JP2008116289A - ガス監視装置 - Google Patents

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久光 赤丸
Taisei Kinoshita
太生 木下
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昌之 岡田
Junichi Kita
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Abstract

【課題】クリーンルーム内等の空気中のケミカル汚染物質等を連続的に監視可能とする。
【解決手段】n種の標準ガスをm個のセンサ素子で測定した結果に基づき、そのm個のセンサによる検出出力により形成されるm次元空間内にn本の標準ガスベクトルを作成しておく(S1、S2)。所定の測定時間間隔毎に採取した試料ガスを測定した結果をm次元空間内に位置付け、その測定点と標準ガスベクトルとの関係から各標準ガスに対する類似性指標値を算出するとともに、類似性がある標準ガス相当の濃度を求める(S3〜S6)。この類似性指標値と濃度値とを直接表示することで(S7)、ユーザーに直感的に理解しやすい情報を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば半導体製造プロセス等のためのクリーンルームや実験室などでのケミカル汚染物質をモニタリングするのに好適なガス監視装置に関する。
近年、半導体製造プロセス、液晶デバイス製造プロセス等における微細化の進展に伴って、塵埃等の物理的な汚染のみならず、空気中の分子、原子、イオンによる汚染、いわゆるケミカル汚染が問題になっている。ケミカル汚染には外部から持ち込まれるものとクリーンルーム内部で発生するものとがあるが、いずれにしても発生原因を特定したり対策を施したりするためには、常時、クリーンルーム内のケミカル汚染物質の濃度をモニタリングする必要がある。
従来、上記目的の装置として、アンモニアガスや酸性ガスを検出するクリーンガスモニタが知られている。例えば非特許文献1に記載の装置では、拡散スクラバ方式により大気中のガス成分を捕集し、これをイオンクロマトグラフに供することで成分分離して検出する構成を有している。また、イオンクロマトグラフに代えてガスクロマトグラフを用いた装置も知られている。しかしながら、一般にこうしたクロマトグラフによる成分分離には時間が掛かるため、測定周期を或る程度長くせざるをえない。ちなみに、非特許文献1に記載の装置では、最小測定周期は35分となっている。
測定周期が長くなると監視のリアルタイム性に欠け、またケミカル汚染物質の急な濃度変化を検出することができない。そのため、その結果を利用したケミカル汚染の原因の特定が困難になる場合がある。また、その監視結果によって例えば排気能力を上げる等の対策をとる場合に、検出が遅れることを考慮して許容濃度よりもかなり低い閾値を設定しておき、その閾値を越えた場合にケミカル汚染物質濃度が許容濃度を越える可能性があると判断して上記対策を実行する必要があり、実際には不必要な場合でも上記対策が実行されるという無駄が避けられない。こうしたことから、よりリアルタイム性に富んだケミカル汚染物質の監視が行える装置が要望されている。
本願出願人は、これまで、或る物質や大気中のにおいをその質と強さの観点から捉えて数値化する装置を開発している(例えば、特許文献1、2など参照)。この装置では、必ずしもにおいの原因物質(成分)が明確に分かっていなくても、そのにおいを的確に表現することができる。しかしながら、こうした装置は、そもそも従来人間が行っていたにおいの識別作業と同等の処理を行うことを意図しているため、人間が感じる濃度(嗅覚閾値)を考慮した臭気指数相当値でにおいの強度を表現している。そのため、濃度が嗅覚閾値に達しないような成分は無視されてしまい、上記のような目的のためのガス監視装置としては使用することができなかった。
特開2003−315298号公報 特開2004−93336号公報 「クリーンルームガスモニタCM501/CM502/CM505」、[online]、横河電機株式会社、[平成18年11月2日検索]、インターネット<URL :http://www.yokogawa.co.jp/an/cm/an-cm-001ja.htm>
