるが、方向性を考慮しなければ、においベクトルは単なるにおい曲線とみることができる。従って、上記基準においベクトルは基準におい曲線であると言うこともできる。すなわち、図7に示すように、標準におい成分の濃度を変化させたときのセンサ出力による測定点から基準におい曲線を作成し、未知においの測定点Pから基準におい曲線までの最短距離dを見つける。そして、各基準におい曲線までの最短距離に基づいて、未知においの標準においに対する類似性を判断することができ、また、点Qに対応した濃度から標準におい相当の換算濃度を算出することができる。
【0038】
図2では未知試料の測定点Pと1本の基準においベクトルSとの関係のみを描いているが、実際には10次元におい空間内に最大4本の基準においベクトルが存在する。いま一例として、上述したように悪臭源がごみ処理場である場合を考えると、図5に模擬的に示すように、10次元におい空間内に硫化水素、アミン系、有機酸系及びアルデヒド系の4本の基準においベクトルS1、S4、S5、S6が存在する。従って、標準におい換算濃度算出部54は、未知試料の測定点Pから各基準においベクトルS1、S4、S5、S6への距離がそれぞれ最短となるような各ベクトルS1、S4、S5、S6上の点Q1、Q4、Q5、Q6をそれぞれ探索する。そして、未知試料の測定点Pとそれら点Q1、Q4、Q5、Q6との距離d1、d4、d5、d6を求め、点Q1、Q4、Q5、Q6の位置に応じた仮の濃度と距離d1、d4、d5、d6とから各標準におい相当の換算濃度C1、C4、C5、C6を算出する。
【0039】
標準におい換算濃度算出部54は上記のような演算処理を実行し、求まった換算濃度を臭気指数算出部55へと送る。嗅覚閾値記憶部56には、上記9種類の標準においに対応した嗅覚閾値(必ずしもその標準においそのものに対する嗅覚閾値でなくともよい)TH1〜TH9が保存されている。この嗅覚閾値は測定者が入力するようにしてもよいし、本装置の出荷時点でメーカー側が標準的な値を記憶させておくようにしてもよい。
【0040】
臭気指数算出部55は、選択された標準においについて対応する嗅覚閾値を嗅覚閾値記憶部56から読み出す。そして、各標準においの換算濃度を嗅覚閾値で除することにより、人間の嗅覚特性を反映したにおい強度の指標値に変換する。さらに、各標準においのにおい強度を用いて未知においのにおい強度を求め、これを所定の計算式を用いて臭気指数に変換する。なお、未知においの総合臭気の強度として最大値モデルを用いる場合には、各標準におい成分のうちの最大のものを選択すればよく、一方、総加モデルを用いる場合には、各標準におい成分の臭気指数を求めた後に一旦臭気濃度に換算し、それら全てを加え合わせた後に再度臭気指数を算出するようにすればよい。信号処理部5は、こうして算出した臭気指数やそのほかの各種指標値を表示部6の画面上に表示し、測定者9に提示する。
【0041】
以上説明したように、第1実施例のにおい測定装置では、測定者による入力指示に基づいて、予め用意された多数の標準においの中から、未知試料が有するにおいの臭気指数を精度よく算出するのに好適な標準においが適宜選択され、該標準においの測定結果を用いて未知においの臭気指数が計算される。その効果を実証した測定例については後述するが、用意された多数の標準においを全て用いて臭気指数を算出する場合に比べて、格段にその精度を上げることができる。また、においの性質を各標準においに対する類似度などによって表現する場合でも、標準においの種類を限定したほうがその未知においの特徴が明確になる。
【0042】
次に、第2発明に係るにおい測定装置の一実施例である第2実施例について説明する。図8はこの第2実施例によるにおい測定装置のブロック構成図であり、上記第1実施例の構成要素と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
上記第1実施例との本質的な相違は、上記第1実施例では標準においの選択作業を測定者が行っていたのに対し、この第2実施例では信号処理部5において自動的に必要な標準においが選択されることである。そうした動作を達成するために、信号処理部5は類似性判定部57と標準におい選択部58とを機能的に備えている。
【0044】
第2実施例のにおい測定装置の特徴的な動作を説明する。複数種類(ここでは9種類)の標準においを予め測定し、9本の基準においベクトルS1〜S9を作成して該ベクトルS1〜S9を表現するデータを基準ベクトル記憶部53に保存しておくまでは第1実施例と同じである。
【0045】
未知試料の測定に際し、その未知試料が有する未知においに関する情報(例えば上述したような悪臭源など)がない場合には、測定者自らは適切な標準においの選択指示を与えることができない。そこで、本装置では、未知試料に対するにおいセンサ30〜39の検出信号を取得した後、類似性判定部57が、標準においを取捨選択することなく9種類全ての標準においによる基準においベクトルS1〜S9を用い、10次元におい空間内での未知試料の測定点Pと各基準においベクトルS1〜S9との位置関係から、各標準においに対する類似度を算出する。具体的には、図4に示すように、測定点Pと基準においベクトルS1〜S9との最短距離をそれぞれ求め、その距離に応じて類似度を定義する。或いは、未知試料の濃度を変えて測定することによって未知においベクトルを作成し、未知においベクトルと基準においベクトルとの成す角度に応じて類似度を定義するようにしてもよい。
