JP3655774B2 - 自動焦点調節装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、被写体が低輝度または低コントラスト等である場合にフラッシュ装置を補助光源として使用するカメラの自動焦点調節装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
従来のいわゆるパッシブ方式のAF(自動焦点調節)カメラは、被写体が低輝度または低コントラスト等であるときに、カメラボディに内蔵されているAF用補助光源から補助光としてコントラストパターンを被写体に投影して、AFセンサが受光する被写体像にコントラストを発生させ、その被写体像より焦点検出を行なっている。しかし、焦点検出用の補助光源を撮影用のフラッシュ装置と別に設けるのでは、コストがかかるため、特開平5−34577号公報に開示されているように、フラッシュ装置を間欠発光させてAF用の補助光として用いるようにしているものもある。
しかしながら、上記補助光の間欠発光制御においては、被写体距離が近い場合や被写体の反射率が高い場合に1回の発光でAFセンサの積分値が処理可能なレンジを超えてしまい焦点検出処理が行えないことがある。また、被写体距離が遠い場合や被写体の反射率が低い場合には補助光の発光回数が多くなってAFセンサの積分終了までに時間がかかり、本来の補助光使用の目的である迅速な焦点検出動作およびオートフォーカス動作が行えない。
また、フラッシュ装置のキセノン管に倍電圧を印加する倍電圧回路コンデンサの充電電圧はフラッシュ光の発光により一旦下がり、次の発光開始時まで充電されて上がるが、発光回数が多くなるとフラッシュ装置の消費する電力が増えるため、倍電圧回路コンデンサの充電電圧が発光可能な電圧まで回復しないうちに次の発光時間がきてしまい途中で発光できなくなる場合がある。このため、従来は間欠発光開始時のフラッシュ装置の充電電圧を高く設定しなければならなかった。
【0003】
【発明の目的】
上記問題点を解消するために、本発明は、被写体の条件等に影響されず確実に補助光の発光量を制御することが可能な自動焦点調節装置を提供することを目的とする。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、被写体を撮影するために閃光を発する発光手段と、被写体光を受光して被写体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、光軸方向に移動して被写体の焦点状態を調整する焦点調節光学系と、焦点検出手段による焦点検出結果に基づいて焦点調節光学系を移動させるレンズ駆動手段と、レンズ駆動手段及び発光手段の動作を制御する制御手段とを備え、制御手段は、焦点検出手段による焦点検出が不可能であった場合には、レンズ駆動手段による焦点調節光学系の駆動を停止させたまま、発光手段を焦点検出用の補助光源として間欠発光させながら該焦点検出手段による焦点検出動作を再実行させ、且つ、発光手段を補助光源として間欠発光させるとき、焦点調節光学系の位置にかかわらず、1回または複数回の発光ごとに、発光時間を短時間から長時間へ段階的に延長し、さらに、この発光時間の延長に応じて発光間隔時間を短時間から長時間へ段階的に変更していくことに特徴を有する。
この構成によれば、発光手段による補助光の発光量を被写体の条件等に影響されず確実に制御でき、焦点検出手段の積分時間の短縮を図れる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明を説明する。図1は本発明を適用した、自動焦点(AF)一眼レフカメラの主要構成を示したブロック図である。このAF一眼レフカメラは、カメラボディ11と、このカメラボディ11に着脱可能なAF対応の撮影レンズ51とを備えている。そしてカメラボディ11は自動焦点調節手段と内蔵フラッシュ装置71を備えている。
【0006】
撮影レンズ51からカメラボディ11内に入射した被写体光束は、大部分がメインミラー13により、ファインダ光学系を構成するペンタプリズム17に向かって反射され、ペンタプリズム17で反射されてアイピースから射出する。ペンタプリズム17から射出された被写体光束の一部は測光用IC18の受光素子に入射する。一方、メインミラー13のハーフミラー部14に入射した光束の一部はここを透過し、サブミラー15により下方に反射され、AFセンサユニット21に入射する。
【0007】
