JP4005413B2 - 除雪機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラ等の走行体を備えるとともに除雪用のオーガを備えた、自力走行する形式の除雪機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の除雪機としては、例えば特開昭63−223207号公報「小型除雪機」(以下、「従来の技術」と言う)が知られている。以下、上記従来の技術の概要を説明する。
【0003】
図20は従来の除雪機の概要図であり、特開昭63−223207号公報の第7図を再掲した。なお、符号は振り直した。
従来の除雪機300は、エンジン301の動力をベルト式走行動力伝達機構302、走行用クラッチ303、変速機304を介して走行体305の駆動スプロケット306,306に伝達するとともに、エンジン301の動力をベルト式オーガ動力伝達機構311、オーガ用クラッチ312、回転軸313を介してオーガ314及びブロア315に伝達するというものである。
【0004】
シフトレバー321を中立位置から任意の変速位置に操作することで、変速機304を変速操作することができる。
シフトレバー321が変速位置にあるという条件と、走行レバー322がオン位置にあるという条件とが達成されたときだけ、すなわち走行クラッチオン条件が満たされたときに走行用クラッチ303はオンであり、エンジン301の動力を走行体305に伝達することができる。一方、クラッチレバー323がオン位置にあるときだけ、オーガ用クラッチ312はオンであり、エンジン301の動力をオーガ314及びブロア315に伝達することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は、作業者が走行レバー322から手を放すことで、走行レバー322がオフ位置に切り替わるので、走行用クラッチ303をオフにすることができる。この場合に、シフトレバー321は変速位置にそのまま残る。
その後、作業者が走行レバー322を再び握ることで、走行レバー322はオン位置に切り替わる。この結果、上記走行クラッチオン条件が満たされるので、走行用クラッチ303は再びオンになる。
【0006】
このように、シフトレバー321を中立位置に戻さなくても、走行レバー322から手を放すだけで、走行レバー322がオフ位置に戻って走行用クラッチ303をオフにすることができる。従って、除雪機300の走行を緊急停止させる場合に便利である。
【0007】
しかし、緊急停止させた後、走行レバー322だけを握ったときに走行用クラッチ303はオンになる。走行レバー322を握るだけで、除雪機300が走行を開始したのでは好ましくない。そこで、除雪機300を緊急停止させたときには、シフトレバー321を中立位置へ一旦戻した後に、走行レバー322を再び握り、シフトレバー321を任意の変速位置に再操作することで、除雪機300の走行を開始させるようにしている。これでは操作が面倒である。
【0008】
そこで本発明の目的は、除雪機を走行させる度に、複数のレバーを意図してオン操作したときにだけ、走行用クラッチをオンにできる技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項は、機体に動力源、走行体及びオーガを備え、動力源から走行体へ動力を伝達する走行動力伝達機構に走行用クラッチを設け、この走行用クラッチを走行クラッチレバーでオン・オフ操作するようにし、機体から後方へ操作ハンドルを延し、この操作ハンドルを作業者が歩行しつつ操作するようにした除雪機において、この除雪機は、
走行クラッチレバーを任意の位置に固定するレバー固定機構を備え、
このレバー固定機構が非作動状態にあるときには走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すレバー戻し機構を備え、
作業者が握ることで連結機構を介してレバー固定機構を作動状態にし握りを解くと連結機構を介してレバー固定機構を非作動状態にする補助レバーを備え、
機体後方の物体に当たって前方へ移動することで連結機構を介してレバー固定機構を非作動状態にする後方物検出部材を機体の後端部に備え、
後方物検出部材と補助レバーとの干渉を防止する干渉防止機構を連結機構に備えることで、
後方物検出部材が後方物体に当たって前方へ移動したときに、補助レバーに影響を及ぼすことなくレバー戻し機構を介して走行クラッチレバーをオフ側に戻すように構成したことを特徴とする。
【0013】
作業者が補助レバーを握り(すなわちオン操作し)連結機構を介してレバー固定機構を作動状態にすることで、走行クラッチレバーを任意の位置に固定することができる。この結果、走行用クラッチをオン状態に維持できる。
その後、作業者が補助レバーを放して(すなわちオフ操作して)レバー固定機構を非作動状態にすることで、走行クラッチレバーを固定状態から開放することができる。このため、レバー戻し機構によって、走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すことで、走行用クラッチをオフ作動させることができる。
【0014】
従って、除雪機を走行させる度に、走行クラッチレバー及び補助レバーという、複数のレバーを意図してオン操作したときにだけ、走行用クラッチをオン作動させることができる。このため、補助レバーだけを握ったときに、意図に反して走行クラッチがオンになる心配はない。
【0015】
さらには、除雪機を後進させたときに、後方物検出部材が機体後方の物体に当たって前方へ移動することで、連結機構を介してレバー固定機構を非作動状態にすることができる。レバー固定機構が非作動状態になることで、走行クラッチレバーを固定状態から開放することができる。このため、レバー戻し機構によって、走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すことで、走行用クラッチをオフ作動させることができる。この結果、除雪機を後進中に機体後方の物体に接触したときには、速やかに走行用クラッチをオフ作動させて除雪機を停止させることができる。従って、除雪機の後進時において、機体後方の物体や除雪機自体を、より一層保護することができる。
