JP4002395B2 - オーバーランニングカップリング組立体及びその製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
〔技術分野〕
本発明は、例えば動力伝達装置のような機構に用いられるオーバーランニングカップリング（技術分野によっては「一方向連結器」とか「一方向クラッチ」と呼ばれる場合がある）及びこれらの製造方法に関する。
【０００２】
〔発明の背景〕
本発明の改良物は、自動車の動力伝達系統のトルクコンバータ変速装置のためのステータ組立体に特に適している。しかしながら、本発明は、例えば、トルク伝達流路中にオーバーランニングカップリングを必要とするトルク移送（又はトルク分配）装置及びチェーン駆動装置のような他の用途にも使用できる。
【０００３】
トルクコンバータ変速装置は、固定スリーブシャフトに固定されたステータハブ及び流体動力学的タービンの環状流出口部分と流体動力学的インペラの環状流入口部分との間に位置したステータ羽根を備えるステータ組立体を有する。ステータの羽根は、インペラの入口部分への環状流の流入に先立って、タービンの出口部分のところで環状流の速度ベクトルの接線方向成分の方向を変化させる。これにより、流体動力学比較的コンバータがエンジン出力を動力伝達装置の多歯数比型歯車装置の動力入力要素に送るときにトルクの増倍が可能になる。
【０００４】
自動車の変速装置分野では、固定スリーブシャフトにスプライン連結された内レース及びステータ組立体の羽根付き部分によって支持された外レースを有するオーバーランニングカップリングを受け入れるようになったステータハブを備える流体動力学的トルクコンバータ変速装置のステータ組立体を設計することが行われている。外レースは代表的には、オーバーランニングカップリングローラと係合可能な複数のカム面を備えるようなカム設計が施されている。オーバーランニングカップリングにより、トルクコンバータがトルク増倍モードにあるとき、ステータ羽根からステータスリーブシャフトへのリアクショントルクの伝達が可能になる。ローラ及びローラと相互作用するカム面は、トルクコンバータがカップリングモードにあるときに、コンバータの羽根付き部分のフリーホイーリング運動を可能にする。
【０００５】
従来型オーバーランニングステータカップリングの外レースは、ステータハブに設けられている中央開口部内にキー止め又はスプライン連結されている。これは、ステータハブに機械加工により設けられたスナップリング溝内に配置されたスナップリングにより定位置に保持されている。
【０００６】
流体動力学的トルクコンバータの従来型ステータ構造体は代表的には、アルミニウム合金又はフェノール樹脂で作られている。これらはダイカスト作業又は射出成形作業で作られ、ステータ羽根の内シュラウドと外シュラウド及びステータ羽根の一方の端壁は、単体としての鋳物又は成形品から成る。かかる構造では、ステータハブにキー溝又は内スプライン歯用空間を形成しなければならない。ステータハブ内に設けられているオーバーランニングカップリングの外レースは、オーバーランニングカップリングの外レースをステータハブ内に係止できるようこれと協働するキー又はスプライン歯構造部材を有している。変形例として、キー溝又はスプライン歯用空間をカップリングの外レースに形成し、これと協働するキー又はスプライン歯構造をハブに形成してもよい。かかる構造のオーバーランニングカップリング組立体は、コンバータのハブ内に固定されていて、スナップリング等によって定位置に保持されたスペーサにより定位置に保持されている。
【０００７】
かかる従来設計では代表的には、空間の経済性を欠いている。というのは、これら設計は望ましくないほどの軸方向長さを有しているからである。また、これら従来設計では、比較的多数の部品及び製造の際の多くの機械加工が必要となる。さらに、これら設計では、ステータハブの仕上げ機械加工を必要とするリテーナ溝を有するリテーナリング等が必要になる。
【０００８】
本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の設計変更例及び変形例を想到できことは理解されよう。
【０００９】
〔発明の概要〕
ステータハブは、アルミニウム合金の鋳物又はフェノール成形品から成る。ハブとステータ羽根の組立体は、ダイカスト作業又は射出成形作業によって形成される。
【００１０】
