JP3896928B2 - におい測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未知のにおい(香気、臭気など全て含む)がどのような種類のにおいであるのか、及びどの程度の強さのにおいであるのかを測定するにおい測定装置に関する。なお、本発明に係るにおい測定装置は、悪臭測定装置、食品や薬品などの品質検査や品質評価を行う装置など、幅広い分野に適用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来、においの識別や評価は、実際に人間の嗅覚を用いて行われるのが一般的であった。しかしながら、実際に臭いを嗅ぐ人(パネル)の個人差やその日の体調によって嗅覚が変動することを想定する必要があるため、客観的な結果を精度良く得るためには、パネルを一定人数以上確保し、試験場所の環境等にも十分な配慮を必要とする。そのため、手間と時間が膨大なものとなる。また、このような配慮を行っても、人間の嗅覚はにおいに順応するという特性を有しているため、常に一定基準で確定的な判断を下すことは困難であった。
【0003】
これに対し、近年、においセンサを利用したにおい識別装置が特開平11−352088号公報などに開示されるとともに商品化されている(例えば島津製作所製FF−1など)。このようなにおい識別装置では、複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、クラスタ分析、主成分分析等の各種多変量解析処理、或いはニューラルネットワークを用いた非線形解析処理などを行って、複数の試料のにおいの離間距離(近い範疇のにおいであるかどうか)を求めることができる。しかしながら、こうしたにおい識別装置では、においセンサの特性上、異なる系列のにおいは比較的識別性が高いものの、例えばエタノール、プロパノール、ブタノールというように同系列のにおいは比較的識別が困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、上記のようなにおい識別装置に用いられているにおいセンサの応答感度は、人間の鼻の応答感度とはかなり異なる。そのため、同一のにおい量(或いは濃度)を有する物質であっても、人間の感覚的なにおい強さを表すにおい強度や臭気指数に換算すると、大きく相違する結果が出る場合がある。これは、上記のような、エタノール、プロパノール、ブタノールといった同系列のにおい物質に関しても同様である。すなわち、従来のにおい測定では、こうした同系列のにおい物質の識別性が低い反面、これらを識別し得ないとにおいの程度の指標値の算出精度が大きく劣化する可能性があるという問題点を有している。
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的とするところは、同系列のにおいに関してはその識別性が或る程度低い場合であっても、においの程度を表すにおい強度や臭気指数などの指標値を高い精度でもって算出することができる、信頼性の高いにおい測定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係るにおい測定装置は、
a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
b)該m個のにおいセンサによる検出出力で形成されるm次元空間において、n種類(nは2以上の整数)の既知の標準においの測定結果として位置付けられるn個の基準データ又は基準データ群を求める基準データ取得手段と、
c)未知試料の測定結果により前記m次元空間内に位置付けられる測定点と前記基準データ又は基準データ群との関係に基づいて、該未知試料が有する未知においにおける標準におい相当の換算濃度を表す指標値を算出する換算濃度算出手段と、
d)人間の嗅覚の特性を反映した嗅覚閾値又はこれに相当する値を含む演算式に則って、前記換算濃度を表す指標値からにおいの強さの程度を表す指標値を求めるに際し、前記未知においを構成する実際のにおい成分が前記標準においである場合に生じる誤差と、前記標準においに類似はしているもののそれとは異なるものである場合に生じる誤差との差異が小さくなるように修正された演算式又は嗅覚閾値若しくはこれに相当する値を用いた演算を行う強さ指標値算出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態、及び効果】
1個の標準においをm個のにおいセンサで測定すると、各においセンサからその強度信号が出力されるため、m個のデータが生成される。これらは数学的には、m次元におい空間における1つの点で表される。この標準においの濃度が相違した複数の標準試料をそれぞれ測定すると、その濃度変化に伴ってにおい空間での点が或る方向に移動するから、その点を繋ぐ1本のベクトルを考えることができる。このにおいベクトルは、そのにおいの種類に特有な向きを有する。本発明に係るにおい測定装置において、基準データ取得手段は標準におい毎に、例えばこうしたにおいベクトルを構成するデータを基準データ群として取得する。
