JP3997024B2 - 建設機械のウェイト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械のウェイト装置に関し、詳しくは作業機を移動可能に支承する上部旋回体を、下部走行体に対して旋回可能に配設するとともに、上部旋回体のフレームにエンジンルームカバーを開閉自在に支承した建設機械の、上部旋回体における後部に装着されるウェイトを備えた、建設機械のウェイト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11に示す油圧ショベル(建設機械)Aは、作業機Bを移動可能に支承する上部旋回体Cを、下部走行体Dに対して旋回可能に配設しており、上部旋回体Cのフレーム(レボルビングフレーム)Caには、該フレームCaに搭載されたエンジン等のメインテナンスを考慮して、エンジンルームカバーCbが開閉自在に支承されている。
【0003】
また、上記油圧ショベルAにおいては、その仕様や作業機Bの変更に伴う作業荷重の変化に対し、上部旋回体C(フレームCa)の後部にウェイトを装着することにより、このウェイトの重量で作業荷重によるモーメントに対抗させるよう構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図12に示す如く上部旋回体CのエンジンルームカバーCbは、後方へ解放するようヒンジEを介してフレームCaに支承されているが、美観等の観点からヒンジEは上部旋回体Cの内部に設けられているため、エンジンルームカバーCbの揺動支点は上部旋回体Cの内方に位置している。
【0005】
これにより、図12に示す如くエンジンルームカバーCbを開成した場合、該エンジンルームカバーの一部が、上部旋回体CにおけるフレームCaの後部を覆う格好となる。
【0006】
このため、上部旋回体CにおけるフレームCaの後部にウェイトを装着していた場合には、このウェイトとエンジンルームカバーCbとが干渉し、互いに当接することによって損傷を招いてしまう不都合があった。
【0007】
また、ウェイトと干渉することによってエンジンルームカバーCbを完全に開くことができず、フレームCaに搭載されたエンジン等のメインテナンスが行ない難くなる不都合があった。
【0008】
本発明の目的は上記実状に鑑み、上部旋回体の後部にウェイトを装着した状態において、開成したエンジンルームカバーとウェイトとの干渉を未然に防止することができ、また上部旋回体にウェイトを装着していない状態において、上部旋回体の外観に不用意な突起物が突出することを未然に防止し得る建設機械のウェイト装置を提供することにある。
【0009】
本発明に関わる建設機械のウェイト装置は、作業機を移動可能に支承する上部旋回体を下部走行体に対して旋回可能に配設するとともに、上部旋回体のフレームにエンジンルームカバーを開閉自在に支承した建設機械の、上部旋回体における後部に装着されるウェイトを備えて成る建設機械のウェイト装置であって、
上部旋回体に装着された銘板と交換して該上部旋回体に装着されるパネルに、上部旋回体に係合する上部フックとウェイトに係合する下部フックとを有するスパーを固設して成り、上部旋回体に対して着脱可能に設置されるフック部材と、 該フック部材の下部フックに係合するフック部を有し、上部旋回体の後部に装着された状態において、開成したエンジンルームカバーの占位を許容するクリアランス凹部を有するウェイトとを具備している。
【0010】
上記構成によれば、ウェイトにクリアランス凹部を形成したことで、開成したエンジンルームカバーがウェイトと干渉することがなく、もってエンジンルームカバー等の損傷を未然に防止し得るとともに、エンジンルームカバーを十分に開成することができるために、エンジンルーム内に対するメインテナンス等の作業性も向上することとなる。
【0011】
さらに上記構成によれば、ウェイトにフック部を設けたことにより、上部旋回体に取り付けたフック部材にウェイトを係止することで、上部旋回体に対するウェイトの保持および位置合わせを行なうことができ、もってウェイトの装着作業が極めて容易なものとなる。
【0012】
また上記構成によれば、フック部材が上部旋回体に対して着脱可能に設置されているので、上部旋回体にウェイトを装着しない場合には、上部旋回体からフック部材を取り外し、上部旋回体においてフック部材のパネルが装着されていた部位に銘板を装着することで、上部旋回体の外観にウェイトを装着するための不用意な突起物が突出することを未然に防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のウェイト装置10を装着した油圧ショベル(建設機械)1を示すものである。