本発明のカップリング組立体を、トルクコンバータステータを含む種々の用途に用いることができる。本発明の一実施形態を開示する目的で、トルクコンバータステータカップリングについて説明する。しかしながら、本発明はトルクコンバータの設計に限定されない。
【００１１】
本発明の目的は、ステータハブ内に鋳造又は成形されてステータハブの一体部品となるようになったプレーナ形カップリング組立体のポケット付きプレート部分を提供することにある。ポケット付きプレートは好ましくは、粉末金属で作られ、これは単純化され且つ費用効果のよい鋳造作業に適している。ストラット用ポケットが、ポケット付きプレートの粉末金属鋳造作業中に形成される。
【００１２】
本発明のもう一つの目的は、組立て作業中、リテーナリング等によって定位置に保持できるようポケット付きプレートのすぐ隣に位置した状態でステータハブ内に設けられるノッチ付きプレートを提供することにある。これも粉末金属で作られるのがよい。ステータハブは、ノッチ付きプレートに対して回転自在である。ノッチ付きプレートの内側縁部は、固定ステータトルクシャフトに形成された外スプラインと噛み合う内スプライン歯を有している。
【００１３】
本発明のポケット付きプレートのポケットは、同時係属特許出願で説明されているようにトルク伝達ストラットを受け入れる。ストラットは、ストラット用スプリングにより押圧されてノッチ付きプレートに形成されているノッチに係合し、それによりステータ羽根から固定スリーブシャフトへの一方向のトルク伝達を可能にする。ステータ羽根のフリーホイーリング運動がトルク逆転の際に生じる。というのは、トルクコンバータトルク増倍モードとカップリングモードとの間で移行が生じるからである。
【００１４】
本発明の目的の達成のために、カップリング組立体は、固定ステータシャフトを通過させる中央開口部を有するステータハブと併用されるようになっている。ポケット付きプレートが、ステータ組立体の一部としてステータに設けられている。ハブ内に位置したノッチ付きプレートが、ポケット付きプレートに対してフェースとフェースを合わせた関係で設けられている。
【００１５】
ポケット付きプレートは、ステータ組立体の軸線の周りに角度間隔を置いた状態で配置されたストラット用ポケットを有する。ノッチ付きプレートは、ストラット用ポケットに対して並置関係をなして設けられたノッチ凹部を有する。
【００１６】
ストラット用ポケット内に設けられたトルク伝達ストラットは、ストラット用ポケット内にその一方の縁部のところで回動自在に固定される共に他方のストラット縁部が、対応関係にあるノッチ凹部に係合して一方向のトルク伝達を可能にする。
【００１７】
本発明の変形実施形態では、ポケット付きプレートではなく、ノッチ付きプレートを鋳造又は成形組立体の一部としてハブと一体に形成してもよい。この場合、ノッチ付きプレートではなく、ポケット付きプレートをトルクシャフトにキー止め又はスプライン連結するのがよい。
【００１８】
トルクコンバータを備えていない本発明の他の使用環境及び他の用途では、トルクコンバータの一部をなさないカップリング本体は、ポケット付きプレート及びノッチ付きプレートを包囲するのに用いられる。
【００１９】
〔発明の実施の形態〕
図１には、従来型トルクコンバータが示されている。エンジンクランクシャフト１０が、全体を符号１４で示す流体動力学的トルクコンバータのインペラシェル１２に駆動自在に連結されている。この連結は、ドライブプレート１５によって行われている。インペラシェルは羽根付きインペラ１６の一部をなし、この羽根付きインペラは、タービン１８により部分的に構成されるトルクコンバータの環状又はドーナッツ形流れ回路中に配置されている。羽根付きステータ２０が、タービンの流れ出口部分とインペラの流れ入口部分との間に位置している。トルクコンバータのロックアップクラッチ（図示せず）が、図１に符号２２のところに想像線で示されるように配置されている。このクラッチは、これを入れると、インペラとタービンを連結する。
【００２０】
タービン１８は、タービンのスリーブシャフト２６にスプライン連結されたタービンハブ２４を有している。遊星歯車装置（図示せず）のトルク入力要素は、タービンスリーブシャフトに駆動自在に連結されている。
【００２１】
従来型設計のオーバーランニングカップリング又は一方向クラッチ２８が、ステータ２０のハブ３０内に設けられている。このオーバーランニングカップリングは、図２及び図３にも示されている内レース３２を有し、この内レースは、変速装置ハウジングに固定され又はその一部をなす固定ステータスリーブシャフト３４にスプライン連結されている。
