JP4003425B2 - 現像ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、プリンター等に用いられる現像ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機等の現像ロールには、トナー帯電性およびトナー搬送性が要求される。そして、これらの性能を発現させるため、そのロール表面を均一に粗面化することが重要となる。このような、ロール表面を均一に粗面化した現像ロールであって、接触現像方式(現像ロールと感光ドラムとの摺接により、トナーを感光ドラム上の静電潜像に移行させ、静電潜像をトナー像として顕在化させる方式)に適したロールを得るため、従来では、芯金の外周にベースゴム層を形成してなるベースロールの外周面を研磨して所定の表面粗さを出し、その上からコーティング液を塗工して最外層を形成する方法が用いられてきた。しかしながら、このようにして得られた現像ロールでは、最外層の表面粗さの均一性を確保することが困難であったため、近年では、ベースロールの外周面に、所定の粒径に揃えられた多数の粒子を分散したコーティング液の塗工により最外層を形成した現像ロールが主流となりつつある。この現像ロールの表面では、最外層中に分散した多数の粒子の粒径により、所定の表面粗さが現出されている。この種の現像ロールを作製する際、図3に示すように、ベースロールを研磨仕上げして精度を確保するため、その表面(ベースゴム層2’の表面)は不均一に粗面化されている。そのため、最外層4’中に表面粗さ形成用の粒子1が分散されていても、ロール表面は均一に粗面化されない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
また、上記のように、最外層形成用のコーティング液中に多数の粒子を分散して表面粗さを出した現像ロールでは、ロール表面において、上記多数の粒子のうちの一部のものが、コーティング液からなる膜に完全に被覆されずに部分的に露出している場合がある。さらに、上記粒子が部分的に露出していない場合であっても、ロール表面の凸部は上記粒子により形成されているため、その粒子を被覆する膜がロールの使用によって削れ、粒子が露出する場合がある。このようにして粒子が露出すると、ロール表面の帯電ムラが生じ、画像不良を引き起こす。
【0004】
他方、図4に示すように、多数の粒子1を分散した最外層4’’を、ベースゴム層2の表面に中間層3’を介して形成したものを試作して研究した。しかし、このタイプのものでは、上記中間層3’と最外層4’’とが同じ溶剤に可溶な材料であると、最外層4’’形成時に、最外層形成用のコーティング液中の溶剤(メチルエチルケトン等)によって中間層3’の表面が溶け、上記コーティング液中の粒子1が、中間層3’にめり込んだ状態になり、得られるロールは表面粗さが不均一性となり、やはり、画像不良を引き起こすという難点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、長期間使用しても画像不良を生じない現像ロールの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の現像ロールは、軸体の外周に、ベースゴム層と、その外周に直接もしくは他の層を介して形成された中間層と、上記中間層の外周に形成された表面層とを備えた、接触現像方式の現像ロールであって、上記中間層が、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴムおよびポリウレタン系エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一種のポリマー100重量部に対し、表面粗さ形成用の粒子が10〜40重量部の割合で含有する組成物によって形成され、上記中間層のみに上記表面粗さ形成用の粒子を分散しているという構成をとる。
【0007】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく、表面粗さ形成用の粒子を分散したコーティング液からなる層について一連の研究を重ねた。この研究の過程で、つぎのような事実が得られた。すなわち、上記粒子を分散させた層を最外層とするロールは、上記粒子の大きさのみで粗度が得られるため、粗さのばらつきが小さくなるという利点がある。しかし、その反面、上記粒子を被覆する、コーティング液からなる膜が、ロールの使用によってどうしても摩耗してしまい、部分的な粒子の露出が生じ、芳しい成果が得られなかった。そこで、さらに研究を重ねる過程で、この層の上に、この層を保護するための層を形成することを着想し、これについて研究を重ねた。そして、ベースロールと、その外周に形成された中間層と、上記中間層の外周に形成された表面層とを備えた現像ロールにおける上記中間層のみに表面粗さ形成用の粒子を分散したものを試作し、図1に示すような層構造の現像ロールを得た。図において、1は粒子、2はベースゴム層、3は中間層、4は表面層である。