JP4004383B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技球を遊技領域に発射する発射装置を備えた遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機としてパチンコ機が知られている。一般に、パチンコ機の発射装置は、遊技盤の下側に設置され、発射ハンドルにより駆動機構を操作し、駆動機構により発射槌を駆動し、発射槌により遊技球を遊技盤の遊技領域に発射するように構成されている。従来、発射装置の駆動源にソレノイドを用い、ソレノイドのプランジャで発射槌を直接駆動することで、モータを駆動源とする装置と比較し、駆動機構の構成を簡略化する技術が知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1の段落番号0048には、ソレノイドを励磁し、そのプランジャを発射槌に衝突させ、衝撃力で遊技球を発射する技術が記載されている。また、同文献の段落番号0054には、発射槌をソレノイドのプランジャから切り離して発射レール上に移動可能に支持し、プランジャと発射槌との相対距離を変化させることで、発射強度を調整する機構が提案されている。
【特許文献1】
特開2002−45482号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ソレノイドを駆動源に用いた従来の発射装置によると、発射強度を調整するための構成が複雑化する問題点があった。遊技球の飛距離は発射強度によって決まるので、ソレノイドを駆動源に用いると、発射ハンドルの操作量に応じて、ソレノイドの印加電圧を増減させ、磁力を正確に制御する必要がある。このため、発射制御基板上の回路構成が複雑化し、コストが高くつくばかりでなく、ノイズの影響で動作不良が発生しやすくなる不具合があった。また、特許文献1の調整機構によると、プランジャの移動量を調整する部材とは別に、発射槌を直進案内するためのローラガイドが必要で、調整機構の部品点数が増え、機械的構成が複雑化する問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、電気的、機械的に簡単な構成によって、発射装置を信頼性高く動作させることができる遊技機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、発射ハンドルにより駆動機構を操作し、この駆動機構により発射槌を駆動し、この発射槌により遊技球を遊技領域に発射する発射装置を備えた遊技機において、前記駆動機構が、前記発射槌をプランジャの一端に設けたソレノイドと、前記発射槌と前記ソレノイドとの間に介装され、前記ソレノイドの励磁により圧縮し消磁により伸長するコイルスプリングと、前記プランジャの他端側に配置され、前記コイルスプリングの変形量を前記発射ハンドルの操作量に応じて調整する調整手段とを含み、前記調整手段は、前記プランジャの軸線上に位置する回動軸に回動可能に支持され、前記プランジャの他端に係合するカム面を備えた突片を外周に備え、前記カム面が前記プランジャの他端に係合する位置に応じて前記プランジャのストロークを制限する係合部材と、前記発射ハンドルに一体回動可能に設けられた駆動歯車と、前記係合部材に一体回動可能に設けられた従動歯車とを備えた歯車列を備え、前記係合部材を前記発射ハンドルに連動させて回動させる連動部材とを備え、前記ソレノイドの消磁時に前記コイルスプリングの復元力で前記発射槌を駆動することを特徴とする。
【0007】
この発明の発射装置においては、ソレノイドの励磁によりコイルスプリングが変形し、ソレノイドの消磁によりコイルスプリングが復元する。そして、コイルスプリングの復元力で発射槌が駆動され、発射槌によって遊技球が遊技領域に発射される。遊技球の発射強度はコイルスプリングの変形量によって決まるため、この変形量を発射ハンドルの操作量に応じて機械的に調整することで、発射強度を遊技者の所望値に容易に調整できる。従って、ソレノイドには一定の励磁電圧を印加するだけでよく、従来のような電圧調整回路が不要となり、発射制御基板上の回路構成を簡略化して、ノイズの影響による動作不良を未然に防止することができる。
