JP3993925B2 - 刈取作業機用ハンドレバー装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のスロットル弁等の被駆動部材をケーブルを介して操作するための刈取作業機用ハンドレバー装置に係り、特に、ヘッジトリマーや刈払機等の刈取作業機におけるハンドルのグリップ部近傍に配設されて、スロットルケーブルを介して前記スロットル弁を開閉操作するのに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、内燃機関により刈刃等の作業部を駆動するようにされているヘッジトリマーや刈払機等の刈取作業機においては、前記内燃機関の出力を手元で調節するため、それに備えられているU形ハンドルやバーハンドル等のグリップ部近傍に、前記内燃機関のスロットル弁の開度を調節するハンドレバー装置が配設されている。
【0003】
このハンドレバー装置は、通常、作業者の手指で操作されるスロットルトリガ(スロットルレバー)を備えており、このスロットルレバーを回動操作することにより、スロットルケーブルを介して前記スロットル弁の開度を調節するようにされている。前記スロットル弁は、通常、常時最小開度(アイドル回転開度)方向に付勢されていて、自然状態ではアイドル回転開度で保持され、前記スロットルケーブルが所定長以上引っ張られたときに遊びが無くされて、前記アイドル回転開度から高速回転側へ開き始めるようにされる。
【0004】
このようなスロットル弁の開度調節用のハンドレバー装置としては、前記スロットルレバーを回動操作状態から解放したときに、該レバーを自動的に前記スロットル弁と共に元の位置(アイドル回転開度)に戻すようにした自動アイドル回転開度復帰タイプのものと、手指を離してもスロットルレバーを所望の回動操作位置にて常時不動状態で保持し得るようにした固定タイプのものとが知られている(実公昭57−19944号公報等を参照)。
【0005】
前記自動復帰タイプのものは、スロットルレバーから指を離せば機関が自動的にアイドリング状態に戻り、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部に伝達するようにした作業機であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって作業部への動力伝達が断たれるので、不測の事態が生じた際には即座にスロットル弁をアイドル回転開度に戻して作業部を停止させることができ、安全性が高められるという利点が得られる反面、スロットルレバーを常時手指で保持して所望の回動操作位置に維持しなければならないので、中間開度が使いづらい、手指が疲れる、操作量(回転数)が一定しない、等の問題が生じる。
【0006】
一般に、使い勝手を考慮すると、スロットルレバー等の手指によって操作される回動操作レバーは、中間開度をとらせることなく解放位置とセット位置(握り位置)との二位置のみをとらせるようになすことが望ましく、スロットル弁を中間開度(パーシャル開度)にするときも全開(WOT)にするときも、同一の回動操作位置(セット位置)とする方が操作性に優れると考えられる。
一方、前記固定タイプのものは、前記自動アイドル回転開度復帰タイプの問題を解消し得、スロットルレバーを常時所望の回動操作位置に手離しでも不動状態に保持しておくことができるので、手指が自由になって作業を楽に行える等の利点は得られるものの、不測の事態が生じた際には、スロットルレバーの位置保持機能を解除する別操作が必要となり、即座に作業部を停止させることができないので、安全性の面では前記自動アイドル回転開度復帰タイプのものより劣るという問題があった。
【0007】
また、前記したいずれのタイプも、スロットルレバーを一旦解放して作業を中断した後、作業を再開すべくスロットル弁を以前の開度に戻す(刈払機等の作業機ではこのようなことが多い)には、スロットルレバーの回動操作位置を再調整しなければならず、操作が面倒である等、操作性の面でも改善の余地が残されていた。
前記のようなハンドレバー装置に関する従来の問題及び課題を解消ないし達成すべく、本発明の出願人は、先に、例えば、特願平7−108340号に所載のように、回動操作されるメインレバーとサブレバーとを有し、被駆動部材に連結されたケーブルを動滑車等の折返し部材を介して前記サブレバーで引っ張るようにされ、かつ、前記メインレバーにより前記折返し部材を移動させるようにしたハンドレバー装置を提案している。
【0008】
