JP3996862B2 - 農作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行車に連結されて使用される農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の農作業機は、例えば走行車に連結される固定機枠と、固定機枠に回動可能に設けられた第1回動アーム体と、第1回動アーム体に回動可能に設けられた第2回動アーム体と、第2回動アーム体にスライド可能に設けられた可動機枠と、可動機枠に設けられ走行車の前進走行時には前進作業状態で土作業をし走行車の後退走行時には後退作業状態で土作業をする土作業手段と、土作業手段を所定位置に固定するための2つの棒状の固定体とを備えている。そして、第2回動アーム体に対する可動機枠のスライドにより土作業手段の走行車に対する側方への突出量(オフセット量)が調節可能となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−17110号公報(第5頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の農作業機では、構成が複雑となりがちで、構成の簡素化を図ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構成の簡素化を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の農作業機は、走行車に連結される固定機枠と、この固定機枠に回動可能に設けられた回動アーム体と、この回動アーム体に回動可能に設けられた可動機枠と、この可動機枠に設けられ、前記走行車の前進走行時には前進作業状態で土作業をし、前記走行車の後退走行時には後退作業状態で土作業をする土作業手段と、前記固定機枠および前記可動機枠間に架設され、前記土作業手段の前記走行車に対する側方への突出量を調節するための第1伸縮手段と、前記固定機枠および前記可動機枠間に架設され、前記土作業手段を前進作業状態および後退作業状態に切り換えるための第2伸縮手段とを備えるものでである。
【0007】
そして、固定機枠および可動機枠間に架設された第1伸縮手段および第2伸縮手段を備えた構成であるから、従来の農作業機に比べて、構成の簡素化が図られる。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、土作業手段の突出量の調節時には、第1伸縮手段の伸縮に応じて回動アーム体および第2伸縮手段が互いに平行のまま回動するものである。
【0009】
そして、第1伸縮手段の伸縮に応じて回動アーム体および第2伸縮手段が互いに平行のまま回動するため、土作業手段の突出量が適切に調節される。
【0010】
請求項3記載の農作業機は、走行車に連結される固定機枠と、この固定機枠に回動可能に設けられた回動アーム体と、この回動アーム体に回動可能に設けられた可動機枠と、この可動機枠に設けられ、前記走行車の前進走行時には前進作業状態で土作業をし、前記走行車の後退走行時には後退作業状態で土作業をする土作業手段と、前記固定機枠および前記可動機枠間に架設され、前記土作業手段の前記走行車に対する側方への突出量を調節するための第1伸縮手段と、一端部が前記固定機枠に取り付けられ、他端部が連結手段を介して前記可動機枠に取り付けられ、前記土作業手段を前進作業状態および後退作業状態に切り換えるための第2伸縮手段とを備えるものである。
【0011】
そして、固定機枠および可動機枠間に架設された第1伸縮手段と一端部が固定機枠に取り付けられ他端部が連結手段を介して可動機枠に取り付けられた第2伸縮手段とを備えた構成であるから、従来の農作業機に比べて、構成の簡素化が図られる。
【0012】
請求項4記載の農作業機は、請求項3記載の農作業機において、回動アーム体は、その一端部が固定機枠に第1縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、その他端部が可動機枠に第2縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、第2伸縮手段は、その一端部が前記固定機枠に第3縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、連結手段は、その一端部が前記第2伸縮手段の他端部に回動可能に取り付けられ、その他端部が前記可動機枠に第4縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、土作業手段の突出量の調節時には、第1伸縮手段の伸縮に応じて、前記第1縦軸線と前記第4縦軸線とを結んだ第1直線および前記第2縦軸線と前記第3縦軸線とを結んだ第2直線が互いに平行のまま回動するものである。
