JP4007771B2 - プラズマ式溶融炉における溶融状態制御装置 - Google Patents

プラズマ式溶融炉における溶融状態制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ式溶融炉における溶融状態制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマ式溶融炉においては、被溶融物を単に溶融させるだけでなく、炉本体内に設けられた耐火材の寿命を長くするとともに、環境によくない排ガスなどが出ないように、溶融物自身の温度を、すなわち溶融物の温度を一定に保持することが望ましい。
【0003】
従来、溶融室内の溶融物の温度を一定に保持するに際し、一定時間おきに、作業員が溶融物内に熱電対を差し込み温度を計測するとともに、この溶融物の温度が所定温度範囲内となるようにプラズマ電力を調整していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一定時間おきに、作業員が熱電対を溶融物に差し込みその温度を計測しており、したがって計測ごとに熱電対が消耗されるため、不経済であり、また温度の計測に手間を要し、連続した温度監視を行うことができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、溶融物の溶融状態の制御を、その温度に基づき行うに際して、計測ごとに温度検出器が消耗することがなく、且つ連続して温度計測を行うことができるプラズマ式溶融炉における溶融状態制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るプラズマ溶融炉における溶融状態制御装置は、炉本体内に投入された被溶融物をプラズマ電極にて加熱・溶融するプラズマ溶融炉における上記炉本体から取り出される溶融物の溶融状態を制御する装置であって、
上記炉本体に設けられた溶融物の取出口を形成する堰部内に配置された第1温度検出器および上記炉本体内の気体温度を検出する第2温度検出器と、上記堰部を撮影する撮影装置と、この撮影装置からの撮影画像を入力するとともに画像処理を行い溶融スラグが流出しているか否かを判断する流出状態判断部と、運転モード信号および上記流出状態判断部からの判断結果並びに上記各温度検出器からの検出温度を入力して溶融スラグまたは炉内温度が所定温度範囲となるように制御指令を出力する溶融状態制御部と、この溶融状態制御部からの制御指令を入力して上記プラズマ電極に供給する電力を調節するプラズマ電力制御部とから構成し、
上記溶融状態制御部から制御指令を出力する際に、運転モードが出滓モードである場合に流出状態判断部からの判断結果および上記第1温度検出器からの検出温度を、且つ運転モードが溶融モードである場合に上記第2温度検出器からの検出温度を、考慮するようにしたものである。
【0007】
上記溶融状態制御装置の構成によると、堰部内に配置された第1温度検出器により溶融物の出滓時における温度を検出することができるので、例えば直接温度検出器を溶融物内に挿入していた使い捨ての場合に比べて長期間に亘って使用することができ、且つ連続した温度変化に対応した柔軟な制御を行うことができる。
【0008】
また、溶融物の温度制御を、撮影装置にて出滓部である開口部を撮影して出滓状態を確認することができるので、例えば自動にて温度制御を行う場合に、溶融物温度の誤検出を防止することができる。
【0009】
さらに、炉本体内の気体温度を検出する第2温度検出器を具備したので、溶融物が開口部を通過しない場合にでも溶融物の温度を検出し、溶融物の温度制御を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマ式溶融炉における溶融物の溶融状態制御装置を、図1〜図3に基づき説明する。
【0011】
まず、図1に基づき、プラズマ式溶融炉の概略構成について説明する。
このプラズマ式溶融炉における溶融室1aを有する炉本体1の一方には被溶融物、例えば灰を投入するための灰投入口2が設けられるとともに、他方には溶融物である溶融スラグSを取り出すためのスラグ取出口3が設けられている。また、炉本体1の上壁部のスラグ取出口3寄り位置には、例えば黒鉛により形成された棒状のカソード電極4が、また上壁部の灰投入口2寄り位置には、同じく黒鉛により形成された棒状のアノード電極5が、それぞれの昇降装置(例えば、サーボモータなどの駆動源が使用される)6,7により昇降自在に設けられ、またこれら両電極4,5間に電力を供給するため電源装置8が具備されるとともに、両電極4,5に供給する電力(電圧、電流)および各電極4,5の昇降量の制御を行う運転制御装置9が具備されている。
【0012】
