JP3997393B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラに係り、特にパッシブ方式でオートフォーカス制御を行うカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
パッシブ方式で測距や焦点検出等のオートフォーカス制御を行うカメラでは、被写体輝度が低いとオートフォーカス制御が適切に作動しないことから、オートフォーカス用の補助光を発光するようにしたものが提案されている。また、その補助光を発光する光源にストロボ(フラッシュ)を使用するものも提案されている(特開昭55−15154号公報、特開昭59−201009号公報、特開2000−111791号公報、特開2000−338386号公報、特許第3139067号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、オートフォーカス用の補助光を発光すべきか否かをAE制御のための測光結果に基づいて判断しているが、オートフォーカスの対象となる被写体範囲とAEの対象の被写体範囲が異なるため、その判断が適切でない場合があるという問題があった。また、補助光を発光する発光手段が温度特性を有する場合(特にストロボの場合にはメインコンデンサの温度特性が影響する)、周辺温度によって補助光の発光量が変化するため、発光量が適切でない場合が生じる問題があった。また、撮影モードとして夜景を背景にして人物を撮影する夜景ポートレートモードが知られているが、この場合に通常の発光モードと同様の条件により補助光を発光するか否かを判定すると、人物の背景の光量により補助光が発光されず、背景にピントが合い易くなるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、オートフォーカスのための補助光の発光制御を状況に応じて適切に行うことができるカメラを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、測距エリア内の被写体からの光を受光する複数の受光素子を有するセンサの出力に基づいてオートフォーカス制御するカメラにおいて、被写体輝度値が一定レベルより暗い場合に前記被写体にオートフォーカス用の補助光を発光する補助光発光手段と、夜景ポートレートモードを含む複数の撮影モードから所望の撮影モードを設定する撮影モード設定手段と、前記撮影モード設定手段によって夜景ポートレートモードが設定されている場合には、他の撮影モードが設定されている場合に比べて明るい条件下で補助光を発光させる発光制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、撮影モードが夜景ポートレートモードの場合には、他の撮影モードの場合に比べて明るい条件下で補助光を発光するようにしたため、背景が明るい場合でも補助光の発光が行われ、背景にピントが合うなどの不具合を防止することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、測距エリア内の被写体からの光を受光する複数の受光素子を有するセンサの出力に基づいてオートフォーカス制御するカメラにおいて、前記被写体にオートフォーカス用の補助光を発光する補助光発光手段と、前記補助光発光手段による補助光の発光回数が予め規定された最大発光回数に達したことを検出する発光回数検出手段と、被写体距離を算出するために前記補助光発光手段から補助光を発光させて前記センサから出力値を取得する際に、前記センサから所望の出力値が得られると、前記補助光の発光回数が前記最大発光回数に達する前に補助光の発光を終了させて、その時点のセンサの出力値を被写体距離を算出するための有効な出力値として取得し、前記センサから所望の出力値が得られる前に前記補助光の発光回数が前記最大発光回数に達すると、その時点のセンサの出力値を被写体距離を算出するための有効な出力値として取得する制御手段と、備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、補助光を予め決められた最大発光回数だけ発光しても十分な出力がセンサから得られない場合であっても、フォーカスエラーとするのではなく、その時点のセンサの出力に基づいてオートフォーカス制御を行うため、フォーカスエラーを減らすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係るカメラの好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
図1は、本発明が適用されたカメラの正面斜視図である。同図に示すようにカメラ10には、被写体像を銀塩フイルムに結像する撮像レンズを備えたズームレンズ鏡胴12と、シャッタレリーズ(露光)時又は測距(オートフォーカス)時において被写体の明るさを補う補助光を発光する発光手段16と、利用者が撮像する被写体を確認するファインダ窓18と、被写体までの距離(以下、被写体距離という)を測定するパッシブタイプのセンサが内蔵されているAF窓22と、被写体の明るさを測定する測光手段が内蔵されている測光窓25と、利用者がシャッタレリーズを指示する際に操作するシャッタボタン34等が設けられている。
【0015】
図2は、カメラ10の背面斜視図である。同図に示すようにカメラ10には、設定されている補助光の発光モードやオートフォーカスのモード、セルフタイマーのモード、日付等の情報を表示する表示手段38と、利用者が補助光を発光する際の各種の発光モードを設定するフラッシュボタン42と、セルフタイマーのモードを設定するセルフタイマーボタン44と、オートフォーカスに関する各種の撮像モードを設定するフォーカスボタン46と、カメラ10が刻む日付や時刻を設定する日付ボタン48と、撮像する画角を利用者がワイド方向又はテレ方向に指示するズームボタン50とが設けられている。
【0016】
利用者はフラッシュボタン42を操作することによって、補助光を自動発光するオートモード、赤目軽減モード、強制発光モード、発光禁止モード、夜景ポートレートモード等の各種のモードを選択することが可能となっている。また利用者は、前記フォーカスボタン46を操作することによって、オートフォーカスモード、遠景モード、マクロモード等の所望のフォーカスモードを選択することが可能となっている。
【0017】