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的とするところは、低濃度の成分も確実に検知するとともに短い周期でリアルタイム性の高い汚染物質監視を行うことができるガス監視装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明に係るガス監視装置は、
a)所定時間間隔又は所定のタイミング毎に監視対象の試料ガスを所定量採取する試料採取手段と、
b)互いに異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のガスセンサと、
c)前記m個のガスセンサによる検出出力で形成されるm次元空間において、既知のn種類(nは2以上の整数)の標準ガスについてそれぞれ濃度を変えて得られる測定結果に基づいてn本の標準ガスベクトルを作成し、これを表現するデータを記憶しておく標準データ取得手段と、
d)前記試料採取手段により採取された試料ガスに対する前記ガスセンサの検出出力に基づいて前記m次元空間内に位置付けられる測定ベクトルと前記標準データ取得手段により形成される標準ガスベクトルとが成す角度を求め、該角度に基づいて試料ガスの各標準ガスに対する類似性を示す指標値を算出する類似性指標値算出手段と、
e)少なくとも前記類似性を示す指標値に基づいて類似性が認められる標準ガスベクトルに対し、試料ガスの測定ベクトルの正射影をとって該正射影ベクトルの長さからその標準ガスベクトル成分に対するガス濃度を算出するガス濃度算出手段と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明に係るガス監視装置は、
a)所定時間間隔又は所定のタイミング毎に監視対象の試料ガスを所定量採取する試料採取手段と、
b)互いに異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のガスセンサと、
c)前記m個のガスセンサによる検出出力で形成されるm次元空間において、既知のn種類(nは2以上の整数)の標準ガスについてそれぞれ濃度を変えて得られる測定結果に基づいてn本の標準ガス曲線を作成し、これを表現するデータを記憶しておく標準データ取得手段と、
d)前記試料採取手段により採取された試料ガスに対する前記ガスセンサの検出出力に基づいて前記m次元空間内に位置付けられる測定点から前記標準データ取得手段により形成される標準ガス曲線上の濃度仮指示点を求め、該濃度仮指示点の空間内位置に基づいてその標準ガス成分に対するガス濃度を算出するガス濃度算出手段と、
e)前記濃度仮指示点の空間内位置、及び、該濃度仮指示点と前記測定点との空間内での近さ度合を示す値に基づいて、試料ガスのその標準ガスに対する類似性を示す指標値を算出する類似性指標値算出手段と、
を備えることを特徴としている。
なお、この第2発明に係るガス監視装置において、ガス濃度算出手段は、前記測定点と前記標準ガス曲線との距離が最短となるように該曲線上の濃度仮指示点を求め、類似性指標値算出手段は、該濃度仮指示点の空間内位置に基づいて求まる濃度を、該濃度仮指示点と測定点との間の距離、又は標準ガスと試料ガスとが濃度に対して直線性を持つとみなしたときの両者の成す角度に応じて減衰させ、その減衰した濃度を試料ガスに対する当該標準ガスの寄与であるとみなして前記濃度仮指示点に基づいて求まるガス濃度を修正する構成とすることができる。
m個のガスセンサの検出出力で構成されるm次元空間を考えると、或る1種の所定濃度の標準ガスをm個のガスセンサで測定して得られた結果は、上記m次元空間内において1つの測定点で表される。この標準ガスの濃度を変化させると、濃度ゼロを原点としてその濃度変化に伴ってm次元空間内での測定点は或る方向に移動するから、その点を繋ぐ1本の曲線(直線となる場合もある)を考えることができるし、或いは濃度増加に従った曲線の方向性を考慮すれば該曲線はベクトルとみなすこともできる。複数の標準ガスの種類毎にm次元空間内でその曲線(又はベクトル)の延伸方向が異なり、また該曲線上の位置(原点からの距離)は濃度を表すことになる。
