JP4610946B2 - におい特定方法 - Google Patents

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本発明は、未知の臭気の発生原因などを特定するために利用されるにおい特定方法に関し、更に詳しくは、製鉄工場等で発生する臭気を特定するのに好適なにおい特定方法に関する。
従来、においの識別や評価は、実際に人間の嗅覚を用いて行われるのが一般的であった。しかしながら、実際に臭いを嗅ぐ人(パネル)の個人差やその日の体調によって嗅覚が変動することを想定する必要があるため、客観的な結果を精度良く得るためには、パネルを一定人数以上確保し、試験場所の環境等にも十分な配慮を必要とする。そのため、手間と時間が膨大なものとなる。また、このような配慮を行っても、人間の嗅覚はにおいに順応するという特性を有しているため、常に一定基準で確定的な判断を下すことは困難であった。
これに対し、近年、におい物質に対して応答特性を有するガスセンサの一種であるにおいセンサを利用したにおい識別装置が開発されている(例えば特許文献1、2など参照)。こうしたにおい識別装置では、複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、クラスター分析、主成分分析等の各種多変量解析処理やニューラルネットワークを用いた非線形解析処理などを行い、複数の試料のにおいの距離を求めることができる。さらにまた、特許文献3に記載のにおい測定装置では、未知のにおいについて複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、複数の標準においに対する類似度をそれぞれ求めることができる。また、成分濃度(物質濃度)と臭気指数、臭気強度のようなにおいの強度を表す指標値との関係が明確であるような標準においを用いることにより、未知においの臭気指数や各標準においに対する臭気の寄与度を求めることもできる。
ところで、製鉄工場等の工場では周囲環境の保全対策などを目的として、例えば工場建物内、工場敷地内、或いは工場周辺地域などで臭気測定を行うことが重要である。また、臭気が存在する場合にその発生源や発生原因を特定することが必要になってくる。上記のような従来のにおい測定装置でも、原理的にはこうした目的に利用することは可能である。
しかしながら、こうした工場から発生する臭気は単一成分ではなく多数のにおい成分が入り混じっている上に、ほぼ同種のにおいであってもにおい成分の含有割合が異なる場合がある。そのため、例えば単一成分を含む複数の標準においを用いて未知においの類似度や臭気寄与度を求めても、そのにおいの発生源や原因につながる特徴を見い出しにくい場合が多く、必ずしも十分な確度での判定が行えない場合がある。こうしたことから、工場等の臭気の発生源を特定する用途に特化して、比較的簡便な構成で且つ高い識別性を有するにおい測定装置が従来より要望されていた。
特開平11−352088号公報 特開2002−22692号公報 特開2003−315298号公報
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、特に製鉄工場等を対象として臭気の発生源や原因を正確に特定することができるにおい特定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係るにおい特定方法は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、コークス臭及びタール臭である2種の基準臭気の測定結果によりそれぞれ作成される2本の基準においベクトルを表現するデータを保存しておく基準データ記憶手段と、
c)未知臭気を含む試料の測定結果により表されるにおいベクトルを前記m次元空間内に位置付け、該においベクトルと前記2本の基準においベクトルとのなす角度をそれぞれ算出し、それら角度に基づいて前記未知臭気と各基準臭気との類似の程度を表す指標をそれぞれ求める指標値算出手段と、
d)前記2種の基準臭気について人間の嗅覚感度とにおいセンサの出力との相違性に関する補正情報を用いて、前記各指標値を相互に比較可能なように修正する指標値修正手段と、
e)前記2種の基準臭気に対する2個の修正された指標値をそれぞれ所定の閾値と比較し、2個の指標値が共に該閾値以下である場合には特定不能であると判断し、2個の指標値の少なくとも一方が前記閾値を越える場合にはいずれか高い指標値を与える基準臭気が前記未知臭気の主たる臭気であると判断する推定手段と、
を備えたにおい特定装置を用いたにおい特定方法であって、
コークス臭及びタール臭である前記2種の基準臭気として、それぞれ想定される臭気発生源から採取される臭気を用い、前記推定手段の推定結果により、一方の基準臭気が未知臭気の主たる臭気であると判断された場合に該基準臭気の臭気発生源がその未知臭気の発生源であると特定することを特徴としている。
