JP4007840B2 - D/a変換器を有する制御回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メインの制御信号とサブの制御信号との2つの制御信号に応じた出力制御信号を発生するD/A変換器を有する制御回路に関するもので、特にTV受像機の色相調整などに用いて好適なD/A変換器を有する制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
TV受像機において、例えば、色相調整には連続的に行うものと瞬時的に行う必要のあるものがある。例えば、TINT調整は視聴者などが一旦定めると後は継続して同じ制御が行われる場合が多い。しかし、肌色補正などと呼ばれる色相調整は瞬時的に実施される。一方、色相調整回路は一つであるので上記2つの制御信号を混合してから色相調整回路に印加する必要がある。一方、最近のTV受像機の様々な機能を外部から調整するにはデジタル加算器を使用してデジタル信号を用いて行っている。
【0003】
図2に、係るデジタル信号を用いたTV受像機の色相調整システムを示す。図2において、入力端子1にはクロマ信号が印加される。移相回路2は、色相調整のために入力信号の位相を変化させるものでバッファ3からのアナログ制御信号に応じて移相量が変わる。そして、位相が調整されたクロマ信号が出力端子4に発生する。
【0004】
一方、可変電圧源5は視聴者が行うTINT調整を示し、可変電圧源6は視聴者の命令により一時的に色相を調整する肌色補正を示す。尚、肌色補正とは、
TV画面で肌色に近い色が表示されている部分だけを肌色に更に近づける補正機能をいう。
【0005】
可変電圧源5の電圧は色相調整用の制御信号としてA/D変換器7に印加されデジタル信号に変換され、デジタル加算器8に印加される。そして、デジタル加算器8にて必要な信号の加工が行われた後にD/A変換器9に印加されアナログ信号に変換される。D/A変換器9から発生するアナログ信号は、バッファ3を介して移相回路2に印加され入力端子1からのクロマ信号を移相制御する。このため、図2のシステムによれば、可変電圧源5の値を一旦定めれば継続的にTINT調整を行うことができる。
【0006】
また、可変電圧源6の電圧は肌色補正用の制御信号としてスイッチ10を介してA/D変換器11に印加されデジタル信号に変換され、デジタル加算器8に印加される。肌色補正の制御は、肌色が発生している期間のみにおこなわれるので断続的である。スイッチ10によりこの断続が定まる。A/D変換器11からのデジタル信号は、デジタル加算器8にてA/D変換器7からのデジタル信号に加算される。
【0007】
そして、加算されたデジタル信号がD/A変換器9に印加されアナログ信号に変換されバッファ3を介して移相回路2に印加される。このため、移相回路2の移相量は、TINT調整と肌色補正の2つの制御信号に応じた結果となる。
【0008】
従って、図2に示したシステムによれば、メインの制御信号とサブの制御信号との2つの制御信号に応じて一つの制御を行うことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の色相調整システムでは可変電圧源5の値に応じて生ずる移相量が期待値に対してずれていたとしても簡単に救済する方法がなかった。図2のシステムはIC(集積回路)化されるがIC完成後に期待値に対する変動が判明しても修正には多くの手間が生ずる。
また、可変電圧源6による制御は瞬時的なものになるが、そのスピードに図2のシステムでは応答が間に合わない場合がある。それは、図2ではA/D変換やD/A変換が必要であるとともにデジタル加算器8での演算もあるので、制御の初期の時間は色相調整ができない場合がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の従来技術の課題に鑑みなされたものであり、第1の制御信号に応じたアナログ信号を発生するD/A変換器と、第2の制御信号に応じて基準レベルが変化する可変基準レベル発生回路と、前記D/A変換器からのアナログ信号と前記可変基準レベル発生回路からの基準レベルとのレベル比較を行い出力制御信号を発生する比較器とを備え、前記基準レベルを変化させて出力制御信号のレベルを調整することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、デジタル形式の第1の制御信号に応じたアナログ信号を発生するR−2R型のラダー抵抗を用いたD/A変換器と、アナログ形式の第2の制御信号に応じて出力基準レベルが変化し複数の入力端子を備えるR−2R型のラダー抵抗を用いた減衰回路と、前記D/A変換器からのアナログ信号と前記減衰回路からの出力基準レベルとのレベル比較を行い出力制御信号を発生する差動増幅器とを備え、前記減衰回路の前記複数の入力端子に加える前記第2の制御信号のレベルに応じて出力制御信号のレベルを調整することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、図1を参照しながら本発明の実施の形態に係る、D/A変換器を有する制御回路について説明する。