【0016】
しかも、後方物検出部材と補助レバーとの干渉を防止する干渉防止機構を、連結機構に備えたので、後方物検出部材が後方物体に当たって前方へ移動したときに、補助レバーに影響を及ぼすことはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0018】
図1は本発明に係る除雪機の左側面図であり、この除雪機10は、機体11に動力源としてのエンジン14、走行体20、オーガ31及びブロア32を備えたクローラ式作業機である。機体11は、走行フレーム12と、走行フレーム12の上部後部に上下スイング可能に連結した機台フレーム13とからなる。
【0019】
走行フレーム12は、変速機(第2走行用クラッチ)54及び走行体20を備える。走行体20は、前部の遊動輪21、下部3個の下部転輪22,23,24、後部の駆動輪25、駆動輪25と遊動輪21とに掛けたクローラベルト26からなる。
【0020】
機台フレーム13は、エンジン14、オーガ31、ブロア32、除雪部ハウジング33、及びシュータ34を備える。オーガ31で路上の雪を中央に掻き集めてブロア32に送り込み、ブロア32でシュータ34を通じて雪を投射することができる。
【0021】
さらに除雪機10は、機台フレーム13の後上部に操作パネル41を備えるとともに、機台フレーム13から後方へ操作ハンドル42を延し、この操作ハンドル42を作業者が歩行しつつ操作するようにした自走式歩行型除雪機である。図中、43はカバー、44はオーガ高さ調節用シリンダである。
【0022】
図2は本発明に係る除雪機の駆動系統図であり、この駆動系統50は、エンジン14から走行体20(図1参照)へ動力を伝達する走行動力伝達機構51、及び、エンジン14からオーガ用伝動軸35を介してオーガ31及びブロア32へ動力を伝達するオーガ動力伝達機構71からなる。
【0023】
走行動力伝達機構51は、ベルト式伝動機構52、第1走行用クラッチ53及び第2走行用クラッチ54を設けたものである。
ベルト式伝動機構52は、エンジン14の出力軸14aに取付けた駆動プーリ61と、第2走行用クラッチ54の入力軸55に取付けた従動プーリ62と、これらのプーリ61,62間に掛けたベルト63とからなる。
【0024】
第1走行用クラッチ53は、一対のプーリ61,62に巻き掛けたベルト63にテンションローラ66を押し付けて張ることで動力を伝達し、テンションローラ66を戻してベルト63を緩めることで動力を非伝達とするベルトテンション機構からなる。
【0025】
第2走行用クラッチ54は無段変速機からなり、入力軸55から取り入れたエンジン動力に対して、出力軸56の回転を停止させる中立位置と、出力軸56を正転で無段階に変速させる正転変速ゾーンと、出力軸56を逆転で無段階に変速させる逆転変速ゾーンとに変速制御することができる。中立位置においてはクラッチオフと同等の状態になり、正転変速ゾーン並びに逆転変速ゾーンにおいてはクラッチオンと同等の状態になる。このように、出力軸56の回転を停止させる中立位置を有する無段変速機を採用したので、本発明においては、走行用クラッチ54と呼ぶことにする。このような無段変速機としては、例えば周知の静油圧無段変速機がある。出力軸56は駆動輪25(図1参照)に動力を伝達する駆動軸である。
【0026】
走行クラッチレバー91により、ロッド144を介して第2走行用クラッチ54の変速操作アーム57をスイング作動させることで、第2走行用クラッチ54をクラッチオン・オフ操作並びに変速操作することができる。
【0027】
オーガ動力伝達機構71は、ベルト式伝動機構72及びオーガ用クラッチ73を設けたものである。
【0028】
ベルト式伝動機構72は、エンジン14の出力軸14aに取付けた駆動プーリ81と、オーガ用伝動軸35に取付けた従動プーリ82と、これらのプーリ81,82間に掛けたベルト83とからなる。
オーガクラッチレバー92により、ワイヤケーブル194を介してオーガ用クラッチ73をクラッチオン・オフ操作することができる。
【0029】
ところで、除雪機10は補助レバー110及び後方物検出部材120を備える。補助レバー110は、走行クラッチレバー91の位置及びオーガクラッチレバー92の位置を操作する操作部材である。さらに補助レバー110は、ワイヤケーブル69を介して、第1走行用クラッチ53をクラッチオン・オフ操作することができる。後方物検出部材120は、走行クラッチレバー91の位置を制御する制御部材である。
【0030】
図3は本発明に係る操作パネルの斜視図であり、後上方から見た操作パネル41のうち、右端にオーガクラッチレバー92を前後スイング可能に配置し、中央に走行クラッチレバー91を前後スイング可能に配置するとともに、シュータ方向操作レバー93、除雪部ハウジング姿勢操作レバー94、左折走行用の左サイドクラッチレバー95、右折走行用の右サイドクラッチレバー96、各種ランプ97,98,99を配置したことを示す。走行クラッチレバー91を、前へ倒すことで除雪機10を前進させ、後へ倒すことで後進させることができる。オーガクラッチレバー92を前へ倒すことで、オーガ用クラッチをオン操作できる。
【0031】
図4は本発明に係る操作ハンドル、走行クラッチレバー、オーガクラッチレバー、補助レバー及び後方物検出部材周りの斜視図である。
操作ハンドル42は、機台フレーム13(図1参照)から後方へ延ばした左右のハンドル部101,101と、これらのハンドル部101,101の後端間に掛け渡したグリップ102と、からなる平面視コ字状部材である。左右のハンドル部101,101は、基部から下方へ延ばした平板状のブラケット103,103を備える。
【0032】
