JP2003319489A - 音響機器振動板用フィルムおよび音響機器振動板ならびに音響機器 - Google Patents

音響機器振動板用フィルムおよび音響機器振動板ならびに音響機器

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JP2003319489A
JP2003319489A JP2002126391A JP2002126391A JP2003319489A JP 2003319489 A JP2003319489 A JP 2003319489A JP 2002126391 A JP2002126391 A JP 2002126391A JP 2002126391 A JP2002126391 A JP 2002126391A JP 2003319489 A JP2003319489 A JP 2003319489A
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film
diaphragm
acoustic device
thermoplastic resin
present
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JP2002126391A
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English (en)
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Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Shoji Nakajima
彰二 中島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性、成形性に優れる音響機器振動板用フィ
ルムおよび音響機器振動板ならびに音響機器を提供す
る。 【解決手段】ポリエステルを主成分とする樹脂Aとガラ
ス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂Bのブレンド
物からなる音響機器振動板用フィルム。同フィルムから
なる音響機器振動板ならびに音響機器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種音響機器すなわ
ちスピーカーを構成する音響機器振動板用フィルムおよ
び音響機器振動板ならびに音響機器(以下、音響機器を
スピーカーということがある)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックから成る音響機器振
動板としてはポリエチレンテレフタレートフィルムが使
用されている。また、特開平1−67099号公報、特
開昭62−263797号公報には、ポリエチレンテレ
フタレートよりも耐熱性、剛性に優れたポリエチレンナ
フタレートを用いた音響機器振動板が開示されている。
【0003】ポリエチレンテレフタレートを用いた音響
機器振動板は、小口径のスピーカー、例えば小型ラジオ
用スピーカヘッドホン用スピーカーなどに使用した場
合、65℃以上の雰囲気下で熱変形を生じ易く、このた
め異常音を発生することがあるという耐熱性に関して根
本的な問題があった。また、ポリエチレンテレフタレー
トは、弾性率が比較的高いが内部損失が小さいため、低
域再生が不十分でまた音響周波数特性上にピーク,ディ
ップが生じやすいという問題があり、フィルムの膜厚を
薄くしてスティフネスを小さくすると分割共振が生じや
すく、再生時歪の発生原因となり易いという問題もあっ
た。一方、ポリエチレンナフタレートの音響機器振動板
は、ポリエチレンテレフタレート製の振動板よりも、耐
熱性や周波数特性に優れているが、スピーカー振動板に
成形加工する際に裂けたり割れる問題が度々あり、成形
性、歩留まり・コストの点で必ずしも満足のいくもので
はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点が改善された耐熱性、成形性に優れる音響機器振動
板用フィルムおよび音響機器振動板ならびに音響機器を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の音響機器振動板用フィルムは主として次の
構成を有する。すなわち、ポリエステルを主成分とする
樹脂Aとガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂
Bのブレンド物からなる音響機器振動板用フィルムであ
る。
【0006】本発明の音響機器振動板用フィルムは主と
して次の構成を有する。すなわち、上記音響機器振動板
用フィルムからなる音響機器振動板である。
【0007】また、本発明の音響機器は主として次の構
成を有する。すなわち、少なくとも磁気回路と、この磁
気回路に結合されたフレームと、このフレームの周辺部
に周縁部が固着された音響機器用振動板と、この音響機
器用振動板の中央部に結合されるとともに前記磁気回路
の磁気ギャップに挿入されるボイスコイルとで構成され
る音響機器であって、音響機器振動板として、上記音響
機器振動板用フィルムからなる音響機器振動板を用いた
ことを特徴とする音響機器である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルを主成
分とする樹脂とは、ジオールとジカルボン酸の縮重合に
より得られるポリマーを少なくとも80重量%含有する
ポリマーである。ジカルボン酸とは、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸、セバチン酸などで代表されるものであり、ま
た、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサ
ンジメタノールなどで代表されるものである。具体的に
は、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポ
リエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポ
リ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを挙げること
ができる。勿論、これらのポリエステルは、ホモポリマ
ーであってもコポリマーであってもよく、コポリマーの
場合、共重合成分として、例えば、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコー
ルなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
などのジカルボン酸成分、ヒドロキシ安息香酸、6ーヒ
ドロキシー2ーナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸
成分を含有していても良い。本発明の場合、エチレンテ
レフタレート成分を80モル%以上含有するポリエステ
ルがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが最も
好ましい。
【0009】ポリエステルの重合触媒としては代表的に
は3酸化アンチモン等のアンチモン系、2酸化マンガン
等のマンガン系、2酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム
系、各種チタン系、アルミニウム系化合物をその代表と
して挙げることが出来る。フイルムの透明性から、全量
あるいは一部にゲルマニウム系触媒を使用するのが好適
である。
【0010】本発明に用いられるポリエステルの固有粘
度は、溶融混練性、製膜性、溶融押出時の分解性等の観
点から、好ましくは0.55〜2.0dl/g、より好
ましくは0.6〜1.4dl/g、最も好ましくは0.
