JP4006849B2 - 自動車ドアのインナーガーニッシュ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ドアのインナーガーニッシュに係り、詳しくは、その内面に遮風、遮音、防塵等の目的で圧縮性のあるパッキン部材が貼着された自動車ドアのインナーガーニッシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のフロントドアには、サッシュレス形式のものを除いてドア本体の上部にドア窓枠が設けられ、このドア窓枠にドアガラスがスライド可能に保持される。このような形式のドアにドアミラー等が装備される場合は、その取付部を車内側から隠蔽するためにインナーガーニッシュが取着される。
【0003】
図12は、上記インナーガーニッシュの取付例を示した横断面図である。図中、符号101 はドア窓枠の前部であり、符号102 はドアガラス、符号103 はドアガラス102 の前縁をガイドするサッシュレール、符号104 はインナーガーニッシュを示している。
【0004】
インナーガーニッシュ104 は、そのガーニッシュ本体105 が合成樹脂等で成形され、例えばその内面に設けられたクリップ106 によりドア窓枠101 の内側に延びたインナーパネル107 に固定される。また、図13にも示すように、ガーニッシュ本体105 の後縁部内面にはパッキン部材108 が貼着される。パッキン部材108 はスポンジやウレタンフォーム等のように軟質で圧縮性のある素材により直方体形状に形成され、その車内側の面108aがガーニッシュ本体105 の内面に貼着される。
【0005】
インナーガーニッシュ104 がフロントドア(ドア窓枠101 )に取り付けられると、図示しないドアミラー取付部が車内側から隠蔽されると同時に、パッキン部材108 がサッシュレール103 とインナーパネル107 に圧接され、これによってドア窓枠101 とガーニッシュ本体105 との間から外部の風や騒音(風切音等)、さらに塵埃等が車内に侵入することが防止される。また、パッキン部材108 によりサッシュレール103 やインナーパネル107 が車内側から見えなくなるので美的外観が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外部の風や騒音ならびに塵埃等に対する密封性を高めるには、パッキン部材108 の厚みtを大きくし、パッキン部材108 のサッシュレール103 およびインナーパネル107 への圧接力を高めた方が良い。しかしながら、パッキン部材108 の厚みtを大きくすると、図12中に示すように、パッキン部材108 後縁の角部108bがガーニッシュ本体105 の端部105aよりもドアガラス102 側にはみ出てしまい、美的外観が著しく劣化する。従って、機能性と美的外観を両立させることが困難であった。
【0007】
また、パッキン部材108 の体積および貼着面積が大きく、これがインナーガーニッシュ104 のコストを高める原因になっていた。さらに、パッキン部材108 をガーニッシュ本体105 の内面に貼着する際におけるパッキン部材108 の位置決めが困難であり、パッキン部材108 の貼着作業性が悪かったため、この点もインナーガーニッシュ104 のコストを高める一因となっていた。万一パッキン部材108 の貼着位置がずれると、前記問題点が助長される懸念がある。
【0008】
本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、このような問題点を解決するために発明されたものであり、その目的は、薄いパッキン部材を用いても有効な遮蔽機能が得られるようにし、パッキン部材のはみ出しによる美的外観の劣化を防ぐとともに、パッキン部材の貼着作業性を向上させ、インナーガーニッシュのコストダウンを図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、請求項1に記載したように、自動車ドアのドア本体と、ドア窓枠と、ドアガラスの前縁をガイドするサッシュレールとに囲まれた範囲を車内側からカバーする形状にガーニッシュ本体を形成し、このガーニッシュ本体の後縁部に、上記サッシュレールの後部側に回り込むラウンド板を設け、ガーニッシュ本体の内面には水平方向に延びるリブ状の押圧部を形成し、この押圧部の上に圧縮性のあるパッキン部材を載せてこのパッキン部材の厚み方向の面を上記ラウンド板の内面に貼着し、かつパッキン部材と上記押圧部との当接位置を、前記ラウンド板の端部位置からパッキン部材の厚みの分だけ後退させた位置に設定し、上記押圧部により上記パッキン部材を上記サッシュレール側に押圧したことを特徴とする。