上記コークス臭及びタール臭はそもそも多数のにおい成分が混合したものであるため、標準となる臭気として人為的に合成したものを用いたとしても、測定対象の未知においの識別の正確性を上げることは難しい。そこで、本発明に係るにおい特定方法では、想定される臭気発生源から採取される臭気を2種の基準臭気とし、未知臭気がいずれの基準臭気と近いのかの推定結果を用いることによって未知臭気の発生源を特定する。
或る1個の基準臭気をm個のにおいセンサで測定すると、各においセンサからその強度信号が出力されるため、m個のデータが生成される。これらは数学的には、m次元空間(におい空間)における1つの点で表される。同種の基準臭気で希釈度のみが相違した複数の基準試料をそれぞれ測定すると、その希釈度変化に伴ってにおい空間での点が或る方向に移動する。そこで、その点を繋ぐ1本のベクトルを基準においベクトルとして考えることができる。こうしたにおいベクトルは、そのにおい(臭気)の種類に特有な向きを有する。したがって、未知臭気を含む試料を同様に測定した結果として、におい空間内に位置するにおいベクトルの向きが上記基準においベクトルと近い方向である場合には、両者は近い種類のにおいであると判断することができ、方向が大きく異なる場合には、逆に両者は遠い種類のにおいであると判断することができる。
本発明に係るにおい特定方法では、基準臭気として、製鉄工場からの臭気の代表的原因であるコークス臭及びタール臭の2種を設定する。そして、それら基準臭気をそれぞれ希釈度を変えて測定した結果に基づいて、それぞれ基準においベクトルを作成し、そのベクトルを表現するデータを基準データ記憶手段に保存しておく。この2本の基準においベクトルが未知臭気の質を判断する際の基準軸となる。
実際に測定対象である未知臭気の識別を行う際には、においセンサによりその未知臭気に対するm個の強度信号が得られると、指標値算出手段は、m次元におい空間において、原点からその未知臭気についてm個の強度信号で形成される1個の測定点に向かう1本のにおいベクトルを位置付ける。そして、上記各基準においベクトルに関して、未知臭気によるにおいベクトルとその基準においベクトルとの向きの近さ又は遠さを示す値として、両ベクトルのなす角度を求め、その角度に基づいて各基準臭気に対する類似の程度を表す指標値をそれぞれ算出する。
すなわち、上記角度がほぼ0である場合、その未知臭気はその基準においベクトルに対応する基準臭気と同一である可能性が非常に高い。また、角度が相対的に小さい場合には、その未知臭気はその基準においベクトルに対応する基準臭気と同一である可能性が高い、又は少なくとも臭気の主原因がその基準臭気であると看做すことができる。但し、これはにおいセンサの検出出力に基づく結果であり、コークス臭とタール臭の場合にはにおいセンサのよる感度と人間の鼻(嗅覚)による感度との相違が大きいために、上記指標値をそのまま使用すると人間の感じ方との乖離が大きくなる。そこで、指標値修正手段は、予め求めておいた、2種の基準臭気についての人間の嗅覚感度とにおいセンサの出力との相違性に関する補正情報を用いて、上記各指標値を修正することで、嗅覚特性を考慮した条件の下で相互に比較できるようにする。推定手段は、このようにして各基準臭気に対して求められた上記修正済みの指標値を比較することにより、未知臭気が2種の基準臭気、つまりコークス臭とタール臭のいずれにより近いのかを判断する。これにより、未知臭気の発生源を特定することが可能となる。
本発明に係るにおい特定方法によれば、混合臭であるコークス臭とタール臭との含有成分を問わずに、それぞれの試料を希釈した試料の測定結果に基づいてm次元におい空間内に2本の基準においベクトルを位置付け、この基準においベクトルと1本の未知臭気ベクトルとのなす角度に基づいて全体としての類似度を求めている。さらに、コークス臭とタール臭について人間の嗅覚特性とにおいセンサ特性との相違を考慮して類似度を補正し、嗅覚による判断との差異が出ないようにしている。したがって、未知臭気の成分濃度やにおいの強度などに関係なく、且つ人間の判断との違和感が生じないように、その未知臭気の発生源を高い確度で特定することができる。
また、本発明に係るにおい特定方法によれば、予め基準においベクトルに関するデータと嗅覚特性を考慮した補正情報とを記憶させておきさえすれば、未知臭気を測定した結果から比較的簡単な演算処理によって臭気発生源の特定を行うことができる。したがって、大掛かりな装置や高速のコンピュータを必要とせず、装置の導入コストを抑えることができる利点もある。
発明のにおい特定方法で用いられる臭気特定装置の一実施例について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例による臭気特定装置のブロック構成図である。
