JP5765033B2 - 第13族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents
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[1] 第13族元素、窒素元素およびSi元素を含む原料を用いて結晶成長を行う工程を含む、Si元素を含有する第13族窒化物結晶の製造方法であって、
下記式(1)で規定されるSi取込効率が10%以上であることを特徴とする、第13族窒化物結晶の製造方法。
[2] 前記第13族元素、窒素元素およびSi元素を含む原料がガスであって、第13族元素含有ガス、窒素元素含有ガスおよびSi元素含有ガスをリアクター内に供給して結晶成長を行う工程を含む、[1]に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[3] 周囲をシールドガスで囲まれた状態で前記Si元素含有ガスを導入管から前記リアクター内に導入することを特徴とする[2]に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[4] 前記Si元素含有ガスの周囲3mm以上の範囲がシールドガスで囲まれた状態で前記Si含有ガスを導入管から前記リアクター内に導入することを特徴とする[3]に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[5] 周囲をシールドガスで囲まれた状態で前記窒素元素含有ガスを導入管から前記リアクター内に導入することを特徴とする[2]〜[4]のいずれか一項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[6] 前記窒素元素含有ガスの周囲3mm以上の範囲がシールドガスで囲まれた状態で前記窒素元素含有ガスを導入管から前記リアクター内に導入することを特徴とする[5]に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[7] 前記シールドガスの線速度と隔離距離の積が0.0003〜10m2/sであることを特徴とする[3]〜[6]のいずれか一項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法(ここにおいて隔離距離とは、前記リアクターへの導入地点における前記Si元素含有ガスのガス流の外縁から窒素元素含有ガスのガス流の最近部までの距離を表す。)。
[8] 前記シールドガスの線速度が0.1〜20m/sであることを特徴とする[3]〜[7]のいずれか一項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
本発明のSi元素を含有する第13族窒化物結晶の製造方法は、第13族元素、窒素元素およびSi元素を含む原料を用いて結晶成長を行う工程を含み、下記式(1)で規定されるSi取込効率が10%以上であることを特徴とする。
ここで原料とは、Si元素を含有する第13族窒化物結晶を構成し得るものであれば特に限定されず、固体、気体、液体などいずれの形態であってもよい。また、結晶成長開始前にリアクター内にあらかじめ充填しておいてもよく、連続的にリアクター内に供給してもよい。たとえば、原料が充填されていないリアクター内に原料を連続的に供給する場合には、MSi(I)はリアクター内に供給するSi元素のモル量であって、M13(I)はリアクター内に供給する第13族元素のモル量を表す。
結晶成長を行う工程には、公知のいずれの結晶成長方法を適用してもよく、例えば、HVPE法、MOCVD法、フラックス法、アモノサーマル法などが挙げられる。
本発明の製造方法においては、結晶の成長速度が速いことから前記第13族元素、窒素元素およびSi元素を含む原料がガスであることが好ましく、第13族元素含有ガス、窒素元素含有ガスおよびSi元素含有ガスとしてリアクター内に供給して結晶成長を行うことが好ましい。
以下、本発明の好ましい形態である気相法における実施形態について詳述する。
本発明の第13族窒化物結晶の製造方法は、第13族元素含有ガス、窒素元素含有ガスおよびSi元素含有ガスをリアクター内に供給して結晶成長を行う工程を含むものである。
本発明で用いる第13族元素含有ガスは、製造しようとしている第13族窒化物結晶を構成する第13族元素と同じ元素を含むガスである。例えば、GaN結晶を製造しようとする場合は、Ga元素を含むガスである。Ga元素を含むガスは、リアクター外で発生させてリアクター内に導入してもよいし、リアクター内で反応させることにより発生させてもよい。リアクター内で発生させる場合は、例えば、GaとHClを反応させることによりGaClガスを発生させる態様などを例示することができる。
本発明で用いる窒素元素含有ガスとしては、通常NH3を用いる。
また、シールドガス用の導入管には、シールドガスだけでなく、シールドガスと混合しても支障がないガスを混合して導入してもよい。例えば、シールドガスと第13族元素含有ガスを混合して導入してもよい。
本発明の製造方法を実施することによって得られる第13族窒化物結晶のキャリア濃度は1×1017cm-3以上であることが好ましく、3×1017cm-3以上であることがより好ましく、5×1017cm-3以上であることがさらに好ましい。また、5×1019cm-3以下であることが好ましく、3×1019cm-3以下であることがより好ましく、1×1019cm-3以下であることがさらに好ましい。本発明におけるキャリア濃度は、van der Pauw法によるホール測定を行うことにより決定される値であり、測定手順の詳細については後述の実施例を参照することができる。