かかるハンドレバー装置によれば、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にできる等、の利点が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案のハンドレバー装置においては、ケーブルの引っ張り量はメインレバーの回動操作角度に応じたものとなるが、ケーブルを必要量分引っ張るには、前記メインレバーの回動操作角度を比較的大きくしなければならないという欠点があった。これに伴い、前記メインレバーに所要の回動操作角度が得られるようにするため、ハンドルのグリップ部と前記メインレバーとの間に比較的大きな回動用スペースが必要とされ、その結果、装置が大型化するとともに重量も増し、特に、ハンドルから外方側に大きく突出したメインレバーは、使用時、非使用時を問わず何かと邪魔になることが多く、作業性や操作性を低下させる要因となっていた。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、装置の小型軽量化を効果的に図れて、作業性や操作性をより向上させることのでき、更に、一つのレバー操作によって、刈刃用制動装置の作動を連動させることのできる刈取作業機用ハンドレバー装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置は、基本的には、回動操作されるメインレバーを有し、該メインレバーにより被駆動部材に連結されたケーブルを操作するようにされ、前記メインレバーと前記ケーブルとの間に、前記メインレバーによる前記ケーブルの操作量を拡大する操作量拡大機構が介装され、該操作量拡大機構に、刈刃制動装置を制御するワイヤを取り付けるためのワイヤ取付部が設けられている。
さらに好ましい態様では、前記構成に加えて、前記メインレバーにより被駆動部材に連結されたケーブルを折返し部材を介して操作するようにされ、前記折返し部材を移動させて任意の位置に保持する位置調節機構が設けられる。
【0012】
前記引張量拡大機構の例としては、「てこ」を用いたものや、歯車を用いたものが挙げられる。
【0013】
前記位置調節機構の好ましい例としては、回動操作されるサブレバーを備え、前記折返し部材を前記サブレバーにおける回動軸線から外れた位置に取り付けたものが挙げられ、この場合は、前記サブレバーを任意の操作位置にて不動状態で保持するようになすことが好ましい。
本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の典型的なしかし限定的ではない用途としては、内燃機関のスロットル弁の開度調節、及び、刈取作業機の刈刃制動装置の制御に使用する場合が挙げられ、この場合、より好ましい具体例としては次のような構成のものが挙げられる。
【0014】
すなわち、前記スロットル弁が、常時アイドル回転開度方向に付勢されていてそれに接続されているスロットルケーブルが非操作状態から所定長以上引っ張られたときに遊びが無くされ、前記アイドル回転開度から開き始めるようにされていて、このスロットル弁を備えた内燃機関により刈刃等よりなる作業部を駆動するようにされている刈取作業機におけるハンドルのグリップ部近傍に配設された刈取作業機用ハンドレバー装置であって、前記スロットルケーブルを前記操作量拡大機構及び前記折返し部材を介して前記メインレバーで引っ張って前記遊びを無くすよう(セット位置)にされ、かつ、前記位置調節機構により前記折返し部材を前記スロットルケーブルを引っ張る方向に強制的に移動させることにより、前記スロットル弁の開度を調節するようにされてなる。それと共に、前記操作量拡大機構に設けられた前記ワイヤ取付部に取付けられた前記ワイヤが引っ張られる。該ワイヤは、前記刈取作業機の前記刈刃の近傍に設けられ、かつ、前記刈刃を制動すべく付勢された前記刈刃制動装置に連結されており、前記ワイヤが引っ張られることにより、前記スロットル弁の開操作と連動して刈刃の制動が解除される。
【0015】
前述の如くの構成された本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の好ましい態様では、メインレバーがハンドルのグリップ部に近接するセット位置まで回動操作されると、スロットルケーブルがてこ等を用いた操作量拡大機構、及び滑車等からなる折返し部材を介して所定長引っ張られて、前記遊びが無くされる。この場合、前記メインレバーによる前記ケーブルの引張量(操作量)は、操作量拡大機構により拡大されるので、ケーブルを必要量分引っ張るに要する、前記メインレバーの回動操作角度は従来のものに比して小さくて済む。そのため、前記ハンドルのグリップ部と前記メインレバーとの間に必要とされる回動用スペースを小さくすることが可能となり、その結果、装置の小型軽量化が図られ、作業性や操作性も向上する。