図3は、上記カメラ10の制御部を示したブロック図である。同図に示すようにカメラ10には、カメラ10の全体を制御するCPU60(情報処理手段)が設けられており、以下に示す各部から情報を取得するとともに、CPU60からの指示によって以下に示す各部を制御することが可能となっている。なお、図3に示すCPU60は、CPUコア部とI/O、ウォッチドグタイマ、A/D変換器等の周辺回路から構成されるASICであってもよい。
【0018】
また、同図に示すようにカメラ10には、電池の電圧を昇圧させるとともに安定化させてCPU60及びその他の各周辺回路に電源を供給するレギュレータ62と、ズームレンズ鏡胴12のズーム位置やフォーカス位置を制御するとともにCPU60に対してズーム位置やフォーカス位置の位置情報を出力する鏡胴制御手段64(画角制御手段及び合焦位置制御手段の機能を含む)と、撮像手段として銀塩フイルムを使用する場合にフイルムを所定量給送したり巻戻しの制御を行うとともにフイルムの給送に必要な検出信号を出力する給送制御手段66とが設けられている。
【0019】
またカメラ10には、撮像時にシャッタの開閉動作を制御するシャッタ制御手段68と、図1に示す測光窓25を介して取り込んだ外光に基づいて被写体の光量を測定する測光手段70と、発光エネルギーを蓄えるメインコンデンサの充電制御や上記測光手段70によって検出された外光輝度等に基づいてストロボ(フラッシュ)等の補助光の発光量を制御する発光制御手段72と、図1に示すAF窓22から取り込んだ被写体の輝度情報とその被写体の位置(距離)に関する情報とを関連付けて出力する被写体位置検出手段74とが設けられている。
【0020】
またカメラ10には、カメラ10の制御に関するパラメータやデータ、処理プログラム、測距に関する情報等の各種情報を書き換え自在に記録するプログラマブルROM82(EEPROM等の記録手段)と、CPU60からの指示に基づいて表示手段38に対して各モードに応じた図形、文字、数字等を表示するための信号を出力する表示制御手段84とが設けられている。
【0021】
図2に示したシャッタボタン34、フラッシュボタン42、セルフタイマーボタン44、フォーカスボタン46、日付ボタン48、ズームボタン50等から構成される入力手段86からは、前記各種ボタンの操作に応じた信号がCPU60に設けられているI/O等に対して出力される。尚、シャッタボタン34については半押しの状態( SP1がONの状態) と全押しの状態(SP2がONの状態)とが区別して検出される。
【0022】
尚、図3に示すドライバ88は、CPU60からの指令に基づいて鏡胴制御手段64に設けられているズーム駆動モータやフォーカス駆動モータを制御し、給送制御手段66に設けられているフイルム給送モータを駆動することが可能となっている。また、ドライバ88は、CPU60からの指令に基づいて基準電圧や駆動電力をA/D変換回路や測光手段70に出力することが可能となっている。また、ドライバ88は、CPU60からの指令に基づいてシャッタレリーズ時に開閉するシャッタの制御信号をシャッタ部68に出力するとともに、補助光の発光及び発光の停止を指示する信号を発光制御手段72に出力することが可能となっている。
【0023】
図4は、パッシブ方式による被写体位置検出手段74の構成を示した図である。同図に示すように被写体位置検出手段74(AFセンサ)には、例えば白と黒の2つの色から構成されている被写体90の像を左右の各センサの受光面に結像するレンズ92と、受光面に結像した像を光電変換して出力する右側のRセンサ94及び左側のLセンサ96と、前記Rセンサ94及びLセンサ96にセンサ電源を供給するとともに光電変換によって得られた光信号(輝度信号)の電圧をIC99に導くフレキシブル基板98と、CPU60と情報及びデータの送受信を行うとともにRセンサ94及びLセンサの制御とデータの読み出し処理を行うIC99とが設けられている。
【0024】
Rセンサ94及びLセンサ96は例えばCMOSラインセンサであり、直線上に配列された複数のセル(受光素子)から構成される。尚、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれのセルには図中左側から順にセンサ番号1、2、3…233、234が付されるものとする。また、Rセンサ94及びLセンサ96の左右両側の5つずつのセルは、ダミーのセルとして実際には使用されない。
【0025】
Rセンサ94及びLセンサ96の各セルからは受光した光量に応じた光信号 (輝度信号)がセンサ番号と関連付けてIC99に順次出力される。IC99は、Rセンサ94及びLセンサ96から得た各セルの輝度信号を各セル毎に積分 (加算)し、各セル毎の輝度信号の積分値(光量の積分値)を取得する。尚、以下、単に積分値という場合には、輝度信号の積分値を示し、また、単に積分又は積分処理という場合には輝度信号の積分値を得るための積分又は積分処理を示すものとする。
【0026】
また、IC99は、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれのセンサ領域内(全セル内)に設定される後述のピーク選択領域内において、いずれかのセルの積分値が所定値(積分終了値)に達したことを検出すると(所定の光量が得られた場合には、測距を行うのに十分なデータが得られたと判断して)、積分処理を終了すると共に、積分処理の終了を示す信号(積分終了信号)をCPU60に出力する。尚、各セルの積分値としてCPU60に出力する値は、各セルの輝度信号の積分値を所定の基準値から減算した値であり、受光した光量が多い程、低い値を示す。以下において、基準値から輝度信号の積分値を減算した値を輝度信号の積分値という。
【0027】
CPU60は、IC99に対し、上述の積分処理の開始や強制的な終了、各セルの積分値の読出し等を指示し、また、ピーク選択領域、センサ感度(積分値のゲイン)の高低等を指定する。また、CPU60は、上述のようにIC99から積分終了信号を受けると、又は、強制的に積分処理を終了させると、IC99から各セルの積分値をセンサ番号と対応付けて取得する。これにより、各Rセンサ94、Lセンサ96で撮像された画像(以下、センサ像という)を取得する。そして、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれのセンサ像の間で相関値演算を行い、それらのセンサ像のズレ量を求め、被写体90までの距離を算出する(三角測量の原理)。