測光用IC18は、受光量に応じて光電変換した電気信号を、周辺部制御用回路23を介してCPU35に測光信号として入力する。メインCPU35は、測光信号およびフィルム感度情報等に基づいて所定の露出演算を実行し、露出用の適正シャッタ速度および絞り値を算出する。そして、これらのシャッタ速度および絞り値に基づいて露光機構および絞り機構25を駆動してフィルムに露光する。さらに周辺部制御用回路23は、撮影処理に際し、モータドライブ回路27を介してミラーモータ31を駆動してメインミラー13のアップ/ダウン処理を行い、露光終了後にはフィルム巻上モータ33を駆動してフィルムを1コマ分巻き上げる。
【0008】
AFセンサユニット21は、いわゆる位相差方式の測距センサであって、図示しない撮影画面内における複数の焦点検出エリア内に含まれる被写体像を形成する被写体光束を二分割する分割光学系と、二分割された被写体光束をそれぞれ受光し、電気的信号(電荷)に変換して積分するCCDラインセンサと、各CCDラインセンサの積分値をチェックするモニタセンサ21aを備えている。CCDラインセンサが積分した信号電荷は、画素単位で逐一電圧に変換されて、増幅器21bで増幅され、画素単位のビデオ信号として、メインCPU35へ出力される。なお、メインCPU35は、モニタセンサ21aの積分値が所定値に達したときにそのCCDラインセンサの積分を終了させる。
【0009】
メインCPU35は、AFセンサユニット21から入力した焦点検出エリアに対応するビデオ信号に基づいて所定の演算によりデフォーカス量を算出する。次に、デフォーカス量に基づいてAFモータ39の回転方向および回転数(エンコーダ41が出力するパルス数)を算出する。そしてメインCPU35は、その回転方向およびパルス数に基づき、AFモータドライバ37を介してAFモータ39を駆動する。この駆動に際してメインCPU35は、AFモータ39の回転に連動してエンコーダ41が出力するパルスをカウントし、カウント値が上記パルス数に達したらAFモータ39を停止させる。
【0010】
AFモータ39は、その回転を、カメラボディ11のマウント部に設けられたジョイント47と撮影レンズ51のマウント部に設けられたジョイント57との接続を介して撮影レンズ51側に伝達する。そして、ギアブロック55を介して焦点調節用レンズ53を進退移動させる。
【0011】
またメインCPU35は、制御プログラム等をメモリしたROM35a、演算用、制御用の所定のデータを一時的にメモリするRAM35b、計時用の基準タイマー35c、ハードカウンタ35dおよびAFセンサユニット21から入力されるビデオ信号をA/D変換するA/D変換器35eを内蔵し、外部メモリ手段としてのEEPROM43が接続されている。このEEPROM43には、カメラボディ11特有の各種定数などがメモリされている。
【0012】
カメラボディ11にはメインCPU35が周辺部制御用回路23を介して制御可能なフラッシュ装置71が内蔵されている。内蔵フラッシュ装置71の詳細は図示しないが、ペンタプリズム17の上部に装着され、ポップアップ位置と収納位置とに移動する発光部を備えており、この発光部にキセノン管73が備えられている(図2参照)。内蔵フラッシュ装置71は、通常の撮影補助照明として用いられるフラッシュであるが、被写体が低輝度または低コントラスト等であるため焦点検出ができなかった場合には、焦点検出用の補助光源として用いられる。内蔵フラッシュ装置71は、メインCPU35から周辺部制御用回路23を介してFT信号(トリガ信号)を入力すると、フラッシュ光を発光させ、また、チャージ信号(充電開始信号)を入力すると充電を行い、その充電電圧を検知してRIF信号(充電電圧検知信号)を周辺部制御用回路23を介してメインCPU35に出力する。
【0013】
さらにメインCPU35には、内蔵フラッシュ装置71がポップアップしていることを検出するポップアップ検出スイッチSWP、レリーズボタン(図示せず)半押しでオンする測光スイッチSWSおよび全押しでオンするレリーズスイッチSWR、自動焦点制御とマニュアル焦点制御とを切換える自動焦点スイッチSWAF、周辺部制御用回路23等への電源をON/OFFするメインスイッチSWMが接続されている。メインCPU35は、設定されたAF、露出、撮影などのモード、シャッタ速度、絞り値などを表示器45に表示する。表示器45は、通常、カメラボディ11の外面およびファインダ視野内の2ヶ所に設けられた表示器を含む。
【0014】
このメインCPU35は、カメラボディ11および撮影レンズ51を総括的に制御する制御手段として機能するほかに、周辺部制御用回路23等とでAFセンサユニット21の積分処理を制御する積分制御手段を構成し、内蔵フラッシュ装置71と周辺部制御用回路23等とで発光制御手段を構成している。