図示のように、得られた現像ロールでは、粒子1により得られた中間層3の凹凸面に沿うように表面層4が形成され、その表面における粗さのばらつきが、上記最外層に表面粗さ形成用の粒子を分散したロールにおける値と比べ、ほとんど同じであった。そして、上記のように、ベースゴム層、中間層、表面層といった層構成にするとともに、上記中間層形成材料として、ニトリルゴム(NBR),ポリウレタン系エラストマー,水素化ニトリルゴム等の所定の弾性ポリマー材料に表面粗さ形成用の粒子を特定の割合で分散させた組成物を用いて得られる現像ロールは、トナー搬送性等の現像ロールに求められる性能を維持したまま、表面層の保護作用により、長期間使用による画像不良を克服することができることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
本発明の現像ロールは、上記中間層に分散する粒子が露出しにくいため、帯電性、耐摩耗性の制限がなく、粒子選択の幅を広げることができる。
【0009】
特に、上記ベースロールの外周面に、他の層を介することなく、上記中間層が直接形成されている場合、他の層に影響されることなく、上記コーティング液中の粗さ形成用粒子がベースロール外周面上に揃うため、得られるロールにおいて、表面粗さの均一性が損なわれにくくなる。
【0010】
また、上記粒子の平均粒径が5〜30μm等の特定の範囲に設定されている場合、得られる現像ロールにおける表面層が、所望の表面粗さとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明の現像ロールの一例を図2に基づいて説明する。この現像ロールは、軸体10と、この軸体10の外周面に沿って形成されたベースゴム層11と、このベースゴム層11の外周に形成された中間層12と、この中間層12の外周に形成された表面層13とを備えている。
【0013】
上記軸体10としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属製の中空体や中実体が用いられる。そして、その材質としては、ステンレス、アルミニウム等があげられる。上記軸体10の外周面には、ベースゴム層の接着性を高めるため、必要に応じて、接着剤、プライマー等を塗布してもよく、また上記接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
【0014】
上記軸体10の外周面に形成されるベースゴム層11は、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー等によって形成される。なかでも、上記ベースゴム層4の形成材料としては、低硬度でへたりが少ないという点から、導電性シリコーンゴムを用いることが好ましい。この材料には、導電剤やシリコーンオイル等の各種の添加剤が適宜に配合される。導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 (ここで「c−」は導電性を有するという意味)等の各種のものがあげられる。また、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル等の各種のものがあげられる。
【0015】
そして、上記ベースゴム層11の外周面に形成される中間層12には、図1に示す中間層3と同様に、表面粗さ形成用の粒子1が特定範囲内で分散されている。
【0016】
上記表面粗さ形成用の粒子1の形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリカ,ウレタン樹脂,ポリアミド樹脂,フッ素樹脂,アクリル樹脂,尿素樹脂等があげられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、トナーを高帯電化させることのできるシリカが好適に用いられる。
【0017】
また、上記粒子1の平均粒径は、特に限定されるものではないが、5〜30μmの範囲に設定されていることが好ましく、より好ましくは7〜15μmの範囲である。すなわち、この範囲を外れると、得られるロールにおいて、所望の表面粗さが得られなくなる傾向がみられるからである。なお、上記粒子1の平均粒径は、母集団から任意に抽出される試料を用いて導出される値である。また、粒子形状が真球状ではなく楕円球状(断面が楕円の球)等のように一律に粒径が定まらない場合には、最長径と最短径との単純平均値をその粒子の粒径とする。
【0018】
上記粒子1の分散割合は、上記中間層形成用のポリマー材料(粒子を除く)100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜40部の範囲である。すなわち、この範囲を外れると、ロール表面において、均一な粗面が得られにくくなる傾向がみられるからである。
【0019】
上記中間層形成用のポリマー材料としては、EPDM、SBR、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム、ポリウレタン系エラストマーが用いられる。なお、上記ポリマー材料や粒子以外に、必要により、カーボンブラック、金属酸化物、四級アンモニウム塩、ほう酸塩等の導電剤等を適宜に添加してもよい。