【００２２】
図２は、図１のステータ、タービン及びインペラの分解等角図である。これらコンバータ要素の各々は、羽根付きの環状又はドーナッツ形流体流れ通路を有している。ステータの通路は、流体がタービンの流れ出口部分を出るとき、及びインペラの流れ入口部分に入る時に接線方向の流体流れ速度ベクトルを変化させる。
【００２３】
ステータ２０は、従来型オーバーランニングカップリング２８の外レース４２に設けられた軸方向キー溝又は歯用空間４０内に受け入れられるようになった内スプライン歯又はキー３８を備えたハブ３６を有している。
【００２４】
図３ａの略図で分かるように、従来型オーバーランニングカップリング２８は、一連のカム凹部４４を角度間隔を置いた位置に有している。各凹部は、カップリングローラ４６を受け入れている。ローラスプリング４８は各ローラ４６を押圧してこれを、これと関連した凹部４４によって構成されるカム面にカム作用を発揮するような係合状態にしてローラが内レース３２の周囲と楔係合状態をなすようになっている。かくして、内レースに対する外レースのフリーホイーリング運動が一方向に生じることができるが、相対的な回転は、ステータ２０に逆方向のトルクが加わっても楔ローラによって阻止される。
【００２５】
従来型オーバーランニングカップリングの図３ｂの略図では、内レース及び外レースは、それぞれ符号３２′及び４２′で示されており、これらは図３ａの対応の部品につけられた符号に一致している。外レース４２′を内レース３２′に跨ぐようにして取り付けるためにストラドルベヤリング５２，５４が用いられている。図３ａの略図の場合と同様に、外レース４２′のローラ用凹部内にはクラッチローラ４６′が納められている。
【００２６】
図３は、中央開口部５６を備えたステータハブ４２″を有する羽根付きステータの別の従来構造を示している。ハブ４２″は、従来型オーバランニングローラカップリング組立体の外レース５８にスプライン連結され又はキー止めされている。カップリング組立体の内レースは、符号６０で示されている。外レース５８は、エンドリング６２，６４を備えたケージ組立体によって内レース６０に対して案内され、これらエンドリングは、図３ｂの実施形態のベアリング５２，５４に相当するパイロットベアリングとして役立つ。スナップリング６６，６８が、カップリング組立体をステータハブ内で軸方向にしっかりと保持している。
【００２７】
本発明の改良物では、図２、図３、図３ａ及び図３ｂの従来構造の場合のように多数の構成部品を備える必要がなくなる。また、これにより、ステータハブの軸方向長さを減少させることができる。
【００２８】
本発明の改良型ステータ組立体における部品数の減少は、製造費の減少及び組立て時間の短縮にも寄与する。部品数の減少により、製造の際の機械加工作業及び機械加工時間の相当な減少という特徴が更に得られる。
【００２９】
図４で分かるように、本発明の一実施形態の羽根付きステータは、ステータハブ７２の軸線の周りに角度間隔を置いて配置されたステータ羽根７０を有している。羽根７０、羽根の外縁部を包囲するステータシュラウド７４及びステータハブは、一体鋳造品又は一体成形品として形成できる。羽根７０、シュラウド７４及びハブ７２を形成するのに同一の材料を用いることができる。羽根、シュラウド及びハブの構成材料は例えば、鋳造アルミニウム合金又は射出成形フェノール樹脂であるのがよい。
【００３０】
本発明のステータ組立体のハブ７２は、図４で分かるように、環状凹部７６を有している。図４で分かるように、環状ポケット付きプレート７８が凹部７６内に納められている。環状ポケット付きプレート７８は、もしステータ組立体について選定された材料が鋳造アルミニウムであれば鋳造作業の一部として、又は、ステータ組立体について選定された材料がフェノール樹脂であれば射出成形作業の一部として凹部７６内でステータハブ７２に鋳造又は成形されるのがよい。ポケット付きプレート７８はそれ自体、粉末金属製の部品であるのがよい。
【００３１】
ポケット付きプレート７８を形成するための粉末金属鋳造作業中、ポケット凹部８０（図５にも示されている）が、角度間隔を置いた位置に形成される。各ポケットは、図７、図７ａ及び図７ｂに全体を符号８２で示すストラットを受け入れている。
【００３２】
図４に示すように、ノッチ付きプレート８４が、ステータハブ７２に設けられた環状開口部８６内に位置している。ノッチ付きプレート８４は、ポケット付きプレート７８の軸方向フェース９０に対して並置近接関係に位置したエンドフェース８８を有している。
