JP5085172B2 - 現像ロール - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真複写機、プリンター等の電子写真装置に用いられる現像ロールに関するものである。
電子写真複写機等の現像ロールには、所定のトナー帯電性およびトナー搬送性が要求され、そのために、ロール表面を均一に粗面化することが重要となる。このような現像ロールは、通常、芯金外周にベースゴム層を形成してなるベースロールの表面に、直接もしくは中間弾性層を介し、表面樹脂層を形成して構成される。そして、ロール表面を均一に粗面化した現像ロールを得るため、従来では、芯金の外周にベースゴム層を形成してなる前記ベースロールの外周面に対し、ショットブラスト加工や研磨を施すことにより、その外周面を粗面化したり、あるいは、ベースゴム層成形用金型の内周面にあらかじめショットブラストによる粗面加工を施してベースゴム層成形時にその粗さを転写させることにより、ベースロール外周面を粗面化し、その粗面に沿うよう、コーティングにより上記表面樹脂層を形成している。
しかしながら、近年における現像ロールの低硬度化の要求は高く、それにともない、ベースゴム層も低硬度化がなされるようになってきているため、ベースロール外周面に対しショットブラスト加工等を行っても、要求程度に均一に粗面化することは難しい。他方、ベースゴム層成形金型内周面の粗面の転写によりベースロール外周面の粗面化を行う場合では、上記金型内周面の表面粗さを、容易に変更できないため、現像システムやトナーの多様化によって要求される表面性能や粗さの変化に対応するよう微調整しながらロールの表面粗さを出すのが困難である。
そのため、近年では、ベースロールの外周面に、粗さ形成用の充填材を分散したコーティング液(塗液)を塗工することにより表面粗さを出した現像ロールが主流となりつつある。このようなロールとしては、表層形成用のコーティング液中に多数の粒子を分散して表面粗さを出した現像ロールが一般的であるが、このロールでは、その表面において、上記多数の粒子のうちの一部のものが、コーティング液からなる膜に完全に被覆されずに部分的に露出している場合があり、また、上記粒子が部分的に露出していない場合であっても、ロール表面の凸部は上記粒子により形成されているため、その粒子を被覆する膜がロールの使用によって削れ、粒子が露出する場合がある。このように粒子が露出すると、帯電むらを生じやすい。
また、上記のように表層で粗度形成を行い、粗度の均一性を確保しようとすると、上記粒子自体が高硬度なために、表層の粒子部と非粒子部との硬度差が顕著となり、局所的にトナーストレスが増大する。そのため、トナー劣化やフィルミングが進み、トナー帯電性能の低下(かぶり)や、すじ、ゴースト等の画像不具合を誘発しやすいといった問題がある。
これらの問題を解消するため、本発明の出願人は、ベースゴム層と表層との間に中間層を設け、上記のように表層に表面粗さ形成用の粒子を入れるのではなく、表層の下側の中間層に表面粗さ形成用粒子を入れたロールを先に提案している(特許文献1参照)。
特開2002−357949公報
しかしながら、上記提案の現像ロールでは、時として、図3に示すように、表層24をコーティングにより形成する際に、中間層23に形成された凹凸面(表面粗さ形成用粒子21により形成された凹凸面)の凹部に集中して上記コーティングの塗液が流れ込んでしまい(図の矢印方向に流れ込み)、中間層23表面の粗度に対して、表層24表面の粗度が小さくなり、粗度のばらつきが大きくなる現象がおこる。そのようなときには、微小な凹部が隠されてしまい、ロール表面に大まかな表面粗さしか形成することができず、場合によっては、このことから、トナーの搬送量にむらを生じ、また、微細トナーの搬送性の低下を生起し、複写画質の低下を招くおそれがある。そのため、電子写真複写機等のフルカラー化,高画質化等の高度な要求に充分応えることができる現像ロールの提供が待たれる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、トナー搬送性に優れるとともに、トナー劣化やフィルミングの発生を抑え、長期にわたって高画質複写を実現しうる現像ロールの提供をその目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の現像ロールは、軸体と、その外周に形成されるベースゴム層と、上記ベースゴム層の外周に直接もしくは他の層を介して形成される中間層と、上記中間層の外周に形成される表層とを備えた現像ロールであって、上記中間層が、下記の(A)〜(C)成分を含有するポリマー組成物によって形成されているという構成をとる。
(A)バインダーポリマー。
(B)表面粗さ形成用粒子。
