JP3999123B2 - 繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を調製する方法、この方法によって調製された溶液、およびそれらの使用方法。 - Google Patents
繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を調製する方法、この方法によって調製された溶液、およびそれらの使用方法。 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー溶液の分野に関する。特に本発明はポリマー溶液を調製する方法に関し、この方法では式
【化3】
{ここで、基Ar,Ar1、およびAr2は、4価、2価または3価の芳香族またはヘテロ芳香族であり、前記基Xは、繰り返し単位内で同一であり、各々、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基(さらなる基として、水素原子、1−20の炭素原子をもつ基、好ましくは枝分れもしくは枝分れなしのアルキルもしくはアルコキシ基、またはアリール基を有する)である。}
の繰り返しアゾール単位を含む十分に乾燥したポリマーを、不活性ガス雰囲気下で室温を上回る温度で十分に低い水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドに溶解する。さらに本発明は、この方法によって調製された繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液、およびそれらの使用方法に関する。
【0002】
この方法によって調製される繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液は、熱および化学物質に安定なフィルム形成材料として使用することができる。金属表面への優れた接着性のために、これらは耐熱性金属接着剤としても使用することができる。全ての溶剤、オイル、酸およびアルカリに対する耐性のために、これらは個別のケースではペイント、ワニス、およびコーティングとして重用される。さらにこれらは、特に燃料電池において使用されるポリマー膜の調製にも重要である。
【0003】
【従来の技術】
耐熱性で化学的に安定な樹脂、例えば繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を得ることが難しいことは既に知られている。樹脂が特定の有機溶剤に溶解する場合でさえ、その溶解性は会合物の形成および他の要因のために時間とともに減少する。特に溶液中の繰り返しアゾール単位を含むポリマー濃度が比較的高いとき、アゾール単位の会合物の形成が非常に急速に起こる。このような溶液の貯蔵寿命はとても短く、たった数日から1〜2週間である。いくつかのケースにおいて、溶液の貯蔵寿命は金属塩および他の安定剤の添加によって延ばすことができる。しかしながら金属塩の導入は、その製造に繰り返しアゾール単位を含むポリマー生成溶液を必要とするたいていの電子部品にとって望ましくない。これは金属塩が部品の特性を損なうためである。特に半導体およびディスプレイ装置の性質は、このような金属不純物によって強く影響を受け、これらの用途に繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を使用することは非常に限定される。
【0004】
これらの問題を解決する最初の出発点は、特許出願EP−A−0816415に開示されている。この文献は繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むポリマー溶液を調製する方法を提示し、これは安定剤および金属塩を使用しないで比較的長時間の間貯蔵することができるものである。この方法では、繰り返しベンゾイミダゾール単位を含む完全に乾燥したポリマーを、不活性ガス下で260℃以上の高温で十分に低い水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドに溶解する。この方法の不利益は、この方法において得られた繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むポリマー溶液が、それらのいくつかはアミン臭をもたないにしても、ジメチルアミンおよびトリメチルアミンなどの低分子量分解生成物の形の不純物、並びにろ過によって分離され得る材料を含むことである。繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むポリマーのこのような溶液の用途範囲は、この種の不純物の存在によって多くの分野においてそれを使用することが許容されないために限られている。従って、例えば特に燃料電池において使用される高品質の高分子電解質膜の製造は、繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むポリマーの既存の溶液から開始すると実質的に不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
先行技術の点から見て、繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を調製する方法を提供することが本発明の目的であり、この溶液は分解生成物およびろ過によって分離され得る材料を実質的に含まない。特に複雑化した手順、例えばクロマトグラフィ法および抽出プロセスの使用が分解生成物の除去において避けられるであろう。