【００３３】
ステータハブ７２は、ノッチ付きプレート８４に対して回転自在であるが、ノッチ付きプレート８４は、符号９２で示すようなスナップリング又は他の適当なリテーナ又は保持装置によって軸方向にしっかりと保持されている。ステータハブ７２とノッチ付きプレート８４との間及びポケット付きプレート７８のフェース８８，９０相互間には適当な隙間が形成されている。
【００３４】
ノッチ付きプレート８４は、内スプライン歯９４が形成されている中央開口部を備えている。これらの歯は、図１を参照して説明したような固定ステータシャフトとのスプライン連結部を構成する。
【００３５】
図４に示す本発明の実施形態は、ハブの一体部分として鋳造又は成形されたポケット付きプレートを有しているが、これに代えて、ノッチ付きプレートをハブ内に鋳造又は成形すると共にポケット付きプレートを固定ステータシャフトに固定してもよい。これらプレートの機能は同一である。なお、これらプレートの位置は互換性がある。
【００３６】
図５は、図４のステータハブの一部の部分断面等角図である。図５に示すように、ポケット付きプレート７８のフェース９０には、複数のポケット８０が形成されている。ポケット付きプレート７８は環状であり、溝又はセレーション９８が設けられた内側縁部９６を有している。ポケット付きプレート７８をステータハブ内へ鋳造又は成形するとき、溝又はセレーション９８は、ポケット付きプレートを定位置に係止するのに役立ち、それによりポケット付きプレートとハブが、一体で単一の（単体としての）組立部品として働くことができるようになる。
【００３７】
図５ａは、図５のポケット付きプレート７８に相当する改造型環状ポケット付きプレート７８′を有する本発明の実施形態を示している。ポケット付きプレート７８′は、２つの角度間隔を置いたポケット凹部８０′相互間の各領域のところの半径方向の厚みが減少している。半径方向の厚みを減少させることにより、符号１１４，１１６のところに示すように弧状の空間が形成されている。このようにポケット付きプレート７８′の形状を不連続にすることにより、鋳造工程中における材料の量を減少させることができると共に耐久性又は性能に悪影響を及ぼさないで組立体の重さを減少させることができる。
【００３８】
図６は、ポケット付きプレートに代えて複数のポケット付き部材又はセグメント１００が用いられている本発明の別の実施形態を示している。各セグメントにはストラット用ポケット１０２が形成され、このストラット用ポケットは、図４及び図５のポケット付きプレート７８に形成されたポケット８０に相当すると共にこれと類似した形状になっている。図４及び図５に示す実施形態のポケット付きプレート７８の場合と同様に、図６に示す実施形態のポケット付きセグメント１００は好ましくは、粉末金属で作られている。これらポケット付きセグメントは、アルミニウム合金の鋳造作業に、或いはもしフェノール樹脂がステータ組立体の材料として選定されていれば射出成形作業中にステータハブ７２内へ鋳造又は成形される。
【００３９】
セグメントには、ポケットではなく切欠きを形成してもよい。この場合、ポケット付きプレートを、セグメントに隣接した状態で、ノッチ付きプレートではなく固定ステータシャフトに固定する。
【００４０】
図７（これは、図４の７−７線矢視部分断面図である）は、ストラット８２を示している。ストラット８２はポケット８０内に納められている。ストラットの細部は、図７ａ及び図７ｂで分かる。ストラット８２の一方の縁部１０４は、ポケット８０の一端部に回動自在に係合している。スプリング用凹部１０８内に位置したスプリング１０６が、ストラット８２を図７で分かるように上方に押圧して、各ストラットがノッチ付きプレート８４に形成されたノッチ１１０に入ることができるようになっている。各スプリング用凹部１０８は、ストラット用ポケット８０の一部をなしている。ストラット８２の他方の縁部１１２は、図７で分かるように、ノッチ１１０の一方の縁部に係合し、それによりトルクをノッチ付きプレートとポケット付きプレートとの間で伝達できるようになっている。図７に示す種類のプレーナ形一方向クラッチ組立体の作動の説明については、同時係属特許出願を参照されたい。なおかかる特許出願の内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
【００４１】
