JP3993434B2 - ネルボン酸誘導体、これらの調製、および使用 - Google Patents
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Description
本発明は、あるいくつかの脂肪酸エステルおよびこれらの調製、およびヒトを含む哺乳動物における薬剤、例えば抗炎症剤、または免疫調節剤におけるこのような化合物またはこれらの製薬配合物の使用に関する。
【0002】
脂肪酸には、グリセリド、例えばトリアシルグリセロールを構成するカルボン酸、植物および動物の脂肪貯蔵細胞に含まれているカルボン酸エステルが含まれることが一般に知られている。多くのこのような脂肪酸は、3から18個の炭素原子を有する(C3〜C18)直鎖化合物である。C3およびC5化合物を除いては、偶数の炭素原子を含む酸のみが、その生合成によってかなり多量に存在する。飽和および不飽和の両方の脂肪酸、例えば不飽和C18オレイン酸、α−リノール酸、およびγ−リノレン(GLA)脂肪酸であって、各々がそれぞれ1、2、および3個の炭素−炭素二重結合を有するものが存在する。したがって通常の表記法では、これらの酸を、それぞれ18:1、18:2、および18:3脂肪酸と言う。これらの二重結合の周りの立体配置は通常シスであり、これは対応脂肪の融点を(対応飽和およびトランス化合物と比べて)低下させる。
【0003】
これらの短鎖および中鎖脂肪酸のほかに、より長い鎖、例えばC16〜C24の脂肪酸も知られており、研究されている。特に魚油から入手しうるもの、例えばエイコサペンタエン酸(EPA、20:5(n−3))およびドコサヘキサエン酸(DHA、22:6(n−3))である。この場合(n−x)において、xは、脂肪酸上の末端メチル基に対する第一炭素−炭素二重結合の位置を示している。
【0004】
いくつかの脂肪酸は、その食事代謝およびその潜在的な食事への使用と同様に、医学的状態、例えば精神分裂病(GLAおよびDHA)および双極性障害(EPAおよびDHA)に関連して研究された。あるいくつかの脂肪酸に直接あるいは間接的に生物活性剤を結合させて、生物学的に活性な薬剤(「生物活性剤」)の脂質膜を横切る輸送を改良するために、同様にいくつかの脂肪酸も提案された。例えばPCT特許明細書第WO96/34846号において、必須脂肪酸(GLA、DHA、およびEPAが含まれる)のどれか、あるいは少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有するその他のあらゆるC12〜30脂肪酸も、そのように用いることができることが開示されている。その明細書に挙げられている広い範囲の可能性のある生物活性剤および(12〜30:≧2)脂肪酸のうちで、特にGLA−GLAが開示されており、これはプロパン−1,3−ジオール部分を介して結合された一対のGLA分子、すなわち1,3−(ジ−z,z,z,−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンである。しかしながらどの薬理学的テストにおける生物学的結果でも、これを下痢の証拠を伴なわずにラットおよびマウスに10g/kgまで投与されたという報告(すなわち治療効果の存在よりもむしろ毒性が無い)以外は、GLA−GLAに有利な証明がなされていない。
【0005】
それにもかからわらずGLA−GLAは、炎症性疾患の治療を含む、広い範囲の列挙された用途を有する1つの可能性のあるプロパン−1,3−ジオール化合物として挙げられている。しかしながら特に例4を参照して下記に報告されているように、本発明者らは、GLA:GLAが、抗炎症活性についての本発明者らのテストでは効果がないことを発見した。したがってプロパン−1,3−ジオール部分を介して結合された(12〜30:≧2)脂肪酸のその他の組合わせも、特にこのような作用が、関わっている脂肪酸部分の少なくとも1つに対して有利な証明がまだなされていない場合は、同様に抗炎症作用を示さないことが予測されるであろう。
【0006】
さらには脂肪酸のほかの種類、例えばただ1つの炭素−炭素二重結合を有するものの使用の可能性は、第WO96/34846号において考察されていない。脂肪酸のこのような1つの異なる種類はネルボン酸である。ネルボン酸(24:1(n−9))は、シス(またはz)−テトラコス−15−エン酸である。これは必須脂肪酸としては分類されておらず、ただ1つの不飽和C=C結合を有する。これはミエリンの生合成においてある役割を果たし、大脳スフィンゴ脂質における主要な脂肪酸の1つである。したがってネルボン酸は、髄鞘除去を含む疾患、例えばアデノロイコジストロフィー(ALD)および多発性硬化症(MS)に関係していた。したがって髄鞘除去状態を罹患している患者に、ネルボン酸またはその源を、その製薬配合物として投与すること(PCT公告明細書第WO91/07955号に記載されているように)、または例えば赤ちゃんまたは乳幼児の食品として、あるいは妊婦または授乳中の女性に食事サプリメントとして、ネルボン酸またはこれの機能的誘導体を供給すること(PCT公告明細書第GB95/01985号に記載されているように)が提案された。MSの正確な原因はまだ知られていないが、今や強力な証拠が示唆していることは、MSは、遺伝的に影響を受けやすい個人において、免疫細胞がミエリンを異質の侵入物と間違えてこれを攻撃する環境因子、おそらくは非特異的ウイルス感染によって引起こされた自己免疫プロセスの結果生じるということである。このプロセスは、CNSにおいて血管周囲の炎症を生じ、場合によってはミエリンのみならず、下部神経組織にも損傷を与える。しかしながらネルボン酸は、炎症または炎症性疾患に対して一般的な作用を有することは知られていない。
【0007】
ミエリンおよび神経組織への損傷の結果として、血液−大脳バリヤーが粉砕され、これによって、活性化されたT−細胞が大脳に入り、他のリンパ球を入れる。活性化されたT−細胞は、リンホトキシン、インターフェロンガンマ(IFN−γ)、およびその他の炎症性サイトカインを放出する。リンホトキシンは、寡突起神経膠細胞、およびIFN−γを損傷することがある。このことは、MS増悪を引き起こすことが証明されており、MSを悪化させると考えられているいくつかの方法において免疫系を刺激する。寡突起神経膠細胞は、ミエリン特異的タンパク質および脂質を合成し、これらの役割は、正常なミエリン鞘形成および正常な大脳機能のどちらにとっても決定的である。
【0008】
例えばIFN−γは、マクロファージ上の主要な組織適合性複合体(MHC)クラスII分子の発現を増加させ、星状細胞、小膠細胞、および内皮細胞上のこれらの発現を誘発する。これらのMHC分子に関連した抗原ミエリンペプチドは、T−細胞によって認識され、これらは抗原の提示に応えて増殖し、免疫応答を増幅させる。
【0009】
IFN−γによって活性化されたマクロファージもまた、腫瘍壊死因子(TNF)を放出する。これは、試験管内で寡突起神経膠細胞を損傷することが証明された。さらにはサイトカイン、プロテイナーゼ、およびリパーゼが分泌され、B−細胞は、抗体を合成するようにさせられる。この応答の結果、髄鞘除去およびグリオーシスを生じ、これによって神経インパルスが遅延化されるかまたは停止され、MSの症状を生じる。
【0010】
今や驚くべきことに、ネルボン酸のあるいくつかの誘導体が、抗炎症性および/または免疫調節活性を有することが発見された。さらにはこれらの誘導体のいくつかは、血液−大脳バリヤーを横切るネルボン酸の通過を補助する。
【0011】
したがって本発明は、式(I):
【化4】
(式中、Rは、水素(H)またはカルボン酸の残基である)の化合物、またはRがHである式(I)の化合物の塩を提供する。
【0012】
式(I)の定義にはまた、適用可能な場合は、個々の異性体およびこれらの混合物;およびこれらの誘導体(特に生物先駆物質またはプロドラッグ)が含まれる。
【0013】
「生物先駆物質」または「プロドラッグ」という用語は、生体内で本発明の化合物に転換される、薬理学的に許容しうる誘導体、例えばエステル(例えば−COOH基の生物変化を受けやすいエステル誘導体)を意味する。適切なプロドラッグは、GoodmanおよびGilmanの「治療学の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第8版、McGraw−Hill、Int.Ed.1992年、特に「薬剤の生物形質転換(Biotransformation of Drugs)」、13〜15ページを参照して決定することができる。
【0014】
Rの定義において言及されたカルボン酸は好ましくは、1から26個の炭素原子を有しており、直鎖または分枝鎖であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。より好ましくはこのカルボン酸は直鎖であり、モノ−およびポリ−不飽和脂肪酸から成る群から選ばれる。特に好ましくは式(I)(ここにおいてRは、1から6個の炭素−炭素二重結合を有する、C18からC24モノ−またはポリ−不飽和脂肪酸の残基である)の化合物である。特に好ましいものは、Rがネルボン酸(24:1(n−9))、ドコサヘキサエン酸(22:6(n−3))、またはγ−リノレン酸(18:3(n−6))の残基である時であり、この場合(n−x)中のxは、この脂肪酸の末端メチル基に対する第一二重結合の位置を示している。
【0015】
RがHである式(I)の化合物は、式(I)のその他の化合物の合成における中間体として有用であることは、当業者によって理解されるであろう。したがって本発明は、式(I)(ここにおいてRはカルボン酸の残基である)の化合物の調製方法であって、式(IA)の化合物、すなわち1−(z−15−テトラコセノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン:
【化5】
と、式R−H(ここにおいてRは式(I)について定義されたものと同じである)の対応カルボン酸とを反応させることを含む方法を提供する。
【0016】
このエステル化反応に適した条件は当業者に知られており、次亜リン酸の存在を含み、好ましくは、例えば窒素等の不活性雰囲気において加熱還流される。
【0017】