【0010】
このように自動車ドアのインナーガーニッシュを構成した場合、上記押圧部によってパッキン部材がサッシュレール側に押圧されるので、薄いパッキン部材を用いても有効な遮蔽機能が得られる。しかも、パッキン部材の後面がガーニッシュ本体のラウンド板に貼着されるため、圧縮されたパッキン部材がガーニッシュ本体の端部からドアガラス側にはみ出すことがなく、美的外観が良好に保たれる。
また、パッキン部材の体積を減少させると同時にその貼着面積を縮小できることと、押圧部がガイドの役割を果たしてパッキン部材の貼着作業性を向上させることとにより、インナーガーニッシュのコストダウンを図ることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、請求項2に記載したように、前記パッキン部材の非圧縮時において、パッキン部材の前後長さに対し前記押圧部がパッキン部材に当接する長さが短くなるように押圧部の形状を設定した。
【0013】
このようにすれば、インナーガーニッシュの取着時、パッキン部材の自由端側が前方に引っ張られるようにしてパッキン部材がサッシュレール側に圧接されるので、薄手のパッキン部材でも捩れる等せず、これによりパッキン部材がガーニッシュ本体からドアガラス側にはみ出すことが防止される。
【0014】
そして、本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、請求項3に記載したように、平面視で、前記パッキン部材を前記ラウンド板の内面から前記サッシュレールに向かって延びるように設けるとともに、前記押圧部をそのコーナー部が丸味を持つように形成した。こうすれば、インナーガーニッシュの取着時にパッキン部材が捩れたりドアガラス側にはみ出すことを一層効果的に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るインナーガーニッシュが取着された自動車ドアの一例を示すもので、右側のフロントドアを内側から見た図である。
【0016】
このフロントドア1は、そのドア本体2の上部にドア窓枠3が設けられ、このドア窓枠3にドアガラス4が上下スライド可能に保持される。ドア窓枠3の前部3aの中間付近からはサッシュレール5が下方に延びるように設置され、このサッシュレール5にドアガラス4の前縁がガイドされる。サッシュレール5の内部には気密保持用にゴム製のガラスラン6(図4〜6参照)が設けられる。
【0017】
ドア本体2の内側にはドアトリム8が取り付けられ、これにアームレスト9、ドアロックノブ10、ドアインサイドハンドル11、スピーカー12、ドアポケット13、ウインド開閉スイッチ14等のドア周辺設備類が設置される。
【0018】
そして、ドア本体2の上縁2aと、ドア窓枠前部3aと、サッシュレール5に囲まれた略三角形の範囲を車内側からカバーする形でインナーガーニッシュ16が取着される。上記略三角形の範囲には、車外側からドアミラー(非図示)が取り付けられるが、その取付部がインナーガーニッシュ16により車内側から隠蔽される。
【0019】
図2はインナーガーニッシュ16の単体図であり、図3は図2の III矢視によるインナーガーニッシュ16の後面図である。また、図4〜図6は、それぞれ図2の IV-IV線、 V-V線、 VI-VI線に沿う横断面図である。これらの図は、インナーガーニッシュ16をドア窓枠前部3aやサッシュレール5等の周辺部材と共に示している。さらに、図7〜図9は、図4〜図6と同位置におけるインナーガーニッシュ16単体の横断面図である。
【0020】
図4〜図6に示すように、前記ドアミラーのミラーガスケット17が、ドア窓枠前部3aから内側に延びるインナーパネル18と、その外側に添えられたミラー補強板19に締結固定されるようになっており、ミラーガスケット17の外側を覆うようにアウターガーニッシュ20が装着される。また、ミラーガスケット17の後縁に設けられた弾力性のあるシール部材21がアウターガーニッシュ20の後縁とサッシュレール5に挟まれる。
【0021】
インナーガーニッシュ16は、その母体となるガーニッシュ本体23が合成樹脂により成形されている。図5および図6に示すように、ガーニッシュ本体23の内面には上下2箇所のクリップ台座24,25が一体成形されており、これらのクリップ台座24,25に取り付けられたクリップ26,27の先端が、インナーパネル18に穿設された固定孔に嵌合され、これによってインナーガーニッシュ16がフロントドア1に固定される。