本実施例の臭気特定装置は、試料ガスを吸引するための吸入口1、吸引した試料ガスに前処理を施す前処理部2、それぞれ応答特性が異なる複数(この例では6個であるがこれに限らない)のにおいセンサ31〜36を備えたセンサセル3、試料ガスをセンサセル3に引き込むためのポンプ4、においセンサ31〜36による検出信号を解析処理する信号処理部5、解析処理の出力をディスプレイ画面上に表示する表示部6、本装置全体の動作を制御する制御部7、キーボードを含む操作部8等から構成される。
前処理部2では、試料ガスに含まれる水分の除去、試料の濃縮/希釈、妨害ガスの除去等が行われる。ここではにおいセンサ31〜36はにおい成分に応じて電気抵抗値が変化する酸化物半導体センサであるが、導電性高分子センサや、水晶振動子やSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出手法によるセンサでもよい。信号処理部5(及び制御部7)はパーソナルコンピュータを中心に構成され、該コンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより、ピーク抽出部51、ベクトル演算部52、基準データ記憶部53、指標値算出部54、嗅覚特性補正部55、判別部56などとして機能する。
次いで、本実施例の臭気特定装置を用いた測定手順について説明する。
〔1.基準臭気の測定作業〕
本装置では、測定対象である臭気の発生源として想定される場所から発生する臭気である、コークス臭(以下基準臭気Aと記載)とタール臭(以下基準臭気Bと記載)の2種を基準臭気として予め測定し、その測定結果を基準データとして保存しておく。具体的な手順は次の通りである。
まず、上記2種の基準臭気を有する試料ガスがそれぞれ採取されたサンプルバッグ(ポリエチレンテレフタレート製)を順次、吸入口1に装着し、ポンプ4を作動させることによりその試料ガスをセンサセル3に引き込む。前処理部2では試料ガスを希釈することで、におい成分の濃度を複数段階に変える。具体的には例えば、希釈無し、1/3に希釈、1/10に希釈、の3段階に濃度を変えてそれぞれ測定を行う。センサセル3に導入された試料ガスがにおいセンサ31〜36に接触すると、各においセンサ31〜36からそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。
信号処理部5においてピーク抽出部51は、1系統の出力信号の時間的変動の中で極大点(ピークトップ)を捉え、各においセンサ31〜36毎に1つずつの検出信号を得る。もちろん、ピークトップを検出信号とするほかに、例えばピーク面積を用いる等、適宜に変形を行うことができる。したがって、ピーク抽出部51では、1個の試料ガスに対して6個の測定データDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6が得られる。いま、においセンサ31〜36による検出信号をそれぞれ異なる方向の軸として形成される6次元におい空間を考えると、上記6個の測定データはにおい空間内の或る1点(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6)で表すことができる。同種の基準臭気の希釈度を変えてそれぞれ測定を行うと、6次元におい空間内では、特有の方向に点(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6)がずれてゆき、これを同空間内での1本のベクトルとして捉えることができる。
6次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図2に示すような、第1、第2なる2個のにおいセンサの検出信号DS1,DS2により形成される2次元のにおい空間に簡略化して考えることとする。この2次元におい空間内において、或る1つの基準臭気の希釈無しの試料に対する第1、第2においセンサによる各測定データは、或る1つの測定点P1(DS1,DS2)で表される。そして、この基準臭気を上述したように希釈した試料に対する測定点は例えばP2、P3と位置付けられ、原点0からP3、P2、P1を繋ぐように、1種の基準臭気に対する基準においベクトルS1を引くことができる。
基準臭気が単一のにおい成分(化合物)のみを含む場合、においベクトルの方向はにおい成分の種類に依存している。一方、ここでの基準臭気であるコークス臭やタール臭は複数の成分を含む混合臭であるが、この場合にも両者のにおいベクトルの方向は明確に相違する。すなわち、このにおいベクトルの方向はにおいの質を表すものとみることができる。そこで、本実施例では、上記2種の基準臭気A、Bの測定結果によってそれぞれ形成された2本の基準においベクトルを、未知においを判定するための基準軸とする。具体的には、図1に示す構成において、上記2種の基準臭気A、Bをそれぞれ測定したとき、その測定信号を受けたベクトル演算部52は各基準臭気毎にそれぞれ異なる2本の基準においベクトルSa、Sbを作成し、この基準においベクトルSa、Sbを表現するデータを基準データ記憶部53に格納する。図4は6次元におい空間における基準においベクトルSa、Sbを示す概念図である。