第1発明に係るガス監視装置では、標準データ取得手段は各基準ガス毎に1本ずつ上記のようなベクトルつまり標準ガスベクトルを作成し、このベクトルを表現するデータを記憶しておく。一方、目的とする試料ガスをm個のガスセンサで測定した結果に基づいて、m次元空間内で原点からその測定点に向かう測定ベクトルを作成することができる。そこで類似性指標値算出手段は、この測定ベクトルと各標準ガスベクトルとの成す角度をそれぞれ求め、例えば角度がゼロ、即ち、両ベクトルが重なっている(同方向を向いている)場合には類似性が100%、角度が所定値以上である場合には類似性が0%であるとし類似性指標値を算出する。そして、ガス濃度算出手段は、類似性が全く認められない標準ガスは無視し、類似性が認められる標準ガスのベクトルに対し測定ベクトルの正射影をとり、その長さから該標準ガスに対するガス濃度を求める。こうして算出したガス濃度と類似性指標値とを表示することにより、ユーザーは例えば試料ガスに含まれるケミカル汚染物質の濃度を知ることができる。
また第2発明に係るガス監視装置では、標準データ取得手段は各基準ガス毎に1本ずつ上記のような標準ガス曲線を作成し、この曲線を表現するデータを記憶しておく。ガス濃度算出手段は、目的とする試料ガスをm個のガスセンサで測定した結果に基づいてm次元空間内に位置付けられる測定点と各標準ガス曲線との位置関係から該曲線上に濃度仮指示点を求め、その指示点の位置に基づいて該標準ガスに対するガス濃度を求める。また類似性指標値算出手段は、測定点と濃度仮指示点との近さ/遠さ度合いを示す値に基づいて類似性指標値を求める。
このまま求めたガス濃度と類似性指標値を表示するようにしてもよいが、さらにそのガス濃度を、濃度仮指示点と測定点との間の距離、又は標準ガスと試料ガスとが濃度に対して直線性を持つとみなしたときの両者の成す角度に応じて減衰させ、その減衰した濃度を試料ガスに対する当該標準ガスの寄与であるとみなして修正すれば、より分かり易いガス濃度値を出力することができる。
第1及び第2発明に係るガス監視装置によれば、クロマトグラフによる成分分離を行うことなく試料ガスに混入しているケミカル汚染物質等の目的ガス成分のガス濃度が得られるため、試料ガス採取から結果が得られるまでの時間が短く、短い時間間隔で繰り返しガス成分の監視を行うことができる。これにより、リアルタイムに近い状態の監視が可能であるため、ケミカル汚染物質濃度の急上昇なども的確に把握して適切な対処を採ることができる。
なお、監視対象のガスの種類が既知である又は決まっている場合には、そのガスを標準ガスとするのが望ましいが、標準ガスとして代表的なもの、例えばエステル系、芳香族系、アミン系、アルデヒド系、炭化水素系などを幾つか選んでおけば、実用的に問題となる各種のケミカル汚染物質のガス濃度を実用上十分な精度で求めることができる。
第1発明の一実施例(第1実施例)であるガス監視装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例によるガス監視装置のブロック構成図である。
このガス監視装置は、測定部1として、目的試料ガス(例えばクリーンルーム内の大気)を吸引するための試料ガス採取部11と、予め定められた複数の標準ガスを供給する標準ガス供給部12と、試料ガスと標準ガスとを切り替える切替部13と、吸引されたガスを濃縮又は希釈したり不所望の成分(例えば水分など)を除去するための前処理部14と、応答特性が異なる複数(例えば10個)のセンサ素子(ガスセンサ)16を内部に備えたセンサセル15と、試料ガス又は標準ガスをセンサセル15に引き込むためのポンプ17と、を含む。センサ素子16は、例えば各種のガス成分に応じて抵抗値が変化する酸化物半導体センサを用いることができるが、それ以外の、導電性高分子センサや、水晶振動子やSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出手法によるセンサでもよい。
