JP5338142B2 - 車両用シートの表皮材の取付け構造 - Google Patents
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しかし典型的なパッド部材の外形形状は、乗員の着座性等を考慮して、着座位置となるシート中央が凹状である一方、着座位置周囲のシート側部が凸状である。このためパッド部材に表皮材を単に取付けるだけでは、凹状のシート中央にて表皮材が浮き上がり状となり(パッド部材と表皮材の間に隙間が生じ)、シートの着座感や見栄えが悪化することがあった。
すなわちこの公知技術では、ファスナ部材がシート中央(凹状部分)に配設されるように、一方のファスナ片をパッド部材に取付けるとともに、他方のファスナ片を表皮材裏面に取付ける。そしてパッド部材に表皮材を被せたのち、シート中央(凹状部分)のファスナ片同士を係着することで、当該部分における表皮材の浮き上がりを防止又は低減することができる。
また公知技術の構成では、シート外形をなすパッド部材がベース表皮(第一の表皮材)にて密着状に表装されている。このためファスナ部材を係脱して表皮材(第二の表皮材)を取外したのち、表装されたパッド部材に直接着座することもできる。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、より簡単な構成によって、パッド部材の外形形状に対応して着座感良く表皮材を取付けることにある。
そして上述の構成は極力簡単であることが望ましいことから、本発明では、パッド部材を被覆する第一の表皮材に、凹状部においてシート幅方向に延びてアーチ状に開口可能な帯状体を設けることとした。そして第二の表皮材の一端に設けた舌片状のフラップ部を帯状体の開口に挿設したのち、(第二の表皮材を引き締めつつ)フラップ部を折返し状とする。そしてフラップ部の折返し端部に設けた係止部を、第二の表皮材に設けた被係止部に係脱自在に係止めるとともに、前記一端とは異なる第二の表皮材の他端を、凹状部とは異なる位置で第一の表皮材に係脱自在に係止する構成とした。
このように本発明では、帯状体に対してフラップ部を折返し状に係止する構成(比較的簡単な構成)により、第二の表皮材を引き締めて凹状部に取付けることで、その浮き上がりを防止又は低減することができる。また本発明では、パッド部材の凹状部にファスナ片を設けることなく(シートの着座感を極力損なうことなく)表皮材を取付けることができる。
さらに帯状体のシート幅方向の寸法を、凹状部のシート幅方向の寸法よりも短く設定するとともに、折返し端部のシート幅方向の寸法を、凹状部のシート幅方向の寸法と同一に設定した。
こうすれば幅広な折返し端部によって、帯状体に対するフラップ部の抜外れを防止又は低減しつつ、第二の表皮材を位置決め固定することができる。また本発明では、幅広な折返し端部によって、第一の表皮材の帯状体が極力外部に露出しない(見栄えの良い)シート構成とすることができる。
本実施例の車両用シート2は、図1を参照して、シートクッション4とシートバック6とヘッドレスト9を備え、これら各構成が各々表皮材(4S,6S,9S)にて被覆されている。
そしてシートクッション4は、デザイン性向上の観点から、その表皮材(第二の表皮材4S)が着脱自在に取付けられており、他の表皮材に適宜着せ替え可能な構成である。そこで本実施例では、このシートクッション4を一例として、本実施例にかかる表皮材の取付け構造を説明することとする。
そしてシートクッション4(横長矩形状)は、図2及び図3を参照して、シート外形をなすパッド部材4Pと、第一の表皮材4BSと、第二の表皮材4S(詳細構成は後述)を有する。
このパッド部材4P(シートクッション4)は、乗員の着座性等を考慮して、着座位置となるシート中央に凹状部7が形成されており、着座位置周囲のシート両側部が凸状とされてサイドサポート部8,8が形成されている(図1を参照)。そしてパッド部材4P表面は、第一の表皮材4BSが密着状に(パッド部材の外形が現れる程度に密着して)表装されている(図3を参照)。
そして本実施例では、この表装されたパッド部材4Pの外形形状に対応して第二の表皮材4Sを着脱自在に取付けるのであるが、その取付け構造は極力簡単であることが望ましい。そこで本実施例では、後述する取付け構造により、パッド部材4Pに対して着座感良く第二の表皮材4Sを取付けることとしたものである。