(C)シリコーン系表面改質剤、フッ素系表面改質剤、アクリルフッ素系表面改質剤、アクリルシリコーン系表面改質剤およびアクリルフッ素シリコーン系表面改質剤からなる群から選ばれた少なくとも一つの表面改質剤。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ね、その研究の過程で、上記提案の現像ロール(特開2002−357949公報に開示の、中間層の表面粗さ形成用粒子により粗面化された現像ロール)において、先に述べた図3に示すような現象を制御することを中心に研究を重ねた。その結果、中間層形成用組成物に予め、上記(C)に示す特定の表面改質剤を配合し、これにより得られた塗液をコーティングし、乾燥することにより中間層を形成すると、その中間層の表面に、上記特定の表面改質剤を構成するシリコーン成分またはフッ素成分が露出し、中間層表面が改質(表面エネルギーが低下)され、これらの成分の存在により、中間層表面に表層塗液を塗布した際に、その塗液が濡れ広がるのを抑えることを突き止めた。これにより、中間層の凹部に表層塗液が集中して流れ込んでしまう現象が抑制され、中間層表面の凹凸形状に沿った形状で、均等な厚みで表層塗膜が形成されるため、中間層表面の粗度に対する表層表面の粗度の低下を抑えることができる。
以上のように、本発明の現像ロールは、ベースロールと、その外周に直接もしくは他の層を介して形成された中間層と、上記中間層の外周に形成された表層とを備え、上記中間層が、バインダーポリマーと、表面粗さ形成用粒子と、特定の表面改質剤とを必須成分とするポリマー組成物によって形成されている。これにより、中間層表面に所望の凹凸形状が形成されるとともに、その凹凸形状に沿った形状で、均等な厚みで表層塗膜が形成されるため、その現像ロールは、トナー搬送性に優れるとともに、局所的硬度差が低減でき、トナー劣化やフィルミングの発生を抑え、長期にわたって高画質複写を実現することができる。また、上記表面粗さ形成用粒子が露出しにくいため、帯電性、耐摩耗性の制限がなく、粒子選択の幅を広げることができる。さらに、中間層中の表面粗さ形成用粒子の含有量が少なくても、従来と同等レベルの粗度を得ることができ、ロール硬度を小さくすることができる。このようにロール硬度の低硬度化を実現することにより、感光ドラム上へのトナーかぶりを引き起こすおそれがなくなり、また、上記低硬度化を実現したままで、全体的なトナー搬送性はもとより、微細トナーの搬送性をも確保し得るため、電子写真複写機等のフルカラー化,高画質化等の要求に充分応えることができる。
特に、上記中間層中の粒子の平均粒径が特定の範囲に設定されていると、トナー搬送性の確保が一層なされるため、より鮮明なプリント画像が得られるようになる。
また、上記中間層形成用組成物中における表面改質剤の割合が特定の範囲に設定されていると、中間層の凹部に表層塗液が集中して流れ込んでしまう現象の抑制が、より優れるようになり、表層塗膜の均厚化が好適になされるようになる。
さらに、上記中間層形成用組成物中における表面粗さ形成用粒子の割合が特定の範囲に設定されていると、現像ロールにおいて、低硬度化とトナー搬送性等とのバランスに優れるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の現像ロールは、たとえば、図1に示すように、軸体5と、この軸体5の外周面に沿って形成されたベースゴム層2と、このベースゴム層2の外周に形成された中間層3と、この中間層3の外周に形成された表層4とを備えている。そして、図2は、その要部(積層部分)を拡大した図であり、上記中間層3に、表面粗さ形成用粒子(粒子1)が分散され、それにより、ロール表面に所望の凹凸形状が形成されていることを示している。本発明では、上記中間層3形成用組成物中に特定の表面改質剤を含有することが特徴であり、この組成物のコーティングにより上記中間層3が形成されているため、中間層3の凹部に表層4形成用塗液が集中して流れ込んでしまう現象(図3参照)が抑制され、図2に示すように、中間層3表面の凹凸形状に沿った形状で、均等な厚みで表層4が形成されている。
上記軸体5としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属製の中空体や中実体が用いられる。そして、その材質としては、ステンレス、アルミニウム等があげられる。上記軸体5の外周面には、ベースゴム層の接着性を高めるため、必要に応じて、接着剤、プライマー等を塗布してもよく、また上記接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
上記軸体5の外周面に形成されるベースゴム層2は、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー等によって形成される。なかでも、上記ベースゴム層2の形成材料としては、低硬度でへたりが少ないという点から、導電性シリコーンゴムを用いることが好ましい。また、この材料には、導電剤やシリコーンオイル等の各種の添加剤が適宜に配合される。導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 (ここで「c−」は導電性を有するという意味)等の各種のものがあげられる。また、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル等の各種のものがあげられる。
上記ベースゴム層2の外周面に形成される中間層3は、下記の(A)〜(C)成分を含有するポリマー組成物によって形成されている。
(A)バインダーポリマー。
(B)表面粗さ形成用粒子。
(C)シリコーン系表面改質剤、フッ素系表面改質剤、アクリルフッ素系表面改質剤、アクリルシリコーン系表面改質剤およびアクリルフッ素シリコーン系表面改質剤からなる群から選ばれた少なくとも一つの表面改質剤。