【0015】
一方、撮影レンズ51には、焦点調節用レンズ53を光軸方向に駆動するギアブロック55、撮影レンズ51のマウント部に設けられていてカメラボディ11のジョイント47と連結してAFモータ39の回転をギアブロック55に伝達するレンズ側ジョイント57、レンズCPU61および距離スイッチ63を備えている。
【0016】
レンズCPU61は、焦点調節用レンズ53の位置を距離スイッチ63の状態から距離コードとして検出し距離情報を得る。レンズCPU61は、電気接点群59、49の接続を介してカメラボディ11の周辺部制御用回路23と接続されていて、この周辺部制御用回路23を介してメインCPU35との間でレンズ通信を実行し、距離情報、焦点距離情報、絞り情報等のレンズデータを入力する。
【0017】
図2を参照して内蔵フラッシュ装置71の構成および発光制御動作について説明する。内蔵フラッシュ装置71は、キセノン管73と、図示しないバッテリ電圧を昇圧する昇圧回路ブロック75と、トリガトランジスタIGBTをオン/オフしてフラッシュの発光/発光停止を制御するトリガ制御回路を含むトリガ回路ブロック77と、メインコンデンサCMの充電電圧を検知する充電電圧検知回路ブロック79を備えている。昇圧回路ブロック75およびトリガ回路ブロック77は、メインCPU35により周辺部制御用回路23を介して入力される充電信号およびメイン CPU 35により入力されるトリガ信号によって制御され、充電電圧検知回路ブロック79は、周辺部制御用回路23を介して充電電圧検知信号をメインCPU35に入力する。
【0018】
内蔵フラッシュ装置71は、メインCPU35からチャージ信号を入力すると、図示しないバッテリ電圧を昇圧回路ブロック75で昇圧し、メインコンデンサCMを充電する。充電電圧検知回路ブロック79は、メインコンデンサCMの充電電圧を検知して充電電圧検知信号をメインCPU35に出力する。トリガコンデンサC1は、トリガトランジスタIGBTがオンしたときにキセノン管73内のキセノンガスを励起状態にするために必要な高圧高周波電圧をトリガトランスTCの2次側に発生させるためのコンデンサである。倍電圧回路コンデンサC2はトリガトランジスタIGBTがオンしたときにキセノン管73の陰極側に負電圧を印加するためのコンデンサである。発光前のトリガコンデンサC1および倍電圧回路コンデンサC2の正極側にかかる電圧は、それぞれメインコンデンサCMの充電電圧とほぼ同電圧である。
【0019】
メインCPU35から内蔵フラッシュ装置71にトリガ信号が入力されると、トリガ回路ブロック77がトリガトランジスタIGBTをオンする。このときトリガコンデンサC1および倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧がメインコンデンサCMの充電電圧付近から瞬時に下がることにより、トリガトランスTCの2次側にはキセノン管73内のキセノンガスを励起させるための高圧高周波電圧が発生する。また、発光前に蓄積された電荷により倍電圧回路コンデンサC2の正極側の電位は0になっているため、キセノン管73の陰極側には倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧が負電圧となってあらわれ、キセノン管73の電極間にメインコンデンサCMの充電電圧のほぼ倍にあたる電圧が印加され、つまりキセノンガスを励起させるための高圧高周波電圧が与えられることにより発光にいたる。トリガ信号が停止すると、トリガ回路ブロック77がトリガトランジスタIGBTをオフして発光を停止させる。ここで、間欠発光時のトリガトランジスタIGBTのオン時間は極短いのでメインコンデンサCMの電圧降下は少なく、一旦下がった倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧は、次の発光開始時まで充電され、メインコンデンサCMの充電電圧まで上がる。なお、倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧が所定電圧よりも下がった状態ではトリガ信号入力時にキセノン管73の電極間に与える電圧が下がるので、トリガトランスTCの2次側に高電圧が発生してもキセノン管73は発光しづらくなる。
【0020】