【0028】
尚、図4に示すIC99に設けられている入出力信号の種類について概略を説明すると、VDDは電力を供給する電源ライン、AGNDはアナログ信号用のグランドライン、DGNDはデジタル信号のグランドラインである。また、IC99に対してCPU60から入力される信号ラインとして、IC99を動作状態又は非動作状態に設定指示する/AFCEN、制御データの設定を指示する/AFRST、制御データを設定するAFAD、制御データを読み込むタイミングをアップエッジで指示するAFCLKが設けられている。一方、IC99がCPU60に対して出力する信号ラインとして、各センサに設けられた各セルの輝度信号の積分値を基準電圧VREFからの減算値のアナログデータとして出力するAFDATAP、AFADの信号によって設定されたピーク選択領域における積分値の最大値をアナログデータとして出力するMDATA、積分の開始時期を通知するとともにピーク選択領域における積分値の最大値が所定の設定値に達したことを示す信号を出力する/AFENDとが設けられている。
【0029】
図5、図6は、それぞれ被写体位置検出手段74から被写体90までの距離が近い場合と遠い場合のセンサ像を例示した図である。被写体90までの距離が近い場合、図5に示すようにLセンサ96のセンサ番号87〜101までの輝度信号の積分値は明るい値(50)となり、センサ番号101〜150までは暗い値(200)となる。Rセンサ94についてはLセンサ96と異なる位置に設けられているため、センサ番号85〜133までの輝度信号の積分値は明るい値(50)となり、センサ番号133〜148までは暗い値(200)となる。
【0030】
これに対して、被写体90までの距離が遠い場合(例えば略無限遠の場合)には、図6に示すように、Lセンサ96のセンサ番号87〜117までの光量の積分値は明るい値(50)となり、センサ番号118〜150までは暗い値(200)となる。一方、Rセンサ94は、Lセンサ96とは異なる位置に設けられているものの被写体位置が遠距離に存在するために、センサ番号85〜116までの光量の積分値は明るい値(50)となり、センサ番号117〜148までは暗い値(200)となる。この場合にCPU60は、Rセンサ94とLセンサ96のセンサ像のズレ量がほとんどなく、被写体が略無限遠に存在すると判断することができる。これに対して、図5に示したように被写体が近距離に存在する場合には、センサ像のズレ量が大きくなる。
【0031】
定量的には、被写体距離は、Rセンサ94とLセンサ96との間隔及び各センサからレンズ92までの距離、Rセンサ94及びLセンサ96の各セルのピッチ(例えば12μm)等を考慮して、センサ像のズレ量から算出することができる。
【0032】
センサ像のズレ量は、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれのセンサ像の間で相関値演算を行うことにより求めることができる。例えば、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれに同じ数(総数WO)のセルを含むウインドウ領域を設定し、そのウインドウ領域内の各セルの番号i(上記センサ番号ではなく、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれのウインドウ領域内において同じ配列(例えば右から順に1〜WO)で各セルに割り当てた番号)の輝度信号の積分値をRセンサ94についてはR(i)、Lセンサ96についてはL(i)とする。このとき、相関値fは、
f=Σ|L(i)−R(i)| (i=1〜WO)
となる。そして、Rセンサ94とLセンサ96のウインドウ領域の相対的な位置関係(距離)を例えば1セルづつずらしながら、上記相関値fを求めると、相関値fが最小になるところが検出される。例えば、ウインドウ領域の基準となる相対的な位置関係(例えば、無限遠の被写体に対して最小の相関値fが得られる位置関係)に対して、Rセンサ94とLセンサ96のウインドウ領域が相対的に離れる方向にnセル分ずらした場合の相関値をf(n)とすると、最小の相関値f(n)が検出された際のnがセンサ像のズレ量となる。尚、相関値f(n)を求める演算を以下、相関値演算という。
【0033】
ところで、本実施の形態では、Rセンサ94とLセンサ96のそれぞれのセンサ領域を図7(A)に示すように「右エリア」、「右中エリア」、「中央エリア」、「左中エリア」、「左エリア」に5分割し(以下、これらの各エリアを測距エリアという)、Rセンサ94とLセンサ96の対応する各測距エリア間(同一名の測距エリア間)でそれぞれ個別に上述のような相関値演算を行い、被写体距離を算出する。従って、最大5つの測距エリアで被写体距離を検出することができる。ズーム位置が所定のズーム位置よりもワイド側(例えばズーム位置をZ1〜Z6の6つの範囲に分けた場合のZ1〜Z5の範囲)に設定されている場合には5つの全ての測距エリアで相関値演算を行い、各測距エリアごとに被写体距離を算出する。尚、マクロモードの場合も同様である。所定のズーム位置よりもテレ側(上記Z6の範囲)に設定されている場合には右中エリア、中央エリア、及び、左中エリアの3つの測距エリアで相関値演算を行い、各測距エリアごとに被写体距離を算出する。いずれも複数の測距エリアによって複数の被写体距離が算出される場合があるが、原則的には、算出された複数の被写体距離のうち最も短い被写体距離が鏡胴制御手段64の制御に使用される。
【0034】
また、積分処理を終了する際に、いずれかのセルの積分値が積分終了値に達した否かを判定するピーク選択領域についても、5つに分割した測距エリアが基本となり、ピーク選択領域は、図7(B)〜(H)のように▲1▼〜▲7▼で示す7通りの領域のいずれかに設定される。ピーク選択領域▲1▼は、「右中、中央、左中」エリアの3つの測距エリアをピーク選択領域とするもので、ズーム位置がテレ側(上記Z6)のときに採用される。尚、このときのピーク選択領域の角度範囲は、±3.9度である。ピーク選択領域▲2▼は、「右、右中、中央、左中、左」エリアの全ての測距エリアをピーク選択領域とするもので、ズーム位置がワイド側(上記Z1〜Z5、及びマクロモード)の時に採用される。尚、このときのピーク選択領域の角度範囲は、±6.5度である。ピーク選択領域▲3▼、▲4▼、▲5▼は、それぞれ中央エリア、左中エリア、右中エリアをピーク選択領域とするもので、特にピーク選択領域▲4▼、▲5▼はズーム位置がテレ側で、かつ、被写体が高輝度の場合に採用される。ピーク選択領域▲6▼、▲7▼は、それぞれ、「右、右中」エリア、「左、左中」エリアをピーク選択領域とするもので、ズーム位置がワイド側で、かつ、被写体が高輝度の場合に採用される。ピーク選択領域▲3▼は、ズーム位置がテレ側、ワイド側のいずれも場合でも被写体が高輝度の場合に採用される。原則として上記相関値演算による被写体距離の算出は、ピーク選択領域として採用された測距エリアについて行われる。尚、どのような場合にどのピーク選択領域が採用されるかについては以下のフローチャートで詳説する。
