JP3995392B2 - 粉粒体堆積体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉粒体堆積体の製造方法及び吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
粒子を多孔性ウェブ上に散布する方法及び装置が、特開昭61−92859号公報に記載されている。
この方法及び装置においては、粒子を多孔性ウェブ上の所定の幅に堆積させるために、多孔性ウェブの下面側から同じ幅で吸引を行っている。
しかし、この方法及び装置においては、堆積された粒子が多孔性ウエブ中を移動し、粒子が多孔性ウェブから漏れ出す恐れがあり、また、粒子を堆積させた多孔性ウエブを、後工程において切断する際に、切断面から粒子がこぼれ出したり、切断部材や加工ラインが粒子で汚れるという問題がある。
更に、多孔性ウエブの搬送速度の高速化が困難であり、粒粉体の堆積体を、効率的に連続生産することができない。
【0003】
本発明の目的は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品における吸収体の製造用に適した粉粒体堆積体を、粉粒体により製造ラインを汚すことなく、高速で連続生産することのできる粉粒体堆積体の製造方法、及び高速で連続生産することができ、また、高吸収性ポリマーの漏れや偏在の生じにくい吸収体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、通気性を有する帯状の嵩高シートを、堆積装置の粉粒体吸引部上に連続的に供給すると共に、前記嵩高シート上に粉粒体を供給し、前記粉粒体を前記粉粒体吸引部から吸引して前記嵩高シート上に堆積させ、前記嵩高シートと前記粉粒体とを有する粉粒体堆積体を得る粉粒体堆積体の製造方法であって、前記粉粒体を供給する前の前記嵩高シートに、該嵩高シートの通気性を部分的に低下させて低通気部を形成しておき、前記粉粒体を、該嵩高シートにおける該低通気部以外の部分に堆積させる粉粒体堆積体の製造方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0005】
また、本発明は、通気性を有する嵩高シートと、該嵩高シート上又は該嵩高シート中に堆積した高吸収性ポリマーと、該嵩高シートの表裏面を被覆する被覆シートとからなる吸収体であって、前記嵩高シートは、該嵩高シートの通気性を部分的に低下させて形成された低通気部を有し、前記高吸収性ポリマーが、該低通気部に実質的に存在していない吸収体を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
尚、本明細書において、粉粒体を嵩高シート上に堆積させるという場合には、粉粒体を嵩高シート上に堆積させる場合、及び堆積した粉粒体の全部又は一部が嵩高シート内に入り込んでいる場合の両者が含まれる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい一実施形態に基づいて説明する。
先ず、本発明の粉粒体堆積体の製造方法の実施に用いる粉粒体堆積体の製造装置について説明する。
【0007】
図1に示す粉粒体堆積体の製造装置は、所定の長さに切断されて、紙おむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体とされる吸収体の連続体を製造する装置である。
【0008】
本製造装置は、通気性を有する帯状の嵩高シート1を、堆積装置2の粉粒体吸引部21上に連続的に供給する嵩高シート供給機構と、堆積装置2に供給された嵩高シート1上に、高吸水性ポリマーからなる粉粒体3を供給する粉粒体供給機構31と、粉粒体吸引部21を有し、該粉粒体吸引部21上に供給された嵩高シート1上に、粉粒体供給機構31から供給された粉粒体3を、該粉粒体吸引部21から吸引して堆積させる堆積装置2と、粉粒体3を供給する前の嵩高シート1の裏面1a側に裏面シート4を連続的に供給する裏面シート供給機構41と、粉粒体3を供給した後の嵩高シート1の表面側に、表面シート5を連続的に供給する表面シート供給機構51とを備えている。嵩高シート1の表面側とは、粉粒体3が供給される側の面側である。
【0009】