図８、図８ａ及び図９は、フラット（平らな）リング１１８を有する本発明の実施形態を示しており、このフラットリングは、図５ａの実施形態の環状ポケット付きプレート７８′に相当する環状ポケット付きプレート７８″に形成された環状凹部７６″（図９で最もよく分かる）の底部に設けられている。
【００４２】
フラットリング１１８（これは好ましくは、プレス加工炭素鋼で作られる）は、複数のリアクション肩又はタング１２０を有し、これらタングは好ましくは、リング１１８のプレス加工中、プレス加工工具によりリング１１８の環状本体からプレス加工又は打抜き加工される。これらタングは、ポケット付きプレートの軸線の周りに角度間隔を置いて位置し、各ポケット８０″の一縁部のところにはタングが一つずつ配置されている。ポケット付きプレートは、タング１２０を受け入れる開口部１２４を備えている。
【００４３】
各ストラッド１２２の一方の縁部は、図８で最もよく分かるように隣接したタング１２０に係合している。
【００４４】
スプリング１０６′（これは、図７の実施形態のスプリング１０６に相当する）が、各ストラット１２２の下に設けられていて、ストラットの反対側の縁部を常時押圧してこれをノッチ付きプレート（図示せず）に設けられた対応のノッチに係合させるようになっており、このノッチ付きプレートは、図７の実施形態のノッチ付きプレート８４に相当する。
【００４５】
タング１２０（これは、プレス加工リング１１８の一体部分をなす）は、カップリング組立体の強度及び耐久性を高める。
【００４６】
図８ａ（これは、図８のプレス加工リング１１８の平面図である）は、プレス加工中、タング１２０を打ち抜いた時にリング１１８に形成される開口部１２４を示している。
【００４７】
図５ａ、図８、図８ａ及び図９に示す構造体の構成要素を識別するのに用いられた符号は、図５、図７、図７ａ及び図７ｂの対応の構成要素を識別するのに用いられた符号と同一であるが、プライム記号がつけてある。
【００４８】
図９は、図５ａのポケット付きプレートに対応するポケット付きプレートを示しているが、図８、図８ａ及び図９で分かるようなプレス加工リング及びリアクションタングを、図５に符号７８のところに示すタイプの連続環状ポケット付きプレートと併用できる。
【００４９】
本発明をトルクコンバータハブ組立体の一部として開示したが、本発明を一方向トルク伝達方式が必要とされる歯車ハブ又はスプロケットハブにも利用できる。さらに、本発明は、自動車の動力伝達装置以外のトルク伝達又は分配機構に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図１】 インペラと、タービンと、従来型オーバーランニングカップリングを備えたステータハブを有するステータとから成る従来型流体動力学的トルクコンバータを示す略図である。
【図２】 図１のトルクコンバータの断面図に示す種類のインペラ及びタービンと共にステータ及びステータのためのオーバーランニングカップリングを示す分解等角図である。
【図３】 図１の断面図に示す種類のトルクコンバータのためのステータハブ内に組み込まれたローラカップリング組立体の略図である。
【図３ａ】 トルクコンバータハブに用いることができる従来型オーバーランニングローラカップリングの概略断面図である。
【図４】 図３の断面図と全体として類似した断面図であり、本発明の改良型オーバーランニングカップリング組立体を示す図である。
【図５】 一体ハブ組立体の一部としてステータハブ内に成形又は鋳造された粉末金属製ポケット付きプレートを示す部分断面等角図である。
【図５ａ】 図５に類似した等角図であって、図５の組立体の一部を形成するポケット付きプレートの設計変更例を示す図である。
【図６】 図５に類似した図であるが、環状ポケット付きプレートに代えて、一体組立体の一部としてトルクコンバータステータハブ内に成形又は鋳造されたポケット部材を用いている改造型クラッチ組立体を示す図である。
【図７】 図４の７−７線矢視断面図であり、ポケット付きプレートのポケット内に配置されたストラットの構造の細部を示す図である。
【図７ａ】 ポケット付きプレートも各ポケット内に設けられたストラットの平面図である。
【図７ｂ】 図７ａの７ｂ−７ｂ線に沿って見た図７ａに示すストラットの端面図である。
【図８】 ストラット用リアクションタングが形成されているリングを含む設計を改造したポケットプレートの部分端面図である。
【図８ａ】 図８の組立体の一部をなすリング及びタングの平面図である。
【図９】 図８の改造型ポケット付きプレート及びリング組立体を示す部分断面等角図である。

