JP3994320B2 - 不透明化度向上紙の製紙方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は不透明化度向上紙の製紙方法に関し、特に酸性ないし中性抄造条件下において印刷用紙、記録用紙、書籍用紙、新聞用紙、更紙(せんか紙)などで代表される紙(軽量紙)や白ボール、段ボール原紙、紙管原紙、ファンシーペーパー、高級白板(印画紙など)などで代表される板紙を対象に、市販の嵩高剤(不透明化剤)を使用し、強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性などの低下挙動を大幅に改善した上で嵩高性を更に向上できるようにした製紙方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境と資源の保護、産業公害の抑制、廃棄物処理の社会的負担の軽減を考慮してリサイクル化や紙製品の軽量化などの検討が積極的に進められている。このような検討は環境保全・循環型社会構築への積極的な取り組みの一環であるが、リサイクル化が推進されることで製紙原料に配合される新聞、雑誌、段ボール古紙などの古紙はより微細化する方向へと年々進むことになり、紙の厚さが出難く、即ち紙が薄くなり、これが原因で紙の不透明度の低下や印刷時における裏抜けなどの問題が生じ、加斤(紙の坪量を増やす操作)で対応する状況が増えつつあるのが現状である。
【0003】
また、容器包装リサイクル法とも関連するが、地球環境、特にパルプ資源の保護を目的に、パルプの使用量をできるだけ抑制すべく紙製品の軽量化の検討を進めてはいるが、上述したような不透明度の低下と印刷時における裏抜けなどの問題を解消しなければ先へは進まないのが現状である。
【0004】
リサイクル化と軽量化で生じる不透明度の低下という問題を解決する1つの方法に機械パルプ(TMPなど)の使用があるが、パルプ製造時のエネルギーコスト(電力消費量)の上昇や抄造pHの上昇(中性抄紙)時における白色度低下という問題の他に、機械パルプが剛直で短繊維であるという繊維質の特性に起因して強度の低下を招く場合がしばしば見受けられる。従って、機械パルプ配合前の強度を維持させるには内添紙力増強剤の増添又は外添塗工剤の適用(高濃度化)で補う必要が生じて薬品原単位上昇にもつながり、製紙業界における環境保全・循環型社会構築とは逆行することになってしまう。
【0005】
リサイクル化と軽量化に伴う不透明度低下の改善やエネルギーコスト削減を補う方法として最近、種々の嵩高剤(不透明化剤)が市場に紹介され、使用実績が年々増加する傾向にある。例えば、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物及びそのエステル化合物にオキシアルキレン基を付加した化合物を用いた嵩高剤(特開2000−034691号公報、特開平11−350380号公報)、カチオン性化合物、アミン、アミンの酸塩及び両性化合物を用いた嵩高剤(特開平11−269799号公報)、各種非イオン性界面活性剤及びそれとアニオン性界面活性剤を含有する嵩高剤(特開平11−200284号公報、特開平11−200283号公報、特開平11−200285号公報)、疎水性基/ポリアミン基/グリシジル基構造を有する嵩高剤(特開2000ー273292号公報)等が報告されている。このように嵩高剤のイオン性としてはカチオン性又はノニオン性が一般的であり、組成は薬品メーカーにより様々なタイプの製品が開発され上市されているが、その効果を有効に発揮する使用方法について十分な検討がなされていなかったのが現状である。
【0006】
酸性ないし中性抄造条件下において嵩高剤(不透明化剤)は上流側から下流側、即ち原料調成段階から抄紙段階まで全ての箇所に添加することが可能であり、実機マシンで紙質と操業性を確認しながら最適な添加場所を決定しているのが一般的である。ただ、嵩高剤全般に言えることは、添加量の増加に応じて嵩高性(紙の厚みの増加)は上昇傾向を示す反面、嵩高剤が多量の疎水基を有した一種の界面活性剤であるために、自己定着力が低い上に、紙力増強剤やサイズ剤といった内添薬品の定着を阻害し、歩留りを低下させ、これによって内添薬品本来の効果が発現できず、強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性などを顕著に低下させるという問題を生じさせているのも事実である。前述した各種低下挙動を改善する目的で内添・外添の紙力増強剤やサイズ剤を始め填料、濾水・歩留り剤などを増添して対応しているのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、嵩高剤(不透明化剤)使用時に問題とされる強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性の低下挙動を大幅に改善した上に、従来の製紙方法で得られる嵩高性よりも更に嵩高性を向上させることが可能な製紙方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは該当する問題点の解決に臨み、嵩高剤のイオン性や水溶性アルミニウム化合物(硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなど)の有効な適用方法などについて検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