粉粒体供給機構31は、嵩高シート1を覆うように配されたケース体32と、該ケース体32内に粉粒体3を導入する公知の導入装置33とから構成されており、粉粒体吸引部21からの吸引によってケース体32内に空気流が発生することにより、嵩高シート1の表面1b側から、嵩高シート1上に粉粒体3を供給するようになされている。
【0010】
堆積装置2は、嵩高シート1上に供給された粉粒体3を該嵩高シート1上に吸引して堆積させる装置であり、粉粒体吸引部21を有している。粉粒体吸引部21は、嵩高シート1を挟んで、粉粒体供給機構31の粉粒体供給口33aに対向する位置に配されており、供給された粉粒体3を、その周囲の空気と共に吸引して嵩高シート1上に吸い付ける。
【0011】
本堆積装置2における粉粒体吸引部21上には、網状部材からなる無端ベルト22が連続搬送され、嵩高シート1は、無端ベルト22に載置された状態で粉粒体吸引部21上に供給されるようになっている。
本堆積装置における粉粒体吸引部21は、嵩高シート1の流れ方向に直交する方向に所定の幅を有する開口部(図示せず)として形成されており、該開口部の幅は固定されている。また、粉粒体吸引部21からの吸引は連続的に行われ、無端ベルト22を形成する網状部材の孔径は、その全面に亘って同じである。
従って、嵩密度及び通気性がその全面に亘って均一な嵩高シートを、粉粒体吸引部21上に供給した場合には、粉粒体3が、粉粒体吸引部21と同幅に連続帯状に堆積される。
【0012】
前記嵩高シート供給機構、裏面シート供給機構41及び表面シート供給機構51は、それぞれ公知の繰り出し機構及び/又は公知の搬送機構から構成されており、それぞれシートを、ロール状物から繰り出して搬送し、図1に示す所定の箇所から供給するようになされている。図1には位置を示し、詳細は示さない。
【0013】
本製造装置は、図1に示すように、粉粒体吸引部21に供給される前の嵩高シート1に対して熱シールを施すシール装置6を備えている。
シール装置6は、周面に所定形状の凹凸を有する第1ロール61と、第1ロール61に対して所定の間隔を開けて配置された第2ロール62と、第1及び第2ロール61,62の少なくとも一方を加熱する加熱手段とからなり、両ロール6,62間に、嵩高シート1を挿通することにより、その表裏面間を、両ロール間で加熱圧縮することにより、該嵩高シート1に、該嵩高シート1の通気性を低下させた低通気部としてのシール部を、第1ロールの凹凸形状に対応した所定の形状に形成するようになっている。
【0014】
次に、上述した粉粒体堆積体の製造装置を用いた本発明の粉粒体堆積体の製造方法の第1実施形態について説明する。
上記の粉粒体堆積体の製造装置を作動させると、嵩高シート供給機構により、嵩高シート1のロール状物から嵩高シート1が連続的に繰り出され、繰り出された嵩高シート1は、シール装置6の両ロール61,62間を搬送されて、所定形状にシールを施され、次いで、堆積装置2の粉粒体吸引部21上に供給される。
第1実施形態においては、シール装置6により、粉粒体3が供給する前の嵩高シート1に対して、図2(a)に示す形状のシール部11を形成する。即ち、シール部11に囲まれた領域Aが、該嵩高シート1の流れ方向に間欠的に形成されるように、シール部11を形成する。シール部11は、シール部に囲まれた領域Aの形状が、所望とする粉粒体の堆積形状となるように形成する。
シール部11に囲まれた領域Aは、実質的にシールされていない部分(以下、非シール部12ということがある)であり、シール部11よりも通気性が高く嵩密度が低い。シール部11に囲まれた領域Aは、図2(a)に示すように、中央部が括れた砂時計状をなしている。尚、図2(b)においては、嵩高シート1におけるシール部11と、非シール部12からなる領域Aとの厚みの差を実際よりも誇張して示してある。
【0015】
本実施形態においては、粉粒体吸引部21に供給される前、即ち粉粒体3が供給される前に、嵩高シート1における粉粒体3が供給される面とは反対側の面側に、裏面シート供給機構41により裏面シート4が供給される。
尚、裏面シート4には、嵩高シート1と積層される前に、接着剤塗工装置71によりホットメルト型の接着剤が網状に塗工され、嵩高シート1は、裏面シート4と積層一体化された状態で、粉粒体吸引部21に供給される。
【0016】