【0006】
さらなる目的は、実施するのに安価で工業規模で使用することができる方法を提供することである。さらに前記方法は、商業的に入手可能な成分を使用して簡単かつ単純に実施できるであろう。
【0007】
本発明の別の目的は、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの改善した溶液を提供することである。さらにその使用方法が示されるであろう。
【0008】
このような目的、および明確に言及されていないが、ここで要約された関係から容易に導かれまたは結論づけることができるさらなる目的は、請求項1の全ての特徴を有する繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を調製する方法によって達成される。本発明の方法の有利な実施形態は、請求項1を参照する従属請求項にクレームした。この方法によって調製された繰り返しアゾール単位を含むポリマーの新規な溶液をプロダクトクレームに記載し、一方で使用方法のカテゴリーの請求項は本方法によって調製された繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液の好ましい使用方法をクレームしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
最初に記載した種類の方法において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの総重量に対して90重量%が1mm未満の粒子サイズをもつ式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含む十分に乾燥したポリマーを使用することが、ジメチルアミンおよびトリメチルアミンなどの低分子量分解生成物の形の不純物、並びにろ過によって分離され得る材料を実質的に含まない繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を得ることを可能にするということは容易に予測することができなかった。記載した調製方法は特に安価に行うことができる。
【0010】
ジメチルアミンおよびトリメチルアミンなどの低分子量分解生成物の形の不純物、並びにろ過によって分離され得る材料を実質的に含まない繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液を、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの総重量に対して90重量%が1mm未満の粒子サイズをもつ式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含む十分に乾燥したポリマーを使用することによって得ることができるという事実は、式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含むポリマーの完全な溶解がかなりの量の分解生成物の形成なしには今まで不可能であったので特に驚くべきことである。より穏やかな溶解条件によって分解生成物の形成を抑制することを試みるならば、溶解プロセスは起こったとしても不完全に起こるだけであることが解る。特に多くの用途は、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの非常に純粋な溶液を必要としているので、不純物および非溶解性材料の両方ともに適用前に苦労してでも分離しなければならないことは注目する必要がある。
【0011】
同時に、一連のさらなる利益を本発明の方法によって達成することができる。これらは特に以下のものを含む。
【0012】
繰り返しアゾール単位を含むポリマーの新規な溶液は、何週間または何月という比較的長い貯蔵寿命をもつ。
【0013】
260℃未満の温度でも式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含むポリマーの完全な溶解を達成することができる。
【0014】
繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液は金属不純物を含まない。
【0015】
前記方法は単純であり、工業規模で確実に実施できる。
【0016】
本発明の方法は、繰り返しアゾール単位を含む既定量のポリマーを含む溶液を調製することを可能にする。
【0017】
本発明は、式
【化4】
の繰り返しアゾール単位を含むポリマーに関する。
【0018】
基Ar、Ar1、およびAr2は、4価、2価または3価の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、これらは1以上の環をもっていてもよい。好ましい基は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセンおよびフェナントレンから誘導され、各々、置換されていてもよい。Ar1はあらゆる置換パターンをもつことができる。フェニレンの場合において、例えば、Ar1はオルト−、メタ−またはパラ−フェニレンでありうる。特に好ましい基はベンゼンおよびビフェニルから誘導され、各々、置換されていてもよい。
