JP3996075B2 - スピーカ振動板用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピーカ振動板用フィルムに係り、特に車載用や携帯電話用スピーカ等に好適に使用できる、音響特性に優れたスピーカ振動板用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
車載用や、携帯電話用スピーカ等には耐熱性に優れたポリエーテルイミドからなるポリエーテルイミド製スピーカ振動板がポリエチレンテレフタレート製スピーカに代えて使用されてきている(例えば特許文献1参照)。
通常、ポリエーテルイミドは、弾性率がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートより小さいため、同じ周波数特性を得るために必要なフィルムの厚さを比較的厚くすることができ、加工時の取扱が容易という利点がある。
また、ポリエーテルイミド製スピーカ振動板に使用されるポリエーテルイミドフィルムは通常、非晶性の無延伸フィルムであり、熱成形性が極めて良好なために、種々のスピーカ形状に成形する際の加工性に優れているという利点がある。
【0003】
しかしながら、ポリエーテルイミド製スピーカ振動板は、スピーカ振動板の形状等によりローリング、ビビリが発生し易く、音質的な弱点となっている。
また、低温域での音圧レベルが低いという欠点があり、ポリエーテルイミド製振動板を用いて音質をさらに向上させることが要望されている。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−68839号公報
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解消できるスピーカ振動板用フィルムを見出したものであり、その要旨とするところは、
ポリエーテルイミドフィルム基材の片面または両面に、室温23℃での損失正接(tanδ 周波数1Hz、引張法)がポリエーテルイミドよりも高く、かつ室温23℃での貯蔵弾性率(E' 周波数1Hz、引張法)が前記ポリエーテルイミドフィルム基材よりも低い樹脂被覆層を設けてなることを特徴とするスピーカ振動板用フィルムにある。
また、前記樹脂被覆層は、片面で基材厚さの5%乃至100%であることが良く、樹脂としてはポリウレタン系樹脂からなることが好ましい。
さらに、本発明は、前記樹脂被覆層に帯電防止効果のある物質を添加するか、前記樹脂被覆層に金属層を被覆してなり、フィルムの表面抵抗が1013Ω
以下であるスピーカ振動板用フィルムを含んでいる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のフィルムでは、基材フィルムであるポリエーテルイミドの片面または両面に、特定の粘弾性特性を有する樹脂被覆層を設けることにより、ポリエーテルイミドの成形性を維持しつつ音質改良を改良することができる。
【0007】
基材フィルムに使用するポリエーテルイミドとしては、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合及びイミド結合を含む非晶性熱可塑性樹脂であり、特に制限されるものでない。具体的には、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem CRS5001」、「Ultem 1000」として市販されており、ともに使用することができる。
【0008】
ポリエーテルイミド樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、通常、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として、また、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物とm−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。また、上述した非晶性ポリエーテルイミド樹脂には、ポリイミド単位などの共重合可能な他の単量体単位を導入してもかまわない。なお、使用するポリエーテルイミド樹脂は、1種類を単独、又は2種類以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0009】
本発明では、上記基材フィルムの片面または両面にポリエーテルイミドより損失正接が高く、かつ室温23℃での貯蔵弾性率(E' 周波数1Hz、引張法)が前記ポリエーテルイミドフィルム基材よりも低い樹脂被覆層を設ける必要があり、損失正接の測定方法は動的粘弾性測定機により、室温23℃、引張法、周波数1Hzで測定した数値である。基材のポリエーテルイミドの損失正接は通常0.02程度であり、これに比べて高い、0.03以上が好ましい。
樹脂被覆層の損失正接が基材フィルムの損失正接未満ではローリング、ビビリが発生し易いという問題がある。
【0010】
上記の被覆用の樹脂としてはウレタン系、ナイロン系、シリコーン系、ポリアミドイミド等が挙げられるが、成形加工の耐熱性、比重等の点からウレタン系樹脂の使用が好ましい。ウレタン系樹脂としては具体的にはポリオール/イソシアネート系ウレタン樹脂等の2液硬化型が挙げられる。
樹脂被覆層の厚さは選定する樹脂によるが、層の厚さが大きいと物性は被覆樹脂の物性に近くなり、損失正接等を大きくコントロール出来るが、逆にポリエーテルイミドの耐熱性、成形性が犠牲になる恐れがある。このため樹脂被覆層の厚さは基材フィルムの5%〜100%、好ましくは5%〜50%が適当である。
【0011】