上記各昇降装置6,7については、図面上、簡単にボックスとして描いているが、具体的には、各電極4,5と平行にそれぞれ立設された支柱部材と、これら各支柱部材に例えばモータ駆動によりそれぞれ昇降自在に設けられた昇降体と、これら各昇降体から突設されてそれぞれ対応する電極を把持する把持用アームとから構成されており、昇降体が昇降することにより、把持用アームを介して、各電極4,5が昇降される。
【0013】
なお、図2に示すように、上記炉本体1のスラグ取出口3側に設けられる堰部11には溶融スラグ流出用のV字形の開口部12が形成されるとともに、この堰部11自体には冷却管路(図示せず)が設けられて堰部11が高温の熱から保護されている。
【0014】
そして、このプラズマ式溶融炉には、溶融スラグの溶融状態、特にその温度を所定温度範囲内に維持するための溶融状態制御装置10が具備されている。
この溶融状態制御装置10は、図1〜図3に示すように、堰部11の開口部12近傍に埋め込まれた第1温度検出器(例えば、熱電対が使用される)13と、溶融室1a内の上部に配置されて排ガス(気体)の温度を測定し得る第2温度検出器(例えば、熱電対が使用される)14と、堰部11の開口部12から流出する溶融スラグ(溶融物)Sを撮影する複数台のカメラ装置(撮影装置)15と、これら各カメラ装置15からの撮影画像を入力するとともに画像処理を行い溶融スラグSが流出しているか否かを判断する流出状態判断部16と、上記第1温度検出器13および第2温度検出器14からの検出温度を入力するとともにこの流出状態判断部16からの判断結果を入力し且つ運転制御盤などからの運転モード信号[例えば、溶融モード(炉本体の非傾動時)、出滓モード(炉本体の傾動時)など]が入力されて少なくとも溶融スラグの温度を適正範囲内となるように制御指令を出力する溶融状態制御部17と、この溶融状態制御部17からの制御指令を入力して溶融スラグSの温度が適正範囲内となるようにプラズマ電力を制御する、すなわち各電極4,5に印加する電圧および電流を決定するとともにこれら各指令値を運転制御装置9側のカソード昇降装置6およびアノード昇降装置7の各駆動制御部に出力するプラズマ電力制御部18とから構成されている。
【0015】
なお、このプラズマ式灰溶融炉においては、電極での電圧制御は、電極の昇降量(正確には、溶融スラグの表面からの高さ)を調節することにより行われる。
次に、プラズマ式溶融炉における溶融状態制御方法について説明する。
【0016】
まず、両電極4,5間に所定の電圧を印加することにより得られた溶融スラグ(溶融灰)Sを開口部12から排出する際の出滓時における制御について説明する。
【0017】
すなわち、カメラ装置15からの撮影画像が流出状態判断部16に入力されて輝度などのデータに基づき出滓の有無の判断が行われる。
そして、出滓時において、溶融状態制御17には、運転制御盤からの出滓モードの信号が入力されるとともに、流出状態判断部16から出滓状態である判断結果が入力されると、少なくとも第1温度検出器13からの検出温度により、溶融スラグSの温度が求められる。なお、堰部11自体が冷却されているため、第1温度検出器13による検出温度は、実際の溶融スラグの温度よりも低い値になっているため、予め、冷却時での堰部11における温度と、その時の溶融スラグの堰部通過時の温度との関係が求められており、この関係から、溶融スラグSの実際の温度が検出されることになる。
【0018】
この検出温度が、適正範囲内である場合には、そのままの状態で出滓が続けられる。
しかし、検出温度が、適正範囲を超えている場合には、溶融スラグの温度が高くなりすぎているため、その温度を低くするように、プラズマ電力制御部21に指令が出力される。
【0019】
この場合、カソード電極4に印加する電圧が上昇されるか、またはプラズマ電流が下げられる。
なお、カソード電極4に印加する電圧を上昇させるということは、カソード電極4そのものを上昇させて、溶融スラグSの表面とカソード電極4との距離を開くことにより、プラズマアークAにより発生した熱を空気(排ガス)中に逃がし、溶融スラグの温度を下げることを意味している。このカソード電極4に印加する電圧を下げる場合、供給電力を安定させるという意味で、両電極4,5に印加する総プラズマ電力を一定にした状態で行うようにすればよい。勿論、カソード電極4の電圧が下がれば、アノード電極5の電圧が上げられる。また、プラズマ電流を下げる場合には、総プラズマ電力が減じられることになる。
【0020】
ところで、検出温度が適正範囲よりも低い場合には、溶融スラグSの温度が低いため、温度が高くなるようにプラズマ電力が制御される。
この場合、上記とは逆の制御、すなわち印加する電圧を下げることにより、カソード電極4を溶融スラグSの表面に近づけて、プラズマアークにより発生した熱の空気中への放散を防止するか、プラズマ電流を上げるようにすればよい。
【0021】
なお、上述したように、カソード電極4の昇降は電圧の設定により行われるが、その制御は、設定した電圧と計測された電圧の差が無くなるように、その電圧偏差信号を電極制御用信号に変換して、電極高さ指令に入力(加算)される。
【0022】
