JP3992848B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷電粒子線装置、特にマウス等のポインティングデバイスを操作してコントラスト及びブライトネスを調整するタイプの、走査電子顕微鏡等の荷電粒子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
荷電粒子線装置の一つである走査電子顕微鏡においては、試料像の像質を改善するために、電子線を試料上で最も細くするための焦点調整、非点収差を補正する非点収差補正調整、画像のコントラスト(明暗比)、ブライトネス(輝度)等の調整、倍率の設定、その他さまざまな調整を行う必要がある。これらの調整は、スイッチ、回転式つまみ等を備えた操作パネルを用いて行うのが普通であったが、近年、パーソナルコンピュータを構成要素とし、一般的なコンピューターアプリケーションソフトウェアと同じく、グラフィカルユーザーインターフェース機能を利用して行うようになってきている。これは、マウスなどのポインティングデバイスで、画面上に表示されている、ボタン、スライドバーなどを操作し、その操作を電気的信号に変換して装置を制御するものである。このようなグラフィカルユーザーインターフェース機能を利用した走査電子顕微鏡の例が特開平8−287860号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、複数の検出器を備えた場合に複数の検出器で検出した信号から生成する画像を切替えながら観察する際のコントラストやブライトネスを調整する操作性の点に考慮されておらず、検出器を切替えるたびにコントラストやブライトネスを再調整する必要があった。
【0004】
例として二次電子検出器と反射電子検出器とを備えた走査電子顕微鏡について説明する。反射電子検出器は、二次電子検出器に比べて検出感度が低く、焦点が合った状態でないと画像として認識しにくいが、試料表面の情報を詳細に検出できる利点がある。一方、二次電子検出器は反射電子検出器に比べて検出感度が高く焦点が合った状態でなくとも画像として認識できる利点があり、視野移動や焦点合わせの際に用いられる。
【0005】
図12はそのような利点を活かした従来の試料観察の操作フローを示す。まず、二次電子検出器を選択し(S121)、像表示器に試料の二次電子像を表示する。次に、試料の移動(視野移動)や倍率の調整(S122)、さらに、ブライトネス、コントラスト、焦点等の調整(S123)を行う。希望する視野が選択されたかどうかの判断がなされ(S124)、「No」ならば元に戻って同じステップが繰り返される。一般的には、観察視野の設定までには、低倍率から高倍率にして調整を実施するために何回かの調整が発生する。
【0006】
観察視野の設定が終わると、すなわち希望する視野が選択されたかどうかの判断結果が「Yes」ならば試料の反射電子像を表示するように反射電子検出器を選択する(S125)。検出器の切替えを実施すると検出器の感度の違いから再度ブライトネス、コントラストを調整する必要がある(S126)。適切なブライトネス、コントラストが得られると観察や写真撮影を行う(S127)。一つの観察視野での操作が終了すると次の観察視野に移行するかどうかの判断がなされ(S128)、その結果が「Yes」ならば以上と同様のステップが繰り返され、「No」ならばそれで終了都なる。
【0007】
このような操作において、検出器を切替える際に検出器の感度の違いのためコントラストとブライトネスが変化してしまい、コントラストとブライトネスを再度調整する必要があり、いくつもの観察位置を観察する場合に非常に煩わしいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、検出系の切替え時にコントラスト及び/又はブライトネスを再調整することがない操作性のすぐれた荷電粒子線装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、複数の検出系で生成される信号にもとづく像の関係がわかりやすい荷電粒子線装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、荷電粒子線を放出させる荷電粒子線源と、試料を前記荷電粒子線で走査する走査器と、その走査によって前記試料から得られる情報を検出して前記試料を特徴付ける複数の信号を別々に生成する複数の検出系と、ポインティングディバイスを含むコンピュ−タと、信号選択器と、前記コンピュ−タによって制御される像表示器と、前記ポインティングディバイスの操作に応答して、前記複数の検出系のうちの任意の検出系を選択してその選択された検出系で生成された信号にもとづく前記試料の像を前記像表示器に表示するように前記信号選択器を制御するとともに、前記選択された検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスと前記複数の検出系のうちの前記選択された検出系以外の検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスとの各コントラスト同士又は各ブライトネス同士を、それぞれ連動して調整すると共に、前記コントラストとブライトネスとを互いに独立に調整する、前記コンピュ−タによって制御される制御器とを含むことを特徴とする。
