JP4012039B2 - 壁パネルの接合構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば2階建ての建物において2階壁パネルとこれに2階床パネルを介して接合されるマグサまたは小壁とを接合する際に用いられる壁パネルの接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の建築に際して、上階の壁パネルおよび床パネルを締め付け固定するとともに、その床パネルをマグサに接合固定する場合に、図2および図3に示すような接合構造が採られていた。
【0003】
たとえば2階建て建物において、2階側の床パネル31上に2階側の壁パネル32を建て起こす前に、床パネル31の芯材または半土台(以下、芯材という)31aに設けたボルト挿通孔33に胴差しボルト34を挿通するとともに、床パネル31の芯材31aに形成された切り欠き部35を介して、胴差しボルト34の下端に座金36aを介してナット36を螺合させる。
この状態で、床パネル31上に壁パネル32を建て起こした後、胴差しボルト34の上端を壁パネル32における芯材32aのボルト挿通孔37に挿通するとともに、その胴差しボルト34の上端に座金38aを介してナット38を螺合させて、壁パネル32を床パネル31に締め付け固定する。
【0004】
続いて、床パネル31の切り欠き部35の両側開口面にパッキン材39を接着剤により接着して、床パネル31の芯材31aと床パネル31を支持する1階側のマグサ(または小壁)40との間の表面段差を補修する。さらに、この状態において、各パッキン材39およびマグサ40の表面にガセット41を接着剤により接着するとともに、各ガセット41上から床パネル31の芯材31aおよびマグサ40に複数の釘42を打ち込む。これにより、床パネル31とマグサ40との間を接合固定するとともに、床パネル31の切り欠き部35の両側開口面を閉塞している。
【0005】
そして、このような従来知られている接合構造によれば、2階側の床パネル31を挟んで2階側の壁パネル32と1階側のマグサ(または小壁)40とを接合するにあたって、1階側の壁パネルと2階側の壁パネルとを固定するために一般に用いている周知の胴差しボルト、ナット等を用いることができるものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−32158号公報(第2−3頁、図5、図6、図7)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような接合構造によれば、複数階建ての建物において吹き抜けや階段室にあたる部分に適用する際に問題があった。
たとえば図4に示すようなパネル構造による2階建て建物30において、図中Aで示す部分のように片側が吹き抜けBとされるところで、2階側の壁パネル32を、上述した接合構造により2階側床パネル31を介してマグサ(または小壁)40と接合したときに、吹き抜けB側の面に部分的な出っ張りが生じる。
【0008】
これを詳述すると、上述した壁パネルの接合構造では、2階側の床パネル31の芯材31aと1階側のマグサ40とを、両側面に付設したガセット41で連結しているため、該ガセット41の厚さ分だけの出っ張りを生じることを避けられないものであった。特に、この部分の外側に、石膏ボード等が防火材として設けられるものであるが、上述した出っ張り部分は石膏ボードも別部材で構成して出っ張らせる必要があり、作業性の面からも問題であった。
【0009】
上述したガセット41に対応する部分の石膏ボードの厚さを防火性能等の基準を満足できる程度に設定し、それ以外の部分の石膏ボードの厚さを上記の出っ張りを解消できる程度に厚くすることも考えられるが、石膏ボードの全体としての厚さが必要以上に厚くなり、コスト高を招くという点で問題であった。このような問題は、出っ張り分のスペーサを設けた場合にも同様であり、作業性も悪くなることから、同様であった。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上階側の壁パネルと下階側のマグサまたは小壁を上階側の床パネルを介して接合する際に、該接合部分の片側が吹き抜けや階段室である場合において、従来問題であったガセット等による出っ張りを解消し、外観を損なわないようにし、しかも施工が簡単で、作業性に優れ、コスト面でも有利である壁パネルの接合構造を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る壁パネルの接合構造は、上階側の壁パネルと下階側のマグサまたは小壁を上階側の床パネルの端縁部分を介して接合する壁パネルの接合構造であって、前記上階側の壁パネルは、上階側の床パネルの端縁部分に胴差しボルトおよびナットにより締結固定されるとともに、前記上階側の床パネルの端縁部分が、前記下階側のマグサまたは小壁との間であって前記床パネルの内側寄りの部分に付設したガセットにより結合固定されていることを特徴とする。