【0035】
図8は、上記CPU60における測距処理に関して示したフローチャートである。カメラ10の処理モードを撮像のモードに設定して利用者がシャッタボタン34を半押しすると、CPU60は入力手段90からシャッタボタン34が半押しされたことを示すSP1のオン信号を取得する。SP1のオン信号を取得した場合、CPU60は、被写体90を撮像するために被写体の輝度に応じたAEを設定するとともに、被写体90を特定してピントを合わせる処理を開始する。
【0036】
カメラ10にて被写体90を特定してピントを合わせる処理を実施する際には、CPU60はまず被写体を特定してその距離を測定するために図8に示すAF測距の処理ルーチンに分岐する。
【0037】
AF測距の処理ルーチンでは、まず、CPU60は、測光手段70が出力する光量の信号出力を参照して、被写体の光量が超高輝度と判断する所定の閾値以上の輝度であるか否かを判定する(ステップS100)。NOと判定した場合、続いてCPU60は、現在設定されているズーム位置(画角の設定角度)に関する情報を鏡胴制御手段64から取得して、所定のズーム位置に対して現在設定されているズーム位置がテレ側かワイド側かを判定する(ステップS102)。テレ側と判定した場合には、被写体位置検出手段74のIC99に指示して、ピーク選択領域を上記▲1▼の領域(図7参照)、即ち、「右中、中央、左中」の3エリアに設定すると共にRセンサ94及びLセンサ96のセンサ感度を高感度に設定する。そして、積分処理を開始させる(ステップS104)。一方、ステップS102において、ワイド側と判定した場合には、ピーク選択領域を上記▲2▼の領域(図7参照)、即ち、「右、右中、中央、左中、左」の5エリアに設定すると共に、Rセンサ94及びLセンサ96のセンサ感度を高感度に設定する。そして、積分処理を開始させる(ステップS106)。尚、ステップS104、ステップS106の処理は被写体輝度を高低を判断するための積分処理であり、以下、これらの処理を高感度プレ積分という。
【0038】
続いてCPU60は、積分処理が終了したか否かを判定し、積分時間が2ms未満で終了したか、2ms以上4ms未満で終了したか、又は、4ms経過しても終了しないかを判定する(ステップS108)。
【0039】
もし、積分時間が2ms未満で終了した場合には、後述のように3分割ゲイン低積分処理(及び相関値演算)を実行する(ステップS110)。2ms以上4ms未満で終了した場合には、一括ゲイン低積分処理を実行する(ステップS112)。4ms経過しても終了しない場合には、100msまで積分を継続し、終了しない場合は一括ゲイン低積分処理に切り替えた後、プレ発光処理を実行する(ステップS114)。
【0040】
ここで、上記ステップS100においてYES、即ち、超高輝度と判定した場合には、2ms未満で終了した場合と同様に3分割ゲイン低積分処理を実行する(ステップS110)。
【0041】
ステップS110の3分割ゲイン低積分処理では、Rセンサ94及びLセンサ96のセンサ感度を低感度に設定し、また、ズーム位置に応じて使用する測距エリアを3分割し、分割した各エリアをそれぞれ順にピーク選択領域として積分処理を実行する。尚、新たに積分処理を開始する際には、それまで被写体位置検出手段74で得られている積分値をリセットする(以下、同様)。
【0042】
即ち、ズーム位置がテレ側の場合、使用する測距エリアは右中エリア、中央エリア、及び、左中エリアの3つの測距エリアであり、これらの測距エリアを右中エリア、中央エリア、及び、左中エリアのそれぞれに3分割して、各測距エリアを順にピーク選択領域として積分処理を実行する。具体的には、まず、中央エリアをピーク選択領域として設定し、積分処理を実行する。また、これによって得られた中央エリア内の各セルの積分値に基づいて中央エリアで相関値演算を行う。次いで、左中エリアをピーク選択領域として設定し、積分処理を実行する。そして、上述と同様に左中エリア内の各セルの積分値に基づいて左中エリアで相関値演算を行う。続いて、右中エリアをピーク選択領域として設定し、積分処理を実行する。そして、上述と同様に右中エリア内の各セルの積分値に基づいて右中エリアで相関値演算を行う。
【0043】
一方、ズーム位置がワイド側の場合、使用する測距エリアは右エリア、右中エリア、中央エリア、左中エリア、及び、左エリアの5つの測距エリアであり、これらの測距エリアを「右及び右中」エリア、中央エリア、及び、「左中及び左」エリアに3分割して、各エリアを順にピーク選択領域として積分処理を実行する。まず、中央エリアをピーク選択領域として設定し、積分処理を実行する。そして、上述と同様に中央エリア内の各セルの積分値に基づいて中央エリアで相関値演算を行う。次いで、「左中及び左」エリアをピーク選択領域として設定し、積分処理を実行する。そして、この場合には、左エリアと左中エリアを別の対象としてそれぞれのエリア内の各セルの積分値に基づいて左エリアと左中エリアでそれぞれ相関値演算を行う。続いて、「右中及び右」エリアをピーク選択領域として設定し、積分処理を実行する。そして、上述と同様に右エリアと右中エリアを別の測距エリアとしてそれぞれのエリア内の各セルの積分値に基づいて右エリアと右中エリアでそれぞれ相関値演算を行う。
【0044】
ステップS112の一括ゲイン低積分処理では、Rセンサ94及びLセンサ96のセンサ感度を低感度に設定し、また、使用する測距エリアと同一エリアをピーク選択領域として積分処理を実行する。即ち、ズーム位置がテレ側の場合、測距エリアは右中エリア、中央エリア、及び、左中エリアの3エリアであり、これらの測距エリアを一括した「右中、中央、及び、左中」エリアをピーク選択領域として積分処理を実行する。ズーム位置がワイド側の場合には、測距エリアは右エリア、右中エリア、中央エリア、左中エリア、左エリアの5エリアであり、これらの測距エリアを一括した「右、右中、中央、左中及び左」エリアをピーク選択領域として積分処理を実行する。ステップS112によりピーク選択領域の各セルの積分値を取得すると、各測距エリアごとに相関値演算を行う(ステップS116)。