このように、溶融スラグの温度を検出するのに、冷却が行われている堰部11に埋め込まれた第1温度検出器13により行うようにしたので、例えば直接温度検出器を溶融スラグ内に挿入していた場合のように使い捨てではなく、長期間に亘って使用することができ、したがって経済的である。
【0023】
また、溶融スラグの温度制御を、カメラ装置15にて出滓部である開口部を撮影して出滓状態を確認するようにしているので、例えば自動で溶融状態の制御、すなわち温度制御を行う場合に、溶融スラグ温度の誤検出が防止される。
【0024】
なお、上記の制御においては、制御温度をある範囲内としたが、例えばある温度を目標値として制御するようにしてもよい。
また、溶融スラグの温度を下げる場合に、例えば炉本体1内に、被溶融物すなわち灰を投入してもよい。
【0025】
次に、溶融スラグの溶融時(ホールド時ともいう)における制御について説明する。
溶融スラグSの溶融時においては、開口部12からの出滓が無いため、第2温度検出器14からの排ガス温度に基づきプラズマ電力の適正な制御が行われる。
【0026】
この場合の制御動作については、出滓時と同様に行われる。すなわち、検出温度が適正範囲内である場合には、そのままの状態で運転が行われる。
また、適正範囲を超えている場合には、カソード電極の電圧が上げられるか、またはプラズマ電流が下げられ、さらに適正範囲より低い場合には、カソード電極の電圧が下げられるか、またはプラズマ電流が上げられる。
【0027】
勿論、この場合も、第2温度検出器14による検出温度は、排ガス温度であるため、予め、その時の溶融スラグの温度との関係が求められており、この関係から、溶融スラグの実際の温度が求められる。
【0028】
勿論、この溶融スラグの溶融時において、溶融スラグの温度を下げるのに、被溶融物である灰を炉本体内に投入してもよい。
さらに、第1温度検出器は、冷却管路内を通る水などの冷却流体の温度を計測することにより、間接的に求めるようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の溶融状態制御装置によると、堰部内に配置された第1温度検出器により溶融物の出滓時における温度を検出することができるので、例えば直接温度検出器を溶融物内に挿入していた使い捨ての場合に比べて長期間に亘って使用することができ、したがって経済的である。
【0030】
また、溶融物の温度制御を、撮影装置にて出滓部である開口部を撮影して出滓状態を確認することができるので、例えば自動で溶融状態の制御、例えば温度制御を行う場合に、溶融物温度の誤検出を防止することができる。
【0031】
さらに、炉本体内の気体温度を検出する第2温度検出器を具備したので、溶融物が開口部を通過しない場合にでも溶融物の温度を検出し、溶融物の溶融状態、例えば温度制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るプラズマ式溶融炉の概略全体構成を示す図である。
【図2】 同プラズマ式溶融炉におけるスラグ取出口の斜視図である。
【図3】 同プラズマ式溶融炉の溶融状態制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 炉本体
1a 溶融室
3 スラグ取出口
4 カソード電極
5 アノード電極
6,7 昇降装置
8 電源装置
9 運転制御装置
10 溶融状態制御装置
11 堰部
12 開口部
13 第1温度検出器
14 第2温度検出器
15 カメラ装置
16 流出状態判断部
17 溶融状態制御部
18 プラズマ電力制御部

Claims (1)

  1. 炉本体内に投入された被溶融物をプラズマ電極にて加熱・溶融するプラズマ溶融炉における上記炉本体から取り出される溶融物の溶融状態を制御する装置であって、
    上記炉本体に設けられた溶融物の取出口を形成する堰部内に配置された第1温度検出器および上記炉本体内の気体温度を検出する第2温度検出器と、上記堰部を撮影する撮影装置と、この撮影装置からの撮影画像を入力するとともに画像処理を行い溶融スラグが流出しているか否かを判断する流出状態判断部と、運転モード信号および上記流出状態判断部からの判断結果並びに上記各温度検出器からの検出温度を入力して溶融スラグまたは炉内温度が所定温度範囲となるように制御指令を出力する溶融状態制御部と、この溶融状態制御部からの制御指令を入力して上記プラズマ電極に供給する電力を調節するプラズマ電力制御部とから構成し、
    上記溶融状態制御部から制御指令を出力する際に、運転モードが出滓モードである場合に流出状態判断部からの判断結果および上記第1温度検出器からの検出温度を、且つ運転モードが溶融モードである場合に上記第2温度検出器からの検出温度を、考慮するようにしたことを特徴とするプラズマ式溶融炉における溶融状態制御装置。
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