【0008】
射槌がソレノイドと一体化されるので、発射槌を直進案内するための部材が不要となり、部品点数を削減して、発射装置の機械的構成を簡略化できる。また、発射槌とソレノイドと調整手段とを一列に配置し、遊技球の発射精度を高め、かつ駆動機構をコンパクトに構成することも可能となる。
【0009】
レノイドの電気的エネルギーをコイルスプリングに効率よく蓄積し、コイルスプリングの機械的エネルギーを復元により発射槌に効率よく伝達できる。また、コイルスプリングの復元力がプランジャ軸線方向に作用するので、プランジャと一体に設けた発射槌の直進度が向上し、遊技球の発射精度が安定する。しかも、発射槌、ソレノイド、調整手段に加えコイルスプリングをも一列に配置して、駆動機構をよりコンパクトに構成することも可能となる。
【0010】
レノイドの励磁時に、コイルスプリングが発射槌とソレノイドとの間で圧縮される。このとき、コイルスプリングの圧縮量はプランジャの移動量と等しく、プランジャの移動量は係合部材の位置に応じて変化する。従って、係合部材を発射ハンドルに連動させて位置調整することで、遊技球の発射強度を発射ハンドルの操作量に応じて正確に調整することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパチンコ機に具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、このパチンコ機においては、機枠1に遊技盤2と前枠3とガラス枠4とが設けられ、前枠3の下部に遊技球貯留皿5と発射レール6と球止め7と発射装置8とが配設されている。発射装置8は、遊技者の手で回転される発射ハンドル9を備え、発射ハンドル9により駆動機構10を操作し、駆動機構10により発射槌11を駆動し、発射槌11により遊技球を発射レール6に沿わせて遊技盤2の遊技領域に発射するように構成されている。以下に、発射装置8の二つの実施例を詳細に説明する。
【0013】
<第1実施例>
図2に示すように、第1実施例の発射装置8においては、駆動機構10に直進型のソレノイド13が装備されている。ソレノイド13は、ケーシング14を貫通するプランジャ15を備え、プランジャ15が斜めとなる形態で基板16に取り付けられている。プランジャ15の前端には発射槌11が一体的に取り付けられ、発射槌11とケーシング14との間にコイルスプリング17が介装されている。コイルスプリング17は、プランジャ15と同一軸線上に配置され、ソレノイド13の励磁時にプランジャ15の後退に伴って圧縮される。また、ソレノイド13の消磁時には、コイルスプリング17が伸長し、その復元力をプランジャ軸線方向に作用させ、発射槌11をプランジャ15と一体に遊技球Pの球心に向けて一直線に駆動する。従って、遊技球Pを常に安定した精度で発射することができる。
【0014】
プランジャ15の後端側には、コイルスプリング17の圧縮量を発射ハンドル9の操作量に応じて調整する調整手段が設けられている。調整手段は、プランジャ15に係合する係合部材19と、係合部材19を発射ハンドル9に連動させる連動部材としての歯車列20とから構成されている。係合部材19は、プランジャ15の軸線上に位置する軸21で基板16に回動可能に支持され、外周に突片22を備え、突片22にプランジャ15の後端板23に係合するカム面24が形成されている。従って、発射槌11、プランジャ15、コイルスプリング17、係合部材19を一列に配置して、駆動機構10をコンパクトに構成することができる。歯車列20は、発射ハンドル9に一体回動可能に設けられた駆動歯車25と、係合部材19に一体回動可能に設けられた従動歯車26と、駆動歯車25と従動歯車26との間に介在する中間歯車27とから構成されている。
【0015】
次に、上記のように構成された発射装置8の作用について説明する。図2は発射ハンドル9の非操作状態を示すもので、発射ハンドル9に設けられたタッチセンサ28(図1参照)が遊技者の手の接触を検知せず、ソレノイド13が消磁(OFF)されている。このため、コイルスプリング17が伸長し、そのばね力でプランジャ15がストローク前端位置で停止し、発射槌11が遊技球Pに接触している。また、係合部材19は、発射ハンドル9に設けられた復帰バネ(図示略)のばね力で突片22がプランジャ15を指向する位置に配置され、そのカム面24がプランジャ15の後端板23から離間している。図3(a)は図2と同じ作動状態を示し、このときの発射強度は「0」である。