【0045】
ステップS114のプレ発光処理の場合には、ストロボ(発光手段16)の補助光を発光して積分処理を実行する処理であり、詳細は後述する。プレ発光処理によりピーク選択領域の各セルの積分値を取得すると、各測距エリアごとに相関値演算を行う(ステップS116)。
【0046】
以上により各測距エリア毎の相関値演算により相関値を取得すると、CPU60は、Rセンサ94及びLセンサ96のセンサ像のずれ量を検出して各測距エリアごとに被写体距離を算出する(ステップS118)。尚、被写体距離の算出には、カメラ10内におけるRセンサ94及びLセンサ96とフィルム面との距離も考慮され、フイルム面から被写体までの距離(被写体距離)が算出される。
【0047】
次に、CPU60は、各測距エリアごとに取得した複数の被写体距離の中から、最適と判断される被写体距離を選択する処理を行う(ステップS120)。一般には複数の被写体距離のうち最も近い被写体距離を選択する。しかし超至近距離に利用者が意図しない被写体が存在するという撮影も多々あることに鑑みて、1エリアのみ超至近距離であって超至近となったエリア以外の被写体距離が全て中間距離以遠である場合には、超至近の被写体距離を採用せずに超至近となったエリア以外の被写体距離中最も近距離となった被写体距離を採用するなど、被写体90の条件に応じた場合分けをするようにしてもよい。
【0048】
ステップS120が終了すると、CPU60は、AF測距の処理ルーチンを終了する。
【0049】
このあとCPU60は、ズームレンズ鏡胴12の合焦位置を前記S120にて選択した被写体距離に設定するための情報を鏡胴制御手段64に対して出力する。合焦位置の設定が終了すると、表示手段38等に合焦位置の設定が終了した旨の情報を表示して利用者に通知する。
【0050】
利用者が撮像を指示するためにシャッタボタン34を全押しの状態にすると、CPU60は入力手段86からシャッタボタン34が全押しされたことを示すSP2のオン信号を取得する。CPU60がSP2の信号を取得すると、測光手段70が測光した被写体の明るさ及びカメラ10に設定されている撮像モードに基づいて、絞り値とシャッター速度とを設定する処理を行う。そして、シャッタを開閉する指示をシャッタ制御手段68に対して出力し、また、測光手段70による測光結果により必要に応じて補助光の発光の指示を発光制御手段72に出力する。
【0051】
図9は、発光制御手段72におけるストロボ回路の構成を示した回路図である。同図に示すようにストロボ回路は、クセノンガスを封入した放電管100、放電管100のトリガー電極に高電圧を印加して放電管100内のクセノンガスを励起し、放電管100内の抵抗を下げるトリガー回路102、放電管100を発光させるための電荷を蓄積して放電管100にその電荷を放電するメインコンデンサMC、電池Eの電圧を昇圧してメインコンデンサMC及びトリガー回路102内のトリガー用コンデンサに高電圧で電荷を蓄積させるトランスT等から構成される。
【0052】
電池Eが接続されるトランスTの一次側には、トランジスタTr1及び抵抗R1、R2から構成されるスイッチ回路104が接続されており、このスイッチ回路104にCPU60からFCPの信号ラインを通じてパルス列信号が与えられると、スイッチ回路104のトランジスタTr1がオンとオフを繰り返し、トランスTの一次側に交流電流が発生する。これによって、トランスTの二次側に高圧の交流電圧が誘起される。トランスTの二次側に誘起された交流電圧はダイオードDによって整流されて、メインコンデンサMC及びトリガー回路102内のトリガーコンデンサに印加される。従って、FCPの信号ラインからパルス列信号が与えられるとメインコンデンサMCやトリガー用コンデンサの充電が行われる。CPU60がFCPの信号ラインにパルス列信号を出力するのを停止すれば、充電が停止する。
【0053】
メインコンデンサMCには、並列にツェナダイオードZD、トランジスタTr2、コンデンサC、抵抗R3、R4から構成される充電完了検出回路106が接続される。同図のツェナダイオードZDは、逆方向に300V(ツェナー電圧)を超える電圧が印加されると、雪崩電流が流れる特性を有しており、メインコンデンサMCの充電電圧がツェナー電圧に達すると、充電完了検出回路106の抵抗R3、R4に電流が流れる。これによって、トランジスタTr2がオンとなり、FRの信号ラインがLレベルとなる。一方、メインコンデンサMCの充電電圧がツェナー電圧に達していない場合には、トランジスタTr2がオフであり、FRの信号ラインがHレベルとなる。従って、CPU60は、FRの信号ラインの電圧により、メインコンデンサMCの充電が完了したか否かを検出することができる。
【0054】
また、トリガー回路102には、FTの信号ラインを通じてCPU60からパルス信号が入力されるようになっており、トリガー回路102は、FTの信号ラインからパルス信号が入力されると、放電管100のトリガー電極に高電圧を印加し放電管100内の抵抗を下げ、メインコンデンサMCから放電管100への放電を可能にする。また、放電管100には、トランジスタ(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)IGBT、抵抗R5から構成されるスイッチ回路108が接続されると共に、このスイッチ回路108にFTの信号ランを通じて上記トリガー回路102と同じパルス信号が入力されるようになっている。FTの信号ラインを通じてパルス信号が入力されると、そのパルス信号のHレベルにおいてトランジスタIGBTがオンとなり、LレベルにおいてトランジスタIGBがオフとなる。
【0055】
従って、CPU60がFTの信号ラインを通じてトリガー回路102及びスイッチ回路108に印加するパルス信号のパルス幅の期間だけ放電管100が発光する。即ち、パルス幅が放電管100の発光時間となる。尚、測距のためのプレ発光では、1回の発光に対してFTの信号ラインから8〜28μsのパルス信号が入力され、シャッタレリーズと同期した本発光(通常撮影時のフル発光)では5msのパルス信号(ただし、実際の発光時間は1ms程度)が入力される。
