JP3994035B2 - 操縦可能な歩行玩具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の脚部が設けられた玩具本体と、玩具本体を操縦する無線式の操縦ユニットから成り、前記玩具本体と操縦ユニットとを紐を用いて着脱自在に連結した歩行玩具の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られる操縦可能な動物玩具として、例えば、特許文献1の実開平6−80488号公報に開示される考案が挙げられる。
この考案に係る玩具は、幼児にも扱えるように簡単な操作で操縦可能に構成された動物玩具であり、音声出力と、幼児の歩行速度と同程度の速度での走行を可能としていた。この玩具の操縦ユニットは、胴体部内部に配設される制御部とケーブルを介して電気的に配線されており、ユニット上部に設けた自動復帰式のシーソースイッチを操作することにより、玩具本体に各種動作を行わせることを可能としていた。そして、玩具本体は、胴体部の内部に設けた駆動機構によって胴体部の左右に配設される駆動用の車輪を回転することにより前進・後進を行い、前記車輪の一方を逆回転することにより方向転換を行うものであった。そして、動作に合わせて音声出力装置から鳴声等の出力が行われた。
【0003】
そのため、子供はこの玩具を操縦して遊んだり、音声を出力させたりすることができたが、車輪を駆動して移動するものであったため、動物の歩行様態と比較してその動作はリアルさに欠けていた。
【0004】
また、上記玩具以外にも、高度の電子制御技術を駆使することにより、本物の犬が行うような各種動作を実施可能とした商品も存在したが、価格面ではかなり高額になるため、大多数の消費者が気軽に購入できるものではなかった。
【特許文献1】
実開平6−80488号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、紐に繋がれたペットを従えて散歩をして遊ぶことのできる歩行機能を備えた玩具を安価に提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
脚部が設けられた玩具本体と、該玩具本体を操縦する無線式の操縦ユニットから成る遠隔操縦玩具であって、
前記操縦ユニットには、
脚部を駆動して玩具本体の前進と後進を指示する操作部と、
玩具本体の方向転換を指示する操作部と、
無線信号送信装置とを備え、
前記玩具本体には、
操縦ユニットから送信される無線信号を受信する受信装置と、
玩具本体に設けた複数の可動部を駆動するモーター式駆動装置と、
予め出力される音声情報が記憶された半導体記憶装置を備える音声出力装置と
前記受信装置で受信した信号に基いて前記モーター式駆動装置及び音声出力装置を制御する制御装置とを備え、
更に、前記操縦ユニットと玩具本体とを着脱可能に連結する紐を備え
前記玩具本体は、前部ユニットと後部ユニットが回転可能に連結され、前部ユニット及び後部ユニットに各々1個のモーターを有し、後部ユニットに設けたモーターにより可動部を駆動するモーター式駆動装置により前部ユニットに設けた前脚及び後部ユニットに設けた後脚を駆動して歩行させ、前部ユニットに設けたモーターを一方向に回転させると可動部を駆動するモーター式駆動装置により後脚を傾けて座った姿勢となり、前部ユニットに設けたモーターを他方向に回転させると可動部を駆動するモーター式駆動装置により前部ユニットを後部ユニットに対して左右に回転させて歩行の方向転換を可能とし、
操縦ユニットを用いて遠隔地から玩具本体を操縦して遊ぶだけでなく、紐を握って玩具を従えて散歩をして遊ぶことを可能としたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、玩具の駆動に高度な電子制御技術を要しないので、低年齢層の子供をもつ親が気軽に購入することができる程度に安価な価格で商品を提供することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1において、
後部ユニットに設けたモーターにより駆動するモーター式駆動装置は、歯車群により回転を減速して前脚のクランク軸と後脚のクランク軸を等しい回転速度として前後のクランクにより各脚部を回転させ、脚部にはクランクが挿入される穴とアームの軸が挿入される長穴を有し、クランクの回転によって脚部が上下動を伴って長孔に挿入されたアームの軸を中心に前後の揺動を行うことを特徴とする。