【0008】
一方、未知試料の測定結果は、上述したような基準においベクトルが形成されたm次元空間内に、或る1点(測定点)として位置付けられる。従って、その測定点と基準においベクトルとの位置関係や、未知試料の濃度を変えて測定することによって得られる未知においベクトルの向きと基準においベクトルの向きとの関係などに応じて、その未知においと標準においとの類似性を判断することができる。さらに、基準においベクトル上の各点の位置はにおい成分の濃度に対応しているから、測定点から最短の距離を与える該基準においベクトル上の点の位置などから、未知においにおける標準におい相当の換算濃度を得ることができる。上記換算濃度算出手段は、未知においが既知の標準においの合成臭であると仮定し、上記のようにして各標準におい毎に換算濃度を算出する。
【0009】
もちろん、この際、n種類全ての標準においが使用されるとは限らず、n種類以下の標準においであれば構わない。但し、始めから或る系列を代表するようなにおいが欠けていると好ましくないため、標準においとしては、同系列の複数のにおい物質を集めたにおい質群毎に代表的なにおいを選定しておくことが望ましい。
【0010】
次いで、強さ指標値算出手段は、人間の嗅覚の特性を反映した嗅覚閾値又はこれに相当する値を含む演算式に則って、上記換算濃度から例えばにおい強度、臭気指数などのにおいの強さの程度を表す指標値を算出する。嗅覚閾値とは、人間が感知できる最小のにおい強度を表す数値である。一実施態様としては、この嗅覚閾値を用いた演算式により換算濃度からにおい強度を求めることができる。嗅覚閾値は物質毎に異なるから、上記のような換算を行う場合に標準においの嗅覚閾値を用いることが考えられる。しかしながら、未知においは標準においの合成臭であるとの仮定をたてたものの、実際には、未知においを構成しているにおい成分はその標準においと同系列ではあっても異なる物質である場合もあり得る。その場合、その物質の嗅覚閾値が標準においの嗅覚閾値からかけ離れるほど、におい強度の誤差が大きくなる。
【0011】
そこで、本発明に係るにおい測定装置において、強さ指標値算出手段は、未知においを構成する実際のにおい成分が標準においである場合に生じる誤差と、その標準においに類似はしているもののそれとは異なるものである場合に生じる誤差との差異ができるだけ小さくなるように、例えば換算のための演算式に含まれる嗅覚閾値の値を適宜に修正する。具体的には、例えば標準においの嗅覚閾値を用いる代わりに、その標準においが属する系列のにおい質群に属する複数のにおいの嗅覚閾値の平均値を使用する。その場合、未知においを構成するにおい成分が標準においであったとしても、算出されたにおい強度は誤差を含むことになるが、その反面、未知においを構成するにおい成分が、標準においの嗅覚閾値と大きく異なる嗅覚閾値を持つ物質であったとしても、におい強度の誤差は相対的に小さくて済む。
【0012】
従って、本発明に係るにおい測定装置によれば、におい量や濃度からにおい強度などのにおいの強さの程度を示す指標値を算出する際に生じる可能性のある誤差の最大値が抑制されるので、においの強さの程度を表す指標値の信頼性が高まり、総合的に測定精度が向上する。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例であるにおい測定装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例によるにおい測定装置のブロック構成図である。
【0014】
本実施例のにおい測定装置は、試料を吸引するための吸入口1、吸引した試料に前処理を施す前処理部2、未知試料又は標準におい成分を含む標準試料を測定するための、応答特性が異なる複数(この例では6個)のにおいセンサ31〜36を備えたセンサセル3、未知試料又は標準試料をセンサセル3に引き込むためのポンプ4、においセンサ31〜36による検出信号を解析処理する信号処理部5、解析処理の出力をディスプレイ画面上に表示する表示部6、本装置全体の動作を制御する制御部7、等から構成される。
【0015】
前処理部2では、試料に含まれる水分の除去、試料の濃縮/希釈、妨害ガスの除去等が行われる。においセンサ31〜36は、例えばにおい成分に応じて抵抗値が変化する酸化物半導体センサであるが、導電性高分子センサや、水晶振動子やSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出手法によるセンサでもよい。信号処理部5(及び制御部7)はパーソナルコンピュータを中心に構成され、該コンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより、ピーク抽出部51、ベクトル演算部52、基準ベクトル記憶部53、標準におい換算濃度算出部54、平均におい強度算出部55、平均嗅覚閾値記憶部56等として機能する。