【0013】
そして、第1伸縮手段の伸縮に応じて第1直線および第2直線が互いに平行のまま回動するため、土作業手段の突出量が適切に調節される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図4を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図4において、1は農作業機で、この農作業機1は、図示しない走行車であるトラクタに連結され、このトラクタの走行により移動しながら土作業である畦形成作業をする畦形成装置である。
【0016】
農作業機1は、トラクタの後部に3点リンク(作業機昇降支持装置)を介して連結される固定機枠2と、固定機枠2に上下方向の軸3を介して回動可能に設けられた長手状の1本の回動アーム体4と、回動アーム体4に上下方向の軸5を介して回動可能に設けられた可動機枠6とを備えている。
【0017】
固定機枠2は、左右方向に長手状のフレーム部11を有している。フレーム部11には、連結部であるトラクタ連結部12が設けられている。トラクタ連結部12は、トップピン13が取り付けられたトップマスト14と、ロワピン15が取り付けられたロワアーム16とにて構成されている。また、フレーム部11からは、やや長手状の取付部18が左斜め後方に向って突出し、この取付部18はやや先細状に形成されている。
【0018】
可動機枠6は、アーム体取付部21、シリンダ取付部22および作業手段取付部23を有している。そして、回動アーム体4の一端部は、固定機枠2の取付部18の基端側に軸3を介して回動可能に取り付けられている。回動アーム体4の他端部は、可動機枠6のアーム体取付部21に軸5を介して回動可能に取り付けられている。
【0019】
また、農作業機1は、トラクタの前進走行時には前進作業状態で畦形成作業をし、トラクタの後退走行時には後退作業状態で畦形成作業をする土作業手段31を備え、この土作業手段31は、可動機枠6の作業手段取付部23に取り付けられている。
【0020】
そして、土作業手段31は、畦塗り用の土を耕耘して盛り上げる回転可能な盛土体(ロータリ)32と、この盛土体32の移動方向後方に配置されこの盛土体32にて盛り上げられた土を元畦に押し込むように締め固めて傾斜状の畦内側面および水平状の畦上面を形成する回転可能な畦形成体(ディスク)33とを有している。
【0021】
盛土体32は、作業状態時には軸方向が平面視で前後方向と一致する回転軸35と、この回転軸35に放射状に取り付けられた複数の耕耘爪36とにて構成されている。また、畦形成体33は、作業状態時には軸方向が平面視で左右方向と一致する回転軸37と、この回転軸37に取り付けられた略円錐台状の側面形成部材38および略円筒状の上面形成部材39とにて構成されている。
【0022】
これら盛土体32および畦形成体33は、いずれもトラクタ側からの動力を伝動手段(図示せず)を介して受けて所定方向に駆動回転するようになっている。この伝動手段は、図示しないが、例えば入力軸、この入力軸にベベルギア部を介して接続された動力伝達軸、この動力伝達軸にダブルジョイントを介して接続された伝動シャフト等にて構成されている。
【0023】
なお、土作業手段31は、前進作業状態(図1および図2参照)では盛土体32がトラクタより一側方(右側方)に突出した状態で前側(トラクタ側)に位置しかつ畦形成体33がトラクタより一側方(右側方)に突出した状態で後側(反トラクタ側)に位置するが、後退作業状態(図4参照)では畦形成体33がトラクタより他側方(左側方)に突出した状態で前側に位置しかつ盛土体32がトラクタより他側方(左側方)に突出した状態で後側に位置する。
【0024】
また、土作業手段31は、前進作業状態および後退作業状態に加えて、土作業手段(盛土体32および畦形成体33)31がトラクタより側方に突出することなくそのトラクタの後方に位置する非作業状態である格納非作業状態(図3参照)に切換可能となっている。
【0025】
さらに、農作業機1は、固定機枠2および可動機枠6間に架設された第1シリンダ(第1伸縮手段)41および第2シリンダ(第2伸縮手段)42を備えている。
【0026】
この第1シリンダ41は、前進作業状態の土作業手段31のトラクタに対する一側方への突出量を調節するためのもので、この第2シリンダ42は、土作業手段31を前進作業状態(一の前進作業状態)、格納非作業状態(非作業状態)および後退作業状態に切り換えるためのものである。
【0027】
そして、第1シリンダ41のみの伸縮により、前進走行時における土作業手段31のトラクタに対する一側方への突出量が一の前進作業状態(突出量最小の前進作業状態)と他の前進作業状態(突出量最大の前進作業状態)との間で調節可能となっている。