本発明によれば、1個のモーターにより前脚と後脚とが所定時間当たりに進む歩数を等しくすることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2において、
後部ユニットに設けられたモーター式駆動装置のクランクは、左右の位相が180度ずれており、右脚と左脚の前後動作を交互に行わせることを特徴とする。
本発明によれば、右後脚と左後脚とが交互に動作し、又、右前脚と左前脚も交互に動作し、スムーズに歩行することができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、
前部ユニットに設けたモーターにより駆動するモーター式駆動装置は、歯車群の中間に遊星歯車を有し、歯車群により回転を減速すると共にモーターの回転方向により遊星歯車の位置を回転変更することにより遊星歯車を介してモーターの回転を伝達する歯車を変更することを特徴とする。
又、請求項5記載の発明は、請求項4において、
前部ユニットに設けたモーターを一方向に回転させたときに後脚を傾けるモーター式駆動装置は、歯車群により回転を減速すると共に遊星歯車を介した歯車により扁平形状とされたクランクを回転させ、このクランクの回転により支持体を前進及び後退させて後脚の長孔に挿入される軸を供えたアームを回動させることにより後脚の長孔に挿入される軸の位置を移動させることを特徴とする。
更に請求項6記載の発明は、請求項4において、
前部ユニットに設けたモーターを逆方向に回転させたとき、前部ユニットを後部ユニットに対して回転させるモーター式駆動装置は、歯車群により回転を減速すると共に遊星歯車を介した歯車によりクランクを回転させ、該クランクが後部ユニットに組み込まれた後部駆動ユニットの側壁に設けた溝に挿入されて前部ユニットに組み込まれる前部駆動ユニットと後部ユニットに組み込まれる後部駆動ユニットを連結する軸を中心として前部ユニットの向きを変更することを特徴とする。
請求項4、請求項5、請求項6の発明によれば、前部ユニットに設けたモータにより後脚を折りたたみ位置と完全に起立した状態とに動作させ、モーターの回転方向を逆転させると前部ユニットを回転して方向転換を行うことができる。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかにおいて、
玩具本体には、前記脚部の内の前脚の長孔に挿入される軸を有し、且つ前部ユニットに組み込まれる前部駆動ユニットに設けた軸を中心に回転可能とされたアームであって、アームの一部が後部ユニットに組み込まれる後部駆動ユニットに設けた軸に支持されて前部ユニットが後部ユニットに対して方向を変換すると前部駆動ユニットに設けた軸を中心に回転するアームを前部駆動ユニットの左右に各々有し、このアームの回転により前脚の長穴に挿入される軸と前脚の孔に挿入されるクランクの軸との間隔を変化させることを特徴とする。
本発明によれば、前部駆動ユニットの左右に設けたアームを回転させて長穴に挿入される軸と前脚を動作させるクランク軸との間隔を変化させるため、左右の前脚の歩幅差を大きくし、進路変更の程度を大きくすることができる。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れかにおいて、
後部ユニットに設けたモーター式駆動装置は、クランクを介して尾部を揺動させることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかにおいて、
前部ユニットに設けたモーター式駆動装置は、クランクを介して口部を上下に揺動させて口部を開閉させることを特徴とする。
請求項8記載の発明によれば尾部の揺動を実施可能とし、請求項9記載の発明によれば口部の開閉を可能とした商品を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、脚部が設けられた玩具本体と、該玩具本体を操縦する無線式の操縦ユニットから成る。
そして、前記操縦ユニットには、脚部を駆動して玩具本体の前進と後進を指示する操作部と、玩具本体の方向転換を指示する操作部と、無線信号送信装置とを備える。また、前記玩具本体には、操縦ユニットから送信される無線信号を受信する受信装置と、玩具本体に設けた複数の可動部を駆動するモーター式駆動装置と、予め出力される音声情報が記憶された半導体記憶装置を備える音声出力装置と前記受信装置で受信した信号に基いて前記モーター式駆動装置及び音声出力装置を制御する制御装置とを備える。
そして、前記操縦ユニットと玩具本体とを紐によって着脱可能に連結することにより、遠隔地から玩具本体を操縦して遊ぶだけでなく、犬を散歩させる場合と同様に紐を握って玩具を従えて散歩をして遊ぶことのできる歩行玩具を安価に提供可能としている。