【0056】
図8のS114におけるCPU60のプレ発光処理の詳細について図10のフローチャートを用いて説明する。図8のステップS104又はステップS106において高感度プレ積分の処理を開始した後、ステップS108において積分時間が4ms経過しても終了しないと判定した場合、CPU60は図10のプレ発光処理に移行する。そして、まず、その積分処理を継続したまま、撮影モードが、発光禁止モード、夜景ポートレートモード、又は、それ以外のモード(オートモード、赤目軽減モード、強制発光モード)のいずれに設定されているかを判定する(ステップS130)。もし、発光禁止モードに設定されていると判定した場合には、積分が終了したか否かを判定する(ステップS132)。ここで、NOと判定した場合には、次に、積分時間が200ms以上経過したか否かを判定する(ステップS134)。更に、NOと判定した場合には、上記ステップS132に戻る。ステップS132とステップS134においていずれもNOと判定している間は、これらの判定処理を繰り返す。もし、ステップS132において、YES、即ち、積分時間200msが経過する前に、積分が終了した場合には、各セルの積分値を取得し、プレ発光を実行せずにこのプレ発光処理を終了する。一方、ステップS134において、YES、即ち、積分が終了せずに積分時間200msが経過した場合には、積分を強制的に中断し(ステップS136)、そのときの各セルの積分値を取得してプレ発光を実行せずにこのプレ発光処理を終了する。このように撮影モードが発光禁止モードに設定されている場合には、積分時間200msを限度に積分を行い、この積分時間以内で積分が終了しない場合(測距が困難と思われる場合)であってもプレ発光を行わないで、図8におけるステップS116以降の処理を実行する。
【0057】
上記ステップS130において撮影モードが夜景ポートレートモードと判断した場合、次に積分が終了したか否かを判定する(ステップS138)。ここで、NOと判定した場合には、次に、積分時間が25ms以上経過したか否かを判定する(ステップS140)。更に、NOと判定した場合には、上記ステップS138に戻る。ステップS138とステップS140においていずれもNOと判定している間は、これらの判定処理を繰り返す。もし、ステップS138において、YES、即ち、積分時間25msが経過する前に、積分が終了した場合には、各セルの積分値を取得し、プレ発光を実行せずにこのプレ発光処理を終了する。そして、図8のステップS116の処理に移行する。一方、ステップS140において、YES、即ち、積分が終了せずに積分時間25msが経過した場合には、積分を強制的に中断する(ステップS146)。そしてプレ発光を行うためのステップS148に移行する。
【0058】
上記ステップS130において撮影モードが発光禁止モード及び夜景ポートレートモード以外のモード、即ち、本実施の形態においては、オートモード、赤目軽減モード、強制発光モードに設定されていると判定した場合、次にCPU60は、積分が終了したか否かを判定する(ステップS142)。ここで、NOと判定した場合には、積分時間が100ms以上経過したか否かを判定する(ステップS144)。更に、NOと判定した場合には、上記ステップS142に戻る。ステップS142とステップS144においていずれもNOと判定している間は、これらの判定処理を繰り返す。もし、ステップS142において、YES、即ち、積分時間100msが経過する前に、積分が終了した場合には、各セルの積分値を取得し、プレ発光を実行せずにこのプレ発光処理を終了する。そして、図8のステップS116の処理に移行する。一方、ステップS144において、YES、即ち、積分が終了せずに積分時間100msが経過した場合には、積分を強制的に中断する(ステップS146)。そして発光手段16によるプレ発光を行うためのステップS148に移行する。
【0059】
尚、発光禁止モード及び夜景ポートレートモード以外のモードの場合に比べて夜景ポートレートモードの場合、100msよりも短い25msの時間が経過(ステップS140)した時点で積分処理が終了したか否かが判定されるため、他のモードに比べて明るい条件でプレ発光が行われる。これによって、背景の明るさでプレ発光が行われない不具合が防止され、また、背景にピントが合う不具合も防止される。
【0060】
上記ステップS146において積分を中断し、ステップS148に移行すると、次にCPU60は、被写体位置検出手段74のIC99に指示して、Rセンサ94及びLセンサ96のセンサ感度を低感度に設定し、ピーク選択範囲を全範囲として積分を開始させる(ステップS150)。そして、発光制御手段72に指示してプレ発光を開始させる(ステップS152)。即ち、図9に示したストロボ回路のFTの信号ラインにパルス信号を印加して放電管100を発光させる。プレ発光は以下の判定処理による終了条件を満たすまでは、所定の発光時間(発光幅)と発光間隔で間欠的に繰り返し行われる。尚、発光時間と発光間隔についての詳細は後述する。
【0061】
プレ発光の終了条件として、CPU60は、まず、積分が終了したか否かを判定する(ステップS154)。YESの場合には、プレ発光を終了し(ステップS162)、各セルの積分値を取得してこのプレ発光処理を終了する。そして、図8のステップS116に移行する。一方、NOと判定した場合には、次にプレ発光の発光回数が予め規定された最大発光回数(例えば4回)に達したか否かを判定する(ステップS156)。YESであれば、積分が終了していなくても、積分を強制的に終了すると共に(ステップS160)、プレ発光を終了する(ステップS162)。そして、その時点での各セルの積分値を取得してこのプレ発光処理を終了し、図8のステップS116に移行する。もし、ステップS156においてNOであれば、上記ステップS154に戻り、上記終了条件のいずれかの条件を満たすまで、プレ発光を行うと共に、上記判定を繰り返し行う。
【0062】
以上のプレ発光処理の一連の処理動作を図11を用いて説明する。尚、撮影モードが発光禁止モードの場合については省略する。シャッタボタン34の半押しによって、高感度プレ積分を開始した後、図11(A)に示すように100ms未満(夜景ポートレートモードのときは25ms未満)で積分処理が終了すると、プレ発光を行うことなく、これによって得た積分値により、相関値演算が行われ、被写体距離が算出される。