【0028】
また、第2シリンダ42のみの伸縮により、土作業手段31が一の前進作業状態(突出量最小の前進作業状態)、後退作業状態および格納非作業状態にそれぞれ切換可能となっている。
【0029】
なお、土作業手段31の後退作業状態および格納非作業状態から突出量最大の前進作業状態への切換と、突出量最大の前進作業状態から後退作業状態および格納非作業状態への切換は、第1シリンダ41および第2シリンダ42の両方を伸縮させる必要がある。
【0030】
第1シリンダ41は、例えば手動式のシリンダで、この手動式の第1シリンダ41は、細長い筒状の第1シリンダ本体43と、この第1シリンダ本体43内にこの第1シリンダ本体43に対して突出長さ変更可能に挿通されこの第1シリンダ本体43の先端開口から突出した第1ピストンロッド44とを有している。
【0031】
第1シリンダ本体43の基端部は、固定機枠2の取付部18の先端側に上下方向の軸45を介して回動可能に取り付けられている。第1シリンダ本体43に対して進退可能な第1ピストンロッド44の先端部は、可動機枠6のシリンダ取付部22に上下方向の軸46を介して回動可能に取り付けられている。第1シリンダ本体43の先端部には、1つの孔50が形成されている。また、第1ピストンロッド44には、複数(例えば2つ)の孔、すなわち先端側から順に第1孔51および第2孔52が形成されている。
【0032】
第2シリンダ42は、第1シリンダ41と同様、例えば手動式のシリンダで、この手動式の第2シリンダ42は、細長い筒状の第2シリンダ本体63と、この第2シリンダ本体63内にこの第2シリンダ本体63に対して突出長さ変更可能に挿通されこの第2シリンダ本体63の先端開口から突出した第2ピストンロッド64とを有している。
【0033】
第2シリンダ本体63の基端部は、固定機枠2の取付部18の長手方向中央近傍に上下方向の軸65を介して回動可能に取り付けられている。第2シリンダ本体63に対して進退可能な第2ピストンロッド64の先端部は、可動機枠6のシリンダ取付部22に上下方向の軸66を介して回動可能に取り付けられている。第2シリンダ本体63の先端部には、1つの孔70が形成されている。また、第2ピストンロッド64には、複数(例えば3つ)の孔、すなわち先端側から順に第1孔71、第2孔72および第3孔73が形成されている。
【0034】
なお、回動アーム体4、伸縮可能な第1シリンダ41および伸縮可能な第2シリンダ42にて、固定機枠2と可動機枠6とを連結する連結機構60が構成されている。
【0035】
そして、図1に示すように突出量最大の前進作業時には、第1シリンダ41の第1シリンダ本体43の孔50と第1ピストンロッド44の第2孔52とが上下に対向し、この対向した両孔50,52に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド44が第1シリンダ本体43に対して固定されている。また、第2シリンダ42の第2シリンダ本体63の孔70と第2ピストンロッド64の第3孔73とが上下に対向し、この対向した両孔70,73に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド64が第2シリンダ本体63に対して固定されている。このとき、第2シリンダ42および回動アーム体4は、互いに平行で、その長手方向が前後方向に対して傾斜した状態となっている。
【0036】
図2に示すように突出量最小の前進作業時には、第1シリンダ41の第1シリンダ本体43の孔50と第1ピストンロッド44の第1孔51とが上下に対向し、この対向した両孔50,51に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド44が第1シリンダ本体43に対して固定されている。また、第2シリンダ42の第2シリンダ本体63の孔70と第2ピストンロッド64の第3孔73とが上下に対向し、この対向した両孔70,73に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド64が第2シリンダ本体63に対して固定されている。このとき、第2シリンダ42および回動アーム体4は、互いに平行で、その長手方向が前後方向に対して図1に示す場合より小さい傾斜角度をもって傾斜した状態となっている。
【0037】