70〜1.0dl/gである。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度
は150℃以上、好ましくは200℃以上とするもので
あり、350℃以下、さらには300℃以下であること
が好ましい。ガラス転移温度が150℃未満では、該フ
ィルムから構成される音響機器振動板の耐熱性が不十分
であり、本発明の目的を達成できない。また、熱可塑性
樹脂Bのガラス転移温度が上記好ましい範囲であれば、
熱可塑性樹脂Aの中に混合分散することが容易となる。
【0012】ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性
樹脂Bは、溶融成形性であれば、特に限定されないが、
ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リアミドイミドが好ましく例示される。本発明では、特
にポリイミドが好ましく例示される。ポリイミドは、溶
融成形性であれば特に限定されないが、例えば、下記一
般式で示されるような構造単位を含有するものが好まし
い。
【0013】
【化1】 ただし、式中のR1は、
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】 などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭
化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表し
て、また、式中のR2 は、
【0016】
【化4】 などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭
化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表
す。
【0017】かかるポリイミドは、テトラカルボン酸お
よび/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノアミン、
芳香族一級モノアミン、脂肪族一級ジアミンおよび芳香
族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二
種以上の化合物を脱水縮合することにより得ることがで
きる。
【0018】熱可塑性樹脂Aとの混合分散、溶融成形性
や取扱い性等の点から、下記一般式で示されるような、
ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエー
テルイミドが特に好ましい。
【0019】
【化5】 (ただし、上記式中R3は、6〜30個の炭素原子を有
する2価の芳香族または脂肪族残基、R4は6〜30個
の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭
素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を
有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子
を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノ
シロキサン基からなる群より選択された2価の有機基で
ある。)上記R3、R4 としては、例えば、下記式群に
示される芳香族残基
【0020】
【化6】 を挙げることができる。(式中のnは1〜5の整数) 本発明では、ポリマー1との親和性、コスト、溶融成形
性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカル
ボキシフェノキシ)フェニル]プロパン2無水物とm−
フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンと
の縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有す
るポリマーが好ましい。
【0021】
【化7】 または
【0022】
【化8】 (nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数) このポリエーテルイミドは、例えば、“ウルテム”の商
品名で、ジーイープラスチックス社から入手することが
可能である。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂Bとして用いるポリ
エーテルスルホンは、芳香族環が1つのスルホニル基
と、1つまたは2つのエーテル基とで結合されつ下記式
の繰り返し単位を有するポリマーであるが、他の構造単
位がある程度共重合されていてもよい。
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】 本発明の熱可塑性樹脂として用いるポリスルホンは、下
記式の繰り返し単位を有するポリマーであるが、例えば
アルキル基などの官能基を含んでいてもよく、また他の
構造単位がある程度共重合されていてもよい。
【0027】
【化12】 本発明のフィルムを構成するブレンド物の熱可塑性樹脂
Aと熱可塑性樹脂Bの重量組成比(樹脂Aの重量分率/