【0022】
また、ガーニッシュ本体23の後下部に設けられた下方に延びる係合爪28が、ドアトリム8の上縁に係合する。さらに、下側のクリップ台座25の下方に貼着された圧縮性のある防振材29がインナーパネル18に圧接される。
【0023】
ガーニッシュ本体23の後縁部には、サッシュレール5の後部側に回り込むようにラウンド板31が連続的に設けられている。そして、図10に拡大して示すように、このラウンド板31の内面31aにパッキン部材32が貼着される。パッキン部材32は、スポンジ等のような圧縮性のある素材により薄い直方体状に形成されており、その後面、即ち厚み方向の面32aが両面テープや接着材等によってラウンド板31の内面31aに貼着される。従って、平面視ではパッキン部材32がラウンド板31の内面31aからサッシュレール5に向かって延びる態様となる。
【0024】
また、パッキン部材32の近傍となるガーニッシュ本体23の内面23aには複数の押圧部33が一体成形によって形成されている。これらの押圧部33の形状は、水平方向に延びるリブ形状とされており、ラウンド板31の内側コーナーに沿って上下に例えば7箇所設けられている。
【0025】
図10に示すように、パッキン部材32と押圧部33の当接位置Aは、ラウンド板31の端部位置Bからほぼパッキン部材32の厚みTの分だけ後退させた位置に設定されている。また、パッキン部材32の非圧縮時において、即ちインナーガーニッシュ16がフロントドア1から取り外されている時において、パッキン部材32の前後長さL1 に対し、押圧部33がパッキン部材32に当接する長さL2 が短くなるように各押圧部33の形状(長さ)が設定されている。さらに、各押圧部33は、そのコーナー部33aが丸味を持つように形成されている。
【0026】
インナーガーニッシュ16がフロントドア1に取り付けられると、パッキン部材32がサッシュレール5とインナーパネル18に車内側から圧接される。この時、ガーニッシュ本体23に設けられた7箇所の押圧部33がパッキン部材32をサッシュレール5側に押圧するため、パッキン部材32のサッシュレール5およびインナーパネル18への圧接力が高められて外部からの風や騒音、塵埃等に対する密封性が高められる。同時に、パッキン部材32によってサッシュレール5やインナーパネル18が車内側から見えなくなるので美的外観が向上する。
【0027】
このように、パッキン部材32が7つの押圧部33によってサッシュレール5側に押圧されるため、パッキン部材32の厚みTが薄くても有効な遮蔽機能が得られ、パッキン部材32の体積減少と貼着面積の縮小とによりインナーガーニッシュ16のコストダウンを図ることができる。しかも、パッキン部材32は、その後面32aがラウンド板31の内面31aに貼着されるので、圧縮されたパッキン部材32がガーニッシュ本体23の端部23b(図10参照)よりもドアガラス4側にはみ出すことがなく、美的外観が一切損なわれることがない。
【0028】
さらに、パッキン部材32の非圧縮時において、パッキン部材32の前後長さL1 に対し押圧部33がパッキン部材32に当接する長さL2 が短くされているため、インナーガーニッシュ16の取着時にはパッキン部材32の自由端32b(図10参照)側が前方に引っ張られるようにしてパッキン部材32がサッシュレール5側に圧接される。このため、薄手のパッキン部材32でも捩れたり弛んだりするようなことがなく、この点でもパッキン部材32がガーニッシュ本体23からドアガラス4側にはみ出しにくい。
【0029】
また、パッキン部材32と押圧部33の当接位置Aが、ラウンド板31の端部位置Bからほぼパッキン部材32の厚みTの分だけを後退させた位置に設定されているため、パッキン部材32をガーニッシュ本体23に貼着する際には、パッキン部材32を押圧部33の上に載せるだけでパッキン部材32の位置決めが完了し、後はそのままパッキン部材32の後面32aをラウンド板31の内面31aに貼着すればよい。このように、押圧部33がガイドの役割を果たしてパッキン部材32の貼着作業性を向上させるので、この点でもインナーガーニッシュ16のコストダウンに貢献することができる。
【0030】