【0016】
この状態で、遊技者が発射ハンドル9を操作すると、タッチセンサ28が遊技者の手の接触を検知し、図3(b)〜(d)及び図4(a)〜(c)に示すように、ソレノイド13が励磁(ON)され、プランジャ15がコイルスプリング17を圧縮しつつ後退し、係合部材19が発射ハンドル9に連動して回動し、後端板23がカム面24に係合する。このとき、コイルスプリング17の圧縮量はプランジャ15の移動量(図3:a1<a2<a3)と等しく、プランジャ15の移動量はカム面24の位置に応じて変化する。従って、発射ハンドル9で係合部材19の回動角度を調整することで、遊技球Pの発射強度を発射ハンドル9の操作量に比例させて無段階に調整することができる。このため、ソレノイド13に一定の励磁電圧を印加すればよく、従来と比較し発射制御基板上の回路構成を簡略化してコストダウンを計り、かつ、ノイズの影響による動作不良を未然に防止することができる。なお、図3及び図4では、発射強度を「弱」「中」「強」の3段階で示した。
【0017】
図3(e)に示すように、ソレノイド13が励磁状態から消磁状態に切り替わると、プランジャー15の拘束磁界が消滅し、コイルスプリング17の復元力でプランジャ15が前方へ飛び出し、発射槌11が遊技球Pに衝突し、遊技球Pが予め調整された発射強度で遊技盤2の遊技領域に向けて発射される。従って、この実施例の発射装置8によれば、ソレノイド13の励磁により、電気的エネルギーをコイルスプリング17に貯え、ソレノイド13の消磁により、コイルスプリング17の機械的エネルギーを解放して、発射槌11を効率よく駆動することができる。また、コイルスプリング17が発射槌11側のプランジャ15上に設けられているので、発射槌11の直進度を向上させ、発射精度を安定させることもできる。
【0018】
<第2実施例>
図5及び図6は発射装置の第2実施例を示し、以下に第1実施例と相違する構成について説明する。図5に示すように、この発射装置30の駆動機構31においては、コイルスプリング17が、プランジャ15と係合部材32との間に介装され、前端はプランジャ15に結合され、後端は係合部材32に結合されている。係合部材32は、基板16に固定された案内部材33にプランジャ15の軸線方向へ直線移動可能に支持され、コイルスプリング17よりも弱いばね力のスプリング34でプランジャ15側へ付勢されている。連動部材としての歯車列35は、発射ハンドル9に設けられた扇形の駆動歯車36と、係合部材32に形成されたラック37と、ラック37に噛合するピニオン38と、駆動歯車36とピニオン38との間に介在する一対の中間歯車39,40とから構成されている。
【0019】
そして、発射ハンドル9の非操作状態では、図5(a)に示すように、ソレノイド13が消磁(OFF)され、スプリング34の付勢力で係合部材32及びコイルスプリング17を介してプランジャ15がストローク前端位置で停止し、発射槌11が遊技球Pに接触している。このとき、駆動歯車36が中間歯車39から切り離されているため、係合部材32は発射ハンドル9と非連動の状態にある。従って、この状態で遊技者が発射ハンドル9に手を触れ、その接触をタッチセンサ28が検知すると、図5(b)に示すように、ソレノイド13が励磁(ON)され、プランジャ15がストローク後端位置まで後退し、伸びきったコイルスプリング17を介し係合部材32によりスプリング34が圧縮される。
【0020】
図6(a)は図5(b)と同じ作動状態を示し、このときの発射強度は「0」である。この状態で、遊技者が発射ハンドル9を操作すると、その回転初期に駆動歯車36が中間歯車39に噛合し、発射ハンドル9が歯車列35を介して係合部材32に動力伝達可能に連結される。従って、図6(b)〜(d)に示すように、係合部材32が発射ハンドル9の操作に連動して前進し、プランジャ15がソレノイド13の磁界により拘束(停止)された状態で、コイルスプリング17がプランジャ15と係合部材32との間で圧縮される。このとき、コイルスプリング17の圧縮量は係合部材32の移動量(図6:a1<a2<a3)と等しいため、発射ハンドル9で係合部材32の移動量を調整することで、遊技球Pの発射強度を発射ハンドル9の操作量に比例させて無段階に調整することができる。なお、図6では、発射強度を「弱」「中」「強」の3段階で示した。