【0013】
図1において、20はデジタル加算器からのデジタル形式の第1の制御信号(TINT調整用)が印加されるスイッチ21乃至24、トランジスタ25乃至28、R−2R型のラダー抵抗29を備えるD/A変換器、30はアナログ形式の第2の制御信号(肌色補正用)が印加される選択スイッチ31、複数の入力端子33乃至35を備えるR−2R型のラダー抵抗36を備える減衰回路、37はトランジスタ38及び39を備えD/A変換器20からのアナログ信号と減衰回路30からの出力基準レベルとのレベル比較を行い出力制御信号を発生する差動増幅器である。
【0014】
尚、図1において、図2と同一のものには同一の符号を付す。また、図1のR−2R型のラダー抵抗36は、3つの制御信号により動作し、入力端子33乃至35を備えるが、抵抗の数を増やしてもっと多くの数の制御信号を印加してもよい。R−2R型のラダー抵抗29も同様であり図1の例では4ビットで制御しているが3ビット以下及び5ビット以上でも同様の動作を行うことが可能である。
【0015】
次に上述した構成の制御回路の動作を説明する。D/A変換器20にはデジタル加算器からデジタル形式のTINT調整用の第1の制御信号が印加される。また、制御信号源40からはアナログ形式の肌色補正用の第2の制御信号が発生する。
【0016】
この2つの制御信号により移相回路2の移相量を調整することが可能である。D/A変換器20は、第1の制御信号をアナログ信号に変換し出力端子41に導出する。4ビットの第1の制御信号は、スイッチ21乃至24に印加されスイッチ21乃至24を開閉する。例えば、スイッチ21を閉じるとトランジスタ25がオンし一定電流がトランジスタ25のコレクタ・エミッタに流れる。 この一定電流は、R−2R型のラダー抵抗29を構成する抵抗比が1:2の複数の抵抗R、抵抗2Rに流れる。この電流と抵抗値との乗算でアナログ出力が得られる。スイッチ21はLSBとなりスイッチ24はMSBとなる。アナログ信号に変換された第1の制御信号は出力端子41に得られる。
【0017】
そして、このアナログ信号は複数のトランジスタにより構成されるバッファ回路42を介してトランジスタ39のベースに印加される。今、トランジスタ38のベース電圧が一定電圧であるとすれば、一定電圧と第1の制御信号とのレベル差に応じた出力が出力端子43及び44に発生する。
【0018】
そして、出力端子43及び44の電圧がTINT調整用の制御信号として移相回路2に印加される。本発明ではこのトランジスタ38のベース電圧を第2の制御信号に応じて変化させることで出力端子43及び44の電圧を変化させ肌色補正用の制御を行うことができる。
【0019】
また、トランジスタ38のベースと制御信号源40とがアナログ信号で直接繋がる構成にすることで第2の制御信号に応じて直ちにトランジスタ38のベース電圧を変化させ、制御の応答速度を早くできる。更に、減衰回路30に配置した選択スイッチ31を切り換えることでトランジスタ38のベース電圧の変化幅を調整できる。この変化幅の調整により第1の制御信号系で制御の強さが期待値からずれていた時に後から修正をかけることが可能となる。選択スイッチ31はICのメタル配線などを利用すればIC完成後でもずれの大きさあるいは使用者の好みに応じて制御の度合いを補正可能である。
【0020】
次に、減衰回路30の具体的な動作を説明する。制御信号源40からのアナログの第2の制御信号は、バッファ45を介して選択スイッチ31に印加される。選択スイッチ31が今aの端子に接続されていたとすると第2の制御信号は入力端子35に電流を流す。この電流とラダー抵抗36との乗算の結果が出力端子50に発生する。出力端子50の中心電圧VREFは定電流源51の電流とラダー抵抗36との積算で設定される。ラダー抵抗36の左側である入力端子33はMSBとなり出力端子50がLSBとなる。
【0021】
