JP3918687B2 - におい測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未知のにおい(香気、臭気など全て含む)がどのような種類のにおいであるのか、或いはどの程度の強さのにおいであるのかを測定するにおい測定装置に関する。なお、本発明に係るにおい測定装置は、悪臭測定装置、食品や薬品などの品質検査や品質評価を行う装置など、幅広い分野に適用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来、においの識別や評価は、実際に人間の嗅覚を用いて行われるのが一般的であった。しかしながら、実際に臭いを嗅ぐ人(パネル)の個人差やその日の体調によって嗅覚が変動することを想定する必要があるため、客観的な結果を精度良く得るためには、パネルを一定人数以上確保し、試験場所の環境等にも十分な配慮を必要とする。そのため、手間と時間が膨大なものとなる。また、このような配慮を行っても、人間の嗅覚はにおいに順応するという特性を有しているため、常に一定基準で確定的な判断を下すことは困難であった。
【0003】
これに対し、近年、におい物質に対して応答するにおいセンサを利用したにおい測定装置が、特許文献1及び特許文献2などに開示されるとともに商品化されている(例えば島津製作所製のFF−1など)。このようなにおい測定装置では、複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、クラスター分析、主成分分析等の各種多変量解析処理、或いはニューラルネットワークを用いた非線形解析処理などを行って、複数の試料のにおいの離間距離(近い範疇のにおいであるかどうか)を求めることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−352088号公報
【特許文献2】
特開2002−22692号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のにおい測定装置は、複数の試料のにおいの類似性や相違性を判断することを主目的としたものであり、1つの試料のにおいの評価を客観的に行いたいような目的にはあまり適さない。また、同じ理由により、複数のにおい測定装置で別々に得られたにおいの測定結果を比較検討するのは困難であるという問題もあった。
【0006】
また、上記のようなにおい測定装置に使用されるにおいセンサは、一般的に、その応答感度の経時変化が比較的大きい。そのため、従来次のような方法でその感度の補正が行われている。
(1)単一の標準においガスについて一定濃度のガスを校正の標準として測定し、その結果から補正係数等を算出し、においセンサ毎に補正演算を行う。
(2)複数の標準においガスについてそれぞれ一定濃度のガスを校正の標準として測定し、その測定結果の平均値又はその測定値から所定関数により導出した値を用いて補正係数等を算出し、においセンサ毎に補正演算を行う。
【0007】
しかしながら、においセンサはその特性として不特定多数のにおいガスに対して感度を有しており、また、におい測定装置では殆どの場合、混合成分である未知においを成分分離することなくセンサセルに導入する構成であるため、校正の標準に用いたガス種以外のガス種に対してにおいセンサの感度変動が生じた場合には、上記のような補正が充分には機能せず誤差が大きくなった。更にまた、異なる装置にそれぞれ搭載されているにおいセンサの感度特性の違いに対しても、上記方法による補正は有効に機能しなかった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、測定対象の試料が1つであっても、そのにおいの評価を客観性を以て行うことができるにおい測定装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数の装置間でにおい測定結果を共有し、においの性質や強さなどの比較を容易に行うことができるにおい測定装置を提供することにある。更に本発明の他の目的は、においセンサの経時変化等による感度変動を的確に補正して、精度の高い測定結果を得ることができるにおい測定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係るにおい測定装置は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサの検出出力により形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により、それぞれ基準においベクトルを作成して保持しておく基準ベクトル取得手段と、
c)前記m次元空間内に未知試料の測定結果による測定点を位置付け、n本の前記基準においベクトルのうちの少なくも2本の基準においベクトルを基準軸としてそれら基準軸に対する前記測定点の相対的な位置関係に基づいて、その未知試料が有する未知においの性質を表現する指標値、又は、未知においの性質を表現する指標値及び該未知においの強さの程度を表現する指標値、を算出する指標値算出手段と、