ここで、ガセットは、床パネルの外側寄りの部分には存在しておらず、床パネルの内側寄りの部分にのみ付設されていることは勿論である。
【0012】
本発明(請求項2記載の発明)に係る壁パネルの接合構造は、請求項1において、前記上階側の床パネルの端縁部分に設けられている芯材または半土台と、前記下階側のマグサまたは小壁との間に生じる表面段差は、該芯材または半土台に付設したパッキン材によって補修されていることを特徴とする。
【0013】
本発明(請求項3記載の発明)に係る壁パネルの接合構造は、請求項1または請求項2において、前記上階側の床パネルの端縁部分であって該床パネルの外側寄りの部分には、前記上階側の壁パネルの表面と下階側のマグサまたは小壁の表面との間に表面段差が生じないように胴差しが付設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明(請求項4記載の発明)に係る壁パネルの接合構造は、請求項1、請求項2または請求項3において、前記上階側の壁パネルの表面、胴差しの表面、下階側のマグサまたは小壁の表面には、同一垂直面を一連に形成する防火材が配設されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、上階側の壁パネルと下階側のマグサまたは小壁を上階側の床パネルを介して接合する際に、該接合部分の片側が吹き抜けや階段室である場合において、従来問題であったガセット等による出っ張りを解消し、簡単な作業で防火性能が確保することができるから、作業性やコスト面で優れている等の利点を奏するのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る壁パネルの接合構造の一実施の形態を示し、この実施の形態では、図4等に示した2階建て建物30において、吹き抜けBに臨んで配置される壁パネルの接合部10について説明する。
【0017】
図において、符号11は2階側の床パネル、11aは床パネル11の芯材または半土台(以下、芯材という)、12は前記床パネル11の端縁部分に立設される2階側の壁パネルである。この壁パネル12は、その芯材12aが、前記床パネル11の芯材11aおよびこれに並設されている胴差し13間に形成されているボルト挿通孔14に挿通させた胴差しボルト15およびその両端のナット16a,16bによって、床パネル11の端縁部上に建て起こされた状態で固定されている。
【0018】
前記床パネル11の芯材11aにおいて、ナット16bに相当する部位には、切り欠き17が形成され、前記胴差しボルト15に対してナット16bを側方から螺合させて締結固定操作を行えるように構成されている。
また、上記のナット16aの螺合を行うために、壁パネル12の一部にも切り欠き開口(図示せず)が形成され、適宜の閉塞部材により閉塞されるように構成されている。
【0019】
18は1階側において前記2階側の壁パネル12と結合されるマグサまたは小壁(以下、マグサという)であり、このマグサ18と前記床パネル11の芯材11aとの間には、これらを反吹き抜け側において連結固定するためのガセット20が、前記切り欠き17の開口を閉塞する状態で付設され、釘21で打ち込まれることで固定されている。
【0020】
このガセット20は、上記の部材18,11aを連結することにより、前記2階側の壁パネル12と1階側のマグサ18とを床パネル11を介して結合する部材である。
本発明によれば、このようなマグサ18を2階側の壁パネル12に結合するにあたって、片側に吹き抜けBがある場合に、上記のガセット20を反吹き抜け側にのみ配設するように構成したことを特徴としている。
【0021】
この場合において、このようなガセット20としては、従来結合部の両側に設けていたガセットの厚さの少なくても2倍、あるいはそれ以上の厚さをもつものを用いる。たとえば従来厚さ5.5mmのガセットを2枚用いていた場合には、厚さ12mmのガセット20を用いて、片側(耐力壁の片側胴差しボルト部分)を連結するようにするとよい。
【0022】
ここで、図中22は前記床パネル11の芯材11aとマグサ18の反吹き抜け側において生じる表面段差を補修するためのスペーサであるパッキン材である。これに対して、吹き抜けB側において、2階側の壁パネル12の表面、胴差し13、さらに1階側のマグサ18の表面は段差が生じないような状態とされている。
【0023】
図中24は上記の表面段差を生じない吹き抜け側の部分に配設される防火材としての石膏ボードであり、出っ張りのない状態で配設することができるのである。25は2階側壁パネル12の内側に付設される石膏ボード、26は1階側のマグサ18および床パネル11の下面部分に配設される石膏ボードである。
【0024】
このような構成によれば、2階建て建物30において、2階側の床パネル11の側端部上に2階側の壁パネル12を建て起こす前に、床パネル11の芯材11aに設けたボルト挿通孔14に胴差しボルト15を挿通するとともに、床パネル11の芯材11aに形成された切り欠き部17を介して、胴差しボルト15の下端に座金を介してナット16bを螺合させる。この状態で、床パネル11上に壁パネル12を建て起こした後、胴差しボルト15の上端を壁パネル12における芯材12aのボルト挿通孔に挿通するとともに、その胴差しボルト15の上端に座金を介してナット16aを螺合させて、壁パネル12を床パネル11に締め付け固定する。