この出力端子50の中心電圧VREFとD/A変換器20のMSB及びLSBの関係を図3に示す。バッファ回路42、52は入出力間で直流レベルは等しいのでトランジスタ38、39のベース電圧での比較も同じである。この中心電圧VREFに入力端子35からの第2の制御信号が重畳されて出力端子50に発生する。前記第2の制御信号は、ラダー抵抗36により減衰されるだけなので信号伝達に時間はかからない。
【0022】
従って、制御信号源40からの第2の制御信号は、減衰回路30、バッファ回路52を介してトランジスタ38のベースに印加される。トランジスタ38のベース電圧が変化すれば出力端子43及び44の電圧が変化し瞬時に肌色補正用の制御を行うことができる。
【0023】
次に、トランジスタ38のベース電圧の変化幅を調整し第1の制御信号系で制御の強さが期待値からずれていた時に後から修正をかけるやり方を説明する。その場合には選択スイッチ31を端子b、cに変更すればよい。選択スイッチ31を端子a、b、cに変更すると、制御の幅(大きさ)が半分になる。これはR−2R型のラダー抵抗36を用いて電圧を発生させていることに起因する。
【0024】
図4に、出力端子50に発生する電圧の変化を示す波形図を示す。バッファ45に流れる制御電流をΔIとしても、選択スイッチ31を端子a、b、cに変更すると出力端子50に発生する電圧は半分づつになっていく。この制御量の大きさを用いて第1の制御信号系に修正をかけることができる。
【0025】
従って、出力端子43及び44にはTINT調整用の第1の制御信号と肌色補正用の第2の制御信号とが混合された制御信号が得られ移相回路2の移相を行うことで色相調整が行える。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、TINT調整用の第1の制御信号と肌色補正用の第2の制御信号とが混合された制御信号を作成することができる。
【0027】
また、本発明によれば、第2の制御信号をアナログのままで比較器に印加しているので高速で応答が可能であり、肌色補正などの瞬時的に実施する色相調整に使用ができる。
【0028】
さらに、本発明によれば、第2の制御信号の制御の幅(大きさ)をメタル配線などで自由に決められるので第1の制御系の強さが期待値からずれていても簡単にあとから修正可能である。
【0029】
さらにまた本発明によれば、減衰回路がD/A変換器と同様のR−2R型のラダー抵抗で構成されるので比較器に対して左右の回路構成を同じにすることができ、回路設計のシミュレーションで減衰回路を内蔵していないICを用いて色相調整の検証を行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るTV受像機の色相調整システムのブロック図である。
【図2】従来例に係るTV受像機の色相調整システムのブロック図である。
【図3】本発明の差動増幅器37に加わる電圧を示す波形図である。
【図4】本発明の出力端子50に発生する電圧の変化を示す波形図である。
【符号の説明】
2 移相回路 20 D/A変換器 29 ラダー抵抗
30 減衰回路 31 選択スイッチ 33乃至35 複数の入力端子
36 ラダー抵抗 37 差動増幅器
Claims (3)
- 第1の制御信号に応じたアナログ信号を発生するD/A変換器と、
第2の制御信号に応じて基準レベルが変化する可変基準レベル発生回路と、
前記D/A変換器からのアナログ信号と前記可変基準レベル発生回路からの基準レベルとのレベル比較を行い出力制御信号を発生する比較器とを備え、前記基準レベルを変化させて出力制御信号のレベルを調整し、前記第1の制御信号は連続的に印加され前記第2の制御信号は前記第1の制御信号に比べ十分に短い時間だけ印加されることを特徴とするD/A変換器を有する制御回路。 - 前記第1の制御信号は色信号調整用のデジタル信号であり前記第2の制御信号は色信号調整用のアナログ信号であることを特徴とする請求項1記載のD/A変換器を有する制御回路。
- デジタル形式の第1の制御信号に応じたアナログ信号を発生するR-2R型のラダー抵抗を用いたD/A変換器と、
アナログ形式の第2の制御信号に応じて出力基準レベルが変化し複数の入力端子を備えるR-2R型のラダー抵抗を用いた減衰回路と、
前記D/A変換器からのアナログ信号と前記減衰回路からの出力基準レベルとのレベル比較を行い出力制御信号を発生する差動増幅器とを備え、前記減衰回路の前記複数の入力端子に加える前記第2の制御信号のレベルに応じて出力制御信号のレベルを調整し、前記第1の制御信号は連続的に印加され前記第2の制御信号は前記第1の制御信号に比べ十分に短い時間だけ印加されることを特徴とするD/A変換器を有する制御回路。
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