JP3994629B2 - 掘削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転打撃掘削により掘削孔を穿孔する掘削工具に係り、特に、可動式の先端部を有する掘削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記掘削工具の一例を図3及び図4に示す。図3は掘削工具1の拡径時の一部縦断面図、図4は、図3に示す掘削工具におけるデバイスに対するブロック軸の支持機構の構造を示す断面図である。
【0003】
符合2はデバイスで、その軸線上には、先端側(図中下方)に向け流路2aが延設され、流路2aの先端面からは、複数の連通路2bが、デバイス2の先端面2cに向け放射状に延設されている。また、デバイス2は、内径がデバイス2の最大径と略同径とされた円筒状をなすケーシング3内に、同軸をなすよう挿通されている。
【0004】
デバイス2の先端面2cには、複数(図の例では2本)の軸穴2dが、デバイス2の軸線からずれ、かつデバイス2の周に沿って等間隔となるよう設けられている。また、これら軸穴2dにはそれぞれブロック軸4aが挿入され、ブロック軸4aは、軸穴2d内に、回転自在かつ後述する支持機構により抜け止めされて支持されている。
【0005】
軸穴2dに対するブロック軸4aの支持機構の詳細を図4とともに説明すると、支持機構は、軸穴2dに挿入されたブロック軸4aと部分的に重なるよう、デバイス2に、その軸線と直交して形成されたピン穴5と、ピン穴5に挿入されたピン6とから概略構成されている。図4の場合、ピン穴5は、2本の軸穴2dの双方と部分的に重なるよう、デバイス2の径方向に沿って横断して形成されている。また、ブロック軸4aのうちピン穴5と重なる位置には、ピン穴5に挿入されたピン6と係合する断面U字状の溝部4bがブロック軸4aの周方向に沿って形成され、この溝部4bとピン6との係合により、ブロック軸4aが、軸穴2d内に、回転自在かつ抜け止めされて支持される。
【0006】
更に、ピン穴5のうち、挿入されたピン6の外側(デバイス2の径方向外方)には、ピン穴5を拡径してなる拡径部5aが形成され、この拡径部5aに嵌合されたスナップリング7により、ピン穴5に挿入されたピン6が、ピン穴5から抜け止めされる。
【0007】
一方、個々のブロック軸4aの先端には、端面視して扇状をなす同一形状のブロック4が、端面視した際に全体としてデバイス2と略同径をなす円形をなすよう配設されている。また、ブロック4の先端面及び一部外周面には、超硬合金製のチップ(刃体)8が複数個植設されている。ここで、ブロック4に対するブロック軸4aの相対位置は、ブロック4をケーシング3の先端から突出させ、掘削工具1を掘削回転方向に回転させた際に、掘削すべき地盤との掘削抵抗によりブロック4がそれぞれ自転して、ブロック4の対向する側端面の一部がケーシング3の外周面より所定量だけ外方に突出し、かつ上記側端面同士が当接するよう設定されている。
【0008】
掘削に際しては、ブロック4をケーシング3の先端から突出させ、デバイス2及びブロック4をブロック4の側端面が回転方向前方を向くよう回転させるとともに、デバイス2が連結されたエアハンマ(図示せず。)を上下動させ、この振動を、デバイス2を介してブロック4に伝達する。そして、その結果ブロック4に付与された回転力及び衝撃力により、チップ8が地盤を掘削し、掘削孔が穿孔される。
【0009】
また、ブロック4の掘削回転に伴い、地盤との掘削抵抗によりブロック4がそれぞれ自転し、その結果、上記の通り、ブロック4の側端面の一部がケーシング3の外周面より所定量だけ外方に突出し、外周刃として掘削孔の孔壁部を掘削するとともに、ケーシング3が自重により掘削孔内に下降し、孔壁の崩壊が防止される。一方、掘削の結果生じた土砂は、流路2a及び連通路2bを介して掘削孔内に噴射される圧縮空気とともに、掘削工具1とケーシング3の内周面との間に形成された空間を介して、地上へと排出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、掘削中、掘削工具1にかかる様々な力により、ピン穴5に挿入されたピン6には、ピン6をその軸線方向に沿って移動させる力が生じる。