【0014】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。
<玩具本体と操縦ユニットの構成>
はじめに、図1を参照して本実施例に係る玩具と操縦ユニットの構成を説明する。
図1は、実施例に係る玩具本体と操縦ユニットの外観を示している。
本実施例は、犬の形状をした玩具本体1と操縦ユニット2とを紐3で連結して構成される。紐3の両端には輪状部3aが設けられており、輪状部3aは、玩具本体1の首輪4と操縦ユニット2にそれぞれ設けられる係止部に係止している。そして、この輪状部3aには隙間3bを形成し、必要に応じて紐3を着脱可能としている。
操縦ユニット2には、4つの操作部2a・2b・2c・2dと、無線信号送信装置が設けられており、前記操作部の各ボタンを操作することにより、無線式送信装置は玩具本体1に対して操縦内容を伝達する電波信号を送信する。なお、操縦ユニット2は直感的に操作可能であり、玩具本体と紐で連結可能に形成されるものであれば、信号の送信方式や操作部の形状等は特に限定されるものではない。したがって、実施例に示すもの以外にも、例えば、赤外線を信号媒体とする送信装置や、走行玩具の操縦に用いるプロポと同様のスティック式のスイッチを採用したものであっても構わない。
【0015】
<本体ユニットの構成>
次に、図1乃至図4を参照して、玩具本体1の内部に設けられる本体ユニットの構成を説明する。
図2と図3は、図1に示す玩具本体1の内部に設けられる本体ユニット5を左側面から見た状態と上方から見た状態をそれぞれ示している。また、図4は、玩具本体1が座った状態における本体ユニットの外観を示している。
図1に示す、玩具本体1の外装部1Aは布地を縫製して形成されており、その内部に前部ユニット5Aと後部ユニット5Bとを連結して構成される本体ユニット5が設けられている。そして、前部ユニット5Aには口部8と脚部6A・6Cが設けられ、後部ユニット5Bには尾部7と脚部6B・6Dが設けられている。そして、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの連結部、脚部6A・6B・6C・6D、尾部7、口部8は、後述する駆動装置に連携されており、これによって駆動される。
【0016】
<脚部の構成>
次に、図5乃至図8を参照して玩具本体1に設けられる脚部の構成を説明する。
図5は、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bから脚部6A・6B・6C・6Dを取外した状態を左側面から見た状態を示している。なお、本図では脚部6C・6Dは便宜上省略して記載している。図6は、玩具本体を上方から見た状態であり、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの連結構造と、上方から見た脚部構成を示している。図7は、玩具本体を左側面から見た状態であり、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの内部構成を示している。そして、図8は、前部駆動ユニットと後部駆動ユニットの連結部の構成と、アーム55の動作を示している。
脚部6Aと6C、そして6Bと6Dは本体ユニット5に対して、左右対称に配設されている。そして、脚部6Aには穴61と長穴62が設けられており、この穴61と長穴62には、前部ユニット5Aに設けた駆動機構によって駆動されるクランク91fの軸とアーム55の軸551がそれぞれ緩く嵌合されている。このときクランク91fの軸は穴61の内部で回転可能になっており、アーム55の軸551は長穴62の内部で移動可能になっている。同様に、脚部6Bに設けた穴63と長穴64には、後部ユニット5Bに設けた駆動機構によって駆動されるクランク91aの軸とアーム56の軸56aがそれぞれ嵌合されている。
【0017】
<前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの連結構造>
次に、図6及び図7を参照して、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの連結構造を説明する。