【0011】
又、本発明は、荷電粒子線を放出させる荷電粒子線源と、試料を前記荷電粒子線で走査する走査器と、その走査によって前記試料から得られる情報を検出して前記試料を特徴付ける複数の信号を別々に生成する複数の検出系と、ポインティングディバイスを含むコンピュ−タと、信号選択器と、前記コンピュ−タによって制御される像表示器と、前記ポインティングディバイスの操作に応答して、前記複数の検出系のうちの少なくとも二つの検出系を選択してその選択された検出系で生成された信号にもとづく前記試料の像を前記像表示器に別々の表示領域に表示するように前記信号選択器を制御するとともに、前記複数の検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスを、前記選択された検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスとの各コントラスト同士又は各ブライトネス同士を、それぞれ連動して調整すると共に、前記コントラストとブライトネスとを互いに独立に調整する、前記コンピュ−タによって制御される制御器とを含むことを特徴とする。
本発明の他の観点においては、荷電粒子線を放出させる荷電粒子線源と、試料を前記荷電粒子線で走査する走査器と、その走査によって前記試料から得られる情報を検出して前記試料を特徴付ける複数の信号を別々に生成する複数の検出系と、ポインティングディバイスを含むコンピュ−タと、信号選択器と、前記コンピュ−タによって制御される像表示器と、前記ポインティングディバイスの操作に応答して、前記複数の検出系のうちの任意の検出系を選択してその選択された検出系で生成された信号にもとづく前記試料の像を前記像表示器に表示するように前記信号選択器を制御する、前記コンピュ−タによって制御される制御器とを含み、前記像表示器は前記選択された検出系で生成された信号の像に加えて前記選択された検出系生成された信号についての自動調整ボタンと前記複数の検出系のうちの前記選択された検出系以外の検出系で生成された信号についての自動調整ボタンとを表示し、前記制御器は、前記ポインティングデバイスを操作して前記自動調整ボタンのうちの一つ以上の自動調整ボタンを選択したとき、その選択に応答して、その選択された一つ以上の自動調整ボタンに対応する信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスを自動調整することができる。
【0012】
更に別の観点においては、荷電粒子線を放出させる荷電粒子線源と、試料を前記荷電粒子線で走査する走査器と、その走査によって前記試料から得られる情報を検出して前記試料を特徴付ける複数の信号を別々に生成する複数の検出系と、ポインティングディバイスを含むコンピュ−タと、信号選択器と、前記複数の検出系で生成された信号の合成信号を生成する合成器と、前記複数の検出系で生成された信号及び前記合成信号にもとづく前記試料の像を前記像表示器の別々の表示領域に表示する、前記コンピュ−タによって制御される像表示器と、前記表示された複数の信号については、前記ポインティングディバイスの操作に応答して、個別にコントラスト及び/又はブライトネスを調整する、前記コンピュ−タによって制御される制御器とを含むことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明にもとづく荷電粒子線装置の第1の実施例の全体構成を概略的に示したもので、走査電子顕微鏡が荷電粒子線装置として用いられている例である。 走査電子顕微鏡本体(鏡体部)1は、電子源2、第1の収束レンズ5、非点収差補正コイル6、偏向コイル7、第2の収束レンズ8、二次電子検出器9、反射電子検出器10、走査電子顕微鏡制御装置12等を含む。ここでは二次電子検出器を第1の検出器として、反射電子検出器を第2の検出器として用いるという、2つの検出器を備えている例を示すが、X線検出器や蛍光検出器等の検出器を備えてもよいし、また、同種の検出器を複数個備えてもよい。さらに、2個の例を示したが、数はもっと多くてもよい。