【0063】
一方、シャッタボタン34の半押し後、図11(B)乃至(E)に示すように高感度プレ積分が、上記時間未満に終了しない場合、Rセンサ94及びLセンサ96のセンサ感度が低感度に変更され再度積分処理が開始される。そして、5ms経過すると、1回目のプレ発光が行われる。
【0064】
ここで、1回目のプレ発光において、CPU60は、2回目以降のプレ発光に比べて発光の光量が少なくなるように発光時間(発光幅)を短くしている。例えば、2回目以降のプレ発光の発光時間が28μsとすると1回目のプレ発光の発光時間は16μsである。これによって、例えば、被写体が極端に近い場合でもセンサの出力が飽和するなどの不具合が防止される。
【0065】
また、メインコンデンサMCの温度特性(タンデルタ特性)により、一定の発光時間による発光量が温度が高い程、高くなることを考慮して、CPU60は、1回目のプレ発光において周辺温度(カメラ内の温度)に応じて発光時間を変更する。即ち、周辺温度が高い場合には、発光時間を短くする。尚、カメラ内には温度を検出する温度センサが内蔵されており、CPU60はその温度センサによってカメラ内の温度を検知することができるようになっている。図12は温度に応じて発光時間を調整する場合の一例を示した図である。同図に示すように温度を4度ごとに区切り、26度までは16μsであり、26度から34度までは14μsであり、34度から42度までは12μs、42度から50度までは10μs、50度を超えると8μsに設定される。これによって、図13に示すように温度にかかわらずストロボから発光される光量が略一定となる。
【0066】
この1回目のプレ発光により図11(B)に示すようにピーク選択領域内のいずれかのセルの積分値が積分終了値に達すると、プレ発光が終了する。一方、図11(C)乃至(E)に示すように積分値が積分終了値に達しない場合には、1回目のプレ発光後、発光間隔25msが経過するのを待つ。もし、この間に積分値が積分終了値に達した場合には、積分が終了する。1回目のプレ発光後25msが経過しても積分値が積分終了値に達しない場合には、続いて2回目のプレ発光が行われる。2回目のプレ発光は、1回目よりも発光量が大きく、発光時間が28μsとなる。この2回目のプレ発光により図11(C)に示すように積分値が積分終了値に達すると、プレ発光が終了する。一方、図11(D)乃至図11(E)に示すように積分値が積分終了値に達しない場合には、以下、積分値が積分終了値に達するまで、2回目のプレ発光と同様に25msの経過後、発光時間28μsのプレ発光が繰り返し行われる。但し、プレ発光が規定の最大発光回数に達した場合には、積分値が積分終了値に達していなくてもプレ発光が終了と共に、積分が終了する。尚、図11(D)はプレ発光が3回、図11(E)はプレ発光が4回の場合を示している。
【0067】
次に、プレ発光に伴うストロボ充電(メインコンデンサMCの充電)の処理について説明する。図14に示すようにシャッタボタン34が半押しされて、SP1がオン(Hレベル)になると、CPU60は、上述のようにプレ発光を行う。そして、プレ発光の終了条件が満たされ、プレ発光が終了すると、ストロボ充電を行う。即ち、図9に示したFCPの信号ラインからパルス列信号を入力する。もし、ストロボ充電中にシャッタボタン34が全押しされ、SP2がオン(Hレベル)になると、CPU60は、最低でも150msの充電時間を確保してシャッタレリーズ時の本発光に最低限必要な充電量を確保した後、ストロボ充電を停止してシャッタレリーズを行う。
【0068】
一方、シャッタボタン34の全押しが行われずに半押しと解除が連続して行われた場合、図15中aの半押し時のようにメインコンデンサMCが満充電の状態でプレ発光が行われたときには、プレ発光終了後、充電時間150msだけ充電を行う。即ち、メインコンデンサMCが満充電とならない場合でも、シャッタレリーズ時の本発光(ストロボ撮影)に最低限必要な充電量(許容下限値)を確保して充電を停止する。これによって、もし、プレ発光後にシャッタボタン34が全押しされた場合にシャッタレリーズまでの遅延時間が長くならず、撮影者にとって違和感を生じさせないものとすることができる。
【0069】
これに対して、図15中bの半押し時のようにメインコンデンサMCが満充電でない状態でプレ発光が行われたときには、プレ発光終了後300msの充電を行う。
【0070】
尚、プレ発光後の充電によってメインコンデンサMCが満充電とならなかった場合、半押しが解除されると、充電が再開される。
【0071】
図16は、CPU60におけるプレ発光後の充電処理の手順を示したフローチャートである。まず、CPU60は、AFプレ未充電フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS200)。NOであれば、AFプレ未充電フラグをセットし(ステップS202)、定時間(150ms)をセットする(ステップS204)。そして、ストロボ充電処理を実行する(ステップS206)。ストロボ充電処理は、充電完了又は定時間経過すると終了する。また、充電が完了した場合にはストロボ未充電フラグをリセットする。続いて、定時間をリセットし(ステップS208)、このフローチャートの処理を終了する。
【0072】
一方、上記ステップS200においてYESと判定した場合には、定時間(300ms)をセットする(ステップS210)。次に、ストロボ充電処理を実行する(ステップS212)。上述と同様にストロボ充電処理は、充電完了又は定時間経過すると終了する。また、充電が完了した場合にはストロボ未充電フラグをリセットする。続いて、定時間をリセットする共に(ステップS214)、SP1のオフ信号を受け付ける(ステップS216)。そして、ストロボ充電が終了していなければ、再度ストロボ充電処理を再開する(ステップS218)。このストロボ充電処理では、充電完了又はSP1のオフで終了する。ステップS218の処理が終了すると、このフローチャートの処理を終了する。
【0073】
尚、上記説明では、満充電でない状態でプレ発光が行われた場合は、常に、300msの充電が行われるようになっているが(ただし、300ms以内に満充電に達した場合はその時点で終了)、これに限らず、満充電でない状態でのプレ発光が続いた場合には、300msの充電と150msの充電を交互に行うようにしてもよい。即ち、満充電の状態でのプレ発光後の充電を1回目とし、その後、満充電でない状態でのプレ発光後の充電を2回目、3回目、…とすると、奇数番目の充電を150ms、偶数番目の充電を300msとしてもよい。