本実施例に係る表皮材の取付け構造は、図2を参照して、第一の表皮材4BSの帯状体10と、第二の表皮材4S一端のフラップ部20を主構成として有する。そして同構造は、フラップ部20を折返し状に係止する構成(係止部26及び被係止部28)と、第二の表皮材4S他端を係止するファスナ部材30を備える。以下、各構成について詳述する。
本実施例の帯状体10は、典型的に柔軟な布製又は皮革製の横長矩形状の帯体である。
そして図2(a)を参照して、この帯状体10を、第一の表皮材4BSの後側位置(シートバック6の直前位置)において、凹状部7に対して橋渡し状に配置する。そして帯状体10両端を第一の表皮材4BSに縫着してアーチ状に開口可能とする(図2及び図3を参照)。なお帯状体10のシート幅方向の寸法(幅長さ寸法R1)は、上述の凹状部7の幅長さ寸法よりも若干小さい(短い)設定であることが望ましい。
そして第二の表皮材4S(典型的に皮革製)は、パッド部材4Pのシート着座面(凹状部7及びサイドサポート部8)、シート前面4F及びシート両側面4L,4Lを被覆する部材である。
すなわち第二の表皮材4Sは、図2(a)を参照して、シート着座面を被覆の第一カバー片4uと、シート前面を覆う第二カバー片4fと、シート両側面を覆う一対の第三カバー片4l,4lを備える。そして第一カバー片4uは、(パッド部材4Pの外形形状に対応して)その中央が若干凹状であるとともにシート両側が若干凸状である。そして第二の表皮材4Sの後端にはカバー片が設けられておらず開放状であることから、表装されたパッド部材4Pに対して第二の表皮材4Sを比較的容易に被せることができる。
そして第二の表皮材4Sの後端にはフラップ部20が設けられており、本実施例では、第一カバー片4u後端側が延設して舌片状のフラップ部20を構成する。
このフラップ部20(典型的に皮革製)は、上述の帯状体10の開口に挿通可能な折返し基部22と、この折返し基部22よりも幅広な折返し端部24を備える。
そして折返し端部24の幅長さ寸法R2を、帯状体10の幅長さ寸法R1よりも大きく設定する。なお折返し端部24の幅長さ寸法R2が、凹状部7の幅長さ寸法とほぼ同一寸法設定であると、フラップ部20を折返した際に凹状部7に収まり良く配置するため好ましい(図1を参照)。
そして第二の表皮材4Sには、フラップ部20を折返し状として係止する構成(第二の表皮材4S一端を係止する構成)として係止部26と被係止部28が配設されている。
これら係止部26及び被係止部28(いずれも横長シート状)は、面ファスナ構造を備え、そのいずれか一方が、表面に多数の微細なフックを備える雄型である。また前記一方とは異なる他方が、表面に多数の微細なループを備える雌型である。
そして係止部26及び被係止部28を、フラップ部20の折返し基部22を挟んで略等間隔で並列状に配置して第一の表皮材4S表面に取付ける。具体的には、フラップ部20の先端側(折返した時に第二の表皮材4Sと対面する側)に係止部26を橋渡し状に配設する。また第二の表皮材4S表側(フラップ部20の前側)に被係止部28を橋渡し状に配設する。そしてフラップ部20を折返して、フラップ部20の係止部26と、第二の表皮材4Sの被係止部28を互いに対面状として係止する構成とする(図3を参照)。
そしてファスナ部材30は、スライドファスナ構造を有し、一対のファスナ片32,34にて構成されている(図2(a)を参照)。
そして一方のファスナ片32(略U字状)が、第一の表皮材4BS(表装されたパッド部材4P)のシート前面4F及びシート両側面4L,4Lに連続状に取付けられている。また他方のファスナ片34(略U字状)が、第二の表皮材4Sの前面(第二カバー片4fの端部)及び両側面(第三カバー片4l,4lの端部)に連続状に取付けられている。
そして本実施例では、ファスナ部材30によって、第二の表皮材4S他端(第二カバー片4fの端部及び第三カバー片4l,4lの端部)を第一の表皮材4BSに係止する構成である。
そしてフラップ部20の折返しに前後して、第二の表皮材4Sの他端を、ファスナ片同士32,34を係着して、第一の表皮材4BSに係脱自在に係止する。具体的には、第二の表皮材4Sに設けた第二カバー片4fの端部及び第三カバー片4lの端部を、第一の表皮材4BSの対応するシート面に各々係脱自在に係止する(図1及び図3を参照)。