前部ユニット5Aの内部には、前部駆動ユニット5aが、後部ユニット5Bの内部には、後部駆動ユニット5bがそれぞれ設けられている。そして、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bは、前部駆動ユニット5aの上下に設けられる穴部に後部駆動ユニット5bに設けられるアーム51と52の軸部51aと52aを嵌合して連結されている。これにより、前部ユニット5Aは後部ユニット5Bに対して連結され、回転可能になっている。また、前部駆動ユニット5aを左右から挟持する板バネ53aと53bは、後部駆動ユニット5bに設けられており、回転した前部駆動ユニット5aを回転前の位置に復帰させるように付勢している。つまり、図6において、前部駆動ユニット5aが左に回転する場合には板バネ53aが曲げられるので、前部駆動ユニット5aは右に付勢され、反対に、前部駆動ユニット5aが右に回転する場合には板バネ53bが曲げられるので、前部駆動ユニット5aは左に付勢される。
【0018】
<歩行動作>
次に、図3、図5、図7、図9を参照して、玩具本体1の歩行動作を説明する。
図9は、前部駆動ユニット5aと後部駆動ユニット5bの内部構成を示す図である。
玩具本体1の歩行動作は、モーターM1によって駆動されるクランクの軸と噛み合う長穴を脚部に設け、このクランクの回転動作を脚部の上下動を伴った揺動に変換することにより行なわれる。
モーターM1の動力は一連の歯車群12a→12b→12c→12d→12e→12fによって伝達され、歯車12fと同軸上に配設されるクランク91aが回転される。そして、歯車12eの回転は歯車12fを介して歯車12g→12h→12iと伝達され、12iと同軸上に配設されるクランク91fが回転される。歯車12gと歯車12hの間には自在継手J2を設けることにより、方向転換時に前部駆動ユニット5aが回転した場合にも動力の伝達を可能としている。
このとき、歯車12hと歯車12gの歯数を同一とし、同様に歯車12fと歯車12iも歯数を同一にして、歯車12fと12iの軸P1とP2の回転速度を等しくすることにより、前脚と後脚が所定時間当たりに進む歩数を等しくしている。
また、軸P1の右端には、クランク91aと180度位相をずらした状態で右後脚6dを動かすクランク(図示せず)が取付けられている。そのため、右後脚6Dと左後脚6Bは交互に動作することになり、スムーズに歩行することができる。同様に、軸P2の右端にも右前脚6Cを駆動するためのクランク(図示せず)がクランク91fと180度位相をずらした状態で取付けられている。そのため、右前脚6Cと左前脚6Aは交互に動作することになり、スムーズに歩行することができる。なお、歩行時における前進と後退の切り換えは、モーターM1の回転方向を反転してクランクの回転方向を変えることにより行われる。
【0019】
<玩具本体が座る過程での動作>
次に、図4、図7、図9、図11を参照して玩具本体1が座る際の動作を説明する。
図11は、支持体10とその近傍に設けられる部材の構成を示す図である。図11(A)は分解斜視図であり、図11(B)は組立状態での斜視図である。
玩具本体1が座る際の動作は、支持体10が移動して支持体10に設けられる軸10aが後部駆動ユニット5bの長手方向に移動することにより行われる。アーム56は軸P1に嵌合され、この軸P1を中心として回転可能に取付けられており、支持体10が右側に移動するとアーム56は、軸P1を中心として時計方向に回転する。左後脚6Bには、アーム56の軸56aが係止されているので、アーム56が回転すると、左後脚6Bはクランク91aの軸を中心としてアーム56と同方向に回転して曲がり、玩具は図4に示すように座った姿勢となる。
支持体10は、口部8や前部ユニット5Aと同様モーターM2によって駆動される。そのため、後脚はモーターM2の一方向の回転によって口部8と同時に作動される。モーターM2の回転は、一連の歯車群9a→9b→9c→9g→9h→9l→9m→9n→9o→9pによってクランク91eに伝達される。このとき、歯車9hの遊星歯車9iを介して回転が歯車9lに伝達され、方向変換用の歯車9jや歯車9kには回転が伝達されない。なお、歯車9lと9mの間には自在継手J1を設けることにより、前部駆動ユニット5aが方向転換するために回転した場合にも動力の伝達を可能としている。
クランク91eが回転すると、図11に示すように、扁平形状をしたクランク91eの軸部が回転し、支持体11が移動する。このとき、支持体11はバネS1によって左方向に付勢されているので、クランク91eの扁平な軸部は支持体11の内壁に押されて間欠的にトルクを生じる。そのため、モーターM2へ供給される電流が遮断された場合にもクランク91eは扁平形状をした軸部の平面部が支持体11の内壁の平面部と接触するまで回転を持続する。これにより、支持体10の長穴に嵌合するクランク91eの軸の停止位置を規定することができる。本実施例では、クランク91eの軸が後部駆動ユニットの長手方向に対して右側又は左側に位置する場合の二点において停止するように構成されている。このようにしてクランク91eの停止位置が規定されると、支持体10の停止位置も規定されることになり、後脚の停止位置は折りたたみ位置と完全に起立した状態のいずれかで停止するようになる。