データ処理部2はセンサセル15内の各センサ素子16による検出信号を演算処理する機能を有し、後述する制御部3とともにパーソナルコンピュータを中心に構成され、該コンピュータ上で所定のプログラムを実行することによりその機能が達成される。具体的には、データ処理部2は機能ブロックとして、ベクトル演算部21、標準ガスベクトルデータ記憶部22、類似性指標値算出部23、濃度算出部24を含み、その演算結果は表示部5に出力される。また、測定部1やデータ処理部2の動作は、操作部4から与えられる指示に応じて制御部3により制御される。
次に、上記構成を有するガス監視装置の動作を図3のフローチャートに従って説明する。まず、基準となる標準ガスベクトルを作成するために、制御部3の制御の下に複数の標準ガスの測定を行う(ステップS1)。即ち、標準ガス供給部12は所定の標準ガスを供給し、前処理部14は切替部13を経て導入された標準ガスを適宜希釈又は濃縮することで所定濃度に調製する。濃度が調整されたこの標準ガスはセンサセル15に引き込まれ。センサセル15に導入された標準ガスがセンサ素子16に接触すると、各センサ素子16からそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。データ処理部2においてベクトル演算部21は、同一種類の標準ガスで複数の濃度のものに対しそれぞれ得られる検出信号に基づいて標準ガスベクトルを作成する(ステップS2)。
標準ガスとしてここでは、アンモニア、アミン系、アルデヒド系、芳香族系、エステル系、炭化水素系、有機酸系、硫黄系、硫化水素系のそれぞれの代表的な成分を用いるものとするが、検出対象成分が決まっている場合にはそれを標準ガスとするのがよい。
或る濃度の標準ガスに対して10個のセンサ素子16からそれぞれ1個ずつ、全部で10個の検出信号DS1〜DS10が得られる。10個のセンサ素子16はそれぞれ異なる応答特性を有するため、この10個のセンサ素子16の出力をそれぞれ異なる方向の軸とする10次元空間(これを10次元センサ空間と呼ぶ)を考えることができる。全てのセンサ素子16の出力がゼロとなる状態が10次元センサ空間の原点である。この10次元センサ空間において、上記10個の検出信号は或る1個の測定点U(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6,DS7,DS8,DS9,DS10)として位置付けることができる。
10次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図2に示すような、第1、第2なる2個のセンサ素子の検出信号DS1,DS2により形成される2次元センサ空間で考えることとする。この2次元センサ空間内において、或る濃度の1つの標準ガスに対する第1、第2センサ素子による2個の検出信号は、或る1個の測定点(DS1,DS2)で表される。
同一種の標準ガスの濃度を変化させてそれぞれ測定を行うと、上記2次元センサ空間内で測定点(DS1,DS2)は移動してゆくから、濃度ゼロを原点とし、濃度が増加するに伴い移動する方向に方向性を有する1本のベクトルとして捉えることができる。これが図2中に示す標準ガスベクトルVrである。異なる種類の標準ガスについて同様の測定を行うと、上記標準ガスベクトルVrとは異なる方向に向かう標準ガスベクトルを引くことができる。つまり、標準ガスベクトルの方向はガス成分の種類に依存したものとなる。また、原点からのベクトル長はそのガス成分における濃度を表したものとなる。
10次元センサ空間の場合でも上記2次元を拡張して同様に考えることができるから、上述のように9種類の標準ガスについてそれぞれ測定を行うことにより、図4に示す如く、10次元センサ空間内に9本の異なる方向に向かう標準ガスベクトルVr1〜Vr9を位置付けることができる。この9本の標準ガスベクトルVr1〜Vr9を表現するデータを求め、これを標準ガスベクトルデータ記憶部22に格納しておく。