【0016】
次いで、前記メインレバーを前記セット位置に保持したまま、位置調節機構に備えられるサブレバー等の操作部を所望の位置まで操作すると、前記折返し部材が前記スロットルケーブルを、例えば、引っ張る方向に強制的に移動せしめられ、それにより前記スロットルケーブルが前記操作量拡大機構及び折返し部材を介してさらに引っ張られ、前記スロットル弁が最小開度(アイドル開度)から開方向に移動せしめられてその開度が調節される。
【0017】
この場合、前記スロットルケーブルは、前記折返し部材に掛け回された状態で該折返し部材により引っ張られるので、前記折返し部材の移動量の二倍の長さ分が引っ張られる(動滑車による変位量の拡大と同じ)ことになる。このため、スロットル弁の開度を調節するのに要する前記位置調節機構の操作量、つまり、前記折返し部材の移動量は小さくて済み、この点からも装置の小型軽量化が図られる。
ここで前記サブレバー等の操作部を解放しても、該操作部はそれに備えられている位置保持手段によりそのままその操作位置にて不動状態で保持され、前記スロットル弁はその調節開度(設定開度)で保持され、かつ、前記刈刃制動装置に連結された前記ワイヤも引張状態で保持され、前記刈刃制動装置が解除された状態に維持される。これにより、手指の負担が軽減される。
【0018】
前記のようにしてスロットル弁の開度を調節した状態で、例えば不測の事態が生じる等して直ちに機関の回転数を大幅に低下させたいときには、前記メインレバーを解放する。それにより、前記スロットルケーブルは常時スロットル弁閉方向に付勢されているので、前記メインレバー及び操作量拡大機構が前記とは逆方向に引っ張られて元の位置に戻り、前記スロットルケーブルが前記非操作状態に戻されて前記スロットル弁が前記アイドル回転開度に戻り、前記内燃機関はアイドリング状態となる。また、前記メインレバーを解放すると、前記制動制御ワイヤが前記刈刃に向かって付勢されているので自動的にもとに戻り、前記刈刃の回転が前記刈刃制動装置によって制動される。
【0019】
なお、前記内燃機関の回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部に伝達するようにした作業機であれば、前記メインレバーの解放により前記遠心クラッチが遮断状態となって前記作業部への動力伝達が断たれるので、刈刃等の作業部が自動的に停止せしめられるが、前記刈刃制動装置を設けることにより、更に安全性が確保される。
このように一旦前記メインレバーを解放した後、再びそのメインレバーを前記グリップ部に近接するセット位置まで回動操作すると、前記スロットルケーブルの遊びが無くされ、前記位置調節機構に備えられるサブレバー等の操作部は以前の操作位置に保持されたままなので、前記スロットル弁が前記メインレバーが解放される前の開度に再び戻され、前記サブレバーの再調節は不要となる。
【0020】
このように、本発明の刈取作業機用ハンドレバー装置においては、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、装置の小型軽量化を効果的に図れて、作業性や操作性をより向上させることができる。しかも、一つのレバー操作によって、前記スロットル弁の開閉動作と、前記刈刃制動装置の動作を連動させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の一実施形態が採用された刈払機の一例を示している。図示例の刈払機1は、所定間隔をあけてグリップ部11、12が前後に並設された筒状のバーハンドル(操作桿)7の先端側に、刈刃13、刈刃制動装置8や安全カバー14等からなる作業部3が設けられ、後端側には、前記刈刃13を前記バーハンドル7に内挿されたドライブシャフト(図示省略)を介して駆動する動力源としての、リコイルスターター6や燃料タンク4が付設された内燃機関(小型空冷2サイクルガソリンエンジン)2が配備されており、この内燃機関2にスロットル弁CVを有する気化器(図示省略)や点火プラグ5が備えられている。前記刈刃制動装置8の構造は、例えば、特開昭52−81227号公報、実公昭53−42523号公報、実開昭57−173524号公報等に記載された周知の装置と同様のものでよいので、従って、その構成の詳細な説明は省略する。
【0022】