を備え、前記指標値算出手段は、前記測定点と前記少なくとも2本の基準軸との最短距離をそれぞれ求め、該距離に応じて、前記未知においの性質を表現する指標値として、該未知においの各標準においに対する類似度の比又はそれに相当する値を算出することを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態、及び効果】
或る1種の標準においをm個のにおいセンサで測定すると、各においセンサからそれぞれ強度信号が出力されるため、m個のデータが得られる。これらは数学的には、m次元におい空間における1つの点(測定点)で表される。或る1種の標準においについて濃度が相違した複数の標準試料をそれぞれ測定すると、その濃度変化に伴ってm次元におい空間内での上記測定点は或る方向に移動するから、その測定点を繋ぐ1本のベクトル(本明細書ではこのベクトルを「においベクトル」と呼ぶ)を考えることができる。このにおいベクトルは、そのにおいの種類に特有な向きを有する。本発明に係るにおい測定装置において、基準ベクトル取得手段はn種類の標準におい毎にこうしたにおいベクトルを作成し、例えばその基準においベクトルを表現するデータをメモリに格納しておく。
【0011】
一方、未知試料の測定結果も、上述したようなn本の基準においベクトルが形成されたm次元空間内において、或る1個の測定点として位置付けられる。上記n本の基準においベクトルのうちの少なくとも2本の基準においベクトルをにおいの基準軸と考え、指標値算出手段は、その複数の基準軸で形成される空間内における未知においの測定点の位置、換言すれば、複数の基準軸に対する測定点の相対的な位置付けに基づいて、未知においの性質を表現する指標値や未知においの強さの程度を表現する指標値を算出する。
【0012】
なお、ここで「n本の基準においベクトルのうちの少なくとも2本」としているのは、場合によっては、或る標準においが未知においに全く寄与しないことが予めわかっていることがあり、そのときには、寄与しない標準においによる基準においベクトルを始めから除外して考えたほうが精度の向上が図れるためである。また、ここでは、におい成分の濃度変化に対する点の移動の方向性を明確にするために「ベクトル」という文言を用いているが、実際には、におい成分の濃度に対するセンサ出力をm次元空間内で表現した曲線(直線となる場合もあり得る)とみることもできる。従って、「基準においベクトル」は単に「基準におい曲線」と言い換えても構わない。
【0013】
本発明に係るにおい測定装置では、特に、上記指標値算出手段は、測定点と少なくとも2本の基準軸との最短距離をそれぞれ求め、該距離に応じて、前記未知においの性質を表現する指標値として、該未知においの各標準においに対する類似度の比又はそれに相当する値を算出する。
【0014】
すなわち、単に、測定点と或る1本の基準においベクトル(又は基準軸)との関係に基づいて未知においに寄与するその標準においの類似度を求めるのではなく、複数の基準においベクトルとの相対的な位置関係に基づいて、各標準においに対する類似度の比を求める。これにより、複数の標準においに対するその未知においの位置付けが明確になり、単に各基準においベクトルに対する類似度で表現する場合に比べて、未知においの性質をより的確に且つ正確に表現することができる。
【0015】
また、本発明に係るにおい測定装置において、指標値算出手段は、嗅覚閾値又はそれに相当する換算基準値を用い、人間の嗅覚特性を反映した類似比又はそれに相当する値を算出する構成とすることができる。ここで、嗅覚閾値とは人間が感知できる最小のにおい強度を表す値であり、におい成分毎に定めることができる。この構成によれば、複数のにおいの比較などを行う場合に、人間の官能評価に近い判断を下すことができる。
【0016】
このように本発明に係るにおい測定装置によれば、予め複数の標準においを測定しておくことによって、或る1つの未知試料の測定で得られた結果からその未知試料が有する未知においの客観的な評価を行うことができる。それによって、複数の未知のにおいの比較や類似性の判断も行い易くなる。また、においの測定結果はその装置特有のものでなく他の装置でも共有できるので、複数の装置で別々に測定した結果を比較することができ、におい測定の応用範囲が広がる。
【0017】
また、本発明に係るにおい測定装置では、濃度が既知であるような標準試料の実際の測定により作成される基準においベクトルが、未知試料の位置を示す一種の基準となるので、たとえにおいセンサに感度変動が起こっても、その変動後の測定により基準においベクトルを更新することによって、においセンサの変動要因は吸収され、いわば自動的に校正された状態となる。従って、煩雑で面倒な補正処理を行う必要がなく、常に高い正確性でにおいの性質や強さを評価することができる。また、異なる装置についても各装置で基準においベクトルを頻繁に更新することにより、装置個体差が一層軽減され、においの比較の正確性が一層向上する。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の一実施例であるにおい測定装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例によるにおい測定装置のブロック構成図である。
【0019】
