JP3994130B2 - Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3994130B2
JP3994130B2 JP2001026180A JP2001026180A JP3994130B2 JP 3994130 B2 JP3994130 B2 JP 3994130B2 JP 2001026180 A JP2001026180 A JP 2001026180A JP 2001026180 A JP2001026180 A JP 2001026180A JP 3994130 B2 JP3994130 B2 JP 3994130B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
supply pipe
group
material supply
raw material
iii
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001026180A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002231643A5 (ja
JP2002231643A (ja
Inventor
淳 小河
貴之 湯浅
有三 津田
元隆 種谷
隆宏 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2001026180A priority Critical patent/JP3994130B2/ja
Publication of JP2002231643A publication Critical patent/JP2002231643A/ja
Publication of JP2002231643A5 publication Critical patent/JP2002231643A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3994130B2 publication Critical patent/JP3994130B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III−V族化合物半導体の厚膜を基板上に成膜するためのIII−V族化合物半導体製造装置及びIII−V族化合物半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
III−V族化合物半導体を有する発光素子を製造する場合、III−V族化合物を成長させるための成長用基板としてサファイアを用いることが多い。
【0003】
しかし、III−V族化合物半導体とサファイアとの格子定数及び熱膨張係数が異なるために、サファイア基板上に成膜されたIII−V族化合物半導体層に、109〜1010cm-3の濃度の貫通転位が生じる。このような貫通転位が増加すると、III−V族化合物半導体を有する発光素子の発光層に、In組成の揺らぎやドーパントの活性層への拡散等の現象が発生し、発光素子の素子特性、寿命、信頼性が低下する。
【0004】
貫通転位を増加させる格子定数及び熱膨張係数の差異による影響を抑えるため、サファイヤ基板上にIII−V族化合物半導体の厚膜を成長させた後に、その厚膜の上に発光素子層を成長させる試み、また、III−V族化合物半導体結晶を成長用基板として用いるために、厚さが300μm以上のIII−V族化合物半導体の厚膜を作製する試みがなされている。このようなIII−V族化合物半導体の厚膜を成膜する場合、III−V族化合物半導体膜の成膜速度を大きくすることが生産性の向上を図る上で重要となる。
【0005】
III−V族化合物半導体の厚膜を成膜する場合、成膜速度が大きく、結晶性が比較的良好な膜が得られる成膜方法として、Hydride Vapor Phase Epitaxy 法(以下、HVPE法)と呼ばれる成膜方法が知られている。
【0006】
このHVPE法によって、窒化物系III‐V族化合物半導体であるGaN膜を成膜する方法について説明する。
【0007】
図27は、III−V族化合物半導体を製造するHVPE装置1の断面図、図28は、図27のR−R’線に沿う断面図である。
【0008】
このHVPE装置1は、GaNを結晶化して基板上に成膜させるための反応場となる水平状態に配置された円筒状の反応容器2を有し、この反応容器2の内部には、反応容器2の中心軸付近に水平状態で配置されたIII族原料であるGa原料を供給する1本のIII族原料供給管3と、反応容器2の中心軸と同心の円周上に所定間隔を空けて水平状態で配置されたV族原料であるN原料を供給する3本のV族原料供給管4と、V族原料供給管4が配置された円周と同一の円周上に水平状態で配置されたドーピング原料を供給する1本のドーピング原料供給管5とが設けられている。
【0009】
このIII族原料供給管3及びV族原料供給管4及びドーピング原料供給管5のそれぞれの原料ガスの吹出し口となる各管の先端から所定距離離れた位置には、結晶成長用の基板101を固定するための円板状のサセプタ6が設けられている。サセプタ6は、カーボン(C)材によって円板状に形成され、その表面側が基板101を保持するための保持面6aとなっている。この保持面6aと反対側の面には、サセプタ6を回転自在に支持する回転軸7が設けられている。このサセプタ6の保持面6aは、各原料供給管3〜5の延出方向とほぼ平行になるようにほぼ水平になっている。したがって、サセプタ6の保持面6aの法線方向ベクトル(垂直下向きを正とする)AとIII族原料供給管3の先端部分における原料が通過する方向のベクトル(III族原料の進行方向を正とする)Bとのなす角度(α角)を、90°としている。
【0010】
このHVPE装置1によってGaNの結晶を成長させるには、まず、反応容器2の外側に設けられる図示しない加熱ヒータによって、反応容器2を加熱することにより、サセプタ6上に固定された基板101の温度を約1000℃に維持する。
【0011】
III族原料供給管3から放出させるGaの原料としては、GaClが用いられる。III族原料供給管3には、所定の位置にGa金属を貯蔵するIII族原料貯蔵部7を有しており、GaClガスは、約770℃に加熱したIII族原料貯蔵部上にHClがスを導入して、Ga金属とHClが、下記の(1)式に示す化学反応により反応することにより発生する。
【0012】
Ga(液体)+HCl(気体)→GaCl(気体)+1/2H2(気体) (1)
発生したGaClガスは、III族原料供給管3の先端部に形成した石英製のGaCl吹出口3aから放出される。
【0013】
このGaClガスの吹出しと同時に、N原料ガスであるNH3ガスが、V族原料供給管4の先端に形成した石英製のNH3ガス吹出し口4aから放出される。両原料供給管3及び4から放出されるGaClガス及びNH3ガスは、下記の(2)式で表される化学反応により、GaNの結晶を生成し、基板101の表面上にGaN膜が成膜される。
【0014】
GaCl(気体)+NH3(気体)→GaN(固体)+HCl(気体)+H2(気体) (2)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、GaNに代表されるIII−V族化合物半導体の厚膜を、成膜速度が速いHVPE法によって成長させる場合、特に、直径2インチ程度の大きい基板上に成膜させる場合には、基板上に吹き付けられる各原料ガスを、基板に対して均一に供給しなければ、基板面内に不均一な膜厚の分布が生じる。このために、それぞれのガスの流量を制御することが、均一な膜を得る上で重要である。
【0016】
III−V族化合物半導体の厚膜をIII−V族化合物半導体を結晶成長させるための基板として使用する場合、GaNの結晶膜の膜厚が均一であることは不可欠であることから、各原料ガス供給管から吹出されるガスの流量を精密に制御することは、特に重要である。
【0017】
しかし、上記のHVPE装置1では、各原料吹出口3a、4a、5a、特に、III族原料吹出口3aから放出される各原料の基板101に対する入射角度及び基板101と各原料吹出口3a、4a、5aとの距離に関する最適化が行われておらず、各原料の基板101の表面への流れを均一に制御することが困難である。
【0018】
また、基板101に厚膜を成長させるために、III−V族化合物半導体の原料を長時間にわたって放出すると、サセプタ6、各原料吹出口3a、4a、5a等にIII−V族化合物半導体の塊が付着する。
【0019】
III−V族化合物半導体の付着物の塊が、サセプタ6、各原料吹出口3a、4a、5a等に付着すると、付着物となるIII−V族化合物半導体とサセプタ6、各原料吹出口3a、4a、5a等を構成する材料(主として石英)との熱膨張の違いにより、サセプタ6、各原料吹出口3a、4a、5a等に割れが生じるおそれがある。また、付着物の塊が各原料吹出口3a、4a、5aをふさいで、正常な流量のガスが放出されないおそれがある。この場合には、基板101上に膜を正常に結晶成長させることができない。
【0020】
このような付着物の塊の生成は、基板101上に成長するIII−V族化合物半導体の成長速度と大きな関係があり、特に、基板101上でのIII−V族化合物半導体膜の成膜速度が速い場合、サセプタ6、各原料吹出口3a、4a、5a等にIII−V族化合物の付着物の塊が生成し易くなってくることが顕著である。このことは、上記HVPE法のみならず、成長速度が10μm/hr以上の高い成長速度を示す有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition :以下、MOCVD法と記す)によって結晶成長を行った場合にも生じる。
【0021】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板面内に均一な膜厚のIII−V族化合物半導体の厚膜を結晶成長させるIII−V族化合物半導体半導体製造装置及び均一な膜厚のIII−V族化合物半導体の厚膜を結晶成長させるIII−V族化合物半導体半導体の製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置は、HVPE法または成長速度が10μm/hr以上であるMOCVD法によってIII−V族化合物半導体を結晶成長させるための反応容器と、該反応容器内において基板を保持する基板保持具と、前記反応容器内においてIII−V族化合物半導体のIII族原料を前記基板保持具に保持された基板に向かって吹き出すためのIII族原料供給管と、前記反応容器内において該III族原料供給管に沿って配置されて前記基板に向かってV族原料を吹き出すためのV族原料供給管とを有し、前記III族原料供給管は、前記基板保持具に保持された前記基板の中心軸線に沿った中心線方向ベクトル(基板表面から裏面への方向を正)と、III族原料供給管のIII族原料が吹出される方向に沿ったIII族原料吹出し方向ベクトル(III族原料が吹き出される方向を正)とのなす角度が5°〜15°の範囲になるように配置されているとともに前記基板保持具に保持された前記基板表面の中心部分と、前記III族原料供給管のIII族原料吹出し部分との距離が5mm〜200mmの範囲になるように配置されており、前記V族原料供給管は、吹き出される前記V族原料と、前記III族原料供給管から吹き出される前記III族原料とが前記基板との間で混合されるとともに前記基板との間の気相中において反応しないように該基板に対して所定の距離をあけて配置されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成により、請求項1の発明は、結晶成長を行う基板に対して供給される原料ガスの流れを制御することが容易になり、均一な膜厚を有する厚膜のIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【0024】
請求項2は、請求項1に記載のIII−V族化合物半導体製造装置において、前記V族原料供給管が複数設けられており、該V族原料供給管のそれぞれと前記III族原料供給管との間隔が等しくなっている。