【0019】
基Xは、各々、酸素原子(ベンゾオキサゾール単位)、硫黄原子(ベンゾチアゾール単位)、またはアミノ基(ベンゾイミダゾール単位)(さらなる基として、水素原子、1−20の炭素原子をもつ基、好ましくは枝分れもしくは枝分れなしのアルキルもしくはアルコキシ基、またはアリール基を有する)である。好ましいアルキル基は、1ないし4の炭素原子をもつ短鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、n−またはi−プロピルおよびt−ブチル基である。好ましい芳香族基はフェニルまたはナフチル基である。アルキル基および芳香族基は置換されていてもよい。好ましい置換基はフッ素などのハロゲン原子、アミノ基、またはメチルもしくはエチル基などの短鎖アルキル基である。
【0020】
式(1)の繰り返し単位をもつポリアゾールを本発明の目的のために使用する場合、基Xは繰り返し単位内で同一であるべきである。
【0021】
本発明によるポリアゾールは、原理的には異なる繰り返し単位、例えばそれらの基Xが異なるものから作られることもありうる。しかしながら、好ましくはポリアゾール中に同一の繰り返し単位のみが存在する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは、互いに異なる式(1)及び/又は(2)の少なくとも2つの単位を含むコポリマーである。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは式(1)及び/又は(2)の単位のみを含むポリアゾールである。
【0024】
ポリマー中の繰り返しアゾール単位の数は、好ましくは10以上である。特に好ましいポリマーは少なくとも100の繰り返しアゾール単位を含む。
【0025】
本発明の目的のためには、好ましくは繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むポリマーを使用する。繰り返しベンゾイミダゾール単位を含む非常に有用なポリマーの例は、式(3)によって示される。
【0026】
【化5】
ここで、nは10以上、好ましくは100以上の整数である。
【0027】
本方法を実施可能にするために、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは十分に乾燥されていなければならない。ポリマー、特に繰り返しアゾール単位を含むポリマーを乾燥する技術は、当業者に周知のものである。それは減圧してまたは減圧しないで加熱することによるポリマーからの化学的に結合していない水の除去(水分除去)をいう。ポリマーの乾燥度を示す特性パラメーターは、ポリマーの残留水量であり、これはポリマーの総重量に対する、前記ポリマー中に存在する水の重量%数で示す。ポリマー、特に繰り返しアゾール単位を含むポリマーの残留水量を決定する方法は、当業者に周知のものである。それは、例えば、乾燥てんびんで決定することができる。
【0028】
本発明の方法と関連して、用語“十分に乾燥した”とは、本発明の方法を実施可能にする残留水量をもつ繰り返しアゾール単位を含むポリマーを言う。残留水量は好ましくは5重量%以下である。特に好ましい本方法の実施形態において、残留水量は3重量%以下である。
【0029】
繰り返しアゾール単位を含むポリマーは水を吸収する顕著な傾向をもつことが知られているので、繰り返しアゾール単位を含む乾燥したポリマーは、それらが繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液に転換されるまで大いに注意しながら取り扱われなければならない。
【0030】
本方法においては、式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含むポリマーを、十分に低い水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドに溶解する。N,N−ジメチルアセトアミド中の水は、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの溶解性を減少して溶解プロセス中にN,N−ジメチルアセトアミドの加水分解によってアルキルアミンの形成をもたらしうることが知られている。繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液中のこのような不純物の存在は、上記した理由で不都合である。それらは繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液の不快な匂いを引き起こしてその用途を制限することがある。
【0031】
