JP4003157B2 - チャイルドシート固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャイルドシートの取付けを容易にするとともに、不使用時の外観の向上を図り得るチャイルドシート固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
チャイルドシートは一般的にベルト等により車両用シートに取り付けられていた。しかし、車両用シートは、シートクッションの後端部に、シートバックの下端部をリクライニングアジャスタを介して回動可能に取り付けているため、チャイルドシートを車両用シートに緩まないようにベルト締めすることは、困難であった。
そこで、車両用シートのシートクッションの後端またはシートバックの下端のフレームにチャイルドシートを取り付けるためのアンカを設けることが行われている。このアンカは、シートクッションの後端またはシートバックの下端に形成された切欠きの内部に突出している。そして、このアンカの切欠き内部に突出した部分にチャイルドシートの被係止部を係止することにより、チャイルドシートを取り付けるようにしたチャイルドシートの固定構造が採用されてきている。
【0003】
図5は、この種のチャイルドシートの固定構造の一例を示したもので、車両用シート100は、フロア101に設けられたシートクッション102と、このシートクッション102の後部に下端部が回動可能に取り付けられたシートバック103とで構成されている。シートバック103の下端部には、切欠き穴104が形成されており、この切欠き穴104の内部に、シートバック103のフレーム105に固着されたアンカ106の一部を突出させている。
一方、チャイルドシート107の後部下端には、後方に向けて突出する被係止部108が設けられており、この被係止部108を切欠き穴104に挿入してアンカ106に係合させてチャイルドシート107を固定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によると、チャイルドシート107の不使用時には、切欠き穴104から内部が見え外観を損ねていた。
【0005】
本発明は上記課題を解決し、チャイルドシートの取付けを容易にするとともに、不使用時の外観の向上を図ることができるチャイルドシート固定構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、チャイルドシートに設けられた取付用部材を挿入するための開口部を、車両用シートのシートバックの下端部、またはシートクッションの後端部に設け、上記開口部に挿通した上記取付用部材を係止してチャイルドシートを固定する固定部を設けたチャイルドシート固定構造において、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の厚み方向に貫通穴を形成することにより上記開口部を設け、該開口部の前面に、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の表面を覆う表皮材と別体の表皮材を、上記開口部の両側の表皮材の内側にそれぞれ取り付け、該一対の表皮材は開口部の両側から開口部の中央に向けて互いに接近するように延出して一部が重なるようにし、さらに上記一対の表皮材のうち少なくとも長い方に、芯部材となる弾発力のある板材を縫い込み、該芯部材は他方の外表面の表皮材の端部付近まで延出させることにより、常時は上記開口部の前面を上記一対の表皮材により塞ぎ、チャイルドシート装着時は、上記取付用部材によって、上記一対の表皮材を押し開いて前記開口部の内部に前記取付用部材を挿入可能とし、チャイルドシートの取付用部材を開口部から引抜くと、前記表皮材が反発力により元の位置に戻り開口部を塞ぐことことにある。
また、本発明は、上記開口部を覆う一対の表皮材を、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の表面を覆う表皮材と同じ材質で形成したことにある。
さらに、本発明は、上記開口部を覆う一対の表皮材を、前記開口部の両側の表皮材に縫製により取り付けたことにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0008】
図1ないし図3において、車両用シート1は、乗員が腰掛けるシートクッション2と、乗員の背もたれとなるシートバック3とで構成されている。
チャイルドシート4は、チャイルドシート本体5の背面に一対の取付用部材6を突設したもので、この取付用部材6を介して上記車両用シート1に取り付けられるものである。
【0009】
車両用シート1には、シートバック3の下端部に、上記チャイルドシート4の取付用部材6を挿入する開口部7が一定間隔で形成されており、この開口部7の後部側には、取付用部材6が係合するストライカ8が配設されている。ストライカ8は、コ字形状の棒状部材を用いたもので、フロアあるいは、車体の構成部材に固定されている。
開口部7は、シートバック3の厚み方向に貫通穴を形成したもので、この開口部7の前面には、シートバック3の表面を覆う表皮材9と同じ材質で形成した表皮材9a、9bが互いに一部が重なるようにして設けられている。これら表皮材9a、9bは、開口部7の両側の表皮材9に縫製して取り付けられている。表皮材9a、9bの一方には、芯材となるプレート10が縫いこまれており、開口部7の前面を完全に覆うように形成されている。
【0010】
上記シートバック3の構造は、図4に示すようなクッション材11の背面に図示しない補強用のフレームを配設し、これらクッション材11およびフレームの周囲を表皮材9で覆ったものである。そして、このシートバック3の厚み方向に貫通穴を形成して上記開口部7を形成したもので、開口部7の内面には、表皮材9は張られていない。一方、シートクッション2もシートバック3と同様の構造に形成されている。
【0011】
上記構造の車両用シート1にチャイルドシート4を組付ける場合について説明する。
車両用シート1のシートバック3は、開口部7の前面を表皮材9a、9bによって覆われているので、チャイルドシート4の不使用時には、開口部7の内部が外から見えることはない。
次に、チャイルドシート4を使用する場合、チャイルドシート4をシートクッション2の上に載せるようにして取付用部材6を開口部7の内部に挿入する。このとき、チャイルドシート4の取付用部材6は、表皮材9a、9bを押し開くようにして、開口部7の内部に挿入される。
こうして、取付用部材6のロック部がストライカ8に係合してチャイルドシート4が固定される。チャイルドシート4は、取付用部材6のロック部がストライカ8に係合して固定されるので、車両用シート1に確実に固定される。