式(IA)の化合物それ自体は、通常の方法で、例えばネルボン酸の酸塩化物(すなわちCH3−(CH2)7−CH=CH−(CH2)13−COCl)とプロパン−1,3−ジオールとの、塩基、例えば有機塩基、例えばトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンおよびトリブチルアミン、およびピリジン、2,6−ジメチルピリジン、およびキノリンの存在下において、好ましくは有機非プロトン性溶剤、例えばハロゲン化アルカン、例えばジクロロメタン、エーテル、テトラヒドロフラン、およびトルエン中における反応から調製することができる。この反応は好ましくは、不活性雰囲気、例えば窒素下において例えば0℃まで冷却されて実施される。
【0018】
ネルボン酸の酸塩化物(z−15−テトラコセノイル塩化物)は、通常の方法で、ネルボン酸およびチオニル塩化物、三塩化リン、または特に五塩化リンから、好ましくは極性溶剤、例えば無水条件および好ましくは不活性雰囲気下におけるエーテル中で調製することができる。
【0019】
式(I)(ここにおいてRはネルボン酸の残基である)の化合物の調製の場合、前記2工程プロセスは、ネルボン酸、プロパン−1,3−ジオール、および例えば次亜リン酸から単一ポットにおいて実施することができる。
【0020】
ネルボン酸は、英国のオールドリッチ・ケミカルズ社(Aldrich Chemicals)から商品として入手することができるが、あるいは例えば米国特許明細書第US5,194,448号または公告されたPCT特許明細書第PCT/GB95/01985号に記載されているように入手することもできる。
【0021】
式(I)(ここにおいてRはH以外のものである)の化合物、すなわち式(IB):
【化6】
(ここにおいてR1はカルボン酸の残基である)の化合物は、前記のように、驚くべきことに抗炎症性および/または免疫調節活性を有することが発見された。
【0022】
好ましいカルボン酸残基は、Rの定義に関して前記のように記載されているものである。
【0023】
したがって本発明は、式(IB)で表される下記に示した特別な化合物を提供する:
1−(z−15−テトラコセノイルオキシ)−3−(z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエノイルオキシ)プロパン(以後NA:GLAと言う);
1−(z−15−テトラコセノイルオキシ)−3−(z−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイルオキシ)プロパン(以後NA−DHAと言う);および
1,3−ジ−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(以後NA:NAと言う)。
【0024】
ここでの「抗炎症性」とは、炎症または炎症性応答を減少させるか、改良するか、あるいは妨げる能力を意味する。ここでの「免疫調節」とは、免疫応答を、例えばこのような応答を抑制または刺激することによって調節する能力を意味する。抗炎症性および免疫調節活性のどちらも、いくつかの医療的状態の治療または予防にとって望ましいであろうことは、当業者によって理解される。
【0025】
式(IB)の化合物の抗炎症性および/または免疫調節作用は、実施例において下記により詳細に記載されている実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)テストにおいて観察することができる。EAEは、血管周囲および柔膜下炎症性浸潤および髄鞘除去障害を特徴とするCNSの自己免疫炎症性疾患である。これは、アジュバントと組合わされた、全均質化脊髄または大脳物質、精製ミエリンまたは寡突起神経膠細胞、ミエリンの精製成分での免疫化によって誘発することができる。アジュバント、例えばフロイントアジュバントの使用は、究極的には結果として病気を生じる免疫応答を増強するために必要である。相対的な精製の容易さによって、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)およびプロテオリピドタンパク質(PLP)、およびこれらの断片が、EAEにおける脳炎誘発物質として広く研究されてきた。
【0026】
EAEモデルは広義には、急性単相性EAEおよび慢性再発性EAEとして分類することができる。
【0027】
急性EAEにおいて、完全フロイントアジュバント(CFA)中の小用量のミエリン抗原が注射された感受性の高い動物は、10から14日以内に麻痺疾患で死ぬ。病気の始まりは、尾の柔軟性の喪失および/または後足の軽い麻痺として観察され、腰臀部および腰部における筋肉の消耗に進行する。重症の場合、麻痺は前肢まで広がることがある。これらの動物が瀕死にならないならば、麻痺の重症度は減少し、動物は回復する。従来の急性EAEは、ルイスラットにおいて観察することができる。このようなモデルは、急性CNS炎症の縮小を目的とする薬剤および/または免疫療法の効果を研究するのに理想的である。
【0028】
神経障害の臨床的等級付けおよび分類は、用いられた動物の血統および病気の経過に応じる。無症候(0)から死亡(6)までにわたる、0から6点の等級付けが一般に用いられている。
【0029】
臨床的徴候が始まる前に、動物は体重が減少し、CNSの試験によって、特に脊髄において単核細胞の浸潤が明らかになる。臨床的徴候が始まった後、増加した数の単核細胞がCNSを浸潤し、実質組織の浸潤の前に脊髄の柔膜下区域に蓄積する。免疫組織化学および細胞単離技術によって、マクロファージおよびCD4+T細胞として優勢な細胞が同定された。髄鞘除去は、急性EAEの従来の徴候ではなく、したがってこのテストは、髄鞘除去性疾患が伴なうことがある活性のみを示すのではなく、一般に抗炎症性/免疫調節活性を示していることは注目に値する。
【0030】
慢性EAEは、急性EAEのエピソードに続く、回復を伴なわない神経障害の続行を特徴とする。
【0031】
あるいはまた完全な回復(寛解)は、急性期後に生じ、この後に臨床的および組織学的疾患期およびさらなる寛解期が続く。これは慢性再発性(および寛解性)EAEであり、これは急性モデルよりも密接に多発性硬化症の症状に似ている。慢性再発性EAEは、多くの種において特徴決定されているが、マウスモデルは、十分に特徴決定された免疫系、およびこの疾患をプローブするための広い範囲の免疫試薬の有効性という利点を有する。
【0032】
EAEの場合に存在する免疫作用に加えて、慢性再発性EAE(CREAE)は、これらの炎症性区域において、特に再発期に顕著な一次髄鞘除去を示す。
【0033】
NA:NAでの急性EAEテストにおいて得られた非常に肯定的な結果は、2つの脂肪アシル部分間のリンカーとしてのプロパン−1,3−ジオールの使用が非常に重要であることを証明している。これは、グリセロールバックボーンに結合した3つの脂肪アシル部分から成るグリセリルトリネルボネート(GTN)が、急性EAEの経過にまったく作用を示さなかったからである。しかしながらこのことは、プロパン−1,3−ジオールの単なる存在それ自体が肯定的な結果を生じるのに十分であると仮定するには十分でない。本発明者らは、NA:GLAもまた、肯定的な結果を生じたが、一方でGLA:GLAを用いたテストは、作用が無い、を示すことを発見した。このことは驚くべきことであるが、それは、前記PCT特許明細書第WO96/34846号の開示が、GLA:GLAが特に有利な生物学的結果を生じるであろうという予測に導くであろうからである。したがってプロパン−1,3−ジオール部分を介して単に2つの脂肪酸部分(R1)を互いに結合しても、必ずしも結果として免疫調節および/または抗炎症性活性を有する化合物を生じない。
【0034】
したがってネルボン酸のプロパン−1,3−ジオール誘導体は、2つまたはそれ以上の不飽和C=C結合を有する脂肪酸の活性と比べて、予測できない様々な活性を有するように見えるであろう。NA:NAについての構造−活性の関係が確立され、同様に誘導体NA:NAおよびNA:GLAの形態にあるネルボン酸は、以前には証明されていない一般的な抗炎症活性を示すことも証明された。
【0035】
したがって式(IB)の化合物は、下記のものの緩和に用いることができる。すなわち、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節症、尿酸塩関節炎、およびその他の関節炎状態;炎症関節;湿疹およびその他の炎症性皮膚状態;結膜炎を含む炎症性の目の状態;発熱および炎症に関連したその他の状態、これには慢性炎症における組織壊死の縮小、移植外科手術後の組織拒絶の抑制、クローン病、および潰瘍性大腸炎が含まれる。
【0036】
式(IB)の化合物はまた、気道炎症状態、例えば喘息および気管支炎の治療または予防にも用いることができる。免疫調節剤による処理に適したその他の状態には、全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;重症筋無力症;全身性進行性硬化症;アトピー性皮膚炎;高免疫グロビンE;B型肝炎抗原マイナス慢性活動性肝炎;橋本甲状腺炎;家族性地中海熱;バセドウ病;自己免疫性溶血性貧血:原発性胆汁性肝硬変;および炎症性腸疾患が含まれる。免疫刺激剤による治療に適したその他の状態には、例えばAIDS患者、およびウイルス感染、例えばHIVに関連した患者のように免疫系に障害があり、これが損傷され、機能異常であるようなあらゆる状態が含まれる。
【0037】
抗炎症性および/または免疫抑制剤として用いるのに好ましい式(IB)の化合物には、NA:NAおよびNA:GLA、特にNA:GLAが含まれる。免疫刺激剤の用途に好ましいのはNA:DHAである。
【0038】
治療効果のために式(IB)の化合物(活性成分)に必要とされる量は、当然ながら特定の化合物、投与経路、および治療を受けている哺乳動物によって様々である。前記のような状態を罹患している哺乳動物に適した式(IB)の化合物の用量は、体重1kgあたり基剤0.1から1000mgの範囲にあり、最も好ましい投薬量は、0.5から500mg/哺乳動物体重kg、例えば1から50mg/kg、例えば5から25mg/kgであり、1日2回または3回投与される。
【0039】