【0074】
以上、上記実施の形態では、銀塩フイルムを使用したカメラについて説明したが、本発明は、これに限らず、デジタルカメラ等の他の種類の記録媒体に画像を記録するカメラにおいても適用できる。
【0075】
また、上記実施の形態では、パッシブ方式のオートフォーカスとして、一対のラインセンサを使用して各センサの被写体像のズレ量から被写体距離を測距する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、いわゆるコントラスト法を用いてオートフォーカス制御を行うカメラにおいても適用できる。
【0076】
また、上記実施の形態では、補助光の光源としてストロボを用いた場合について説明したが、本発明は、これに限らず、補助光の光源としてLEDやフィラメント電球等を用いた場合にも適用でき、この場合には、特に補助光の発光量の制御は、発光時間に限らず発光レベルの制御(電圧制御)で行うこともできるし、又は、発光時間と発光レベルの両方の制御で行うこともできる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るカメラによれば、オートフォーカス制御に使用するセンサの出力に基づいて補助光を発光すべきか否かを判別するため、合焦すべき被写体の輝度に基づいて適切にその判別を行うことができる。また、補助光が必要か否かを判別する際にはセンサを高感度にするため、短時間でその判別を行うことができる。また、補助光を発光する際にはセンサを低感度にするため、被写体距離が近い場合等であってもセンサの出力が飽和等する不具合が防止されると共に、精度の高い合焦制御を行うことができる。
【0078】
また、カメラ内の温度に基づいて補助光の発光時間又は発光レベルを制御するようにしたため、温度に影響されることなく、安定した発光量の補助光を発光することができる。
【0079】
また、撮影モードが夜景ポートレートモードの場合には、他の撮影モードの場合に比べて明るい条件下で補助光を発光するようにしたため、背景が明るい場合でも補助光の発光が行われ、背景にピントが合うなどの不具合を防止することができる。
【0080】
また、補助光を予め決められた最大発光回数だけ発光しても十分な出力がセンサから得られない場合であっても、フォーカスエラーとするのではなく、その時点のセンサの出力に基づいてオートフォーカス制御を行うため、フォーカスエラーを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るカメラの正面斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係るカメラの背面斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係るカメラの制御部を示したブロック図である。
【図4】図4は、パッシブ方式による被写体位置検出手段の構成を示した図である。
【図5】図5は、被写体位置検出手段から被写体までの距離が近い場合とのセンサ像を例示した図である。
【図6】図6は、被写体位置検出手段から被写体までの距離が遠い場合とのセンサ像を例示した図である。
【図7】図7は、センサの測距エリア及びピーク選択領域の説明に使用した図である。
【図8】図8は、CPUにおける測距処理に関して示したフローチャートである。
【図9】図9は、ストロボ回路の構成を示した回路図である。
【図10】図10は、ストロボ回路の構成を示した回路図である。
【図11】図11は、プレ発光処理の一連の処理動作の説明に使用した図である。
【図12】図12は、温度に応じて発光量を調整する場合の一例を示した図である。
【図13】図13は、ストロボ回路の構成を示した回路図である。
【図14】図14は、プレ発光に伴うストロボ充電(メインコンデンサMCの充電)の処理の説明に使用した図である。
【図15】図15は、プレ発光に伴うストロボ充電(メインコンデンサMCの充電)の処理の説明に使用した図である。
【図16】図16は、CPUにおけるプレ発光後の充電処理の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…カメラ、16…発光手段(ストロボ)、34…シャッタボタン、60…CPU、72…発光制御手段、74…被写体位置検出手段、94…Rセンサ、96…Lセンサ、99…IC、100…放電管、102…トリガー回路、MC…メインコンデンサ、E…電池、104、108…スイッチ回路、106…充電完了検出回路
Claims (2)
- 測距エリア内の被写体からの光を受光する複数の受光素子を有するセンサの出力に基づいてオートフォーカス制御するカメラにおいて、
被写体輝度値が一定レベルより暗い場合に前記被写体にオートフォーカス用の補助光を発光する補助光発光手段と、
夜景ポートレートモードを含む複数の撮影モードから所望の撮影モードを設定する撮影モード設定手段と、
前記撮影モード設定手段によって夜景ポートレートモードが設定されている場合には、他の撮影モードが設定されている場合に比べて明るい条件下で補助光を発光させる発光制御手段と、
を備えたことを特徴とするカメラ。 - 測距エリア内の被写体からの光を受光する複数の受光素子を有するセンサの出力に基づいてオートフォーカス制御するカメラにおいて、
前記被写体にオートフォーカス用の補助光を発光する補助光発光手段と、
前記補助光発光手段による補助光の発光回数が予め規定された最大発光回数に達したことを検出する発光回数検出手段と、
被写体距離を算出するために前記補助光発光手段から補助光を発光させて前記センサから出力値を取得する際に、前記センサから所望の出力値が得られると、前記補助光の発光回数が前記最大発光回数に達する前に補助光の発光を終了させて、その時点のセンサの出力値を被写体距離を算出するための有効な出力値として取得し、前記センサから所望の出力値が得られる前に前記補助光の発光回数が前記最大発光回数に達すると、その時点のセンサの出力値を被写体距離を算出するための有効な出力値として取得する制御手段と、
を備えたことを特徴とするカメラ。
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