粉粒体吸引部21上に供給された嵩高シート1上には、粉粒体供給機構31により粉粒体3が飛散状態にて供給され、供給された粉粒体3が、該粉粒体吸引部21から吸引され、嵩高シート1におけるシール部11に囲まれた領域Aに順次堆積する。
【0017】
第1実施形態においては、シール部11に囲まれた領域Aの幅(嵩高シート1の幅方向に一致する方向の最大幅)Wを、嵩高シート1の流れ方向に直交する方向の粉粒体吸引部21の幅以下に狭くしてあり、シール部11に囲まれた領域Aの幅方向の全域が吸引されるようにしてある。
これにより、図3に示すように、嵩高シート1におけるシール部11に囲まれた領域Aの全域に亘って粉粒体3が堆積する。
【0018】
そして、粉粒体3を供給した後の嵩高シート1における粉粒体3が堆積した面側に、表面シート供給機構51により表面シート5が供給される。
尚、表面シート5には、嵩高シート1と積層される前に、接着剤塗工装置72によりホットメルト型の接着剤がスパイラル状に塗工され、嵩高シート1と表面シート5とは積層一体化される。
【0019】
本実施形態における裏面シート4は、図4に示すように、嵩高シート1及び表面シート5よりも幅広であり、流れ方向の左右両側に延出する裏面シート4の両側縁部4a,4aは、表面シート5側に巻き上げられ、接着剤等の公知の接合手段により表面シート5の両側縁部5a,5a上に積層接着される。
【0020】
第1実施形態の製造方法により得られる粉粒体堆積体は、嵩高シート1と、嵩高シート1上又は嵩高シート1中に堆積した、高吸水性ポリマー3と、嵩高シート1の表裏面を被覆する裏面シート4及び表面シート5からなる吸収体連続体であり、粉粒体3が堆積した部分(以下、粉粒体堆積部という)が、その長手方向に亘って所定の間隔で多数形成されたものである。この粉粒体堆積体における粉粒体3は、図3に示すように、実質的に領域Aにのみ堆積している。
そして、この粉粒体堆積体は、所定の長さに切断されて、紙おむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体として用いられる。
【0021】
第1実施形態の粉粒体堆積体の製造方法によれば、このようにして、使い捨ておむつや生理用ナプキン等における吸収体の製造用に適した粉粒体堆積体を、高速にて連続生産することができる。
【0022】
また、領域Aの周囲に高密度のシール部11が形成されており、シール部11の通気性は領域Aの通気性よりも低いため、嵩高シート1上に飛散状態で供給された粉粒体3は粉粒体吸引部21による吸引により、実質的に領域Aに堆積され、所望とする粉粒体堆積形状が形成される。特に、本実施形態においては、裏面シート4及び表面シート5により嵩高シートの表裏面を被覆するようにしたため、表裏面のシート4、5が高密度のシール部11により強固に嵩高シート1に接合され、所望形状の領域Aからの粉粒体3の移動や漏れ出しが防止される。
【0023】
また、粉粒体堆積体を、その流れ方向に見れば、高密度のシール部11間に粉粒体3が堆積しているため、粉粒体堆積体を、シール部11において順次切断して個々の吸収体の長さとすることにより、粉粒体3の漏れ出しや飛散を防止することができる。また、切断個所に粉粒体が存在しないので、切断する装置の刃の寿命を短くすることがない。
【0024】
また、嵩高シート1に、低通気性のシール部11を形成し、相対的に通気性の高い部分、即ちシール部11に囲まれた領域A内にのみ粉粒体3を堆積させるようにしたため、シール部11を、領域Aの形状が、粉粒体3を堆積させたい所望の形状となるように形成しておくことにより、従来、所望のパターンに粉粒体を堆積させる場合に必要であったパターン形成部材を、粉粒体吸引部21上等に設けることなく、粉粒体3を所望の形状に堆積させることができる。また、その際、シール装置6のロール周面の凹凸形状を変更するだけで、粉粒体を堆積させる形状を容易且つ迅速に変更できる。
【0025】
更に、シール部11が高密度であるため、シール部11以外に散布された粉粒体3が、シール部以外の部分に移動し易く、そのため、シール部11に囲まれた領域A以外への粉粒体3の堆積を減少させることができる。従って、輪郭のシャープな粉粒体堆積部を形成することができ、不必要な部分に粉粒体3が堆積することによる、粉粒体3の無駄等の不都合を防ぐことができる。
【0026】