本実施形態では、前記スロットル弁CVが、常時最小(アイドル回転)開度方向に付勢されていて、それに接続されている後述のスロットル(インナー)ケーブル17(図5)が、非操作状態から所定長以上引っ張られたときに遊びが無くされて、前記最小開度から開き始めるようにされている。
そして、前記グリップ11、12のうちの、通常は右手で握る後側のグリップ部11近傍に、前記スロットル弁CVの開度を調整すべく、本実施形態の刈取作業機用ハンドレバー装置10が取り付けられている。
【0023】
前記ハンドレバー装置10は、図2〜図4にその外観が示されている如くに、前記ハンドル7の前記後グリップ部11近傍に外嵌固定されたケース部材20を有し、該ケース部材20に、前記スロットル弁CVに連結されたボーデンケーブル15のアウターチューブ16に挿通された前記スロットルケーブル17、及び、前記刈刃制動装置8を解除するための、前記バーハンドルに沿って前方へ延設せしめられたワイヤ9を引っ張るメインレバー30が回動可能に保持されている。前記刈刃制動装置8は、例えば、前記刈刃13の上面に対して常時押圧付勢された摩擦部材(図示せず)を有し、前記ワイヤ9は前記摩擦部材と前記メインレバー30との間に、ほぼ遊びのない状態で介装されている。
前記ケース部材20は、図6及び図7を参照すればよくわかるように、合成樹脂製の右側カバーケース21、中間カバーケース22、及び左側カバーケース23からなる三分割構造となっている。
【0024】
前記右側カバーケース21及び前記左側カバーケース23は、それぞれ概略角皿状の外観を有しており、それらには、図2とそのX−X矢視断面を示す図10を参照すればよくわかるように、それぞれ上下二箇所ずつ計四箇所に螺子穴21a、21a、21b、21b及び挿通穴23a、23a、23b、23bが設けられており、上側に位置する前記螺子穴21a、21a及び前記挿通穴23a、23aにはそれぞれビス24、24が挿入螺合せしめられ、下側に位置する前記螺子穴21b、21b及び前記挿通穴23b、23bにはそれぞれビス25、25が挿入螺合せしめられている。
【0025】
これによって、前記右側カバーケース21と左側カバーケース23とは、間に前記中間カバーケース22を介在させた状態で、それらの前後端部に設けられている半円状断面の対接面部21A、21A、22A、22Aを前記ハンドル7の外周面に対接させて該ハンドル7を挟むように外嵌固定されている。
前記右側カバーケース21と前記左側カバーケース23との間に介在せしめられた中間カバーケース22は、図10に加えて前記左側カバーケース23を取り去った状態を示す図5及び単体を示す図9を参照すればよくわかるように、前記下側に位置する螺子穴21b、21bと前記挿通穴23b、23bとの間に位置せしめられて前記ビス25、25が挿通せしめられる挿通穴22b、22bが形成されるとともに、前記ハンドル7の右側外周面下部に対接せしめられる半円状断面の対接面部22Aを有し、該対接面部22Aの上部の前後両端付近には、前記右側カバーケース21の中央部の前後両端付近に設けられた螺子穴21c、21cに螺合せしめられる締結用のビス26、26が挿入される挿通穴22c、22cが形成されており、前記中間カバーケース22は、前記ビス26、26により前記右側カバーケース21に組み付け固定される。
【0026】
また、前記中間カバーケース22の前記対接面部22Aには、前記筒状のハンドル7の右側外周面中央部付近に設けられた、厚み方向に貫通していない円形の凹部9に嵌合せしめられる回り止め用の凸部29が突設されている。
前記ケース部材20に回動自在に保持された前記メインレバー30は、図5〜図8を参照すればよくわかるように、前記後グリップ部11の下端に設けられたレバー受け部11aに近接するように手指で回動操作される直線状の操作部31、支軸35に緩く外嵌された円筒部32、及び該円筒部32に基端側が連結され若干右側斜め上に捩じれるように曲げられた湾曲部33からなっており、前記支軸35の右端部は、前記右側カバーケース21の後端下側隅部付近に形成された挿入穴21dに圧入され、その左端部は前記中間カバーケース22に形成された挿入穴22dに圧入されるとともに、前記左側カバーケース23に形成された挿入穴23dに緩く通されている。
【0027】
ここでは、前記構成のメインレバー30により前記スロットルケーブル17が、操作(引張)量拡大機構40及び折返し部材とされる滑車45を介して引っ張り操作されるようになっている。