【0020】
そして、上記中間層形成用材料(組成物)は、有機溶剤に溶解等され、コーティング液として使用に供される。上記有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に、メチルエチルケトンを用いることが、上記層形成用材料に対する溶解性の点で好ましい。このようなコーティング液は、粘度を0.02〜0.10Pa・sにすることが、塗工性等の点で好ましい。
【0021】
上記中間層12の外周に形成される表面層13は、その形成用材料が特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂(PVB)等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、耐摩耗性の点で、ウレタン樹脂が好適に用いられる。なお、上記成分以外に、必要により、導電剤、帯電制御剤等を適宜に添加してもよい。
【0022】
また、上記表面層13の形成用材料も、上記中間層12の形成用材料と同様に、有機溶剤に溶解等され、コーティング液として使用に供される。上記有機溶剤としては、MEK等の従来公知のものが用いられる。このようなコーティング液は、粘度を0.02〜0.10Pa・sにすることが、塗工性、ロール表面における粗さのばらつきに与える影響等の点で好ましい。
【0023】
そして、上記コーティング液の塗工により形成された表面層13の表面粗さ(Rz)が、2〜20μmの範囲内になっていることが好ましい。より好ましくは、3〜12μmの範囲である。すなわち、表面粗さ(Rz)が2μm未満であると、上記表面層13の表面が平滑すぎるため、トナーの供給が不足し、画像濃度が出ないおそれがあり、逆に20μmを超えると、上記表面層13の表面が凹凸粗面度合が大きすぎるため、複写画質にムラが生じるおそれがあるからである。なお、上記表面粗さ(Rz)は、JIS B 0601の表面粗さの定義と表示により示されるなかの十点平均粗さに準拠して測定した値である。
【0024】
本発明の現像ロールは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
【0025】
すなわち、まず、上記ベースゴム層11形成用材料の各成分をニーダー等の混練機で混練し、ベースゴム層11形成用材料(組成物)を作製する。ついで、円筒状金型の中空部に、金属製の軸体10をセットし、上記円筒状金型と軸体10との空隙部に、上記ベースゴム層11形成用材料を注型した後、金型を蓋し、加熱して、ベースゴム層11形成用材料を架橋させる。その後、上記円筒状金型から脱型することにより、軸体10の外周面にベースゴム層11を形成する。このように、軸体の外周面にベースゴム層が形成されたものをベースロールと称する。
【0026】
一方、上記中間層12の層形成用材料(組成物)を、有機溶剤とともに混合することにより溶解させて、溶液をつくる。そして、これに、上記粒子1を添加し混合することにより、中間層12形成用溶液を作製する。この場合、上記粒子1は硬質であることから、上記溶剤に溶解せず、分散状態となる。
【0027】
また、上記表面層13の形成用材料を、有機溶剤とともに混合し、表面層13形成用溶液を作製する。
【0028】
そして、上記ベースロールにおけるベースゴム層11の外周面に、上記中間層12形成用溶液を塗工する。この塗工法は、特に制限するものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等の従来の方法が適用できる。そして、塗工後、乾燥および加熱処理(加硫処理、条件:120〜200℃×20〜90分)を行うことにより、上記中間層12形成用溶液中の溶剤の除去を行い、中間層12を形成する。そして、上記中間層12の外周面に、上記表面層13形成用溶液を塗工する。この塗工法は、上記中間層12形成用溶液のときと同様に、従来の方法が適用できる。そして、塗工後、乾燥および加熱処理(加硫処理、条件:120〜200℃×20〜90分)を行うことにより、上記表面層13形成用溶液中の溶剤の除去を行い、表面層13を形成する。このようにして、図2に示すような三層構造の現像ロールを作製することができる。この現像ロールにおいて、ベースゴム層11の厚みは1〜10mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは2〜6mmである。また、中間層12の厚みは3〜30μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜20μmである。そして、表面層13の厚みは3〜30μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜20μmである。なお、上記中間層12の厚みは、図1の矢印Aが示す厚み、すなわち、上記粒子1によって凹凸状に形成された中間層12における凹部の厚みを指す。そして、上記中間層12を含む各層の厚みは、現像ロールから、表面層13、中間層12およびベースゴム層11を含む断面試料を採取し、これの顕微鏡写真に基づき測定して得ることができる。