【0025】
続いて、床パネル11の切り欠き部17の開口のうち、反吹き抜け側の開口面にパッキン材22を接着剤により接着して、床パネル11の芯材11aと床パネル11を支持する1階側のマグサ18との間の表面段差を補修する。さらに、この状態において、各パッキン材22およびマグサ18の表面にガセット20を接着剤により接着するとともに、各ガセット20上から床パネル11の芯材11aおよびマグサ18に複数の釘21を打ち込む。これにより、床パネル11とマグサ18との間を接合固定するとともに、床パネル11の切り欠き部17の片側開口面を閉塞する。
しかる後、それぞれの外側に、防火材としての石膏ボード24、25、26を配設し、ビスなどで固定すればよい。
【0026】
以上の構成によれば、2階側の壁パネル12と1階側のマグサ18とを2階側の床パネル11を介して接合する際に、該接合部分の片側が吹き抜けBである場合において、従来問題であったガセット等による出っ張りを解消でき、簡単な作業で防火性能を確保することができ、しかも片側からガセット20を付設することでよいから施工が簡単で、作業性に優れ、またコスト面でも有利である等の利点を奏するものである。
【0027】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。たとえば上述した実施の形態では、2階建て建物30において吹き抜けBの部分にあたる壁パネルの接合部10に本発明を適用した場合を説明したが、本発明はこれに限らず、複数階建ての建物において、吹き抜けや階段室などにおいて、片側を表面段差が生じない状態で構成することが望まれる部分に適用して効果を発揮し得るものである。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る壁パネルの接合構造によれば、上階側の壁パネルと下階側のマグサまたは小壁を上階側の床パネルを介して接合する際に、該接合部分の片側が吹き抜けや階段室である場合において、従来問題であったガセット等による出っ張りを解消し、簡単な作業で防火性能を確保することができ、しかも全体の施工が簡単で、作業性やコスト面で優れている等の種々優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る壁パネルの接合構造の一実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】 従来の壁パネルの接合構造の一例を示す要部断面図である。
【図3】 図2の壁パネルの接合構造を展開して示す概略分解斜視図である。
【図4】 建物において壁パネルの接合構造を施工する部分を説明するための概略図である。
【符号の説明】
10…壁パネルの接合部、11…2階側(上階側)の床パネル、11a…芯材または半土台、12…2階側(上階側)の壁パネル、12a…芯材、13…胴差し、14…ボルト挿通孔、15…胴差しボルト、16a,16b…ナット、17…切り欠き、18…マグサまたは小壁、20…ガセット、21…釘、22…パッキン材、24…防火材としての石膏ボード、30…2階建て建物、B…吹き抜け。

Claims (4)

  1. 上階側の壁パネルと下階側のマグサまたは小壁を上階側の床パネルの端縁部分を介して接合する壁パネルの接合構造であって、
    前記上階側の壁パネルは、上階側の床パネルの端縁部分に胴差しボルトおよびナットにより締結固定されるとともに、
    前記上階側の床パネルの端縁部分が、前記下階側のマグサまたは小壁との間であって前記床パネルの内側寄りの部分に付設したガセットにより結合固定されていることを特徴とする壁パネルの接合構造。
  2. 請求項1記載の壁パネルの接合構造において、
    前記上階側の床パネルの端縁部分に設けられている芯材または半土台と、前記下階側のマグサまたは小壁との間に生じる表面段差は、該芯材または半土台に付設したパッキン材によって補修されていることを特徴とする壁パネルの接合構造。
  3. 請求項1または請求項2記載の壁パネルの接合構造において、
    前記上階側の床パネルの端縁部分であって該床パネルの外側寄りの部分には、前記上階側の壁パネルの表面と下階側のマグサまたは小壁の表面との間に表面段差が生じないように胴差しが付設されていることを特徴とする壁パネルの接合構造。
  4. 請求項1、請求項2または請求項3記載の壁パネルの接合構造において、
    前記上階側の壁パネルの表面、胴差しの表面、下階側のマグサまたは小壁の表面には、同一垂直面を一連に形成する防火材が配設されていることを特徴とする壁パネルの接合構造。
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