前記引張量拡大機構40は、図7及び図8を参照すればよくわかるように、前記右側カバーケース21の前端側下部に設けられた軸受穴部21gと中央部近くに設けられた軸支持部21f及び前記中間カバーケース22に設けられた軸支持部22fにその両端が支持された支軸42に回動自在に外嵌されたてこ41からなっており、このてこ41の長尺側半身41Aの先端部(左端部)に前記スロットルケーブル17の先端に取り付けられた端金具19が嵌め込まれて係止されている。前記てこ41の短尺側半身41B側、かつ、前方側には、前記ワイヤ9の先端に取付けられた端金具19を嵌め込んで係止するためのワイヤ取付部41Cが突設されている。
【0028】
なお、前記スロットルケーブル17が挿通せしめられているボーデンケーブル15のアウターチューブ16の先端は、前記中間カバーケース22に設けられた係止部22iで係止され、前記スロットルケーブル17は前記係止部22iの前記に設けられたスリット22jから前記てこ41の長尺側半身41A側に引き出されてそれに連結されている。
また、前記てこ41の短尺側半身41Bの先端部(右端部)と前記メインレバー30の湾曲部33の先端円筒部33aには、それぞれ、折返し部材とされる滑車45に掛け回されて反転せしめられたケーブル18の両端に取り付けられた端金具19、19が嵌め込まれて係止されている。
【0029】
かかる構成においては、図8を参照すれば、よくわかるように、前記メインレバー30(の操作部31)を前記後グリップ部11に近接する方向に回動操作すると、前記てこ41の前記短尺側半身41B及び前記ワイヤ取付部41Cが、前記ケーブル18を介して後方に向けて引っ張られ、前記てこ41は平面視で時計回りの方向に回転する。それに伴い、前記てこ41の前記長尺側半身41Aにより前記スロットルケーブル17が前方側に引っ張られて引き出される。この場合、前記てこ41のレバー比により、前記メインレバー30による前記スロットルケーブル17の引張量が拡大される。また、これにより、前記ワイヤ9が後方側に引っ張られて引き出され、前記制動装置8がその付勢力に抗して作動位置から非作動位置に移動される。
【0030】
また、本実施形態においては、前記滑車45を前記スロットルケーブル17を引っ張る方向(後方)に強制的に移動させて任意の位置にて不動状態で保持する位置調節機構50が付設されている。
【0031】
この位置調節機構50は、図4〜図7を参照すればよくわかるように、前記滑車45を収納する収納部64を持つ回動軸60と、この回動軸60の右端部に設けられたセレーション軸部62に嵌合するセレーション部52が設けられて前記回動軸60の右端部にビス55で固定されたサブレバー51と、を有している。前記回動軸60の左端部は、前記中間カバーケース22に右側部に設けられた軸受部22eに軸支され、その右端部は前記右側カバーケース21に設けられた軸受部21eに軸支されており、前記収納部64内には前記滑車45がビン46により回転自在に支持されている。ここでは、前記サブレバー51の回動軸線O(回動軸60の中心軸線)に対して前記滑車45を支持する前記ピン46の中心軸線O’が、上方へ所定の距離Eだけ外れた位置に偏心配置されており、前記サブレバー51を後方側に向けて回動させると、前記滑車45が前記スロットルケーブル17を引っ張る方向(後方)に移動せしめられる。
【0032】
前記サブレバー51の上部には、下面が開口した筒状の押ボタン53が上下方向に摺動自在に嵌挿されており、この押ボタン53内には、コイルスプリング56により常時下方に付勢されている有底スリーブ57がその底部を下方に突出させて前記右側カバーケース21の右肩部に当接させた状態で前後方向に摺動自在に嵌挿されている。
また、前記押ボタン53の下端部左側には、鋸歯状の可動側歯部58が上向きに設けられ、前記右側カバーケース21の上部には、図3及び図4を参照すればよくわかるように、前記可動側歯部58が噛合する鋸歯状の固定側歯部28が下向にかつ前後方向に、前記サブレバー51の回動軸線Oを中心とする円弧を描くように設けられている。
【0033】
かかる構成の位置調節機構50においては、前記押ボタン53を押圧すると、前記可動側歯部58と固定側歯部28との噛合状態が解かれ、このまま前記押ボタン53を後方側の任意の位置まで引くと、前記サブレバー51が後方側に揺動し、それに伴い、前記滑車45が前記スロットルケーブル17を引っ張る方向(後方)に移動せしめられ、この状態で、前記押ボタン53の押圧を解除すると、前記可動側歯部58と前記固定側歯部28とが再び噛合し、前記サブレバー51及び前記滑車45がそのときの回動操作位置にて保持される。
【0034】
また、前記右側カバーケース21と左側カバーケース23の上面中央部に形成された短形切欠部21k、23kには、前記内燃機関2の点火プラグ5への通電を遮断して前記機関2を停止させるためのスライド式停止スイッチ67がそれらに挟まれるようにして取り付けられている。