また、嵩高シート1を、裏面シート4と積層させた状態で粉粒体吸引部21に供給されるようにしたため、嵩高シート1を通り抜けた粉粒体3が、粉粒体吸引部21内に吸入されること等を防止できる。更に、嵩高シートの強度が不足する場合であっても、裏面シートにより強度が補われ、搬送安定性等が向上する。
尚、裏面シートは、前記嵩高シートにおける粉粒体を供給する側の面とは反対側の面側を被覆するシートであり、通気性が必要である。特に、粉粒体3が実質的に通り抜けない程度の孔を有する多孔性シートが好ましく、例えば紙や不織布からなるシート材を用いることができる。表面シートは、前記嵩高シートにおける粉粒体を供給する側の面を被覆するシートであり、表面シートの形成材料としては、裏面シートと同様のものを用いることができる。
【0027】
図5は、第1実施形態の製造方法により得られた粉粒体堆積体を、各粉粒体堆積部間において切断して得られる本発明の吸収体の一実施形態を示す斜視図である。
本実施形態の吸収体10は、通気性を有する嵩高シート1’と、該嵩高シート1’中に堆積した高吸収性ポリマー3と、該嵩高シート1’の表裏面を被覆する第1及び第2の被覆シート4’,5’とからなり、縦長である。
嵩高シート1’は、上述した嵩高シート1を所定長さに切断したもので、上記シール装置6により形成されたシール部11と非シール部12からなる。そして、嵩高シート1’には、シール部11により囲まれた領域Aが形成されており、そのシール部11により囲まれた領域Aは、吸収体10の長手方向及び幅方向の中央部に形成されており、高吸収性ポリマー3は、シール部11により囲まれた領域A内にのみ存在しており、低通気性で且つ高密度に形成されたシール部11には実質的に存在していない。
【0028】
嵩高シート1’の上下面を被覆する第1及び第2の被覆シート4’,5’は、それぞれ、上述した裏面シート4及び表面シート5を、所定長さに切断したもので、両シート4’,5’それぞれのおける嵩高シート1’側の面は接着剤により、それぞれ嵩高シート1’に接着されている。
【0029】
本発明に係る粉粒体堆積体又は吸収体において、嵩高シート1の低通気部の占有率は、粉粒体堆積体又は吸収体の全面積に対して1〜50%、特に7〜30%が好ましい。また、粉粒体堆積体又は吸収体中における粉粒体(高吸収性ポリマー)の含有率は、粉粒体堆積体又は吸収体の全重量に対して10%以上、特に60〜90%が好ましい。
【0030】
本実施形態の吸収体10においては、高吸水性ポリマー3が堆積した粉粒体堆積部の周囲に高密度のシール部11が形成されており、該シール部11において高吸水性ポリマー3の移動が阻止されるので、高吸収性ポリマー3の漏れや偏在が生じ難い。
また、シール部11により囲まれた領域Aが、粉粒体3を堆積させたい形状に形成されており、その部分以外の領域に高吸水性ポリマー3が実質的に存在しないため、高吸水性ポリマー3が必要な部分にのみ配置されており、高吸水性ポリマーの無駄がない。
【0031】
次に、本発明の粉粒体堆積体の製造方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態については、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の構成については説明を省略する。従って、特に説明しない点については、第1実施形態における説明が適宜適用される。
第2実施形態においては、図6に示すようなドラム式の粉粒体堆積体の製造装置を用いる。
図6に示す粉粒体堆積体の製造装置における堆積装置2’は、外周面に複数の粉粒体吸引部(図示せず)が所定の間隔で形成された回転ドラム23を備えたドラム型の堆積装置であり、該回転ドラム23の外周面上に供給された嵩高シート1上に、飛散状態にて供給された高吸水性ポリマー3を、前記粉粒体吸引部から吸引して堆積させる。
【0032】
回転ドラム23は、円筒状をなし、図6中矢印Aで示す一方向に回転駆動されるようになされている。また、回転ドラム23には、吸引ダクト(図示せず)を介して吸気ファン(図示せず)が接続されており、該吸気ファンにより回転ドラム23内の所定箇所(図中ロで示す箇所)が負圧に維持され、外周面に形成された粉粒体吸引部が、負圧に位置された部分を通過している間、該粉粒体吸引部に存する細孔が吸引孔として機能すると共に、該粉粒体吸引部からの空気の吸入によって、粉粒体供給機構31のダクト34に空気流が生じる。