炎症性気道状態の治療または予防の場合、式(IB)の化合物の適切な抗喘息用量は、体重1kgあたり基剤1mgから10mg、最も好ましい投薬量は、1mgから5mg/哺乳動物体重kg、例えば1から2mg/kgである。
【0040】
活性成分が粗化学物質として単独で投与されることも可能であるが、これを製薬配合物として提供するのが好ましい。本発明の獣医用およびヒトの医薬用の両方のための配合物は、製薬的に許容しうるそのキャリヤー、および任意にはその他の治療成分と組合わせた活性成分を含んでいる。キャリヤーは、この配合物のその他の成分と適合性があり、その受容者に有害でないという意味において「許容しうる」ものでなければならない。
【0041】
活性成分は、この配合物の0.1から99.9重量%を構成するのが都合がよい。適切には配合物の単位用量は、0.1mgから1gの活性成分を含んでいる。好ましくはこの配合物は、1日あたり1から6回、例えば2から4回投与されるのに適している。局所投与の場合、活性成分は好ましくは、配合物の1から2重量%を構成するが、活性成分は、10%w/wになるほど多量に含まれていてもよい。鼻腔内または口腔内投与に適した配合物、例えば下記の自動推進粉末ディスペンス配合物は、0.1から20%w/w、例えば約2%w/wの活性成分を含んでいてもよい。
【0042】
これらの配合物には、経口、眼内、直腸、非経口(皮下、膣内、腹膜内、筋肉内、および静脈内を含む)、関節内、局所用、鼻腔内、または口腔内投与に適した形態にある配合物も含まれる。
【0043】
これらの配合物は、単位投薬形態で提供されるのが便利であろうが、製薬業においてよく知られている方法のどれかによって調製されてもよい。すべての方法は、活性成分を1つまたはそれ以上の副成分を構成するキャリヤーと組合わせる工程を含む。一般に、これらの配合物は、活性成分を液体キャリアーまたは細かく分割された固体キャリアー、あるいはその両方と、均一および均質に組合わせ、ついで必要であれば、この生成物を所望の配合物に成形することによって調製される。
【0044】
経口投与に適した本発明の配合物は、各々が予め決定された量の活性成分を含む離散単位、例えばカプセル、カシェ剤、タブレット、またはトローチ剤の形態;粉末またはグラニュール形態;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液の形態;あるいは水中油エマルジョンまたは油中水エマルジョンの形態であってもよい。活性成分はまた、巨丸剤、舐剤、またはペーストの形態であってもよい。このような配合物の場合、ビヒクル中の活性成分の希釈範囲、例えば1%から99%、好ましくは5%から50%、より好ましくは10%から25%の希釈が適切である。希釈レベルに応じて、この配合物は、室温(約20℃の領域)で液体であるか、または低融解固体である。例えばNA:GLAが活性成分であるような組成物は、室温ですべての割合において混和可能であるが、一方、NA:NAを含む組成物は、濃度が約25%であるかそれ以下である時に室温で液体である。
【0045】
タブレットは、任意には1つまたはそれ以上の副成分と共に活性成分を圧縮または成形することによって製造することができる。圧縮タブレットは、任意にはバインダ、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤と混合された、例えば粉末またはグラニュールのような自由に流れる形態にある活性成分を適切な機械において圧縮することによって、調製することができる。成形されたタブレットは、粉末活性成分と、不活性希釈剤で湿潤された適切なキャリヤーとの混合物を、適切な機械において成形することによって製造することができる。
【0046】
直腸投与のための配合物は、活性成分とキャリヤー例えばココアバターとを組込んでいる座薬形態、あるいは浣腸の形態にあってもよい。
【0047】
非経口投与に適した配合物は、前記のような溶液、懸濁液、またはエマルジョン、便利には、受容者の血液と好ましくは等張性の活性成分の滅菌水性調製物を含んでいる。
【0048】
関節内投与に適した配合物は、活性成分の滅菌水性調製物の形態にあってもよい。これは、微晶質形態、例えば水性微晶質懸濁液の形態、またはミセル分散液または懸濁液の形態にあってもよい。リポソーム配合物または生物分解性ポリマー系が同様に、特に関節内投与および眼内投与の両方のための活性成分を提供するために用いられてもよい。
【0049】
局所投与に適した配合物には、液体または半液体調製物、例えばリニメント剤、ローション、または塗付剤;水中油または油中水エマルジョン、例えばクリーム、軟膏、またはペースト;または溶液または懸濁液、例えば滴剤が含まれる。例えば眼内投与のためには、活性成分は、水性点眼剤形態で、例えば0.1〜1.0%溶液として提供されてもよい。
【0050】
本発明による滴剤は、滅菌水性または油性溶液を含んでいてもよく、活性成分を、殺菌剤および/または殺真菌剤および/またはその他のあらゆる適切な保存料を含む適切な水溶液中に溶解することによって調製されてもよい。ついで結果として生じる溶液を、濾過によって清澄化し、適切な容器に移し替え、ついで密封して、オートクレービングによって、または90〜100℃に半時間維持して滅菌されてもよい。この溶液は、濾過によって滅菌されてもよく、無菌技術によって容器に移し替えられてもよい。これらの滴剤に含めるのに適した保存料、殺菌剤、および殺真菌剤は、フェニル水銀(II)塩(0.002%)、塩化ベンズアルコニウム(0.01%)、および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製に適した溶剤には、グリセロール、希釈アルコール、およびプロピレングリコールが含まれる。
【0051】
本発明によるローションには、目に使用するのに適したものが含まれる。アイローションは、滴剤の調製方法と同様な方法によって調製された殺菌剤または保存料を任意に含んでいる滅菌水溶液を含んでいてもよい。皮膚への使用のためのローションまたはリニメント剤もまた、乾燥を速めるためおよび皮膚を冷やすための薬剤、例えばアルコール、または柔軟剤または保湿剤、例えばグリセロールまたは油、例えばひまし油または落花生油を含んでいてもよい。
【0052】
本発明によるクリーム、軟膏、またはペーストは、外部塗布用の活性成分の半固体配合物であってもよい。これらは、単独でまたは溶液、または水性または非水性溶液中の懸濁液中で、適切な機械において、グラニュールまたは粉末形態の活性成分と脂肪性または非脂肪性ベースとを混合して製造することができる。このベースは、硬質、軟質、または液体パラフィン、グリセロール、蜜蝋、金属せっけんのうちの1つまたはそれ以上;粘質物;油、例えば植物油、例えばアーモンド油、とうもろこし油、落花生油、ひまし油、またはオリーブ油;ラノリンまたはその誘導体;またはアルコール例えばプロピレングリコールまたはマクロゴールと共に脂肪酸の脂肪酸エステルを含んでいてもよい。この配合物はまた、適切な界面活性剤、例えばアニオン性、カチオン性、または非イオン性界面活性剤、例えばグリコールまたはこれのポリオキシエチレン誘導体を含んでいてもよい。懸濁剤、例えば天然ゴムが、任意には無機物質、例えばシリカ質シリカ、およびその他の成分、例えばラノリンと共に組込まれていてもよい。
【0053】
鼻腔または口腔への投与に適した配合物には、吸入または通気に適したものが含まれ、粉末、自動推進、およびスプレー配合物、例えばエーロゾルおよび噴霧器が含まれる。これらの配合物は、分散された時、好ましくは10から200μの範囲内の粒子サイズを有する。
【0054】
このような配合物は、粉末吸入装置から肺に投与するための細かく粉砕された粉末、または自動推進粉末ディスペンス配合物の形態であってもよい。この場合活性成分は、細かく粉砕された粉末として、この配合物の99.9%w/wまでを構成していてもよい。自動推進溶液およびスプレー配合物の場合、この作用は、所望のスプレー特徴を有する(すなわち所望の粒子サイズを有するスプレーを生じうる)バルブを選択するか、あるいは活性成分を、制御された粒子サイズの懸濁粉末として組込むことによって得ることができる。したがってこの配合物は肺の中に入る代わりに、鼻腔内に大幅に保持される。これらの自動推進配合物は、粉末ディスペンス配合物であるか、あるいは溶液または懸濁液の滴剤として活性成分をディスペンスする配合物であってもよい。
【0055】
自動推進粉末ディスペンス配合物は好ましくは、固体活性成分の分散粒子と、大気圧において18℃未満の沸点を有する液体推進剤とを含んでいる。液体推進剤は、医薬投与に適していると知られているあらゆる推進剤であってもよく、1つまたはそれ以上の低級アルキル炭化水素、またはハロゲン化低級アルキル炭化水素、またはこれらの混合物を含んでいてもよく、塩素化およびフッ素化低級アルキル炭化水素が特に好ましい。一般にこの推進剤は、この配合物の50から99.9%w/wを構成するが、一方、活性成分は、この配合物の0.1から20%w/w、例えば約2%w/wを構成する。
【0056】
このような自動推進配合物における製薬的に許容しうるキャリヤーは、この推進剤に加えてその他の成分、特に界面活性剤または固体希釈剤またはその両方を含んでいてもよい。界面活性剤が望ましいが、それは、これらが活性成分の粒子の凝集を防ぎ、活性成分を懸濁に維持するからである。特に貴重なものは、液体非イオン性界面活性剤および固体アニオン性活性剤またはこれらの混合物である。適切な液体非イオン性界面活性剤は、特に脂肪酸のエステルおよび部分エステルと脂肪族多価アルコール、例えばそれぞれ「スパン(Span)80」(商品名)および「スパン85」(商品名)という商品として入手しうるソルビタンモノオレエートおよびソルビタントリオレエートとの、10未満の親水性−親油性バランス(HLB、「化粧品化学者協会ジャーナル(Journal of the Society of Cosmetic Chemists)」、第1巻、311〜326ページ(1949年)参照)を有するものである。液体非イオン性界面活性剤は、この配合物の0.01から20%w/wまでを構成していてもよい。ただし好ましくはこれは、この配合物の1%w/w未満を構成する。適切な固体アニオン性界面活性剤には、アルカリ金属、アンモニウム、およびジアルキルスルホスクシネートのアミン塩(ここにおいてアルキル基は4から12個の炭素原子を有する)およびアルキルベンゼンスルホン酸(ここにおいてアルキル基は8から14個の炭素原子を有する)が含まれる。固体アニオン性界面活性剤は、この配合物の0.01から20%w/wまでを構成していてもよい。ただし好ましくはこれは、この組成物の1%w/w未満を構成する。有利には固体希釈剤が、このような自動推進配合物中に組込まれてもよい。この場合、活性成分の密度は、この推進剤の密度とは実質的に異なる。同様にこれらは、活性成分を懸濁に維持するのを助ける。固体希釈剤は、細かい粉末の形態にあり、好ましくは活性成分の粒子のサイズと同程度の粒子サイズを有する。適切な固体希釈剤には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、および糖が含まれる。