【0029】
なお、本発明の現像ロールの例として、図2において三層構造のものをあげたが、軸体10の外周に形成される層は必ずしも三層である必要はなく、ロールの用途等に応じ、ベースゴム層11と中間層12との間に適宜の数の層を形成して三層以上としてもよい。
【0030】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0031】
【実施例1】
〔ベースロールの作製〕
まず、芯金としてアルミニウム製芯金を準備し、上記芯金の外周面に接着剤を塗布した。ついで、円筒状金型の中空部に、上記芯金をセットし、円筒状金型と芯金との空隙部に、シリコーンゴムコンパウンドを注型した後、金型に蓋をし、これを加熱(180℃×5分)して、シリコーンゴムコンパウンドを加硫し、その後脱型して、ベースゴム層付き芯金(ベースロール)を作製した。
【0032】
〔中間層形成用溶液の調製〕
つぎに、ポリウレタン系エラストマー(UN278、坂井化学社製)100部と、カーボンブラック20部と、架橋剤10部と、MEK400部とを混合して得られるポリマーの溶液に、平均粒径20μmのウレタン樹脂からなる粒子(バーノックCFB100、大日本インキ化学工業社製)20部を分散して混合、攪拌することにより、中間層形成用溶液を調製した。
【0033】
〔表面層形成用溶液の調製〕
また、ウレタン樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製)100部と、カーボンブラック20部と、MEK400部とを混合することにより、表面層形成用溶液を調製した。
【0034】
〔現像ロールの作製〕
上記ベースロールの外周面に、上記中間層形成用溶液をロールコート法により塗工した後、乾燥および加熱処理を行ない、ベースゴム層の外周面に中間層を形成した。さらに、上記中間層の外周面に、上記表面層形成用溶液をロールコート法により塗工した後、乾燥および加熱処理を行ない、中間層の外周面に表面層を形成した。このようにして、3層構造の現像ロールを作製した(図2参照)。そして、このロールのベースゴム層の厚みは5mmであり、中間層の厚みは10μmであり、表面層の厚みは15μmである。
【0035】
【実施例2】
中間層形成用溶液中に分散する粒子を、平均粒径15μmのアクリル樹脂からなる粒子(MX1500H、総研化学社製)に代えた。さらに、表面層形成用溶液として、ポリアミド樹脂(トレジンEF30T、帝国化学社製)100部と、カーボンブラック20部と、メタノール400部とを混合して調製したものを用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0036】
【実施例3】
中間層形成用溶液として、NBR(ニポールDN202、日本ゼオン社製)100部と、MEK400部とを混合して得られるポリマーの溶液に、平均粒径20μmのウレタン樹脂からなる粒子(バーノックCFB100、大日本インキ化学工業社製)20部を分散して混合、攪拌して調製したものを用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0037】
【実施例4】
中間層形成用溶液中に分散する粒子を、平均粒径20μmのポリアミド樹脂からなる粒子(オルガソール2002DNAT1、エルフ・アトケム・ジャパン社製)に代えた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0038】
【実施例5】
中間層形成用溶液中に分散する粒子を、平均粒径12μmのシリカからなる粒子(トスバール3120、GE東芝シリコーン社製)に代えた。さらに、表面層形成用溶液として、PVB樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業社製)100部と、カーボンブラック20部と、MEK200部とを混合して調製したものを用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0039】
【比較例1】
中間層形成用溶液として、ポリウレタン系エラストマー100部と、カーボンブラック20部と、架橋剤10部と、MEK400部とを混合して調製したものを用いた。さらに、表面層形成用溶液として、ウレタン樹脂100部と、カーボンブラック20部と、MEK400部とを混合して得られる溶液に、平均粒径5μmのシリカからなる粒子(サイリシア450、富士シリシア化学社製)30部を分散して混合、攪拌して調製したものを用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0040】
【比較例2】