【0033】
前記各粉粒体吸引部は、空気を吸入可能な多数の細孔を有する部分であり、多数の細孔は粉粒体吸引部の全域に亘って形成されている。より具体的には、回転ドラム11の外周面は、網状部材により形成され、該網状部材には、細孔が形成されている通気部と細孔を有しない非通気部が設けられ、該通気部が所定の形状をなすように配されて、所定形状の粉粒体吸引部が形成されている。
【0034】
粉粒体供給機構31は、ダクト34と、該ダクト34内に高吸水性ポリマー3を導入する導入装置33と、ダクト34内に空気流を生じさせる上記吸気ファン等から構成されている。
図中、9は、嵩高シート1と、嵩高シート1上又は嵩高シート1中に堆積した粉粒体としての高吸水性ポリマー3と、該嵩高シート1の表裏面を被覆する裏面シート4及び表面シート5からなる吸収体連続体8を、回転ドラム23から導出して搬送する堆積体導出搬送機構である。
【0035】
本製造装置におけるシール装置6は、第1実施形態におけるシール装置6と、第1ロール61の凹凸の形状が異なっており、第2実施形態の製造方法においては、高吸水性ポリマー3を供給する前の嵩高シート1に対して、図7(a)に示す形状のシール部11を形成する。
第2実施形態におけるシール部11は、嵩高シート1の流れ方向に所定の間隔で、それぞれ嵩高シート1の幅方向に亘るように複数形成された第1シール部11A,11A・・と、嵩高シート1の幅方向に所定の間隔で、それぞれ嵩高シート1の流れ方向に亘るように複数形成された第2シール部11B,11Bとからなる。
【0036】
また、第2実施形態においては、シール部11に囲まれた領域内の一部にのみ粉粒体を堆積させる。
【0037】
第2実施形態の粉粒体堆積体の製造方法によれば、嵩高シート1の流れ方向に所定の間隔で、それぞれ嵩高シート1の幅方向に亘るように高密度の第1シール部11A,11A・・を複数形成し、図7(b)に示すように、隣接する第1シール部11A,11A間に粉粒体3を堆積させるようにしたので、得られた粉粒体堆積体を、第1シール部11A, 11A・・において順次切断して、個々の吸収体の長さに切断すれば、切断面から粉粒体3の漏れ出したり飛散したりすることがない。尚、図7(b)中、Pは、粉粒体堆積体の切断部位を示す。
【0038】
また、嵩高シート1の幅方向に所定の間隔で、それぞれ嵩高シート1の流れ方向に亘るように高密度の第2シール部11B,11Bを複数形成し、隣接する第2シール部11B,11B間に粉粒体3を堆積させるようにしたので、粉粒体3の幅方向への移動が阻止され、粉粒体堆積体の搬送中における粉粒体3の漏れ出しや、更にその後の工程や吸収体とされた後における粉粒体3の漏れ出しが抑制される。
【0039】
本発明における嵩高シート1は、嵩高シート上又は嵩高シート内に粉粒体3を保持し得るシートであり、通気性を有している。
嵩高シート1としては、粉粒体を、繊維間の間隙に保持し得る不織布や紙、布等の繊維材料からなるシートが好ましく、堆積された粉粒体の厚み方向の分散状態を、所定状態に維持できるものが、より好ましい。
嵩高シートとして不織布を用いる場合の該不織布としては、エアスルー不織布、エアレイド不織布、ケミカルボンド不織布、スパンレース不織布等を用いることができ、特にエアスルー不織布が好ましい。
【0040】
嵩高シート1として、特に好ましいものは、粉粒体をその繊維間に保持することができ、液を吸収したときに粉粒体の膨潤を阻害しないシートであって、構成繊維の繊維間構造は繊維間距離が粉粒体の膨潤に伴って変化(拡張)するようになされているものである。このような構造のシートとしては、構成繊維間の交点として接着された接着交点と、接着されていないか又は接着されていても粉粒体が膨潤する過程ではずれてしまう程度に弱い非接着交点とを有する不織布が挙げられる。具体的には、熱融着性繊維と非熱融着性繊維からなる不織布、第1熱融着性繊維と該第1熱融着性繊維とはことなる第2熱融着性繊維からなり、第1熱融着性繊維同士又は第2熱融着性繊維同士の熱接着力よりも第1熱融着性繊維と第2熱融着性繊維との間の熱接着力が低いか、又は第1熱融着性繊維と第2熱融着性繊維とは熱接着しない不織布等が挙げられる。
【0041】