そこで、本発明に係る不透明化度向上紙の製紙方法は、各種パルプ配合からなる抄造原料を抄造するにあたり、嵩高剤の希釈液又は分散液を水溶性アルミニウム化合物(硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなど)と混合した後に抄造原料に添加することで優れた強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性を発揮する効果的な製紙方法を特徴とする。
【0010】
嵩高剤(不透明化剤)の中でも、特に希釈時又は水分散時のイオン性がカチオン性を示すタイプの嵩高剤と水溶性アルミニウム化合物の混合添加によって、より優れた効果を発揮する。
【0011】
本発明で使用する嵩高剤(不透明化剤)としてはノニオン性嵩高剤であっても差し支えないが、嵩高性向上という嵩高剤本来の効果や強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性などの特性を最大限にまで向上させるには、カチオン性嵩高剤の適用が望ましい。その際、一般に上市されているカチオン性嵩高剤であれば組成にかかわらず高レベルの効果が期待できることを確認した。ここで、カチオン性嵩高剤とは希釈時又は水分散時にカチオン性を示す嵩高剤薬品の総称を意味する。
【0012】
本発明に使用できる水溶性アルミニウム化合物としては水溶性であれば、含有比率に差はあるが何れも使用可能である。アルミニウム化合物としては、例えば硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミナゾル、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。これらのアルミニウム化合物は単独又は2種以上併用して用いることも可能である。特に、製紙工程でよく使用される硫酸アルミニウム(硫酸バンド)が取扱い性及びコスト的に見て好ましい。
【0013】
酸性ないし中性抄造条件下で使用する填料や乾燥・湿潤紙力増強剤、サイズ剤、歩留り剤(凝結剤)などの種類、添加量及び添加場所に制限はなく任意であり、その際に各種パルプ配合からなる抄造原料に嵩高剤の希釈液又は分散液と水溶性アルミニウム化合物(以下では硫酸アルミニウムで代表する)水溶液の混合液を添加する場所も同様に任意である。但し、最大限の嵩高性を始め、優れた強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性を発揮させるには紙力増強剤と一部の硫酸アルミニウムを上流側の比較的滞留状態の良い箇所(例えばマシンチェストなど)に添加し、サイズ剤をマシンチェスト又は種箱(スタッフボックス)に添加した上でカチオン性嵩高剤希釈液と硫酸アルミニウム水溶液の混合液を下流側の白水による濃調後(例えばファンポンプ前以降)に添加することがより望ましい。
【0014】
嵩高剤と混合する硫酸アルミニウムは、アルミニウムイオン換算でカチオン性嵩高剤に対して0.1重量%〜200重量%、より好ましくは2重量%〜100重量%添加することが好ましい。
【0015】
嵩高剤の希釈液又は分散液と硫酸アルミニウム希釈液の混合液を添加することで嵩高性を始め、強度、サイズ度、填料歩留り、濾水特性が向上する作用機構については未だ明確ではないが、次のように説明できる。
【0016】
嵩高剤の希釈液又は分散液と硫酸アルミニウムとを混合すると両者は瞬時に吸着し、その混合液の添加によりパルプ表面へ硫酸アルミニウムを介在とした嵩高剤による疎水性部分と、紙力増強剤による水素結合部分が広範囲に均一分布することになり、嵩高性と強度(サイズ度など)が最大限にまで向上したものと考えられる。また、硫酸アルミニウムの役割は嵩高剤や紙力増強剤(及びサイズ剤など)とセルロースの橋渡しというだけでなく、高カチオン電荷密度という性状に由来する電荷の中和作用と凝結効果により、濾水・歩留り効果が大幅に向上するという特徴も同時に発揮されると考えられる。
【0017】