さらに、押圧部33がリブ形状とされており、これがガーニッシュ本体23に一体成形されているため、部品点数を増すことなく容易に押圧部33をガーニッシュ本体23に設けることができ、ガーニッシュ本体23の成形用金型への追加加工も容易である。なお、押圧部33を水平リブ状に形成せず、例えば図11に変形例として示すように、垂直リブ状の押圧部35を形成する等してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、ガーニッシュ本体の後縁部に、サッシュレールの後部側に回り込むラウンド板を設け、ガーニッシュ本体の内面には水平方向に延びるリブ状の押圧部を形成し、この押圧部の上に圧縮性のあるパッキン部材を載せてこのパッキン部材の厚み方向の面を上記ラウンド板の内面に貼着し、かつパッキン部材と上記押圧部との当接位置を、前記ラウンド板の端部位置からパッキン部材の厚みの分だけ後退させた位置に設定し、上記押圧部により上記パッキン部材を上記サッシュレール側に押圧したものであるため、有効な遮蔽機能を確保しながらパッキン部材の体積と貼着面積を小さくし、かつパッキン部材の貼着作業性を向上させてインナーガーニッシュのコストダウンを図り、同時にパッキン部材のガーニッシュ本体からのはみ出しを防いで美的外観の劣化を回避することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、前記パッキン部材の非圧縮時において、パッキン部材の前後長さに対し前記押圧部がパッキン部材に当接する長さが短くなるように押圧部の形状を設定したので、パッキン部材のはみ出しを一層効果的に防止することができる。
【0034】
そして、本発明に係る自動車ドアのインナーガーニッシュは、平面視で、前記パッキン部材を前記ラウンド板の内面から前記サッシュレールに向かって延びるように設けるとともに、前記押圧部をそのコーナー部が丸味を持つように形成した。こうすれば、インナーガーニッシュの取着時にパッキン部材が捩れたりドアガラス側にはみ出すことを一層効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインナーガーニッシュが取着された自動車ドアの一例を示す図。
【図2】インナーガーニッシュの単体図。
【図3】図2の III矢視によるインナーガーニッシュの後面図。
【図4】図2の IV-IV線に沿う横断面図。
【図5】図2の V-V線に沿う横断面図。
【図6】図2の VI-VI線に沿う横断面図。
【図7】図4と同位置におけるインナーガーニッシュ単体の横断面図。
【図8】図5と同位置におけるインナーガーニッシュ単体の横断面図。
【図9】図6と同位置におけるインナーガーニッシュ単体の横断面図。
【図10】図8のX部拡大図。
【図11】押圧部の変形例を示す横断面図。
【図12】従来の技術におけるインナーガーニッシュ取付例を示した横断面図。
【図13】従来の技術におけるインナーガーニッシュ単体の横断面図。
【符号の説明】
1 自動車ドアとしてのフロントドア
2 ドア本体
3 ドア窓枠
4 ドアガラス
5 サッシュレール
16 インナーガーニッシュ
23 ガーニッシュ本体
23a ガーニッシュ本体の内面
31 ラウンド板
31a ラウンド板の内面
32 パッキン部材
33 押圧部
A パッキン部材と押圧部の当接位置
B ラウンド板の端部位置
L1 パッキン部材の前後長さ
L2 押圧部がパッキン部材に当接する長さ
T パッキン部材の厚み
Claims (3)
- 自動車ドアのドア本体と、ドア窓枠と、ドアガラスの前縁をガイドするサッシュレールとに囲まれた範囲を車内側からカバーする形状にガーニッシュ本体を形成し、このガーニッシュ本体の後縁部に、上記サッシュレールの後部側に回り込むラウンド板を設け、ガーニッシュ本体の内面には水平方向に延びるリブ状の押圧部を形成し、この押圧部の上に圧縮性のあるパッキン部材を載せてこのパッキン部材の厚み方向の面を上記ラウンド板の内面に貼着し、かつパッキン部材と上記押圧部との当接位置を、前記ラウンド板の端部位置からパッキン部材の厚みの分だけ後退させた位置に設定し、上記押圧部により上記パッキン部材を上記サッシュレール側に押圧したことを特徴とする自動車ドアのインナーガーニッシュ。
- 前記パッキン部材の非圧縮時において、パッキン部材の前後長さに対し前記押圧部がパッキン部材に当接する長さが短くなるように押圧部の形状を設定した請求項1に記載の自動車ドアのインナーガーニッシュ。
- 平面視で、前記パッキン部材を前記ラウンド板の内面から前記サッシュレールに向かって延びるように設けるとともに、前記押圧部をそのコーナー部が丸味を持つように形成した請求項2に記載の自動車ドアのインナーガーニッシュ。
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