本発明の目的のために、N,N−ジメチルアセトアミドと関連して使用される、用語“十分に低い水含量”とは、本発明の方法を実施可能にする水含量を意味する。好ましくは、本発明の方法におけるN,N−ジメチルアセトアミドの総重量に対して0.4重量%未満の水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドを使用する。特に好ましくは、N,N−ジメチルアセトアミドの総重量に対して0.3重量%未満の水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドを使用する。非常に特に好ましくは、N,N−ジメチルアセトアミドの総重量に対して0.2重量%未満の水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドを使用する。本発明の非常に特に好ましい実施形態において、N,N−ジメチルアセトアミドの総重量に対して、0.15重量%未満、特に0.1重量%未満の水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドを使用する。
【0032】
温度は本方法におけるさらなるパラメーターである。均一な温度で完全に行われる必要はない。好ましい実施形態は以下の工程を具備する。
【0033】
(1)室温で、繰り返しアゾール単位を含むポリマーおよびN,N−ジメチルアセトアミドで反応容器を充填する工程
(2)特定の最高温度に反応容器を加熱する工程
(3)一定の温度、特に好ましくは最高温度で撹拌する工程
(4)反応容器を冷却する工程
以下、「温度」という用語が使用されるとき、それは最高温度を言うものとする。本発明の方法は、好ましくは室温を上回る温度で行われる。特に好ましくは25℃から259℃までの範囲の温度である。非常に特に好ましい温度は160℃から250℃までの範囲である。さらにより好ましい温度は170℃から240℃までの範囲である。180℃から220℃までの範囲の温度は非常に特に有利である。非常に特に好ましい実施形態において、温度は180℃から210℃までの範囲である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの溶解において不活性ガスを使用することが好ましい。使用することができる不活性ガスは、特に窒素、アルゴン等々、およびこのようなガスの混合物も含む。特に好ましい実施形態においては、繰り返しアゾール単位を含むポリマーをリアクター中の溶媒に分散し、例えば低い水含量をもつ高純度の窒素を前記溶液に30分間通すことによって、酸素をリアクターから取り除く。
【0035】
繰り返しアゾール単位を含むポリマーの粒子サイズは、本発明方法を実施するのに重要である。粒子サイズの正確な定義は、ポリマーの粒子形状に依存する。粒子形状については前記方法を実施するための制限はなく、むしろ全ての考え得る粒子形状は繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液の調製に適している。
【0036】
粒子サイズおよび粒子サイズの分布を決定する多数の測定方法がある。本発明の目的のためには、ふるい分析によって粒子サイズを決定するもので十分である。種々のメッシュ目開きをもつ一連のふるいを、ふるい機械中で上下に配置する。ふるい分析において、粒子サイズはちょうど粒子(ふるいを通過する粒子、アンダーサイズの粒子)を通過させるふるいのメッシュ目開きによって決定される。前記ふるいはミリメートル単位のメッシュ目開きによって特徴づけられる。
【0037】
本方法を実施するために、90重量%が1mm未満の粒子サイズをもつ繰り返しアゾール単位を含むポリマーが好ましい。特に好ましくは、90重量%が700μm未満の粒子サイズをもつ繰り返しアゾール単位を含むポリマーである。非常に特に好ましい実施形態においては、90重量%が400μm未満の粒子サイズをもつ繰り返しアゾール単位を含むポリマーが使用される。
【0038】
本発明の目的のためには、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの粒子サイズを、好ましくは粉砕によって小さくする。また他の方法も考えられる。本発明の目的のために、粉砕とは、材料の粒子サイズを粉砕機、および特に種々の設計のミルで小さくする粉砕プロセスである。粉砕は乾燥もしくは湿潤プロセス、または冷却粉砕(極低温粉砕)として実施できる。本方法の特に好ましい実施形態においては、繰り返しアゾール単位を含むポリマーを初めに粉砕し、次に乾燥する。
【0039】
本方法のさらなる特色は、繰り返しアゾール単位を含むポリマーを溶解するのにかける時間である。これは、リアクター中の繰り返しアゾール単位を含むポリマーの滞在時間を含む。短い滞在時間は経済的理由のために特に望ましい。繰り返しアゾール単位を含むポリマーを、好ましくは10時間未満で溶解する。溶解は特に好ましくは6時間未満で行う。非常に特に好ましい実施形態においては、繰り返しアゾール単位を含むポリマーを、4時間未満で溶解する。
【0040】
繰り返しアゾール単位を含むポリマーの本発明による溶液は、多くても少量の副生成物しか含まない。溶液中の低分子量化合物、例えばジメチルアミンおよびトリメチルアミンの割合を決定する方法は、当業者に周知である。前記濃度は、例えばガスクロマトグラフィによって決定することができる。他の方法もまた考えられる。好ましくは50℃でのヘッド−スペース分析によって、低分子量化合物、例えばジメチルアミンおよびトリメチルアミンの割合を決定し、不純物の種類は、MSと結び付けることによって決定することができる。DMAcピークの高さは、好ましくは1単位の値を割り当てられる。不純物のピークの高さは、本発明の方法において0.1単位未満である。
【0041】