図3に示すように非作業時(格納時)には、第1シリンダ41の第1シリンダ本体43の孔50と第1ピストンロッド44の第1孔51とが上下に対向し、この対向した両孔50,51に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド44が第1シリンダ本体43に対して固定されている。また、第2シリンダ42の第2シリンダ本体63の孔70と第2ピストンロッド64の第2孔72とが上下に対向し、この対向した両孔70,72に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド64が第2シリンダ本体63に対して固定されている。
【0038】
図4に示すように後退作業時(リターン作業時)には、第1シリンダ41の第1シリンダ本体43の孔50と第1ピストンロッド44の第1孔51とが上下に対向し、この対向した両孔50,51に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド44が第1シリンダ本体43に対して固定されている。また、第2シリンダ42の第2シリンダ本体63の孔70と第2ピストンロッド64の第1孔71とが上下に対向し、この対向した両孔70,71に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド64が第2シリンダ本体63に対して固定されている。このとき、回動アーム体4は、第2シリンダ42と交差し、その長手方向が平面視で左右方向に一致した状態となっている。
【0039】
次に、上記第1の実施の形態の動作等を説明する。
【0040】
トラクタの前進走行により畦形成作業を行う前進作業時(通常作業時)には、土作業手段31を前進作業状態に設定する(図1、図2参照)。このとき、前進作業状態の土作業手段31のトラクタに対する一側方への突出量の調節は、第1シリンダ41を伸縮させることで行う。そして、この土作業手段31の突出量の調節時には、第1シリンダ41の伸縮に応じて回動アーム体4および第2シリンダ42が互いに平行のままそれぞれ軸3,65を中心として回動し、土作業手段31が前後方向に対して左右に平行移動する。
【0041】
例えば図1に示す状態(突出量最大の前進作業状態)から図2に示す状態(突出量最小の前進作業状態)に切り換える場合は、第1ピンを孔50,52から抜いてから、第1シリンダ41を縮めて土作業手段31を所定位置まで平行移動させ、その後、互いに上下に対向した孔50,51に対して第1ピンを差し込む。また、例えば図2に示す状態から図1に示す状態に切り換える場合は、第1ピンを孔50,51から抜いてから、第1シリンダ41を伸ばして土作業手段31を所定位置まで平行移動させ、その後、互いに上下に対向した孔50,52に対して第1ピンを差し込む。
【0042】
そして、このように土作業手段31を所望の前進作業状態に設定した状態で、トラクタを前進走行させると、農作業機1がトラクタとともに移動方向に向って移動し、トラクタからの動力が伝動手段を介して盛土体32および畦形成体33に伝達され、これら盛土体32および畦形成体33が所定方向に回転する。すると、畦塗り用の土が盛土体32の耕耘爪36にて耕耘されて元畦に盛り上げられ、この元畦に盛り上げられた土が畦形成体33の側面形成部材38および上面形成部材39にて締め固められて傾斜状の畦側面および水平状の畦上面が形成され、崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0043】
また、例えば圃場の角部においてトラクタの後退走行により畦形成作業を行う後退作業時には、土作業手段31を後退作業状態に設定する(図4参照)。
【0044】
例えば図1に示す状態から図4に示す状態(後退作業状態)に切り換える場合は、第1ピンを孔50,52から抜くとともに第2ピンを孔70,73から抜いた後、第1シリンダ41を縮めるとともに第2シリンダ42を縮める。すると、土作業手段31が所定位置まで移動するとともに180度回動し、畦形成体33が前側に位置しかつ盛土体32が後側に位置した状態となる。その後、互いに上下に対向した孔50,51に対して第1ピンを差し込むとともに、互いに上下に対向した孔70,71に対して第2ピンを差し込む。
【0045】
また、例えば図2に示す状態から図4に示す状態に切り換える場合は、第1ピンの抜差しは不要で、第2ピンを孔70,73から抜いた後、第2シリンダ42を縮めて土作業手段31を所定位置まで移動させるとともに180度回動させる。その後、互いに上下に対向した孔70,71に対して第2ピンを差し込む。
【0046】
そして、このように土作業手段31を所望の後退作業状態に設定した状態で、トラクタを後退走行させると、農作業機1がトラクタとともに移動方向に向って移動し、トラクタからの動力が伝動手段を介して盛土体32および畦形成体33に伝達され、これら盛土体32および畦形成体33が所定方向に回転し、畦塗り用の土が盛土体32の耕耘爪36にて耕耘されて元畦に盛り上げられ、この元畦に盛り上げられた土が畦形成体33の側面形成部材38および上面形成部材39にて締め固められて傾斜状の畦側面および水平状の畦上面が形成され、崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0047】