【0014】
走査電子顕微鏡制御装置12は、電子線制御部13、第1の増幅器15、第2の増幅器16、スイッチ17、画像メモリ18及び各構成要素を制御するシステム制御手段14等で構成される。さらに、文字入力装置であるキーボード20、ポインティングデバイスであるマウス21、陰極線管等の画像表示器22を含むコンピュータ19が備えられている。
【0015】
電子銃2から放出された電子線3を電子線絞り4を通って第1の集束レンズ5及び第2の収束レンズ8によって試料11に収束され、かつ偏向コイル7を用いて試料11は収束された電子線3によって二次元的に走査される。また、電子線3の非点収差は非点収差補正コイル6を用いて補正される。電子線3のそれらの制御は、走査電子顕微鏡制御装置12のシステム制御手段14が、高圧電源、レンズ電源、偏向アンプなどで構成する電子線制御部13を制御することによって行う。試料11が電子線3で照射されると、試料11から二次電子が発生する。この二次電子を検出して電気信号に変換するものが二次電子検出器9である。また、試料11が電子線3で照射されると、試料11から反射電子が発生する。この反射電子を検出して電気信号に変換するものが反射電子検出器10である。
【0016】
第1の増幅器15と第2の増幅器16は、接続される二次電子検出器9と反射電子検出器10が発生する信号に対して増幅とバイアスの加算を行う。この場合の増幅度(ゲイン)とバイアス値が画像を生成した際のコントラストとブライトネスに比例する。スイッチ17は二つの検出器の一方の信号を選択して画像メモリ18に出力する。画像メモリ18は、アナログ信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバータ、画像データを記憶するメモリなどで構成され、走査信号に同期して入力される検出器の出力信号から像データを生成する。コンピュータ19は、画像メモリ18から転送されてくる画像データを像表示器22に表示する。また、コンピュータ19は、像表示器22に操作画面を表示し、キーボード20やマウス21の操作信号をシステム制御手段14に与える。システム制御手段14は操作信号に従い各構成要素を制御する。
【0017】
このような構成の走査電子顕微鏡において、二次電子検出器9の信号を用いて試料11の視野移動や焦点合わせ調整を行った後、反射電子検出器10の信号を用いて試料11の表面の観察を行う際の動作を以下に説明する。まず、画像表示器22に表示した操作画面をキーボード20やマウス21を用いた所定の手順に従って操作し、試料11を電子線3で照射し、走査する。次に、像表示器22に画像を表示し、コントラストとブライトネスの調整を行う。
【0018】
図2は第1の実施例における操作画面の第1の例を示すもので、像表示器22に画像表示領域30、そこに表示する信号を選択するスイッチ31、コントラストを調整するスライドバー32、ブライトネスを調整するスライドバー33及びマウスカーソル35を表示している。また、この図では省略されているが、フォーカスや非点収差補正を調整するスライドバーなども表示される。
【0019】
信号選択スイッチ31のポップアップメニューから二次電子を選択するとコンピュータ19はシステム制御手段14に操作信号を与える。システム制御手段14は、スイッチ17を二次電子検出器9の信号を画像メモリ18に与えるように切替え、画像メモリ18は、二次電子像の画像データを生成する。さらに、画像データをコンピュータ19に転送し、コンピュータ19は画像表示器22の画像表示領域30に二次電子像を表示する。表示する二次電子像のコントラストの調整は、像表示器22に表示したスライドバー32で行う。すなわち、マウス21を操作してマウスカーソル35をスライドバー32のつまみの上に移動し、マウスボタンを押し続けたままマウスを移動させるドラッグという操作を行うことでスライドバー32のつまみが移動し、その操作動作に従った操作信号をコンピュータ19がシステム制御手段14に与える。システム制御手段14は、表示選択されている二次電子検出器9の信号を増幅する増幅器15の増幅度及び選択表示されていない反射電子検出器10の信号を増幅する増幅器16の増幅度を連動して変化させる。増幅度が変化し、信号の振幅が変化するとコントラストが変化する。同様にブライトネスの調整もスライドバー33を操作することで表示選択している二次電子検出器9の増幅器15のバイアス値及び選択表示されていない反射電子検出器10の信号を増幅する増幅器16のバイアス値を連動して変化させる。バイアス値が変化し、信号のバイアスが変化するとブライトネスが変化する。このように像のコントラストやブライトネスを調整した後、二次電子像で観察したい位置合わせや焦点合わせを調整する。