上記樹脂被覆層での貯蔵弾性率の測定方法は上記の損失正接の測定方法と同じである。基材のポリエーテルイミドの貯蔵弾性率は通常3.5×109MPaであり、これに比べて低い、3.0×109MPa以下が好ましい。
樹脂被覆層の貯蔵弾性率が基材フィルム以上では低音域での音圧レベルが低下し易いという問題がある。使用する樹脂としては上記のウレタン系樹脂が使用できる。
本発明では、以上の粘弾性特性を全て満足したフィルムが、スピ−カ振動板としての性能が優れたものが得られる。
【0012】
基材フィルムに樹脂被覆層を設ける方法としてはグラビアコート、リバースコート等フィルムの表面に均一に塗れる方法なら特に限定されない。
樹脂被覆層は基材フィルムの片面でも両面でもよいが、被覆後のフィルムのカールを考慮すると両面の方が望ましい。
さらに、前記樹脂被覆層に帯電防止効果のある物質を添加するか、前記樹脂被覆層に金属層を被覆して、フィルムの表面抵抗を1013Ω以下とすることが好ましい。1013Ω以下とすることによりスピーカ成形時に成形用の金型からのフィルムの離型を良くすることができ、また、成形品のハンドリング性を改良する(1枚1枚剥がれやすい)ことができるという利点がある
【0013】
上記の帯電防止効果のある物質としては導電性カーボン、金属化合物、界面活性剤等が使用でき、さらに、表面を粗面化してすべり性を確保するためのマット剤等の改質剤を適宜添加することが出来る。
また、上記の樹脂被覆層に被覆する金属層に使用する金属としてはアルミ、クロム、チタン等が好適に使用でき、被覆方法としては通常の蒸着法、スパッタリング法によればよい。金属層を設けることにより上記フィルムの成形時の離型性の改良とともに耐熱性の改良と意匠性が増すという効果もある。
金属層の厚さとしては、100〜1000オングストロ−ム程度が良く、100オングストローム未満では耐熱性の改良効果が少なく、1000オングストロームを超えると成形性が低下し易いという傾向がある。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0015】
(実施例1)
厚さ25μmのポリエーテルイミドフィルム(GE Plastics社製「UltemCRS5001−1000」)の片面にポリウレタン系インク(東洋インキ製造(株)製「ラミスターR−92」マット墨)をグラビアコート法により全面被覆(厚さ5μm)した。
【0016】
(実施例2)
厚さ25μmのポリエーテルイミドフィルム(GE Plastics社製「UltemCRS5001−1000」)の片面にポリウレタン系インク(東洋インキ製造(株)製「N1038ラミスター」)をリバースコート法により全面被覆(厚さ17μm)した。
【0017】
(実施例3)
実施例1に用いたフィルムのポリウレタン系樹脂層の表面に金属アルミを蒸着法により400オングストローム厚で形成した。
【0018】
(比較例1)
厚さ25μmのポリエーテルイミドフィルム(GE Plastics社製「UltemCRS5001−1000」)で、表面には何も被覆処理を施していないフィルム。
【0019】
上記4種類のフィルムの貯蔵弾性率、損失正接をアイティー計測制御(株)製:動粘弾性測定装置「DVA−200」を用いて、引張法で測定温度23℃、測定周波数1Hzで測定したデータを表1に示した。音質の評価はJISC5532に準拠して周波数特性を測定し、ビビリがなくまた低音域での音圧レベルが高くスピーカとして極めて良好なものを◎、良好なものを○、ビビリ等が発生し性能が劣ったものを×とした。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から、本発明のフィルムは音質が良好であることが分かる。
また、実施例1のフィルムを型温200℃の雄雌型で圧力0.4MPa、時間15秒で成形したところ、変形等の問題なく成形できた。さらにインクに入れたカーボンの効果により帯電防止性が向上し、金型からの剥がれがよくなり、成形品を重ねたときも分離がし易かった。
さらに実施例3のフィルムでは、耐熱性が良好で金型の冷却温度を下げることなく金型への融着がなかった(型温230℃の雄雌型で圧力0.4MPa、時間15秒で成形し、180℃まで冷却したときの融着状況を見た)。
金属層がないものでは冷却温度を150℃まで低下させる必要があり、成形サイクルが低下し易い傾向が見られた。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、成形性を損ねることなく音響特性に優れたスピーカ振動板用フィルムが得られる。
Claims (5)
- ポリエーテルイミドフィルム基材の片面または両面に、室温23℃での損失正接(tanδ 周波数1Hz、引張法)が前記ポリエーテルイミドよりも高く、かつ室温23℃での貯蔵弾性率(E' 周波数1Hz、引張法)が前記ポリエーテルイミドフィルムよりも低い樹脂被覆層を設けてなることを特徴とするスピーカ振動板用フィルム。
- 樹脂被覆層が片面で基材厚さの5%乃至100%であることを特徴とする請求項1記載のスピーカ振動板用フィルム。
- 樹脂被覆層がポリウレタン系樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2記載のスピーカ振動板用フィルム。
- 樹脂被覆層に帯電防止効果のある物質を添加してなり、フィルムの表面抵抗が1013Ω以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスピーカ振動板用フィルム。
- 樹脂被覆層に金属層を被覆してなり、フィルムの表面抵抗が1013Ω以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスピーカ振動板用フィルム。
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