補助レバー110は、操作ハンドル42の上方に且つ操作ハンドル42に概ね沿って設けた平面視コ字状レバーである。具体的に説明すると、補助レバー110は、左右のブラケット103,103に支持軸111,111で前後回転可能に取付けた左右の平板状の基端部112,112と、基端部112,112から後上方へ延ばした左右のハンドル部113,113と、これらのハンドル部113,113の後端間に掛け渡したグリップ114と、からなる。このような補助レバー110は、グリップ102,114同士が接近、離反し合うように上下スイング可能である。
【0033】
左の基端部112は、ワイヤケーブル69の端部を取付けたものである。右の基端部112の作動及び後述する右の平行リンク機構130の作動については、中間軸163を介して走行クラッチレバー91に伝えることができる。中間軸163は、グリップ114と平行に延び、ブラケット13a介して機台フレーム13(図1参照)に回転可能に支持された回転軸である。さらに右の基端部112の作動については、後述する連結リンク211を介してオーガクラッチレバー92に伝えることができる。
【0034】
後方物検出部材120は、操作ハンドル42の下方に且つ操作ハンドル42に概ね沿って設けた平面視コ字状の部材である。具体的は、後方物検出部材120は、左右のブラケット103,103の下部にそれぞれ平行リンク機構130,130を介して前後移動可能に取付けた左右の平板状のアーム部121,121と、後方へ延びたアーム部121,121の後端間に掛け渡した水平なバー122とからなる。このようにして、前後に平行移動可能な後方物検出部材120を、機体11(図1参照)の後端部に備えることができる。
【0035】
左右の平行リンク機構130,130は、各後部リンク134,134間を連結バー137によって連結されているので、互いに捩れることなく、円滑に作動できる。
【0036】
図5は本発明に係る操作ハンドル、走行クラッチレバー、補助レバー及び後方物検出部材周りの左側面図である。
この図は、除雪機10に、走行クラッチレバー91を任意の位置に固定する第1レバー固定機構150、この第1レバー固定機構150を連結機構160を介して作動状態や非作動状態に操作する補助レバー110、第1レバー固定機構150が非作動状態にあるときには走行クラッチレバー91をオフ位置に強制的に戻す第1レバー戻し機構170、第1レバー固定機構150を連結機構160を介して非作動状態にする後方物検出部材120、及び、後方物検出部材120と補助レバー110との干渉を防止する干渉防止機構181,182を備えたことを示す。干渉防止機構181,182は、連結機構160に備えることになる。116は補助レバー用ストッパである。
【0037】
図6は本発明に係る走行クラッチレバー、第1レバー固定機構及び第1レバー戻し機構の断面図であり、走行クラッチレバー91、第1レバー固定機構150及び第1レバー戻し機構170を組合わせて、走行クラッチレバー機構140としたことを示す。
【0038】
走行クラッチレバー機構140は、操作パネル41に軸受141を介してレバー軸142を回転可能に取付け、レバー軸142に走行クラッチレバー91を取付け、走行クラッチレバー91に操作アーム143を設け、操作アーム143にロッド144を連結し、さらに、レバー軸142に第1レバー固定機構150のブレーキドラム157及び第1レバー戻し機構170のカム171を取付けたものである。
第1レバー固定機構150は、ブレーキドラム157を覆う固定盤151を操作パネル41に取付けるとともに、固定盤151にブレーキ作動軸155を支持したブレーキ機構である。
【0039】
図7(a),(b)は本発明に係る走行クラッチレバー、第1レバー固定機構及び第1レバー戻し機構の構成図であり、(a)に示す第1レバー固定機構150と(b)に示す第1レバー戻し機構170とを関連付けて表した。
【0040】
(a)の第1レバー固定機構150は、拡径式ドラムブレーキであり、固定盤151にアンカピン152で取付けるブレーキシュー153,153と、ブレーキシュー153,153を拡径するカム154と、カム154と一体のブレーキ作動軸155(図6参照)と、ブレーキ作動軸155を回転するブレーキ作動アーム156と、ブレーキシュー153,153を囲うブレーキドラム157と、ブレーキシュー153,153を縮径するリターンスプリング158,158とからなる。
【0041】
ブレーキ作動アーム156にてブレーキシュー153,153を拡径させることで、ブレーキシュー153,153とブレーキドラム157との間の摩擦力によって、ブレーキ作用を働かせることができる。このようにして、レバー軸142を任意の位置に固定することで、(b)の走行クラッチレバー91を任意の位置に固定することができる。
【0042】
(b)の第1レバー戻し機構170は、側面視略扇側状のカム171と、カム171の外周面に形成したカム面172に接触するローラ173と、ローラ173を回転自在に取付ける細長いスイングアーム174と、スイングアーム174をカム面172に対して接離方向にスイング可能に操作パネル41(図6参照)に取付ける支持軸175と、カム面172にローラ173を接触させる方向にスイングアーム174を弾発するリターンスプリング(引張ばね)176とからなる。
【0043】
カム面172は、円形状のローラ173が係止する側面視V字状の第1カム面177と、レバー軸142に対し第1カム面177と反対側にオフセットさせた位置Pを中心とする円弧状の第2カム面178とからなる。
第2カム面178の円弧の半径r1は、レバー軸142を中心とする円弧Qの半径r2と同一又はほぼ同一である。このようにすることで、第2カム面178を、第1カム面177へ向かって下り勾配となる傾斜面にすることができる。
【0044】
カム171の中央における第1カム面177にローラ173を係止させることで、走行クラッチレバー91のオフ位置(すなわち、中立位置)を設定することができる。