【0020】
<方向転換時の動作>
次に、図8乃至図10と、図12を参照して玩具本体1の方向転換を説明する。
図10は、前部駆動ユニット内部に設けられる歯車群の噛合関係を示しており、図12は、遊星歯車を構成する歯車群9h・9gの取付け関係を示す図である。
図9に示すように、前部ユニット5Aは、前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの連結部に設けられるクランク91dの回転を利用して駆動される。
クランク91dは、後部駆動ユニット5bの図9に示した左の側壁に設けられる溝に部材の軸が嵌合されており、クランク91cと同様にモーターM2によって駆動される。そのため、前部ユニット5Aは口部8と同時に作動し、左右方向に交互に回転される。モーターM2の動力は、一連の歯車群9a→9b→9c→9g→9h→9i→9j→9kによって伝達され、クランク91dが回転する。歯車9iは図12に示すように歯車9hの遊星歯車を形成しており、図10(A)、(B)に示すように、歯車9gの回転方向が逆転すると歯車9gの軸を中心として歯車9iが回転し、歯車9iの噛合する歯車が歯車9j又は歯車9lに変更される。前部ユニット5Aを回転して方向転換が行われるのは、歯車9iが歯車9jと噛合する場合である。
このようにして前部ユニット5Aが回転されると、図8(A)、(B)に示すように、前部駆動ユニット5aのケースに設けられる軸54aと後部駆動ユニット5bのケースに設けられる軸54bの二点で支持されるアーム55が軸54aを中心として回転し、軸P2と軸551の間隔が変更される。すなわち、前部ユニット5Aが左方向に回転されると、軸P2と軸551の間隔が増加し、反対に前部ユニット5Aが右方向に回転されると、軸P2と軸551の間隔は減少する。
そして、軸P2と軸551の間隔が減少する場合には、左前脚6Aの歩幅が大きくなり、軸P2と軸551の間隔が増加する場合には左前脚6Aの歩幅が小さくなる。例えば、玩具本体が左に方向転換するために前部ユニット5Aが左に回転すると、軸P2と軸551の間隔が増加し、左前脚6Aの歩幅が小さくなる。
なお、図8では、玩具の左半身に着目して図示しているが、玩具の右半身にもアーム55と同様の部材が設けられており、その動作はアーム55と対象的に行われる。そのため、玩具本体が左に方向転換するために前部ユニット5Aが左に回転すると、右前脚6Cの歩幅が大きくなり、玩具本体の進行方向は左に曲がることになる。また、アーム55の回転角度は前部ユニット5Aの回転角度に比例するので、前部ユニット5Aがより多く回転することで左右の前脚の歩幅差が大きくなり、進路変更の程度が大きくなる。そのため、本実施例における玩具の動作は、動物が進路変更する場合にとる動作と似たものとなり、本物らしさの感じられるものとなる。
【0021】
<口部動作>
次に、図7及び図9を参照して口部8の動作を説明する。
前部ユニット5Aには口部8が設けられている。
この口部8は、顎部に設けられる軸81と82を前部ユニット5Aに設けた軸受に軸支され、前部ユニット5Aの上下方向に対して揺動自在となるように取付けられている。そして、口部8は、部材の右端に設けられる溝(図示せず)に、前部駆動ユニット5aの上部に設けたクランク91cの軸を嵌合することにより、クランク91cの回転運動を利用して駆動される。このクランク91cは、モーターM2の回転を一連の歯車群9a→9b→9c→9d→9e→9fによって伝達することにより駆動される。
【0022】
<尾部揺動>
次に、図9を参照して尾部7の動作を説明する。
尾部7は、部材下部に設けられる軸71・72を後部ユニット5Bに設けた軸受に軸支され、玩具本体の左右方向に対して揺動自在となるように取付けられている。そして、尾部7の下端に設けられる溝73に後部駆動ユニット5bの後部に設けられるクランク91bの軸を嵌合することにより、クランク91bの回転運動を利用して尾部7を駆動可能としている。このクランク91bは、モーターM1の回転を一連の歯車群12a→12b→12c→12dによって伝達することにより駆動される。
【0023】
<回路構成>
次に、図1、図7、図13を参照して本実施例に係る玩具の回路構成を説明する。