図3は本発明の実施形態における内蔵フラッシュ装置71の間欠発光制御のタイミングチャートを示している。本発明では、AF処理中にまず制御できる最短の発光時間で発光させ、そのときにAFセンサユニット21の積分が終了していなければ、積分が終了するまで所定間隔で発光を繰り返すが、1回または複数回の発光ごとに発光時間を長くして1回の発光量を増やし、かつ発光時間に応じて1回の発光間隔を長くして倍電圧回路コンデンサC2の充電時間を長くする。本図示実施形態では、補正回数を2回、すなわち、2回の発光ごとに発光時間および発光間隔を長くしており、基準発光時間を10μs(マイクロ秒)、補正時間を2μs、基準発光間隔を10ms(ミリ秒)、補正間隔を2msとして最大10回まで発光する。ここで、発光間隔は発光停止時から次の発光開始時までとしている。発光時間および発光間隔は、補正回数を等しくせず、それぞれ単独に補正を行ってもよい。なお、図3のタイミングチャートでは図示の都合上、発光時間を約1000倍して示している。
【0021】
内蔵フラッシュ装置71はトリガ信号を受けると1回目の発光を10μs間行う。倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧は、発光により一旦下がるが、発光時間経過後は、発光間隔(10ms間)充電され、発光に必要な充電電圧まで回復する。
3回目の発光の際には発光時間を2μs長くして12μsとし、発光間隔を2ms長くして12msとして発光を行い、5回目の発光の際には発光時間を14μs、発光間隔を14msとする。なお、制御可能な最短発光時間および最短発光間隔、および2回目以降の発光時間および発光間隔は、内蔵フラッシュ装置71の性能等により変わる値である。
【0022】
1回の発光時間が長くなると、補助光の発光量が増えるため倍電圧回路コンデンサC2の電圧降下度も大きくなる。しかし、本発明では、倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧が次の発光開始時に直前の発光開始時の充電電圧まで上がるように、発光時間に対応して発光間隔を長くしている。そのため発光開始時の倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧をほぼ一定に維持でき、かつキセノン管最低発光可能電圧以下にならない。つまり発光回数が多くなっても途中で発光できなくなるという事態は生じず、最初の間欠発光開始時における内蔵フラッシュ装置71の充電電圧を高く設定する必要はなくなる。なお、本実施形態では、モニタセンサ21aの積分値が所定の積分終了値に達すれば、それ以降の発光を停止し、積分値が積分終了値に達しない場合は所定の最大発光回数まで発光して積分を停止させる。
【0023】
次に、図4〜図7を参照して本発明を適用した一眼レフカメラの主要動作について説明する。図4は、この一眼レフカメラのメイン処理に関するフローチャートである。このメイン処理では、測光スイッチSWSがオンされるのを待ち、測光スイッチSWSがオンされたら測光および露出演算処理(AE演算処理)を実行して最適絞り値およびシャッタ速度を求め、焦点検出処理およびレンズ駆動処理(AF処理)を実行して合焦させる。なお、図示しないが、レリーズスイッチSWRがオンされたらAE処理で求めた絞り値およびシャッタ速度で露光処理を実行する。
【0024】
このメイン処理には、バッテリが装填されたときに入る。この処理に入ると先ず、システムポート等をイニシャライズする(S101)。そしてメインCPU35以外の回路、部品への電源供給を遮断し(S103)、測光スイッチSWSがオンされるのを待つ(S105)。測光スイッチSWSがオンされると(S105;Y)、周辺機器への電力供給を開始してVDDループ処理を実行する(S107)。
【0025】
VDDループ処理に入ると、VDDループ時間タイマをスタートさせて(S109)、各スイッチの状態をチェックし(S111)、メインCPU35とレンズCPU61との間で所定のレンズ通信を実行して、開放絞り値、最小絞り値、焦点距離データなどのレンズデータを入力する(S113)。
【0026】
そして、AE演算処理を実行し(S115)、演算によって求めたシャッタ速度など、撮影に関する表示を行う(S117)。AE演算処理とは、測光IC18によって被写体輝度を測定し、被写体輝度データおよびフィルム感度データなどに基づき、所定の露出モード、例えばプログラム露出モードによって適正シャッタ速度および絞り値を演算により求める処理である。
【0027】