【0020】
次に、操作画面の信号選択スイッチ31を二次電子から反射電子に切替える。増幅器16の増幅度及びバイアス値は増幅器15のそれらを調整するとき連動して調整したので、コンピュ−タ19は、二次電子から反射電子への切替えと同時に二次電子像の表示のときと同じコントラスト及びブライトネスをもって試料11の反射電子像を像表示器22に表示する。
【0021】
このように、検出器を切替えるごとにコントラスト及びブライトネスを調整し直す必要がないため、その操作の面倒さが解消され、かつスライドバーを個々の検出器ごとにもつ必要がなくなるので、操作のさらなる単純化が図られるとともに、像表示器22の表示領域の有効利用が図られる。
【0022】
画像表示領域30内にマウスカーソル35を移動させてマウス21の左ボタンを押しながら左右に移動させることでコントラストが、右ボタン押しながら左右に移動させることでブライトネスが調整できるようにしてもよい。このようにすれば、コントラストやブライトネスを調整するスライドバーを表示する必要もなくなり、表示器22の表示領域をさらに有効的に利用できる。
【0023】
図3は第1の実施例における操作画面の第2の例を示すもので、二つの検出器の信号を表示する像表示領域として第1の像表示領域30aと第2の像表示領域30bの2つを備えている。また、それぞれの像表示領域に表示する信号を選択するために第1の信号選択スイッチ31aと第2の信号選択スイッチ31bの2つが備えられている。ここでは、二次電子検出器の信号と反射電子検出器の信号をそれぞれ選択している。
【0024】
さらに、第1の実施例について述べたような像表示領域内にマウスカーソル35を移動させてマウス21の左ボタンを押しながら左右に移動させることでコントラストを調整できる。また、右ボタン押しながら左右に移動させることでブライトネスが調整できる。この操作を像表示領域31a内で操作した場合には、像表示領域31aの表示選択している二次電子検出器9の信号を増幅している増幅器15の増幅度及びバイアス値を制御し、像表示領域31b内で操作した場合には、像表示領域30bの表示選択している反射検出器10の信号を増幅している増幅器16の増幅度及びバイアス値を制御することができる。
【0025】
この例では、マウス21のボタンをドラッグしながらの増幅度及びバイアス値の調整を像表示領域31a及び31bのいずれにおいても行う場合ことができるが、この場合、それぞれの検出器に接続された増幅器の増幅度及びバイアス値の調整は互いに連動して行われる。従って、この例においても、操作画面の第1の例に関連して説明したと同じ効果を期待することができる。
【0026】
図4は本発明の他の観点に基づく荷電粒子線装置の主要部の構成をブロック形式で示したもので、図1に示されるそれと異なる点はコントラスト及び/又はブライトネスを自動調整する自動調整手段23を備えていることである。この例も走査電子顕微鏡が荷電粒子線装置として用いられている例である。図示が省略されている鏡体部分は図1に示される実施例と同じである。
【0027】
この自動調整手段23を備えた例では、図5に示される動作例のように、コントラストの自動調整としては、検出器からの信号を増幅する増幅器の、1フレームの画像が得られる間の出力信号を測定して、その最大値が制御手段14において設定されている目標値に一致するように増幅器の増幅度が調整され、また、ブライトネスの自動調整としては、検出器からの信号を増幅する増幅器の、1フレームの画像が得られる間の出力信号を測定して、その平均値が制御手段14において設定されている目標値になるように増幅器のバイアス値が調整される。増幅度とバイアス値の両者が目標値に一致すると自動調整が終了する。
【0028】
図6は図4の自動調整手段23の構成例を示す。これは、最大値検出回路41、43、平均値検出回路42、44、検出信号を選択するスイッチ45、A/Dコンバータ46で構成している。制御手段14は、最大値検出回路41、43、平均値検出回路42、44が検出した値をスイッチ45を切替えながらA/Dコンバータ46でディジタル値に変換し読取り目標値に一致するように増幅器15、16の増幅度とバイアス値を設定する。
【0029】
図7は自動調整手段23を備えた操作画面の例を示す図で、図1で説明したスライドバ−32及び33に加えて、表示選択している信号に対して自動調整する表示選択信号自動調整ボタン36と表示選択していない信号に対して自動調整する表示未選択信号自動調整ボタン37を備えている。ただし、スライドバ−32及び33は図示が省略されている。表示選択信号自動調整ボタン36上にマウスカーソル35を移動させてマウス21のボタンをクリックすると、1回の自動調整を実行する。従って、観察視野を変えた場合は、その都度ボタンクリックが必要である。また、マウスのボタンをダブルクリックすると、観察視野を変えた場合でも、連続的に自動調整を実行する。表示選択していない信号に対する表示未選択信号自動調整ボタン37も同様な処理を実行する。