また、嵩高シート1の通気性を部分的に低下させて低通気部を形成する方法としては、嵩高シート1に対して、部分的に熱シール、超音波シール、プレスシール、化学的シール等による嵩高シートの部分的な低嵩化(フィルム状化)を施すことが好ましい。
尚、嵩高シート1は単層シートでも積層シートでも良い。
また、接着剤、樹脂、フィルム等の別材の塗工や貼り付け等により、低通気部を形成しても良い。
【0042】
また、嵩高シート1における低通気部は、JIS−P8117に準じて測定した透気度が3(sec/300ml・32P)以上、特に5(sec/300ml・32P)以上であることが好ましく、低通気部以外の部分は、JIS−P8117に準じて測定した透気度が2(sec/300ml・32P)以下、特に1(sec/300ml・32P)以下であることが好ましい。
JIS−P8117に準じた透気度の測定においては、嵩高シート1を70×70mmに裁断し、これを32枚重ねたものについて、透気度測定器〔熊谷理機工業(株)社製のGURLEY DENSOMETER(商品名)〕を用いて、300mLの空気が通過するのに要する時間を測定する。
尚、低透気部は、通気性がゼロであっても良い。
【0043】
また、本発明の粉粒体堆積体の製造方法における粉粒体3としては、従来公知の各種の高吸水性ポリマーの他、消臭材、芳香材等を用いることができる。粉粒体としての高吸収性ポリマー及び本発明の吸収体における高吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ナトリウム、アルリル酸−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、でんぷん−アルリル酸グラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等、従来公知の各種のものを用いることができる。
【0044】
尚、本発明は、第1及び第2実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
例えば、堆積装置として、粉粒体吸引部を外周面に有する回転ドラムを備えたドラム型の堆積装置を用い、嵩高シートを該回転ドラムの外周面に巻き付けるように供給し、該回転ドラムにおける嵩高シート上に、飛散状態にて粉粒体を供給し、供給した粉粒体を、粉粒体吸引部から吸引して該嵩高シート上に堆積させることにより、該粉粒体と嵩高シートとを含む粉粒体堆積体を製造しても良い。
【0045】
また、第1実施形態における嵩高シート1のシール部11に囲まれた領域A内に、図8に示すように、直線状又はドット状に、追加のシール部13を形成すれば、領域A内に堆積した粉粒体3の移動がより効果的に抑制され、また、表裏面を被覆する表裏面シート4,5(又は被覆シート4’,5’)との接着性が向上する。
【0046】
また、第2実施形態における第1シール部11A及び第2シール部11Bは、何れか一方のみを形成しても良い。また、第2シール部11B,11B同士間を、その全幅に亘って吸引し、粉粒体3を、第2シール部11B,11B同士間の全域に亘って堆積させても良い。
【0047】
また、本発明の粉粒体堆積体の製造方法及び吸収体においては、嵩高シート1の表裏面の両方及び一方が、裏面シート4(又は被覆シート4’)及び表面シート5(被覆シート5’)に被覆されない構成としても良い。
また、粉粒体を堆積させる粉粒体堆積部は、所望の形状とすることができ、楕円形状、矩形状、菱形状、円形状、中央部が括れた矩形状等、特に制限されない。
1つの吸収体において、通気度に変化を持たせ、通気度が中程度の領域を設けてもよい。これにより、粉粒体の堆積のない所(低通気性)、少ない所(中通気性)、多い所(高通気性)と堆積量をコントロールすることが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の粉粒体堆積体の製造方法によれば、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品における吸収体の製造用に適した粉粒体堆積体を、粉粒体により製造ラインを汚すことなく、高速にて連続生産することができる。