一方、カム171がスイングした状態、すなわち、第1カム面177へ向かって下り勾配となる第2カム面178にローラ173が載り上がっているときには、リターンスプリング176で弾発されたローラ173が第2カム面178をレバー軸142側へ押すことで、カム171を(b)の中立位置に強制的に戻すことができる。
【0045】
以上の説明から明らかなように、第1レバー固定機構150が非ブレーキ状態、すなわち非作動状態にあるときには走行クラッチレバー91をオフ位置に強制的に戻すことができる。
【0046】
ここで一旦図5に戻って説明を続ける。連結機構160は、補助レバー110における右の基端部112に第1引張ばね161を介して連結した第1アーム162と、第1アーム162を取付けた中間軸163と、中間軸163に取付けた第2アーム164と、第2アーム164にブレーキ作動アーム156を連結する第2引張ばね165とからなる。
【0047】
平行リンク機構130は、ブラケット103の下部に上部連結ピン131,132で前後スイング可能に取付けた前後2個のリンク(前部リンク133及び後部リンク134)と、前部リンク133の下端及び後部リンク134の下端に後方物検出部材120を連結した下部連結ピン135,136とからなる。前部リンク133と後部リンク134とは、互いに同一寸法であり、平行に組合わせたものである。
【0048】
右の平行リンク機構130における前部リンク133は、上部連結ピン131と下部連結ピン135との間に、中間連結ピン166で連結リンク167を上下スイング可能に取付けたものである。
さらに、連結リンク167を前方へ延ばし、その前端部に前後に長い長孔167aを開け、この長孔167aに連結ピン168で第3アーム169を連結し、第3アーム169を中間軸163に取付けた。連結リンク167及び第3アーム169は連結機構160の一部である。このようにして、後方物検出部材120に連結機構160を連結することができる。
【0049】
上述のように、連結機構160に補助レバー110と後方物検出部材120の両方を連結したので、補助レバー110と後方物検出部材120との干渉を防止する必要がある。これに対応するために、補助レバー110に対する第1アーム162の連結部分に、第1引張ばね161を介在させるようにした、第1の干渉防止機構181を設けた。また、連結リンク167に対する第3アーム169の連結部分に、長孔167aと連結ピン168による第2の干渉防止機構182を設けた。
【0050】
第1の干渉防止機構181は、後方物検出部材120が作動したときに、補助レバー110に影響を及ぼさないようにする機構である。第2の干渉防止機構182は、補助レバー110を操作したときに、後方物検出部材120に影響を及ぼさないようにする機構である。
【0051】
図8(a),(b)は本発明に係る平行リンク機構及び後方物検出部材の説明図であり、後方物検出部材120を中立状態に保持できる理由について説明する。
(a)に示す中立状態において、右の平行リンク機構130は、鉛直線Vに対して前部・後部リンク133,134を後下方へ角度θだけ傾けたこと、後部リンク134における上部連結ピン132と下部連結ピン136との間に連結バー137(ピンを含む)を設けたこと、及び、連結バー137と前部リンク133の下部連結ピン135との間に引張ばね(リターンスプリング)138を掛けたことを特徴とする。
【0052】
(a)において、前部リンク133の下部連結ピン135から連結バー137までの距離、すなわち引張ばね138の長さはL1である。平行リンク機構130を図時計回りにスイングさせて(b)の状態にしたとき、引張ばね138の長さはL2に変化する。(b)の引張ばね138の長さL2は、(a)の引張ばね138の長さL1より大きい。従って、平行リンク機構130を図時計回りにスイングさせるには、引張ばね138を引張るだけの力が必要である。
【0053】
ところで、平行リンク機構130に対して後方物検出部材120の重心は後方(図右側)にある。このため、後方物検出部材120は自重によって平行リンク機構130を図時計回りにスイングさせようとする。従って、後方物検出部材120の自重により引張ばね138が若干引張られた状態で、後方物検出部材120を中立状態に保持することができる。
また、後方物検出部材120を前方へ押して移動させたときには、その押し力が解除されたときに、引張ばね138の弾発力によって、後方物検出部材120を中立状態に強制的に戻すことができる。
【0054】
次に、上記構成の走行クラッチレバー91、補助レバー110、後方物検出部材120、第1レバー固定機構150、第1レバー戻し機構170の作用について図9〜図13に基づき説明する。
【0055】
図9(a),(b)は本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その1)である。
(a)は走行クラッチレバー91、補助レバー110及び後方物検出部材120が中立位置にあることを示す。第1レバー固定機構150は非ブレーキ状態、すなわち非作動状態にある。(b)の第1レバー戻し機構170は、第1カム面177にローラ173が係止することで、走行クラッチレバー91を中立位置(オフ位置)に保持する。連結ピン168は、連結リンク167における長孔167aの前端位置にある。第1・第2走行用クラッチ53,54(図2参照)はオフ位置にある。
【0056】
この状態において、作業者が操作ハンドル42と共に補助レバー110を握ることで、補助レバー110を図時計回りにスイングさせ、第1引張ばね161、第1アーム162、中間軸163、第2アーム164及び第2引張ばね165を介して、ブレーキ作動アーム156を図反時計回りにスイングさせる。この結果、第1レバー固定機構150は、摩擦力によるブレーキ作用を働かせた作動状態になる。このときの摩擦力については、走行クラッチレバー91を一定以上の操作力でスイングさせることが可能な程度の大きさに設定してある。
さらには、補助レバー110を握ることで、ワイヤケーブル69を介して第1走行用クラッチ53(図2参照)をオン操作することができる。