嵩高剤への水溶性アルミニウム化合物の混合は、混合により増粘し作業性に支障をきたさない程度に希釈した後に混合することが望ましい。嵩高剤の希釈又は分散濃度は添加場所が下流側ということもあり0.1重量%〜10重量%以内で、好ましくは0.2重量%〜3重量%程度である。両者の混合する時期は添加直前から添加10時間前が好ましいが、更に好ましくは添加前1時間以内である。しかし、実際の使用にあたっては添加直前に希釈又は分散された嵩高剤に水溶性アルミニウム化合物を混合し使用する方法が最も好ましい。
【0018】
本発明の嵩高剤を適用できるパルプ原料としては、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、LBKP(広葉樹晒パルプ)等の化学パルプなどのヴァージンパルプから、各種古紙パルプに至るまで広くパルプ一般に適用できるものである。また、本発明の嵩高剤の添加場所としては、パルプ原料の希薄液が金網上を進む間に濾水されて紙層を形成するまでの抄紙工程であれば特に限定するものではないが、例えば工場ではレファイナー、マシンチェスト、ヘッドボックスで添加するなど均一にパルプ原料にブレンドできる場所が望ましい。なお、本発明の嵩高剤はパルプ原料に添加後、そのまま抄紙され紙上に残存する。本発明の紙用嵩高剤の添加量は、パルプ原料に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%であるが、系によっては0.1重量%〜1重量%の少量添加でも優れた嵩高効果が得られる。
【0019】
なお、抄紙時にはロジン、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤の他、填料、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力向上剤等が添加されてもよい。サイズ剤は紙の表面や内部の空隙を耐水性物質でふさぎ、水やインキの浸透を抑えるものであり、パルプスラリーに添加したり(内添サイジング)、抄紙した紙に塗布する(表面サイジング)ことにより、処理される。サイズ剤は、紙の種類などにもよるが、通常はパルプ原料に対して0.01〜1.0重量%添加される。本発明の嵩高剤は、サイズ性能を保持する効果にも優れるため、サイズ剤を併用して高嵩高性パルプシートを得る製造方法に好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される物ではない。なお、例中の添加%は特記しない限り、パルプ固形分に対しての重量基準である。
【0021】
表1には具体的な実施例及び比較例を検討するにあたり、供試した薬品の一覧を記載した。
【0022】
【表1】
【0023】
【実施例1〜12】
LBKPパルプシートをカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F)テスターで470mlとなるようにナイアガラ式ビーターで叩解した。叩解後のパルプを市水にて3%濃度に調整し、軽質炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業製)を10%添加してパルプスラリーを十分攪拌した後、電気伝導度を測定すると、680μS/cmであった。
【0024】
<嵩高剤のマシンチェスト(上流側)添加想定時の定着方法>
上記のパルプスラリーを更に攪拌した後、表2に示したように硫酸アルミニウム(以下、硫酸バンドという)を1.5%(Al2O3として8%を含有する液状の硫酸バンドを100%として換算:以下、単に液バン換算と記す)添加した。続いて、カチオン性又はノニオン性嵩高剤(A,B,C)の1%希釈液又は分散液に硫酸バンドを0.5%(液バン換算)分混合して、パルプスラリーに添加した。その後にカチオン澱粉(Cato302:日本NSC製)を1.0%添加し、3%濃度スラリーの最終段階(種箱想定)でサイズ剤(NeuSize738:ハリマ化成製)を0.4%添加した。更に、攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈して濾水・歩留り剤(NR−12MLS:ハイモ製)を150ppm添加することで完成紙料とした。
【0025】
<嵩高剤のファンポンプ前(下流側)添加想定時の定着方法>
軽質炭酸カルシウム添加までの操作は同じであるが、以降は表2に示したように硫酸バンドを1.5%添加し、続いてカチオン澱粉を1.0%添加した。3%濃度スラリーの最終段階でサイズ剤を0.4%添加し、更に攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈した後にカチオン性又はノニオン性嵩高剤の1%希釈液又は分散液に硫酸バンドを0.5%(液バン換算)分混合し、パルプスラリーに添加した。最後に濾水・歩留り剤を150ppm添加することで完成紙料とした。
【0026】