繰り返しアゾール単位を含むポリマーの新規溶液は、ろ過によって分離され得る材料を実質的に含まない。ろ過自体は周知であり、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth Editionにおいて、キーワード“ろ過”に記載がある。本発明の目的のために、ろ過とは、溶液を通過させる一方で固体を阻むポーラス膜(濾過材)の助けを借りて溶液から固体粒子を分離することである。サイズの違いに基づいて分離が起こると思われる。
【0042】
ろ過は好ましくは100℃で行う。しかしながら、溶液の粘性が必要とするのならば他の温度で実施できる。
【0043】
繰り返しベンズアゾール単位を含むポリマー溶液を、好ましくは0.01μmから1mmまでの範囲の細孔サイズをもつキャンドルフィルターまたはディープベッドフィルターを通してろ過する。特に好ましくは、0.1μmから100μmまでの範囲の細孔サイズであり、非常に特に好ましくは0.3μmから10μmまでの範囲の細孔サイズである。これらの数値は、前記精製が溶媒の粘性および沈殿物の粒子サイズにも依存するので、ガイドとして役立つように意図されている。
【0044】
繰り返しアゾール単位を含むポリマーの好ましい溶液は、100℃で4μmの細孔目開きをもつフィルターを通してろ過によって分離され得る材料を3重量%未満含む。
【0045】
本発明の方法によって得られた繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液は、好ましくはジメチルアミンおよびトリメチルアミンなどの低分子量分解生成物の形の不純物、並びにろ過によって分離され得る材料を実質的に含まない。
【0046】
本発明の溶液中の繰り返しアゾール単位を含むポリマー濃度は、前記溶液の総重量に対して好ましくは25重量%以下である。特に好ましくは、前記溶液の総重量に対して1重量%から40重量%までの範囲で繰り返しアゾール単位を含むポリマー濃度をもつ溶液である。非常に特に好ましくは、前記溶液の総重量に対して10重量%から30重量%までの範囲で繰り返しアゾール単位を含むポリマー濃度をもつ溶液である。最も好ましくは、前記溶液の総重量に対して15重量%から25重量%までの範囲で繰り返しアゾール単位を含むポリマー濃度をもつ溶液である。
【0047】
膜を生成するプロセス自体は周知である。得られる膜は広い範囲の用途をもつ。それらの特別な特性のために、ポリマー電解質膜は好ましくは燃料電池に使用される。
【0048】
本発明は、本発明による溶液を使用して得られる例および比較例によって以下に示されるが、これらの例に本発明を制限するものではない。
【0049】
【発明の実施の形態】
第1例(粉砕、260℃)
ポリベンゾイミダゾールを、90重量%の粒子が300μm未満の粒子サイズをもつようにミルによって微粉砕した。得られた粉末を高真空中、95−110℃で恒量まで乾燥した。
【0050】
3644gのN,N−ジメチルアセトアミド(残留水量:0.27重量%)および800gの乾燥したポリベンゾイミダゾール粉末を、不活性ガス下のリアクターに入れ、3.5時間かけて260℃まで加熱した。ポリマーをこの温度で2時間撹拌した後、2時間かけて100℃にまで冷却してPPディープベッドフィルター(5μm)を備えた加熱された加圧フィルターユニットによりろ過した。このように得られたポリベンゾイミダゾールの固体含量を、溶液の一部を沈殿させた後に沈殿したポリマーをろ過して残渣を減圧下で恒量まで乾燥させることによって決定した。14.5重量%の固体含量(±0.4重量%。予定値は17.5重量%)を重量分析によって決定した。
【0051】
このように調製した溶液中の分解生成物をGC分析によって決定した。この目的のために、少量の溶液をGC機器に導入してその場で50℃まで加熱した。放出される成分を収集してGCカラムにより分離した。この分析は複数の分解生成物を比較的高い濃度で示した。分解生成物の帰属を質量分析法によって行った。こうして、水(1,M=18g/mol)およびまたジメチルアミン(2,M=45g/mol),トリメチルアミン(3,M=59g/mol)、およびN,N,N’,N’−テトラエチルジアミノメタン(4,M=102g/mol)を検出した。最後に、ピークNo.5は、ジメチルアセトアミド(M=87g/mol)に帰属される(表1参照)。
【0052】
【表1】
ジメチルアミンおよびトリメチルアミンなどの低沸点化合物のために、このような溶液からの膜のキャスティングとこれに続く乾燥は、前記ポリマー層内に泡の形成をもたらし、相応して膜質を低下させる。
【0053】
第2例(粉砕、200℃)
ポリベンゾイミダゾールをミルによって粉砕して90重量%の粒子を300μm未満の粒子サイズにした。得られた粉末を高真空中、95−110℃で恒量まで乾燥した。
【0054】
3644gのN,N−ジメチルアセトアミド(残留水量:0.27重量%)および800gの乾燥ポリベンゾイミダゾール粉末を不活性ガス下のリアクターに入れ、2時間かけて200℃まで加熱した。容器を加熱段階の間に120℃および150℃で排気した。ポリマーを4時間この温度で撹拌した後、1.5時間かけて100℃まで冷却してPPディープベッドフィルター(5μm)を備えた加熱された加圧フィルターユニットによりろ過した。このように得られたポリベンゾイミダゾール溶液の固体含量を、溶液の一部を沈殿させた後に沈殿したポリマーをろ過して残渣を減圧下で恒量まで乾燥させることによって決定した。14.95重量%の固体含量(±0.4重量%。予定値は15.0重量%)を重量分析によって決定した。