【0014】
この油圧ショベル1は、図11および図12に示した油圧ショベルAと同様、作業機2を移動可能に支承する上部旋回体3を、下部走行体4に対して旋回可能に配設しており、上部旋回体3のフレーム(レボルビングフレーム)3Aには、該フレーム3Aに搭載されたエンジン等のメインテナンスを考慮して、エンジンルームカバー3Bが、図2に示す如くヒンジ3Cを介して開閉自在に支承されている。
【0015】
一方、図1〜図5に示す如く、本発明に関わるウェイト装置10は、ウェイト11と、ブラケット(フック部材)12とから構成されており、上部旋回体3のフレーム3Aに取り付けられたブラケット12を介して、ウェイト11がフレーム3Aの後部に装着されている。
【0016】
ウェイト11は、質量の大きな鋳鉄等の金属材料から製造され、図5〜図8に示す如く、上部旋回体3におけるフレーム3Aの後部形状に倣って湾曲形成されており、その上部中央にはクリアランス凹部11Aが形成されており、
このクリアランス凹部11Aは、ウェイト11を上部旋回体3のフレーム3Aに装着した状態において、開成したエンジンルームカバー3Bの占位を許容するもので、ウェイト11の上部中央を半円形状に切欠いた形状を呈している。
【0017】
また、フック部11における内側の中央部分には、後述する如く上部旋回体3のフレーム3Aに装着される際、ブラケット12と係合するフック部11Bが形成されている。
【0018】
また、ウェイト11には、左右一対の取付孔11C,11Cが貫通形成されており、各々の取付孔11Cの周囲には座凹部11Caが形成されている。
さらに、ウェイト11には、該ウェイト11を油圧ショベル1に装着する際のクレーンによる吊下時に使用されるフックボルト(図示せず)の取付部11D,11D、および該ウェイト11を油圧ショベル1に装着した状態において排気管を通すための凹部11Eが設けられている。
【0019】
一方、図9および図10に示す如く、ブラケット12はパネル12Aとスパー12Bとを備えている。
パネル12Aは、薄い板金を上部旋回体3におけるフレーム3Aの後部形状に倣って成形したもので、左右一対の取付孔12Aa,12Aaが設けられ、各々の取付孔12Aaの周囲には座凹部12Abが形成されている。
【0020】
スパー12Bは、パネル12Aよりも厚い板金の帯板であり、上下方向に延びる態様でパネル12Aの内面に固定され、その上部は屈曲形成されることによって上部フック12Baを構成している。
【0021】
また、スパー12Bの下部には、上述したウェイト11のフック部11Bと係合する下部フック12Cが設けられており、この下部フック12Cは左右のフックプレート12Caと補強板12Cbとから構成されている。
【0022】
上述した如く、ウェイト11とブラケット12とから構成されたウェイト装置10を、油圧ショベル1に装着する場合には、先ず上部旋回体3におけるフレーム3Aの後部に取付けられている銘板(図示せず)を取り外す。
【0023】
なお、上記銘板(図示せず)は、ブラケット12を構成するパネル12Aと同様の外観を呈しており、フレーム3Aの後部にボルト(図示せず)を用いて着脱自在に取り付けられている。
【0024】
フレーム3Aから銘板(図示せず)を取り外したのち、ブラケット12における上部フック12Baを、上部旋回体3のフレーム3Aに形成された、図示していないフック凹部に係止させ、次いでパネル12Aの各取付孔12Aaに嵌挿したボルト20(図3,図4参照)により、ブラケット12をフレーム3Aの後部に固定する。
【0025】
ブラケット12をフレーム3Aに固定したのち、クレーン等を用いてウェイト11を吊下げ、ブラケット12における下部フック12Cに、ウェイト11のフック部11Bを係合させることにより、フレーム3Aにブラケット12を介してウェイト11を保持させる。
【0026】
ここで、ブラケット12の下部フック12Cにウェイト11を保持させることにより、ウェイト11がフレーム3Aに対する所定位置に占位し、もってフレーム3Aに対するウェイト11の位置決めが為されることとなる。
【0027】
ウェイト11をブラケット12に保持させたのち、ウェイト11における各取付孔11Cに嵌挿したボルト30(図4参照)によって、ウェイト11をフレーム3Aの後部に固定することで、油圧ショベル1に対するウェイト装置10の装着作業は完了となる。
【0028】