このような構成とされた本実施形態のハンドレバー装置10を前記ハンドル7に取り付けるにあたっては、前記右側カバーケース21と中間カバーケース22とで、前記メインレバー30、引張量拡大機構40、滑車45、及び位置調節機構50等の可動機構部材を収納組み付けするとともに、前記右側カバーケース21に前記中間カバーケース22を二本のビス26を用いて組み付ける(図5、図10、図11参照)。
【0035】
次に、前記メインレバー30、引張量拡大機構40、滑車45、及び位置調節機構50等の可動機構部材を収納保持した前記右側カバーケース21及び中間カバーケース22よりなる部組み体と前記左側カバーケース23とで前記ハンドル7を挟むように閉じ合わせる。この際、前記ハンドル7に設けられた前記凹部9に、前記中間カバーケース22に設けられた前記凸部29を嵌合させて位置決めを行い、しかる後、前記右側カバーケース21及び中間カバーケース22と前記左側カバーケース23とを四本のボルト24、25で締結する。
これにより、ケース部材20を構成する右側カバーケース21、中間カバーケース22、及び左側カバーケース23がハンドル7の所定位置に外嵌固定される。
【0036】
このようにして、ハンドル7に取り付けられた本実施形態のハンドレバー装置10は、右側カバーケース21とそれに組み付けられた中間カバーケース22から左側カバーケース23を取り外すことにより、前記ハンドル7に対する前記ケース部材20の外嵌固定状態が解かれる。
前記のようにしてケース部材20の外嵌固定状態が解かれてハンドル7からケース部材20を構成する右側カバーケース21、中間カバーケース22、及び左側カバーケース23が分離・離脱せしめられているとき、言い換えれば、当該ハンドレバー装置10のハンドル7への組み付け前や保守点検整備時等においては、図11に示される如くに、前記右側カバーケース21及び中間カバーケース22のみで前記メインレバー30、前記引張量拡大機構40、前記滑車45、及び前記位置調節機構50等の可動機構部材が、組み付け状態に保持される。
【0037】
このため、本実施形態のハンドレバー装置10においては、前記可動機構部材をケース部材(の片方)に適正に保持しておくことが難しい従来の二つ割り構造のハンドレバー装置に比して、ハンドルへの組み付け作業や保守点検整備作業が極めて容易となる。
また、前記ハンドル7に凹部9が、また、前記中間カバーケース22に前記凹部9に嵌合する凸部29が設けられ、それら凹部9と凸部29とを嵌合させた状態でハンドル7にケース部材20を外嵌固定することにより、前記凹部9と凸部29の嵌合作用によってケース部材20のハンドル周りの回転が阻止されるとともに長手方向の移動も阻止される。
【0038】
このため、常時安定した操作性が得られるとともに、スロットルケーブル17の先端位置のずれも生じず、メインレバー30や位置調節機構50の操作量に対して前記ケーブル17の引っ張り量が一定となり、スロットル弁CVの開度等が正確をものとなる。
前述の如くの構成された本実施形態のハンドレバー装置10においては、メインレバー30がハンドル7の後グリップ部11に近接するセット位置まで回動操作されると、スロットルケーブル17がてこ41が用いられた引張量拡大機構40及び折返し部材とされる滑車45を介して所定長引っ張られて前記遊びが無くされる。
【0039】
この場合、前記メインレバー30による前記ケーブル17の引張量(変位量)は、引張量拡大機構40により拡大されるので、ケーブル17を必要量分引っ張るに要する、前記メインレバー30の回動操作角度αは従来のものに比して小さくて済む。そのため、前記ハンドル7の後グリップ部11と前記メインレバー30との間に必要とされる回動用スペースを小さくすることが可能となり、その結果、装置の小型軽量化が図られ、作業性や操作性も向上する。
【0040】
次いで、前記メインレバー30を前記セット位置に保持したまま、前記位置調節機構50に備えられる押ボタン53を押圧して前記サブレバー51を後方側の所望の位置まで操作すると、前記滑車45が前記スロットルケーブル17を引っ張る方向に強制的に移動せしめられ、それにより前記スロットルケーブル17が前記引張量拡大機構40及び滑車45を介してさらに引っ張られ、前記スロットル弁CVが最小開度(アイドル開度)から開方向に移動せしめられてその開度が調節される。
【0041】