本実施例のにおい測定装置は、試料を吸引するための吸入口1、吸引した試料に前処理を施す前処理部2、未知試料又は標準におい成分を含む標準試料を測定するための、応答特性が異なる複数(この例では6個)のにおいセンサ31〜36を備えたセンサセル3、未知試料又は標準試料をセンサセル3に引き込むためのポンプ4、においセンサ31〜36による検出信号を解析処理する信号処理部5、解析処理の出力をディスプレイ画面上に表示する表示部6、本装置全体の動作を制御する制御部7、等から構成される。
【0020】
前処理部2では、試料に含まれる水分の除去、試料の濃縮/希釈、妨害ガスの除去等が行われる。においセンサ31〜36は、例えばにおい成分に応じて抵抗値が変化する酸化物半導体センサであるが、導電性高分子センサや、水晶振動子やSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出手法によるセンサでもよい。信号処理部5(及び制御部7)はパーソナルコンピュータを中心に構成され、該コンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより、ピーク抽出部51、ベクトル演算部52、基準ベクトル記憶部53、演算処理部54、嗅覚閾値記憶部55、等として機能する。
【0021】
次いで、本実施例のにおい測定装置による測定手順を説明する。本におい測定装置では、予め複数種類のにおい成分をそれぞれ単独で含む標準試料を測定して基準データとして保持しておく。標準試料は、例えばボンベ(気体)、液体、固体から発生する原料ガスを混合・希釈することにより調製される。原料ガスは、常温でガスのものについてはガスボンベに封入しておき、一定量を取り出して使用すればよい。液体の場合はガラス容器等に入れ、所定温度に保ったり窒素ガスをバブリングしたりすることによりにおいを発生させればよい。また、固体のものは、所定温度に保つことによりにおいを発生させればよい。
【0022】
標準においとしては適宜に選ぶことができるが、例えばトルエン、n−ブタノール、酢酸エチル、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、酪酸、ブチルアルデヒドの7種類を使用する。これらはそれぞれ同系列のにおい質群を代表するものとして選定され、トルエンは芳香族系の代表、n−ブタノールはアルコール系の代表、酢酸エチルはエステル系の代表、トリメチルアミンはアミン系の代表、メチルメルカプタンは硫黄系の代表、酪酸は有機酸系の代表、ブチルアルデヒドはアルデヒド系の代表である。但し、これは一例であって、適宜に選べることは前述の通りである。
【0023】
上記7種類の標準においについて、それぞれ複数段階に濃度を変えて調製した標準試料を吸入口1に供給し、ポンプ4を作動させることにより該標準試料をセンサセル3に引き込む。センサセル3に導入された標準試料がにおいセンサ31〜36に接触すると、各においセンサ31〜36からそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。信号処理部5においてピーク抽出部51は、1系統の出力信号の時間的変動の中で極大点(ピークトップ)を捉え、各においセンサ31〜36毎に1つずつの検出信号を得る。もちろん、ピークトップを検出信号とするほかに、例えばピーク面積を用いる等、適宜に変形を行うことができる。従って、ピーク抽出部51では、1個の標準試料に対して全部で6個の測定データDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6が得られる。6個のにおいセンサ31〜36による検出信号をそれぞれ異なる方向の軸として形成される6次元におい空間を考えると、上記6個の測定データは6次元におい空間内の或る1点(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6)で表すことができる。
【0024】
濃度の相違する同一標準においを含む標準試料による測定点は、上記6次元におい空間において濃度変化に応じて移動するから、ベクトル演算部52は同一標準においに対して取得された複数の測定点に基づいて1本の基準においベクトルを作成する。そして、上記7種類の標準においを測定することにより、7本の基準においベクトルS1〜S7を算出し、その基準においベクトルを表現するデータを基準ベクトル記憶部53に格納する。この基準ベクトル記憶部53に格納されるデータが、未知試料に含まれるにおいの性質や強度などを推算する際の基準データである。また、嗅覚閾値記憶部55には、各標準においに対応した嗅覚閾値を予め格納しておく。
【0025】
6次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図2に示すような、第1、第2なる2個のにおいセンサの検出信号DS1,DS2により形成される2次元におい空間で考えることとする。この2次元におい空間内において、或る1つの標準試料に対する第1、第2においセンサによる2個の測定データは或る1点(DS1,DS2)で表され、第1、第2なる2種類の標準においの測定結果は、それぞれ第1、第2基準においベクトルS1、S2として例えば図2に示すように描かれる。