樹脂Bの重量分率)は、95/5〜5/95が好まし
く、より好ましくは、90/10〜40/60、さらに
好ましくは90/10〜60/40である。熱可塑性樹
脂Aの重量分率がかかる好ましい範囲であると、所望の
形状に成形することが容易であるとともに、本発明で目
的とする耐熱性向上の効果も得られる。また、熱可塑性
樹脂A中での混合分散性に優れ成形性が良好であり、ま
た、二軸延伸によりフィルムに配向を付与することも容
易であり、周波数特性を優れたものとすることができ
る。
【0028】本発明で開示するフィルムを構成するブレ
ンドには、分散径を制御するために、必要に応じて、相
溶化剤を併用してもよい。この場合、相溶化剤の種類
は、ポリマーの種類によって異なるが、添加量は0.0
1〜10重量%が好ましい。
【0029】本発明のブレンド物中の熱可塑性樹脂Aま
たは熱可塑性樹脂Bの分散ドメインは、フィルムの耐熱
性、成形性向上の観点から200nm以下、より好まし
くは100nm以下、さらに好ましくは20nm以下で
あることが好ましい。分散ドメインがかかる好ましい範
囲であると、成形性に優れ、フィルムの動的弾性率が低
下することなく、周波数特性を良好に保つことができ
る。
【0030】本発明において、熱可塑性樹脂Bの重量分
率が30%未満であるブレンド物を使用する場合には、
熱可塑性樹脂Bを熱可塑性樹脂Aに添加する時期は、熱
可塑性樹脂Aの重合前、例えば、エステル化反応前に添
加してもよいし、重合後に添加してもよい。また、溶融
押出前に、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを混合して
ペレタイズしてもよい。
【0031】ペレタイズの際に、一旦、熱可塑性樹脂B
を高濃度(例えば、40〜80重量%、より好ましくは
50〜60重量%)含有するブレンド物からなるマスタ
ーペレットを作製してから、さらに熱可塑性樹脂Aで希
釈して、所定の濃度に調整する方法を用いると、熱可塑
性樹脂A中における熱可塑性樹脂Bの混合分散性が向上
し、本発明で使用するブレンド物としてより好ましい。
【0032】本発明のフィルムの弾性率は、フィルムの
長手方向、幅方向共に3.5GPa以上、8GPa以下
であることが好ましく、4.0GPa以上、6GPa以
下がさらに好ましい。弾性率がかかる好ましい範囲であ
ると、音響機器振動板として使用した時に十分な周波数
特性が得られ、また成形性が悪化して音響機器振動板に
成形しにくくなることもない。
【0033】本発明のフィルムの長手方向の100℃の
熱収縮率は、1.0%未満、−0.5%以上であること
が好ましく、0%以上、0.5%未満がより好ましい。
熱収縮率がかかる好ましい範囲であると、音響機器振動
板としての成形性、耐熱性が十分である。
【0034】本発明のブレンド物を構成する熱可塑性樹
脂A,Bをブレンド物中で好ましい分散状態に調整する
他の方法としては、例えば、タンデム押出機を用いて混
合する方法、粉砕器で熱可塑性樹脂を粉末状に粉砕した
後に混合する方法、両者を溶媒に溶解し共沈させること
により混合する方法、一方を溶媒に溶かした溶液状とし
た後に他方に混合する方法なども挙げられるが、この限
りではない。
【0035】本発明のフィルムは、タルク、カーボン繊
維、チタン酸カリウム繊維よりなる強化材群から選ばれ
る少なくとも1種を含むことが好ましい。また、本発明
を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エス
テル、ワックスなどの有機滑剤などが添加されてもよい
また本発明のフィルムには、特に限定されないが、フィ
ルムのハンドリングを良化させる目的で、不活性粒子を
含有させてもよい。なお、本発明で言う不活性粒子と
は、平均粒径5nm〜5μm程度の無機または有機の粒
子で、本発明のブレンド物中で化学反応を起こしたりし
ないものを言う。不活性粒子としては、酸化チタン、炭
酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリ
カ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル
酸類、スチレン、シリコーン、イミド等を構成成分とす
る有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等
によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)や、界面活
性剤などがある。本発明のフィルムに含有させる不活性
粒子の平均粒径や含有量は目的に応じて適宜選択するこ
とができる。
【0036】本発明のフィルムは、長手方向および幅方
向に二軸延伸して配向を付与したものであることが好ま
しい。延伸方法としては、長手方向に延伸した後に幅方
向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テン
ター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時
二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法
