JP4002667B2 - 方向指示レバーのキャンセル機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリングハンドルの近傍に装着される方向指示レバーのキャンセル機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、方向指示レバーを中立位置から回動操作した場合、ウインカーが点滅し、方向指示レバーはその回動位置に位置決めされる。そして、ステアリングハンドルを回転した後、元の位置に逆回転させると、キャンセル機構により方向指示レバーが元の中立位置に復帰する。
【0003】
従来、このような方向指示レバーのキャンセル機構として図10に示すようなものが公知である。
【0004】
すなわち、このキャンセル機構では、方向指示レバー100を回動操作すると、ブラケット101を介してロック部材102が回動するようになっている。ロック部材102の先端は、ステアリングハンドルの軸部に一体的に設けたキャンセルカム103のキャンセル規制部104に当接し、前記方向指示レバー100は回動位置に維持されるようになっている。そして、ステアリングハンドルを所定角度以上回転操作すると、前記キャンセル規制部104の縁部にロック部材102の先端が当接する。したがって、ステアリングハンドルを逆回転操作すると、前記キャンセル規制部104の縁部がロック部材102の先端を押圧して回動させ、方向指示レバー100を元の位置に復帰できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記キャンセル機構では、ステアリングハンドルを元の位置に戻した場合、ロック部材102を元の位置に復帰させるための付勢力を付与する必要がある。従来、この付勢力は、ロック部材102の両側にそれぞれ連結したコイルスプリング105(板バネを使用してもよい。)により付与するようにしている。
【0006】
しかしながら、ロック部材102の両側から別々に付勢力を付与する場合、ロック部材102の中立位置を安定させ難いものである。すなわち、方向指示レバー100を回動させる前であっても、いずれか一方の回動方向に付勢力が作用する可能性がある。この場合、ロック部材102の中立位置を安定させようとすると、使用するコイルスプリング105や板バネに制約が生じやすく、コストアップを招来する。また、コイルスプリング105や板バネを装着するために、その両端をそれぞれ固定しなければならず、作業性が非常に悪い。
【0007】
そこで、本発明は、簡単かつ安価な構成で、ロック部材を安定して動作させることのできる方向指示レバーのキャンセル機構を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、方向指示レバーを回転自在に支持するスイッチ本体と、
前記方向指示レバーに一体的に連結され、該方向指示レバーの回動動作に従って中立位置から左右方向に回動するブラケットと、
該ブラケットに第一スプリングを介して連動するように設けたキャンセルプレートと、
該キャンセルプレートの回動動作に従って第二スプリングの付勢力に抗して摺動及び回動移動するロック部材と、
前記ステアリングハンドルと一体的に回動し、ロック部材の先端を押圧して該ロック部材を回動させ、キャンセルプレートを介してブラケットを中立位置に戻すキャンセル規制部を有するキャンセルカムとを備えた方向指示レバーのキャンセル機構において、
前記スイッチ本体に保持部を形成すると共に、
前記ロック部材の両側部に突起を形成する一方、
前記第二スプリングを、線材の中間部に前記ロック部材の各突起にそれぞれ係合する巻回部を形成した構成とすると共に、両端部を前記スイッチ本体の2箇所に設けた保持部にそれぞれ当接させることにより、前記ロック部材をキャンセルカム側に付勢するように設けたものである。
【0009】
前記第二スプリングを左右対称に形成すると、ロック部材に作用させる付勢力を均等にすることができ、動作状態を安定させることができる点で好ましい。
【0010】
前記ロック部材の両突起の周囲に凹部を形成し、前記第二スプリングの巻回部を前記凹部に配設すると共に、両巻回部の中間部分を前記凹部の深さよりも浅い位置に配設することにより、中間部分の厚みを大きくでき、それだけロック部材の強度を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0012】
図1は、図示しないステアリングハンドルの近傍に設けたコンビスイッチ1に、方向指示レバー2を備えたライティングスイッチ部材3と、ワイパースイッチ部材4とを装着した状態を示す。ここでは、方向指示レバー2のキャンセル機構に特徴があるため、以下、ワイパースイッチ部材4についての説明は省略し、キャンセル機構について詳述する。
【0013】
すなわち、本実施形態に係る方向指示レバー2のキャンセル機構は、ライティングスイッチ部材3のスイッチ本体5に設けられ、図2に示すように、大略、ブラケット6、キャンセルプレート7、第一スプリング8、ロック部材9、第二スプリング10及びキャンセルカム11で構成されている。
【0014】
ブラケット6は、図6に示すように、略扇形で、方向指示レバー2と共に支軸12を中心として前記スイッチ本体5に回動自在に取り付けられている。ブラケット6の上面両縁部には、前記支軸12を中心とする円弧状の突出部13がそれぞれ形成されている。また、ブラケット6には、支軸12とは反対側の部分が突出し、そこにはガイド用開口部14が形成されている。ガイド用開口部14の前記支軸12とは反対側の内縁には、その中央が支軸12に向かって山型に突出する押圧縁部15となっている(以下、押圧縁部15の中央突出部分を規制縁15a、その両側の最も窪んだ部分を規制解除縁15bという。)。