以下において、本発明の第13族窒化物結晶の典型的な製造方法の詳細を説明する。ただし、本発明の製造方法の範囲は、特許請求の範囲に記載されていない事項を必須の構成要素とするものではなく、また、以下の典型的な製造方法の説明により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の製造方法は、気相成長装置のリアクター内に下地基板を準備する工程を有することが好ましい。
本発明で用いる下地基板は、第13族窒化物結晶を成長することができる成長面を有するものであれば、特に種類は限定されないが、得られる第13族窒化物結晶の結晶性が良好であることから六方晶系の結晶であることが好ましく、成長させる第13族窒化物結晶と格子定数の近い六方晶系の結晶であることがより好ましく、例えばサファイア、酸化亜鉛結晶、窒化物結晶などが挙げられる。中でも窒化物結晶であることが好ましく、より好ましくは成長面に成長させる第13族窒化物結晶と同一種の窒化物結晶を用いる場合である。例えばGaNなどが挙げられる。特に、下地基板の成長面に第13族窒化物結晶を含むことが好ましい。
サファイアの格子定数はa軸で4.758Å、c軸で12.983Åである。窒化ガリウムの格子定数はa軸で3.189Å、c軸で5.185Åである。
下地基板の面方位は、第13族窒化物結晶を成長することができる成長面であれば特に方位は限定されず、例えば{0001}面、{10−10}面、{11−20}面、{11−22}面、{20−21}面などを好ましく用いることができ、中でも(0001)面を用いることがより好ましい。
この明細書において、{20−21}面とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{20−21}面と等価な面であり、これは、半極性面である。{20−21}面と等価な面は、(20−21)面、(2−201)面、(02−21)面、(0−221)面、(−2201)面、(−2021)面である。また、この明細書において{20−21}面は、±0.01°以内の精度で計測される<20−21>軸からA軸方向へ15°傾斜した方向の範囲内に成長面がある下地基板の成長面のことを指し、より好ましくは10°傾斜した方向の範囲内の成長面であり、さらに好ましくは5°傾斜した方向の範囲内の成長面である。さらに、{20−21}面は±0.01°以内の精度で計測される<20−21>軸からC軸方向へ25°傾斜した方向の範囲内に成長面がある下地基板の成長面のことを指し、より好ましくは10°傾斜した方向の範囲内の成長面であり、さらに好ましくは5°傾斜した方向の範囲内の成長面である。
例えば下地基板の結晶成長方法としては、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、MOCVD(Meral-organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等を挙げることができる。
本発明の製造方法は、第13族元素含有ガスと窒素元素含有ガスを反応させて下地基板上に第13族窒化物結晶を成長させる成長工程を有する。このとき、本発明にしたがって、上記のようにSi元素含有ガスとシールドガスもリアクター内に供給する。
リアクターの材質としては、石英、多結晶ボロンナイトライド(BN)ステンレス等が用いられる。好ましい材質は石英であり、なかでも得られる結晶のキャリア濃度が安定することから合成石英がより好ましい。リアクター内には、反応開始前にあらかじめ雰囲気ガスを充填しておく。雰囲気ガスとしては、例えばH2ガス、N2ガス、He、Ne、Arのような不活性ガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。
リザーバーにガスを導入するための導入管からは、リザーバーに入れた原料と反応するガスを供給する。例えば、リザーバーに第13族源となる原料を入れた場合は、導入管からHClガスなどのハロゲン化水素を供給することができる。ここで、リザーバーの第13族源となる原料と導入管から供給されたガスが反応し、第13族元素含有ガスとして第13族元素のハロゲン化物がリアクター内に供給される。このとき、HClガスなどのハロゲン化水素とともに、導入管からキャリアガスを供給してもよい。キャリアガスとしては、例えばH2ガス、N2ガス、He、Ne、Arのような不活性ガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。キャリアガスは雰囲気ガスと同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造した第13族窒化物結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子や、電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有用である。また、本発明の製造方法により製造した第13族窒化物結晶を下地基板として用いて、さらに大きな第13族窒化物結晶を得ることも可能である。
下地基板として、サファイア基板上にMOCVDでGaNを15μm程度成長したテンプレート基板を準備した。
前記下地基板を、直径70mm、厚さ20mmのSiCコーティングしたカーボン製の基板ホルダー上に置き、HVPE装置のリアクター内に設置した。
リアクター内を1020℃まで昇温した後、原料ガス、キャリアガス、ドーピングガスおよびシールドガスを流し、基板上にGaN層を20時間成長させた。このGaN層成長工程において、成長圧力は1.01×105Paとした。原料ガスは、GaとHClの反応生成物であるGaClガスと、NH3ガスであり、その分圧はそれぞれ7.00×102Paと8.13×103Paとした。キャリアガスはH2ガスであり、分圧は7.24×104Paとした。ドーピングガスは珪素をドーピングするためのジクロロシランガス(SiH2Cl2)をHClガスと混合して導入し、分圧はそれぞれ6.29×10-3Paと3.48×101Paとした。シールドガスはH2ガスとN2ガスの混合気体とし、分圧はそれぞれH2ガスを7.97×103PaとN2ガスを1.17×104Paとした。