を組み合わせた方法などが包含される。
【0037】本発明のフィルムの厚みは、適用する音響
機器に応じて適宜決定できるが、3〜250μmが好ま
しく、12〜188μmが好ましく、25〜100μm
が最も好ましい。本発明のフィルムは、さらに他のポリ
マー層、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩
化ビニリデンおよびアクリル系ポリマーを直接、あるい
は接着剤などの層を介して積層してもよい。
【0038】本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂Aと熱
可塑性樹脂Bからなるブレンド物を溶融押出して、押出
機先端に設置した口金から溶融ポリマーを冷却固化させ
てシート状に成形し、該シート状成型物を長手方向と幅
方向の2軸に延伸した後、熱処理することにより製造さ
れる。この際、長手方向、および、幅方向の延伸は1段
階ずつで行っても良いが、2段階以上に分けて延伸して
も良い。
【0039】本発明のフィルムを製造する際の長手方
向、幅方向の各々の総延伸倍率は、特に限定されない
が、1.5〜8倍が好ましく、より好ましくは2.5〜
6倍である。長手方向の総延伸倍率がかかる好ましい範
囲であると、弾性率が十分で、音響特性が良好であり、
一方、フィルム破れも少なく、生産性が良好である。本
発明のフィルムを製造する際の延伸温度は、特に限定さ
れず、使用する樹脂の種類によっても異なるが、熱可塑
性樹脂Aのガラス転移温度Tg〜Tg+100℃の範囲
で行う場合、延伸性が良好となるため好ましい。本発明
のフィルムを製造する際の熱処理温度は、160℃〜2
50℃の範囲が本発明のフィルムを得る上で好ましい。
熱処理温度がかかる好ましい範囲であると、フィルムの
熱固定が十分で、フィルムの熱収縮率が過大とはなら
ず、所望のスピーカー形状に加工する際に皺、たるみ等
の熱変形が生じ難い。一方、分子鎖の配向が過度に緩和
して動的弾性率が小さくなり、本発明で目的とするフィ
ルムが得られにくくなることもない。なお、熱処理時間
は、0.5〜30秒の範囲が好ましい。
【0040】図1は本発明の音響機器(スピーカー)の一
実施例を示す半断面図である。図1において、1は磁気
回路であり、この磁気回路1はプレート3とヨーク4
と、柱状マグネット2によって構成されている。このよ
うな磁気回路1にはフレーム6が結合され、このフレー
ム6の周縁部にはガスケット7とともに音響機器振動板
6の中央部にはボイスコイル5が結合され、上記磁気回
路1の磁気ギャップ9に偏心することなくはまりこんで
いる。 (物性の測定方法ならびに効果の評価方法) (1)動的弾性率 セイコーインスツルメント製非共振強制伸張振動型装置
DMS6100を用いて、下記の条件で測定した。測定
方向は、フィルムの長手方向である。測定を10回実施
し、25℃の測定値の平均値を求めた。
【0041】 周波数 : 10Hz 振動変位 : 25μm 初荷重 : 200mN 昇温速度 : 2℃/分 試料寸法 : 35mm(チャック間隔)×10mm(幅) 測定雰囲気 : 窒素ガス気流中 測定室雰囲気 : 23℃、60%RH (2)ガラス転移温度(Tg) 下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K 7
121に従って決定した。
【0042】 装 置 :TA Instrument社製温度変調DSC 測定温度 :270〜570K(RCS冷却法) 温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点 温度変調振幅:±1K 温度変調周期:60秒 昇温ステップ:5K 試料重量 :5mg 試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg) 参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg) なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
【0043】ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温
度+補外ガラス転移終了温度)/2(3)熱可塑性樹脂
からなる分散ドメインの平均分散径 フィルムまたは音響機器振動板を切断し、その切断面を
透過型電子顕微鏡で観察する。切断面が海島構造を有し
ている場合、島状に相分離している分散ドメインの平均
分散径を求めた。これらの切断面に現れた分散ドメイン
100個を無作為に測定し、次式から平均分散径Dを求
めた。
【0044】D=ΣDi/100 ここでDiは分散ドメインの円相当径である。なお、切
断面作製に際しては、適宜樹脂に包埋し、その切断面を
観察する。また、ドメインの観察に際しては、画像処理
を施すことも有効である。 (4)熱収縮率 JIS C 2318に従って測定し、熱収縮率を次式
より求めた。試料サイズは幅10mm、標線間隔200
mmであり、測定は温度100℃、処理時間30分、無
荷重状態で実施した。
【0045】 熱収縮率(%)=[(L0−L)/L0]×100 L0:加熱処理前の標線間隔 L:加熱処理後の標線間隔 (5)成形性 フィルムを150℃の温度雰囲気中で加熱し、40℃程