上記のようにして準備が整ったならば、次に目的試料についての測定を行う(ステップS3)。即ち、試料ガス採取部11により所定量の試料ガスを採取し、切替部13を通してこの試料ガスをセンサセル15に送り込んでセンサ素子16から検出信号を出力させる。10個のセンサ素子16から得られる検出信号は、上述したように10次元空間内で1個の測定点として位置付けられるから、ベクトル演算部21は原点を始点としその測定点を終点とする測定ベクトルを作成する(ステップS4)。そして、この測定ベクトルと記憶部22に格納されているデータに基づいて再現される標準ガスベクトルとにより、次のようにして類似性指標値と濃度とが計算される(ステップS5、S6)。
ここでも図2に示す2次元センサ空間で考えると、試料ガスの測定の結果、作成された測定ベクトルVsが標準ガスベクトルVrと近い方向を向いていれば、試料ガス中の成分はその標準ガスの成分と同種類又は近い種類であると考えることができ、逆にベクトルの向きが大きく異なっていれば、全く異なる種類又は遠い種類であると考えることができる。そこで、標準ガスベクトルVrと測定ベクトルVsとが成す角度θを用い、この角度θに基づいて類似性指標値として類似率を定める。例えば、測定ベクトルVsと標準ガスベクトルVrとが重なる(全く同じ向きである)とき(つまりθ=0であるとき)類似率を100%と定め、θが所定値A以上である場合には類似率を0%と定める。そしてθが0〜Aの範囲であるときに、そのθに応じて類似率を規定する。但し、この所定値Aは標準ガスによって変えても良い。
類似性指標値算出部23は上述のように測定ベクトルと9本の標準ガスベクトルのそれぞれとについて10次元センサ空間内での角度θを求め、その値に応じて類似率を決定する。例えば図4に示すように測定ベクトルVsが位置付けられるとき、芳香族系の標準ガスベクトルVr4、炭化水素系の標準ガスベクトルVr6とに対してそれぞれ角度θ4、θ6を求め、この角度から類似率を計算する。さらに濃度算出部24は、先に類似性があると認められた標準ガスについてのみ、その成分相当の濃度値の算出を行う。このとき、類似率が0%以外では類似性があるとしてもよいし、或いは類似率が30%以上等、所定の値以上であるときに類似性があるとしてもよい。
濃度は次のようにして求めることができる。即ち、図2に示すように、測定ベクトルVsから標準ガスベクトルVrに対する正射影をとって正射影ベクトルVpを求める。標準ガスベクトルVr上の各点と原点との長さ(ベクトル長)は濃度に対応したものとなっているため、正射影ベクトルVpの長さからその標準ガス成分相当の濃度値を求める。類似性が認められた各標準ガスに対して同様の演算を行うことで、1乃至複数の標準ガス成分相当の濃度値を求めることができる。例えば図4に示すように測定ベクトルVsが位置付けられるとき、芳香族系の標準ガスベクトルVr4に対して類似性があると判断されると、標準ガスベクトルVr4に対する正射影ベクトルVp4が求まり、そのベクトルVp4の長さから芳香族系成分相当の濃度値が算出される。
そして、こうして求めた各標準ガスに対する類似性指標値としての類似率と濃度値とを表示部5により出力する(ステップS7)。これにより、試料ガスにケミカル汚染物質が混じっていた場合に、ユーザーは類似率で以てその物質を特定し、濃度値でその濃度が問題となる程度であるか否かを即座に判断することができる。
上記一連の処理が終了すると、制御部3は次回測定時刻が来たか否かを判定し(ステップS8)、次回測定時刻が来たならばステップS3に戻って試料ガスの採取を行ってステップS3〜S7の処理を実行する。これを繰り返すことにより、例えばクリーンルーム内の空気の状態、具体的には、不所望のケミカル汚染物質が混入しているかどうか、或いはその濃度はどの程度であるのかを短い時間間隔毎にモニタすることができる。
次に第2発明の一実施例(第2実施例)であるガス監視装置について、図面を参照しつつ説明する。図5はこの第2実施例によるガス監視装置のブロック構成図である。上記第1実施例で説明した構成要素と同一のものには同じ符号を付して説明を省略する。第1実施例と相違するのはデータ処理部6であり、具体的にはデータ処理部6で実行される類似性指標値及び濃度の算出方法が異なるので、この点について説明する。