【0021】
図6(e)に示すように、ソレノイド13が励磁状態から消磁状態に切り替わると、プランジャー15の拘束磁界が消滅し、コイルスプリング17の復元力でプランジャ15が前方へ飛び出し、発射槌11が遊技球Pに衝突し、遊技球Pが予め調整された発射強度で遊技盤2に向けて発射される。従って、この実施例の場合も、第1実施例と同様、電気的かつ機械的に簡単な構成により、発射槌11をエネルギー効率よく駆動できるとともに、発射装置30を信頼性高く動作させることができる。また、コイルスプリング17はプランジャ15と同一軸線上で復元するので、発射槌11の振れを抑制し、安定した発射精度も得られる。
【0022】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で、各部の構成や形状を適宜変更して実施することも可能である。
(1)第1実施例の発射装置8において、回動可能な係合部材19にかえ、直線移動可能な係合部材、例えば、第2実施例の係合部材32を用いること。
(2)第2実施例の発射装置30において、直線移動可能な係合部材32にかえ、回動可能な係合部材、例えば、第1実施例の係合部材19を用いること。
(3)第2実施例の発射装置30において、コイルスプリング17より弱いばね力のスプリング34を、発射槌11とケーシング14との間においてプランジャ15に嵌挿すること、或いは、ケーシング14に内蔵すること。
(4)第1及び第2実施例の連動部材として、歯車列20,35にかえ、ベルト、ワイヤ、チェーンなどの動力伝達部材を用いること。
(5)本発明の発射装置を、パチンコ機以外の遊技球を用いる各種遊技機に適用して実施すること。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機における発射装置の第1実施例を示す正面図である。
【図3】図2の発射装置における駆動機構の作用説明図である。
【図4】図2の発射装置全体の作用説明図である。
【図5】図1のパチンコ機における発射装置の第2実施例を示す正面図である。
【図6】図5の発射装置における駆動機構の作用説明図である。
【符号の説明】
2 遊技盤
8 発射装置(第1実施例)
9 発射ハンドル
10 駆動機構
11 発射槌
13 ソレノイド
15 プランジャ
17 コイルスプリング
19 係合部材
20 歯車列
30 発射装置(第2実施例)
31 駆動機構
32 係合部材
35 歯車列

Claims (1)

  1. 発射ハンドルにより駆動機構を操作し、この駆動機構により発射槌を駆動し、この発射槌により遊技球を遊技領域に発射する発射装置を備えた遊技機において、
    前記駆動機構が、
    前記発射槌をプランジャの一端に設けたソレノイドと、前記発射槌と前記ソレノイドとの間に介装され、前記ソレノイドの励磁により圧縮し消磁により伸長するコイルスプリングと、
    前記プランジャの他端側に配置され、前記コイルスプリングの変形量を前記発射ハンドルの操作量に応じて調整する調整手段とを含み、
    前記調整手段は、
    前記プランジャの軸線上に位置する回動軸に回動可能に支持され、前記プランジャの他端に係合するカム面を備えた突片を外周に備え、前記カム面が前記プランジャの他端に係合する位置に応じて前記プランジャのストロークを制限する係合部材と、
    前記発射ハンドルに一体回動可能に設けられた駆動歯車と、前記係合部材に一体回動可能に設けられた従動歯車とを備えた歯車列を備え、前記係合部材を前記発射ハンドルに連動させて回動させる連動部材とを備え、
    前記ソレノイドの消磁時に前記コイルスプリングの復元力で前記発射槌を駆動することを特徴とする遊技機。
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