JP4011690B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてP+ N- N+ プレーナー型ダイオードやP+ N- N+ プレーナー型トランジスタ等に適用されると共に、高耐圧用のアルミフローティングリングパシベイション構造の半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の半導体装置として、例えばP+ N- N+ プレーナー型ダイオードの要部を製造する場合には、図2(a)〜(f)の側面断面図に示されるような工程手順に従っている。但し、同図(a)はエピタキシャル成長工程に関するもの,同図(b)はマスク形成工程に関するもの,同図(c)はポリシリコン形成工程に関するもの,同図(d)はアノード形成及び配線パターン形成工程に関するもの,同図(e)は電極形成工程に関するもの,同図(f)はSiO2 −CVD膜形成工程に関するものである。
【0003】
図2(a)に示すエピタキシャル成長工程では、不純物濃度が1×1018cm-3のN+ 型シリコン基板1上に不純物濃度が1×1013cm-3のN- 型エピタキシャル層2を約50μmエピタキシャル成長させた後、N+ 型シリコン基板1裏面及びN- 型エピタキシャル層2表面に熱酸化によりSiO2 膜の熱酸化膜3を約3000オングストロームの厚みで形成する。
【0004】
図2(b)に示すマスク形成工程では、N- 型エピタキシャル層2表面上に付着している熱酸化膜3に一般的なフォトリソグラフィ法によってアノードパターンを形成した後、フッ酸系エッチング液により熱酸化膜3に開孔部を設けてSiO2 膜31を形成する。
【0005】
図2(c)に示すポリシリコン形成工程では、P型ガスとしてB2 H6 (ジボラン)をドープしたP+ ポリシリコン膜4をN- 型エピタキシャル層2及びSiO2 膜31の表面に成長させる。
【0006】
図2(d)に示すアノード形成及び配線パターン形成工程では、P+ ポリシリコン膜4が表面に付着している状態で例えば1100℃の高温熱処理によりP型の熱拡散をN- 型エピタキシャル層2に行ってアノード層5を形成した後、P+ポリシリコン膜4にフォトリソグラフィ法によって配線をパターンニングし、P+ ポリシリコン膜4をエッチングしてパターンニングされたP+ ポリシリコン膜41を形成する。
【0007】
図2(e)に示す電極形成工程では、蒸着やスパッタリング法等によりアルミニウム膜を表裏全面に形成して裏面にアルミニウム膜によるカソード電極7を形成すると共に、表面をフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によりパターンニングしてアルミニウム膜によるアノード電極6を形成する。
【0008】
図2(f)に示すパシベイションSiO2 −CVD膜形成工程では、CVD法によりSiO2 −CVD膜を表面全体に形成した後、フォトリソグラフィ工程及びSiO2 −CVD膜のエッチングを行ってパターンニングされたSiO2 −CVD膜8を形成する。
【0009】
尚、ここでは高耐圧用のP+ N- N+ プレーナー型パシベイション構造のダイオードの製造について説明したが、他の半導体デバイスとして高耐圧用P+ N-N+ プレーナー型パシベイション構造のトランジスタを製造する場合にも同様な手順を適用できる。但し、こうしたトランジスタデバイスを製造する場合には、一導電型であるN+ 型シリコン基板1表面に同じN+ 型のソース領域並びにN+型とは逆な逆導電型(N- 型)のゲート領域が形成され、且つN+ 型シリコン基板1裏面にドレイン領域が形成される構成となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した高耐圧用の半導体装置(P+ N- N+ プレーナー型のダイオードデバイスやトランジスタデバイス)の場合、その製造工程においてSiO2 膜自体の膜質が汚染されていたり、或いはこれに引き続く工程でSiO2 膜が汚染されると、高耐圧を得るために必要な空乏層を大きく広げる際に支障を来してしまう。こうした汚染があれば、高耐圧を得るために必要なデバイス構造を考慮してPN接合理論値を計算しても高耐圧が得られなくなってしまう。