【0016】
次いで、本実施例のにおい測定装置による測定手順を説明する。本におい測定装置では、予め複数種類のにおい成分をそれぞれ単独で含む標準試料を測定して基準データとして保持しておく。標準試料は、例えばボンベ(気体)、液体、固体から発生する原料ガスを混合・希釈することにより調製される。原料ガスは、常温でガスのものについてはガスボンベに封入しておき、一定量を取り出して使用すればよい。液体の場合はガラス容器等に入れ、所定温度に保ったり窒素ガスをバブリングしたりすることによりにおいを発生させればよい。また、固体のものは、所定温度に保つことによりにおいを発生させればよい。
【0017】
ここでは、標準においとしてトルエン、ブタノール、酢酸エチル、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、酪酸,ブチルアルデヒドの7種類を使用する。これらはそれぞれ同系列のにおい質群を代表するものとして選定され、トルエンは芳香族系の代表、ブタノールはアルコール系の代表、酢酸エチルはエステル系の代表、トリメチルアミンはアミン系の代表、メチルメルカプタンは硫黄系の代表、酪酸は有機酸系の代表、ブチルアルデヒドはアルデヒド系の代表である。但し、これは一例であって、各におい質群における標準においはこれに限定されるものではなく、またにおい質群もこれに限定されるものではない。
【0018】
上記7種類の標準においについて、それぞれ濃度を変えて調製した標準試料を吸入口1に供給し、ポンプ4を作動させることにより該標準試料をセンサセル3に引き込む。センサセル3に導入された標準試料がにおいセンサ31〜36に接触すると、各においセンサ31〜36からそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。信号処理部5においてピーク抽出部51は、1系統の出力信号の時間的変動の中で極大点(ピークトップ)を捉え、各においセンサ31〜36毎に1つずつの検出信号を得る。もちろん、ピークトップを検出信号とするほかに、例えばピーク面積を用いる等、適宜に変形を行うことができる。従って、ピーク抽出部51では、1個の標準試料に対して全部で6個の測定データDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6が得られる。6個のにおいセンサ31〜36による検出信号をそれぞれ異なる方向の軸として形成される6次元におい空間を考えると、上記6個の測定データはにおい空間内の或る1点(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6)で表すことができる。
【0019】
濃度の相違する同一標準においを含む標準試料による測定点は、上記6次元におい空間において濃度変化に応じて移動するから、ベクトル演算部52は同一標準においに対して取得された複数の測定点に基づいて1本のにおいベクトルを算出する。そして、上記7種類の標準においを測定することにより、7本のにおいベクトルS1〜S7を算出し、そのにおいベクトルを表現するデータを基準ベクトル記憶部53に格納する。この基準ベクトル記憶部53に格納されるデータが、未知試料に含まれるにおいの性質や強度などを推算する際の基準データである。
【0020】
6次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図2に示すような、第1、第2なる2個のにおいセンサの検出信号DS1,DS2により形成される2次元のにおい空間で考えることとする。この2次元空間内において、或る1個の標準試料に対する第1、第2においセンサによる2個の測定データは、或る1点(DS1,DS2)で表され、1つの標準においの測定結果により作成される1本の基準においベクトルは、例えば図2に示すように位置付けられることになる。
【0021】
測定対象である未知試料を測定する際には、吸入口1に該未知試料を供給し、ポンプ4を作動させて未知試料をセンサセル3に引き込む。このとき6個のにおいセンサ31〜36による出力信号は上述したようにピーク抽出部51に与えられ、各においセンサ31〜36毎に1つずつの検出信号が得られ標準におい換算濃度算出部54へと入力される。
【0022】
未知試料に含まれるにおい、つまり未知においの成分は不明であるが、その性質を推算する仮定として、上記7種類の標準においのうちの1種類以上のにおいの合成臭であると仮定する。そして、その仮定の下で、基準ベクトル記憶部53に格納されている7本の基準においベクトルS1〜S7を利用し、その未知においを構成する各標準におい相当の換算量(換算濃度)を算出する。具体的には、例えば次のような方法により換算濃度を算出する。
【0023】