シャッタ速度および絞り値が求まると、AFセンサユニット21を介して焦点検出した被写体に合焦するように焦点調節用レンズ53を移動させる、AF処理を実行する(S119)。AF処理を、VDDループ時間が経過するまで繰り返す(S121 N S119)。
【0028】
ループ時間が経過したら(S121 Y)、測光スイッチSWSの状態をチェックし(S123)、オンしていたらVDDループ処理に戻る(S123 Y、S111)。測光スイッチSWSがオフしていたら(S123;N)、パワーホールド中フラグがセットされているかどうかをチェックし(S125)、セットされていなければパワーホールドタイマをスタートさせ(S125 N S127)、パワーホールド中フラグをセットしてからパワーホールドタイマがタイムアップするまで、VDDループ処理を繰り返す(S129 S131 N、S111)。そして、パワーホールド時間が経過したら、パワーホールド中フラグをクリアしてパワーダウン処理に戻る(S131 Y S133、S103)。
【0029】
「AF処理」S121で実行されるAF処理について図5を参照してより詳細に説明する。このAF処理は、焦点検出処理を実行して焦点検出した被写体に合焦するように焦点調節用レンズ53を移動させる処理であるが、通常の焦点検出処理を実行しても被写体が低輝度または低コントラスト等のため焦点検出が不可能であったと判断された場合には、内蔵フラッシュ装置71を間欠発光させながら再度焦点検出を行い、焦点検出した被写体に合焦するように焦点調節用レンズ53を移動させる処理である。
【0030】
AF処理に入ると先ずポップアップ検出スイッチSWPにより、内蔵フラッシュ装置71がポップアップされているかどうかをチェックする(S201)。ポップアップされていなければ、補助光許可フラグをクリアし(S201;N、S203)、補助光の使用を禁止する。補助光許可フラグとは、被写体が低輝度または低コントラスト等のため焦点検出が不可能であった場合に、焦点検出用の補助光として内蔵フラッシュ装置71の発光を許可するフラグで、1回目のAF処理時にはクリアされている。内蔵フラッシュ装置71がポップアップされていれば、補助光モードフラグをチェックし(S201;Y、S205)、補助光モードフラグがクリア状態にあれば補助光許可フラグをセットする(S205;N、S207)。補助光モードフラグは、AF処理1回目ではクリアされている状態で、その後はCPUが諸条件に基づき設定する。
【0031】
次に、測光スイッチSWSがオン状態にあるかどうかをチェックする(S209)。測光スイッチSWSがオフしていれば、補助光モードフラグ、補助光2回目フラグ、合焦フラグをそれぞれクリアしてリターンする(S209;N、S211)。測光スイッチSWSがオン状態にあれば(S209;Y)、被写体に合焦しているかどうか、合焦フラグをチェックし(S213)、合焦していればリターンする(S213;Y)。合焦していなければ積分処理をスタートさせる(S213;N、S215)。詳細は後述するが、1回目の積分処理では、内蔵フラッシュ装置71を発光させずにAFセンサユニット21に積分を実行させ、AFセンサユニット21の積分が終了するとメインCPU35はCCDビデオ信号を入力し、A/D変換器35eでディジタル信号に変換してRAM35bにメモリし、デフォーカス計算を実行してデフォーカス量を求める。そして、補助光モードチェック処理を実行する(S217)。補助光モードチェック処理では、詳細は後述するが、S215の積分処理では有効な演算結果が得られなかったとき、積分時間が所定時間よりも長かったときなどの条件を満たしたときに、内蔵フラッシュ装置71を間欠発光させながら再度積分処理を実行する。
【0032】
そして、演算OKフラグによりS215またはS217で有効な演算結果が得られたかどうかをチェックする(S219)。演算OKフラグは、デフォーカス演算終了後、算出したデフォーカス量が有効である場合にセットされるフラグである。演算OKフラグがセットされている場合には(S219;Y)、算出したデフォーカス量が合焦しているとみなせる合焦幅の範囲に含まれるかどうかをチェックし(S221)、デフォーカス量が合焦幅の範囲内であれば、合焦フラグをセットしてリターンする(S221;Y、S227)。デフォーカス量が合焦幅の範囲外であれば(S221;N)、合焦していないので、デフォーカス量などからAFパルス数を演算し(S223)、演算したAFパルス数に基づいてAFモータ39を駆動し焦点調節用レンズ53を移動してリターンする(S225)。
【0033】