上記(A)成分のバインダーポリマーとしては、特に限定はないが、例えば、EPDM、SBR、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル、N−メトキシメチル化ナイロン等が好適に用いられる。なお、上記成分以外に、必要により、カーボンブラック、金属酸化物、四級アンモニウム塩、ほう酸塩等の導電剤等を適宜に添加してもよい。
上記(B)成分の表面粗さ形成用粒子(粒子1)の形成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリカ,ウレタン樹脂,ポリアミド樹脂,フッ素樹脂,アクリル樹脂,尿素樹脂,ポリメチルメタクリレート(PMMA)等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、トナーを高帯電化させることのできるシリカが好適に用いられる。
また、上記粒子1の平均粒径は、特に限定されるものではないが、10〜30μmの範囲に設定されていることが好ましく、より好ましくは10〜20μmの範囲である。すなわち、この範囲に設定されていると、トナー搬送性の確保が一層なされるため、より鮮明なプリント画像が得られるようになるからである。なお、上記粒子1の平均粒径は、母集団から任意に抽出される試料を用いて導出される値である。また、粒子形状が真球状ではなく楕円球状(断面が楕円の球)等のように一律に粒径が定まらない場合には、最長径と最短径との単純平均値をその粒子の粒径とする。
上記中間層3形成用組成物中における上記粒子1の割合は、上記(A)成分のバインダーポリマー100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜40部の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは10〜25部の範囲である。すなわち、この範囲に設定されていると、現像ロールにおいて、低硬度化とトナー搬送性等とのバランスに優れるようになるからである。
上記(C)成分の表面改質剤は、本発明の特徴的材料であり、上記のように、シリコーン系表面改質剤、フッ素系表面改質剤、アクリルフッ素系表面改質剤、アクリルシリコーン系表面改質剤、アクリルフッ素シリコーン系表面改質剤が用いられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。そして、上記表面改質剤は、市販品のものでは、大日本インキ化学工業社製のメガファックF−480SF,メガファックF−178Kや、綜研社製のLSI−60,LF−700等があげられる。
上記中間層3形成用組成物中における上記(C)成分の表面改質剤の割合は、上記(A)成分であるバインダーポリマー100部に対し、0.5〜15部の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは0.5〜10部の範囲である。すなわち、この範囲に設定されていると、中間層の凹部に表層塗液が集中して流れ込んでしまう現象の抑制が、よりなされるようになり、表層塗膜の均厚化が好適になされるようになるからである。
そして、上記中間層3形成用の各材料は、有機溶剤に溶解等され(粒子1を除く)、コーティング液として使用に供される。上記有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。特に、メチルエチルケトンを用いることが、上記中間層3形成用材料に対する溶解性の点で好ましい。このようなコーティング液は、粘度を0.02〜0.10Pa・sにすることが、塗工性等の点で好ましい。
上記中間層3の外周に形成される表層4の形成用材料は、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂(PVB)等があげられ、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、耐摩耗性の点で、ウレタン樹脂が好適に用いられる。なお、上記成分以外に、必要により、導電剤、帯電制御剤等を適宜に添加してもよい。
また、上記表層4の形成用材料も、上記中間層3の形成用材料と同様に、有機溶剤に溶解等され、コーティング液として使用に供される。上記有機溶剤としては、MEK等の従来公知のものが用いられる。このようなコーティング液は、粘度を0.02〜0.10Pa・sにすることが、塗工性、ロール表面における粗さのばらつきに与える影響等の点で好ましい。
本発明の現像ロールは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
すなわち、まず、上記ベースゴム層2形成用材料の各成分をニーダー等の混練機で混練し、ベースゴム層2形成用組成物を作製する。ついで、円筒状金型の中空部に、金属製の軸体5をセットし、上記円筒状金型と軸体5との空隙部に、上記ベースゴム層2形成用組成物を注型した後、金型を蓋し、加熱して、ベースゴム層2形成用組成物を架橋させる。その後、上記円筒状金型から脱型することにより、軸体5の外周面にベースゴム層2を形成してなるベースロールを得る。