図2および図3に示す如く、油圧ショベル1にウェイト装置10を装着した状態において、上部旋回体3のエンジンルームカバー3Bを開成した場合、該エンジンルームカバー3Bの一部は、フレーム3Aの後部を覆う格好となるものの、図3および図4に示す如く、エンジンルームカバー3Bの一部が、ウェイト11におけるクリアランス凹部11Aに占位することによって、開成したエンジンルームカバー3Bがウェイト11と干渉することを未然に防止できる。
【0029】
このように、エンジンルームカバー3Bとウェイト11との干渉が生じないことにより、エンジンルームカバー3Bおよびウェイト11の相互の損傷を未然に防止することができ、さらにエンジンルームカバー3Bを十分に開成することができるために、フレーム3Aに搭載されているエンジン等に対する作業性も向上することとなる。
【0030】
一方、油圧ショベル1に装着されたウェイト装置10を取り外す場合には、先ず各ボルト30(図4参照)を取り外したのち、クレーン等を用いてウェイト11をブラケット12から降ろす。
次いで、各ボルト20(図3,図4参照)を取り外し、ブラケット12をフレーム3Aから降ろしたのち、銘板(図示せず)をフレーム3Aに取り付ける。
【0031】
ここで、上述したウェイト装置10のブラケット12は、フレーム3Aに対して着脱自在に構成されているため、油圧ショベル1にウェイト装置10を装着しない場合には、ブラケット12を油圧ショベル1から取り外しておくことで、ウェイト11を装着する下部フック12C等が油圧ショベル1の外観に突出することを防止でき、美観等の観点から極めて効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わるウェイト装置を装着した建設機械の外観全体側面図。
【図2】本発明に関わるウェイト装置を装着した建設機械の要部側面図。
【図3】本発明に関わるウェイト装置を装着した建設機械の要部断面側面図。
【図4】本発明に関わるウェイト装置を装着した建設機械の要部背面図。
【図5】本発明に関わるウェイト装置のウェイトを示す外観正面図。
【図6】本発明に関わるウェイト装置のウェイトを示す外観上面図。
【図7】本発明に関わるウェイト装置のウェイトを示す外観側面図。
【図8】本発明のウェイト装置におけるウェイトの図5中におけるX−X線断面図。
【図9】 (a)および(b)は、本発明に関わるウェイト装置におけるブラケットを示す外観上面図および外観正面図。
【図10】 (a)および(b)は、本発明に関わるウェイト装置におけるブラケットを示す外観側面図および縦断面側面図。
【図11】一般的な建設機械を示す外観全体側面図。
【図12】エンジンルームカバーを開成した状態を示す建設機械の要部側面図。
【符号の説明】
1…油圧ショベル(建設機械)、
2…作業機、
3…上部旋回体、
3A…フレーム、
3B…エンジンルームカバー、
4…下部走行体、
10…ウェイト装置、
11…ウェイト、
11A…クリアランス凹部、
11B…フック部、
12…ブラケット(フック部材)。
Claims (1)
- 作業機を移動可能に支承する上部旋回体を下部走行体に対して旋回可能に配設するとともに、上部旋回体のフレームにエンジンルームカバーを開閉自在に支承した建設機械の、上部旋回体における後部に装着されるウェイトを備えて成る建設機械のウェイト装置であって、
前記上部旋回体に装着された銘板と交換して前記上部旋回体に装着されるパネルに、前記上部旋回体に係合する上部フックおよび前記ウェイトに係合する下部フックを有するスパーを固設して成り、前記上部旋回体に対して着脱可能に設置されるフック部材と、
前記フック部材の前記下部フックに係合するフック部を有し、前記上部旋回体の後部に装着された状態において、開成したエンジンルームカバーの占位を許容するクリアランス凹部を有するウェイトと、
を具備して成ることを特徴とする建設機械のウェイト装置。
Priority Applications (1)
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JP02061099A JP3997024B2 (ja) | 1999-01-28 | 1999-01-28 | 建設機械のウェイト装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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- 1999-01-28 JP JP02061099A patent/JP3997024B2/ja not_active Expired - Fee Related
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