【0026】
請求項3は、請求項1または2に記載のIII‐V族化合物半導体製造装置において、ドーピング用の原料を供給するドーピング原料供給管をさらに具備するものである。
【0027】
このことにより、III族及びV族原料と共にドーピング用原料を供給することができる。
【0028】
請求項4は、請求項3に記載のIII−V族化合物半導体製造装置において、前記ドーピング原料供給管は、前記ドーピング原料供給管の原料吹出し部分と、前記基板保持具に保持された基板の中心部分との距離が、5mm〜200mmの範囲になるように配置されているものである。
【0029】
このことにより、より一層、ドーピング用原料ガスと他の原料ガスとの気相中での相互反応を抑制することができる。
【0030】
請求項5は、請求項3または4に記載のIII−V族化合物半導体製造装置において、前記基板保持具の表面部分、前記III族原料供給管及び前記V 族原料供給管及び前記ドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分が、PBNによりコーティングされた材質により構成されているものである。
【0031】
このことにより、基板保持具の表面部分に付着するIII−V族化合物半導体の塊が自然に剥がれ落ち、基板保持具、III族原料供給管及びV族原料供給管及びドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分の割れを防ぐことができ、また、窒化物系化合物半導体の塊がそれぞれの表面に付着しないために、各原料の流れを阻害することがなく、安定してIII−V族化合物半導体厚膜を成長させることができる。
【0032】
請求項6は、請求項3または4に記載のIII−V族化合物化合物半導体製造装置において、前記基板保持具の表面部分、前記III族原料原供給管及 び前記V族原料供給管及び前記ドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分が、炭化シリコン(SiC)、炭化タンタル(TaC)、ボロン化窒素(BN)のいずれかによりコーティングされた材質により構成されているものである。
【0033】
このような構成により、基板保持具、III族原料原供給管及びV族原料供給管及びドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分がの割れを防ぐことができ、また、基板保持具に付着したIII−V族化合物半導体の塊が、結晶成長毎に容易に加熱処理により除去することができるため、安定にIII−V族化合物半導体厚膜を成長させることができる。
【0034】
請求項7は、請求項3または4に記載のIII−V族化合物化合物半導体製造装置において、前記基板保持具の表面部分、前記III族原料原供給管及 び前記V族原料供給管及び前記ドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分が、炭化シリコン(SiC)、炭化タンタル(TaC)、ボロン化窒素(BN)のいずれかにより、内部まで浸透された材質により構成されているでものである。
【0035】
このような構成により、基板保持具、III族原料原供給管及びV族原料供給管及びドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分の割れを防ぐことができ、また、基板保持具に付着したIII−V族化合物半導体の塊が、結晶成長毎に容易に加熱処理により除去することができるため、安定にIII−V族化合物半導体厚膜を成長させることができる。
【0036】
請求項8は、請求項1〜7のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体製造装置において、III族原料供給管から吹出されるIII族原料は、III族元素のハロゲン化物、V族原料供給管から吹出されるV族原料は、NH3であるものである。
【0037】
このことにより、膜厚が均一な厚膜の窒化物系化合物半導体膜を成長させることができる。
【0038】
請求項9は、請求項1〜7のいずれかのIII−V族化合物半導体製造装置を用い、前記III族原料供給管からIII族元素のハロゲン化物を、前記V族原料供給管からNH3を、それぞれ吹出させて、前記基板保持具に保持された前記基板上に前記III族元素の窒化物を結晶成長させることを特徴とするものである。
【0039】
このことにより、膜厚が均一な厚膜の窒化物系化合物半導体膜を成長させることができる。
【0040】
なお、本発明において、III−V族化合物半導体とは、V族元素が窒素であるIII−V族系化合物半導体のことを示しており、例えば、GaN、BN、AlN、Alα‐Ga(1‐α)N(0<α<1)、InN、Inβ‐Ga(1‐β)N(0<β<1)、InγGaδAl(1‐γ‐δ)N(0<γ<1、0<δ<1)等がある。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置及びIII−V族化合物半導体製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10の概略を説明する断面図、図2は、図1のA−A’線に沿う断面図をそれぞれ示している。
【0042】
このIII−V族化合物半導体製造装置10は、III族原料及びV族原料を充填し、加熱処理することにより結晶成長させる反応場となる水平状態に配置された円筒状の反応容器12を有し、この反応容器12の内部に、III−V族化合物半導体を結晶成長させるための基板101を垂直状態で保持するサセプタ16と、垂直状態に保持された基板101に向けてIII族原料を供給する水平状態に配置された1本のIII族原料供給管13と、V族原料を供給する水平状態に配置された3本のV族原料供給管14と、ドーピング原料を供給するドーピング原料供給管15とが設けられている。反応容器12の外部には、反応容器12の外周面に沿うように加熱ヒータ18が設けられており、反応容器12全体を外周面から加熱する。
【0043】
III族原料供給管13は、円筒状の反応容器12の中心軸に沿って水平状態で設けられており、矢印Cで示す方向にIII族原料を進行させる。また、III族原料ガス供給管13の所定の位置には、III族原料を発生させるためのIII族原料を貯蔵するIII族原料貯蔵部17を有している。
【0044】
3本のV族原料供給管14は、反応容器12の中心軸と同心の内周円上にそれぞれ所定間隔を空けて、III族原料ガス供給管13を取り囲むように水平状態で配置されている。各V族原料供給管14は、矢印Dで示す方向に、V族原料を進行させる。
【0045】
また、このV族原料供給管14が配置された円周と同一の円周上に、ドーピング原料を供給するための1本のドーピング原料供給管15が水平状態で設けられている。3本のV族原料供給管14と1本のドーピング原料供給管15とは、それぞれ等しい間隔を空けて配置されている。ドーピング原料供給管15は、矢印Eに示す方向に沿って、ドーピング原料を進行させる。
【0046】
各原料供給管13〜15の先端部には、各原料を吹出す吹出ノズル13a〜15aがそれぞれ設けられている。各吹出ノズル13a〜15aは、それぞれカー ボン材(C)によって形成され、表面にはPBNが200nmの膜厚でコーティングされている。
【0047】
サセプタ16は、各原料供給管13〜15に対向するように垂直方向に沿うように配置されており、各原料供給13〜15に対向した表面には、基板101を保持するための保持爪16aが設けられている。サセプタ16の裏面側には、サセプタ16の中心軸に沿って回転軸16aが設けられており、回転軸16aの回転によってサセプタ16が回転される。サセプタ16は、カーボン材(C)により形成され、その表面には、PBNを200nmの膜厚でコーティングされている。
【0048】
反応容器12の一端には、各原料供給管13〜15から導入された未反応の原料ガス及びキャリアガスを排気するガス排気口19が設けられており、未反応の原料ガス及びキャリアガスが順次、このガス排気口19から図示しない排ガス処理装置に排出され、この排ガス処理装置によって排ガス処理が施された後、大気に放出される。
【0049】
図3は、III−V族化合物半導体製造装置10のIII族原料供給管13及び基板101を保持した状態のサセプタ16の周辺を拡大して示す概略断面図である。
【0050】
基板101は、中心線に沿ったベクトルA(III−V族化合物が積層される表面から裏面に向かう方向を正とする)Aが、III族原料ガス供給管13の原料吹出ノズル13aの軸心線13bに沿ってIII族原料が吹き出される原料供給方向ベクトルB(III族原料が吹き出される方向を正とする)に対してなす角度(以後、α角とする)と、III族原料供給管13のIII族原料吹出ノズル13aの軸心線13bからサセプタ16に保持されている基板101の中心101aまでの距離(以後、距離Sとする)とを任意に設定することができるように、移動可能になっている。なお、初期条件としては、距離Sが25mm、α角が0°にそれぞれ設定される。
【0051】
以下、上記構成のIII−V族化合物半導体製造装置10を用いて、基板101にIII−V族半導体の厚膜を成膜する方法について、GaN厚膜の成膜を例として説明する。
【0052】
まず、C面を有する2インチ径のサファイアから形成された基板101を、アセトン、アルコールによって洗浄した後、反応容器12内のサセプタ16に保持爪16aによって垂直状態で固定する。基板101は、距離Sが25mm、α角が0°となるように設置されている。
【0053】
なお、基板101としては、サファイア基板のほか、サファイア基板上にIII−V族化合物半導体を薄く成膜したもの、または、SiC、GaAs、Si等を用いてもよい。
【0054】
次に、反応容器12の内部を真空引きし、その後、大気圧になるまで、反応容器12内に窒素ガスを充填する。
【0055】
次に、サセプタ16の回転軸16bを回転駆動することにより、基板101を1回転/分程度の回転速度で回転させながら、加熱ヒータ18を稼働させ、V族原料供給管14及びドーピング原料供給管15のそれぞれの原料供給ノズル14a及び15aから、合計10L/分の窒素ガスを流しながら、基板101の温度を1100℃まで昇温する。また、III族原料供給管13のIII族原料貯蔵部17にGa金属を貯蔵しておき、III族原料貯蔵部17を800℃程度に加熱する。各部の温度が安定した時点で、III族原料供給管13に、HClガスを100cc/分の流量で導入する。III族原料供給管13内に導入されたHClガスは、III族原料貯蔵部のGaと反応して、GaClガスを発生し、III族原料供給ノズル13aから、GaClガスが吹き出される。
【0056】
III族原料供給管13にHClガスを導入し始めてから約3分経過した後、V族原料供給管14からNH3ガスを5L/分の流量で吹き出させる。各原料ガス供給管13及び14及び15から吹き出されるGaClとNH3とが反応して、基板101上にGaN結晶を生成して、膜の成長が開始される。
【0057】
ドーピング原料供給管15から供給されるガスは、GaN膜の電気伝導の特性をp型にする際には、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(以下、Cp2Mgと記す)等が吹き出される。他方、GaN膜の電気伝導の特性をn型にする際には、ジシクロシラン(以下、SiH2Cl2と記す)等が吹き出される。以下、本実施の形態1では、n型半導体を製造する場合について説明する。
【0058】
V族原料ガス供給管14からNH3ガスを供給した後、直ちに、水素ガスにより100ppmに希釈したジシクロシラン(以下、SiH2Cl2と記す)を20cc/分の流量で吹き出させ、キャリアガスとして窒素ガスを2L/分の流量で導入し、n型GaN膜を成長させた。1時間GaN結晶を成長させた後、加熱ヒータ18による加熱を低下させると共に、III族原料供給管13から放出されているHClガスおよび窒素ガスと、ドーピング原料供給管15から供給しているSiH2Cl2の供給を停止し、基板101の温度が400℃になるまで降温する。