演算OKフラグがセットされていない場合には(S219;N)、補助光モードフラグがセットされているかどうかチェックする(S229)。補助光モードフラグがセットされていなければそのままリターンする(S229;N)。補助光モードがセットされていれば(S229;Y)、補助光2回目フラグをチェックする(S231)。補助光2回目フラグがクリアされている状態であれば(S231;N)、所定位置へ焦点調節用レンズ53を移動し(S233)、補助光2回目フラグをセットしてリターンする(S235)。例えば焦点調節用レンズ53は撮影距離3mの位置へ移動させる。そして補助光2回目フラグがセットされている場合には(S231;Y)、補助光許可フラグをクリアして、つまり補助光の発光を禁止してリターンする(S237)。つまり、S229〜S237により、補助光を用いての1回目のAF処理で焦点検出が不可能であった場合には、焦点調節用レンズ53を所定位置に移動し、その位置で補助光を発光させながら再度焦点検出処理を行い、それでも焦点検出が不可能であった場合にはそれ以降、補助光を発光させないことにしている。
【0034】
「積分処理」
S215で実行される積分処理について、図6を参照してより詳細に説明する。この積分処理では、補助光許可フラグがセットされている等の補助光の発光条件が整っているときには補助光を発光させながらAFセンサユニット21に積分処理を実行させ、補助光の発光時間及び発光間隔時間の両方を段階的に制御して、適切な発光量の微小な調節を可能とし、また、補助光の発光に必要なキセノン管73両端の倍電圧を一定に維持できるようにしている。
【0035】
積分処理に入ると先ず補助光許可フラグをチェックし(S301)、補助光許可フラグがセットされている場合には(S301;Y)、補助光モードをチェックする(S303)。補助光許可フラグおよび補助光モードがセットされていない場合には(S301;N、S303;N)、補助光を発光させずに積分を開始させ(S305)、積分終了後CCDビデオ信号を入力し(S307;Y、S309)、デフォーカス計算を実行してデフォーカス量を求め(S311)、その演算結果が有効であるかどうか判断し(S313)、演算結果が有効であれば、演算OKフラグをセットしてリターンする(S313;Y、S315)。演算結果が有効でなかったときは演算OKフラグをクリアしてリターンする(S313;N、S314)。
【0036】
補助光モードがセットされている場合には(S303;Y)、内蔵フラッシュ装置71の充電電圧をチェックし(S317)、その充電電圧が補助光の発光に必要な電圧レベルに達していなければチャージ信号を出力して補助光用レベルまで充電する(S317;Y、S319)。充電完了後(S317;N、S319)、内蔵フラッシュ装置71の発光回数カウンタをクリアして(S321)、AFセンサユニット21に積分を開始させる(S323)。そして、補助光の発光時間および発光間隔を算出して設定し(S325、S327)、トリガ信号を内蔵フラッシュ装置71に出力し、内蔵フラッシュ装置71を発光させる(S329)。
【0037】
補助光を間欠発光させながら実行する焦点検出処理に必要な光量は、被写体距離に応じて異なり近距離では少なくて済み遠距離では多くなる。そのため、最初は制御可能な最短時間で発光して1回または複数回ごとに発光時間を長くし、かつ発光時間に応じて発光間隔を変化させているので、被写体の条件等に影響されずに適切な発光量の制御が可能になる。発光時間および発光間隔は次式により与えられ、そのタイミングチャートは図3に示される。
発光時間=基準発光時間+補正時間×発光回数÷補正回数
発光間隔=基準発光間隔+補正間隔×発光回数÷補正回数
ここで、基準発光時間および基準発光間隔とは、1回目の発光時間および発光間隔をいい、補正時間および補正間隔とは、発光時間および発光間隔を補正する補正定数を、補正回数とは何回の発光毎に発光時間および発光間隔を変更するかを設定する値をいい、すべてあらかじめ設定できる固定値であり、本実施形態ではEEPROM43に書き込まれている。発光回数は、発光後+1カウントされ所定の最大発光回数になるまでまたは積分が終了するまで増加する値である。ただし、発光回数を補正回数で除算した商は小数点以下切捨てとしている。
【0038】