【0030】
このような構成において、二次電子検出器9の信号を用いて観察視野の選択やや焦点合わせを行った後、反射電子検出器10の信号を用いて試料11の表面の観察を行う際に、操作画面の表示選択している自動調整ボタン36及び表示選択していない自動調整ボタン37の両方とも連続的な自動調整に設定することで、手動のコントラストとブライトネスの調整の必要がなくなり操作が単純化される。表示選択を切替えた際も表示選択されていない検出器の信号が自動調整されているため、切替えた瞬間から見やすい画像となる。
【0031】
図8は自動調整手段23を備えた例における、以上に説明した試料観察の操作フローを示す。
【0032】
まず、二次電子検出器9を選択し(S81)、像表示器22に二次電子像を表示する。次に、試料の移動(視野選択)や倍率の調整を行い(S82)、さらに、ブライトネス、コントラストの調整を行う(S83)。焦点調整もこの段階で行うとよい。この後希望する観察視野かどうかの判断がなされ、その結果が「No」ならばステップS82に戻る。実際には観察視野の設定までには、通常、低倍率から高倍率にして調整を実施するために何回かの調整が発生する。すなわち、ステップS82〜S84のステップは何回か繰り返される。観察視野の設定が終わると、すなわち、ステップS84の結果が「Yes」ならば、反射電子像を表示するように反射電子検出器10を選択する(S85)。検出器の切替えを実施しても再度ブライトネス、コントラストを調整する必要がなく、そのまま観察や写真撮影を行ことができる。
【0033】
ただし、上述した自動調整のアルゴリズムでは、観察する試料や構図によって最適なコントラストとブライトネスに調整できない場合がある。そのような場合には、自動調整ボタン36と自動調整ボタン37で自動調整を解除して手動で調整することも可能である。
【0034】
また、表示選択した信号に対しては、自動調整を解除して手動で調整するよう設定し、表示選択していない信号に対しては、自動調整を行う設定にすると自動調整の目標値が表示選択した信号の調整後の設定値となるように制御を行う。すなわち、二次電子検出器9を表示選択し、反射電子検出器10の表示選択をしない場合に、自動調整手段23は、二次電子検出器9の信号を増幅する増幅器15の1フレームの画像が得られる間の出力信号を測定し、その最大値と最小値の振幅値を求める。さらに、反射電子検出器10の信号を増幅する増幅器16の1フレームの画像が得られる間の出力信号を測定し、その最大値と最小値の振幅値が、二次電子検出器9の信号から得た値に一致するように増幅器16の増幅度を調整するよう動作する。これにより、表示信号を二次電子から反射電子に切替えても反射電子像のコントラストは、手動で調整した二次電子像のコントラストと同じになり、再調整する必要がなくなる。ブライトネスの調整もまったく同様にして行うことができる。
【0035】
図9は更に別の観点に基づく複数の検出器の信号を合成する信号合成部を備えた荷電粒子線装置の主要部の構成をブロック形式で示したもので、この例も走査電子顕微鏡が荷電粒子線装置として用いられている例である。図示が省略されている鏡体部分は図1に示される実施例と同じである。
【0036】
図10は図9の信号合成部の回路図である。図10に示すように、信号合成部24は、制御可能なボリューム51、増幅器52によって構成される。制御可能なボリューム51は、A/Dコンバータ等によって構成することが一般的である。増幅器15で増幅した二次電子検出器9の信号と増幅器16で増幅した反射電子検出器の信号を合成した信号はスイッチ17を経て画像メモリ18に与える。合成比Xはボリューム51の全体の抵抗R0と増幅器15の出力に接続される抵抗R1の比で、システム制御手段14から与えられる。ボリューム51と増幅器52の構成から、出力V0はV0=X(V2−V1)+V1で求められる。もちろん、増幅器15及び16の各々の出力はその入力値と増幅度との積と、バイアス値との和である。
【0037】