ドーピングガスとキャリアガスは混合気体(第1ガス)として導入管からリアクター内に導入した。この導入管の先端部周辺では、第1ガスの流路を囲むように、シールドガス(第2ガス)が同じ方向に向かって流れており、さらにその第2ガスの流路の外側にNH3ガスとキャリアガスの混合気体(第3ガス)が同じ方向に向かって流れるようにした。導入管のガス吐出口の内縁から第3ガス流までの隔離距離(ここでいう隔離距離は、ガス導入方向に垂直な方向の最短距離である)は、10mmであった。
GaN層成長工程終了後、リアクター内を室温まで降温し、GaN結晶を得た。
原料ガス、キャリアガス、ドーピングガスおよびシールドガスの分圧を表1に示す通りに設定した。成長時間は24時間とした。それ以外の点については、実施例1と同様にしてGaN層を成長させて、GaN結晶を得た。
導入管のガス吐出口の内縁から第3ガス流までの隔離距離(ここでいう隔離距離は、ガス導入方向に垂直な方向の最短距離である)を、5mmに変更した。原料ガス、キャリアガス、ドーピングガスおよびシールドガスの分圧を表1に示す通りに設定した。成長時間は58時間とした。それ以外の点については、実施例1と同様にしてGaN層を成長させて、GaN結晶を得た。
原料ガス、キャリアガス、ドーピングガスおよびシールドガスの分圧を表1に示す通りに設定した。成長時間は30時間とした。それ以外の点については、実施例3と同様にしてGaN層を成長させて、GaN結晶を得た。
ガス導入態様について、ドーピングガスとキャリアガスの混合気体(第1ガス)を導入管より流し、その外側を同じ方向にNH3ガスとキャリアガスの混合気体(第2ガス)が流れるようにした。ここでは、シールドガスは使用していない。原料ガス、キャリアガス、ドーピングガスおよびシールドガスの分圧を表1に示す通りに設定した。成長時間は28時間とした。それ以外の点については、実施例1と同様にしてGaN層を成長させて、GaN結晶を得た。
原料ガス、キャリアガス、ドーピングガスおよびシールドガスの分圧を表1に示す通りに設定した。成長時間を27時間とした。それ以外の点については、比較例1と同様にしてGaN層を成長させて、GaN結晶を得た。
実施例1〜4および比較例1〜2のそれぞれにおいてGaN結晶を製造した後のリアクター内と導入管の状態を確認した。その結果、いずれの場合もリアクター内にはSiの析出がほとんど見られなかった。また、実施例1〜4では導入管のガス吐出口にはまったく結晶の析出などは見られず、そのまま再利用可能であることが確認された。それに対して、比較例1〜2では、導入管のガス吐出口に白色の結晶が多数析出しており、再利用に支障があることが確認された。
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた各GaN結晶は、いずれも成長面表面状態が鏡面となった。各GaN結晶中のSi元素濃度を、van der Pauw法によるホール測定を行うことにより決定した。測定は、GaN結晶を5mm×5mmの正方形に切り出した試料を用意して、正方形の頂点に近い試料表面上に電極をインジウム含有はんだで形成することにより行った。測定により得たGaN結晶中のキャリア濃度を表1に示す。測定したキャリア濃度より、GaN結晶中のSi元素のモル量MSi(C)とGa元素のモル量M13(C)の比であるMSi(C)/ M13(C)を得た。一方、実施例1〜4および比較例1〜2でそれぞれリアクター内に供給したSi元素のモル量MSi(I)と第13族元素のモル量M13(I)の比であるMSi(I)/ M13(I)を、各ガスの分圧から計算することにより求めた。これらの比の値を用いて、上記式(1)にしたがってSi取込効率を求めた。結果は以下の表1に示すとおりであった。
なお、実施例1〜4では、製造工程を繰り返し行ってもSi取込効率はほぼ同じであり、得られるGaN結晶中のSi濃度を安定に制御できることが確認された。
Claims (6)
- 第13族元素含有ガスと窒素元素含有ガスをリアクター内で反応させて、前記リアクター内に準備した下地基板上に第13族窒化物結晶を成長させる成長工程において、Si元素含有ガスを、周囲がシールドガスで囲まれた状態で、導入管から前記リアクター内に導入すること、および前記シールドガスはH 2 ガスとN 2 ガスの混合気体であるか、または、N 2 ガスであることを特徴とする、Si元素を含有する第13族窒化物結晶の製造方法。
- 前記第13族元素含有ガスは前記リアクター内でGaとHClとを反応させることにより発生させ、前記窒素元素含有ガスはNH3であり、前記Si元素含有ガスはクロロシラン系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記Si元素含有ガスはHClとの混合物として前記リアクター内に導入することを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
- 前記周囲をシールドガスで囲まれた状態は、前記Si元素含有ガスの周囲3mm以上の範囲がシールドガスで囲まれた状態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
- 前記シールドガスは、線速度と隔離距離の積が0.0003〜10m2/sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法(ここにおいて隔離距離とは、前記リアクターへの導入地点における前記Si元素含有ガスのガス流の外縁から窒素元素含有ガスのガス流の最近部までの距離を表す。)。
- 前記シールドガスは、線速度が0.1〜20m/sであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
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