なお、間欠発光時における発光回数に対応した発光時間および発光間隔を予め求めておき、これらのデータをEEPROM43に格納しておく形態としてもよいが、その場合にはEEPROM43等のメモリ容量を増大させなければならないというデメリットが生じてしまう。一方、本実施形態においては、単一の基準発光時間および基準発光間隔を基準として上記演算式により各発光時における発光時間および次の発光までの発光間隔を演算して決定する形態をとっているので、上記演算式における5つのパラメータ(基準発光時間、基準発光間隔、補正時間、補正間隔、補正回数)の格納だけで済み、EEPROM43等のメモリ容量が小さく抑えられると共に、上記5つのパラメータを適宜設定変更することで、あらゆる機種のカメラおよびフラッシュ装置に適用でき、異機種への適用が容易である点でも有利である。
【0039】
メインCPU35は、トリガ信号を出力し、内蔵フラッシュ装置71に発光を開始させ、設定した発光時間まで待って(S331)、発光時間を経過したらトリガ信号の出力を停止して内蔵フラッシュ装置71に発光を停止させ(S333)、発光回数を+1カウントする(S335)。そして、補助光の発光回数が予め設定した最大発光回数に達したかどうかをチェックする(S337)。本実施形態では、最大発光回数は10回に設定しているが、これに限定されない。補助光の発光回数が最大発光回数に達していない場合には(S337;N)、AFセンサユニット21の積分が終了したかどうかをチェックする(S339)。積分が終了していない場合には(S339;N)、発光間隔時間待って(S341)、発光を繰り返す(S325)。S341で発光間隔時間待っている間に、倍電圧回路コンデンサC2の充電電圧が回復する。発光回数が最大発光回数に達している場合(S337;Y)もしくはAFセンサユニット21の積分が終了している場合には(S339;Y)、CCDビデオ信号を入力し(S343)、デフォーカス計算を実行してデフォーカス量を求め(S345)、その演算結果が有効な場合には、演算OKフラグをセットし(S347;Y、S349)、演算結果が有効でない場合はクリアして(S347;N、S348)補助光用充電レベルまで内蔵フラッシュ装置71を充電してリターンする(S351)。
【0040】
「補助光モードチェック」S217で実行される補助光モードチェック処理について図7を参照して詳細に説明する。この補助光モードチェック処理は、補助光を発光させない焦点検出処理では焦点検出が不可能であった場合に、補助光としてフラッシュ光を間欠発光させながら焦点検出処理を実行する処理である。
【0041】
この処理に入ると先ず、補助光許可フラグの状態をチェックする(S401)。補助光許可フラグがセットされている場合は(S401;Y)、補助光モードフラグをチェックして(S403)、補助光モードフラグがセットされていなければ(S403;N)、演算OKフラグをチェックする(S405)。演算OKフラグがクリアされている場合には(S405;N)、次に積分時間と所定時間とを比較する(S407)。ここで、積分時間とは、AFセンサユニット21が積分を終了するまでにかかった時間をいう。積分時間が所定時間を超えている場合(S407;Y)、つまり被写体が暗い場合には、補助光モードフラグをセットし(S409)、内蔵フラッシュ装置71を間欠発光させて再び積分処理を行い、リターンする(S411)。
【0042】
補助光許可フラグは、AF処理開始時にはクリアされていて、内蔵フラッシュ装置71がポップアップしていることを条件に、1回目のAF処理時にS207でセットされ、所定位置に焦点調節用レンズ53を移動させた後に補助光を間欠発光させながら焦点検出処理を行っても焦点検出ができなかったときにS237でクリアされる。また、補助光モードフラグは、補助光を発光させずに行った焦点検出処理で被写体が暗いため検出結果が有効でなかったときにS409でセットされる。つまり、この補助光モードチェック処理では、1回のみ内蔵フラッシュ装置71を間欠発光させながら積分処理(S411)を実行し、2回目以降は既に補助光モードフラグがセットされているので、S215の積分処理で補助光を間欠発光し、この補助光モードチェックでは積分処理を実行しない。さらに、S237で補助光許可フラグをクリアして補助光の発光を禁止した後は、一度測光SWSをオフしてS211で補助光モードフラグをクリアしない限り、S207での補助光許可フラグはセットされない。
【0043】
なお、以上の実施形態では、補助光を間欠発光させるときの最初の発光時間、つまり基準発光時間を制御可能な最短時間と設定して固定値としているが、本発明はこれに限定されず、基準発光時間を可変値としてもよい。例えば、基準発光時間を、撮影レンズの開放F値が大きいほど長く設定し、撮影レンズの最短撮影距離に応じて長いほど長く設定する構成でもよい。また、本実施形態においては、発光時間および発光間隔の両者を変更しているが、発光時間は一定のままで発光間隔のみ変更させる構成としてもよい。この場合、補助光の間欠発光時において倍電圧回路コンデンサC2を十分に充電することができるため、発光回数が多くなっても確実に発光動作を行なわせることができる。