【0015】
キャンセルプレート7は、前記支軸12に回転自在に設けられている。キャンセルプレート7は、図7に示すように、前記支軸12を中心とする略扇形で、外周縁部には所定間隔で一対の駆動片16が形成されている。また、キャンセルプレート7の底面には、前記支軸12を中心とする円弧状のスプリング収容溝17と、このスプリング収容溝17の両側に形成され、前記ブラケット6の突出部13が摺動自在に位置する逃がし溝18とが形成されている。
【0016】
第一スプリング8は、前記キャンセルプレート7のスプリング収容溝17内に収容され、両端部がそれぞれ前記ブラケット6の突出部13に当接している。これにより、ブラケット6の回動動作が、突出部13から第一スプリング8を介してキャンセルプレート7に伝達されることになる。したがって、キャンセルプレート7に急激な負荷が作用したとしても、第一スプリング8によって緩和され、ブラケット6を損傷に至らしめることがない。
【0017】
ロック部材9は、図8に示すように、一端側に幅狭の当接部19を備え、その中央部下面には軸部20が突設されている。また、ロック部材9の底面には、軸部20の両側で側方に突出する部分に凹部21がそれぞれ形成されている。凹部21同士は凹部21の深さよりも浅く形成されたガイド溝22によって連結されている。また、凹部21には突起23がそれぞれ形成されている。前記軸部20は、その一方側が前記ブラケット6のガイド用開口部14に入り込み、他方の軸部20’がスイッチ本体5に形成した矩形孔24(図2参照)に回転かつ摺動自在に係合している。なお、この矩形孔24は、図2において紙面の手前側に位置している。
【0018】
第二スプリング10は、図9に示すように、弾性棒状体を中間部分の2箇所に巻回部25をそれぞれ形成した対称形状の簡単な構成である。第二スプリング10の弾性力は、材質、線径及び巻回部25での巻回数を選択することによって自由に設定可能である。また、第二スプリング10は、各巻回部25を前記ロック部材9の各突起23に外装されると共に、両端部をスイッチ本体5の矩形孔24の両側に突設した保持部26にそれぞれ圧接されるように取り付けられる。第二スプリング10は単一の弾性棒状体に巻回部25を形成しただけの構成であるため、前記保持部26への圧接力は簡単に両端部で同一とすることができる。これにより、ロック部材9を確実に中立位置に位置させることができると共に、倒れ等の不具合も発生することがない。
【0019】
前記キャンセルカム11は、図示しないステアリングハンドルの軸部20の外周に一体化されるリング状のもので、その外周縁部には所定角度の範囲で外径側に突出するキャンセル規制部27が形成されている。
【0020】
前記キャンセル機構の組立ては次のようにして行う。
【0021】
まず、方向指示レバー2にブラケット6を一体化する。一方、キャンセルプレート7のスプリング収容溝17に第一スプリング8を収容する。そして、ブラケット6とキャンセルプレート7とを一体化し、両部材6,7をスイッチ本体5に支軸12を中心として回動自在に取り付ける。
【0022】
次に、ロック部材9に第二スプリング10を取り付ける。この取付作業は、第二スプリング10の巻回部25をロック部材9の突起23に外装し、両巻回部25を連結する部分をガイド溝22内に位置させるだけでよい。そして、ロック部材9をスイッチ本体5に取り付ける。この場合、ロック部材9の一方の軸部20を前記ブラケット6のガイド用開口部14に貫通させ、他方の軸部20’をスイッチ本体5の上側(図1において紙面手前側)に形成した矩形孔24に位置させる。また、第二スプリング10の両端部がスイッチ本体5の保持部26に圧接するように取り付ける。これだけの作業により、ロック部材9は第二スプリング10によって当接部側に付勢される。
【0023】
前記キャンセル機構の動作は次の通りである。
【0024】
方向指示レバー2が図2に示す中立位置に位置する場合、ブラケット6も中立位置に位置する。ロック部材9は、その軸部20をブラケット6の押圧縁部15の規制縁15aに押圧され、第二スプリング10の付勢力に抗して図2中右側に位置決めされる。この状態では、ロック部材9の当接部19はキャンセルカム11のキャンセル規制部27から離間している。
【0025】
ここで、方向指示レバー2を、例えば、図2中時計回り方向に回動させると、図3に示すように、ブラケット6(突出部13)及び第一スプリング8を介してキャンセルプレート7も支軸12を中心として時計回り方向に回動する。これにより、ブラケット6のガイド用開口部14が移動し、第二スプリング10の付勢力に従ってロック部材9の軸部20が押圧縁部15の規制解除縁15bまで移動する。
【0026】
ステアリングハンドルを回転操作する前の状態では、図3に示すように、キャンセルカム11のキャンセル規制部27がロック部材9の当接部19の前方に位置し、その移動を阻止する。したがって、ロック部材9は、軸部20を中心として時計回り方向に回動し、当接部19は前記キャンセル規制部27に圧接する方向に作用する。しかし、キャンセルプレート7の時計回り方向の回動力によってロック部材9は中立位置に戻され、この中立位置でキャンセル規制部27に当接している。なお、前記方向指示レバー2は図示しない節度機構により回動位置に位置規制される。