【0026】
測定対象である未知試料を測定する際には、吸入口1に該未知試料を供給し、ポンプ4を作動させて未知試料をセンサセル3に引き込む。このとき6個のにおいセンサ31〜36による出力信号は上述したようにピーク抽出部51に与えられ、各においセンサ31〜36毎に1つずつの検出信号が得られ演算処理部54へと入力される。
【0027】
未知試料が有している未知においの成分は不明であるが、その性質や濃度を推算する仮定として、上記7種類の標準においのうちの2種類以上のにおいの合成臭であると仮定する。そして、その仮定の下で、基準ベクトル記憶部53に格納されている7本の基準においベクトルS1〜S7を利用し、未知においの性質を表す指標値として、各標準においに対する類似度の比(類似比)を算出する。具体的には、例えば次のような方法による。
【0028】
簡単のために、未知においは第1、第2標準においの合成臭として表現できるものとし、図2に示す2次元におい空間で説明する。未知においを表す測定点Pは、2次元におい空間内で図2に示すように位置付けられる。いま、測定点Pが基準においベクトルS1又はS2上に位置していれば、その未知においは第1又は第2標準においであると考えることができる。また、測定点Pが基準においベクトルS1又はS2上に位置していない場合、測定点Pが基準においベクトルS1、S2に近いほどその標準においに近い種類のにおいであると考えることができ、逆に距離が遠いほど遠い種類のにおいであると考えることができる。
【0029】
そこで、ここでは第1、第2基準においベクトルS1、S2をそれぞれ測定点Pの位置を表すための第1、第2基準軸とする。そして、測定点Pと第1基準軸との最短距離として、測定点Pから第1基準においベクトルS1への正射影をとったときの該ベクトルS1上の点Q1と測定点Pとの距離d1を得る。同様に測定点Pと第2基準軸との最短距離として、測定点Pから第2基準においベクトルS2への正射影をとったときの該ベクトルS2上の点Q2と測定点Pとの距離d2を得る。
【0030】
このとき、未知においの第1、第2標準においに対する類似度を各距離d1、d2の逆数(1/d1)、(1/d2)と定義し、この類似度の総和を1とするように、次式により第1、第2標準においに対する類似比α1、α2を定義する。
α1=(1/d1)/[(1/d1)+(1/d2)]
α2=(1/d2)/[(1/d1)+(1/d2)]
ここでα1は未知においに対する第1標準においの寄与割合、α2は未知においに対する第2標準においの寄与割合とみることができる。また、この類似比α1、α2は未知においが1個以上の標準においの混合で表されるとした場合の混合比率に相当する。
【0031】
なお、上記説明は未知においが2種類の標準においの合成臭であるとした場合の例であるが、3種類以上の標準においの合成臭であると仮定する場合でも、上記と同様にして各標準においの類似比を算出することができることは明らかである。
【0032】
ところで、各においセンサ31〜36において、におい成分の濃度とその検出出力との関係が線形である場合には、においベクトルは図2に示したように直線形状となるが、におい成分の濃度と検出出力との関係が線形でない場合には、においベクトルはm次元におい空間内で、図3に示すように例えば湾曲した曲線形状となる。その場合でも、上記趣旨に基づき、未知試料の測定点Pから第1、第2基準においベクトルS1、S2までの距離が最短となる各ベクトル上の点Q1、Q2を探索し、その距離d1、d2を求めればよい。
【0033】
また、演算処理部54では、次のようにして未知においのにおい強度を求める。図2で説明すると、未知においの測定点Pから各標準においベクトルS1、S2に対する正射影をとり、その正射影ベクトルの長さL1、L2に相当する標準においの濃度を、その未知においにおける各標準においの基本濃度として定義する。そして、この各基本濃度にそれぞれ類似比α1、α2を乗じることによって補正した結果を、各標準におい相当の換算濃度とする。すなわち、第1標準におい相当の換算濃度β1及び第2標準におい相当の換算濃度β2は次式で求まる。
β1= L1×α1
β2= L2×α2
【0034】
更に、この換算濃度β1、β2を、嗅覚閾値記憶部55に格納してある第1、第2標準においの嗅覚閾値(又は官能試験との対応値)で除することにより、臭気濃度(又は官能相当)の濃度に変換することができる。特に、臭気指数(臭気強度)が既知であるような標準においを用いた場合には、濃度を算出するのみならず、その濃度を臭気指数(臭気強度)に換算することができる。なお、このとき、総合臭気指数(臭気強度)として、最大値モデルを採用する場合には各標準においのうちの最大のものを使用して臭気指数を算出し、一方、総加モデルを採用する場合には各標準においの臭気指数を一旦臭気濃度に換算し、それら全てを加え合わせた後に臭気指数を算出すればよい。
【0035】