【0046】
このようにして、9種類の標準においに対する類似度をそれぞれ求める。これら類似度は未知においの質を表していると捉えることができるから、標準におい選択部58は、例えばそれら類似度の大小関係から、未知においが図3に示したようなにおい種の区分(ここでは悪臭源による区分)のいずれに分類されるのかを判断する。そして、そのにおい種の区分に応じて予め決められている標準においを選択する。例えば、類似度に基づき未知においがゴム工場の悪臭に分類された場合には、標準においとして硫化水素と硫黄系の2種類が選択されることになる。
【0047】
この選択指示情報は標準におい換算濃度算出部54へと送られ、今度は、上記選択された標準においによる基準においベクトルのみを用いて、未知においの臭気指数を算出する。その方法については第1実施例と同様である。従って、この第2実施例のにおい測定装置では、未知試料に関する事前情報がない場合であっても、第1実施例と同様に、未知においの臭気指数やそのほかのにおい強度に関する指標値を高い精度で算出することができる。
【0048】
上記第1及び第2実施例ともに、標準においの種類を限定して未知においの臭気指数を求めているが、実際に、9種類全ての標準においを用いて臭気指数を算出した場合と、特に寄与の高い4種類の標準においを選択して臭気指数を算出した場合とでの算出精度の違いについて、実測例を挙げて説明する。
【0049】
図9(A)は9種類の標準においを用いた場合(つまり標準においの取捨選択を行わなかった場合)、図9(B)は寄与の高い4種類の標準においのみを用いた場合における、それぞれの臭気指数の誤差を表すグラフである。これらグラフにおいて、横軸は6人のパネルによる官能試験で求めた臭気指数、縦軸は本装置により算出した臭気指数(ここでは予測臭気指数という)である。すなわち、図9(A)及び(B)中に点線で示した直線が両臭気指数が一致した状態であって誤差がゼロである。
【0050】
図9(A)に示すように、様々な種類のにおいに対応するために用意した9種類全ての標準においを用いて解析処理を行った場合には、特に臭気指数が低い領域つまりにおいが比較的弱い状態であるときに、予測臭気指数が過大になって誤差が拡大する傾向が顕著に現れている。これは、標準においの数が多い場合に各標準においが寄与するにおい強度を加算することによって、未知においのにおい強度(又は臭気指数)がオーバーエスティメイトされてしまったためであると考えられる。
【0051】
標準においの種類を限定すると、こうしたオーバーエスティメイトが解消され、図9(B)に示すように、低臭気指数領域においても予測臭気指数が過大にならず、誤差が縮小して予測臭気指数の算出精度が向上していることが判る。このように、測定対象のにおいに応じて標準においの種類を絞ることによって、臭気指数やそのほかのにおいの強さに関する指標値の算出精度が向上し、特に官能試験に代替できる可能性が格段に高まる。
【0052】
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を加えることができることは明らかである。
【0053】
例えば、第2実施例において標準におい選択部58は未知においの類似性から臭気指数の算出に好適な標準においを選定した後にこれを表示等によって測定者に通知し、測定者が該通知に基づいて標準においを選択指示するようにしてもよい。また、におい種の区分への分類などの手順を経ることなく、直接的に標準においを選択する処理を行うようにすることもできる。
【0054】
また、上記実施例では予め標準試料の測定が終了して基準においベクトルが作成されていることを前提としていたが、例えば、複数の標準においが自動的に測定できるようにセットされた装置では、測定者による選択指示が成された後、選択された標準においの測定を行って必要とする基準においベクトルを作成し、その基準においベクトルを利用して未知においの臭気指数を算出する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例によるにおい測定装置のブロック構成図。
【図2】 第1実施例のにおい測定装置の測定原理の説明図。
【図3】 第1実施例のにおい測定装置での測定に利用される標準におい選択例示一覧表の一例を示す図。
【図4】 第1実施例のにおい測定装置における、10次元におい空間内での9本全ての基準においベクトルの配置例を示す概念図。
【図5】 第1実施例のにおい測定装置における、10次元におい空間内での選択された4本の基準においベクトルの配置例を示す概念図。
【図6】 第1実施例のにおい測定装置の測定原理の補助的な説明図。
【図7】 第1実施例のにおい測定装置の測定原理の補助的な説明図。
【図8】 本発明の第2実施例によるにおい測定装置のブロック構成図。
【図9】 9種類全ての標準においを用いて臭気指数を算出した場合と、寄与の高い4種類の標準においを選択して臭気指数を算出した場合とでの精度の違いを説明するためのグラフ。
【符号の説明】
1…吸入口
2…前処理部
3…センサセル
30〜39…においセンサ