なお、農作業機1を倉庫等の保管場所まで運搬する運搬時等の非作業時には、図3に示すように、土作業手段31を格納非作業状態に設定してこの土作業手段31をトラクタの後方に位置させる。
【0048】
このように、この第1の実施の形態の農作業機1は、1本の回動アーム体4と2本のシリンダ41,42とにて構成された連結機構60を備えた構成であるから、従来の農作業機に比べて、構成の簡素化を適切に図ることができ、よって組立て作業を容易にでき、製造コストを低減できる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について図5ないし図8を参照して説明する。
【0050】
図5ないし図8に示す第2の実施の形態の農作業機1は前記連結機構60とは異なる連結機構80を備える点、取付部18が前記第1の実施の形態のものに比べて小さい点、可動機枠6がアーム体取付部21およびシリンダ取付部22の代わりにやや長手状の取付部79を有する点で、前記第1の実施の形態とは異なるが、その他の点は基本的に同一である。
【0051】
ここで、連結機構80は、固定機枠2および可動機枠6間に架設された伸縮可能な第1シリンダ(第1伸縮手段)81と、一端部が固定機枠2に取り付けられ他端部が連結手段(リンク機構)83を構成する第1リンク86および第2リンク87を介して可動機枠6に取り付けられた伸縮可能な第2シリンダ(第2伸縮手段)82とを備えている。
【0052】
この第1シリンダ81は、前進作業状態の土作業手段31のトラクタに対する一側方への突出量を調節するためのもので、この第2シリンダ82は、土作業手段31を前進作業状態(一の前進作業状態)、格納非作業状態(非作業状態)および後退作業状態に切り換えるためのものである。
【0053】
そして、第1シリンダ81のみの伸縮により、前進走行時における土作業手段31のトラクタに対する一側方への突出量が一の前進作業状態(突出量最小の前進作業状態)と他の前進作業状態(突出量最大の前進作業状態)との間で調節可能となっている。
【0054】
また、第2シリンダ82のみの伸縮により、土作業手段31が一の前進作業状態(突出量最小の前進作業状態)、後退作業状態および格納非作業状態にそれぞれ切換可能となっている。
【0055】
なお、土作業手段31の後退作業状態および格納非作業状態から突出量最大の前進作業状態への切換と、突出量最大の前進作業状態から後退作業状態および格納非作業状態への切換は、第1シリンダ81および第2シリンダ82の両方を伸縮させる必要がある。
【0056】
第1シリンダ81は、例えば手動式のシリンダで、この手動式の第1シリンダ81は、細長い筒状の第1シリンダ本体93と、この第1シリンダ本体93内にこの第1シリンダ本体93に対して突出長さ変更可能に挿通されこの第1シリンダ本体93の先端開口から突出した第1ピストンロッド94とを有している。
【0057】
第1シリンダ本体93の基端部は、固定機枠2の取付部18の先端側に上下方向の軸45を介して回動可能に取り付けられている。第1シリンダ本体93に対して進退可能な第1ピストンロッド94の先端部は、可動機枠6の取付部79に上下方向の軸46を介して回動可能に取り付けられている。第1シリンダ本体93の先端部には、1つの孔100が形成されている。また、第1ピストンロッド94には、複数(例えば2つ)の孔、すなわち先端側から順に第1孔101および第2孔102が形成されている。
【0058】
第2シリンダ82は、第1シリンダ81と同様、例えば手動式のシリンダで、この手動式の第2シリンダ82は、細長い筒状の第2シリンダ本体113と、この第2シリンダ本体113内にこの第2シリンダ本体113に対して突出長さ変更可能に挿通されこの第2シリンダ本体113の先端開口から突出した第2ピストンロッド114とを有している。
【0059】
第2シリンダ本体113の基端部は、固定機枠2の取付部18の基端側に上下方向の軸65を介して回動可能に取り付けられている。第2シリンダ本体113に対して進退可能な第2ピストンロッド114の先端部は、第1リンク86の一端部に上下方向の軸115を介して回動可能に取り付けられている。
【0060】
第1リンク86の長手方向中央部は、上下方向の支軸116を介して回動アーム体4の長手方向中央部に回動可能に取り付けられている。また、第1リンク86の他端部は、第2リンク87の一端部に上下方向の軸117を介して回動可能に取り付けられている。第2リンク87の他端部は、可動機枠6の取付部79に上下方向の軸118を介して回動可能に取り付けられている。