【0059】
基板101の温度が400℃以下になった後、V族原料供給管14より供給するガスをNH3から窒素に変換し、反応容器12内の温度を室温まで降温した後、GaN膜を成長させた基板101をサセプタ16から取り出す。
【0060】
図4に、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10により成長させたGaN膜の膜厚分布図を示す。基板101の中心101aの膜厚は100μmとなり、基板101の中心101aと基板101の外周面から5mm中心寄りの位置との膜厚差Δdは、最も大きな個所でも5μm以下であり、均一性のよい膜厚のGaN膜が得られた。また、GaN厚膜はp型電導特性を示し、電子濃度は3×1019cm-3であった。
【0061】
一方、比較のために、従来の半導体製造装置である図27に示すHVPE装置1を用いて、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10と同様の方法により、基板の中央部の膜厚が100μm程度になるように、GaN膜を形成した。
【0062】
図29に、この場合のGaN膜の膜厚分布図を示す。基板の周縁部における膜厚は、60μm程度となり、膜厚の均一性が基板の中心部分から周縁部にかけて大きく悪化していることが分かった。
【0063】
これは、従来のHVPE装置1では、基板表面に対して吹き付けられるガスの角度が小さいために、ガス同士が均一に混合されず、さらに、ガスが流れる方向とサセプタとが平行に近く、原料ガスの分子や原子がサセプタ上でマイグレーションする距離が長くなるために、サセプタ等へ付着するGaNが多くなる。これらのために、膜厚の均一性を促進するガス流れを阻害し、膜厚分布が不均一になったと考えられる。一方、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10で結晶成長を行った場合には、各原料供給管13及び14及び15のそれぞれの原料吹出口13a及び14a及び15aからのガスの流れと基板との角度との関係から、ガス同士が均一に混合されるために、均一性のよい膜厚分布が得られたと考えられる。
【0064】
次に、距離Sを、3mm、5mm、10mm、25mm、50mm、100mm、150mm、200mm、250mmのそれぞれに設定した場合において、α角を種々変更し、均一な膜厚を得るための、最適な距離S及びα角について調べた。
【0065】
ここで、GaN膜の成膜に使用されるIII−V族化合物半導体製造装置は、上記に説明したIII−V族化合物半導体製造装置10を使用し、基板101上に成膜されるGaNの膜厚分布は、基板(φ2インチ)101の中心101a付近のGaN膜厚が100μmのときの基板101の中心101aと周縁部(外周面から5mmの位置)との膜厚差Δdを指標としている。
【0066】
図5〜図7は、距離S及びα角と膜厚分布Δdとの関係を示すグラフである。
【0067】
図5に示すグラフより、距離Sが5mmより小さいと、基板101表面の膜厚分布が大きくなり、膜厚の均一性が悪化していることが分かった。これは、距離Sが5mmよりも小さくなると、GaClガスが基板101に到達するまでの距離Sが短いために、NH3ガスとGaClガスが充分に混合できていないことが原因であると考えられる。
【0068】
また、図7に示すグラフより、距離Sが200mmより大きい場合も、基板101表面の膜厚分布が大きくなり、膜厚の均一性が悪化していることが分かった。これは、距離Sが200mmよりも大きくなると、GaClガスとNH3ガスとが気相中で反応し、GaN結晶の微粒子が基板101の中心部分101aに付着し、中心101aでGaN膜が異常成長することが原因であると考えられる。
【0069】
また、図5〜図7の各グラフから、α角が約40°以上になると、基板101表面の膜厚分布が大きくなり、膜厚の均一性が悪化していることが分かった。これは、α角が約40°以上になると、基板101へのガス供給の角度が浅くなるために、ガス同士が均一に混合されていないこと、さらにガスが流れる方向と基板101の表面とが平行に近づき、原料ガスの分子や原子が基板101表面上でマイグレーションする距離が長くなり、その結果、サセプタ16等へ付着するGaNが多くなって、サセプタ16に付着するGaN結晶がガス流れを阻害することにより、膜厚の均一性を促進されなくなることが原因であると考えられる。この結果から、α角は、0°〜40°程度の範以内であれば、均一な膜厚の結晶膜が得られることが分かった。
【0070】
さらに、最適なα角に関して検討した。すなわち、α角を0°、2.5°、5.0°として、厚さ100μmのGaN結晶膜をそれぞれ成膜し、各結晶膜にX線を照射すると、半値全幅(FWHM)の平均は、220arcsec.程度であったが、α角が5°、10°、15°であるときのFWHMは、それぞれ195arcsec.程度となり、また、α角が15°、25°、40°のときには、それぞれ250arcsec.程度となることが分かった。この結果、GaNの結晶性も考慮に入れ、α角は、5°〜15°の範囲であることが好ましいことが分かった。これは、α角が5°〜15°の範囲にあれば、各原料ガスを混合する効果と、基板表面に対して所定角度(α角)傾いたガス流れが生じ、反応原子のマイグレーションが促進させる効果とのバランスが取れるためであると考えられる。
【0071】
以上の結果により、III族原料供給管13と基板101表面との距離Sは、5mm〜200mm程度の範囲であることが好ましく、III族原料供給管13と基板101表面の中心軸との角度であるα角は、0°〜40°程度の範囲であることが好ましく、5°〜15°程度の範囲であれば、さらに好ましいことが分かった。
【0072】
次に、ドーピング用原料を供給するドーピング原料供給管15の原料吹出ノズル15aの中心部分と基板101表面の中心101aとの距離Dを変化させることにより、GaN膜にドーピングされるドーピング原料のドーピング量を調べた。このドーピング原料としては、SiH2Cl2を使用した。
【0073】
図8は、距離DとGaN膜のドーピング量との関係を示すグラフである。
【0074】
図8に示すグラフから、距離Dが5mm以下、または、200mm以上のときに、ドーピング量が大きく減少していることが分かった。これは、5mm以下の場合、SiH2Cl2の分解が十分でなく、SiH2Cl2が直接基板101に接触し、この基板101上にてHClと反応した赤茶色の化合物が生成して消費されたためと考えられる。また、距離Dを200mm以上にした場合、ガスの混合は促進されるが、基板101に到達する前に、気相反応により、NH3等と反応して、周辺治具等にNH4Cl等が析出し、消費されたためと考えられる。
【0075】
さらに、ドーピング原料、ドーピング原料供給管15、ドープング原料供給管15の原料吹出ノズル15aの形状、サセプタ16上の基板101とのなす角度を種々変更しても、ほぼ5mm以下、200mm以上辺りから、同様の結果が得られた。したがって、距離Dは、5mm〜200mm程度の範囲であることが好ましいことが分かった。
【0076】
次に、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置における、III族原料供給管13及びV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15の配置例を、図9〜図15にそれぞれ示す。
【0077】
図9〜図15は、それぞれ反応容器12の横断面図である。
【0078】
図9では、円筒状の反応容器12の中心軸に沿って1本のIII族原料ガス供給管13を配置し、III族原料供給管13を中心とした上下の対称な位置にV族原料供給管14をそれぞれIII族原料供給管13と平行に配置している。なお、2本のV族原料供給管14のうち1本を保護ガス供給管20に置き換えてもよい。
【0079】
図10では、反応容器12の中心軸から下方にずれた位置に1本のIII族原料供給管13を水平状態で配置し、このIII族原料供給管13を中心とした上下の対称な位置にV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15をそれぞれ配置して、V族原料供給管14を反応容器12の中心軸付近に配置している。なお、ドーピング原料供給管15に代えてV族原料供給管14を配置してもよい。
【0080】
図11では、反応容器12の中心軸に沿って、1本のIII族原料供給管13を配置し、このIII族原料供給管13を取り囲むように、反応容器12の中心軸と同軸の円周上に、等しい間隔を空けて、2本のV族原料ガス供給管14及び1本のドーピング原料供給管15を配置している。なお、ドーピング原料供給管15に代えてV族原料供給管14を配置してもよい。
【0081】
図12では、反応容器12の中心軸に沿ってIII族原料供給管13を配置しこのIII族原料供給管13を中心として上下の対称な位置でV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15をそれぞれ配置している。そして、III族原料供給管13には、窒素等の不活性ガスを供給する保護ガス供給管20が、III族原料供給管13を取り囲むように同心状態で嵌合されている。保護ガス供給管20は、III族原料供給管13から吹き出されるIII族原料と、V族原料供給管14から吹き出されるV族原料とが、基板101の表面以外の部分で反応することを防ぐために設けられている。
【0082】
図13では、反応容器12の中心軸に沿って1本のIII族原料供給管13を配置し、このIII族原料供給管13を内部に同心状態で嵌合するようにドーピング原料供給管15が配置されており、さらにドーピング原料供給管15を内部に同心状態で嵌合するように、V族原料供給管14が配置されている。この場合、ドーピング原料供給管15に代えて保護ガス供給管20を配置してもよい。
【0083】
図14では、反応容器12の中心軸から下方にずれた位置に1本のIII族原料供給管13を配置し、III族原料供給管を取り囲む円周上に3本のV族原料供給管14及び1本のドーピング原料供給管15を等しい間隔を空けて配置して、1本のV族原料供給管14を反応容器12の中心軸付近に配置するとともに、ドーピング原料供給管15を反応容器12の下部に配置している。なお、3本のV族原料供給管14のうち1本を保護ガス供給管20に置き換えてもよい。
【0084】
図15では、反応容器12の中心軸に沿ってIII族原料供給管13を配置し、さらに、このIII族原料供給管13を内部に同心状態で嵌合したV族原料供給管14を配置して、二重管構造とし、さらに、このV族原料供給管14の下方に、ドーピング原料供給管15を配置している。なお、V族原料供給管14とドーピング原料供給管15とを相互に入れ換えて配置するようにしてもよい。
【0085】
以上、図9〜図15に示すIII族原料供給管13及びV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15の配置においても、距離Sが5mm〜200mmの範囲、α角が0°〜40°の範囲内であれば、前述のIII−V族化合物半導体製造装置10と同様に均一な膜厚のGaN膜を得ることができる。
【0086】
図16は、III族原料供給管13及びV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15を有する他の構造のIII−V族化合物半導体製造装置30の断面図、図17は、図16のG−G’線に沿った断面図である。
【0087】