4…ポンプ
5…信号処理部
51…ピーク抽出部
52…ベクトル演算部
53…基準ベクトル記憶部
54…標準におい換算濃度算出部
55…臭気指数算出部
56…嗅覚閾値記憶部
57…類似性判定部
58…標準におい選択部
6…表示部
7…制御部
8…標準におい選択指示部
9…測定者
10…標準におい選択例示一覧表
Claims (4)
- a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)測定対象の様々なにおい種を複数に分類した各区分毎に前記指標値を算出するために好適な標準においの組み合わせを記述したテーブルに基づき、測定者は該テーブルにおいて測定対象である未知試料が該当する区分を探すことにより、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択指示するための選択指示手段と、
d)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に位置付け、前記選択指示されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線との位置関係に基づいて、前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を表す指標値、及び/又は、該未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴とするにおい測定装置。 - a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に位置付け、前記n種類の標準においに対応したn本の基準においベクトル又は基準におい曲線との位置関係に基づいて、前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を判断する類似性判断手段と、
d)測定対象の様々なにおい種を複数に分類した各区分毎に、前記指標値を算出するために好適な標準においの組み合わせを記述したテーブルを作成しておき、前記類似性判断手段による類似性の判断結果に応じて、前記テーブルにおいて該当する区分を探すことにより、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択する標準におい選択手段と、
e)前記m次元空間内に位置付けられた未知試料の測定結果と、前記標準におい選択手段により選択されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線との位置関係に基づいて、その未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴とするにおい測定装置。 - a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)測定者が、測定対象である未知試料の種類又は区分に応じて、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択指示するための選択指示手段と、
d)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に1個の測定点として位置付け、前記選択指示されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線のそれぞれに対し前記測定点からの距離が最短となるような前記ベクトル又は曲線上の点を求め、その距離に基づいて前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を表す指標値を算出し、及び/又は、前記ベクトル又は曲線上での前記点の位置に基づいて前記未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴とするにおい測定装置。 - a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により表されるn本の基準においベクトル又は基準におい曲線を作成し、該ベクトル又は曲線を表現するデータを保存しておく基準データ取得手段と、
c)前記未知試料の測定結果を前記m次元空間内に1個の測定点として位置付け、前記n種類の標準においに対応したn本の基準においベクトル又は基準におい曲線のそれぞれに対し前記測定点からの距離が最短となるような前記ベクトル又は曲線上の点を求め、その距離に基づいて前記未知試料が有する未知においと標準においとの類似性を判断する類似性判断手段と、
d)その類似性の判断結果に応じて、前記n種類の標準においのうちのh(1≦h<nの整数)種類の標準においを選択する標準におい選択手段と、
e)前記標準におい選択手段により選択されたh種類の標準においに対応したh本の基準においベクトル又は基準におい曲線上での前記点の位置に基づいて前記未知においの強さの程度を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
を備えることを特徴とするにおい測定装置。
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