また、一般に、においセンサの応答感度と人間の鼻(嗅覚)の感度とは同一とはならないことが多い。ここで基準臭気としているコークス臭とタール臭とについても同様であり、コークス臭とタール臭とを人間が嗅いだときに同じ強さであると感じる場合でも、においセンサの出力ではタール臭のほうがコークス臭よりも信号強度がかなり大きくなる。こうした感度の相違はにおいセンサの種類やにおいセンサの動作条件(酸化物半導体センサの場合には動作温度など)にも依存するが、ここでは、人間が嗅いだときに同一の強さであると感じる場合に、においセンサの出力ではタール臭はコークス臭の約2倍程度になるものとする。上記のように基準臭気を測定して基準においベクトルを作成するとともに、こうした嗅覚特性との感度差についても、人間の鼻による官能試験の結果とにおいセンサの出力とを対応付けることにより予め測定しておく。この情報が後述する嗅覚特性補正の際の補正情報となる。
〔2.未知臭気の測定作業〕
未知臭気を有する被測定ガスを測定する際にも、基準臭気測定時と同様に、吸入口1に被測定ガスを供給し、ポンプ4を作動させてその被測定ガスをセンサセル3に引き込む。このときにおいセンサ31〜36による出力信号は上述したようにピーク抽出部51に与えられ、各においセンサ31〜36毎に1個ずつの検出信号が得られる。そして、ベクトル演算部52は、上記6次元におい空間内で原点(0)からその未知臭気の測定点Pxに向かうにおいベクトルを作成する(図4参照)。
図2の2次におい元空間で説明すると、この未知臭気のにおいベクトルSxは基準においベクトルS1と同様の1本のベクトルである。仮に、この未知臭気が基準においベクトルS1の元となった基準臭気と同一であったとすると、理想的にはこの未知臭気による測定点Pxは基準においベクトルS1又はその延長上に乗る筈である。したがって、においベクトルSxが基準においベクトルS1と近い方向を向いていれば、未知臭気はその基準臭気と近い種類のにおいであると考えることができ、逆にベクトルの方向が大きく異なっていれば、遠い種類のにおいであると考えることができる。そこで、2本のにおいベクトルS1、Sxの向きの近似性を判断する指標として、基準においベクトルS1と未知においベクトルSxとのなす角度θを用い、この角度θに基づいて、未知臭気と各基準臭気との類似の程度(類似度)を表す指標値として類似率αを定める。
すなわち、未知においベクトルSxと基準においベクトルS1とが重なる(全く同じ向きである)とき、つまり角度θ=0°であるときに両者は同一種類のにおいであると推定し、このとき類似率αを100%と定義する。また、においの質に全く類似性が無いと判断できる程度の角度の閾値θthを予め決めておき、θがその閾値θth以上である場合には類似率αを0%とする。こうして、角度0〜θthの範囲で、基準臭気に対する未知臭気の近さ又は遠さの度合いを0〜100%の類似率αで以て表す。
いま、2本の基準においベクトルSa、Sbが図3(a)、(b)に示すように2次元におい空間に位置付けられている場合を考える。図3(a)に示すように、未知臭気のにおいベクトルSxがちょうど両基準においベクトルSa、Sbのなす角度の中間の方向を有している場合、未知においベクトルSxと基準においベクトルSaとの成す角度、未知においベクトルSxと基準においベクトルSbとの成す角度はいずれもθ1となり、上記のような角度から類似率への換算によれば、両基準臭気に対する類似率αは等しくなる。一方、図3(b)に示すように、未知においベクトルSx’と基準においベクトルSaとの成す角度がθ1、未知においベクトルSx’と基準においベクトルSbとの成す角度がその2倍の2θ1となる場合には、基本的には、基準臭気Aに対する類似率は基準臭気Bに対する類似率の2倍となる。
しかしながら、ここでの類似率はにおいセンサの出力に基づくものであり、人間の嗅覚特性を全く反映していない。そこで、上述したような人間の鼻による官能試験に基づく両基準臭気に対する感度差を示す補正情報を用いて、次のようにして人間の嗅覚特性とにおいセンサの特性との相違を補正する。すなわち、上述の如く嗅覚上で同一のにおい強さであるのに対し基準臭気B(タール臭)のほうがにおいセンサの出力で約2倍である場合には、換言すれば、においセンサでの出力が同一であるとするとコークス臭のほうがタール臭よりも人間の嗅覚上では2倍強く感じることを意味する。したがって、類似率に関して、基準臭気Bの寄与度合を基準臭気Aの寄与度合の1/2として定める。例えば図3(a)で説明したように嗅覚特性を考慮しない場合の両基準臭気A、Bに対する類似率が同一である場合に、基準臭気Aに対する類似率が基準臭気Bに対する類似率の2倍になるように(又は逆に基準臭気Bに対する類似率が基準臭気Aに対する類似率の1/2になるように)補正する。
なお、こうした補正によって類似率の絶対値が例えば100%を越えてしまうような場合があり得るが、ここでは類似率の絶対値は重要ではなく2種の基準臭気に対する2つの類似率の大小関係が重要であるので問題とはならない。
図1の構成に戻って説明すると、上述したように、ここではA、Bの2種の基準臭気を用いるから、基準データ記憶部53には2本の基準においベクトルSa、Sbを表すデータが格納されている。したがって、指標値算出部54では、図4に示すように、各基準においベクトルSa、SbとにおいベクトルSxとがなす角度θa、θbをそれぞれ算出する。そして、この角度θa、θbから類似率αa、αbを求める。次に、嗅覚特性補正部55は、上記のような嗅覚特性を考慮した補正情報に基づいて2つの類似率αa、αbを補正して修正類似率αa’、αb’を求める。判別部56は各基準臭気A、Bに対する修正類似率αa’、αb’を比較し、いずれか高い類似率を与える基準臭気がその未知臭気の原因(発生源)であると特定する。例えば、いま基準臭気Aに対する修正類似率αa’が基準臭気Bに対する修正類似率αb’よりも高い場合、この未知臭気は基準臭気Aすなわちコークス臭が主である臭気(或いはその臭気の主たる発生源はコースク臭の発生箇所である)と判断する。
なお、上記説明では類似率の絶対値は重要でないと述べたが、例えば両方の類似率がいずれも非常に低い場合には、実際上、いずれの基準臭気であるとも特定できないと結論付けるほうが合理的であると考えられる。したがって、例えば、2種の基準臭気A、Bに対する類似率αa、αb(又は修正類似率αa’、αb’)を取得した後、その2個の類似率を所定の閾値と比較し、該閾値を越えるような基準臭気を予め候補として選択し、その候補の中でいずれか高い類似率を与えるような基準臭気をその未知臭気の原因であると特定するようにしてもよい。このとき、いずれの類似率も閾値を越えない場合には、該当する基準臭気が存在しないか或いは特定不能として結論付ける。このようにすることによって、測定に不手際があったり、或いは、全く意図せぬ臭気であったりした場合に、オペレータがそれを認識することができ、適切な対処を行うことができる。
本発明のにおい特定方法で用いられる臭気特定装置の一実施例のブロック構成図。 本実施例の臭気特定装置の測定原理の説明図。 本実施例の臭気特定装置の測定原理の説明図。 本実施例の臭気特定装置の測定原理の説明図。
符号の説明
1…吸入口
2…前処理部
3…センサセル
31〜36…においセンサ
4…ポンプ
5…信号処理部
51…ピーク抽出部
52…ベクトル演算部
53…基準データ記憶部
54…指標値算出部
55…嗅覚特性補正部
56…判別部
6…表示部
7…制御部
8…操作部

Claims (1)

  1. a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
    b)該m個のにおいセンサによる測定結果で形成されるm次元空間において、コークス臭及びタール臭である2種の基準臭気の測定結果によりそれぞれ作成される2本の基準においベクトルを表現するデータを保存しておく基準データ記憶手段と、
    c)未知臭気を含む試料の測定結果により表されるにおいベクトルを前記m次元空間内に位置付け、該においベクトルと前記2本の基準においベクトルとのなす角度をそれぞれ算出し、それら角度に基づいて前記未知臭気と各基準臭気との類似の程度を表す指標をそれぞれ求める指標値算出手段と、
    d)前記2種の基準臭気について人間の嗅覚感度とにおいセンサの出力との相違性に関する補正情報を用いて、前記各指標値を相互に比較可能なように修正する指標値修正手段と、
    e)前記2種の基準臭気に対する2個の修正された指標値をそれぞれ所定の閾値と比較し、2個の指標値が共に該閾値以下である場合には特定不能であると判断し、2個の指標値の少なくとも一方が前記閾値を越える場合にはいずれか高い指標値を与える基準臭気が前記未知臭気の主たる臭気であると判断する推定手段と、
    を備えたにおい特定装置を用いたにおい特定方法であって、
    コークス臭及びタール臭である前記2種の基準臭気として、それぞれ想定される臭気発生源から採取される臭気を用い、前記推定手段の推定結果により、一方の基準臭気が未知臭気の主たる臭気であると判断された場合に該基準臭気の臭気発生源がその未知臭気の発生源であると特定することを特徴とするにおい特定方法
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