また、上記類似比α1、α2は人間の嗅覚特性が考慮されていないが、上述したように、各標準におい相当の換算濃度を算出した後に、その換算濃度を各標準においの嗅覚閾値で除した値を基に、官能類似比を算出することができる。例えば、或る未知においが標準においAと標準においBで構成され、標準においA及びBの相当濃度がいずれも1[ppm]であったとき、標準においAの嗅覚閾値が1[ppm]、標準においBの嗅覚閾値閾が2[ppm]であるとすると、標準においAの官能類似度1に対して、標準においBの官能類似度は0.5となり、官能上では標準においAに対しより類似性が高いと評価することができる。
【0036】
信号処理部5にあって演算処理部54は上述したような各種の演算処理を実行し、こうして算出した類似比や臭気強度等の値を表示部6の画面上に表示させたり、或いは図示しない印刷部から印刷出力する。
【0037】
以上述べたように、本実施例によるにおい測定装置では、未知試料の測定結果を複数の標準においに対する類似比で表現することができる。具体的には、例えば或る未知においの測定結果として類似比がα1=0.8、α2=0.2と求まり、その未知においの性質を捉え易くなる。また、こうした類似比を導入すると未知においに寄与する濃度の算出精度も向上し、結果的に臭気強度等の指標値の算出精度も向上する。この点については、後で測定例を挙げて説明する。
【0038】
また、本におい測定装置では、未知においの測定結果を一旦、基準軸に反映させて解析を行うことになるが、基準軸は濃度が既知である標準においの測定結果で更新されるため、においセンサの感度変動を基準軸が吸収する。従って、できるだけ高い頻度で標準においの測定を行い、基準ベクトル記憶部53に格納してあるデータを最新のものに更新するようにすることによって、においセンサの感度変動を確実に校正して高い精度の測定が行える。
【0039】
次に、上記実施例のにおい測定装置を用いた測定の一例について説明する。
ここでは、擬似的な未知試料として、図4(A)に示すように、トルエンとブタノールとを所定濃度含有するような2種類の試料(試料名a及びb)を調製した。なお、トルエンの嗅覚閾値は0.33、ブタノールの嗅覚閾値は0.038である。
【0040】
上記におい測定装置において、標準においとしてトルエンガス及びブタノールガスの濃度を変えてそれぞれ測定し、その2種類の標準においによる2本の基準においベクトルを作成して、それを表現するデータを基準ベクトル記憶部53に格納する。次に、上記擬似試料a及びbを同様にそれぞれ測定し、第1、第2基準においベクトルS1、S2であるトルエン軸及びブタノール軸に対する距離とトルエン軸及びブタノール軸上での換算濃度を算出した。その結果を図4(B)に示す。
【0041】
そして、この距離と換算濃度とから類似比を求め、トルエン相当濃度、ブタノール相当濃度を推算し、更に臭気濃度と臭気指数とを算出した。その結果を図4(C)に示す。すなわち、この図4(C)が上記擬似試料a、bを本におい測定装置により測定した結果である。図4(C)の結果と図4(A)に示す実際の臭気指数とを比べると、かなり近い値となっており、本装置によって未知においの臭気指数がかなり正確に求まることが判る。
【0042】
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を加えることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるにおい測定装置のブロック構成図。
【図2】 本発明のにおい測定装置の測定原理の説明図。
【図3】 本発明のにおい測定装置の測定原理の説明図。
【図4】 本実施例のにおい測定装置による測定例の説明図。
【符号の説明】
1…吸入口
2…前処理部
3…センサセル
31〜36…においセンサ
4…ポンプ
5…信号処理部
51…ピーク抽出部
52…ベクトル演算部
53…基準ベクトル記憶部
54…演算処理部
55…嗅覚閾値記憶部
6…表示部
7…制御部

Claims (2)

  1. a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
    b)該m個のにおいセンサの検出出力により形成されるm次元空間において、n(nは2以上の整数)種類の既知の標準においの測定結果により、それぞれ基準においベクトルを作成して保持しておく基準ベクトル取得手段と、
    c)前記m次元空間内に未知試料の測定結果による測定点を位置付け、n本の前記基準においベクトルのうちの少なくも2本の基準においベクトルを基準軸としてそれら基準軸に対する前記測定点の相対的な位置関係に基づいて、その未知試料が有する未知においの性質を表現する指標値、又は、未知においの性質を表現する指標値及び該未知においの強さの程度を表現する指標値、を算出する指標値算出手段と、
    を備え、前記指標値算出手段は、前記測定点と前記少なくとも2本の基準軸との最短距離をそれぞれ求め、該距離に応じて、前記未知においの性質を表現する指標値として、該未知においの各標準においに対する類似度の比又はそれに相当する値を算出することを特徴とするにおい測定装置。
  2. 前記指標値算出手段は、嗅覚閾値又はそれに相当する換算基準値を用い、人間の嗅覚特性を反映した類似度の比を又はそれに相当する値を算出することを特徴とする請求項1に記載のにおい測定装置。
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