【0061】
さらに、第2シリンダ本体113の先端部には、1つの孔120が形成されている。また、第2ピストンロッド114には、複数(例えば3つ)の孔、すなわち先端側から順に第1孔121、第2孔122および第3孔123が形成されている。
【0062】
そして、図5に示すように突出量最大の前進作業時には、第1シリンダ81の第1シリンダ本体93の孔100と第1ピストンロッド94の第2孔102とが上下に対向し、この対向した両孔100,102に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド94が第1シリンダ本体93に対して固定されている。また、第2シリンダ82の第2シリンダ本体113の孔120と第2ピストンロッド114の第1孔121とが上下に対向し、この対向した両孔120,121に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド114が第2シリンダ本体113に対して固定されている。
【0063】
図6に示すように突出量最小の前進作業時には、第1シリンダ81の第1シリンダ本体93の孔100と第1ピストンロッド94の第1孔101とが上下に対向し、この対向した両孔100,101に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド94が第1シリンダ本体93に対して固定されている。また、第2シリンダ82の第2シリンダ本体113の孔120と第2ピストンロッド114の第1孔121とが上下に対向し、この対向した両孔120,121に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド114が第2シリンダ本体113に対して固定されている。
【0064】
図7に示すように非作業時(格納時)には、第1シリンダ81の第1シリンダ本体93の孔100と第1ピストンロッド94の第1孔101とが上下に対向し、この対向した両孔100,101に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド94が第1シリンダ本体93に対して固定されている。また、第2シリンダ82の第2シリンダ本体113の孔120と第2ピストンロッド114の第2孔122とが上下に対向し、この対向した両孔120,122に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド114が第2シリンダ本体113に対して固定されている。
【0065】
図8に示すように後退作業時(リターン作業時)には、第1シリンダ81の第1シリンダ本体93の孔100と第1ピストンロッド94の第1孔101とが上下に対向し、この対向した両孔100,101に第1ピン(図示せず)が差し込まれ、この第1ピンを介して第1ピストンロッド94が第1シリンダ本体93に対して固定されている。また、第2シリンダ82の第2シリンダ本体113の孔120と第2ピストンロッド114の第3孔123とが上下に対向し、この対向した両孔120,123に第2ピン(図示せず)が差し込まれ、この第2ピンを介して第2ピストンロッド114が第2シリンダ本体113に対して固定されている。このとき、回動アーム体4は、第2シリンダ82と交差し、その長手方向が平面視で左右方向に一致した状態となっている。
【0066】
なお、図5および図6から明らかなように、回動アーム体4は、その一端部が固定機枠2に第1縦軸線(軸3の軸芯)X1を中心として回動可能に取り付けられ、その他端部が可動機枠6に第2縦軸線(軸5の軸芯)X2を中心として回動可能に取り付けられている。また、第2シリンダ82は、その一端部(第2シリンダ本体113の基端部)が固定機枠2に第3縦軸線(軸65の軸芯)X3を中心として回動可能に取り付けられている。さらに、連結手段83は、その一端部(第1リンク86の一端部)が第2シリンダ82の他端部(第2ピストンロッド114の先端部)に回動可能に取り付けられ、その他端部(第2リンク87の他端部)が可動機枠6に第4縦軸線(軸118の軸芯)X4を中心として回動可能に取り付けられている。
【0067】
そして、土作業手段31の突出量の調節時には、第1シリンダ81の伸縮に応じて、第1縦軸線X1と第4縦軸線X4とを結んだ第1直線L1および第2縦軸線X2と第3縦軸線X3とを結んだ第2直線L2が互いに平行のまま回動し、土作業手段31が前後方向に対して左右に平行移動する。
【0068】
次に、上記第2の実施の形態の動作等を説明する。
【0069】