【0057】
図10(a),(b)は本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その2)である。
(a)は補助レバー110を握った後の状態を示す。その後、(a)の走行クラッチレバー91を想像線にて示す中立位置から前又は後にスイング操作(オン操作)する。例えば、実線にて示すように前に倒す。
走行クラッチレバー91をスイング操作する力は、第1レバー固定機構150の摩擦力を上回る力であればよい。その後、走行クラッチレバー91から手を放すと、倒れた状態の走行クラッチレバー91を、第1レバー固定機構150が自己の摩擦力によって保持する。
【0058】
走行クラッチレバー91と共に操作アーム143がスイングすることで、ロッド144を引いて第2走行用クラッチ54(図2参照)のクラッチ操作並びに変速制御をすることができる。
第2走行用クラッチ54は、走行クラッチレバー91を想像線にて示す中立位置から前又は後に変位したときにオン位置に切り替わる。さらに第2走行用クラッチ(無段変速機)54の変速程度は、走行クラッチレバー91のスイング角に応じて変化する。
【0059】
なお、補助レバー110が図時計回りにスイングした場合、第3アーム169の連結ピン168は、長孔167aの後端まで移動する。従って、補助レバー110を操作したときに、後方物検出部材120に影響を及ぼすことはない。
(b)の第1レバー戻し機構170は、第2カム面178にローラ173が載り上がった状態になる。
【0060】
このように、作業者が補助レバー110を握って(すなわちオン操作して)第1レバー固定機構150を作動状態にすることで、走行クラッチレバー91を任意の位置に固定することができる。この結果、第2走行用クラッチ54をオン状態に維持できる。
【0061】
図11(a),(b)は本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その3)である。
(a)は補助レバー110を握るとともに走行クラッチレバー91を倒した後の状態を示す。その後、作業者が補助レバー110を放すと、補助レバー110は後述するリターンスプリングの弾発力によって、自動的に図反時計回りにスイングし、元の中立位置に戻る。
【0062】
この結果、補助レバー110の操作力が解消するので、第1レバー固定機構150は、内蔵したリターンスプリングの弾発力によって、ブレーキ作用を解除する。
【0063】
ところで、上述のように(b)の第1レバー戻し機構170における第2カム面178は、第1カム面177へ向かって下り勾配となる傾斜面である。リターンスプリング176の弾発力によって、ローラ173から第2カム面178に押圧力f1が作用している。このため、第2カム面178には図時計回り方向の回転力f2が作用している。
【0064】
第1レバー固定機構150のブレーキ作用が解除になった時点で、第2カム面178は、回転力f2により図時計回りに回転する。このようにして、カム171を中立位置に強制的に戻すことができる。この結果、走行クラッチレバー91は中立位置(オフ位置)に戻り、ロッド144を介して第2走行用クラッチ54(図2参照)をオフにする。
さらにまた、補助レバー110を放すことで、ワイヤケーブル69を引く力が解消されるので、第1走行用クラッチ53(図2参照)は図示せぬリターンスプリングの弾発力によって、自動的にオフ作動する。
【0065】
このように、作業者が補助レバー110を放して(すなわちオフ操作して)第1レバー固定機構150を非作動状態にすることで、走行クラッチレバー91を固定状態から開放することができる。このため、第1レバー戻し機構170によって、走行クラッチレバー91をオフ位置に強制的に戻すことで、第2走行用クラッチ54をオフ作動させることができる。
【0066】
従って、除雪機10を走行させる度に、走行クラッチレバー91及び補助レバー110という、複数のレバーを意図してオン操作したときにだけ、第2走行用クラッチ54をオン作動させることができる。このため、補助レバー110だけを握ったときに、意図に反して第2走行用クラッチ54がオンになる心配はない。
【0067】
図12(a),(b)は本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その4)である。
(a)は、補助レバー110を握るとともに走行クラッチレバー91を倒した状態において、後方物検出部材120に後方から力Fwが作用したことを示す。後方物検出部材120は前方へ移動し、平行リンク機構130を介して連結リンク167を前方へ変位させる。連結リンク167における長孔167aの後端が連結ピン168を押して、第3アーム169を図時計回りにスイングさせることで、補助レバー110による操作力を解消することができる。
【0068】
補助レバー110による操作力が解消されるので、第1レバー固定機構150は、内蔵したリターンスプリングの弾発力によって、ブレーキ作用を解除する。ブレーキ作用が解除になるので、(b)の第1レバー戻し機構170は、走行クラッチレバー91を中立位置に強制的に戻す。この結果、第2走行用クラッチ54(図2参照)はオフになる。
【0069】
なお、補助レバー110に第1引張ばね161を介して第1アーム162を連結したので、後方物検出部材120が前方へ移動しても、第1引張ばね161が伸びるだけであり、補助レバー110に影響を及ぼすことはない。補助レバー110を握ったままであるから、ワイヤケーブル69を引いた状態は持続する。第1走行用クラッチ53(図2参照)はオンのままである。
【0070】
図13(a),(b)は本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その5)であり、後方物検出部材120が前方へ移動することで、走行クラッチレバー91が中立位置に自動復帰したことを示す。
【0071】