一方、上記中間層3形成用の各材料(粒子1を除く)を、有機溶剤とともに混合することにより溶解させて、溶液をつくる。そして、これに、上記粒子1を添加し混合することにより、中間層3形成用組成物(中間層3形成用溶液)を作製する。この場合、上記粒子1は硬質のものであったり架橋体であったりすることから、上記溶剤に溶解せず、分散状態となる。
また、上記表層4の形成用の各材料を、有機溶剤とともに混合し、表層4形成用組成物(表層4形成用溶液)を作製する。
そして、上記ベースロールにおけるベースゴム層2の外周面に、上記中間層3形成用溶液を塗工する。この塗工法は、特に制限するものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等の従来の方法が適用できる。そして、塗工後、乾燥および加熱処理(加硫処理、条件:120〜200℃×20〜90分)を行うことにより、上記中間層3形成用溶液中の溶剤の除去を行い、中間層3を形成する。そして、上記中間層3の外周面に、上記表層4形成用溶液を塗工する。この塗工法は、上記中間層3形成用溶液のときと同様に、従来の方法が適用できる。そして、塗工後、乾燥および加熱処理(加硫処理、条件:120〜200℃×20〜90分)を行うことにより、上記表層4形成用溶液中の溶剤の除去を行い、表層4を形成する。
このようにして、図1に示すような三層構造の現像ロールを作製することができる。この現像ロールの表面には、図2に示すように、上記中間層3中の粒子1により、所望の凹凸形状が形成されている。そして、ロール表面(表層4の表面)において、その表面粗さ(Ra)が0.6〜1.7μmとなるよう微細凹凸粗面に形成されると、好ましい。より好ましくは、表面粗さ(Ra)0.6〜1.0μmの範囲である。すなわち、表面粗さ(Ra)が0.6μm未満であると、上記表層4の表面が平滑すぎるため、トナーの供給が不足し、所望の画像濃度が出ないおそれがあり、逆に、表面粗さ(Ra)が1.7μmを超えると、上記表層4表面の凹凸粗面度合が大きすぎるため、複写画質にむらが生じるおそれがあるからである。なお、上記表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601−1982の表面粗さの定義と表示により示されるなかの中心線平均粗さ(Ra)のことである。
この現像ロールにおいて、ベースゴム層2の厚みは1〜10mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは2〜6mmである。また、中間層3の厚みは、粒子1の粒径との関係から、3〜30μmの範囲内の所望の厚みに設定され、特に好ましくは5〜20μmである。そして、表層4の厚みは、中間層3の凹凸にもとづく粗面形成の点から3〜30μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜20μmである。なお、上記中間層3の厚みは、図2の矢印Aが示す厚み、すなわち、上記粒子1によって凹凸状に形成された中間層3における凹部の厚みを指す。また、上記表層4の厚みも同様に、図2の矢印Bが示す厚み、すなわち、上記中間層3の凹凸に沿って形成された表層4における凹部の厚みを指す。そして、各層の厚みは、現像ロールから、表層4、中間層3およびベースゴム層2を含む断面試料を採取し、これの顕微鏡写真に基づき測定して得ることができる。
なお、本発明の現像ロールの例として、図1において三層構造のものをあげたが、軸体5の外周に形成される層は必ずしも三層である必要はなく、ロールの用途等に応じ、ベースゴム層2と中間層3との間に適宜の数の層を形成して三層以上としてもよい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔ベースロールの作製〕
まず、芯金として金属製の良導電性芯金(直径8mm)を準備し、上記芯金の外周面に接着剤を塗布した。ついで、円筒状金型の中空部に、上記芯金をセットし、円筒状金型と芯金との空隙部に、シリコーンゴムコンパウンドを注型した後、金型に蓋をし、これを加熱(180℃×5分)して、シリコーンゴムコンパウンドを加硫し、その後脱型して、ベースゴム層付き芯金(ベースロール)を作製した。
〔中間層形成用溶液の調製〕
H−NBR(ZP2020、ゼオン社製)100部と、フッ素グラフトアクリル(東亞合成社製、アロンGF−300)0.5部と、カーボンブラック20部と、架橋剤10部と、MEK400部とを混合して得られる溶液に、平均粒径10μmのPMMAからなる粒子(MX1000、綜研社製)23部を分散し、混合・攪拌することにより、中間層形成用溶液を調製した。
〔表層形成用溶液の調製〕
ウレタン樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製)100部と、カーボンブラック20部と、MEK400部とを混合することにより、表層形成用溶液を調製した。
〔現像ロールの作製〕