この場合、前記スロットルケーブル17は滑車45に掛け回された状態で該滑車45により引っ張られるので、前記滑車45の移動量の二倍の長さ分が引っ張られる。このため、スロットル弁CVの開度に調節するのに要する前記位置調節機構50のサブレバー51等の操作量、つまり、前記滑車45の移動量は小さくて済み、この点からも装置の小型軽量化が図られる。
ここで前記サブレバー51を解放しても、該サブレバー51は可動側歯部58と固定側歯部28との噛合によりそのままそのときの操作位置にて不動状態で保持され、前記スロットル弁CVはその調節開度(設定開度)で保持される。これにより、手指の負担が軽減される。
【0042】
前記のようにしてスロットル弁CVの開度を調節した状態で、例えば不測の事態が生じる等して直ちに機関10の回転数を大幅に低下させたいときには、前記メインレバー30を解放する。それにより、前記スロットルケーブル17は常時スロットル弁CV閉方向に付勢されているので、前記メインレバー30及び引張量拡大機構40のてこ41が前記とは逆方向に引っ張られて元の位置に戻り、前記スロットルケーブル17が前記非操作状態に戻されて前記スロットル弁CVが前記アイドル回転開度に戻り、機関10はアイドリング状態となる。また、前記メインレバー30が解放されると、前記ワイヤ9が緩められ、前記制動装置8が前記刈刃13に対する付勢力によって、前記非作動位置から前記作動位置に戻され、それにより、前記ワイヤ9も前方側に引き戻される。
【0043】
ここで、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部3に伝達するようにした作業機1であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって前記作業部への動力伝達が断たれるので、刈刃13等よりなる作業部3が直ちに停止せしめられる。
【0044】
このように一旦前記メインレバー30を解放した後、再びそのメインレバー30を前記後グリップ部11に近接するセット位置まで回動操作すると、前記スロットルケーブル17の遊びが無くされ、前記位置調節機構50に備えられるサブレバー51は先の操作位置に保持されたままなので、前記スロットル弁CVが前記メインレバー30が解放される前の開度に再び戻され、前記サブレバー51の再調節は不要となる。
【0045】
このように、本実施形態のハンドレバー装置10においては、被駆動部材としてのスロットル弁CVの開度をケーブル17を介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁CVをアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、装置の小型軽量化を効果的に図れて、作業性や操作性をより向上させることができる。
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができるものである。
【0046】
例えば、前記操作量拡大機構としては、前記のようにてこ41を用いたものの他、例えば、図12に示される如くに、操作部71及び支軸35に外嵌された円筒部72を持つメインレバー70の前記円筒部72に径大な第1の扇形歯車73を設けるとともに、前記第1の扇形歯車73に噛合するように径小な第2の扇形歯車77を支軸75で支持して配置し、前記第2の扇形歯車77に引っ張りレバー78を一体に連結し、この引っ張りレバー78の先端部にスロットルケーブル17の先端を連結して、前記スロットルケーブル17をガイド部材79及び滑車45を介して前記引っ張りレバー78で引っ張るような構成のものでもよく、この場合は、前記扇形歯車73、77や引っ張りレバー78が、前記メインレバー70による前記スロットルケーブル17の引張量を拡大する機能を持つ。
【0047】
また、ハンドレバー装置10を内燃機関2のスロットル弁CVの開度を調整するために使用しているが、本発明のハンドレバー装置はスロットル弁CVの開度調整以外の用途にも利用できることはいうまでもない。
さらに、ハンドレバー装置10は、前記バーハンドル7だけでなくU形ハンドルにもそのまま取り付けて使用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の刈取作業機用ハンドレバー装置によれば、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、装置の小型軽量化を効果的に図れて、作業性や操作性をより向上させることができ、更に、一つのレバー操作によって、刈刃用制動装置の作動を連動させることのできるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の一実施形態が採用された刈払機の一例を示す傾斜図。