このIII−V族化合物半導体製造装置30は、円筒状の反応容器12の中心軸に沿ってIII族原料供給管13が水平状態で配置されており、このIII族原料供給管13の下方にドーピング原料供給管14が水平状態でを配置されている。そして、III族原料供給管13及びドーピング原料供給管15を取り囲むように、円筒状の反応容器12とほぼ同心状態でV族原料供給管14が配置されている。V族原料供給管14内には、V族原料が図16の矢印Hで示す方向に放出され、また、ドーピング原料供給管15内には、ドーピング原料が同じく矢印Iで示す方向に放出される。III族原料供給管13の端部は、V族原料供給管14の端部内に位置されており、その端部は、III族原料が矢印Bの方向に吹き出される先端側にさるにつれて径が広くなったテ−パ形状になっている。なお、図16では、反応容器12を加熱する加熱ヒータ18は、図面を見やすくするため、省略している。
【0088】
III族原料供給管13及びV族原料供給管14をこのように配置することにより、III族原料供給管13のテ−パ形状になった端部から放出されるIII族原料は、V族原料供給管14内を流れるV族原料に向かって吹き出されることになり、III族原料とV族原料との混合性能を向上させることができる。
【0089】
図18は、III族原料供給管13及び及びドーピング原料供給管15を有する、さらに他の構造のIII−V族化合物半導体製造装置40の断面図、図19は、図18のJ−J’線に沿った断面図である。
【0090】
このIII−V族化合物半導体製造装置40は、図16及び図17に示すIII−V族化合物半導体製造装置30に対して、III族原料供給管13の径が小さくなっており、また、V族原料供給管14の端部が、基板101の径にほぼ等しくなるように、大きな直径になっている。また、III族原料供給管13の端部は一定の直径となっている。その他の構成は、図16及び図17のIII−V族化合物半導体製造装置30と同様になっている。
【0091】
このような構成のIII−V族化合物半導体製造装置40では、V族原料供給管14の端部の直径が基板101の直径と同様の大きさになるように大きくなっているために、III族原料供給管13から放出されるIII族原料がV族原料と効率よく混合される。
【0092】
これらのIII−V族化合物半導体製造装置30及び40を用いても、距離Sが5mm〜200mmの範囲、α角が0°〜40°の範囲であることを満たしていれば、均一性に優れたGaNの厚膜を得ることができる。
【0093】
以上、III族原料ガス供給管13のIII族原料吹出ノズル13aとサセプタ16との位置関係に関して説明してきたが、III族原料供給管13とV族原料供給管14との位置関係を変えても、III族原料供給管13が、距離Sが5mm〜200mmの範囲、α角が0°〜40°の範囲であれば、均一性のよい膜厚のGaN膜を得ることができる。
【0094】
ただし、III−V族化合物半導体の成長速度は、III族原料を供給する速度によってほぼ規定されるため、III族原料供給管13と基板101とのなす角度(α度)よりも、III族原料供給管13と基板101と距離Sの方が、結晶成長、特に膜厚均一性に大きく関与する。
【0095】
〈サセプタ16及びサセプタ16を支持するための治具の材質〉
HVPE装置、成長速度が10μm/hr以上であるMOCVD装置等の窒化物系化合物半導体の成長速度が大きい半導体製造装置では、サセプタ16、サセプタ支持用の治具等に、III−V族化合物による析出物が塊となって付着する。サセプタ16、サセプタ16を支持するサセプタ支持用治具等をカーボン材、石英等を主体として構成すると、するサセプタ16、サセプタ16を支持するサセプタ支持用治具等は、析出物がサセプタ16等に固着することによって、サセプタ16等を形成する材料の材質と析出物との熱膨張の違いにより、サセプタ16等に割れが生じてしまう場合がある。特に、石英製の治具に至っては、析出物が一回付着するだけで破損するおそれがある。
【0096】
また、サセプタ16、サセプタ支持用の治具等をカーボン材を主体として構成すると、石英に比べると、割れが生じることは少ないが、V族原料であるNH3ガスによって劣化し、カーボンダストを発生して、このカーボンダストを核として、GaN結晶が異常成長するために、成膜される膜厚の均一性が低下する。
【0097】
そこで、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置においては、NH3、GaCl等の原料ガス、また、H2ガス等のキャリアガスが直接当たる部分であるサセプタ16、サセプタ支持用の治具等の材料として、カーボン材の表面にSiCまたはTaCをコートした材質、SiC、TaC、BNをカーボン材内部まで浸透させた、いわゆる含浸タイプの材質を使用している。このような材質を使用することにより、従来のカーボン材に比べて割れ、劣化が減少し、基板周辺のガス流れの変化が抑制され、膜厚の均一性をさらに向上することができる。
【0098】
この材料をサセプタ16等に使用した結果について説明する。
【0099】
上記のサセプタ16、サセプタ支持用治具を備えた本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置により、上記と同様の結晶成長方法を用いて、100μmの膜厚のGaN成長を3回行い、その後、基板101を支持するために使用したサセプタ16、サセプタ支持用治具等を取り外し、熱リン酸と硫酸の混合液中で加熱洗浄し、GaN結晶の成長中に付着したGaNの除去を行った。このような操作を所定回数繰り返し、NH3、GaCl等の原料ガス、H2ガス等のキャリアガスが直接的に当たる部分であるサセプタ、サセプタ支持用治具等の材料の劣化を観察した。
【0100】
カーボン材の表面にSiCまたはTaCをコートしたカーボン材、SiC、TaC、BNをカーボン材内部まで浸透させた、いわゆる含浸タイプのカーボン材のいずれをサセプタ16、サセプタ支持用治具の材質として用いても、GaNの結晶成長を3回行う毎に、熱リン酸と硫酸との混合液により、サセプタ等に付着したGaNを除去処理するという成長、除去処理の一連の工程を20回行っても、剥がれは確認されず、また、GaN膜の膜厚分布差は、3〜6μm程度であり、サセプタ支持用治具の劣化によるガスの流れの変化の影響も観察されなかった。さらに、上記操作を20回行った後に、さらに結晶成長を行っても、GaN膜の膜厚分布差は、5〜6μm程度となり、サセプタ支持用治具の劣化によるガスの流れの変化による影響はほとんど観察されなかった。
【0101】
一方、カーボン密度を上げただけの従来のカーボン材を用いたサセプタ、サセプタ支持用治具を用いた場合には、GaNの結晶成長を3回行った後、熱リン酸と硫酸との混合液により、サセプタ等に付着したGaNを除去処理する工程を1回行っただけで、カーボン材表面が脆くなって、サセプタ16、サセプタ支持用治具の表面に剥がれが生じ、膜厚分布差は、10〜15μm程度になり、サセプタ等の劣化によるガス流れの悪化の影響が観察された。
【0102】
この結果は、SiC、TiC、BN等を蒸着等の方法によりコートしたカーボン材の場合、基板にGaN結晶を成長させる操作中に、サセプタ、サセプタ支持用治具等に、GaN等の付着物が積層されても、サセプタ等の機械的強度が向上し、曲げ強度が300kg/cm2になっているために、割れ、欠け等が発生することが抑えられ、また、熱リン酸混合液にも耐久性があるために、保護されていることによるものと考えられる。また、SiC、TiC、BN等を含侵したカーボン材についても、同様の理由が当てはまる。
【0103】
これに対して、図27に示す従来型のHVPE装置では、サセプタ、サセプタ支持用治具として、表面のカーボン密度を上げたカーボン材を材質とするものを用いても、GaNの結晶成長を3回行う毎に、熱リン酸と硫酸との混合液によるサセプタ等に付着したGaN結晶の付着物を除去処理するという成長、除去処理の一連の工程を5回行っても、問題が生じなかった。これは、従来型のHVPE装置1では、GaN結晶を成長させる昇温条件下、及びGaN膜結晶成長終了後の降温条件下に、NH3、GaCl等の原料ガス、H2ガス等のキャリアガスがサセプタに対して垂直な方向から直接的に当たらないために、原料ガスがほぼ垂直にサセプタ等に当たる本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10ほどには、サセプタ支持用治具の劣化によるガス流れの悪化の影響が表われないためであると考えられる。
【0104】
したがって、SiC、TiC、BN等を蒸着等の方法でコートした材料、またはSiC、TiC、BN等を含侵した材料を用いたサセプタ16等は、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10のように、原料ガス等を基板101に対してほぼ垂直な角度で入射する場合に、特に好ましい材料であることが分かった。
【0105】
以上説明したように、SiC、TiC、BN等を蒸着等の方法でコートした材料、またはSiC、TiC、BN等を含侵した材料をサセプタ16、サセプタ支持用治具に使用すると、サセプタ16、サセプタ支持用治具の割れを防ぐことができ、サセプタ支持用治具の劣化によるガス流れが悪化せず、膜厚分布の少ないIII−V族化合物半導体厚膜を成長させることができる。また、サセプタに付着したIII−V族化合物半導体の付着物は、熱リン酸混合液等によって容易に除去することができる。
【0106】
カーボン材にコートされるSiCの厚さは、5μM程度以下では、所望する機械的強度が得られず、また、5000μm程度以上にしても、機械的強度の向上が認められず、材料の使用量が増加して高価になり好ましくない。このため、SiCの厚さは、5μm〜5000μmの範囲であることが好ましい。また、SiC含侵の厚さは、同様の理由により、1μm〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0107】
さらに、同様の理由により、TaCコートの厚さは、1μm〜1000μmの範囲であることが好ましく、TaC含侵の厚さは、0.2μm〜500μmの範囲であることが好ましい。BNコートの厚さは、1μm〜3000μmの範囲であることが好ましく、BN含侵の厚さは、0.2μm〜600μmの範囲であることが好ましい。
【0108】
また、以上に説明したSiC、TiC、BN等を蒸着等の方法でコートした材料、またはSiC、TiC、BN等を含侵した材料を用いたサセプタ、サセプタ支持用治具は、HVPE装置だけでなく、MOCVD装置にも同様に適用することができ、同様の効果が得られる。
【0109】
また、PBNをコートしたサセプタ16、サセプタ支持用治具の耐久性、耐食性は、上記のSiC、TiC、BN等を蒸着等の方法でコートした材料、またはSiC、TiC、BN等を含侵した材料を用いたサセプタ、サセプタ支持用治具と同等であり、サセプタ、サセプタ支持用の治具の材質として、PBNコートしたカーボン材を使用してもよい。
【0110】
カーボン材にPBNをコートすれば、その表面に窒化物が付着しても、ピンセット等で擦る程度で、容易に窒化物の付着物を剥離することができるために、サセプタ支持用治具等の表面部分に付着したGaN結晶の塊は、自然に剥がれ落ち、サセプタ等の割れを防ぐことができる。さらに、GaN結晶の塊が付着しないために、この塊が原料ガスの流れを阻害することがないので、膜厚の均一性が高いGaNの厚膜を成長させることができる。
【0111】
PBNコートの厚さは、5μM程度以下では、コーティングしたPBNがサセプタ等から剥がれ易くなり、5000μm程度以上にしても、所望の機械的強度が得られず、材料の使用量が増加して高価になるため好ましくない。このため、PBNの厚さは、5μm〜5000μmの範囲であることが好ましい。
【0112】
なお、以上に説明したPBNをコートしたカーボン材を使用したサセプタ、サセプタ支持用治具は、HVPE装置だけでなく、MOCVD装置にも同様に適用することができ、同様の効果が得られる。
【0113】
〈III族原料ガス供給管等の原料ガス吹出し部の材料〉
次に、III族原料ガス供給管13及びV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15のそれぞれの原料を吹出す原料吹出ノズル13a及び14a及び15aに使用される材質について説明する。