度に加温された金型にて成形プレスして、図1に示す構
成のスピーカーで使用する音響機器振動板8を作製す
る。この時、100個のスピーカーを作製し、下記の基
準で成形性を判断した。
【0046】○:全く問題なく、所望の形状に成形でき
る。
【0047】△:1〜3個は、熱収縮歪みによるシワが
発生する。
【0048】×:3個以上が、熱収縮歪みによるシワが
発生したり、加工時に裂けて、所望の形状の 振動
板が得られない。 (6)耐熱性 所望の形状に成形した振動板を100℃の温度雰囲気下
に24時間放置した後の熱変形と音響機器振動板として
の性能を調べて下記基準で判断した。
【0049】○:全く熱変形がなく、音響振動板として
の性能にも変化がない。
【0050】△:若干の熱変形はあるが、異常音は殆ど
発生しない。
【0051】×:熱変形して異常音を発生する。 (7)周波数特性 小型マイクロスピーカーに用いた場合の周波数物性を測
定し、下記の基準で判断した。尚、ここで入力は0.1
W(1kHz)、スピーカーとマイクの距離は0.5m
で特性を調べた。
【0052】○:広い周波数帯域で音質が良好である。
【0053】△:5KHzを越える周波数帯域で音質が
やや変化する。
【0054】×:5KHzを越える周波数帯域で音質が
悪化する。
【0055】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明について説明
する。 (実施例1)常法により得られた固有粘度0.85のポリ
エチレンテレフタレート(PET)のペレット(Tg:
80℃、以下PETと称す)50重量%とGenera
lElectric(GE)社製の固有粘度0.68の
ポリエーテルイミド(“ウルテム”1010、Tg:2
16℃、以下、PEIと称す)50重量%を、290℃
に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出
機に供給して、PEIを50重量%含有したPET/P
EIブレンドチップを作製した。
【0056】次いで、295℃に加熱された押出機に、
上記PET/PEIブレンドチップ30重量部と実質的
に不活性粒子を含有しない固有粘度0.62のPETペ
レット67重量部と平均粒径0.3μmの炭酸カルシウ
ム粒子を2重量%含有する固有粘度0.62のPETペ
レット3重量部の混合原料を180℃で3時間真空乾燥
した後に供給し、サンドフィルター、繊維焼結ステンレ
ス金属フィルターの順に濾過した後、Tダイ中で合流さ
せ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加さ
せながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
【0057】この未延伸フィルムをロール式延伸機にて
長手方向に温度115℃で3.3倍延伸し、さらに、テ
ンターを用いて、幅方向に温度125℃で3.4倍延伸
し、引き続いて、定長下で温度225℃で2秒間熱処理
後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ50μmの二
軸配向フィルムを得た。このフィルム中における熱可塑
性樹脂Bの平均分散径は10nmであった。次いでこの
フィルムを使用して音響機器振動板を作製し評価した結
果を表1に示す。本発明のフィルムによる振動板は、成
形性、耐熱性、周波数特性に優れていた。
【0058】
【表1】 (実施例2,3)熱可塑性樹脂Bとしてポリスルフォン
(テイジンアモコエンジニアリングプラスチックス製、
“UDEL”、P−1700、Tg:275℃)または
ポリエーテルスルフォン(三井化学製、“PES”、E
2010、Tg:225℃)を使用する以外は実施例1
と同様にフィルムおよび振動板を作製した。結果を表1
に併せて示す。 (実施例4)固有粘度0.60のポリエチレン−2,6−
ナフタレート(PEN)のペレット90重量部、平均粒
径0.3μmの炭酸カルシウム粒子を2重量%含有する
固有粘度0.60のPENペレット3重量部およびポリ
エーテルイミド(GEプラスチックス社製“ウルテム”
1010)のペレット7重量部の混合原料を150℃で
1時間、その後、180℃で2時間真空乾燥した後、3
00℃に加熱された押出機に供給し、サンドフィルタ
ー、繊維焼結ステンレス金属フィルターの順に濾過した
後、Tダイ中で合流させ、表面温度25℃のキャストド
ラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸
フィルムを作製した。
【0059】この未延伸フィルムをロール式延伸機にて
長手方向に温度140℃で4.8倍延伸し、さらに、テ
ンターを用いて、幅方向に温度145℃で4.5倍延伸
し、引き続いて、定長下で温度225℃で2秒間熱処理
後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、厚さ50μmの二
軸配向フィルムを得た。このフィルムを使用して音響機
器振動板を作製し評価した結果を表1に併せて示す。こ
こで得た振動板は、耐熱性、周波数特性のみでなく、成