本発明の吸収体は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品における吸収体として適しており、高速にて連続生産することができ、また、高吸収性ポリマーの漏れが生じ難いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の粉粒体堆積体の製造方法の実施に好ましく用いられる粉粒体堆積体の製造装置を模式的に示す概略図である。
【図2】図2は、第1実施形態におけるシール部の形成パターンを示す図で、図2(a)は、図1中のA部における嵩高シート1の表面側を示す図、図2(b)は、図2(a)のX−X線模式断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態における、粉粒体3が堆積した後の嵩高シート1を示す図で、図3(a)は、図1中のB部における嵩高シート1の表面側を示す図で、図3(b)は、図3(a)のY−Y線模式断面図である。
【図4】図4は、図1中のC部における粉粒体堆積体の断面を一部略して示す模式断面図である。
【図5】図5は、第1実施形態の粉粒体堆積体の製造方法により得られた粉粒体堆積体を、所定長さに切断して得られる吸収体を一部破断して示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の粉粒体堆積体の製造方法の実施に好ましく用いられる他の粉粒体堆積体の製造装置を模式的に示す概略図である。
【図7】図7は、第2実施形態におけるシール部の形成パターン等を示す図で、図7(a)は、粉粒体堆積前の嵩高シート1を示す図〔図2(a)相当図〕で、図7(b)は、粉粒体堆積後の嵩高シート1を示す図〔図3(a)相当図〕である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態における要部を示す図である。
【符号の説明】
1 嵩高シート
1a 嵩高シートの表面側
1b 嵩高シート1の裏面側
2,2’ 堆積装置
21 粉粒体吸引部
3 粉粒体
31 粉粒体供給機構
4 裏面シート
41 裏面シート供給機構
5 表面シート
51 表面シート供給機構
6 シール装置
10 吸収体
11 シール部
12 非シール部
A シール部に囲まれた領域
Claims (6)
- 通気性を有する帯状の嵩高シートを、堆積装置の粉粒体吸引部上に連続的に供給すると共に、前記嵩高シート上に粉粒体を供給し、前記粉粒体を前記粉粒体吸引部から吸引して前記嵩高シート上に堆積させ、前記嵩高シートと前記粉粒体とを有する粉粒体堆積体を得る粉粒体堆積体の製造方法であって、
前記粉粒体を供給する前の前記嵩高シートに、通気性を部分的に低下させた低通気部を形成しておき、前記粉粒体を、該嵩高シートにおける該低通気部以外の部分に堆積させる粉粒体堆積体の製造方法。 - 前記粉粒体を供給する前の前記嵩高シートにおける前記粉粒体を供給する面とは反対側の面側に、通気性を有する裏面シートを供給すると共に、前記粉粒体を供給した後の前記嵩高シートにおける前記粉粒体を堆積させた面側に、表面シートを供給し、前記嵩高シートの表裏面が、前記表面シート及び前記裏面シートにより被覆された粉粒体堆積体を得る請求項1記載の粉粒体堆積体の製造方法。
- 前記低通気部を、前記嵩高シートの流れ方向に所定の間隔で且つそれぞれ前記嵩高シートの幅方向に亘るように複数形成し、隣接する該低通気部間に、前記粉粒体を堆積させる請求項1又は2記載の粉粒体堆積体の製造方法。
- 前記低通気部を、該低通気部に囲まれた領域が、前記嵩高シートの流れ方向に間欠的に形成されるように形成し、前記粉粒体を、前記低通気部に囲まれた前記領域内に堆積させる請求項1〜3の何れかに記載の粉粒体堆積体の製造方法。
- 前記低通気部に囲まれた前記領域における前記嵩高シートの幅方向の全域を吸引し、前記粉粒体を、前記低通気部に囲まれた領域の全域に亘って堆積させる請求項4記載の粉粒体堆積体の製造方法。
- 通気性を有する嵩高シートと、該嵩高シート上又は該嵩高シート中に堆積した高吸収性ポリマーと、該嵩高シートの表裏面を被覆する被覆シートとからなる吸収体であって、
前記嵩高シートは、該嵩高シートの通気性を部分的に低下させて形成された低通気部を有し、前記高吸収性ポリマーが、該低通気部に実質的に存在していない吸収体。
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