説明を簡単にするために、図2に示す2次元におい空間で説明する。まず、測定点Pから第1基準においベクトルS1への距離が最短となるような該ベクトルS1上の点Q1を探索する。第1基準においベクトルS1上の各点は第1標準においの濃度に対応付けられるから、上記点Q1の位置に基づいて、その未知においにおける第1標準におい相当の仮の濃度を求めることができる。また、測定点Pと点Q1との最短距離d1が短いほど未知においと第1標準においとの類似性が高いと看做すことができるから、その距離d1に応じて上記のように求まった第1標準におい相当の仮の濃度を補正し、第1標準におい相当の濃度として定める。
【0024】
なお、未知試料の測定結果から第1標準におい相当の濃度を求める方法はこれに限るものではなく、各種の方法によることができる。他の一例としては、未知試料の濃度を変えて測定することにより、基準においベクトルと同様に未知試料に対する未知においベクトルをにおい空間内に作成し、その未知においベクトルと第1基準においベクトルとの成す角度や、未知においベクトルを第1基準においベクトル上に正射影してできるベクトルの長さなどに基づいて第1標準におい相当の濃度を算出するようにしてもよい。
【0025】
また、各においセンサ31〜36において、におい成分の濃度とその検出出力との関係が線形である場合には、においベクトルは図2に示したように直線形状となるが、におい成分の濃度と検出出力との関係が非線形である場合には、においベクトルは6次元(又は2次元)におい空間内で図3に示すように曲線形状となる。しかし、その場合でも、上記趣旨に基づき、測定点Pから第1基準においベクトルS1への距離が最短となるような該ベクトルS1上の点Q1を見つければよいことは同様である。
【0026】
本におい測定装置において、図4に模擬的に示すように、実際には6次元におい空間内に7本の基準においベクトルS1〜S7が存在するから、標準におい換算濃度算出部54は、測定点Pから各基準においベクトルS1〜S7への距離が最短となるようなベクトルS1〜S7上の点Q1〜Q7をそれぞれ探索する。そして、測定点Pとそれら点Q1〜Q7との距離d1〜d7を求め、点Q1〜Q7の位置に応じた濃度と距離d1〜d7とから各標準におい相当の濃度C1〜C7を算出する。但し、上述したように標準においは各におい質群の代表であって、未知においを構成している実際のにおい成分は標準においそのものであるとは限らないから、あくまでも標準においの合成臭であると仮定した場合の換算量にすぎない。
【0027】
次に、においセンサ31〜36と人間の嗅覚との応答感度の相違を考慮して、上記においの換算濃度をにおい強度に変換する。すなわち、濃度が同一のにおいであっても、人間の嗅覚閾値が低いにおいであるほど人間は強いにおいであると感じる。そこで、一般には、各標準においに対する嗅覚閾値を用いれば、上記で求めたにおい濃度をにおい強度に変換することができる。すなわち、第i標準におい(i=1〜7)に対する嗅覚閾値THi[ppm]を用いると、第i標準においの強度は濃度Ci[ppm]から次の(1)式で求めることができる。
Ii=10Log(Ci/THi ) …(1)
【0028】
しかしながら、上述したように、未知においを構成している実際のにおい成分は必ずしも上記7種類の標準においであるとは限らず、たとえ同じにおい質群に属するにおいであっても、そのにおい質群を代表している標準においと異なる物質である場合には、嗅覚閾値の差によってにおい強度に誤差が生じることがある。一例を挙げると、トルエンとp−キシレンとはともに同じにおい質群である芳香族系に属するが、トルエンの嗅覚閾値は0.33[ppm]であり、p−キシレンの嗅覚閾値は0.041[ppm]と大きく異なる。(なお、これら嗅覚閾値の数値は、永田、竹内「三点式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」第29回大気汚染学会講演会要旨集528、1998年による。)
【0029】
いま、未知においのトルエン換算量として得られた濃度が10[ppm]であったとすると、トルエンの嗅覚閾値を用いた場合にはにおい強度は15となるが、p−キシレンの嗅覚閾値を用いた場合にはにおい強度は24となる。従って、トルエンであると仮定して濃度を算出しトルエンの嗅覚閾値を用いてにおい強度に変換したときに、未知においを構成する成分がトルエンであった場合には問題がない(誤差はゼロ)が、実際にはトルエンではなくp−キシレンのみであったとするとにおい強度には9の誤差が生じることとなる。
【0030】
本実施例のにおい測定装置では、におい濃度からにおい強度を算出する際に、標準においの嗅覚閾値をそのまま用いるのではなく、同じにおい質群に属する複数のにおい成分の嗅覚閾値の平均値を利用する。例えば、芳香族系に属するトルエンとp−キシレンの平均の嗅覚閾値THavを次のように決める。
THav=10(Log ( 0.33 ) +Log(0.041 ) +1)=0.1
353
【0031】