形性にも優れていた。 (実施例5)PEIの添加量を45重量%とし、縦延伸温
度を140℃、縦延伸倍率を2.3倍、横延伸温度を1
45℃、横延伸倍率を2.4倍とする以外は、実施例1
と同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを得
た。ここで得られたフィルムを用いて、音響機器振動板
を作製したところ、実施例1で示した音響機器振動板対
比で、周波数特性がやや低下した。尚、ここで得たフィ
ルムは、実施例1の振動板の場合、若干の熱変形が生じ
る150℃で前記耐熱性評価を行っても、全く熱変形が
なく、異常音の発生もなかった。結果を表1に併せて示
す。 (比較例1)熱可塑性樹脂Bをブレンドしないこと以外は
実施例1と同様にフィルムおよび音響機器振動板を作製
した。結果を表1に併せて示す。 (比較例2)熱可塑性樹脂Bをブレンドしないこと以外は
実施例1と同様にフィルムおよび音響機器振動板を作製
した。結果を表1に併せて示す。 (比較例3)熱可塑性樹脂Bとして、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート(PEN、Tg:125℃)を用いる
以外は実施例1と同様にフィルムおよび音響機器振動板
を作製した。結果を表1に併せて示す。
【0060】
【発明の効果】本発明のフィルムからなる音響機器振動
板は、耐熱性、成形性に優れるため、熱変形による異常
音の発生がなく、音響機器振動板を作製する際の歩留ま
りアップにも有効であり、また、音の再生帯域が広く、
周波数特性が優れる。本発明の音響機器振動板によれ
ば、広帯域で音質の良好な音響機器(スピーカー)を提供
することができ、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた音響機器の一実施例を示す半断
面図である。
【符号の説明】
1……磁気回路 2……マグネット 3……プレート 4……ヨーク 5……ボイスコイル 6……フレーム 7……ガスケット 8……音響機器振動板 9……磁気ギャップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AA46 AA60 AA86 AA88 AB21 BA01 BB06 BB08 BC01 4J002 CF061 CM042 CN032 FD010 GQ00 5D016 AA09 EC01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルを主成分とする樹脂Aとガラ
    ス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂Bのブレンド
    物からなる音響機器振動板用フィルム。
  2. 【請求項2】樹脂Aがエチレンテレフタレートを主成分
    とする樹脂である請求項1記載の音響機器振動板用フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】樹脂Aと樹脂Bの重量分率(A/B)が9
    0/10〜60/40である請求項1または2記載の音
    響機器振動板用フィルム。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の音響機器
    振動板用フィルムからなる音響機器振動板。
  5. 【請求項5】少なくとも磁気回路と、この磁気回路に結
    合されたフレームと、このフレームの周辺部に周縁部が
    固着された音響機器用振動板と、この音響機器用振動板
    の中央部に結合されるとともに前記磁気回路の磁気ギャ
    ップに挿入されるボイスコイルとで構成される音響機器
    であって、音響機器振動板として、前記請求項1〜3の
    いずれかに記載の音響機器振動板用フィルムからなる音
    響機器振動板を用いたことを特徴とする音響機器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008130627A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Nichicon Corp 被覆チューブおよびこれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
JP2008219739A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Teijin Dupont Films Japan Ltd 平面スピーカー基板用二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれからなる平面スピーカー用積層部材

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JP2008130627A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Nichicon Corp 被覆チューブおよびこれを用いたアルミニウム電解コンデンサ
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