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、酸化膜(SiO2 膜)が汚染されずに必要な空乏層を適確に形成できると共に、安定して高耐圧が得られる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、 一導電型のシリコン基板表面に該一導電型とは逆な逆導電型のアノード領域を形成すると共に、該シリコン基板裏面にカソード領域を形成するダイオードデバイスの製造に際し、該アノード領域への電極形成前に酸化膜を介在させた空乏層が広がる領域を含む該ダイオードデバイスのN - 型エピタキシャル層2及びSiO 2 膜の表面にP + 型ポリシリコン膜を形成し、該P + 型ポリシリコン膜の表面に外部からの汚染を防止するためのアルミニウム膜を形成するアルミニウム膜形成工程を有し、該アルミニウム膜成形工程では、前記アルミニウム膜の下地部分の前記シリコン基板表面を空乏層としてアルミフローティングリングパシベイション構造とする半導体装置の製造方法が得られる。
【0013】
又、本発明によれば、一導電型のシリコン基板表面に該一導電型のソース領域並びに該一導電型とは逆な逆導電型のゲート領域を形成すると共に、該シリコン基板裏面にドレイン領域を形成するトランジスタデバイスの製造に際し、該ソース領域及び該ゲート領域への電極形成前に酸化膜を介在させた空乏層が広がる領域を含む該トランジスタデバイスのN - 型エピタキシャル層2及びSiO 2 膜の表面にP + 型ポリシリコン膜を形成し、該P + 型ポリシリコン膜の表面に外部からの汚染を防止するためのアルミニウム膜を形成するアルミニウム膜形成工程を有し、該アルミニウム膜成形工程では、前記アルミニウム膜の下地部分の前記シリコン基板表面を空乏層としてアルミフローティングリングパシベイション構造とする半導体装置の製造方法が得られる。
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例を挙げ、本発明の半導体装置の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係るP+ N- N+ ダイオードの要部に関する製造工程を工程順に示した側面断面図であり、同図(a)はエピタキシャル成長工程に関するもの,同図(b)はマスク形成工程に関するもの,同図(c)はポリシリコン形成工程に関するもの,同図(d)はアノード形成及び配線パターン形成工程に関するもの,同図(e)はアルミニウム膜形成工程に関するもの,同図(f)はアルミニウム膜成形工程に関するもの,同図(g)はSiO2 −CVD膜形成工程に関するもの,同図(h)は電極形成工程に関するもの,同図(i)はパシベイションSiO2 −CVD膜形成工程に関するものである。
【0018】
図1(a)に示すエピタキシャル成長工程では、不純物濃度が1×1018cm-3のN+ 型シリコン基板1上に不純物濃度が1×1013cm-3のN- エピタキシャル層2を約50μmエピタキシャル成長させた後、N+ 型シリコン基板1裏面及びN- 型エピタキシャル層2表面に熱酸化によりSiO2 膜の熱酸化膜3を全面に約3000オングストロームの厚みで形成する。
【0019】
図1(b)に示すマスク形成工程では、N- 型エピタキシャル層2表面上に付着している熱酸化膜3に一般的なフォトリソグラフィ法によってアノードパターンを形成した後、フッ酸系エッチング液により熱酸化膜3に開孔部を設けてSiO2 膜31を形成する。
【0020】
図1(c)に示すポリシリコン形成工程では、P型ガスとしてB2 H6 (ジボラン)をドープしたP+ 型ポリシリコン膜4をN- 型エピタキシャル層2及びSiO2 膜31の表面に成長させる。
【0021】
図1(d)に示すアノード形成及び配線パターン形成工程では、P+ ポリシリコン膜4が表面に付着している状態で例えば1100℃の高温熱処理によりP型の熱拡散をN- 型エピタキシャル層2に行ってアノード層5を形成した後、P+ポリシリコン膜4にフォトリソグラフィ法によって配線をパターンニングし、P+ ポリシリコン膜4をエッチングしてパターンニングされたP+ ポリシリコン膜41を形成する。
【0022】
尚、ここまでの工程は、図2(a)〜(d)に示した従来の場合と同じ手順となっている。
【0023】