【0057】
本発明の配合物はまた、活性成分が溶液中に存在している自動推進配合物の形態にあってもよい。このような自動推進配合物は、活性成分、推進剤、および助溶剤、および有利には酸化防止安定剤を含んでいてもよい。この推進剤は、これらの既に上で挙げられたもののうちの1つまたはそれ以上である。助溶剤は、推進剤中のそれらの溶解性、活性成分を溶解するそれらの能力、およびこれらの前記特性と矛盾しない最低沸点を有することによって選ばれる。適切な助溶剤は、低級アルキルアルコールおよびこれらの混合物である。助溶剤は、この配合物の5から40%w/wまでを構成していてもよい。ただし好ましくはこれは、この配合物の20%w/w未満を構成する。活性成分の劣化を阻害するために、このような溶液配合物中に酸化防止安定剤が組込まれてもよく、これらはアルカリ金属アスコルベートまたは亜硫酸水素塩であるのが都合がよい。これらは好ましくは、この配合物の0.25%w/wまでの量で存在する。
【0058】
このような自動推進配合物は、この技術において知られているどの方法によって調製されてもよい。例えば活性成分(適切な液体中懸濁液の中の前記のような粒子であるか、あるいは適切なものとして、許容しうる助溶剤中の20%w/wまでの溶液中のもの)が、製薬的に許容しうるキャリヤーのその他のあらゆる成分と混合される。結果として生じた混合物が冷却され、適切な冷却された容器に導入され、推進剤が液体形態でこれに添加され、容器が密封される。あるいはまたこのような自動推進配合物は、前記のような粒子として、あるいは適切なものとして2〜20%w/wアルコールまたは水溶液としての活性成分と、推進剤以外の製薬的に許容しうるキャリヤーの残りの成分とを混合し;結果として生じた混合物を、任意にはなんらかの推進剤と共に適切な容器の中に導入し;この容器の一部を構成し、かつこの容器からの配合物の放出を制御するために用いられるバルブを通じて、周囲温度においてこの容器に推進剤を加圧下に注入することによって調製されてもよい。望ましくはこの容器は、自動推進配合物の調製において都合のよい段階で、空気をこれから除去することによってパージされる。
【0059】
自動推進配合物に適した容器は、手動操作が可能なバルブを備えており、かつアルミニウム、ステンレス鋼、または強化ガラスから構成されたものである。当然ながらこのバルブは、バルブの各々の操作の時に、固定量の配合物、例えば各々の送出しにおいて約50から100マイクロリットルの配合物を送出すという粒子の所望のスプレー特徴を有するものであるべきである。計量送り出し用量の装置は、当業者によく知られている。
【0060】
本発明の配合物はまた、ネブライザーまたは噴霧器に用いるための活性成分の水性または希釈アルコール溶液、任意には滅菌溶液の形態にあってもよい。ここにおいて、この溶液の小滴から成る細かいミストを生じるために、加速空気流が用いられている。このような配合物は通常、風味料、例えばサッカリンナトリウム、および揮発性油を含んでいる。緩衝剤、例えばナトリウムメタ二亜硫酸塩および界面活性剤も、このような配合物に含まれていてもよく、これはまた、保存料、例えばメチルヒドロキシベンゾエートも含んでいる方がよいであろう。
【0061】
鼻への投与に適したその他の配合物は、20から500ミクロンの粒子サイズを有する粉末を含んでおり、これは、例えば鼻の近くに保持された粉末の容器からの鼻腔通路を通る急速吸入によって嗅ぐ方法で投与される。
【0062】
前記成分に加えて、この発明の配合物は、1つまたはそれ以上の追加成分、例えば希釈剤、緩衝剤、風味料、バインダ、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存料、例えばメチルヒドロキシベンゾエート(酸化防止剤を含む)、乳化剤等を含んでいてもよい。この発明の配合物に用いるのに特に好ましいキャリヤーまたは希釈剤は、C18からC24モノ不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸の低級アルキルエステル、例えばエチルオレエートである。その他の適切なキャリヤーまたは希釈剤には、カプリン酸またはカプリル酸エステルまたはトリグリセリド、またはこれらの混合物、例えば商品名ミグリオール(Miglyol)として販売されているカプリル酸またはカプリン酸トリグリセリド、例えばミグリオール810が含まれる。
【0063】
その他のあらゆる治療成分は、下記のもの、すなわち抗生物質、抗真菌剤、および抗ウイルス剤のうちの1つまたはそれ以上を含んでいてもよい。
【0064】
したがって本発明によれば、下記のものが提供される:
(a)式(IA)の化合物またはこれの塩および式(IB)の化合物を含む、式(I)の新規化合物;
(b)式(IB)の化合物を調製するための、例えば化合物(IA)のエステル化による式(I)の化合物の調製方法;
(c)非毒性的有効量の式(IB)の化合物と、製薬的に許容しうるそのキャリヤーとを含む製薬配合物;
(d)このような配合物の調製方法;
(e)ヒトを含む哺乳動物における炎症の予防または治療方法であって、前記哺乳動物に、非毒性的有効抗炎症量の式(IB)の化合物を投与することを含む方法;
(f)ヒトを含む哺乳動物における免疫調整状態の予防または治療方法であって、前記哺乳動物に、非毒性的有効免疫調節量の式(IB)の化合物を投与することを含む方法;
(g)医療、例えば炎症の阻害および/または免疫調整系の調節における使用のための式(IB)の化合物;
(h)例えば炎症および/または免疫系の高刺激または低刺激と関連した状態の治療または予防のための、医薬品の調製における式(IB)の化合物の使用;
(i)式(IB)の化合物の調製における式(IA)の化合物の使用。
【0065】
下記実施例は、本発明の例証のために記載されている。下記説明および実施例において、最終生成物の構造は、JEOL JNM−GX270スペクトロメーターを用いて、1Hおよび13C NMR分光法によって決定された。1Hおよび13C化学シフトは、溶剤に対するCDCl3中の溶液について測定された。Nerは、テトラコセノイルオキシ鎖のことであり、Linは、γ−リノレノイルオキシ鎖、Docは、ドコサヘキサエノイルオキシ鎖、Polは、プロパン−1,3−ジオール鎖のことを言う。示されている温度はすべて、℃である。
【0066】
説明1:出発化合物の調製:z−15−テトラコセノイル塩化物
五塩化リン(0.123モル、25.6g)を、乾燥エチルエーテル(225mL、C=200g.L−1)中のネルボン酸(オールドリッチ・ケミカルズ社(Aldrich Chemicals)から入手しうるもの)(0.123モル、45.0g)の溶液に徐々に添加した。混合物を、室温で窒素下3時間攪拌し、濃縮して乾燥させると、z−15−テトラコセノイル塩化物が、薄い黄色のかなり粘性の油として生じた。
【0067】
説明2:比較化合物の調製:1,3−ジ(z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエノイルオキシ)プロパン(GLA:GLA)
z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエン酸(シグマ・ケミカルズ社(Sigma Chemicals)から入手しうるもの)(0.180モル、50.0g)、プロパン−1,3−ジオール(0.086モル、6.5g)、および次亜リン酸(0.2g)を、攪拌しつつ窒素下160℃まで加熱した。6時間後TLC(80:18:2石油エーテル−エチルエーテル−酢酸)は、反応が完了に至ったこをと示した(Rf:0.56)。混合物を室温まで冷却し、石油エーテル(700mL)を添加した。結果として生じた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム(3×70mL)および飽和塩化ナトリウム(3×70mL)で洗浄した。ついでこれを無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥させた。残留モノエステルおよび脂肪酸を、真空蒸留によって除去した(180℃、10−2mバール)。結果として生じた油を、石油エーテル中に溶解して33%溶液をつくり、シリカカラムに通した。最後にヘキサンを除去すると、1,3−ジ(z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエノイルオキシ)プロパンが無色油として生じた。
【0068】
【0069】
【0070】
説明3:1−ヒドロキシ−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパンの調製
塩化メチレン(500mL)中の、説明1にしたがって調製されたz−15−テトラコセノイル塩化物の溶液(0.129モル、49.7g)を、塩化メチレン(1200mL)中のプロパン−1,3−ジオール(0.780モル、58.9g)とトリエチルアミン(0.323モル、32.6g)との混合物に、一滴ずつ(2.5〜3時間にわたって)0℃において窒素下添加した。この混合物を、TLC(80:18:2石油エーテル−エチルエーテル−酢酸)が反応副生物が形成され始めたことを示すまで、さらに2時間氷浴中で攪拌に放置した(Rf生成物:0.16、副生物:0.63)。この溶液を、2M硫酸(2×150mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(3×300mL)、および飽和塩化ナトリウム(2×300mL)で洗浄した。最後にこれを、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(7:3石油エーテル−エチルエーテル)によって精製すると、1−ヒドロキシ−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパンが白色固体として生じた。