ここでも理解を容易にするために図6に示すような2個のセンサ素子の検出信号により形成される2次元センサ空間で考える。いま、標準ガスとして2種類を用意し、各標準ガスの濃度がそれぞれ3段階に相違するガスを調製する。それらガスをそれぞれ2個のセンサ素子で測定し検出信号を取得する。既に述べたように、或る1つの標準ガスに対する2個のセンサ素子の検出信号は2次元センサ空間で或る1つの測定点で位置付けられる。
ここで、或る1種の第1標準ガスに対する2次元センサ空間内での測定点をa1、a2及びa3とし、もう1種の第2標準ガスに対する2次元センサ空間内での測定点をb1、b2及びb3とする。成分濃度が相違する3つの測定点a1、a2、a3、及びb1、b2、b3は2次元センサ空間内での位置が徐々にずれるから、それぞれ3つの測定点が属する又はごく近接するような標準ガス曲線H1、H2を描くことができる。もちろん、ここでは曲線としているが、実際には直線となることもある。本実施例のガス監視装置では、ピーク抽出部61で検出信号のピークを検出して検出信号をデジタルデータに変換した後、標準ガス曲線データ演算部62において標準ガス曲線を算出し、その曲線を表現するデータを標準ガス曲線データ記憶部63に格納しておく。このデータは第1実施例における標準ガスベクトルデータに相当するものである。
具体的には、標準ガス曲線を濃度を独立変数とした関数で表すものと仮定すれば、複数の測定点に基づいた直線回帰又は多重回帰式によりその関数の係数を算出することができる。この場合、その関数の係数が標準ガス曲線を表現する(又は再現する)データとなる。
一方、試料ガスについて測定を行った結果も、2次元センサ空間において1つの測定点Pとして位置付けられる。この測定点Pから標準ガス曲線H1、H2までの距離が最短となる直線をそれぞれ引き、その直線と標準ガス曲線H1、H2とが交差する点Q1、Q2を求める。標準ガス曲線H1、H2上での各点の位置はそれぞれの標準ガス成分の濃度に対応付けられるから、点Q1、Q2の位置(座標)はそれぞれの標準ガス相当の或る濃度に対応している筈である。但し、測定点Pが標準ガス曲線H1又はH2上ではなく、該曲線H1、H2から離れている場合、試料ガスに対して寄与する各標準ガスの濃度は点Q1、Q2で示される濃度よりも低くなっており、その減衰の程度は測定点Pからの距離に応じて決まる。その意味において点Q1、Q2を濃度仮指示点と呼ぶ。
例えばいま、測定点P(DS1,DS2)から標準ガス曲線H1、H2までの最短距離をそれぞれd1、d2として、次のようにして各標準ガスの濃度の減衰率βを定義する。まず、試料ガスの測定点Pにおける検出信号の大きさLSを(1)式とする。
LS=√(DS1+DS2) …(1)
そして、2種の標準ガスに対する指標値ISi(i=1又は2)を(2)式とする。
ISi=tanー1(di/LS) …(2)
さらに標準ガス曲線H1、H2をそれぞれ直線とみなし、両者の成す角度をΘとして、次の(3)式で一次元的な減衰率βを想定する。
β=(−1/Θ)・ISi+1 …(3)
即ち、例えば測定点Pが標準ガス曲線H1上に乗っていればd1=0でIS1=0となり、減衰率β=1となる。これは濃度が全く減衰していないことを意味する。試料ガスに寄与する各標準ガス成分の濃度C’は仮濃度指示点で決まる濃度Cに減衰率βを乗じることで求める。即ち、次の(4)式とする。
C’=C×β …(4)
図5に戻って説明すると、標準ガス曲線データ記憶部63に格納されている各標準ガスに対応した標準ガス曲線を利用して、濃度算出部64は試料ガスを測定した結果、10次元センサ空間に位置づけられる測定点から上記説明した方法により各標準ガス成分の濃度を計算する。第1実施例で説明したように、一定時間間隔毎に試料ガスを採取してこれを解析処理に供することで、リアルタイムに近い状態で試料ガス中の成分濃度をモニタすることができる。
上記第1及び第2実施例によるガス監視装置によれば、試料ガス中に含まれる各種のガス成分の濃度を標準ガス成分相当の濃度として表示することができ、しかも短い時間間隔で以てそうした成分濃度の監視が可能であるので、例えばクリーンルーム内のケミカル物質の監視などに好適である。