その結果、上記従来の掘削工具1では、軸線方向に沿って移動するピン6とスナップリング7との衝突により、スナップリング7が拡径部5aから外れ、ピン穴5からピン6が抜けて、ブロック軸4aが軸穴2dから脱落する場合があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ピン穴5からのピン6の脱落と、それに伴う軸穴2dからのブロック軸4aの脱落を防止することをその目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先端面に軸穴が穿孔されたデバイスと、この軸穴に挿入されたブロック軸と、このブロック軸の先端に設けられたブロックと、このブロックに植設された刃体とを具備し、上記デバイスに、上記軸穴に挿入された上記ブロック軸と部分的に重なるピン穴が形成され、このピン穴に挿入されたピンにより、上記ブロック軸が上記軸穴内に回転自在に支持されている掘削工具において、上記ピン穴には、上記ピンと、少なくとも上記ピン穴の軸線方向に沿った弾性を有する緩衝体と、スペーサとが順次挿入されるとともに、上記スペーサを保持手段を用いて上記ピン穴内に保持させることにより、上記ピン穴からの上記ピンの脱落が防止されていることを特徴としている。
【0012】
この場合、上記保持手段が、上記スペーサを貫通して上記ピン穴を横断し、かつ両端にて上記デバイスに係止されたスプリングピンであることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、上記図3及び図4に示す掘削工具1において、特に、図4に符号Aで示す部分の構造を改変したことを特徴とするものである。そのため、上記図3及び図4に示す掘削工具1と同様の構成を有する部材については、同一の符合を付して、その構成及び作用に関する説明を省略する。
【0014】
本発明に係る掘削工具では、上記図4に符号Aで示す部分において、例えば図1に示すような構造を採用することにより、ピン穴5からのピン6の脱落を防止している。また、図2は、図1に示す構造のうち、特にピン穴5に挿入された部材の構造を説明するための上方斜視図である。
【0015】
ピン穴5には、ピン6と、樹脂等の弾性体を円環状に成形してなる緩衝体11と、ピン6と略同径の円柱状をなすスペーサ12とが順次挿入されている。また、スペーサ12には、円形断面を有する貫通孔12aが、スペーサ12を、その径方向に沿って横断するよう形成されている。
【0016】
一方、図1に示すように、デバイス2の、スペーサ12の挿入位置と重なる位置には、その表面をピン穴5側に窪ませてなる凹部21が形成され、凹部21の、スペーサ12に形成された貫通孔12aの形成位置と重なる位置には、貫通孔12aと同径の円形断面を有する連通孔22が、ピン穴5をその径方向に沿って横断するとともに、デバイス2の側部を貫通するよう形成されている。
【0017】
更に、ピン穴5内におけるスペーサ12の向きは、貫通孔12aと連通孔22とが互いに同軸をなすよう調節され、これら同軸をなす貫通孔12a及び連通孔22内には、スプリングピン(保持手段)13が、貫通孔12aを横断し、貫通孔12aを挟んで対向する連通孔22間に掛け渡されるよう挿入されている。その結果、貫通孔12aを横断したスプリングピン13の両端がデバイス2に係止され、スペーサ12が、ピン穴5を閉鎖する位置にてピン穴5内に保持される。
【0018】
スプリングピン13は、図2に示すように、その側面に軸線方向に沿ってスリット状の溝部13aが形成された、C字状断面を有する円筒状の部材で、溝部13aの存在により弾性的に拡縮径可能とされている。また、貫通孔12a及び連通孔22へのスプリングピン13の挿入に際しては、貫通孔12a及び連通孔22より若干大径のスプリングピン13を圧入することにより、挿入されたスプリングピン13の貫通孔12a及び連通孔22からの抜けを防止している。
【0019】
上記構造を有する掘削工具においては、掘削中、ピン穴5に挿入されたピン6が軸線方向に沿って移動した場合でも、ピン6の移動による衝撃が緩衝体11により吸収されるため、上記衝撃がスペーサ12に直接伝わることはない。しかも、スペーサ12が、貫通孔12aを横断して連通孔22間に掛け渡されたスプリングピン13によりピン穴5内に保持されているため、上記衝撃はスプリングピン13を脱落させる方向(スプリングピン13の軸線方向)には作用しない。従って、上記構造を有する掘削工具においては、上記衝撃により貫通孔12a及び連通孔22からスプリングピン13が抜けてピン穴5からスペーサ12が脱落することはなく、その結果、ピン穴5からのスペーサ12の脱落に起因するピン穴5からのピン6の脱落と、それに伴う軸穴2dからのブロック軸4aの脱落が防止される。
【0020】