【0071】
【0072】
【0073】
説明4:比較化合物の調製:グリセリルトリネルボネート
エタノール中のナトリウムエタノエートを用いて、ネルボン酸を対応エチルエステルに転換し、後者を160℃でグリセロールと反応させた。これは、触媒としてナトリウムエトキシドを用いて、溶剤を含まない条件下に行なわれた。水は形成された時に除去したので、平衡はトリグリセリドの形成の方へ容易にシフトされた。
【0074】
下記表は、その後にGPCを行なった反応の推移を示している。10時間後、出発原料の90%がグリセリルトリネルボネートに転換された。
【0075】
【表1】
最後に、220℃、10−3mバールで、CD6薄膜実験室規模蒸発器を用いて、結果として生じた混合物を真空蒸留した。残留エチルネルボネートを首尾よく除去すると、純粋グリセリルトリネルボネートが白色固体として残された。
【0076】
例1:1−(z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエノイルオキシ)−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(NA:GLA)の調製
説明3にしたがって調製された1−ヒドロキシ−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(0.045モル、19.0g)、z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエン酸(0.054モル、15.0g)、および次亜リン酸(0.4g)の混合物を攪拌しつつ窒素下160℃まで加熱した。5時間後、TLC(80:18:2石油エーテル−エチルエーテル−酢酸)は、モノ−エステルの大部分が反応してしまったたことを示した(Rf:0.60)。この混合物を室温まで冷却し、石油エーテル(800mL)を添加した。結果として生じた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム(3×80mL)、および飽和塩化ナトリウム(3×80mL)で洗浄した。ついでこれを無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(19:1石油エーテル−エチルエーテル)によって精製すると、1−(z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエノイルオキシ)−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパンが薄い黄色の油として生じた。
【0077】
【0078】
【0079】
例2:1−(z−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイルオキシ)−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(NA:DHA)の調製
(a)説明3にしたがって調製された1−ヒドロキシ−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(0.033モル、14.0g)、z−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(0.040モル、13.0g)、および次亜リン酸(0.3g)の混合物を、攪拌しつつ窒素下160℃まで加熱した。5時間後、TLC(80:18:2石油エーテル−エチルエーテル−酢酸)は、モノ−エステルの大部分が反応してしまったことを示した(Rf:0.56)。この混合物を室温まで冷却し、石油エーテル(600mL)を添加した。結果として生じた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム(3×60mL)、および飽和塩化ナトリウム(3×60mL)で洗浄した。ついでこれを無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(32:1石油エーテル−エチルエーテル)によって精製すると、1−(z−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイルオキシ)−3−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパンが薄い黄色の油として生じた。
【0080】
【0081】
【0082】
例3:1,3−ジ−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(NA:NA)の調製
z−15−テトラコセン酸(シグマ・ケミカルズ社から入手しうるもの)(0.286モル、104.7g)、プロパン−1,3−ジオール(0.136、10.3g)、および次亜リン酸(0.4g)を、攪拌しつつ窒素下160℃まで加熱した。6時間後、TLC(80:18:2石油エーテル−エチルエーテル−酢酸)は、反応が完了したことを示した(Rf:0.63)。この混合物を室温まで冷却し、石油エーテル(1500mL)を添加した。結果として生じた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム(3×150mL)、および飽和塩化ナトリウム(3×150mL)で洗浄した。ついでこれを無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥させた。残留モノ−エステルおよび脂肪酸を真空蒸留によって除去した(230℃、10−2mバール)。結果として生じた油を、石油エーテル中に溶解して33%溶液をつくり、シリカカラムに通した。最後にヘキサンを除去すると、1,3−ジ−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパンが無色油として生じた。
【0083】
【0084】
【0085】
例4:EAEにおけるNA:NAとGLA:GLAとの比較
ルイスラットにおける神経学的実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の発現および進展に対するGLA:GLA(説明2)およびNA:NA(例3)の予防効果を、下記のように比較した。
材料および方法
(a)EAEの誘発
接種日に体重230〜290gのオスのルイスラットのそれぞれの後足の掌球に、モルモットの脊髄、リン酸塩緩衝塩水(PBS)、および10mg/mlのMycobacterium tuberculosisH37Raが補足された不完全フロイントアジュバントの等部を含むエマルジョン0.1mlを注射した。
【0086】
(b)EAEの評価
動物の体重を毎日測り、接種後(PI)7日目から神経疾患について評価した。EAEの症状を示すラットを、下記のように評点した。1:弛緩した尾(FT)、2:後足緊張減退(HLH)、3:部分的後足麻痺(PHLP)、4:完全な後足麻痺(CHLP)、5:瀕死または死亡。
【0087】
(c)用法
GLA:GLAおよびNA:NA(ストレート油)を、接種の5日前(45℃で)、および接種後25日間、1000mg/体重kg/日の用量で経口投与した。対照感作動物はPBSビヒクルが与えられるか、あるいは非投与であり、各々の処理は7匹の動物を含んでいた。ついで個々の大脳および血液サンプルを収集し、脂肪酸分析の前に−20℃で保存した。2匹の動物についてのNA:NA処理は、これらのラットがこの薬剤を反復して経口投与することに抵抗したので、21日目に終了した。
【0088】
結果
(a)平均体重の変化
非投与感作ラットおよびビヒクルが与えられている動物は、PIの10〜12日で体重が減少した。GLA:GLAおよびNA:NAで処理されたラットは、PIの10日目に始まる体重減少を示した。すべての処理における動物は、PIの18〜20日で体重が増加した。
【0089】
(b)症状の始まりおよび消失
非投与ラットおよびビヒクル処理動物は、PIの11日および12日の間で病気の最初の徴候を示した(表1)。GLA:GLAおよびNA:NAラットにおける症状の始まり、徴候の消失、および病気の持続期間は、対照グループと比べて有意には異なっていなかった。興味深いことに、NA:NAで処理された動物はすべて、対照およびGLA:GLA処理グループと比べて生き延びた。
【0090】
【表2】
(c)EAEの発病率および重症度
非投与ラットおよびビヒクル処理ラットについての平均累積神経学的評点、日々の病気の進展の図表的表現は、EAEの初期段階の間は匹敵しうるものであった。ビヒクルが与えられている動物について記録された累積データは、非投与ラットについて見られた値よりも大きくなったが、GLA:GLA処理グループによって示された病気プロフィールと同様であった。NA:NAで処理されたEAE接種ラットは、PIの14日目に始まる非投与およびビヒクル処理よりも一貫して低い評点を有していた。
【0091】
すべての対照、ビヒクル処理、およびGLA:GLA投与ラットは、FTおよびHLHを示した(表2)。興味深いことに、NA:NAで処理された動物の4/7のみが、最初の病気の症状を示した。さらにはNA:NAが与えられている動物は、対照、ビヒクル、およびGLA:GLA処理グループとはまったく対照的に、PHLPまたはCHLPを示さなかった。さらにはNA:NA投与動物は、非投与ラットおよびビヒクル処理ラットに比べて、より敏捷であり、失禁が少なかった。
【0092】
【表3】
結論
EAE接種されたラットのGLA:GLAでの処理は、非投与ラットおよびビヒクル処理のラットと比べて、神経EAEの経過を変えなかった。しかしながらEAE感作動物にNA:NAを投与すると、病気の全体の強度を明らかに低下させ、特にビヒクル処理と比べて部分的麻痺の発病率を有意に減少させた。これらの結果は、NA:NAが、EAEの進展に対する免疫調節または抗炎症性作用態様を有することを示唆している。