このように、除雪機10(図1参照)を後進させたときに、後方物検出部材120が機体11後方の物体(例えば作業者)に当たって前方へ移動することで、第1レバー固定機構150を非作動状態にすることができる。第1レバー固定機構150が非作動状態になることで、走行クラッチレバー91を固定状態から開放することができる。このため、第1レバー戻し機構170によって、走行クラッチレバー91をオフ位置に強制的に戻すことで、第2走行用クラッチ54(図2参照)をオフ作動させることができる。この結果、除雪機10を後進中に機体11後方の物体に接触したときには、速やかに第2走行用クラッチ54をオフ作動させて除雪機10を停止させることができる。従って、除雪機10の後進時において、機体11後方の物体や除雪機10自体を、より一層保護することができる。
【0072】
図14は本発明に係る操作ハンドル、オーガクラッチレバー及び補助レバー周りの左側面図である。
この図は、除雪機10に、オーガクラッチレバー92を任意の位置(オン位置)に固定する第2レバー固定機構200、この第2レバー固定機構200を作動状態や非作動状態に操作する上記補助レバー110、及び、第2レバー固定機構200が非作動状態にあるときにはオーガクラッチレバー92をオフ位置に強制的に戻す第2レバー戻し機構(図16にて後述する)を備えたことを示す。46はオーガクラッチレバー用ストッパである。
【0073】
図15は本発明に係るオーガクラッチレバー及び第2レバー固定機構の斜視図であり、オーガクラッチレバー92及び第2レバー固定機構200を組合わせて、オーガクラッチレバー機構190としたことを示す。
【0074】
オーガクラッチレバー機構190は、操作パネル41にブラケット191を介して水平な支持軸192を取付け、支持軸192にオーガクラッチレバー92を前後スイング可能に取付け、オーガクラッチレバー92に操作アーム193を設け、操作アーム193にワイヤケーブル194を介してオーガ用クラッチ73(図2参照)を連結し、さらに、第2レバー固定機構200を組合わせたものである。
【0075】
第2レバー固定機構200は、支持軸192の位置を中心に回転するべくオーガクラッチレバー92に一体的に設けた円盤状の第1カム201と、支持軸192に回転可能に取付けた円盤状の第2カム202と、これら第1・第2カム201,202に係合する1個のロックアーム203と、ロックアーム203をブラケット191に前後スイング可能に取付けたアーム支持軸204と、ロックアーム203を第1・第2カム201,202へ係合する方向に弾発するリターンスプリング(引張ばね)205とからなる。
【0076】
第1カム201と第2カム202とは、支持軸192の軸方向に隣接するとともに、互いに相対回転可能である。第2カム202は、連結リンク211を介して補助レバー110(図14参照)に連結したものである。
さらにこの図は、補助レバー110及び第2カム202を中立位置に保持するリターンスプリング(引張ばね)212を操作パネル41に取付けたことを示す。
【0077】
図16は本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチ周りの構成図兼作用図であり、オーガクラッチレバー機構190を展開して表した。すなわち、1個の支持軸192にスイング可能(回転可能)に設けた、第2カム202と第1カム201とオーガクラッチレバー92とをこの順に並べて示し、さらに、第1・第2カム201,202に1個のロックアーム203が係合している状態を示した。
【0078】
第1カム201は外周面に第1カム溝201aを有し、第2カム202は外周面に第2カム溝202aを有する。第1カム溝201aは、オーガクラッチレバー92がオン位置であるときにロックアーム203の先端が掛かる位置にある。第2カム溝202aは、補助レバー110を握ったときにロックアーム203の先端が掛かる位置にある。
【0079】
オーガ用クラッチ73は、一対のプーリ81,82に巻き掛けたベルト83にテンションローラ86を押し付けて張ることで動力を伝達し、テンションローラ86を戻してベルト83を緩めることで動力を非伝達とする、ベルトテンション機構である。オーガ用クラッチ73は、クラッチアーム85に取付けたテンションローラ86と、テンションローラ86をクラッチアーム85を介して戻すリターンスプリング(引張ばね)87とからなる。
なお、上記図2に示す第1走行用クラッチ53も、オーガ用クラッチ73と同様の構成である。
【0080】
リターンスプリング87は、第2レバー固定機構200が非作動状態にあるときにはオーガクラッチレバー92をオフ位置に強制的に戻す「第2レバー戻し機構」の役割を果たす。88は引張ばねである。
【0081】
次に、上記構成の補助レバー110、オーガクラッチレバー機構190及びオーガ用クラッチ73の作用について図2、図16〜図19に基づき説明する。
【0082】
図16は、補助レバー110が中立位置にあり、オーガクラッチレバー92がオフ位置にあることを示す。この状態においては、第1・第2カム溝201a,202aが、共にロックアーム203から外れている。
この状態において、リターンスプリング212の弾発力に抗して、作業者が操作ハンドル42と共に補助レバー110を握ることで、補助レバー110を図時計回りにスイングさせて、連結リンク211を引張る。この結果、第2カム202は図時計回りにスイングする。
【0083】
図17は本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチの作用図(その1)であり、第2カム202が図時計回りにスイングした結果、第2カム溝202aがロックアーム203の先端に臨んだことを示す。
その後、リターンスプリング87の弾発力に抗して、作業者がオーガクラッチレバー92をオフ位置から前に倒してオン操作する。この結果、操作アーム193は図反時計回りにスイングし、ワイヤケーブル194を引いてオーガ用クラッチ73をオンにする。さらには、オーガクラッチレバー92と共に、第1カム201が図反時計回りにスイングする。