<紙の抄紙方法>
得られた完成紙料(パルプスラリー)を一方では角型シートマシンにより坪量65g/m2相当の紙を抄き、5Kg/cm2で1分間プレスした後に105℃で3分間乾燥 させて試験紙を作成した。
【0027】
<紙の評価方法>
抄紙した紙は23℃・50%RHの条件下で24時間調湿した後、JIS P8118に準じた厚さ測定、JIS P 8138に準じた不透明度測定、熊谷理機製のインターナルボンドテスターによる内部強度、JIS P 8122に準じたステキヒトサイズ度測定、JIS P 8128に準じた600℃,1時間による灰分測定を実施した。また、完成紙料(パルプスラリー)を使用してもう一方ではC.S.Fによる濾水度(0.3%濃度,20℃補正)を測定した。各種測定結果を表2に示す。
【0028】
【比較例1〜12】
実施例1〜12と同じくパルプスラリーに軽質炭酸カルシウムを添加した後、硫酸バンドを2%(液バン換算)添加する操作を固定した上で、以降の操作は表2に示す様にカチオン性又はノニオン性嵩高剤(A,B,C)を所定の場所(順序)で単独添加することだけが異なり、他の薬品添加条件(添加場所、添加量)は実施例1に準じた。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。
【0029】
【表2】
【0030】
【実施例13〜18】
実施例1〜12と同様にパルプスラリーに軽質炭酸カルシウム(TP−121)を添加した後、<嵩高剤のファンポンプ前(下流側)添加想定時の定着方法>の基本操作に準じて定着を行った。具体的には表3に示した量の硫酸バンドを添加し、続いてカチオン澱粉(Cato302)を1.0%又は1.8%添加した直後、条件に応じてPAM系紙力剤(ハーマイドEX−132:ハリマ化成製)を0.2%添加した。3%濃度スラリーの最終段階でサイズ剤(NeuSize738)を0.4%添加し、更に攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈した後、カチオン性嵩高剤(A)の1%希釈液に硫酸バンド5%希釈液を表3に示した添加量分だけ混合し、パルプスラリーに添加した。最後に濾水・歩留り剤を150ppm添加することで完成紙料とした。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。各種測定結果を表3に示す。
【0031】
【比較例13〜15】
実施例13〜18と同じくパルプスラリーに軽質炭酸カルシウムを添加した後、硫酸バンドを2%(液バン換算)添加する操作を固定した上で、以降の操作は表3に示す様にカチオン性嵩高剤(A)を所定の場所(順序)で単独添加することだけが異なり、他の薬品添加条件(添加場所、添加量)は実施例13に準じた。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。
【0032】
【表3】
【0033】
【実施例19〜30】
LBKPパルプシートをカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F)テスターで470mlとなるようにナイアガラ式ビーターで叩解した。叩解後のパルプを市水にて3%濃度に調整し、カオリンクレー(YUDIAN:日成共益製)を10%添加してパルプスラリーを十分攪拌した後に電気伝導度を測定すると、650μS/cmであった。
【0034】
<嵩高剤のマシンチェスト(上流側)添加想定時の定着方法>
上記のパルプスラリーを更に攪拌した後、表4に示したように硫酸バンドを1.5%(液バン換算)添加した。続いて、カチオン性又はノニオン性嵩高剤(A,B,C)の1%希釈液又は分散液に硫酸バンド0.5%(液バン換算)分混合し、パルプスラリーに添加した。その後にカチオン澱粉(Cato302)を1.0%添加し、連続してPAM系紙力増強剤(ハーマイドEX−325:ハリマ化成製)を0.2%添加した。3%濃度スラリーの最終段階(種箱想定)でサイズ剤(NeuSize738)を0.4%添加した。更に、攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈して濾水・歩留り剤(NR−12MLS)を150ppm添加することで完成紙料とした。
【0035】
<嵩高剤のファンポンプ前(下流側)添加想定時の定着方法>
カオリンクレー添加までの操作は同じであるが、以降は表4に示したように硫酸バンドを1.5%(液バン換算)添加した。続いて、カチオン澱粉を1.0%添加し、連続してPAM系紙力増強剤を0.2%添加した。3%濃度スラリーの最終段階でサイズ剤を0.4%添加し、更に攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈した。その後、カチオン性又はノニオン性嵩高剤の1%希釈液又は分散液に硫酸バンドを0.5%(液バン換算)分混合しパルプスラリーに添加した。最後に濾水・歩留り剤を150ppm添加することで完成紙料とした。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。