図1(e)に示すアルミニウム膜形成工程では、スパッタリングによりP+ ポリシリコン膜41及びSiO2 膜31の表面全面に例えば500オングストローム程度の厚みで極薄いアルミニウム膜9を形成する。
【0024】
図1(f)に示すアルミニウム膜成形工程では、フォトリソグラフィ工程によりアルミニウム膜9をアノード層5に接触しないようなパターンにエッチング成形してアルミニウム膜91を形成する。ここではアルミニウム膜9の下地部分のN- 型エピタキシャル層2表面が空乏層となり、アルミニウム膜91は空乏層を含むダイオードデバイスの周囲のみにリング状に形成される。
【0025】
尚、ここまでのアルミニウム膜形成工程及びアルミニウム膜成形工程は、合わせてアルミフローティングリング形成工程と呼ばれても良い。
【0026】
図1(g)に示すSiO2 −CVD膜形成工程では、SiO2 −CVD膜をアルミニウム膜91及びP+ ポリシリコン膜41の表面全面に形成した後、フォトリソグラフィ工程により電極取り出し口のパターンを形成すべく、SiO2 −CVD膜10のエッチングを行ってSiO2 −CVD膜10を形成する。
【0027】
図1(h)に示す電極形成工程では、蒸着やスパッタリング法等によりアルミニウム膜を表裏全面に形成して裏面にアルミニウム膜によるカソード電極7を形成すると共に、表面をフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によりパターンニングしてアルミニウム膜によるアノード電極6を形成する。
【0028】
図1(i)に示すパシベイションSiO2 −CVD膜形成工程では、CVD法によりSiO2 −CVD膜を表面全体に形成した後、フォトリソグラフィ工程及びSiO2 −CVD膜のエッチングを行ってパターンニングされたSiO2 −CVD膜8を形成する。
【0029】
尚、図1(h)の電極形成工程及び図1(i)のパシベイションSiO2 −CVD膜形成工程も、図2(e),(f)に示した従来の場合と同じ手順となっている。
【0030】
このような高耐圧用P+ N- N+ プレーナー型ダイオードの製造工程では、アルミニウム膜形成工程においてアノード領域への電極形成前に酸化膜(SiO2膜31)を介在させた空乏層が広がる領域を含むダイオードデバイスの表面にアルミニウム膜9を形成した後、アルミニウム膜成形工程においてアルミニウム膜9を電極に接触しないようなパターンに成形してアルミニウム膜9の下地部分のN- 型エピタキシャル層2表面を空乏層とするようにリング状のアルミニウム膜91を形成してアルミフローティングパシベイション構造としている。
【0031】
このため、N- 型エピタキシャル層2表面にアルミニウム膜9との仕事関数差により形成される空乏層を設ける際、高耐圧を得るために必要とする空乏層の広がりが助長され、製造過程において酸化膜(SiO2 膜31)の界面準位密度NSSの増大を防いで変動させないことができ、外部からの酸化膜(SiO2 膜31)への汚染を防止できる上、製造過程で環境変化(温度や湿度の変動や還元性雰囲気に曝されることを含む)による影響を受けない。従って、ここで製造されるダイオードデバイスはゼロバイアス時でもデバイス周囲の表面に空乏層が広がり、しかも製造過程で多少の不純物汚染があったり、環境変化があっても、安定して高耐圧が得られるものとなる。
【0032】
尚、ここでは高耐圧用のP+ N- N+ プレーナー型アルミフローティングパシベイション構造のダイオードの製造について説明したが、他の半導体デバイスとして高耐圧用P+ N- N+ プレーナー型アルミフローティングパシベイション構造のトランジスタを製造する場合にも同様な手順を適用できる。但し、こうしたトランジスタデバイスを製造する場合には、一導電型であるN+ 型シリコン基板1表面に同じN+ 型のソース領域並びにN+ 型とは逆な逆導電型(N- 型)のゲート領域が形成され、且つN+ 型シリコン基板1裏面にドレイン領域が形成される構成となる。
【0033】
こうしたトランジスタデバイスの製造工程では、アルミニウム膜形成工程においてソース領域及びゲート領域への電極形成前に酸化膜(SiO2 膜31)を介在させた空乏層が広がる領域を含むトランジスタデバイスの表面にアルミニウム膜9を形成し、アルミニウム膜成形工程においてアルミニウム膜9を電極に接触しないようなパターンに成形してアルミニウム膜9の下地部分のN- 型エピタキシャル層2表面を空乏層とするようにリング状のアルミニウム膜91を形成してアルミフローティングパシベイション構造が構成される。従って、ここで製造されるトランジスタデバイスも、上述したダイオードデバイスの場合と同等な特性が得られるものとなる。