また、チャイルドシート4を外す場合には、取付用部材6のロック部をストライカ8から解除して、取付用部材6を開口部7から引き抜くと、表皮材9a、9bは復元力によって元の位置に戻り開口部7を塞ぐ。とくに、表皮材9a、9bの一方には、芯材となるプレート10が縫いこまれているので、開口部7を完全に塞ぐことができる。こうして、チャイルドシート4を車両用シート1から外すことができる。
【0012】
このように上記実施の形態によれば、チャイルドシート4の不使用時には、開口部7の内部が外から見えることはないので、外観の向上が図れ、かつ、開口部7の内部壁面に対する表皮材9を省略することができる。
また、チャイルドシート4の使用時には、チャイルドシート4をシートクッション2の上に載せるようにして取付用部材6を開口部7の内部に挿入する作業で、表皮材9a、9bを押し開くことができることから、取付用部材6を容易に開口部7の内部に挿入することができる。そして、チャイルドシート4を引き抜くことにより、表皮材9a、9bは反発力によって開口部7を閉じることができる。開口部7の内面には、表皮材9を張る必要がないので作業性の向上が図れるとともに、経済的である。
【0013】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、表皮材9a,9bは、表皮材9に縫製したが、表皮材9a,9bは接着などによって表皮材9に取り付けることもできる。また、表皮材9a,9bの一方に縫いつけた芯材としては樹脂プレートあるいは、弾発力のある板材を用いることができる。さらに、固定部としてストライカを用いたが車両用シートのフレームを固定部として用いることができる。また、開口部7はシートバック3に設けたが、シートクッション2の後端部を上方に立ち上げた構成の車両用シートの場合には、シートクッションに開口部を設けるようにしても良い。等、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることができることは、言うまでもない。
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によるチャイルドシート固定構造によれば次のような効果を奏することができる。
チャイルドシートに設けられた取付用部材を挿入するための開口部を、車両用シートのシートバックの下端部、またはシートクッションの後端部に設け、上記開口部に挿通した上記取付用部材を係止してチャイルドシートを固定する固定部を設けたチャイルドシート固定構造において、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の厚み方向に貫通穴を形成することにより上記開口部を設け、該開口部の前面に、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の表面を覆う表皮材と別体の表皮材を、上記開口部の両側の表皮材の内側にそれぞれ取り付け、該一対の表皮材は開口部の両側から開口部の中央に向けて互いに接近するように延出して一部が重なるようにし、さらに上記一対の表皮材のうち少なくとも長い方に、芯部材となる弾発力のある板材を縫い込み、該芯部材は他方の外表面の表皮材の端部付近まで延出させることにより、常時は上記開口部の前面を上記一対の表皮材により塞ぎ、チャイルドシート装着時は、上記取付用部材によって、上記一対の表皮材を押し開いて前記開口部の内部に前記取付用部材を挿入可能とし、チャイルドシートの取付用部材を開口部から引抜くと、前記表皮材が反発力により元の位置に戻り開口部を塞ぐので、チャイルドシートの取付けを容易にするとともに、不使用時の外観の向上を図ることができる。
チャイルドシート不使用時には、開口部の前面を覆う表皮材によって開口部の内部が見えないことから、外観の向上を図ることができる。
上記別体の表皮材の少なくとも一方に芯部材を取り付けたので、チャイルドシート不使用時には、表皮材によって開口部の前面を確実に覆うことから、外観の向上を図ることができる。
上記別体の表皮材の少なくとも一方に芯部材を設け、該芯部材を、他方の外表面の表皮材の端部付近まで延出させたので、芯部材によって別体の表皮材の撓みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチャイルドシート固定構造の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のX部の拡大図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図1のシートバックのクッション材を示す斜視図である。
【図5】従来のチャイルドシート固定構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 車両用シート
2 シートクッション
3 シートバック
4 チャイルドシート
5 チャイルドシート本体
6 取付用部材
7 開口部
8 ストライカ(固定部)
9、9a、9b 表皮材
10 プレート(芯部材)
11 クッション材
Claims (3)
- チャイルドシートに設けられた取付用部材を挿入するための開口部を、車両用シートのシートバックの下端部、またはシートクッションの後端部に設け、上記開口部に挿通した上記取付用部材を係止してチャイルドシートを固定する固定部を設けたチャイルドシート固定構造において、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の厚み方向に貫通穴を形成することにより上記開口部を設け、該開口部の前面に、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の表面を覆う表皮材と別体の表皮材を、上記開口部の両側の表皮材の内側にそれぞれ取り付け、該一対の表皮材は開口部の両側から開口部の中央に向けて互いに接近するように延出して一部が重なるようにし、さらに上記一対の表皮材のうち少なくとも長い方に、芯部材となる弾発力のある板材を縫い込み、該芯部材は他方の外表面の表皮材の端部付近まで延出させることにより、常時は上記開口部の前面を上記一対の表皮材により塞ぎ、チャイルドシート装着時は、上記取付用部材によって、上記一対の表皮材を押し開いて前記開口部の内部に前記取付用部材を挿入可能とし、チャイルドシートの取付用部材を開口部から引抜くと、前記表皮材が反発力により元の位置に戻り開口部を塞ぐことを特徴とするチャイルドシート固定構造。
- 上記開口部を覆う一対の表皮材を、上記シートバックの下端部またはシートクッションの後端部の表面を覆う表皮材と同じ材質で形成したことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート固定構造。
- 上記開口部を覆う一対の表皮材を、前記開口部の両側の表皮材に縫製により取り付けたことを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート固定構造。
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