【0114】
まず、各吹出ノズル13a及び14a及び15aの表面にSiCコートしたカーボン材、SiCを含侵したカーボン材、TaCコートのカーボン材、TaCを含侵したカーボン材、BNを含侵したカーボン材を使用した場合について説明する。
【0115】
各吹出ノズル13a及び14a及び15aをこれらの材料により形成すれば、耐久性及び耐食性が向上し、GaN結晶膜の膜厚均一性の向上に大きく寄与した。
【0116】
特に、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置においては、各原料ガス供給管13及び14及び15の各原料吹出ノズル13a及び14a及び15aも加熱されるため、各原料吹出ノズル13a及び14a及び15aの表面にGaN結晶の塊が付着しやすくなっており、上記の材料を用いる効果が顕著であった。
【0117】
カーボン材にコート等されるSiC、TaC、BN等は、上記サセプタ等にコートされるSiC、TaC、BN等の許容される範囲の膜厚であることが好ましい。
【0118】
また、各原料吹出ノズル13a及び14a及び15aに使用される材質としては、カーボン材にPBNをコートしたものを用いてもよい。
【0119】
この場合、PBNをカーボン材にコートすることにより、各原料吹出ノズル13a及び14a及び15aの表面に窒化物が付着しても、ピンセット等で擦る程度で、容易に窒化物の付着物を剥離することができるため、各原料吹出ノズル13a及び14a及び15aの表面部分に付着したGaN結晶の塊は、自然に剥がれ落ち、各原料吹出ノズル13a及び14a及び15aの割れを防ぐことができる。さらに、GaN結晶の塊が付着しないために、この塊が原料ガスの流れを阻害することがないので、ウエハー内での膜厚の均一性が向上し、歩留まりも向上した。
【0120】
ここで、PBNコートの厚さは、5μm以下では、コーティングしたPBNが剥離し易くなり、50000μm以上にしても機械的強度の向上が認められず、材料の使用量が増加して高価になるため好ましくない。このため、PBNの厚さは、5μm〜5000μmの範囲であることが好ましい。
【0121】
(実施の形態2)
実施の形態2では、2枚以上のIII−V族化合物半導体の厚膜を、同時に製造するIII−V族化合物半導体製造装置50及びこのIII−V族化合物半導体製造装置によるIII−V族化合物半導体の製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
【0122】
図20は、6枚の基板101に同時に結晶成長させることができるIII−V族化合物半導体製造装置50の断面図、図21は、図21のK−K’線に沿った断面図である。
【0123】
このIII−V族化合物半導体製造装置50は、III族原料及びV族原料を基板101表面に供給し、加熱処理することにより基板101に結晶成長させる反応場となる円筒状の反応容器12を有している。この反応容器12の内部には、III−V族化合物半導体を結晶成長させるための基板101を矢印Lに沿って回転可能に保持するサセプタ16と、基板101に向けてIII族原料を供給するIII族原料供給管13と、V族原料を供給するV族原料供給管14と、ドーピング原料を供給するドーピング原料供給管15とが設けられている。反応容器12の外部には、反応容器12の外周に沿うように、反応容器12を加熱するための加熱ヒータ18が設けられている。
【0124】
反応容器12は、水平状態に配置された円板状の底板部12aを有し、この底板部12a上に、底板部12aと同心状態になるように垂直状態に配置された円筒状の円筒部12bが取り付けられている。この円筒部12bは、上部を除いて一定の直径になっており、円筒部12bの上部12cは、上方に突出した半球形状に構成されている。円筒部12bの最上部には、原料ガスを排気するための排気口19が設けられている。
【0125】
反応容器12の内部には、円筒部12bの中心軸に沿って支軸51が設けられており、この支軸51の上端には、円板状に形成されたサセプタ装着台52が、反応容器12の円筒部12bと同心状態で設けられている。
【0126】
このサセプタ装着台52の下面には、6つのサセプタ16がサセプタ装着台52の中心軸と同心円上に等しい間隔を空けて設けられている。各サセプタ16は、結晶成長時に膜の均一性を向上させるため、それぞれ矢印L方向に回転(自転)自在になっている。各サセプタ16は、サセプタ装着台52の下面側に設けられて、その下面に基板101がそれぞれ支持されるフェースダウン型となっており、結晶成長中に粉塵が発生しても、粉塵は下方に落下するために、結晶にピット等の欠陥が発生することを抑制することができる。
【0127】
上記のサセプタ装着台52の下面に設けられた各サセプタ16に対向して、6つのIII族原料を供給するIII族原料供給管13及びドーピング材を供給するドーピング原料供給管15が、III族原料供給管13を内部にした同心状態で嵌合された二重管53がそれぞれ設けられている。また、各二重管53には、各二重管53を内部に同心状態で嵌合したV族原料供給管14がそれぞれ設けられている。各二重管53の所定の位置には、III族原料を発生させるためのIII族原料貯蔵部17がそれぞれ設けられている。
【0128】
上記構成のIII−V族化合物半導体製造装置50により、III−V族化合物半導体としてGaN膜を基板101に成膜する場合、III族原料供給管13からは、GaClガスが吹き出される。このGaClガスは、III族原料貯蔵部17にGa金属を貯蔵しておき、III族原料供給管13内にHClガスを導入し、このHClガスがIII族原料金属貯蔵部17のGa金属と反応することにより発生され、III族原料供給管13の先端から吹き出される。また、V族原料供給管14からは、NH3ガスが基板101へ吹き出される。さらに、ドーピング原料は、ドーピング原料供給管15を介して、基板101上に吹き出される。
【0129】
この場合、例えば、各基板101とIII族原料供給管13との位置関係は、距離Sを25mm、α角を10°になるように設定され、各基板101とドーピング原料供給管15との位置関係は、距離Dが25mmになるように設定される。また、各サセプタ16の回転は、30回転/分程度の回転速度で回転される。
【0130】
また、サセプタ16の表面部は、PBN、SiC、TaC、BNのいずれかによりコーティングされ、V族原料ガス供給管14、III族原料供給管13及びドーピング原料供給管15の各原料が吹き出される端部の表面には、PBN、SiC、BNのいずれかがコーティングされている。
【0131】
また、各原料のキャリア濃度は2×1018cm-3とされる。
【0132】
このような構成のIII−V族化合物半導体製造装置50を用いて、実施の形態1と同様の方法により、各基板101の中心部101aで100μmの膜厚となるように、GaNの結晶成長を行った結果、各基板101の中心部分101aと端部との膜厚差Δdは、6枚全てにおいて5μm以下であり、膜厚分布に関して、実施の形態1の1枚の基板101に成膜するIII−V族化合物半導体製造装置10により、GaN膜を製造する場合と同様に膜厚の均一性に優れたGaN膜が得られた。
【0133】
その結果、6枚の基板101に結晶を同時に成長させる本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造においても、均一な膜厚のGaN厚膜を成膜できることが分かった。
【0134】
このような構成のIII−V族化合物半導体製造装置50でも、実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10と同様に、距離Sは5mm〜200mmの範囲、α角は0°〜40°の範囲、距離Dは5mm〜200mmの範囲であることが好ましいことを確認している。
【0135】
また、本実施の形態2のIII−V族半導体製造装置50においても、サセプタ16等、各原料供給管13及び14及び15における各原料が吹き出される端部表面に、PBN、SiC、TaC、BN等をコーティングすることにより、ガス流れの変化を抑え、成長膜の膜厚均一性に大きく貢献する。
【0136】
次に、実施の形態2の他の構造のIII−V族半導体製造装置60について説明する。
【0137】
図22は、III−V族化合物半導体製造装置60の水平方向断面図、図23は、図22のM−M’線に沿う断面図である。
【0138】
このIII−V族化合物半導体製造装置60は、基板101を保持するためのサセプタ16がサセプタ装着台52の中心軸と同心の円周上に等間隔に6個設けられている。
【0139】
各サセプタ16は、矢印L方向に回転(自転)可能に構成されているとともに、支軸51を中心とした(矢印N)回転(公転)可能に構成されている。この矢印N方向の回転は、GaN膜の膜厚の均一性を向上させるために、30回転/分程度で回転される。
【0140】
また、III族原料を供給するIII族原料供給管13を内管とし、ドーピング原料を供給するドーピング原料供給管15を外管とする二重管53が、支軸51を中心とする円周上に等間隔に3本設けられている。
【0141】
V族原料供給管14は、反応容器12の底板部12a付近に設けられており、このV族原料供給管14から吹き出されるV族原料は、反応容器12の下端から反応容器12の全体に拡散され、各サセプタ16に保持された各基板101に到達される。
【0142】
また、各サセプタ16に保持される各基板101とIII族原料供給管13との位置関係は、距離Sが25mm、α角が10°に設定され、各サセプタ16に保持される各基板101とドーピング材供給管15との位置関係は、距離Dが25mmになるように設定されている。また、各サセプタ16及びIII族原料供給管13及びV族原料供給管14及びドーピング材供給管15の表面部は、PBN、SiC、TaC、BNのいずれかによりコーティングされている。また、各原料ガスのキャリア濃度は2×1018cm-3とした。
【0143】
他の構成については、図20及び図21に示すIII−V族化合物半導体製造装置50の構成と同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0144】
このIII−V族化合物半導体製造装置60を用いて、実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10と同様の反応条件により、基板101の中心部101aでの膜厚が100μmになるように、GaN膜を結晶成長させた。その結果、基板101の中心部分101aと端部との膜厚差Δdは、基板101の6枚全てにおいて7μm以下であり、膜厚分布に関して、実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10によって、1枚の基板101にGaN厚膜を製造する場合と同等の均一な膜厚のIII−V族半導体の厚膜が得られた。
【0145】
この結果、III−V族化合物半導体製造装置60も、6枚の基板101上に同時に結晶成長できることが分かった。
【0146】
このIII−V族化合物半導体製造装置60においては、III族原料及びドーピング材料を供給する二重管53の設置数が、サセプタ16に保持される基板101の枚数以下になっているが、各サセプタ16が支軸51の回りに公転可能になっているので、成長条件を最適化すれば、膜厚の均一性の良好なGaN膜を得ることができる。
【0147】
また、III−V族化合物半導体製造装置60は、実施の形態1のIII−V族半導体製造装置10と同様に、III族原料供給管13と基板101との位置関係は、距離Sが5mm〜200mmの範囲、α角が0°〜40°の範囲、ドーピング材供給管15と基板101との距離Dが、5mm〜200mmの範囲であることが最適であることを確認している。
【0148】
さらに、サセプタ16等、III族原料供給管13、V族原料供給管14、ドーピング材供給管15における各原料が吹き出される端部表面に、PBN、SiC、TaC、BN等をコーティングすることにより、ガス流れの変化を抑え、成長膜の膜厚均一性に大きく貢献する。