しかも、上記構造を有する掘削工具の場合、スプリングピン13が貫通孔12a及び連通孔22に圧入されているため、貫通孔12a及び連通孔22からのスプリングピン13の抜けが、一層確実に防止される。また、ピン6の移動により緩衝体11が受ける衝撃を更に軽減するためには、ピン穴5に、ピン6、緩衝体11、及びスペーサ12を挿入し、スプリングピン13等に保持手段によりスペーサ12をピン穴5内に保持させるする際に、少なくともピン6、緩衝体11、及びスペーサ12同士が互いに接触していることが望ましい。この場合、更に望ましくは、ピン6が緩衝体11によりピン穴5の奥方に押圧される構成とする。
【0021】
なお、上記実施形態では、緩衝体11として樹脂等の弾性体を円環状に成形したものを用いたが、緩衝体11の材質や形状等はこれに限られるものではなく、要はピン穴5に挿入された際に少なくともピン穴5の軸線方向に沿った弾性を有していればよい。具体的には、例えば上記弾性体を円板状に成形したものや、コイルバネ等が使用可能である。
【0022】
また、上記実施形態では、保持手段として、スペーサ12を貫通してピン穴5を横断し、両端にてデバイス2に係止されたスプリングピン13を用いたが、保持手段には、例えばピン穴5の内周面とスペーサ12の外周面にそれぞれネジを形成し、これらのネジ同士を螺合させたり、あるいはスペーサ12をデバイス2を介してネジ止めしたり、ピン穴5に挿入されたスペーサ12をデバイス2に溶接したり、ピン穴5の内周面から突出するネジ等によりデバイス2の径方向外方へのスペーサ12の移動を防止する等、あらゆる手段が適用可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、ピン穴に、ピンと、少なくともピン穴の軸線方向に沿った弾性を有する緩衝体と、スペーサとを順次挿入するとともに、スペーサを保持手段を用いてピン穴内に保持させることにより、掘削中、ピン穴に挿入されたピンが軸線方向に沿って移動した場合でも、ピンの移動による衝撃が緩衝体より吸収されるため、スペーサが上記衝撃によりピン穴から脱落することはない。その結果、本発明によれば、ピン穴からのスペーサの脱落に起因するピン穴からのピンの脱落と、それに伴う軸穴からのブロック軸の脱落が確実に防止されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の掘削工具における特徴部分の構造の例を示す、図4に符号Aで示す部分に相当する部分の拡大断面図である。
【図2】 図1に示す構造のうち、特にピン穴に挿入された部材の構造を説明する上方斜視図である。
【図3】 本発明が適用される掘削工具の構造の例を示す、掘削工具の拡径時の一部縦断面図である。
【図4】 従来の掘削工具における軸穴に対するブロック軸の支持機構の構造の例を示す、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 掘削工具
2 デバイス
2c デバイスの先端面
2d 軸穴
4 ブロック
4a ブロック軸
5 ピン穴
6 ピン
8 チップ(刃体)
11 緩衝体
12 スペーサ
13 スプリングピン(保持手段)
Claims (2)
- 先端面に軸穴が穿孔されたデバイスと、この軸穴に挿入されたブロック軸と、このブロック軸の先端に設けられたブロックと、このブロックに植設された刃体とを具備し、前記デバイスに、前記軸穴に挿入された前記ブロック軸と部分的に重なるピン穴が形成され、このピン穴に挿入されたピンにより、前記ブロック軸が前記軸穴内に回転自在に支持されている掘削工具において、
前記ピン穴には、前記ピンと、少なくとも前記ピン穴の軸線方向に沿った弾性を有する緩衝体と、スペーサとが順次挿入されるとともに、前記スペーサを保持手段を用いて前記ピン穴内に保持させることにより、前記ピン穴からの前記ピンの脱落が防止されていることを特徴とする掘削工具。 - 前記保持手段が、前記スペーサを貫通して前記ピン穴を横断し、かつ両端にて前記デバイスに係止されたスプリングピンであることを特徴とする請求項1に記載の掘削工具。
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- 2000-05-24 JP JP2000153761A patent/JP3994629B2/ja not_active Expired - Fee Related
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