【0034】
【発明の効果】
以上に述べた通り、本発明の半導体装置の製造方法によれば、その製造工程においてダイオードデバイスやトランジスタデバイスへアルミフローティングリングパシベイション構造を導入することにより、高耐圧を得るために必要とする空乏層の広がりが助長され、製造過程において酸化膜の界面準位密度NSSの増大を防いで変動させないことができ、外部からの酸化膜への汚染を防止できる上、製造過程で環境変化(温度や湿度の変動や還元性雰囲気に曝されることを含む)による影響を受けないため、結果として製造されるデバイスはゼロバイアス時でもデバイス周囲の表面に空乏層が広がり、しかも製造過程で多少の不純物汚染があったり、環境変化があっても、安定して高耐圧が得られるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るP+ N- N+ ダイオードの要部に関する製造工程を工程順に示した側面断面図であり、(a)はエピタキシャル成長工程に関するもの,(b)はマスク形成工程に関するもの,(c)はポリシリコン形成工程に関するもの,(d)はアノード形成及び配線パターン形成工程に関するもの,(e)はアルミニウム膜形成工程に関するもの,(f)はアルミニウム膜成形工程に関するもの,(g)はSiO2 −CVD膜形成工程に関するもの,(h)は電極形成工程に関するもの,(i)はパシベイションSiO2 −CVD膜形成工程に関するものである。
【図2】従来のP+ N- N+ ダイオードの要部に関する製造工程を工程順に示した側面断面図であり、(a)はエピタキシャル成長工程に関するもの,(b)はマスク形成工程に関するもの,(c)はポリシリコン形成工程に関するもの,(d)はアノード形成及び配線パターン形成工程に関するもの,(e)は電極形成工程に関するもの,(f)はパシベイションSiO2 −CVD膜形成工程に関するものである。
【符号の説明】
1 N+ 型シリコン基板
2 N- 型エピタキシャル成長層
3 熱酸化膜
4,41 P+ 型ポリシリコン膜
5 アノード層
6 アノード電極
7 カソード電極
8,10 SiO2 −CVD膜
9,91 アルミニウム膜
31 SiO2 膜
Claims (2)
- 一導電型のシリコン基板表面に該一導電型とは逆な逆導電型のアノード領域を形成すると共に、該シリコン基板裏面にカソード領域を形成するダイオードデバイスの製造に際し、該アノード領域への電極形成前に酸化膜を介在させた空乏層が広がる領域を含む該ダイオードデバイスのN - 型エピタキシャル層2及びSiO 2 膜の表面にP + 型ポリシリコン膜を形成し、該P + 型ポリシリコン膜の表面に外部からの汚染を防止するためのアルミニウム膜を形成するアルミニウム膜形成工程を有し、該アルミニウム膜成形工程では、前記アルミニウム膜の下地部分の前記シリコン基板表面を空乏層としてアルミフローティングリングパシベイション構造とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 一導電型のシリコン基板表面に該一導電型のソース領域並びに該一導電型とは逆な逆導電型のゲート領域を形成すると共に、該シリコン基板裏面にドレイン領域を形成するトランジスタデバイスの製造に際し、該ソース領域及び該ゲート領域への電極形成前に酸化膜を介在させた空乏層が広がる領域を含む該トランジスタデバイスのN - 型エピタキシャル層2及びSiO 2 膜の表面にP + 型ポリシリコン膜を形成し、該P + 型ポリシリコン膜の表面に外部からの汚染を防止するためのアルミニウム膜を形成するアルミニウム膜形成工程を有し、該アルミニウム膜成形工程では、前記アルミニウム膜の下地部分の前記シリコン基板表面を空乏層としてアルミフローティングリングパシベイション構造とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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