【0149】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、本発明のIII−V族化合物半導体製造方法を利用したレーザダイオードを作製するMOCVD装置70について、図面に基づいて説明する。
【0150】
図24は、MOCVD装置70の概略図、図25は、図24のP−P’線に沿った断面図である。
【0151】
このMOCVD装置70は、所望の基板上にIII−V族化合物半導体を結晶化して成膜させるための反応場となる反応容器となる石英フローライナー71を有し、この石英フローライナー71の内部には、結晶成長させる基板101を保持する円板状のサセプタ16と、円筒状の石英フローライナー71の中心軸に付近に設けられたIII族元素供給管13と、このIII族原料供給管13を中心とした対称な位置にそれぞれIII族原料供給管13に平行に配置されたV族原料供給管14及びドーピング原料供給管15とが設けられている。
【0152】
石英フローライナー71は、水冷式の冷却ボックス72の内部に備えられており、冷却ボックス72の水冷により、石英フローライナー71をその周囲から冷却する。
【0153】
また、石英フローライナー71におけるサセプタ16に近接した端面には、未反応の原料ガス及びキャリアーガスを排出する排気ガス出口73が設けられており、この排気ガス出口73は、石英フローライナー71及び冷却ボックス72の外部に引き出された排気用配管74を介して排ガス処理装置75に接続されている。
【0154】
サセプタ16は、石英フローライナー71の端面に回転自在に設けられた回転軸16bに取り付けられており、サセプタ16に保持される基板101が石英フローライナー71の中心軸を軸として回転する。また、サセプタ16は、カーボン材により構成され、その表面には、PBNがコーティングされている。
【0155】
また、サセプタ16には、基板101を保持するための石英トレイ16cが設けられている。サセプタ16の内部には、炭素を材質とする熱電対により形成された抵抗加熱用ヒーター(図示せず)が配置されており、この抵抗加熱用ヒーターを加温することにより、基板101の温度を制御することができる。
【0156】
III族原料ガス供給管13の先端部は、サセプタ16に対向する先端側に向かって徐々に径が広くなったIII族原料吹出ノズル13aが設けられている。また、V族原料供給管14及びドーピング原料供給管15は、径の大きさは一定であり、サセプタ16に対向する先端側において、基板101の中心101aに向かうように設定されている。
【0157】
III族原料供給管13とサセプタ16に保持される基板101との位置関係は、距離Sが50mm、α角が0°に設定されている。また、ドーピング原料供給管15とサセプタ16に保持される基板101との位置関係は、距離Dが50mmに設定されている。
【0158】
各原料供給管13及び14及び15の後端部は、石英フローライナー71及び冷却ボックス72の外部に設けられた原料入口76を介して外部に導通されており、この原料入口76を介して所望の原料ガスが各原料ガス供給管を通過して、石英フローライナー71内に導入される。原料入口76は、III族原料を貯蔵するIII族原料源77、V族原料を貯蔵するV族原料源78、ドーピング原料を貯蔵するドーピング原料源79にそれぞれ導通パイプ80を介して接続されている。
【0159】
III族原料源77は、さらに、トリメチルガリウム(以後、TMG)を貯蔵するTMG貯蔵部77A、トリメチルアルミニウム(以後、TMA)を貯蔵するTMA貯蔵部77B、トリメチルインジウム(以後、TMI)を貯蔵するTMI貯蔵部77Cを有している。
【0160】
各III族原料源77A〜77Cは、マスフローコントローラ81を介して、キャリアガスであるN2またはH2を供給するキャリアガス導通管82に接続されている。このマスフローコントローラ81は、各III族原料源77A〜77Cに供給されるキャリアガスであるN2またはH2の流量を正確に制御する。各III族原料源77A〜77Cに貯蔵される各III族原料は、キャリアガス導通パイプ82から供給されるN2またはH2ガスによってバブリングされて、キャリアガスとともに原料入口76を介して石英フローライナー71のIII族原料供給管13に導かれ、III族原料吹出ノズル13aから基板101に向けて吹き出される。
【0161】
V族原料源78には、NH3ガスが貯蔵され、キャリアガス導通パイプ82から供給されるキャリアガスとともに、原料入口76を介して石英フローライナー71内のV族原料供給管14に通されて、先端のV族原料吹出ノズル14aから基板101に向けて吹き出される。
【0162】
ドーピング原料源79には、n型半導体を製造するドーピング原料として、シラン(以後、SiH4とする)が貯蔵される。なお、p型半導体を製造する場合には、各III族原料源77A〜77Cに隣接して設けられた貯蔵部83に、p型半導体のドーピング原料であるCp2Mgが貯蔵されて、III族原料を基板101上に吹き出す際の経路と同様の経路を経て、基板101上に吹き出される。
【0163】
また、サセプタ16に保持される基板101として、例えば、サファイヤ基板上のGaN膜を上にSiO2マスクをした基板が用いられる。
【0164】
図26は、本実施の形態3のIII−V族化合物半導体製造装置であるMOCVD装置70を用いて作製したレーザダイオード100の断面図である。
【0165】
このレーザダイオード101は、サファイア基板101の上に、GaNバッファ層102、n型GaNコンタクト層103が順次積層されており、さらに、n型GaNコンタクト層103の所定領域上に、n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層104、n型GaNガイド層105、活性層106、Al0.15Ga0.85N0.85As0.15蒸発防止層107、p型GaNガイド層108、p型Al0.09Nクラッド層109、p型GaNコンタクト層110が順次を積層されている。p型GaNコンタクト層110は、所定の形状にエッチングされており、基板101全体に結晶成長を行って、SiO2絶縁膜111が形成された後に、p型GaNコンタクト層110上にp型電極112A、n型GaNコンタクト層103上にn型電極112Bがそれぞれ形成されている。
【0166】
上記構成のレーザダイオード100の製造方法を、図24に示すMOCVD装置70を使用した場合について説明する。
【0167】
まず、サファイア基板101を洗浄して、結晶成長装置内のサセプタ16に設置する。石英フローライナー71内を70Torrまで減圧した後、H2ガスを充填し、H2雰囲気中、1100℃程度の温度条件で、10分程度熱処理を行い、その後、石英フローライナー71内の温度を550℃程度に降温する。石英フローライナー71内の温度が一定になった時点で、キャリアガス導通管82から供給されるキャリアガスをH2ガスからN2ガスに交換し、N2ガスの流量を10L/min.とし、また、V族元素供給源78から供給されるNH3を3L/min.の流量として、原料入口76を介して、V族原料供給管14に通し、数秒後、III族原料供給源77AからTMGを20μmol/min.の流量で、III族原料供給管13から1分間流し、GaNバッファー層102の成長を行った。成長させたGaN膜の厚さは30nmであった。
【0168】
次に、III族原料供給管13からのTMGの供給を停止し、石英フローライナー71内の温度を1050℃まで昇温し、再び、III族原料供給管13から、TMGを50μmol/min.の流量で供給し、ドーピング原料供給管15からは、SiH4を供給し、n型GaNコンタクト層103を50μmの膜厚に成長させた。この操作により、膜厚が厚くなると共に発生するピット等の欠陥が減少し、レーザ素子の特性を向上させることができる。
【0169】
次に、石英フローライナー71内を760Torrの圧まで戻し、III族原料供給管13からTMAを10μmol/minの流量で追加供給し、ドーピング原料供給管15からは、SiH4を供給し、厚さ0.80μmの膜厚のAl0.09Ga0.91Nのn型クラッド層104を成長させた。
【0170】
次に、III族原料供給管13からのTMAの供給を停止し、0.1μmの膜厚のn型GaNガイド層105を形成した。
【0171】
n型GaNガイド層105を成長させた後、SiH4とTMGの供給を停止し、サファイア基板101の温度を730℃まで低下させ、温度が安定した時点で、III族原料供給管13からTMGを10μmol/min.の流量で、TMIを10μmol/min.の流量で供給し、In0.05Ga0.95Nからなる活性層106を5nmの膜厚になるように成長させた。活性層106を成長させる時には、ドーピング原料供給管15からSiH4を10nmol/min.程度の流量で流しても良い。その後、III族原料供給管13からTMGを10μmol/min.の流量で、TMIを50μmol/min.の流量で供給し、In0.2Ga0.8Nからなる活性層106の井戸層を3nmの膜厚になるように成長させた。さらに、III族原料供給管13から供給されるIII族原料をTMIに変更し、TMI10μmol/min.の流量で流し、In0.05Ga0.95Nからなる活性層106の障壁層を5nmの膜厚になるように成長させた。この活性層106の障壁層と井戸層との成長を繰り返し、3層の多重量子井戸層を成長させた後、最後に障壁層を成長させて活性層106の成長を終了する。活性層106作製時には、成長中断を入れても良く、この操作により井戸層、障壁層の界面が急峻になり、活性層の発光効率が向上する。
【0172】
活性層106を成長させた後、III族原料供給管13から、TMGを10μmol/min.の流量、TMAを5μmol/min.の流量、Cp2Mgを0.10nmol/min.の流量で供給し、30nmの膜厚のp型Al0.15Ga0.85N蒸発防止層107を成長させた。
【0173】
その後、III族原料供給管13からのTMG、TMA、Cp2Mgの供給を停止し、NH3とN2との雰囲気中に、基板101の温度を再び1050℃に昇温する。昇温後、III族原料供給管13からTMGを50μmol/min.の流量、Cp2Mgを0.20nmol/min.の流量で供給し、p型GaNガイド層108を0.1μmの膜厚に成長させた。
【0174】
次に、III族原料供給管13からTMAを10μmol/min.の流量で供給し、0.5μmの膜厚のAl0.09Ga0.91Nのp型クラッド層109を成長させた。
【0175】
その後、III族原料供給管13からのTMAの供給を停止し、III族原料供給管13からTMGとCp2Mgとを供給し、p型GaNコンタクト層110を0.5μmの膜厚に成長させ、その後、III族原料供給管13からのTMGとCp2Mgとの供給を停止して基板101の加熱を終了する。
【0176】
その後は、サファイア基板101が電導性をしていないため、反応性イオンエッチングを用いて、n型GaN層を露出させて、この露出面にn型電極112Bを形成する。このn型電極112Bのn電極材料としては、Ti/Mo、Hf/Al等を使用しても良い。p型電極部分には、サファイヤ基板101の〈1−100〉方向に沿って、ストライプ状にエッチングを行い、SiO2誘導体膜111を蒸着し、p型GaNコンタクト層110を露出させ、Pd/Auの2μmの幅のリッジストライプ形状のp型電極112Aを形成する。このp型電極112Aのp型電極材料には、Ni/Au、Pd/Mo/Auを使用しても良い。
【0177】
最後に、へき開またはドライエッチングを用いて、共振器長500μmのファブリ・ペロー共振器を作製する。共振器長は300〜1000μmの範囲であることが好ましい。この共振器のミラー端面は、サファイヤ基板101のM面が端面になるように形成されている。へき開およびレーザ素子のチップ分割は、基板側からスクライバーにより行う。レーザ共振器の帰還手法以外に、DFB(Distributed Feedback)、DBR(Distributed Bragg Reflector)等の手法を用いてもよい。