中間層形成用溶液として、ポリウレタン系エラストマー100部と、カーボンブラック20部と、架橋剤10部と、MEK400部とを混合して調製したものを用いた。さらに、表面層形成用溶液として、ウレタン樹脂100部と、カーボンブラック20部と、MEK400部とを混合して得られる溶液に、平均粒径10μmのポリアミド樹脂からなる粒子(オルガソール2001EXDNAT1、エルフ・アトケム・ジャパン社製)20部を分散して混合、攪拌して調製したものを用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0041】
このようにして得られた各現像ロールについて、下記の基準に従い、表面粗さ(Rz)、耐久前後の画像評価について比較評価を行い、その結果を、下記の表1に示した。
【0042】
〔表面粗さ(Rz)〕
現像ロール表面の表面粗さ(周方向)を、サーフコム(東京精密社製)にて、JIS B 0601に準拠して測定した。この測定は、電子写真プリンターに組み込む前(初期)と1万枚プリント後(耐久後)に行った。Rzは、凸凹に直角な平面で切断したとき、その切り口に現れる輪郭(これを断面曲線という)から、所定の波長より長い表面うねり成分をカットオフした粗さ曲線より求められる十点平均粗さであることを示す。
【0043】
〔画像評価〕
得られた現像ロールを電子写真プリンターに組み込み、実際にプリントを行った。そして、プリント画像の画質を初期と1万枚プリント後(耐久後)において目視評価した。すなわち、文字を印刷し、プリント画像に問題がなく、細線にいたるまで鮮明にプリントされたものを○とし、かすれやかぶり等が発生したものを×とした。なお、かすれとは、細線がとぎれたものをいい、かぶりとは、イメージのないところにトナーが飛んでいるものをいう。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1の結果から、中間層に粗さ形成用の粒子を分散した実施例品では、いずれも、耐久後の表面粗さが、初期に比べてほとんど差がないことがわかる。さらに、実施例品では、耐久後の画像評価が、初期の画像評価に比べてほとんど差がなく良好であることから、耐久後でも、画像の劣化がほとんどみられないことがわかる。これに対して、表面層に粗さ形成用の粒子を分散した比較例品では、耐久後の表面粗さが初期に比べて大きく変動しており、耐久後の画像評価が、初期の画像評価に比べて顕著に劣化していることがわかる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明の現像ロールは、ベースロールと、その外周に直接もしくは他の層を介して形成された中間層と、上記中間層の外周に形成された表面層とを備え、上記中間層が、ニトリルゴム(NBR),ポリウレタン系エラストマー,水素化ニトリルゴム等の所定の弾性ポリマー材料に表面粗さ形成用の粒子を特定の割合で分散させた組成物を用い、形成されている。このような構成により、接触現像方式において、トナー搬送性等の現像ロールに求められる性能を維持したままで、長期の使用によるトナー帯電ムラを生じずに良好な画像が得られる。また、上記粒子が露出しにくいため、帯電性、耐摩耗性の制限がなく、粒子選択の幅を広げることができる。
【0047】
特に、上記ベースロールの外周面に、上記中間層が直接形成されている場合、他の層に影響されることなく、上記コーティング液中の粗さ形成用粒子がベースロール外周面上に揃うため、得られるロールにおいて、表面粗さの均一性が損なわれにくくなる。
【0048】
また、上記粒子の平均粒径が特定の範囲に設定されている場合、得られるロールの表面が所望の表面粗さとなり、その結果、安定した帯電性が得られ、要求される性能を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像ロールにおける、層形成状態の一例を示す要部拡大図である。
【図2】本発明の現像ロールの一例を示す断面図である。
【図3】従来の現像ロールにおける、層形成状態の一例を示す要部拡大図である。
【図4】従来の現像ロールにおける、層形成状態の他例を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 粒子
2 ベースゴム層
3 中間層
4 表面層
Claims (3)
- 軸体の外周に、ベースゴム層と、その外周に直接もしくは他の層を介して形成された中間層と、上記中間層の外周に形成された表面層とを備えた、接触現像方式の現像ロールであって、上記中間層が、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴムおよびポリウレタン系エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一種のポリマー100重量部に対し、表面粗さ形成用の粒子が10〜40重量部の割合で含有する組成物によって形成され、上記中間層のみに上記表面粗さ形成用の粒子を分散していることを特徴とする現像ロール。
- 上記ベースゴム層の外周面に上記中間層が直接形成されている請求項1記載の現像ロール。
- 上記粒子の平均粒径が5〜30μmの範囲に設定されている請求項1または2記載の現像ロール。
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