トラクタの前進走行により畦形成作業を行う前進作業時(通常作業時)には、土作業手段31を前進作業状態に設定する(図5、図6参照)。このとき、前進作業状態の土作業手段31のトラクタに対する一側方への突出量の調節は、第1シリンダ81を伸縮させることで行う。
【0070】
例えば図5に示す状態(突出量最大の前進作業状態)から図6に示す状態(突出量最小の前進作業状態)に切り換える場合は、第1ピンを孔100,102から抜いてから、第1シリンダ81を縮めて土作業手段31を所定位置まで平行移動させ、その後、互いに上下に対向した孔100,101に対して第1ピンを差し込む。また、例えば図6に示す状態から図5に示す状態に切り換える場合は、第1ピンを孔100,101から抜いてから、第1シリンダ81を伸ばして土作業手段31を所定位置まで平行移動させ、その後、互いに上下に対向した孔100,102に対して第1ピンを差し込む。
【0071】
そして、このように土作業手段31を所望の前進作業状態に設定した状態で、トラクタを前進走行させると、農作業機1がトラクタとともに移動方向に向って移動し、トラクタからの動力が伝動手段を介して盛土体32および畦形成体33に伝達され、これら盛土体32および畦形成体33が所定方向に回転する。すると、畦塗り用の土が盛土体32の耕耘爪36にて耕耘されて元畦に盛り上げられ、この元畦に盛り上げられた土が畦形成体33の側面形成部材38および上面形成部材39にて締め固められて傾斜状の畦側面および水平状の畦上面が形成され、崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0072】
また、例えば圃場の角部においてトラクタの後退走行により畦形成作業を行う後退作業時には、土作業手段31を後退作業状態に設定する(図8参照)。
【0073】
例えば図5に示す状態から図8に示す状態(後退作業状態)に切り換える場合は、第1ピンを孔100,102から抜くとともに第2ピンを孔120,121から抜いた後、第1シリンダ81を縮めるとともに第2シリンダ82を伸ばす。すると、連結手段83が作動し、土作業手段31が所定位置まで移動するとともに180度回動し、畦形成体33が前側に位置しかつ盛土体32が後側に位置した状態となる。その後、互いに上下に対向した孔100,101に対して第1ピンを差し込むとともに、互いに上下に対向した孔120,123に対して第2ピンを差し込む。
【0074】
また、例えば図6に示す状態から図8に示す状態に切り換える場合は、第1ピンの抜差しは不要で、第2ピンを孔120,121から抜いた後、第2シリンダ82を伸ばして連結手段83を作動させかつ土作業手段31を所定位置まで移動させるとともに180度回動させる。その後、互いに上下に対向した孔120,123に対して第2ピンを差し込む。
【0075】
そして、このように土作業手段31を所望の後退作業状態に設定した状態で、トラクタを後退走行させると、農作業機1がトラクタとともに移動方向に向って移動し、トラクタからの動力が伝動手段を介して盛土体32および畦形成体33に伝達され、これら盛土体32および畦形成体33が所定方向に回転し、畦塗り用の土が盛土体32の耕耘爪36にて耕耘されて元畦に盛り上げられ、この元畦に盛り上げられた土が畦形成体33の側面形成部材38および上面形成部材39にて締め固められて傾斜状の畦側面および水平状の畦上面が形成され、崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0076】
なお、農作業機1を倉庫等の保管場所まで運搬する運搬時等の非作業時には、図7に示すように、土作業手段31を格納非作業状態に設定してこの土作業手段31をトラクタの後方に位置させる。
【0077】
このように、この第2の実施の形態の農作業機1は、1本の回動アーム体4と2本のシリンダ81,82と2本のリンク86,87にて構成された連結機構80を備えた構成であるから、前記第1の実施の形態と同様、従来の農作業機に比べて、構成の簡素化を適切に図ることができ、よって組立て作業を容易にでき、製造コストを低減できる。
【0078】
なお、上記いずれの実施の形態においても、第1伸縮手段である第1シリンダ41,81および第2伸縮手段である第2シリンダ42,82は、手動式のシリンダであると説明したが、例えば、図示しないが、各シリンダ41,42,81,82を油圧シリンダ等の自動式のシリンダにて構成し、土作業手段31の走行車に対する側方への突出量の調節と、土作業手段31の作業状態の切換とを自動的に行えるようにしてもよい。
【0079】
また、各伸縮手段は、手動式或いは自動式のシリンダには限定されず、例えばねじを利用したねじ式の構成とすることもできる。
【0080】
さらに、農作業機1は、畦形成作業をする土作業手段31を備えたものには限定されず、例えば、図示しないが、土作業として溝掘作業をする土作業手段を備えたもの等でもよい。
【0081】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、固定機枠および可動機枠間に架設された第1伸縮手段および第2伸縮手段を備えた構成であるから、従来の農作業機に比べて、構成の簡素化を図ることができる。
【0082】
請求項2の発明によれば、第1伸縮手段の伸縮に応じて回動アーム体および第2伸縮手段が互いに平行のまま回動するため、土作業手段の突出量を適切に調節できる。
【0083】
請求項3の発明によれば、固定機枠および可動機枠間に架設された第1伸縮手段と一端部が固定機枠に取り付けられ他端部が連結手段を介して可動機枠に取り付けられた第2伸縮手段とを備えた構成であるから、従来の農作業機に比べて、構成の簡素化を図ることができる。
【0084】
請求項4の発明によれば、第1伸縮手段の伸縮に応じて第1直線および第2直線が互いに平行のまま回動するため、土作業手段の突出量を適切に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の前進作業時の平面図である。
【図2】同上農作業機の前進作業時の平面図である。
【図3】同上農作業機の格納非作業時の平面図である。
【図4】同上農作業機の後退作業時の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の前進作業時の平面図である。
【図6】同上農作業機の前進作業時の平面図である。
【図7】同上農作業機の格納非作業時の平面図である。
【図8】同上農作業機の後退作業時の平面図である。
【符号の説明】
1 農作業機
2 固定機枠
4 回動アーム体
6 可動機枠
31 土作業手段
41,81 第1伸縮手段である第1シリンダ
42,82 第2伸縮手段である第2シリンダ
83 連結手段
L1 第1直線
L2 第2直線
X1 第1縦軸線
X2 第2縦軸線
X3 第3縦軸線
X4 第4縦軸線
Claims (4)
- 走行車に連結される固定機枠と、
この固定機枠に回動可能に設けられた回動アーム体と、
この回動アーム体に回動可能に設けられた可動機枠と、
この可動機枠に設けられ、前記走行車の前進走行時には前進作業状態で土作業をし、前記走行車の後退走行時には後退作業状態で土作業をする土作業手段と、
前記固定機枠および前記可動機枠間に架設され、前記土作業手段の前記走行車に対する側方への突出量を調節するための第1伸縮手段と、
前記固定機枠および前記可動機枠間に架設され、前記土作業手段を前進作業状態および後退作業状態に切り換えるための第2伸縮手段と
を備えることを特徴とする農作業機。 - 土作業手段の突出量の調節時には、第1伸縮手段の伸縮に応じて回動アーム体および第2伸縮手段が互いに平行のまま回動する
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。 - 走行車に連結される固定機枠と、
この固定機枠に回動可能に設けられた回動アーム体と、
この回動アーム体に回動可能に設けられた可動機枠と、
この可動機枠に設けられ、前記走行車の前進走行時には前進作業状態で土作業をし、前記走行車の後退走行時には後退作業状態で土作業をする土作業手段と、
前記固定機枠および前記可動機枠間に架設され、前記土作業手段の前記走行車に対する側方への突出量を調節するための第1伸縮手段と、
一端部が前記固定機枠に取り付けられ、他端部が連結手段を介して前記可動機枠に取り付けられ、前記土作業手段を前進作業状態および後退作業状態に切り換えるための第2伸縮手段と
を備えることを特徴とする農作業機。 - 回動アーム体は、その一端部が固定機枠に第1縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、その他端部が可動機枠に第2縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、
第2伸縮手段は、その一端部が前記固定機枠に第3縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、
連結手段は、その一端部が前記第2伸縮手段の他端部に回動可能に取り付けられ、その他端部が前記可動機枠に第4縦軸線を中心として回動可能に取り付けられ、
土作業手段の突出量の調節時には、第1伸縮手段の伸縮に応じて、前記第1縦軸線と前記第4縦軸線とを結んだ第1直線および前記第2縦軸線と前記第3縦軸線とを結んだ第2直線が互いに平行のまま回動する
ことを特徴とする請求項3記載の農作業機。
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