【0178】
次に、ファブリ・ペロー共振器のミラー端面に70%の反射率を有するSiO2とTiO2の誘電体膜を交互に蒸着し、誘導体多層反射膜を形成した。この誘導体材料には、SiO2/Al23を誘電多層反射膜として用いても良い。
【0179】
次に、上記により製造されたレーザダイオードチップをパッケージに実装する方法について説明する。
【0180】
上記発光層を有するレーザダイオードの特性を活かし、高密度記録用光ディスクに適した青紫色(410nm波長)高出力(50mW)レーザとして用いる場合、サファイヤ基板は熱伝導率が低いので、放熱対策に注意を払わなければならない。例えば、Inはんだ材を用いて、Junction downでパッケージ本体に接続することが好ましい。あるいは、直接パッケージ本体やヒートシンク部に取り付けるのではなく、Si、AlN、ダイヤモンド、Mo、CuW、BNのサブマウントを介して接続させても良い。
【0181】
以上の工程により、本発明を適用したMOCVD装置70によりIII−V族化合物半導体のレーザダイオードを製造することができる。
【0182】
上記のように製造されたレーザ素子の膜厚の分布差は、2インチ基板内において5μm以下であり、レーザ連続発振に至った素子の割合は、86%であった。
【0183】
MOCVD装置70の基板101周辺の構造を変更し、基板101とIII族原料供給管13との距離Sを50mmに保ち、α角を40°以上にした場合、またα角を0°に保ち、距離Sを5mm以下または200mm以上にした場合には、いずれもレーザ連続発振に至った素子の割合は、31%以下となり、本発明のMOCVD装置70を用いた場合の方が基板面内の均一性に優れ、良品率が向上していることが明らかとなった。
【0184】
本実施の形態3のMOCVD装置70においても、サセプタ16等、各原料供給管13及び14及び15のそれぞれの原料吹出ノズル13a及び14a及び15aの材料として、表面部に、PBN、SiC、TaC、BN等でコーティングされた材を用いることにより、ガス流れの変化を抑え、成長膜の膜厚均一性に大きく寄与することが明らかとなっている。
【0185】
以上の実施の形態1〜3においては、GaN膜の成膜を中心に説明したが、BN、AlN、AlαGa(1‐α)N(0<α<1)、InN、InβGa(1−β)N(0<β<1)、InγGaδAl1‐γ−δN(0<γ<1、0<δ<1)等の製造にも、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置は適用でき、実際にその効果も確認している。
【0186】
さらに、以上は、GaNを中心とした窒化物III−V族化合物半導体の製造について説明したが、GaAs、GaP、AlGaAs等の他のIII−V族化合物半導体を製造する場合にも、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置は適用でき、実際にその効果も確認している。
【0187】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のIII−V族化合物半導体装置の製造方法によれば、III族原料供給管が、基板保持具に保持された基板の中心軸線に沿った中心線方向ベクトル(基板表面から裏面への方向を正)と、III族原料供給管のIII族原料が吹出される方向に沿ったIII族原料吹出し方向ベクトル(III族原料が吹き出される方向を正)とのなす角度が0°〜40°の範囲、基板保持具に保持された基板表面の中心部分と、III族原料供給管のIII族原料吹出し部分との距離が5mm〜200mmの範囲になるように配置されているので、結晶成長を行う基板に対して供給される原料ガスの流れを制御することが容易になり、均一な膜厚を有する厚膜のIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10の断面図である。
【図2】図1のIII−V族化合物半導体製造装置10のF−F’線に沿う断面図である。
【図3】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における基板及びIII族原料供給管の周辺を示す断面図である。
【図4】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10を用いて作製したGaN膜の膜厚分布を示す膜厚分布図である。
【図5】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離S及びα角と膜厚分布Δdとの関係を示すグラフ(距離S=3mm、5mm、10mmの場合)である。
【図6】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離S及びα角と膜厚分布Δdとの関係を示すグラフ(距離S=25mm、50mm、100mmの場合)である。
【図7】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離S及びα角と膜厚分布Δdとの関係を示すグラフ(距離S=150mm、200mm、250mmの場合)である。
【図8】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離DとGaN膜のドーピング濃度との関係を示すグラフである。
【図9】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図10】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図11】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図12】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図13】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図14】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図15】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における各原料供給管の他の配置を示す断面図である。
【図16】実施の形態1の他の構造のIII−V族化合物半導体製造装置30を示す断面図である。
【図17】図16のIII−V族化合物半導体製造装置30のG−G’線に沿う断面図である。
【図18】実施の形態1の他の構造のIII−V族化合物半導体製造装置40を示す断面図である。
【図19】図18のIII−V族化合物半導体製造装置30のJ−J’線に沿う断面図である。
【図20】実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置50の断面図である。
【図21】図20のIII−V族化合物半導体製造装置50のK−K’線に沿う断面図である。
【図22】実施の形態2の他の構造のIII−V族化合物半導体製造装置60の断面図である。
【図23】図22のIII−V族化合物半導体製造装置60のM−M’線に沿う断面図である。
【図24】実施の形態3の本発明に係るIII−V族化合物半導体製造方法を利用したレーザダイオードを作製するMOCVD装置70を示す概略図である。
【図25】図24のMOCVD装置70のP−P’線に沿う断面図である。
【図26】実施の形態3のMOCVD装置70を用いて作製したレーザダイオードを示す断面図である。
【図27】従来のIII−V族化合物半導体を製造するHVPE装置を示す断面図である。
【図28】図27のHVPE装置のR−R’線に沿う断面図である。
【図29】従来のIII−V族化合物半導体を製造するHVPE装置を用いて作製したGaN膜の膜厚を示す膜厚分布図である。
【符号の説明】
10 III−V族化合物半導体製造装置
12 反応容器
13 III族原料供給管
13a III族原料吹出ノズル
14 V族原料供給管
14a V族原料吹出ノズル
15 ドーピング原料供給管
15a ドーピング原料吹出ノズル
16 サセプタ
16a 保持爪
16b 回転軸
17 III族原料貯蔵部
18 加熱ヒータ
19 ガス排気口
101 基板
101a 中心

Claims (17)

  1. HVPE法または成長速度が10μm/hr以上であるMOCVD法によってIII−V族化合物半導体を結晶成長させるための反応容器と、該反応容器内において基板を保持する基板保持具と、前記反応容器内においてIII−V族化合物半導体のIII族原料を前記基板保持具に保持された基板に向かって吹き出すためのIII族原料供給管と、前記反応容器内において該III族原料供給管に沿って配置されて前記基板に向かってV族原料を吹き出すためのV族原料供給管とを有し、
    前記III族原料供給管は、前記基板保持具に保持された前記基板の中心軸線に沿った中心線方向ベクトル(基板表面から裏面への方向を正)と、III族原料供給管のIII族原料が吹出される方向に沿ったIII族原料吹出し方向ベクトル(III族原料が吹き出される方向を正)とのなす角度が5°〜15°の範囲になるように配置されているとともに前記基板保持具に保持された前記基板表面の中心部分と、前記III族原料供給管のIII族原料吹出し部分との距離が5mm〜200mmの範囲になるように配置されており、
    前記V族原料供給管は、吹き出される前記V族原料と、前記III族原料供給管から吹き出される前記III族原料とが前記基板との間で混合されるとともに前記基板との間の気相中において反応しないように該基板に対して所定の距離をあけて配置されていることを特徴とするIII−V族化合物半導体製造装置。
  2. 前記V族原料供給管が複数設けられており、該V族原料供給管のそれぞれと前記III族原料供給管との間隔が等しくなっている、請求項1に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  3. 前記反応容器内において前記基板に向かってドーピング用の原料を吹き出すドーピング原料供給管をさらに具備する、請求項1または2に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  4. 前記ドーピング原料供給管は、前記ドーピング原料供給管の原料吹出し部分と、前記基板保持具に保持された前記基板の中心部分との距離が、5mm〜200mmの範囲になるように配置されている、請求項3に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  5. 前記基板保持具の表面部分、前記III族原料供給管及び前記V族原料供給管及び前記ドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分が、PBNによりコーティングされた材質により構成されている、請求項3または4に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  6. 前記基板保持具の表面部分、前記III族原料供給管及び前記V族原料供給管及び前記ドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分が、炭化シリコン(SiC)、炭化タンタル(TaC)、ボロン化窒素(BN)のいずれかによりコーティングされた材質により構成されている、請求項3または4に記載のIII−V族化合物化合物半導体製造装置。
  7. 前記基板保持具の表面部分、前記III族原料供給管及び前記V族原料供給管及び前記ドーピング原料供給管のそれぞれの原料吹出し部分が、炭化シリコン(SiC)、炭化タンタル(TaC)、ボロン化窒素(BN)のいずれかにより、内部まで浸透された材質により構成されている、請求項3または4に記載のIII−V族化合物化合物半導体製造装置。