なお、上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を加えても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例(第1実施例)によるガス監視装置のブロック構成図。 第1実施例のガス監視装置におけるガス濃度算出方法の説明図。 第1実施例のガス監視装置の監視動作フローチャート。 第1実施例のガス監視装置におけるガス濃度算出方法の説明するための概念図。 第2実施例によるガス監視装置のブロック構成図。 第2実施例のガス監視装置におけるガス濃度算出方法の説明図。
符号の説明
1…測定部
11…試料ガス採取部
12…標準ガス供給部
13…切替部
14…前処理部
15…センサセル
16…センサ素子
17…ポンプ
2、6…データ処理部
21…ベクトル演算部
22…標準ガスベクトルデータ記憶部
23…類似性指標値算出部
24…濃度算出部
3…制御部
4…操作部
5…表示部
61…ピーク抽出部
62…標準ガス曲線データ演算部
63…標準ガス曲線データ記憶部
64…濃度算出部

Claims (3)

  1. a)所定時間間隔又は所定のタイミング毎に監視対象の試料ガスを所定量採取する試料採取手段と、
    b)互いに異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のガスセンサと、
    c)前記m個のガスセンサによる検出出力で形成されるm次元空間において、既知のn種類(nは2以上の整数)の標準ガスについてそれぞれ濃度を変えて得られる測定結果に基づいてn本の標準ガスベクトルを作成し、これを表現するデータを記憶しておく標準データ取得手段と、
    d)前記試料採取手段により採取された試料ガスに対する前記ガスセンサの検出出力に基づいて前記m次元空間内に位置付けられる測定ベクトルと前記標準データ取得手段により形成される標準ガスベクトルとが成す角度を求め、該角度に基づいて試料ガスの各標準ガスに対する類似性を示す指標値を算出する類似性指標値算出手段と、
    e)少なくとも前記類似性を示す指標値に基づいて類似性が認められる標準ガスベクトルに対し、試料ガスの測定ベクトルの正射影をとって該正射影ベクトルの長さからその標準ガス成分に対するガス濃度を算出するガス濃度算出手段と、
    を備えることを特徴とするガス監視装置。
  2. a)所定時間間隔又は所定のタイミング毎に監視対象の試料ガスを所定量採取する試料採取手段と、
    b)互いに異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のガスセンサと、
    c)前記m個のガスセンサによる検出出力で形成されるm次元空間において、既知のn種類(nは2以上の整数)の標準ガスについてそれぞれ濃度を変えて得られる測定結果に基づいてn本の標準ガス曲線を作成し、これを表現するデータを記憶しておく標準データ取得手段と、
    d)前記試料採取手段により採取された試料ガスに対する前記ガスセンサの検出出力に基づいて前記m次元空間内に位置付けられる測定点から前記標準データ取得手段により形成される標準ガス曲線上の濃度仮指示点を求め、該濃度仮指示点の空間内位置に基づいてその標準ガス成分に対するガス濃度を算出するガス濃度算出手段と、
    e)前記濃度仮指示点の空間内位置、及び、該濃度仮指示点と前記測定点との空間内での近さ度合を示す値に基づいて、試料ガスのその標準ガスに対する類似性を示す指標値を算出する類似性指標値算出手段と、
    を備えることを特徴とするガス監視装置。
  3. 前記ガス濃度算出手段は、前記測定点と前記標準ガス曲線との距離が最短となるように該曲線上の濃度仮指示点を求め、前記類似性指標値算出手段は、該濃度仮指示点の空間内位置に基づいて求まる濃度を、該濃度仮指示点と測定点との間の距離、又は標準ガスと試料ガスとが濃度に対して直線性を持つとみなしたときの両者の成す角度に応じて減衰させ、その減衰した濃度を試料ガスに対する当該標準ガスの寄与であるとみなして前記濃度仮指示点に基づいて求まるガス濃度を修正すること特徴とする請求項2に記載のガス監視装置。
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