Claims (8)

1. ステータハブ及びステータハブから半径方向に延びるステータ羽根を有するステータ組立体であって、
   ステータハブは、中央開口部及び前記中央開口部を貫通して延びる固定ステータシャフトを有し、
   環状のカップリングポケット付きプレートを、前記シャフトに対して同心状に配置した状態で前記ステータハブと一体に設け、
   前記ポケット付きプレート、前記ステータハブ、及び、前記ステータ羽根は、共通の中央軸線を有すると共に前記ポケット付きプレートを含む一体で単一の鋳造組立体を形成し、
   ノッチ付きプレートを、前記ポケット付きプレートに対してフェースとフェースを合わせた関係をなして前記ハブ内に設けると共に前記ステータシャフトにスプライン連結し、
   前記カップリングポケット付きプレートは、外周面、内周面、及び、半径方向外側面を備え、
   前記ステータハブは、前記ポケット付きプレートを受け入れると共に前記ポケット付きプレートの外周面、内周面、及び、半径方向外側面と接触する環状凹部を備え、
   ノッチ付きプレートを固定するためのリテーナが前記ノッチ付きプレートと前記ステータハブとの間に設けられ、
   前記ポケット付きプレートは、前記軸線の周りに角度間隔を置いた状態で配置されたストラット用ポケットを有し、
   前記ノッチ付きプレートは、前記軸線の周りに角度間隔を置いた状態で前記ストラット用ポケットに対して並置関係をなして設けられたノッチ凹部を有し、
   トルク伝達ストラットを、前記ストラット用ポケット内にその一方の縁部のところで回動自在に固定すると共にスプリングを各ポケット内に固定状態で設け、各スプリングは、前記ストラットをそれぞれ一つずつノッチ付きプレートに向かって押圧し、各ストラットの反対側の縁部は、ノッチ凹部とそれぞれ係合でき、それにより一方向のトルク伝達が、前記プレート相互間で生じることができることを特徴とするステータ組立体。
2. 前記ステータハブは、前記中央軸線と一致した軸線を備える環状凹部を備え、前記ステータハブは、前記環状凹部の軸方向端壁を構成し、前記ポケット付きプレートは、前記環状凹部内に成形されたものであって、軸方向フェースを有し、前記ポケット付きプレートと前記ハブは、相互係止部品を有し、それにより前記ポケット付きプレートを前記ハブにロックして前記ハブに対する前記ポケット付きプレートの角変位を阻止することを特徴とする請求項１記載のステータ組立体。
3. ステータは、前記中央軸線と一致した軸線を備えた環状凹部を有する鋳物であり、前記ハブは、前記環状凹部の軸方向端壁を構成し、前記ポケット付きプレートは、環状凹部内に鋳造されたものであって、軸方向フェースを有し、前記ポケット付きプレートと前記ハブは、相互係止部品を有し、かくして前記ハブに対する前記ポケット付きプレートの角変位を阻止することを特徴とする請求項１記載のステータ組立体。
4. ステータハブ及びステータハブ軸線から半径方向に延びるステータ羽根を有する流体動力学的トルクコンバータ用ステータ組立体であって、
   ステータハブは、中央開口部及び前記中央開口部内に設けられた固定ステータシャフトを有し、
   半径方向の平坦な表面を備えたカップリング部材を、相対角運動自在に前記中央開口部内に設け、一方のカップリング部材の平らな表面にはノッチ凹部が設けられ、他方のカップリング部材の平らな表面にはストラット用ポケットが設けられ、さらに、一方のカップリング部材を前記ステータシャフトにスプライン連結し、
   トルク伝達ストラットを、前記他方のカップリング部材のストラット用ポケット内に設け、トルク伝達ストラットの一方の縁部は前記ストラット用ポケットの一端部に回動自在に係合しており、
   前記ストラットの反対側の縁部は、前記一方のカップリング部材のノッチ凹部に係合でき、それによりトルクが前記カップリング部材相互間で伝えられ、前記ハブと前記ストラット羽根と前記他方のカップリング部材は、一体で単一の鋳造組立体を形成し、
   一方のカップリング部材は、これを前記ステータシャフトに固定する手段を有し、
   前記他方のカップリング部材は、外周面、内周面、及び、半径方向外側面を備え、
   前記ステータハブは、前記他方のカップリング部材を受け入れると共に前記他方のカップリング部材の外周面、内周面、及び、半径方向外側面と接触する環状凹部を備え、
   前記一方のカップリング部材を固定するためのリテーナが前記一方のカップリング部材と前記ステータハブとの間に設けられ、