上記ベースロールの外周面に、上記中間層形成用溶液をロールコート法により塗工した後、乾燥および加熱処理を行ない、ベースゴム層の外周面に中間層を形成した。さらに、上記中間層の外周面に、上記表層形成用溶液をロールコート法により塗工した後、乾燥および加熱処理を行ない、中間層の外周面に表層を形成した。このようにして、三層構造の現像ロールを作製した(図1参照)。そして、このロールのベースゴム層の厚みは4mmであり、中間層の厚み(図2において矢印Aで示す厚み)は10μmであり、表層の厚み(図2において矢印Bで示す厚み)は10μmである。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルの含有量を1.0部とした。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルの含有量を5部とした。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルの含有量を10部とした。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、シリコーングラフトアクリル(東亞合成社製、GS30)5部を用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、シリコーングラフトアクリル(綜研社製、LSI−60)5部を用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(大日本インキ化学工業社製、メガファックF−178K)5部を用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、アクリルフッ素(綜研社製、LF700)5部を用いた。そして、それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、シリコーングラフトアクリル(綜研社製、LSI−60)5部を用い、さらに、中間層形成用溶液中のPMMA粒子の含有量を18部とした。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のPMMA粒子の含有量を13部とした。そして、中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルの含有量を5部とした。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のPMMA粒子の含有量を17部とした。そして、中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、シリコーングラフトアクリル(東亞合成社製、GS30)5部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のPMMA粒子の含有量を15部とした。そして、中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、アクリルフッ素(綜研社製、LF700)5部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
中間層形成用溶液中のPMMA粒子の含有量を15部とした。そして、中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルに代えて、アクリルフッ素シリコーン(東亞合成社製、アロンGF−150)5部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
〔比較例1〕
中間層形成用溶液中のフッ素グラフトアクリルを不含とした。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
〔比較例2〕
中間層形成用溶液中のPMMA粒子およびフッ素グラフトアクリルを不含とした(中間層の厚みは10μmで、凹凸はない)。そして、表層形成用溶液において、上記PMMA粒子10部を、その溶液中に分散し、表層形成を行った(表層の厚みは10μmで、凹凸を有する)。それ以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
このようにして得られた各現像ロールについて、下記の基準に従い、各特性の測定および評価を行った。これらの結果を後記の表1および表2に併せて示した。
〔表面粗度(Ra)〕
現像ロールにおける中間層表面粗度(μm)(表層形成前のロール表面の粗度Ra)および表層表面粗度(μm)(現像ロール表面の粗度Ra)を、サーフコム(東京精密社製)にて、JIS B 0601に準拠して測定した。なお、上記表面粗度(Ra)は、JIS B 0601−1982の表面粗さの定義と表示により示されるなかの中心線平均粗さ(算術平均粗さ)のことである。また、上記中間層表面粗度が表層表面に反映されている程度を見るため、その差であるΔRa(中間層表面粗度−表層表面粗度)を算出した。
〔ロール表面硬度〕
現像ロールの表面硬度(°)を、マイクロゴム硬度計MD−1型(高分子計器社製)を用いて測定した。
〔画像濃度〕
現像ロールをレーザービームプリンター(キヤノン社製のLBP5200)に組み込み、文字印刷を行った。そして、そのプリント画像の濃度に問題がなく、細線にいたるまで鮮明にプリントされたものを○と評価した。
〔粗度変化〕