  8. 前記III族原料供給管から吹出されるIII族原料は、III族元素のハロゲン化物、V族原料供給管から吹出されるV族原料は、NH3である、請求項1〜7のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  9. 請求項1〜7のいずれかのIII−V族化合物半導体製造装置を用い、前記III族原料供給管からIII族元素のハロゲン化物を、前記V族原料供給管からNH3を、それぞれ吹出させて、前記基板保持具に保持された前記基板上に前記III族元素の窒化物を結晶成長させることを特徴とするIII−V族化合物半導体の製造方法。
  10. 前記基板保持具、前記III族原料供給管、前記V族原料供給管、または前記ドーピング原料供給管に付着したIII−V族化合物半導体が加熱処理により除去される請求項6または7に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  11. 前記V族原料供給管が複数設けられて、前記III族原料供給管を取り囲むように該III族原料供給管の周囲に配置されている請求項1に記載のIII−V族化合物半導体装置。
  12. 前記ドーピング原料供給管と前記V族原料供給管のそれぞれとが、前記III族原料供給管を取り囲むように該III族原料供給管の周囲に配置されている請求項11に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  13. 不活性ガスを供給する保護ガス供給管が、前記III族原料供給管を取り囲むように該III族原料供給管と同心状態で嵌合されている請求項1に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  14. 前記III族原料供給管を内部に同心状態で嵌合するように前記ドーピング原料供給管が配置され、さらに前記ドーピング原料供給管を内部に同心状態で嵌合するように、前記V族原料供給管が配置されている請求項3に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  15. 前記ドーピング原料供給管に代えて保護ガス供給管が配置されている請求項14に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  16. 前記III族原料供給管の端部が、III族原料吹き出される先端側になるにつれて径が広くなっている請求項1に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  17. 前記V族原料供給管の端部の直径が前記基板の直径とほぼ等しく、該V族原料供給管の内部に前記III族原料供給管が配置されている請求項1に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
JP2001026180A 2001-02-01 2001-02-01 Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法 Expired - Fee Related JP3994130B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001026180A JP3994130B2 (ja) 2001-02-01 2001-02-01 Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001026180A JP3994130B2 (ja) 2001-02-01 2001-02-01 Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002231643A JP2002231643A (ja) 2002-08-16
JP2002231643A5 JP2002231643A5 (ja) 2005-10-06
JP3994130B2 true JP3994130B2 (ja) 2007-10-17

Family

ID=18891039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001026180A Expired - Fee Related JP3994130B2 (ja) 2001-02-01 2001-02-01 Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3994130B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4592198B2 (ja) * 2001-03-01 2010-12-01 シャープ株式会社 Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法
JP2006044982A (ja) 2004-08-04 2006-02-16 Sumitomo Electric Ind Ltd 窒化物半導体単結晶基板とその合成方法
JP2007042846A (ja) * 2005-08-03 2007-02-15 Furukawa Co Ltd ハイドライド気相成長装置、iii族窒化物半導体基板の製造方法及びiii族窒化物半導体基板
JP4961888B2 (ja) * 2006-08-07 2012-06-27 住友電気工業株式会社 気相成長装置、及び化合物半導体膜の成長方法
JP5218117B2 (ja) 2008-03-18 2013-06-26 三菱電機株式会社 窒化物半導体積層構造及び光半導体装置並びにその製造方法
JP5228583B2 (ja) * 2008-04-04 2013-07-03 住友電気工業株式会社 サセプタおよび気相成長装置
JP5169972B2 (ja) 2008-09-24 2013-03-27 三菱電機株式会社 窒化物半導体装置の製造方法
JP5386303B2 (ja) * 2009-10-29 2014-01-15 古河機械金属株式会社 半導体基板の製造方法およびハイドライド気相成長装置
JP5372816B2 (ja) * 2010-03-17 2013-12-18 株式会社ニューフレアテクノロジー 成膜装置および成膜方法
JP5765033B2 (ja) * 2011-04-15 2015-08-19 三菱化学株式会社 第13族窒化物結晶の製造方法
JP5640896B2 (ja) * 2011-05-30 2014-12-17 信越半導体株式会社 気相成長方法及び発光素子用基板の製造方法
JP2013100191A (ja) * 2011-11-07 2013-05-23 Mitsubishi Chemicals Corp 周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法
JP7209569B2 (ja) * 2019-03-28 2023-01-20 信越化学工業株式会社 Iii族窒化物基板の製造装置及び製造方法
JP7228467B2 (ja) * 2019-05-27 2023-02-24 信越化学工業株式会社 Iii族化合物基板の製造方法及びiii族化合物基板
JP7398966B2 (ja) * 2020-01-10 2023-12-15 信越化学工業株式会社 Iii族窒化物基板の製造方法及びiii族窒化物基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002231643A (ja) 2002-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3994130B2 (ja) Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法
US7524691B2 (en) Method of manufacturing group III nitride substrate
JP4537484B2 (ja) 高品質化合物半導体材料を製造するためのナノ構造適応層及びhvpeを使用する成長法
JP4901145B2 (ja) 化合物半導体装置及びその製造方法
JP4422473B2 (ja) Iii族窒化物基板の製造方法
US7981713B2 (en) Group III-V nitride-based semiconductor substrate, group III-V nitride-based device and method of fabricating the same
JP4592198B2 (ja) Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法
US20060057824A1 (en) Apparatus for producing nitride semiconductor, method for producing nitride semiconductor, and semiconductor laser device obtained by the method
JP4981602B2 (ja) 窒化ガリウム基板の製造方法
JP5509680B2 (ja) Iii族窒化物結晶及びその製造方法
JP4597534B2 (ja) Iii族窒化物基板の製造方法
JP4600641B2 (ja) 窒化物半導体自立基板及びそれを用いた窒化物半導体発光素子
JP2006335607A (ja) アルミニウム系iii族窒化物結晶の製造方法および結晶積層基板
JP2000223417A (ja) 半導体の成長方法、半導体基板の製造方法および半導体装置の製造方法
JP2002158175A (ja) 化学気相成長装置および半導体膜の成長方法
JP2010222232A (ja) 単結晶体、単結晶基板、ならびに単結晶体の製造方法および製造装置
JP2011246749A (ja) アルミニウム系iii族窒化物製造装置、およびアルミニウム系iii族窒化物の製造方法
JP5195613B2 (ja) 窒化物半導体自立基板の製造方法
US6471769B2 (en) Method of manufacturing a nitride series III-V group compound semiconductor
JP5206985B2 (ja) 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法
JP3288300B2 (ja) 半導体の製造方法
JP5490597B2 (ja) 気相成長装置、エピタキシャル成長層の製造方法、及び気相成長用サセプタ
JP2001057463A (ja) 窒素化合物半導体膜構造及び窒素化合物半導体素子並びにそれらの製造方法
JP4816079B2 (ja) Ga含有窒化物半導体の製造方法
JP5660146B2 (ja) 窒化物半導体自立基板及びレーザーダイオード

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050525

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070601

TRDD Decision of grant or rejection written
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070621

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070622

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070621

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130810

Year of fee payment: 6

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees