JP3946382B2 - ハンドレバー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のスロットル弁等の被駆動部材をケーブルを介して操作するためのハンドレバー装置に係り、特に、ヘッジトリマーや刈払機等の作業機におけるハンドルのグリップ部近傍に配設されて、スロットルケーブルを介して前記スロットル弁を開閉操作するのに好適なハンドレバー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、内燃機関により刈刃等の作業部を駆動するようにされているヘッジトリマーや刈払機等の作業機においては、前記内燃機関の出力を手元で調節するため、それに備えられているU形ハンドルやバーハンドル等のグリップ部近傍に、前記内燃機関のスロットル弁の開度を調節するハンドレバー装置が配設されている。
【0003】
このハンドレバー装置は、通常、作業者の手指で操作されるスロットルトリガ(スロットルレバー)を備えており、このスロットルレバーを揺動操作することによりスロットルケーブルを介して前記スロットル弁の開度を調節するようにされている。前記スロットル弁は、通常、常時最小開度(アイドル回転開度)方向に付勢されていて、前記スロットルレバーの非操作状態ではアイドル回転開度で保持され、前記スロットルケーブルが所定長以上引っ張られたときに遊びが無くされて前記アイドル回転開度から高速回転側へ開き始めるようにされる。
【0004】
このようなスロットル弁の開度調節用のハンドレバー装置としては、前記スロットルレバーを回動操作状態から解放したときに、該レバーを自動的に前記スロットル弁と共に元の位置(アイドル回転開度)に戻すようにした、自動アイドル回転開度復帰タイプのものと、手指を離してもスロットルレバーを所望の回動操作位置にて常時不動状態で保持し得るようにした、固定タイプのものとが知られている(実公昭57−19944号公報等を参照)。
【0005】
前記自動復帰タイプのものは、スロットルレバーから指を離せば機関が自動的にアイドリング状態に戻り、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部に伝達するようにした作業機であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって作業部への動力伝達が断たれるので、不測の事態が生じた際には即座にスロットル弁をアイドル回転開度に戻して作業部を停止させることができ、安全性が高められるという利点が得られる反面、スロットルレバーを常時手指で保持して所望の回動操作位置に維持しなければならないので、中間開度が使いづらい、手指が疲れる、操作量(回転数)が一定しない、等の問題が生じる。
【0006】
一般に、使い勝手を考慮すると、スロットルレバー等の、手指によって操作される回動操作レバーは、中間開度をとらせることなく解放位置とセット位置(握り位置)との二位置のみをとらせるようになすことが望ましく、スロットル弁を中間開度(パーシャル開度)にするときも、全開(WOT)にするときも、同一の回動操作位置(セット位置)とする方が操作性に優れると考えられる。
【0007】
一方、前記固定タイプのものは、前記自動アイドル回転開度復帰タイプの問題を解消し得、スロットルレバーを常時所望の回動操作位置に手離しでも不動状態に保持しておくことができるので、手指が自由になって作業を楽に行える等の利点は得られるものの、不測の事態が生じた際には、スロットルレバーの位置保持機能を解除する別操作が必要となり、即座に作業部を停止させることができないので、安全性の面では前記自動アイドル回転開度復帰タイプのものより劣るという問題があった。
【0008】
また、前記したいずれのタイプも、スロットルレバーを一旦解放して作業を中断した後、作業を再開すべくスロットル弁を先の開度に戻す(刈払機等の作業機ではこのようなことが多い)には、スロットルレバーの回動操作位置を再調整しなければならず、操作が面倒である等、操作性の面でも改善の余地が残されていた。
【0009】
前記のようなハンドレバー装置に関する従来の問題及び課題を解消ないし達成すべく、本発明の出願人は、先に、例えば、特開平8−303262号公報に所載のように、回動操作されるメインレバーとサブレバーとを有し、被駆動部材に連結されたケーブルを動滑車等の折返し部材を介して前記サブレバーで引っ張るようにされ、かつ、前記メインレバーにより前記折返し部材を移動させるようにしたハンドレバー装置を提案している。
【0010】
かかるハンドレバー装置によれば、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度を、ケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁を、アイドル回転開度に戻す前の開度に再設定したい場合にも再調節を不要にできる等、の利点が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案のハンドレバー装置においては、前記メインレバーが回動操作されていない解放位置にあるとき(アイドリング時)には、スロットルケーブルに弛み(遊び)が生じているので、サブレバーを回動操作すると、スロットルケーブルが僅かではあるが動き、それに伴い、被駆動部材であるスロットル弁の開度が変化してアイドル回転数が変動するという問題があった。かかるアイドル回転数の変動は、作業上は、殆ど問題とはならないが、ハンドレバー装置の信頼性、商品価値を下げるおそれがあり、改善することが望まれる。
また、前記提案のハンドレバー装置では、前記問題に加えて、ケーブルに弛みが生じることから、ケーブルが連結部や折り返し部材から外れやすくなる、ケーブルが二本必要となる、組み付け性が悪い、といった問題もあった。
【0012】
本発明は、前記した如くの問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるようにせしめるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらに、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に再設定したい場合にも再調節を不要にでき、しかも、アイドリング時にサブレバーを回動操作しても、ケーブルに不所望な動きが生じないようにされるとともに、組み付け性の向上等を図ることができるようにされた、ハンドレバー装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るハンドレバー装置は、基本的には、回動操作されるメインレバーと、第一回動軸線を支点として回動操作されるとともに任意の回動操作位置にて不動状態で保持されるサブレバーと、このサブレバーと一体に回動せしめられる一体回動部上に配在された第二回動軸線を中心として回動せしめられる引張レバーと、を備え、被駆動部材を制御するためのケーブルが前記引張レバーに連結されていて、前記メインレバーにより前記引張レバーを前記第二回動軸線を中心として回動させることによって前記ケーブルを引っ張るようにされてなり、前記メインレバーが回動操作されていない解放位置にあるときには、前記サブレバーの回動操作位置が何処であっても、前記引張レバーと前記ケーブルとの結合点の位置が、前記第一回動軸線上に設定されていることを特徴としている。
【0014】
本発明の好ましい態様では、左側カバーケースと右側カバーケースとからなる二分割構成のケース部材を有し、前記左側カバーケースと右側カバーケースの一方側に偏って前記メインレバー、前記サブレバー、及び前記引張レバーが配置され、他方側には、前記メインレバーを前記解放位置にてロックするロック機構が配置される。
【0015】
本発明に係るハンドレバー装置の典型的な、しかし限定的ではない用途としては、内燃機関のスロットル弁の開度調節に使用する場合が挙げられる。
前記の如くの構成とされた本発明に係るハンドレバー装置の好ましい態様においては、前記メインレバーが解放位置にあるとき(アイドリング時)においても、被駆動部材(スロットル弁)を制御するケーブルに弛み(遊び)が生じないように予めケーブル長等が設定されており、前記メインレバーをセット位置まで回動操作すると、前記ケーブルが引っ張られ、それに伴い、前記スロットル弁が最小開度(アイドル開度)から開方向に回動せしめられて、前記サブレバーの回動操作位置に応じた開度に調節される。
【0016】
ここで、本発明のハンドレバー装置では、前記メインレバーが解放位置にあるとき(アイドリング時)における前記引張レバーと前記ケーブルとの結合点の位置が、前記サブレバーの回動支点である第一回動軸線上に設定され、前記サブレバーの回動操作位置が高速側乃至低速側の何処であっても、前記引張レバーと前記ケーブルとの結合点の位置が一定となるようにされるので、アイドリング時に、前記サブレバーを回動操作しても、前記ケーブルは動かず、したがって、スロットル弁もアイドル回転開度を保持したままとなるので、アイドル回転数が変動せず安定したものとなり、また、前記ケーブルに弛みを生じさせないことから、ケーブルが連結部等から外れ難くなり、その結果、作動の信頼性が増し、商品価値が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るハンドレバー装置の第一実施形態が採用された刈払機の一例を示している。図示例の刈払機1は、所定間隔をあけてグリップ部11,12が並設された筒状のバーハンドル(操作桿)7の先端側に刈刃13や安全カバー14等からなる作業部3が設けられ、後端側には、前記刈刃13を前記バーハンドル7に内挿されたドライブシャフト8(図2〜図8参照)を介して駆動する動力源としての、リコイルスターター6や燃料タンク4が付設された内燃機関(小型空冷2サイクルガソリンエンジン)2が配備されており、この内燃機関2にスロットル弁CVを有する気化器や点火プラグ5が備えられている。
【0018】
本実施形態では、前記スロットル弁CVは、常時最小(アイドル回転)開度方向に付勢されていて、それに接続されている後述のスロットル(インナー)ケーブル16(図3〜図8))は、前述した従来のもののような弛み(遊び)は生じておらず、非操作状態(図6、図8)から引っ張られたときには、直ちに前記最小開度から開き始めるようにされている。
そして、前記グリップ部11,12のうちの、通常は右手で握る後側のグリップ部11近傍に、前記スロットル弁CVの開度を調整すべく、本実施形態のハンドレバー装置10Aが取り付けられている。
【0019】
前記ハンドレバー装置10Aは、図2にその上面外観が示されている如くに、前記バーハンドル7の前記後グリップ部11近傍に外嵌固定されたケース部材20を有し、該ケース部材20に、前記スロットル弁CVに連結されたボーデンケーブル15のアウターチューブ17に挿通された前記スロットルケーブル16を引っ張るための、後述するメインレバー30、サブレバー50、引張レバー40、ロック機構を構成するロックレバー80等が回動可能に配設されている(図3〜図8参照)。
前記ケース部材20は、合成樹脂製の後方から見て左側に位置する左側カバーケース21と、後方から見て右側に位置する右側カバーケース22と、からなる二分割構造となっている。
【0020】
前記左側カバーケース21及び前記右側カバーケース22は、それぞれ深さの異なる概略角皿状の外観を有しており、それらは、それぞれ上下二箇所に挿入螺合せしめられたビス23、24により、前記バーハンドル7を挟むように外嵌固定されており、前記メインレバー30、前記サブレバー50、及び前記引張レバー40は、前記両ケース21、22のうちの前記右側カバーケース22側に偏って配設され、前記左側カバーケース21側には、前記ロックレバー80が配設されている。
【0021】
前記ケース部材20に回動自在に保持された前記メインレバー30は、合成樹脂製とされ、図3〜図6を参照すればよくわかるように、前記後グリップ部11の下面に近接するように手指で回動操作されるヘの字状の操作部32と、前記右側カバーケース22に突設された第一のピン状支軸33Aに緩く外嵌されたボス部31と、を有し、該ボス部31の一端側(前記右側カバーケース22側)の斜め上部には歯車部36が形成されている。前記ボス部31の他端側(前記左側カバーケース21側)には、前記左側カバーケース21側に軸支される第二のピン状支軸33Bが突設されている。また、前記メインレバー30には、それを常時前記後グリップ部11から遠ざける方向(解放方向)に付勢するねじりコイルばね35が外装されている。前記ねじりコイルばね35の一端部35aは、前記ケース部材20内の係止部34に係止され、他端部35bは、前記ボス部31の切欠部32aに係止されている。
【0022】
前記メインレバー30に形成された前記歯車部36には、前記右側カバーケース22に突設された第三のピン状支軸39Aに緩く外嵌された概略C字状の押動レバー37の下端ボス部37Aに設けられた歯車部38が噛合せしめられており、前記メインレバー30(の操作部32)を図6に示される如くの解放位置Fから、図7に示される如くの前記後グリップ部11に近接するセット位置Sまで回動操作すると、前記押動レバー37は、前記第三のピン状支軸39A、を中心として時計回りに回転する。また、前記押動レバー37の前記下端ボス部37Aには、前記ロックレバー80の係止部82とその先端係合部92とが接当することにより係止される、概略コ字状のストッパ片90が一体回動可能に外嵌固定されている。
【0023】
前記右側カバーケース22における後方から見て右側面外周には、前記サブレバー50が配設されている。該サブレバー50には、前記右側カバーケース22に形成された軸受穴26に軸支された一体回動部60がビス53により一体回動可能に連結されており、前記サブレバー50は、第一回動軸線Oa(前記ビス53の中心軸線)を支点にして回動操作されるようになっている。また、前記サブレバー50と前記右側カバーケース22との間には、該サブレバー50を任意の回動操作位置にて不動状態で保持するためのウエーブワッシャ55が介装されている。該ウエーブワッシャ55は、前記ビス53の締め付け力により、前記サブレバー50と前記右側カバーケース22に圧接せしめられ、それらの間の摩擦抵抗により、前記サブレバー50を任意の回動操作位置で保持するようになっている。
【0024】
前記一体回動部60には、L字状断面(図4参照)を有する前記引張レバー40が、ビス45及びスリーブ46を介して回動自在に保持されている。前記ビス45及び前記スリーブ46は、前記引張レバー40の縦辺部42の略中央部に挿入されており、前記引張レバー40は、前記ビス45及び前記スリーブ46の中心線である第二回動軸線Obを支点にして回動せしめられるようになっている。
【0025】
前記引張レバー40の前記底辺部41には、前記スロットルケーブル16の先端に取り付けられた端金具16aが装着係止されている。前記スロットルケーブル16が挿通せしめられている前記ボーデンケーブル15の前記アウターチューブ17の先端は、前記後グリップ部11に設けられた係止部18(図5)で係止され、前記スロットルケーブル16は、前記係止部18から真っ直ぐに伸ばされて前記引張レバー40の前記底辺部41に連結されている。ここでは、前記メインレバー30が解放位置Fにあるアイドリング時においては、前記引張レバー40と前記ケーブル16との結合点Kの位置が、前記第一回動軸線Oa上となるように、前記ケーブル16長等が設定されている。
また、前記引張レバー40の前記縦辺部42の上部には、前記押動レバー37の先端部37Bにより押動されるように、ピンボス44が前記右側カバーケース22側に向けて突設されている。
【0026】
前記左側カバーケース21側に配置されている前記ロックレバー80は、前記後グリップ部11の上面に近接するように前記グリップ部11を握った手の平で時計回り方向に回動操作される直線状に外部へ延出する操作部81と、前記左側カバーケース21に突設された第四のピン状支軸83Aに緩く外嵌されるとともに、その一端85aが受けピン部84に当接されたねじりコイルばね85により反時計回り方向に不勢された前記係止部82と、を有し、前記メインレバー30及び前記ロックレバー80が共に図6に示される如くの解放位置Fにあるとき、前記係止部82の先端部が、前記メインレバー30及び前記引張レバー40と一体的に回動せしめられる前記ストッパ片90の前記先端係合部92に当接して、それらの不測の回動を阻止するようになっている。
また、前記左側カバーケース21と前記右側カバーケース22の上面部間には、前記内燃機関2の前記点火プラグ5への通電を遮断して前記機関2を停止させるための押しボタン式の停止スイッチ67が設けられている。
【0027】
このような構成とされた本実施形態のハンドレバー装置10Aにおいては、前記メインレバー30が図6及び図8に示される如くに解放位置Fにあるとき(アイドリング時)においても、スロットル弁CVを制御するスロットルケーブル16に弛み(遊び)が生じないように予めケーブル長等が設定され、前記引張レバー40と前記ケーブル16との結合点Kの位置が、前記サブレバー50の回動支点である第一回動軸線Oa上に設定され、前記サブレバー50の回動操作位置が低速側L(図6)乃至高速側H(図8)の何処であっても、前記結合点Kの位置が一定(不動)となるようにされるので、前記メインレバー30が解放位置Fにあるアイドリング時に、前記サブレバー50を回動操作しても、前記ケーブル16は動かず、したがって、前記スロットル弁CVもアイドル回転開度を保持したままとなるので、アイドル回転数が変動せず安定したものとなり、また、前記ケーブル16に弛みを生じさせないことから、前記ケーブル16が連結部等から外れ難くなり、その結果、作動の信頼性が増し、商品価値も向上する。
【0028】
一方、図7に示される如くに、前記サブレバー50が高速位置Hにあるとき、前記後グリップ部11を握って前記ロックレバー80及び前記メインレバー30を前記後グリップ部11に近接するセット位置Sまで回動操作すると、前記押動レバー37により前記引張レバー40の前記ピンボス部44が時計回りに押動され、これによって、前記引張レバー40と前記ケーブル16との前記結合点Kの位置が、前記第一回動軸線Oa上から前方に移動し、前記ケーブル16が引っ張られて、前記スロットル弁CVが最小開度(アイドル開度)から開方向に回動せしめられて、前記サブレバー50の回動操作位置に応じた開度に調節される。
【0029】
さらに、前記スロットル弁CVの開度を調節した状態で、例えば不測の事態が生じる等して直ちに前記機関2の回転数を大幅に低下させたいときには、前記メインレバー30を解放する。それにより、前記スロットルケーブル16は常時前記スロットル弁CVの閉方向に付勢されているので、前記引張レバー40が前記とは逆方向(反時計回り)に回動せしめられ、前記引張レバー40と前記ケーブル16との結合点Kが前記第一回動軸線Oa上の位置迄戻され、前記ケーブル16が前記非操作状態となり、前記スロットル弁CVが前記アイドル回転開度に戻り、前記機関2はアイドリング状態となる。
【0030】
ここで、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部3に伝達するようにした作業機1であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって前記作業部3への動力伝達が断たれるので、刈刃等の作動が直ちに停止せしめられる。
このように一旦前記メインレバー30を解放した後、再びそのメインレバー30を前記後グリップ部11に近接するセット位置Sまで回動操作すると、前記サブレバー50は先の操作位置に保持されたままなので、前記スロットル弁CVが前記メインレバー30が解放される前の開度に再び戻され、前記サブレバー50の再調節は不要となる。
【0031】
したがって、本実施形態のハンドレバー装置10においては、被駆動部材としてのスロットル弁CVの開度をケーブル16を介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁CVをアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にできる。
【0032】
図9〜図12は、本発明に係るハンドレバー装置の第二実施形態を示している。本実施形態のハンドレバー装置10Bにおいて、前述した第一実施形態のハンドレバー装置10Aの各部と同一機能を有する部分には同一の符号を付してそれらの重複説明を省略し、以下においては相違点を重点的に説明する。この第二実施形態のハンドレバー装置10Bでは、スロットルケーブル16は、右側カバーケース22の前部に立設された支軸71に回転自在に支持されたプーリ70を介して折り返されて引張レバー40に連結されている。また、前記メインレバー30に一体に押動レバー37が設けられ、この押動レバー37により、前記引張レバー40のピンボス部44を、前記第一実施形態とは逆に、後方側から前方側へと反時計回りに押動するようになっている。
【0033】
かかる構成のハンドレバー装置10Bにおいても、前記メインレバー30が図10及び図12に示される如くに解放位置にあるとき(アイドリング時)において、スロットル弁CVを制御するスロットルケーブル16に弛み(遊び)が生じないように予めケーブル長等が設定され、前記引張レバー40と前記ケーブル16との結合点Kの位置が、前記サブレバー50の回動支点である第一回動軸線Oa上に設定され、前記サブレバー50の回動操作位置が高速側H(図10)乃至低速側L(図12)の何処であっても、前記結合点Kの位置が一定となるようにされるので、前記メインレバー30が解放位置Fにあるアイドリング時に、前記サブレバー50を回動操作しても、前記ケーブル16は動かず、したがって、前記スロットル弁CVもアイドル回転開度を保持したままとなるので、アイドル回転数が変動せず安定したものとなり、また、前記ケーブル16に弛みを生じさせないことから、前記ケーブル16が前記プーリ70や連結部等から外れ難くなり、その結果、作動の信頼性が増し、商品価値も向上する。
【0034】
図13〜図15は、本発明に係るハンドレバー装置の第三実施形態を示している。本実施形態のハンドレバー装置10Cにおいて、前述した第一及び第二実施形態のハンドレバー装置10A、10Bの各部と同一機能を有する部分には同一の符号を付してそれらの重複説明を省略し、以下においては相違点を重点的に説明する。この第三実施形態のハンドレバー装置10Cでは、第二回動軸線Obが長尺の一体回動部60及び引張レバー40の上端部付近に位置しており、前記引張レバー40の下端側にピンボス部44が突設されており、また、前記メインレバー30に一体に押動レバー37が設けられ、この押動レバー37により、前記引張レバー40の前記ピンボス部44を、後方側から前方側へと時計回りに押動するようになっている。
【0035】
かかる構成のハンドレバー装置10Cにおいても、前記メインレバー30が図13及び図15に示される如くに解放位置Fにあるとき(アイドリング時)において、スロットル弁CVを制御するスロットルケーブル16に弛み(遊び)が生じないように予めケーブル長等が設定され、前記引張レバー40と前記スロットルケーブル16との結合点Kの位置が、前記サブレバー50の回動支点である第一回動軸線Oa上に設定され、前記サブレバー50の回動操作位置が高速側H(図13)乃至低速側L(図15)の何処であっても、前記結合点Kの位置が一定となるようにされるので、前記メインレバー30が解放位置Fにあるアイドリング時に、前記サブレバー50を回動操作しても前記ケーブル16は動かず、したがって、前記スロットル弁CVもアイドル回転開度を保持したままとなるので、アイドル回転数が変動せず安定したものとなり、また、前記スロットルケーブル16に弛みを生じさせないことから、該スロットルケーブル16が連結部等から外れ難くなり、その結果、作動の信頼性が増し、商品価値も向上する。
【0036】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができるものである。