【0093】
比較例:EAEにおけるグリセリルトリネルボネート
グリセリルトリネルボネート(GTN、説明4)の予防効果を、ルイスラットにおける急性EAEに関して評価した。EAEの誘発および評価は、例4についてと同じであった。用法は、接種の5日前、および接種後20日間ミグリオール810の経口投与を含んでいた。(PBSまたはミグリオールビヒクルの使用の無意味さに関しては例8参照)。
【0094】
結果
(a)体重変化
動物は10日目まで体重が増えたが、これは食事によって投与されたGTNが大きい副作用を誘発しなかったことを示している。これらの結果は、症状の始まりに先立つ対照および処理済み動物の両方における特徴的体重減少を示している。対照および処理済み動物についての値は、異なっていなかった。
【0095】
(b)神経学的評点−EAEの発病率および重症度
接種された動物はすべて、EAEに関連する神経障害を示した。GTN処理された動物におけるこの病気の持続期間と共に、症状の始まりおよび消失は、ビヒクルまたは非投与グループと有意には異なっていなかった(表3)。
【0096】
【表4】
表4は、非投与およびビヒクル処理ラットの70〜80%が、麻痺疾患を有していたことを示しており、GTNが与えられている動物から得られたデータは、この処理が、EAE疾患ラットにおける神経障害と関連したどのパラメーターにも有意な影響を与えなかったことを確認している。
【0097】
【表5】
結論
これらの結果は、NAがこの形態において血液−大脳バリヤーを横切らないことを立証した。このことは、GTNがネルボン酸分子をグリセロールに結合するO−エステル結合を有するので、驚くべきことである。グリセロールは、大脳脂質の構造において広く見られ、大脳−血液バリヤーを横切ることができるキャリヤーとして作用し、例えばNAのような脂質のこの膜を横切る通過を容易にすると予測されたであろう。このテストは、適切な脂質キャリヤーに関する以前の考え方は、NAに当てはめることができないことを示している。
【0098】
例5:EAEにおけるNA:NA(エチルオレエート配合物)
代替配合物を用いて、ルイスラットにおける神経EAEの発生および進展に対する例3の化合物(NA:NA)の予防効果を、下記のように評価した。
【0099】
材料および方法
(a)EAEの誘発
接種日に体重240〜360gのオスのルイスラットのそれぞれの後足の掌球に、モルモットの脊髄、リン酸塩緩衝塩水(PBS)、および10mg/mlのMycobacterium tuberculosisH37Raが補足された不完全フロイントアジュバントの等部を含むエマルジョン0.1mlを注射した。
【0100】
(b)EAEの評価
動物の体重を毎日測り、接種後(PI)7日目から神経疾患について評価した。EAEの症状を示すラットを、下記のように評点した。1:弛緩した尾(FT)、2:後足緊張減退(HLH)、3:部分的後足麻痺(PHLP)、4:完全な後足麻痺(CHLP)、5:瀕死または死亡。
【0101】
(c)用法
NA:NA(エチルオレエート中10%w/w溶液B.P.)を、接種の5日前に(35〜37℃で)、およびPIの22日間、1000mg/体重kg/日の用量で経口投与した。対照感作動物はエチルオレエートビヒクルが与えられるか、あるいは非投与であり、各々の処理は10匹の動物を含んでいた。ついでPIの23日目に、個々のラットの大脳および血漿サンプルを収集し、脂肪酸分析の前に−20℃で保存した。
【0102】
統計分析
神経学的評点おける有意差を評価するためにスチューデントtテストを用い、症状の存在または不存在についてはフィッシャーの精密確率テストを用いた。
【0103】
結果
(a)平均体重の変化
非投与感作ラットおよびビヒクルあるいはNA:NAが与えられている動物は、PIの10日および12日の間で特徴的な体重減少を示した。すべての処理における動物は、PIの16〜18日で体重が増加した。
【0104】
(b)症状の始まりおよび消失
非投与ラットおよびビヒクル処理感作動物はすべて、EAEの神経徴候を示した(表3)。これに対して、NA:NAが与えられている動物の60%のみが、病気の症状を示した。症状の始まりおよび消失の平均日は、NA:NA処理によって有意には変えられなかった。NA:NAが与えられているラットにおける症状の平均持続期間は、非投与およびエチルオレエート処理グループと比べて減少していたが、有意ではなかった。
【0105】
【表6】
(c)EAEの発病率および重症度
NA:NA投与ラットについての神経学的評点は、非処理およびビヒクル処理動物について記録された値と比べて一貫して低かった。非投与ラットおよびエチルオレエートが与えられている動物についての平均累積神経学的評点は、この調査の持続期間の間と同様であった。これに対して、NA:NAで処理されたラットについての累積評点は、PIの12〜13日で減少し、この調査の残りのものについての対照値よりも顕著に低かった。
【0106】
FTおよびHLHを示すNA:NA投与ラットの数は、非投与およびビヒクル処理と比べて有意に減少した(表6FT:P<0.05、HLH:P<0.01)。さらにはNA:NAが与えられている動物のさらに少数しか、EAEの麻痺症状を示さなかった。さらにはNA:NA処理ラットは、対照グループと比べてより敏捷であり、周囲により気を配り、より失禁が少なかった。
【0107】
【表7】
結論
この調査は、NA:NAが病気の発病率を有意に減少させ、処理済みラットすべてにおける以前の特徴的な体重減少にもかかわらず、最初の非麻痺的症状の発生を阻害することを明らかに示している。同様に日々の神経学的評点は、NA:NA処理によって顕著に減少した。
【0108】
EAEにおけるNA:NAの効力を測定するための以前の調査(例4)は、この化合物が、この病気の強度全体を低下させ、ビヒクル処理と比べて麻痺的症状を有意に抑制することを示した。現在の調査(例5)は、エチルオレエート中のNA:NAの再配合が、EAEにおける化合物の効力の喪失を伴なわずに投与を容易にした(その温度が35〜37℃まで下げられた)ことを示した。
【0109】
これらの結果は、NA:NAが急性ラットEAEにおいて免疫調節または抗炎症性活性プロフィールを有することを明らかに示している。
【0110】
例6:EAEテストにおけるNA:DHAおよびNA:GLA
ルイスラットにおける神経EAEの発生および進展に対する例1(NA:GLA)および例2(NA:DHA)の化合物の予防効果を、下記のように評価した。
【0111】
材料および方法
(a)EAEの誘発
接種日に体重230〜280gのオスのルイスラットのそれぞれの後足の掌球に、モルモットの脊髄、リン酸塩緩衝塩水(PBS)、および10mg/mlのMycobacterium tuberculosisH37Raが補足された不完全フロイントアジュバントの等部を含むエマルジョン0.1mlを注射した。
【0112】
(b)EAEの評価
動物の体重を毎日測り、接種後(PI)7日目から神経疾患について評価した。EAEの症状を示すラットを、下記のように評点した。1:弛緩した尾(FT)、2:後足緊張減退(HLH)、3:部分的後足麻痺(PHLP)、4:完全な後足麻痺(CHLP)、5:瀕死または死亡。
【0113】
(c)用法
NA:GLA(ストレート油)を、接種の5日前に経口投与し、PIの25日間、750mg/体重kg/日および1000mg/体重kg/日の用量で続行した。NA:DHA(ストレート油)は、500mg/体重kg/日の用量で、同一用法によって与えられた。対照感作動物は、PBSビヒクルが与えられるか、あるいは非投与であった。非投与、ビヒクル、および低用量NA:GLA処理は、7匹の動物を含んでいた。4匹のラットは高用量のNA:GLAが与えられ、3匹のラットはNA:DHAが投与された。ついで個々の大脳および血液サンプルを、分析のために収集した。
【0114】
結果
(a)平均体重の変化
非投与、感作ラット、およびビヒクルが与えられている動物は、8日および10日の間で体重が減少した。同様に、NA:DHAで処理されたラットは、接種後の8日目に始まる体重減少を示した。しかしながらNA:DHA処理ラットは、対照および投与グループと比べて、感作後の週の間に、より大きい体重増加を有していた。低用量および高用量NA:GLA処理された動物によって示される体重減少は、その他の処理において記録されたものよりも2日遅く始まった。
【0115】
(b)症状の始まりおよび消失
非投与ラットおよびビヒクルが与えられている動物は、PIの10日および11日の間で病気の最初の徴候を示した(表7)。
【0116】
【表8】
NA:GLA処理ラットにおける病気の始まりは遅延され、NA:DHA投与動物において対照グループと比べて加速された。しかしながら投与動物についての値は、非投与およびビヒクル処理について記録されたデータとは有意には異なっていなかった。
【0117】
(c)EAEの発病率および重症度
非投与ラットおよびビヒクル処理ラットについての平均累積臨床的評点、日々の病気の進展の図表的表現は、この実験全体で匹敵しうるものであった。低用量および高用量NA:GLAが与えられている動物について記録されたデータは、この調査の持続期間の間対照値よりも一貫して低かった。NA:DHAで処理されたラットについての日々の評点は、対照およびNA:GLA処理動物について見られたレベルと比べて高かった。すべての対照および薬剤処理ラットは、FTおよびHLHを示した(表8)。しかしながら対照およびNA:DHA処理ラットと比べて、NA:GLAが与えられている動物のより少数しか、PHLP(低用量:57%/高用量:50%)およびCHLP(低用量:43%/高用量:25%)を示さなかった。同様に、NA:DHAが与えられているラットにおけるCHLPの進展はより早かった(それぞれ11.3±1.3および12.7±1.3)。
【0118】
【表9】
結論
急性EAE感作ラットへの750および1000mg/体重kg/日でのNA:GLAの予防的投与は、対照グループと比べて病気の始まりを遅延させ、明らかに病気の発病率と重症度を減少させた。これらの結果は、この化合物が免疫抑制または抗炎症活性を有しており、これが神経抗原の免疫応答およびその後の病気の発現に影響を与えたことを示唆している。これに対してNA:DHAでの処理は、おそらくはEAEの誘発期の増強を通じて神経症状を強化し、このことはこの化合物が免疫強化剤として作用しうることを示唆している。
【0119】
例7:マウスにおけるNA:NAおよびNA:GLAの評価
ビオッジマウスモデルにおける慢性EAEに対する、例3(NA:NA)および例1(NA:GLA)の化合物の予防効果を評価した。
【0120】
材料および方法
(a)EAEの誘発
体重30〜35gのオスのビオッジマウスのそれぞれのわき腹に、凍結乾燥されたマウスの脊髄、リン酸塩緩衝塩水、およびMycobacterium butyricumおよびMycobacterium tuberculosisH37Raが補足された不完全フロイントアジュバントを含むエマルジョン0.15mlを注射した。
【0121】
(b)EAEの評価
動物の体重を毎日測り、接種後(PI)7日目から神経疾患について評価した。EAEの症状を示すマウスを、下記のように評点した。1:部分的に弛緩した尾(PFT)、2:完全に弛緩した尾(CFT)、3:損なわれた直立反射(IRR)、4:運動失調性歩行(AG)、5:後足緊張減退(HLH)、6:部分的後足麻痺(PHLP)、7:完全な後足麻痺(CHLP)、8:瀕死(M)、9:死亡(D)。
【0122】
(c)用法
NA:NAおよびNA:GLA(どちらもエチルオレエート中の10%w/w溶液B.P.)を、接種の5日前に(35〜37℃で)、およびPIの43日間、1000mg/体重kg/日の用量で経口投与した。対照感作動物はエチルオレエートビヒクルが与えられるか、あるいは非投与であった。各処理は10匹の動物を含んでいた。ついで個々の大脳および血液サンプルを、PIの43〜44日目に分析のために収集した。
【0123】
結果
(a)平均体重の変化
ビヒクル、NA:GLA、またはNA:NAが与えられている慢性EAE感作マウスの平均体重は、接種後の−4日および2日の間で減少した。
【0124】
体重の劇的減少が、接種後16日で非投与マウスに発生したが、一方、ビヒクル、NA:GLA、またはNA:NAが与えられている動物には、同様な体重減少は記録されなかった。非投与マウスおよびビヒクルおよびNA:NAが与えられている動物の平均体重は確実に増加し、接種後13〜40日で匹敵しうるものになった。しかしながらNA:GLAで処理されたマウスは、同様な体重増加を示さなかった。すべてのグループが、接種後40〜44日で体重減少を示した。
【0125】
(b)神経学的評点−慢性再発性EAEの発病率および重症度
急性症状の始まりが、PIの約20日で非投与マウスの80%に現われた(表9)。これに対して、ビヒクルおよび化合物処理グループにおいて、動物のわずか20〜30%が急性疾患を示した。NA:NAが与えられているマウスは、その他のグループの病気のマウスに比べて早期に急性疾患の徴候を無くし、その結果障害の持続期間がより短かった。
【0126】
【表10】
非投与動物と比べて、化合物処理マウスのより少数しか再発を起こさなかった(表10)。しかしながらビヒクルが与えられているマウスの同様な数のものが、症状の再発を示した。興味深いことに再発の始まりは、NA:GLAおよびNA:NAが投与されている動物において遅延されたが、有意ではなかった。
【0127】
【表11】
表11および12は、急性および再発性疾患の進行性症状を示す、非投与、ビヒクル、および化合物処理マウスの%割合を記載している。これらの結果は、ビヒクル−処理動物における急性および再発性症状が、非投与マウスにおける病気の発生と比べて抑制されていることを明らかに示している。さらには、ビヒクル処理されたマウスによって示されている神経徴候は、NA:GLAおよびNA:NAが与えられている動物によって示されている症状と同様である。非投与慢性再発性EAE−感作マウスについての平均の神経学的評点は、最初の接種後2〜3週間で特徴的に増加した。
【0128】
症状の軽減は感作後25〜33日で発生し、ついで神経障害の再発があった。急性および再発症状は、ビヒクル、NA:GLA、およびNA:NAが与えられている動物において顕著に減少した。特に慢性再発性EAEの急性および再発期の間の神経症状は、NA:NAで処理されたマウスにおいて完全になくなった。
【0129】
【表12】
【表13】
結論
これらの結果は、ビヒクルのエチルオレエートでの慢性再発性EAE接種マウスの処理が、このテストにおいて慢性再発性EAEの急性および再発期の発生率および重症度を有意に低下させたことを示している。
【0130】
ビヒクル処理(このビヒクルは薬剤用の溶剤として作用し、その投与を容易にする)による慢性再発性EAEの変更は、慢性EAEにおける化合物の効力の明確な評価を妨げ、エチルオレエートも同様に用いられているラットにおける最初の調査とは対照的である(例5参照)。
【0131】
それにもかかわらずこれらの結果は、特にエチルオレエートと組合わされたNA:GLAおよびNA:NA処理が、急性疾患の持続期間を制限し、かつ再発症状の始まりを遅延させる可能性を有することを示唆している。これは、急性ラットEAEにおける化合物の効力の前記例の結論を裏付ける。
【0132】
例8:マウスモデルにおける慢性再発性EAEの治療におけるビヒクルとしてのミグリオールの使用
したがってビオッジマウスにおける慢性再発性EAEの経過を変える能力を有していないビヒクルの使用を調査した。この実験は、PBS、ミグリオール、およびエチルオレエートのみに関わっていた。これらは薬剤ビヒクルであり、EAEの経過に対するこれらの中立性を査定するために評価が行なわれた。
【0133】
8〜10個の炭素原子アシル鎖を有するトリグリセリドの混合物であるミグリオール810に、まず、EAE状態に対するその中立性を確かめるためにPBS(リン酸塩緩衝塩水、水溶液)での比較調査を行なった。
【0134】
PBSは対照ビヒクルであり、EAEの経過を変えないことが知られている。例7の方法と同様な方法にしたがっているが、ミグリオール810ビヒクルおよび10g/体重kg/日の用量で30日目までの接種後処理を用いて、ビオッジマウスモデルにおける慢性再発性EAE(CREAE)に対するミグリオール810の予防効果を評価した。[用法の説明:調査がテスト化合物例えばNA:NAに関わっている時、示されているこの用量は、投与されたテスト化合物の量のみのことであり、ビヒクル+化合物の量のことではない。このビヒクル調査において、テスト化合物例えばNA:NAは存在しないので、この用量は、ビヒクルの量、すなわちマウスモデルにおけるその他のすべての調査にしたがって存在したであろうテスト化合物の量よりも10倍高いビヒクルの量のことを言う]。
【0135】
これらの結果は、CREAE接種されたすべてのマウスが、確立した急性麻痺症状を示したことを明らかに示した。特にこの病気の経過は、PBSあるいはミグリオールの反復経口投与によって影響を受けなかった。
【0136】
したがってミグリオールは、CREAEにおける化合物の効力を測定するためのその後の調査においてビヒクルとして使用するのによく適しているように思われた。したがってミグリオール810を新規ビヒクルとして用いて、ビオッジマウスモデルにおけるCREAEに対するNA:NAおよびNA:GLAの予防効果を再評価した(90%希釈、1000mg/kg/日、PIの43日まで)。
【0137】
結果
(a)体重変化
ビヒクルおよびNA:GLAが与えられているCREAE感作マウスの平均体重は、非投与およびNA:NA処理マウスとは反対に、PIの1日および4日の間で減少した。
【0138】
症状の始まりおよび進行は、体重における劇的減少を引起こした。これは、PIの12日および22日の間で動物のすべてのグループに発生した。しかしながら薬剤処理動物についての体重減少は、非投与およびビヒクルグループについてよりも大きくなかった。
【0139】
PIの23日および31日の間で、すべてのグループの動物が体重増加を示した。これは神経障害の消失に対応していた。興味深いことに、非投与およびビヒクル処理動物とは反対に、PIの32日目から、再発期の症状の始まりおよび進行中に、NA:GLAおよびNA:NAの場合、体重は依然として上昇を続けた。
【0140】
(b)神経学的評点−CREAEの発病率および重症度
各々の処理における動物は、高度にCREAEの急性段階に冒されていた。NA:GLAが与えられているマウスは、NA:NA、非投与、およびビヒクル処理動物と比べて、症状のより短い持続期間を有していた(表13)。
【0141】
各グループにおけるほとんどすべての動物に再発があった(表14)。グループ間で症状の始まりの差はなかった。しかしながら症状の持続期間は、NA:NA、非投与、およびビヒクルグループと比べて、NA:GLA処理マウスの場合有意に減少していた。
【0142】
驚くべきことに、NA:NA処理動物は、より長期の症状の持続期間を示した。
【0143】
【表14】
【表15】
表15および16は、急性および再発性疾患の進行性症状を示す、非投与、ビヒクル、および化合物処理マウスの%割合を記載している。これらの結果は、NA:GLA処理動物における急性および再発性症状が、その他のマウスグループにおける疾患の発生と比べて減少していることを明らかに示している。さらにはNA:NA処理マウスによって示された症状は、ビヒクルが与えられている動物または非処理の動物が示す症状に似ているように思われる。
【0144】
非投与およびビヒクル処理マウスについての平均の神経学的評点は、最初の接種の2週間後に特徴的に増加した。NA:NA処理で得られた評点は、この疾患の急性期にある両方の対照グループとは異なっておらず、再発期においてわずかだけ低かった。これらの結果とは反対に、NA:GLAで処理された動物は、急性期および再発期の両方においてより低い評点を有していた。
【0145】
【表16】
【表17】
結論
非投与およびビヒクル処理グループについて得られた結果は、異なっておらず、ミグリオール810がこの病気の経過を変えないことを確認した。
【0146】
しかしながら慢性再発性EAE(CREAE)の神経的経過に対するNA:NAおよびNA:GLAの作用は、当初の評価とは異なっていた。
【0147】
驚くべきことにNA:NAは、CREAEの経過を有意には変えないようであった。このことは、急性EAEのラットモデルにおいて得られた結果とは対照的である。
【0148】
それにもかかわらずNA:GLAは、急性期および再発期の両方の間、神経障害の強度を明らかに低下させた。
【0149】
この調査によって本発明者らは、NA:GLAが両方のモデル、すなわちラットにおける急性EAEおよびマウスにおける慢性再発性EAEにおいて有効であると決定することができた。
【0150】
例9:生物学的評価からの動物の大脳脂質の脂肪酸組成
あるいくつかの生物学的評価を終了した時、ラットまたはマウスの大脳を抽出し、ラット/マウスの大脳からの総極性脂質の脂肪酸組成を測定した。
【0151】
これらの調査の目的は、大脳の中のネルボン酸レベルが、本発明のネルボン酸誘導体での処理後に増強されたかどうかを決定するためであった。
【0152】
生物材料を、スコットランドのスターリング大学、水栽培研究所のDr.J.Hendersenへ、分析のために送った。分析は2つの実験バッチに対して実施された(それぞれ例6および7に詳細に記載されている)。結果を下記に詳細に示す。
【0153】
結果
(a)NA:DHA/NA:GLA処理後のラットの大脳分析
表17は、ラットの大脳からの総極性脂質におけるネルボン酸(NA)含量を示しているが、これらの動物は急性EAE接種されたものである。
【0154】
【表18】
分析は、NA:DHA処理が、正常、非投与、およびビヒクル処理動物と比べて、ラットの大脳脂質におけるNAレベルを高めなかったことを示している。
【0155】
しかしながら低用量および高用量におけるNA:GLAでの処理後、大脳脂質におけるNAレベルの顕著な増加がある。
【0156】
(b)NA:NA/NA:GLA処理後のマウスの大脳分析
表18は、マウスの大脳からの総極性脂質におけるネルボン酸(NA)含量を示しているが、これらの動物は慢性再発性EAE(CREAE)接種されたものである。
【0157】
【表19】
分析は、非投与マウスおよびビヒクル処理マウスの大脳が、その脂質において同様なNAレベルを有することを示している。これに対して、NA:GLAおよびNA:NAは、大脳脂質におけるNAレベルの増強を示しており、これはNA:NA処理動物の場合さらに一層大きい。
【0158】
結論
DHAおよびGLAは血液−大脳バリヤーを通過するが、大脳分析から得られた結果は、これらの2つの脂肪酸がプロパン−1,3−ジオール誘導体の形態で異なった作用を行なうことを明確に確認している。すなわち、NA:DHAでの処理とは反対に、NA:GLAでの処理は、大脳脂質におけるNAレベルの増加を結果として生じ、これは、NAがNA:GLAの形態で血液−大脳バリヤーを横切ることを意味しうる。
【0159】
同様に、これらの誘導体の投与によって引起こされた大脳脂質におけるNAレベルの最大の増加が、NA:NA処理マウスから生じたことも注目に値する。このことは、血液−大脳バリヤーを横切るための、この化合物の構造中のプロパン−1,3−ジオール単位の重要性を証明している。
【0160】
最後に、これまで得られた結果によって本発明者らは、それぞれ急性および慢性再発性EAEのラットおよびマウスモデルにおいて活性を示したNA:GLAが、抗炎症性特性を有しており、大脳脂質中のネルボン酸含量を上昇させうるという結論に導かれる。
【0161】
実施例A:タブレット
【表20】
活性成分、ラクトース、およびデンプンを互いに混合する。これらの粉末を、精製水中のポビドン溶液を用いてグラニュール化する。これらのグラニュールを乾燥し、ステアリン酸マグネシウムを添加し、この混合物を圧縮して、1タブレットあたり100mgのタブレットを生じる。
【0162】
実施例B:軟膏組成物
【表21】
活性成分を小容積のビヒクル中に分散し、ついでビヒクルのバルク中に組込んで、滑らかな均質生成物を生じる。ついでコラプシブル金属チューブにこの分散物を満たす。
【0163】
実施例C:局所用クリーム組成物
【表22】
ポラワックス、蜜蝋、およびラノリンを共に60℃で加熱する。メチルヒドロキシベンゾエートの溶液を添加し、高速攪拌を用いて均質化が得られる。温度を50℃まで下げる。ついで活性成分を添加し、分散させる。この組成物を遅速攪拌で冷却しておく。
【0164】
実施例D:局所用ローション組成物
【表23】
メチルヒドロキシベンゾエートおよびグリセリンを、75℃で水70ml中に溶解する。ソルビタンモノラウレート、ポリソルベート(Plysorbate)20(商標)およびセトステアリルアルコールを、75℃で共に溶解し、水溶液に添加した。結果として生じたエマルジョンを均質化し、連続攪拌を行なって冷却し、活性成分を、残りの水中の懸濁液として添加する。懸濁液を均質化するまで攪拌する。
【0165】
実施例E:カプセル組成物
2部分から成るハードゼラチンカプセルに、活性成分50mg、ラクトース110mg、タルク32mg、およびステアリン酸マグネシウム8mgを充填して、カプセル調製する。
【0166】
実施例F:点眼薬組成物
【表24】
メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエートを、70ml精製水中に溶解し、結果として生じた溶液を冷却しておく。活性成分を添加し、この溶液を、膜フィルター(0.22μm細孔サイズ)を通す濾過によって滅菌し、適切な滅菌容器に詰める。
【0167】
実施例G:吸入による投与用組成物
15〜20mlの用量のエーロゾル容器の場合、活性成分(10mg)を、推進剤、例えばフレオン(Freon)(商標)中、好ましくは1,2−ジクロロエテンとジフルオロクロロメタンとの組合わせ中の潤滑剤、例えばポリソルベート85(商標)またはオレイン酸またはこれらの混合物0.2〜0.2%と混合し、この混合物を、吸入投与に適合した適切なエーロゾル容器の中に入れる。
【0168】
実施例H:吸入による投与のための組成物(アルコール溶液)
15〜20mlの容量のエーロゾル容器の場合、活性成分(10mg)をエタノール(6〜8ml)中に溶解し、潤滑剤、例えばポリソルベート85(商標)0.1〜0.2%を添加し、推進剤、例えばフレオン(商標)中、好ましくは1,2−ジクロロエテンとジフルオロクロロメタンとの組合わせ中に分散し、この混合物を、鼻腔または口腔吸入投与に適合した適切なエーロゾル容器の中に入れる。
【0169】
実施例I:注射可能な非経口組成物
プロピレングリコールおよび水中で活性成分1.5重量%を攪拌して、注射剤を調製する。溶液を濾過によって滅菌する。
【0170】
実施例J:経口組成物
活性成分(NA:NAおよび/またはNA:GLA)10部とエチルオレエート90部とを混合し、その結果エチルオレエート中脂質の10%希釈を生じて、経口組成物が調製される。
Claims (17)
- カルボン酸が直鎖であり、モノ−およびポリ−不飽和脂肪酸から成る群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
- Rが1〜6個の炭素−炭素二重結合を有するC18〜C24モノ−またはポリ−不飽和脂肪酸の残基である、請求項1又は2に記載の化合物。
- Rがネルボン酸(24:1(n−9))、ドコサヘキサエン酸(22:6(n−3))又はγ−リノレン酸(18:3(n−6))の残基(ここで、(n−x)中のxは、脂肪酸の末端メチル基に対する第一の二重結合の位置を示す)である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物。
- 1−(z−15−テトラコセノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン;1−(z−15−テトラコセノイルオキシ)−3−(z,z,z,−6,9,12−オクタデカトリエノイルオキシ)プロパン(以後NA:GLAと言う);1−(z−15−テトラコセノイルオキシ)−3−(z−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイルオキシ)プロパン(以後NA:DHAと言う);および1,3−ジ−(z−15−テトラコセノイルオキシ)プロパン(以後NA:NAと言う)から選択される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物。
- 前記化合物が水和物の形態である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化合物。
- 式(IA)の化合物は、塩基の存在下においてネルボン酸の酸塩化物(すなわちCH3−(CH2)7−CH=CH−(CH2)13−COCl)とプロパン−1,3−ジオールとの反応により調製される、請求項7に記載の方法。
- エステル化反応(b)における条件は次亜リン酸の存在を含み、任意に不活性雰囲気下において加熱還流される、請求項7または8に記載の方法。
- 治療に使用される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物。
- 抗炎症剤及び/又は免疫調節剤として使用される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物。
- 非毒性的有効量の請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物と薬理学的に許容しうるキャリヤーを含有する薬理学的組成物。
- キャリヤーがエチルオレエートを含有する、請求項12に記載の組成物。
- 化合物がNA:NA及び/又はNA:GLAである、請求項12または13に記載の組成物。
- 化合物がNA:DHAである、請求項12または13に記載の組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物をその薬学的に許容しうるキャリヤーと組み合わせることを含む、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の組成物の調製方法。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の方法により調製された請求項1乃至6の何れか1項に記載の化合物。
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