【0036】
【比較例16〜25,2’,27】
実施例19〜30と同じくパルプスラリーにカオリンクレーを添加した後、硫酸バンドを2%(液バン換算)添加する操作を固定した上で、以降の操作は表4に示す様にカチオン性又はノニオン性嵩高剤(A,B,C)を所定の場所(順序)で単独添加することだけが異なり、他の薬品添加条件(添加場所、添加量)は実施例19に準じた。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。
【0037】
【表4】
【0038】
【実施例31〜42】
LBKPパルプシートをカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F)テスターで470mlとなるようにナイアガラ式ビーターで叩解した。叩解後のパルプを市水にて3%濃度に調整し、パルプスラリーを十分攪拌した後に電気伝導度を測定すると、350μS/cmであった。
【0039】
<嵩高剤のマシンチェスト(上流側)添加想定時の定着方法>
このパルプスラリーを更に攪拌した後、表5に示したように硫酸バンドを1.5%(液バン換算)添加した。続いて、カチオン性又はノニオン性嵩高剤(A,B,C)の1%希釈液又は分散液に硫酸バンドを0.5%(液バン換算)分混合してパルプスラリーに添加した。その後にカチオン澱粉(Cato302)を1.0%添加した。3%濃度スラリーの最終段階(種箱想定)でサイズ剤(ハーサイズNES−405:ハリマ化成製)を0.2%添加した。更に、攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈して濾水・歩留り剤(NR−12MLS)を150ppm添加することで完成紙料とした。
【0040】
<嵩高剤のファンポンプ前(下流側)添加想定時の定着方法>
表5に示したように硫酸バンドを1.5%(液バン換算)添加し、続いてカチオン澱粉を1.0%添加した。3%濃度スラリーの最終段階でサイズ剤を0.2%添加し、更に攪拌を継続しながら市水の導入でパルプスラリー濃度を0.6%にまで希釈した後、カチオン性又はノニオン性嵩高剤の1%希釈液又は分散液に硫酸バンドを0.5%(液バン換算)分混合してパルプスラリーに添加した。最後に濾水・歩留り剤を150ppm添加することで完成紙料とした。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。
【0041】
【比較例27’,28〜38】
実施例31〜42と同じくパルプスラリーに硫酸バンドを2%(液バン換算)添加する操作を固定した上で、以降の操作は表5に示すようにカチオン性又はノニオン性嵩高剤(A,B,C)を所定の場所(順序)で単独添加することだけが異なり、他の薬品添加条件(添加場所,添加量)は実施例31に準じた。以下、実施例1と同条件で手抄き紙を作成し測定を実施した。また、同様に濾水度も測定した。
【0042】
【表5】
Claims (4)
- 各種パルプ配合からなる抄造原料を抄造するにあたり、嵩高剤の希釈液又は分散液を水溶性アルミニウム化合物と混合した後に抄造原料に添加するようにしたことを特徴とする不透明化度向上紙の製紙方法。
- 希釈時又は水分散時にイオン性がカチオン性を有し、下記(1)(2)(3)の化合物の少なくとも1種を含有する紙用嵩高剤を用いるようにした請求項1記載の不透明化度向上紙の製紙方法。
(1).アシル基、アルキル基又は水酸基を有するアルケニル基を有する化合物とエピハロヒドリン若しくはグリシジルエーテル及び/又はそれらから誘導された化合物とを反応して得られたカチオン性化合物
(2).カチオン性化合物、アミン、アミンの酸塩及び両性化合物から選ばれた少なくとも1種以上を含有する化合物
(3).非イオン性界面活性剤を含有しカチオン性分散剤で分散化された化合物 - 嵩高剤と混合する水溶性アルミニウム化合物が硫酸アルミニウム及び/又はポリ塩化アルミニウムであり、アルミニウムイオン換算で嵩高剤に対して0.1重量%〜200重量%混合添加するようにした請求項1又は2記載の不透明化度向上紙の製紙方法。
- 抄造工程における上流側に紙力増強剤、サイズ剤と水溶性アルミニウム化合物を添加し、抄造工程における下流側に嵩高剤の希釈液又は分散液と水溶性アルミニウム化合物との混合液を添加するようにした請求項1ないし3のいずれかに記載の不透明化度向上紙の製紙方法。
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