【0084】
図18は本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチの作用図(その2)であり、第1カム201が図反時計回りにスイングした結果、第1カム溝201aがロックアーム203の先端に臨んだことを示す。この結果、第1カム溝201a及び第2カム溝202aの両方がロックアーム203の先端に臨む。ロックアーム203はリターンスプリング205の弾発力によってスイングし、第1・第2カム溝201a,202aに係止(ロック)する。従って、第2レバー固定機構200は作動状態になる。その後、オーガクラッチレバー92から手を放しても、オーガクラッチレバー92をオン位置に維持できる。
【0085】
また、オーガクラッチレバー92により、ワイヤケーブル194及びクラッチアーム85を介して、テンションローラ86をスイング作動させることで、オーガ用クラッチ73をオン操作することができる。
【0086】
このように、作業者が補助レバー110を握って(すなわちオン操作して)、第2レバー固定機構200を非作動状態にすることで、オーガクラッチレバー92を任意の位置に固定することができる。この結果、オーガ用クラッチ73をオン状態に維持できる。
【0087】
図19は本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチの作用図(その3)である。
その後、想像線にて示す補助レバー110から手を放すと、補助レバー110はリターンスプリング212の弾発力によって、自動的に図反時計回りにスイングし、実線にて示す元の中立位置に戻る。同時に連結リンク211も元に戻り、第2カム202を図反時計回りにスイングさせる。この結果、第2カム溝202aはロックアーム203から外れる。すなわち、ロックアーム203を押し出して図時計回りにスイングさせる。ロックアーム203はスイングすることで、第1カム溝201aからも外れる。
【0088】
この結果、リターンスプリング87は弾発力によってワイヤケーブル194を引き戻すことで、オーガクラッチレバー92を図時計回りにスイングさせる。オーガクラッチレバー92は、想像線にて示すオン位置から実線にて示すオフ位置に自動的に戻る。オーガクラッチレバー92と一体的な第1カム201も図時計回りにスイングして元に戻る。
さらには、リターンスプリング87はクラッチアーム85を介してテンションローラ86を戻す。この結果、オーガ用クラッチ73はオフになる。
【0089】
このように、作業者が補助レバー110を放して(すなわちオフ操作して)、第2レバー固定機構200を非作動状態にすることで、オーガクラッチレバー92を固定状態から開放することができる。このため、リターンスプリング87(第2レバー戻し機構)によって、オーガクラッチレバー92をオフ位置に強制的に戻すことができる。
【0090】
以上の説明から明らかなように、上記図2に示す第2走行用クラッチ54及びオーガ用クラッチ73を同時にオフ作動させることができる。このため、走行体20(図1参照)及びオーガ31やブロア32を同時に緊急停止させることができる。
【0091】
さらには、除雪機10を走行させる度に、走行クラッチレバー91及び補助レバー110という、複数のレバーを意図してオン操作したときにだけ、第2走行用クラッチ54をオン作動させることができる。このため、補助レバー110だけを握ったときに、意図に反して第2走行用クラッチ54がオンになる心配はない。
しかも、補助レバー110を放すだけで、走行クラッチレバー91をオフ位置に強制的に戻すことができるので、除雪機10を緊急停止させた後に走行開始をするときの、レバー操作が簡単である。
【0092】
一方、オーガ31を駆動させる度に、オーガクラッチレバー92及び補助レバー110という、複数のレバーを意図してオン操作したときにだけ、オーガ用クラッチ73をオン作動させることができる。このため、補助レバー110だけを握ったときに、意図に反してオーガ用クラッチ73がオンになる心配はない。
しかも、補助レバー110を放すだけで、オーガクラッチレバー92をオフ位置に強制的に戻すことができるので、オーガ31やブロア32を緊急停止させた後に再開するときの、レバー操作が簡単である。
【0093】
なお、上記本発明の実施の形態において、動力源はエンジン14に限定されるものではなく、例えば電動モータであってもよい。また、走行体20はクローラに限定されるものではなく、例えば車輪であってもよい。
さらにまた、第1走行用クラッチ53の有無は任意である。第2走行用クラッチ54はクラッチオン・オフ機能を有するものであればよく、無段変速機に限定されず、例えば第1走行用クラッチ53と同様の構成であってもよい。第1・第2走行用クラッチ53,54は、ベルトテンション機構に限定されるものではない。また、補助レバー110は平面視コ字状の部材に限定されるものではない。
【0097】
請求項は、走行クラッチレバーを任意の位置に固定するレバー固定機構を備え、このレバー固定機構が非作動状態にあるときには走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すレバー戻し機構を備え、作業者が握ることで連結機構を介してレバー固定機構を作動状態にし握りを解くと連結機構を介してレバー固定機構を非作動状態にする補助レバーを備えたので、作業者が補助レバーを握り連結機構を介してレバー固定機構を作動状態にすることで、走行クラッチレバーを任意の位置に固定することができる。この結果、走行用クラッチをオン状態に維持できる。
【0098】
その後、作業者が補助レバーを放してレバー固定機構を非作動状態にすることで、走行クラッチレバーを固定状態から開放することができる。このため、レバー戻し機構によって、走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すことで、走行用クラッチをオフ作動させることができる。