【0027】
続いて、ステアリングハンドルを回転操作すると、キャンセルカム11のキャンセル規制部27がロック部材9の当接部19から離間する。これにより、ロック部材9は第二スプリング10の付勢力により、図4に示すように左方向に突出し、当接部19がキャンセル規制部27を乗り越える。したがって、ステアリングハンドルを元の位置に回転操作し始めると、図5に示すように、キャンセル規制部27の縁部がロック部材9の当接部19を押し上げる。ロック部材9は、軸部20を中心として時計回り方向に回動し、キャンセルプレート7の駆動片16を押圧し、キャンセルプレート7を支軸12を中心として反時計回り方向に回動させる。これにより、キャンセルプレート7、第一スプリング8及びブラケット6(突出部13)を介して方向指示レバー2が元の中立位置に回動する。
【0028】
ところで、前記各部材の回動動作中、第二スプリング10は、その巻回部25をロック部材9の突起23に保持されると共に、その中間部分をガイド溝22にガイドされる。したがって、各部材の動作中に第二スプリング10が外れたりする心配はない。また、方向指示レバー2を中立位置に位置させた状態では、第二スプリング10の付勢力が均等に作用し、安定した状態を維持することができる。さらに、たとえ急激な動作が行われたとしても、第二スプリング10の巻回部25によって吸収されるので、いずれの部材も損傷に至ることはない。なお、例えば右側に方向指示レバー2を作動させた状態で、強制的に左側にハンドルを操作する等の異常な操作がされた場合、ロック部材9が強制的に時計回り方向に回動するが、図3に示すようにキャンセルプレート7のみが反時計回り方向に回動させられるので、破壊することはない。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る方向指示レバーのキャンセル機構によれば、第二スプリングを、棒状で、その中間位置に2つの巻回部を有する単純なものとし、この巻回部をロック部材の突起にそれぞれ係合すると共に、両端部を保持部にそれぞれ当接させる簡単な構成としたので、安価に製作できる上、取付作業が非常に簡単となり、短時間で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンビスイッチに方向指示レバーを備えたライティングスイッチ部材と、ワイパースイッチ部材とを装着した状態を示す正面断面図である。
【図2】 図1のキャンセル機構を示す平面図である。
【図3】 図2の状態から方向指示レバーを回動させた状態を示す平面図である。
【図4】 図3に示す状態からステアリングハンドルを回転させた状態を示す平面図である。
【図5】 図4に示す状態からステアリングハンドルを元の位置に回転させ始めた状態を示す平面図である。
【図6】 図1のブラケットを示す平面図である。
【図7】 図1のキャンセルレバーを示す平面図(a)及びそのA―A線断面図(b)である。
【図8】 図1のロック部材を示す平面図(a)、側面図(b)及び底面図(c)である。
【図9】 図1の第二スプリングを示す斜視図である。
【図10】 従来例に係る方向指示レバーのキャンセル機構を示す平面図である。
【符号の説明】
1:コンビスイッチ
2:方向指示レバー
3:ライティングスイッチ部材
5:スイッチ本体
6:ブラケット
7:キャンセルプレート
8:第一スプリング
9:ロック部材
10:第二スプリング
11:キャンセルカム
12:支軸
14:ガイド用開口部
20:軸部
21:凹部
22:ガイド溝
23:突起
25:巻回部
26:保持部
27:キャンセル規制部

Claims (3)

  1. 方向指示レバーを回転自在に支持するスイッチ本体と、
    前記方向指示レバーに一体的に連結され、該方向指示レバーの回動動作に従って中立位置から左右方向に回動するブラケットと、
    該ブラケットに第一スプリングを介して連動するように設けたキャンセルプレートと、
    該キャンセルプレートの回動動作に従って第二スプリングの付勢力に抗して摺動及び回動移動するロック部材と、
    前記ステアリングハンドルと一体的に回動し、ロック部材の先端を押圧して該ロック部材を回動させ、キャンセルプレートを介してブラケットを中立位置に戻すキャンセル規制部を有するキャンセルカムとを備えた方向指示レバーのキャンセル機構において、
    前記スイッチ本体に保持部を形成すると共に、
    前記ロック部材の両側部に突起を形成する一方、
    前記第二スプリングを、線材の中間部に前記ロック部材の各突起にそれぞれ係合する巻回部を形成した構成とすると共に、両端部を前記スイッチ本体の2箇所に設けた保持部にそれぞれ当接させることにより、前記ロック部材をキャンセルカム側に付勢するように設けたことを特徴とする方向指示レバーのキャンセル機構。
  2. 前記第二スプリングを対称形状としたことを特徴とする請求項1に記載の方向指示レバーのキャンセル機構。
  3. 前記ロック部材の両突起の周囲に凹部を形成し、前記第二スプリングの巻回部を前記凹部に配設すると共に、両巻回部の中間部分を前記凹部の深さよりも浅い位置に配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の方向指示レバーのキャンセル機構。
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