図7に示すように、後部駆動ユニット5bの側面には、制御装置となる電子回路が設けられた基板13が取付けられている。この基板13からは、信号受信用のアンテナ131が延設されている。
図13は、前記基板13と操縦ユニット2に設けられる回路構成を示している。
操縦ユニット2には、スイッチ2a・2b・2c・2dと無線信号送信装置2eが設けられており、これらスイッチ2a〜2dを操作することにより玩具本体1の操縦を行うことができる。玩具本体1には、前記操縦ユニットから送信される信号を受信する受信装置132と、出力される音声情報が予め格納される半導体記憶装置133とを備える制御装置134が設けられている。操縦ユニット2から送信される信号を受信すると、制御装置134はモーターM1・M2を駆動し、スピーカ14から音声出力を行う。本実施例において出力される音声は犬の鳴き声であり、玩具本体1に設けた口部8の駆動に合わせて出力される。
各スイッチの操作と玩具の動作の対応関係は、以下に示す通りである。
<スイッチ2aの操作>
口部8の駆動と前部ユニット5Aの左右動が行われる。そしてスピーカ14から犬の鳴き声の出力が行われる。
<スイッチ2bの操作>
脚部6A・6B・6C・6Dが駆動され玩具本体が前進する。そして、尾部7が駆動される。
<スイッチ2cの操作>
口部8の駆動と後脚6B・6Dの屈伸が行われる。そしてスピーカ14から犬の鳴き声の出力が行われる。
<スイッチ2dの操作>
脚部6A・6B・6C・6Dが駆動され玩具本体が後進する。そして、尾部7が駆動される。
なお、本実施例における各スイッチ操作時の動作は前記の通りであるが、各スイッチへの機能の割当てはこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更しても構わない。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、玩具の駆動に高度な電子制御技術を要しないので、低年齢層の子供をもつ親が気軽に購入することができる程度に安価な価格で商品を提供することができる。
【0025】
また本発明によれば、少なくとも玩具本体の口部、胴体部、脚部、尾部に可動部が設けられるので、モーター式駆動装置の作動によって、口部の開閉、脚部の動作による玩具本体の前進と後進、胴体前部の左右回転による方向転換、尾部の揺動を実施可能とした商品を提供することができる。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係る玩具本体と操縦ユニットの外観を示す図である。
【図2】 図1に示す玩具本体内部に設けられる本体ユニットの構成を示す左側面図である。
【図3】 図1に示す玩具本体内部に設けられる本体ユニットの構成を示す平面図である。
【図4】 玩具本体1が座った状態における本体ユニットの左側面図である。
【図5】 前部ユニット5Aと後部ユニット5Bから脚部を取外した状態を示す図である。
【図6】 前部ユニット5Aと後部ユニット5Bの連結構造と、上方から見た脚部の構造を示す平面図である。
【図7】 前部ユニット5Aと、後部ユニット5Bの内部構成を示す図である。
【図8】 前部駆動ユニットと後部駆動ユニットの連結部の構成と、アーム55の動作の関係を示す図である。
【図9】 前部駆動ユニットと後部駆動ユニットの内部構成を示す図である。
【図10】前部駆動ユニット内部に設けられる歯車群の噛合関係を示す図である。
【図11】支持体10とその近傍に設けられる部材の構成を示す斜視図である。
【図12】遊星歯車を構成する歯車群9i・9h・9gの取付け関係を示す図である。
【図13】実施例に係る玩具の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1 玩具本体
2 操縦ユニット
2a 操作部
2b 操作部
2c 操作部
2d 操作部
2e 無線信号信装置
6A 左前脚(脚部)
6B 左後脚(脚部)
6C 右前脚(脚部)
6D 右後脚(脚部)
7 尾部
8 口部
13 基板
132 受信装置
133 半導体記憶装置
134 制御装置
14 スピーカ

Claims (9)

  1. 脚部が設けられた玩具本体と、該玩具本体を操縦する無線式の操縦ユニットから成る遠隔操縦玩具であって、
    前記操縦ユニットには、
    脚部を駆動して玩具本体の前進と後進を指示する操作部と、
    玩具本体の方向転換を指示する操作部と、
    無線信号送信装置とを備え、
    前記玩具本体には、
    操縦ユニットから送信される無線信号を受信する受信装置と、