現像ロールをレーザービームプリンター(キヤノン社製のLBP5200)に組み込み、8000枚画像プリントした後(耐久後)、現像ロール表面の粗度(Ra)を、サーフコム(東京精密社製)にて、JIS B 0601に準拠して測定した。そして、初期のロール表面粗度(Ra)に対する、上記耐久後の粗度(Ra)の変化量(差)を算出した。なお、本発明に要求される変化量は0.20μm以下である。
〔トナー搬送量変化〕
初期および上記耐久後の現像ロールを準備し、カートリッジに組み付けて、実機と同等の速さで空回転させることでロール表面にトナー層を形成し、そのロール表面のトナーをテープ転写し、これの単位面積当たりのトナー重量(mg/cm2 )をそれぞれ測定した。そして、初期のロールのトナー重量(トナー搬送量)に対し、耐久ロールによるトナー重量(トナー搬送量)の変化率が20%未満のものを○、20%以上のものを×と評価した。
〔耐トナーフィルミング〕
上記耐久後の現像ロールにおけるトナーフィルミングの発生の有無を目視で判定した。そして、トナーフィルミングが全く発生しなかったものを○、実使用において支障のない程度の若干のトナーフィルミングがみられたものを△、実使用において支障が生じる程度のトナーフィルミングが発生したものを×と評価した。
〔耐かぶり性〕
上記耐久後の現像ロールをレーザービームプリンター(キヤノン社製のLBP5200)に組み込んだまま、再度プリントを行い、そのプリント画像にかぶり(イメージのないところにトナーが飛んでいるもの)が発生しなかったものを○、かぶりが発生したものを×と評価した。
Figure 0005085172
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上記表の結果から、実施例品はいずれも、比較例1のものに比べ、中間層表面粗度と表層表面粗度との差が少ないことがわかる。これにより、実施例品(本願発明品)は、中間層に添加する粗度形成用粒子の添加量を減らしても、従来と同等レベルの表層表面粗度を得ることが可能となり、これによってロール表面硬度を小さくすることができ、耐久使用によるトナー劣化を抑える効果が得られやすい。また、実施例9〜13品は、初期のロール表面粗度(Ra)に対する、耐久使用後の粗度(Ra)の変化が小さく、耐久使用によるトナー搬送量の変化も小さく、耐トナーフィルミング、耐かぶり性の評価に優れ、長期にわたって高画質のプリント画像が得られることがわかる。
これに対して、中間層形成用組成物中に特定の表面改質剤(フッ素グラフトアクリル)を不含とした比較例1品は、所望の表面粗さを形成しているが、上述のように中間層表面粗度と表層表面粗度との差が大きいものである。そして、上記のように所望の表面粗さを形成しているため、初期においては優れた画像濃度が得られたが、初期のロール表面粗度に対する耐久使用後の粗度の変化が大きく、耐久使用によるトナー搬送量の変化も大きく、耐トナーフィルミング、耐かぶり性の評価に劣ることがわかる。一方、中間層中に表面粗さ形成用粒子を含ませず、表層中に表面粗さ形成用粒子を分散させることにより所望の表面粗さを形成した比較例2品も、初期においては優れた画像濃度が得られたが、初期のロール表面粗度に対する耐久使用後の粗度の変化が大きく、耐久使用によるトナー搬送量の変化も大きく、耐トナーフィルミング、耐かぶり性の評価に劣ることがわかる。
本発明の現像ロールの一例を示す断面図である。 本発明の現像ロールにおける、層形成状態の一例を示す要部拡大図である。 従来の現像ロールにおける、層形成状態の一例を示す要部拡大図である。
符号の説明
1 粒子
2 ベースゴム層
3 中間層
4 表層

Claims (5)

  1. 軸体と、その外周に形成されるベースゴム層と、上記ベースゴム層の外周に直接もしくは他の層を介して形成される中間層と、上記中間層の外周に形成される表層とを備えた現像ロールであって、上記中間層が、下記の(A)〜(C)成分を含有するポリマー組成物によって形成されていることを特徴とする現像ロール。
    (A)バインダーポリマー。
    (B)表面粗さ形成用粒子。
    (C)シリコーン系表面改質剤、フッ素系表面改質剤、アクリルフッ素系表面改質剤、アクリルシリコーン系表面改質剤およびアクリルフッ素シリコーン系表面改質剤からなる群から選ばれた少なくとも一つの表面改質剤。
  2. 上記(B)成分の粒子の平均粒径が、10〜20μmの範囲に設定されている請求項1記載の現像ロール。
  3. 上記中間層形成用組成物中における(C)成分の表面改質剤の割合が、(A)成分であるバインダーポリマー100重量部に対し、0.5〜10重量部の範囲に設定されている請求項1または2記載の現像ロール。
  4. 上記中間層形成用組成物中における(B)成分の粒子の割合が、(A)成分であるバインダーポリマー100重量部に対し、10〜40重量部の範囲に設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像ロール。
  5. 上記(A)成分のバインダーポリマーが、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルおよびN−メトキシメチル化ナイロンからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像ロール。
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