   前記他方のカップリング部材は、組立に先立って前記ステータハブとは独立に形成されていることを特徴とするステータ組立体。
5. 前記軸線の周りに角度間隔を置いて設けられた複数の前記ストラット用ポケット及び複数の前記ノッチ凹部を有することを特徴とする請求項４記載のステータ組立体。
6. ステータハブ及びステータハブから半径方向に延びるステータ羽根を有するステータ組立体であって、
   ステータハブは、中央開口部及び前記中央開口部を貫通して延びるステータシャフトを有し、
   カップリングポケット付きプレートを、前記ステータシャフトに関して同心状に配置した状態で前記ステータハブと一体に設け、
   前記ポケット付きプレートは、組立に先立ってステータハブとは別個に形成され、
   前記ポケット付きプレートと前記ステータハブと前記ステータ羽根は、共通の中央軸線を有していて、前記ポケット付きプレートを含む一体で単一の鋳造組立体を形成し、
   前記ポケット付きプレートは、前記軸線の周りに角度間隔を置いた状態で配置されたストラット用ポケットを有し、
   前記ハブは、前記ポケット付きプレートを受け入れる環状凹部を有し、前記環状凹部は、平坦な半径方向底面を有し、平らな環状リングを、前記ポケット付きプレートと前記半径方向底面との間で前記環状凹部内に設け、
   ノッチ付きプレートが、前記軸線の周りに角度間隔を置いた状態で前記ストラット用ポケットに対して並置関係をなして設けられたノッチ凹部を有すると共に、前記ステータシャフトにスプライン連結され、
   環状リングには、前記ストラット用ポケットに隣接して前記ポケット付きプレートを貫通して延びるリアクションタングが形成され、
   トルク伝達ストラットを、前記ストラット用ポケット内に設け、各ポケット内にスプリングをそれぞれ設け、各スプリングは、ストラットをそれぞれ一つずつノッチ付きプレートに向かって押圧し、前記ストラットは、前記リアクションタングに隣接したその一方の縁部のところで前記ストラット用ポケット内に回動自在に固定され、各ストラットの反対側の縁部は、ノッチ凹部と係合でき、それにより一方向のトルク伝達が、前記プレート相互間で生じることができ、前記環状リングが、カップリングの強度を増すと共にその耐久性を高めることを特徴とするステータ組立体。
7. 前記ポケット付きプレートは、前記角度間隔を置いたポケット相互の中間の箇所の半径方向の厚さが減少しており、それにより耐久性に悪影響を及ぼさないで前記ポケット付きプレートの質量を減少させていることを特徴とする請求項６記載のステータ組立体。
8. ステータハブ及びステータハブから半径方向に延びるステータ羽根を有するステータ組立体であって、
   ステータハブは、中央開口部及びこの開口部を貫通して延びる固定ステータシャフトを有し、
   多数の凹部が、前記軸線の周りに同心状に位置した状態で前記ステータハブに設けてあり、
   多数のポケットセグメントを、前記凹部内に設け、各ポケットセグメントは、ストラット用ポケットを有し、ポケットセグメントは、組立に先立って前記ステータハブとは独立して形成されており、
   前記ステータハブと前記ポケットセグメントと前記ステータ羽根は、共通の中央軸線を有していて、前記ポケットセグメントを含む一体で単一の鋳造組立体を形成し、
   前記各ポケットセグメントは、前記ステータハブ内に埋め込まれ且つ前記ステータハブ内に固定され、
   ノッチ凹部を備えたノッチ付きプレートを、前記ステータハブ内に設けると共に前記ステータシャフトにスプライン連結し
   前記ノッチ付きプレートを前記ステータハブに固定するリテーナが設けられ、
   前記ストラット用ポケットは、前記ノッチ付きプレートに対して並置関係をなして前記軸線の周りに角度間隔を置いた状態で配置され、
   トルク伝達ストラットを、前記ストラット用ポケット内に設け、前記ストラットは、前記ストラット用ポケット内にその一方の縁部のところが回動自在に固定され、各ストラットの反対側の縁部は、互いに独立してノッチ凹部とそれぞれ係合でき、それにより一方向のトルク伝達が、前記ノッチ付きプレートと前記ポケットセグメントとの間で生じることができ、
   スプリングを各ポケット内に固定状態で設け、各スプリングは、前記ストラットをそれぞれ一つずつノッチ付きプレートに向かって押圧することを特徴とするステータ組立体。

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