【0055】
【表2】
GC分析では、繰り返しアゾール単位を含むこのポリマー溶液中にまったく分解生成物を検出できなかった(表2参照)。前記溶液中に分解生成物がないので容易に加工でき、5μmから100μmまでの範囲の厚さをもつ高品質の膜を得ることができる。
【0056】
比較例(非粉砕、200℃)
10.86重量%の粒子が1000μmよりも大きい粒子サイズをもつポリベンゾイミダゾールを使用した。前記ポリベンゾイミダゾールを高真空中、95℃−110℃で恒量まで乾燥した。
【0057】
3250gのN,N−ジメチルアセトアミド(残留水量:0.27重量%)および600.7gの乾燥したポリベンゾイミダゾールを、不活性ガス下のリアクターに入れ、2時間かけて200℃まで加熱した。ポリマーをこの温度で3時間撹拌した後1.5時間かけて100℃まで冷却してPPディープベッドフィルター(5μm)を備えた加熱された加圧フィルターユニットによりろ過した。このように得られたポリベンゾイミダゾール溶液の固体含量を、溶液の一部を沈殿させた後に沈殿したポリマーをろ過して残渣を減圧下で恒量まで乾燥させることによって決定した。14.04重量%の固体含量(±0.4重量%。予定値は16.0重量%)を重量分析によって決定した。
【0058】
本発明によるポリマー溶液の貯蔵寿命
貯蔵寿命を決定するために、ポリベンゾイミダゾール溶液を例2のものと類似する方法によって調製してキャンドルフィルター(120μm)またはディープベッドフィルターを通して100℃でろ過した。貯蔵寿命は、前記溶液を調製してからそれがゲル状になるまでの期間として定義した。結果を表3に要約した。
【0059】
【表3】
Claims (11)
- 繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液の調製方法であって、式
の繰り返しアゾール単位を含む十分に乾燥したポリマーを、十分に低い水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドに25℃から250℃までの範囲の温度、不活性ガス雰囲気下で溶解することを含み、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの総重量に対して90重量%が1mm未満の粒子サイズをもつ、式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含む十分に乾燥したポリマーを使用する方法。 - 繰り返しアゾール単位を含む前記ポリマーを、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解する前に、初めに粉砕し次に乾燥する請求項1に記載の方法。
- 繰り返しアゾール単位を含む前記ポリマーの総重量に対して3重量%未満の水含量をもつ式(1)または(2)の繰り返しアゾール単位を含む乾燥ポリマーを使用する請求項1または2に記載の方法。
- N,N−ジメチルアセトアミドの総重量に対して0.4重量%未満の水含量をもつN,N−ジメチルアセトアミドを溶剤として使用する請求項1ないし3のいずれか記載の方法。
- 繰り返しアゾール単位を含む前記ポリマーを10時間より少ない期間かけて溶解する請求項1ないし4のいずれか記載の方法。
- 50℃での繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液のヘッド−スペース分析において、ジメチルアミン及び/又はトリエチルアミンのピークの高さがDMAcピークの高さの10%より小さい請求項1ないし6のいずれか記載の方法によって得られる繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液。
- 繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液が、繰り返しアゾール単位を含むポリマーの総重量に対して、100℃で4μmの細孔目開きをもつフィルターを通してろ過によって分離され得る材料を3重量%未満含む、請求項1ないし6のいずれか記載の方法によって得られる繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液。
- 50℃での繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液のヘッド−スペース分析において、ジメチルアミン及び/又はトリメチルアミンのピークの高さがDMAcピークの高さの10%より小さい請求項8に記載の繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液。
- 総重量に対して、繰り返しアゾール単位を含むポリマーを25重量%以下含む請求項9に記載の繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液。
- ポリマー電解質膜を生成するための請求項7ないし10のいずれか1項に記載された繰り返しアゾール単位を含むポリマー溶液の使用方法。
Applications Claiming Priority (1)
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