    玩具本体に設けた複数の可動部を駆動するモーター式駆動装置と、
    予め出力される音声情報が記憶された半導体記憶装置を備える音声出力装置と
    前記受信装置で受信した信号に基いて前記モーター式駆動装置及び音声出力装置を制御する制御装置とを備え、
    更に、前記操縦ユニットと玩具本体とを着脱可能に連結する紐を備え
    前記玩具本体は、前部ユニットと後部ユニットが回転可能に連結され、前部ユニット及び後部ユニットに各々1個のモーターを有し、後部ユニットに設けたモーターにより可動部を駆動するモーター式駆動装置により前部ユニットに設けた前脚及び後部ユニットに設けた後脚を駆動して歩行させ、前部ユニットに設けたモーターを一方向に回転させると可動部を駆動するモーター式駆動装置により後脚を傾けて座った姿勢となり、前部ユニットに設けたモーターを他方向に回転させると可動部を駆動するモーター式駆動装置により前部ユニットを後部ユニットに対して左右に回転させて歩行の方向転換を可能とし、
    操縦ユニットを用いて遠隔地から玩具本体を操縦して遊ぶだけでなく、紐を握って玩具を従えて散歩をして遊ぶことを可能としたことを特徴とする操縦可能な歩行玩具。
  2. 前記後部ユニットに設けたモーターにより駆動するモーター式駆動装置は、歯車群により回転を減速して前脚のクランク軸と後脚のクランク軸を等しい回転速度として前後のクランクにより各脚部を回転させ、脚部にはクランクが挿入される穴とアームの軸が挿入される長穴を有し、クランクの回転によって脚部が上下動を伴って長孔に挿入されたアームの軸を中心に前後の揺動を行うことを特徴とする請求項1に記載した歩行玩具。
  3. 前記後部ユニットに設けられたモーター式駆動装置のクランクは、左右の位相が180度ずれており、右脚と左脚の前後動作を交互に行わせることを特徴とする請求項2に記載した歩行玩具。
  4. 前記前部ユニットに設けたモーターにより駆動するモーター式駆動装置は、歯車群の中間に遊星歯車を有し、歯車群により回転を減速すると共にモーターの回転方向により遊星歯車の位置を回転変更することにより遊星歯車を介してモーターの回転を伝達する歯車を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載した歩行玩具。
  5. 前記前部ユニットに設けたモーターを一方向に回転させたときに後脚を傾けるモーター式駆動装置は、歯車群により回転を減速すると共に遊星歯車を介した歯車により扁平形状とされたクランクを回転させ、このクランクの回転により支持体を前進及び後退させて後脚の長孔に挿入される軸を供えたアームを回動させることにより後脚の長孔に挿入される軸の位置を移動させることを特徴とする請求項4に記載した歩行玩具。
  6. 前記前部ユニットに設けたモーターを逆方向に回転させたとき、前部ユニットを後部ユニットに対して回転させるモーター式駆動装置は、歯車群により回転を減速すると共に遊 星歯車を介した歯車によりクランクを回転させ、該クランクが後部ユニットに組み込まれた後部駆動ユニットの側壁に設けた溝に挿入されて前部ユニットに組み込まれる前部駆動ユニットと後部ユニットに組み込まれる後部駆動ユニットを連結する軸を中心として前部ユニットの向きを変更することを特徴とする請求項4に記載した歩行玩具。
  7. 前記玩具本体には、前記脚部の内の前脚の長孔に挿入される軸を有し、且つ前部ユニットに組み込まれる前部駆動ユニットに設けた軸を中心に回転可能とされたアームであって、アームの一部が後部ユニットに組み込まれる後部駆動ユニットに設けた軸に支持されて前部ユニットが後部ユニットに対して方向を変換すると前部駆動ユニットに設けた軸を中心に回転するアームを前部駆動ユニットの左右に各々有し、このアームの回転により前脚の長穴に挿入される軸と前脚の孔に挿入されるクランクの軸との間隔を変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載した歩行玩具。
  8. 前記後部ユニットに設けたモーター式駆動装置は、クランクを介して尾部を揺動させることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載した歩行玩具。
  9. 前記前部ユニットに設けたモーター式駆動装置は、クランクを介して口部を上下に揺動させて口部を開閉させることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載した歩行玩具。
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