上述したように未知においのトルエン換算量として得られた濃度が10[ppm]であった場合、この平均嗅覚閾値THavを用いて(1)式によりにおい強度を求めると、におい強度は19となる。つまり、そのにおい成分が実際にトルエンであった場合のにおい強度の誤差は4、他方、そのにおい成分が実際にはp−キシレンであった場合のにおい強度の誤差は5となる。従って、におい強度の最大誤差は上記の場合の9よりも小さくなり、結果的に、算出されたにおい強度の値の信頼性が向上することになる。
【0032】
一般的には、嗅覚閾値の平均値を求める際には、同じにおい質群に属するにおいの種類を多くしておくことが好ましい。いま、或るにおい質群に属するにおいをk種類とすると、平均嗅覚閾値THavは次の(2)式で求めることができる。
THav=10(Σ Log(THk)+1) …(2)
【0033】
このような計算式に基づき、7種類の各におい質群毎に平均嗅覚閾値を求めておき、予め平均嗅覚閾値記憶部56に格納しておく。そして、未知試料の測定時に、平均におい強度算出部55は標準におい換算濃度算出部54から最大7個の標準におい相当の濃度を受け取ると、平均嗅覚閾値記憶部56から各におい質群毎の平均嗅覚閾値を読み出し、上記(1)式に基づいて換算濃度からにおい強度を算出する。また、これら各におい質群毎のにおい強度を合計したものが、未知試料のにおい強度となる。そして、各におい質群毎の平均におい強度の値やトータルのにおい強度を表示部6に出力して、画面上に表示させる。
【0034】
なお、例えば未知においを構成するにおい成分が完全には判っていなくても、同じにおい質群の中でその物質の候補を絞ることができる場合には、平均嗅覚閾値を算出する際にいくつかのにおいを適宜選択して平均嗅覚閾値を算出するほうが、より精度を向上させることができる。従って、そうした処理を行う場合には、平均嗅覚閾値を予め算出して記憶させておくのではなく、各におい質群で複数のにおいの嗅覚閾値を記憶させておき、その中から適宜のにおいを選択して平均嗅覚閾値を計算する機能を持たせるようにするとよい。
【0035】
また、上記実施例はいずれも本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を加えることができることは明らかである。例えば、上記実施例はにおい強度を求める場合の例であるが、におい濃度から、におい強度以外の臭気指数等、いわゆる臭さ度合いを表す指標値に換算するものであって、その換算のための基準(上記例では嗅覚閾値)が同一におい質群内でも一定でないような場合に本発明が適用可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるにおい測定装置のブロック構成図。
【図2】 本実施例のにおい測定装置における濃度の算出原理の説明図。
【図3】 本実施例のにおい測定装置における濃度の算出原理の説明図。
【図4】 本実施例のにおい測定装置におけるにおい濃度の算出方法の一例の説明図。
【符号の説明】
1…吸入口
2…前処理部
3…センサセル
31〜36…においセンサ
4…ポンプ
5…信号処理部
51…ピーク抽出部
52…ベクトル演算部
53…基準ベクトル記憶部
54…換算濃度算出部
55…平均におい強度算出部
56…平均嗅覚閾値記憶部
6…表示部
7…制御部

Claims (3)

  1. a)異なる応答特性を有するm(mは2以上の整数)個のにおいセンサと、
    b)該m個のにおいセンサによる検出出力で形成されるm次元空間において、n種類(nは2以上の整数)の既知の標準においの測定結果として位置付けられるn個の基準データ又は基準データ群を求める基準データ取得手段と、
    c)未知試料の測定結果により前記m次元空間内に位置付けられる測定点と前記基準データ又は基準データ群との関係に基づいて、該未知試料が有する未知においにおける標準におい相当の換算濃度を表す指標値を算出する換算濃度算出手段と、
    d)人間の嗅覚の特性を反映した嗅覚閾値又はこれに相当する値を含む演算式に則って、前記換算濃度を表す指標値からにおいの強さの程度を表す指標値を求めるに際し、前記未知においを構成する実際のにおい成分が前記標準においである場合に生じる誤差と、前記標準においに類似はしているもののそれとは異なるものである場合に生じる誤差との差異が小さくなるように修正された演算式又は嗅覚閾値若しくはこれに相当する値を用いた演算を行う強さ指標値算出手段と、
    を備えることを特徴とするにおい測定装置。
  2. 前記標準においとして、同系列の複数のにおい物質を集めたにおい質群毎に代表的なにおいを選定することを特徴とする請求項1に記載のにおい測定装置。
  3. 前記強さ指標値算出手段は、前記標準においが代表しているにおい質群に含まれる複数のにおいの平均嗅覚閾値を用いることにより、換算濃度からにおいの強さの程度を表す指標値を求めることを特徴とする請求項2に記載のにおい測定装置。
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