また本実施例では、ファスナ片を凹状部7(着座位置)に設ける必要がないので、シートの着座感を極力損なうことなく、第二の表皮材4Sを見栄え良く取付けることができる。特に本実施例では、第二の表皮材4Sにて、パッド部材4Pの主な意匠面(シート着座面、シート前面4F及びシート両側面4L,4L)を被覆する構成である。このため、例えばシート着座面のみを被覆する場合(特許文献1の[図1]を参照)と比較して、より好適にシートの意匠性を向上させることができる。
そして本実施例では、幅広な折返し端部24によって、帯状体10に対するフラップ部20の抜外れを防止又は低減しつつ、第二の表皮材4Sを位置決め固定することができる。さらに本実施例では、幅広な折返し端部24によって、第一の表皮材4Sの帯状体10が極力外部に露出しない(見栄えの良い)シート構成とすることができる。
(1)本実施例では、第一の表皮材4BSに対して別体の帯状体10を取付ける例を説明した。これとは異なり、第一の表皮材4BSに対して一対のスリットを平行に形成して、これら一対のスリットで囲まれた表皮片を帯状体10として使用する構成(第一の表皮材と帯状体を一体化する構成)としてもよい。
また本実施例では、第一の表皮材4BSに帯状体10を縫着(固定)する例を説明した。これとは異なり、例えば面ファスナによって、第一の表皮材4BSに帯状体10を着脱自在に取付ける構成としてもよい。
なお本実施例では、帯状体10を、第一の表皮材4BSの後側位置(シートバック6の直前位置)に配設する例を説明したが、帯状体の配設位置を限定する趣旨ではない。
なお本実施例では、フラップ部20と帯状体10を一対設ける例を説明したが、これらを複数対設けてもよい。
また本実施例では、シートクッション4のシート前面4F及びシート側面4L(凹状部7とは異なる位置)にファスナ部材30を配設する構成(より見栄え良く第二の表皮材4Sを取付ける構成)を説明したが、ファスナ部材30の配設位置を限定する趣旨ではない。
例えばファスナ部材30は、シートクッション4のシート前面4F、シート側面4L、シート後面及びシート裏面のいずれかに配設されておればよく、着座感を悪化させない限りサイドサポート部8に配設することもできる(いずれも「凹状部(着座位置)とは異なる位置」)。好ましくはファスナ部材30を、シート前面、シート両側面、シート後面又はシート裏面(いずれも「着座面とは異なる位置」)に配設する。こうすれば、着座感を極力悪化させることなく、第二の表皮材を第一の表皮材に取付けることができる。
(5)また本実施例では、専らシートクッション4に表皮材を取付ける例を説明したが、シートバック6やヘッドレスト9などの車両用シート2の各種構成に表皮材を着脱自在に取付ける際にも本実施例の構成を適用することができる。
4 シートクッション
4P パッド部材
4BS 第一の表皮材
4S 第二の表皮材
4u 第一カバー片
4l 第三カバー片
4f 第二カバー片
6 シートバック
7 凹状部
8 サイドサポート部
9 ヘッドレスト
10 帯状体
20 フラップ部
22 折返し基部
24 折返し端部
26 係止部
28 被係止部
30 ファスナ部材
Claims (1)
- 車両用シートのパッド部材に対して第一の表皮材を密着状に被覆したのち、着座位置をなす前記パッド部材の凹状部に対応して第二の表皮材を着脱自在に取付ける車両用シートの表皮材の取付け構造において、
前記第一の表皮材に、前記凹状部においてシート幅方向に延びてアーチ状に開口可能な帯状部を設け、
前記第二の表皮材の一端に設けた舌片状のフラップ部を、前記帯状部の開口に挿設して折返し状とし、前記フラップ部の折返し端部に設けた係止部を、前記第二の表皮材に設けた被係止部に係脱自在に係止めるとともに、
前記一端とは異なる第二の表皮材の他端を、前記凹状部とは異なる位置で、前記第一の表皮材に係脱自在に係止する構成とし、
前記フラップ部の折返し基部を前記帯状部に挿通状態として、前記折返し基部よりも幅広な折返し端部で前記帯状部を隠蔽する構成とし、
前記帯状体のシート幅方向の寸法を、前記凹状部のシート幅方向の寸法よりも短く設定するとともに、前記折返し端部のシート幅方向の寸法を、前記凹状部のシート幅方向の寸法と同一に設定した車両用シートの表皮材の取付け構造。
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