【図2】本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の一実施形態を示す左側面図。
【図3】本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の一実施形態を示す平面図。
【図4】本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の一実施形態を示す右側面図。
【図5】図2に示される刈取作業機用ハンドレバー装置の左側カバーケースを取り去った状態を拡大して示す切欠左側面図。
【図6】図5のVI−VI矢視断面図。
【図7】図5のVII−VII矢視断面図。
【図8】図2に示される刈取作業機用ハンドレバー装置の操作(引張)量拡大機構とそれに関連する部分を示す概略斜視図。
【図9】図2に示される刈取作業機用ハンドレバー装置の中間カバーケースを示す斜視図。
【図10】図2のX−X矢視拡大断面図。
【図11】図6に示されるハンドレバー装置において、右側カバーケース及び中間カバーケースと左側カバーケースとをハンドルから取り外した状態を示す断面図。
【図12】本発明に係る刈取作業機用ハンドレバー装置の他の実施形態を示す部分切欠左側面図。
【符号の説明】
8 制動装置
9 ワイヤ
10 刈取作業機用ハンドレバー装置
17 ケーブル
30 メインレバー
40 操作(引張)量拡大機構
41 てこ
41C ワイヤ取付部
45 折返し部材(滑車)
50 位置調節機構
51 サブレバー
73,77 扇形歯車
CV 被駆動部材(スロットル弁)
O サブレバーの回動軸線

Claims (8)

  1. 回動操作されるメインレバー(30)を有し、該メインレバー(30)により被駆動部材(CV)に連結されたケーブル(17)を操作するようにされた刈取作業機用ハンドレバー装置(10)において、前記メインレバー(30)と前記ケーブル(17)との間に、前記メインレバー(30)による前記ケーブル(17)の操作量を拡大する操作量拡大機構(40)が介装され、該操作量拡大機構(40)に、刈刃制動装置(8)を制御するワイヤ(9)を取り付けるためのワイヤ取付部(41C)が設けられていることを特徴とする刈取作業機用ハンドレバー装置。
  2. 回動操作されるメインレバー(30)を有し、該メインレバー(30)により被駆動部材(CV)に連結されたケーブル(17)を折返し部材(45)を介して操作するようにされた刈取作業機用ハンドレバー装置において、前記メインレバー(30)と前記ケーブル(17)との間に、前記メインレバー(30)による前記ケーブル(17)の操作量を拡大する操作量拡大機構(40)が介装され、該操作量拡大機構(40)に、刈刃制動装置(8)を制御するワイヤ(9)を取り付けるためのワイヤ取付部(41C)が設けられるとともに、前記折返し部材(45)を移動させて任意の位置に保持する位置調節機構(50)が設けられていることを特徴とする刈取作業機用ハンドレバー装置。
  3. 前記操作量拡大機構(40)がてこ(41)を有し、該てこ(41)に前記ワイヤ取付部(41C)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刈取作業機用ハンドレバー装置。
  4. 前記操作量拡大機構(40)が歯車(73)、(77)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の刈取作業機用ハンドレバー装置。
  5. 前記位置調節機構(50)は、サブレバー(51)を備え、前記折返し部材(45)は、前記サブレバー(51)における回動軸線(O)から外れた位置に取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の刈取作業機用ハンドレバー装置。
  6. 前記サブレバー(51)が、任意の操作位置にて不動状態で保持されるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の刈取作業機用ハンドレバー装置。
  7. 前記折返し部材が滑車(45)である請求項2、5又は6に記載の刈取作業機用ハンドレバー装置。
  8. 前記被駆動部材が内燃機関(2)のスロットル弁(CV)であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の刈取作業機用ハンドレバー装置。
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