【0099】
従って、除雪機を走行させる度に、走行クラッチレバー及び補助レバーという、複数のレバーを意図してオン操作したときにだけ、走行用クラッチをオン作動させることができる。このため、補助レバーだけを握ったときに、意図に反して走行クラッチがオンになる心配はない。
しかも、補助レバーを放すだけで、走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すことができるので、除雪機を緊急停止させた後に走行開始をするときの、レバー操作が簡単である。
【0100】
さらには、機体後方の物体に当たって前方へ移動することで連結機構を介してレバー固定機構を非作動状態にする後方物検出部材を機体の後端部に備えたので、除雪機を後進させたときに、後方物検出部材が機体後方の物体に当たって前方へ移動することで、連結機構を介してレバー固定機構を非作動状態にすることができる。レバー固定機構が非作動状態になることで、走行クラッチレバーを固定状態から開放することができる。このため、レバー戻し機構によって、走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すことで、走行用クラッチをオフ作動させることができる。この結果、除雪機を後進中に機体後方の物体に接触したときには、速やかに走行用クラッチをオフ作動させて除雪機を停止させることができる。従って、除雪機の後進時において、機体後方の物体や除雪機自体を、より一層保護することができる。
【0101】
さらにまた、後方物検出部材と補助レバーとの干渉を防止する干渉防止機構を、連結機構に備えたので、後方物検出部材が後方物体に当たって前方へ移動したときに、補助レバーに影響を及ぼすことなくレバー戻し機構を介して走行クラッチレバーをオフ側に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除雪機の左側面図
【図2】本発明に係る除雪機の駆動系統図
【図3】本発明に係る操作パネルの斜視図
【図4】本発明に係る操作ハンドル、走行クラッチレバー、オーガクラッチレバー、補助レバー及び後方物検出部材周りの斜視図
【図5】本発明に係る操作ハンドル、走行クラッチレバー、補助レバー及び後方物検出部材周りの左側面図
【図6】本発明に係る走行クラッチレバー、第1レバー固定機構及び第1レバー戻し機構の断面図
【図7】本発明に係る走行クラッチレバー、第1レバー固定機構及び第1レバー戻し機構の構成図
【図8】本発明に係る平行リンク機構及び後方物検出部材の説明図
【図9】本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その1)
【図10】本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その2)
【図11】本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その3)
【図12】本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その4)
【図13】本発明に係る走行クラッチレバー、補助レバー、後方物検出部材の作用図(その5)
【図14】本発明に係る操作ハンドル、オーガクラッチレバー及び補助レバー周りの左側面図
【図15】本発明に係るオーガクラッチレバー及び第2レバー固定機構の斜視図
【図16】本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチ周りの構成図兼作用図
【図17】本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチの作用図(その1)
【図18】本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチの作用図(その2)
【図19】本発明に係る補助レバー、オーガクラッチレバー機構及びオーガ用クラッチの作用図(その3)
【図20】従来の除雪機の概要図
【符号の説明】
10…除雪機、11…機体、14…動力源(エンジン)、20…走行体、31…オーガ、42…操作ハンドル、51…走行動力伝達機構、54…第2走行用クラッチ、91…走行クラッチレバー、110…補助レバー、150…レバー固定機構(第1レバー固定機構)、160…連結機構、170…レバー戻し機構(第1レバー戻し機構)、120…後方物検出部材、181,182…干渉防止機構。

Claims (1)

  1. 機体に動力源、走行体及びオーガを備え、前記動力源から前記走行体へ動力を伝達する走行動力伝達機構に走行用クラッチを設け、この走行用クラッチを走行クラッチレバーでオン・オフ操作するようにし、前記機体から後方へ操作ハンドルを延し、この操作ハンドルを作業者が歩行しつつ操作するようにした除雪機において、この除雪機は、
    前記走行クラッチレバーを任意の位置に固定するレバー固定機構を備え、
    このレバー固定機構が非作動状態にあるときには前記走行クラッチレバーをオフ位置に強制的に戻すレバー戻し機構を備え、
    作業者が握ることで連結機構を介して前記レバー固定機構を作動状態にし握りを解くと前記連結機構を介して前記レバー固定機構を非作動状態にする補助レバーを備え、
    前記機体後方の物体に当たって前方へ移動することで前記連結機構を介して前記レバー固定機構を非作動状態にする後方物検出部材を前記機体の後端部に備え、
    前記後方物検出部材と前記補助レバーとの干渉を防止する干渉防止機構を前記連結機構に備えることで、
    後方物検出部材が後方物体に当たって前方へ移動したときに、補助レバーに影響を及ぼすことなくレバー戻し機構を介して走行クラッチレバーをオフ側に戻すように構成したことを特徴とする除雪機。
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