例えば、図示実施形態においては、ハンドレバー装置を内燃機関2のスロットル弁CVの開度を調整するために使用しているが、本発明のハンドレバー装置はスロットル弁CVの開度調整以外の用途にも利用できることはいうまでもない。さらに、ハンドレバー装置は、前記バーハンドル7だけでなくU形ハンドル等にもそのまま取り付けて使用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明のハンドレバー装置によれば、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、アイドリング時にサブレバーを回動操作しても、ケーブルに不所望な動きが生じないようにされるとともに、組み付け性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハンドレバー装置の第一実施形態が採用された刈払機の一例を示す斜視図。
【図2】第一実施形態のハンドレバー装置の平面図。
【図3】図2のIII−III矢視断面図。
【図4】図2のIV−IV矢視断面図。
【図5】図3のV−V矢視断面図。
【図6】第一実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが低速位置でアイドリング時の状態を示す一部切欠左側面図。
【図7】第一実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが高速位置で装置がセット状態にある時の一部切欠左側面図。
【図8】第一実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが高速位置でアイドリング時の状態を示す一部切欠左側面図。
【図9】本発明に係るハンドレバー装置の第二実施形態を示す図4に対応した縦断面図。
【図10】第二実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが高速位置でアイドリング時の状態を示す一部切欠左側面図。
【図11】第二実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが高速位置で装置がセット状態にある時の一部切欠左側面図。
【図12】第二実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが低速位置でアイドリング時の状態を示す一部切欠左側面図。
【図13】第二実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが高速位置でアイドリング時の状態を示す一部切欠左側面図。
【図14】第三実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが高速位置で装置がセット状態にある時の一部切欠左側面図。
【図15】第三実施形態のハンドレバー装置の動作説明に供される、左側カバーケースを取り去り、サブレバーが低速位置でアイドリング時の状態を示す一部切欠左側面図。
【符号の説明】
2 内燃機関
16 スロットルケーブル(ケーブル)
20 ケース部材
21 左側カバーケース
22 右側カバーケース
30 メインレバー
40 引張レバー
50 サブレバー
60 一体回動部
80 ロックレバー(ロック機構)
CV 被駆動部材(スロットル弁)
Oa 第一回動軸線
Ob 第二回動軸線
K 結合点
F 解放位置
Claims (3)
- 回動操作されるメインレバー(30)と、第一回動軸線(Oa)を支点として回動操作されるとともに任意の回動操作位置にて不動状態で保持されるサブレバー(50)と、このサブレバー(50)と一体に回動せしめられる一体回動部(60)上に配在された第二回動軸線(Ob)を中心として回動せしめられる引張レバー(40)と、を備え、被駆動部材(CV)を制御するためのケーブル(16)が前記引張レバー(40)に連結されていて、前記メインレバー(30)により前記引張レバー(40)を前記第二回動軸線(Ob)を中心として回動させることによって前記ケーブル(16)を引っ張るようにされてなり、前記メインレバー(30)が回動操作されていない解放位置(F)にあるときには、前記サブレバー(50)の回動操作位置が何処であっても、前記引張レバー(40)と前記ケーブル(16)との結合点(K)の位置が、前記第一回動軸線(Oa)上に設定されていることを特徴とするハンドレバー装置。
- 左側カバーケース(21)と右側カバーケース(22)とからなる二分割構成のケース部材(20)を有し、前記左側カバーケース(21)と前記右側カバーケース(22)の一方側に偏って前記メインレバー(30)、前記サブレバー(50)、及び前記引張レバー(40)が配置され、他方側には、前記メインレバー(30)を前記解放位置(F)にてロックするロック機構(80)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレバー装置。
- 前記被駆動部材が、内燃機関(2)のスロットル弁(CV)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドレバー装置。
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