【0044】
以上の説明により明らかなように、本発明では、焦点検出が不可能であったときに、焦点調節光学系を停止させたまま焦点検出用の補助光として発光手段を間欠発光させながら焦点検出処理を行い、焦点調節光学系の位置にかかわらず補助光の1回または複数回の発光ごとに発光時間および発光間隔時間の両方を段階的に延長するので、被写体の条件等に影響されず確実に補助光の発光量を制御することが可能である。さらに本発明は、補助光の1回目の発光時間および発光間隔時間を制御可能な最短時間に設定することにより、被写体が近い場合には、余分な発光をなくして焦点検出手段の積分時間の短縮が図れる。そして、発光時間および発光間隔時間を制御可能な最短時間から段階的に長くしていくことにより、被写体が遠い場合には、一定の発光時間および発光間隔での発光よりも焦点検出手段の積分時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したオートフォーカス一眼レフカメラの一実施の形態の主要構成をブロックで示す図である。
【図2】同一眼レフカメラの内蔵フラッシュ装置の発光制御回路を示す図である。
【図3】同内蔵フラッシュ装置の間欠発光制御に関するタイミングチャートを示す図である。
【図4】同一眼レフカメラの主要動作に関するメインフローチャートを示す図である。
【図5】同一眼レフカメラのAF処理に関するフローチャートを示す図である。
【図6】同一眼レフカメラの積分処理に関するフローチャートを示す図である。
【図7】同一眼レフカメラの補助光モードチェック処理に関するフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
11 カメラボディ
13 メインミラー
14 ハーフミラー部
15 サブミラー
21 AFセンサユニット
21a モニタセンサ
21b 増幅器
35 メインCPU
51 撮影レンズ
53 焦点調節用レンズ
61 レンズCPU
71 内蔵フラッシュ装置

Claims (4)

  1. 被写体を撮影するために閃光を発する発光手段と、被写体光を受光して被写体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、光軸方向に移動して被写体の焦点状態を調整する焦点調節光学系と、前記焦点検出手段による焦点検出結果に基づいて前記焦点調節光学系を移動させるレンズ駆動手段と、前記レンズ駆動手段及び前記発光手段の動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記焦点検出手段による焦点検出が不可能であった場合には、前記レンズ駆動手段による前記焦点調節光学系の駆動を停止させたまま、前記発光手段を焦点検出用の補助光源として間欠発光させながら該焦点検出手段による焦点検出動作を再実行させ、且つ、前記発光手段を補助光源として間欠発光させるとき、前記焦点調節光学系の位置にかかわらず、1回または複数回の発光ごとに、発光時間を短時間から長時間へ段階的に延長し、さらに、この発光時間の延長に応じて発光間隔時間を短時間から長時間へ段階的に変更していくことを特徴とする自動焦点検出装置。
  2. 請求項1記載の自動焦点調節装置において、前記制御手段は、発光時間を制御可能な最短時間から長くしていき、この発光時間に応じて前記発光間隔時間を制御可能な最短間隔時間から長くしていくことを特徴とする自動焦点調節装置。
  3. 請求項記載の自動焦点調節装置において、前記制御手段は、前記発光手段を間欠発光させながら前記焦点検出手段に焦点検出を行なわせ、焦点検出不能であった場合には前記焦点調節レンズを所定位置まで移動させた後に、再度、前記発光手段を間欠発光させながら前記焦点検出手段に焦点検出を行なわせることを特徴とする自動焦点調節装置。
  4. 請求項記載の自動焦点調節装置において、前記焦点検出手段は、受光した被写体光を光電変換し、電荷として積分する撮像素子を備え、前記発光制御手段は、前記発光手段を間欠発光させたときに、予め設定された最大発光回数に達する前に前記撮像素子の積分値が所定値に達したときは、前記発光手段の間欠発光を停止させることを特徴とする自動焦点調節装置。
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