図11は前述の信号合成部を備えた荷電粒子線装置における操作画面の例で、複数の検出器からの信号を表示する像表示領域として第1の像表示領域30a、第2の像表示領域30b、第3の像表示領域30cの3つを備えている。ここでは3つの画像表示領域を示しているが、それ以上であってもよい。また、それぞれの画像表示領域に表示する信号を選択するために第1の信号選択スイッチ31aと第2の信号選択スイッチ31bと第3の信号選択スイッチ31cの3つを備えている。ここでは、二次電子検出器9の信号と反射電子検出器10の信号とその2つの信号を合成した信号をそれぞれ選択している。信号選択スイッチ31a、31bを操作した場合には、実施例1の説明で述べたように像表示領域内にマウスカーソル35を移動させてマウス21の左ボタンを押しながら左右に移動させることでコントラストが調整できる。また、右ボタン押しながら左右に移動させることでブライトネスが調整できる。また、信号選択スイッチを操作した場合には、この操作によって合成比を調整することができる。これにより、複数の信号の関係がわかりやすくなる。
【0038】
以上の実施例では荷電粒子線として電子線が用いられているが、荷電粒子線としてイオンビ−ムを用いる場合にも適用可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、検出系の切替え時にコントラスト及びブライトネスを再調整することがない操作性のすぐれた荷電粒子線装置が提供される。
【0040】
本発明によれば、複数の検出系で生成される信号にもとづく像の関係がわかりやすい荷電粒子線装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の荷電粒子線装置の全体概略構成図。
【図2】本発明の荷電粒子線装置の操作画面の第1の例を示す図。
【図3】本発明の荷電粒子線装置の操作画面の第2の例を示す図。
【図4】本発明のコントラスト及び/又はブライトネスを自動調整する自動調整手段を備えた荷電粒子線装置の主要部の構成をブロック形式で示す図。
【図5】本発明のコントラスト及び/又はブライトネスを自動調整する自動調整手段を備えた荷電粒子線装置の動作原理説明図。
【図6】図4の自動調整手段の構成例を示す図。
【図7】本発明の自動調整手段を備えた荷電粒子線装置の操作画面の例を示す図。
【図8】本発明の自動調整手段を備えた荷電粒子線装置の試料観察の操作フローを示す図。
【図9】本発明の複数の検出器の信号を合成する信号合成部を備えた荷電粒子線装置の主要部の構成をブロック形式で示す図。
【図10】図9の信号合成部の回路図。
【図11】本発明の複数の検出器の信号を合成する信号合成部を備えた荷電粒子線装置の操作画面を示す図。
【図12】従来の試料観察の操作フローを示す図。
Claims (5)
- 荷電粒子線を放出させる荷電粒子線源と、試料を前記荷電粒子線で走査する走査器と、その走査によって前記試料から得られる情報を検出して前記試料を特徴付ける複数の信号を別々に生成する複数の検出系と、ポインティングディバイスを含むコンピュ−タと、信号選択器と、前記コンピュ−タによって制御される像表示器と、前記ポインティングディバイスの操作に応答して、前記複数の検出系のうちの任意の検出系を選択してその選択された検出系で生成された信号にもとづく前記試料の像を前記像表示器に表示するように前記信号選択器を制御するとともに、前記選択された検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスと前記複数の検出系のうちの前記選択された検出系以外の検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスとの各コントラスト同士又は各ブライトネス同士を、それぞれ連動して調整すると共に、前記コントラストとブライトネスとを互いに独立に調整する、前記コンピュ−タによって制御される制御器とを含むことを特徴とする荷電粒子線装置。
- 請求項1において、前記像表示器は前記選択された検出系で生成された信号にもとづく像に加えてスライドバ−を表示し、前記制御器は、前記ポインティングデバイスを操作して前記スライドバ−を移動させることに応答して前記コントラスト及びブライトネスを調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
- 請求項1において、前記制御器は、前記ポインティングデバイスを操作してそのカ−ソルを前記像上で移動させることに応答して前記コントラスト及びブライトネスを調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
- 荷電粒子線を放出させる荷電粒子線源と、試料を前記荷電粒子線で走査する走査器と、その走査によって前記試料から得られる情報を検出して前記試料を特徴付ける複数の信号を別々に生成する複数の検出系と、ポインティングディバイスを含むコンピュ−タと、信号選択器と、前記コンピュ−タによって制御される像表示器と、前記ポインティングディバイスの操作に応答して、前記複数の検出系のうちの少なくとも二つの検出系を選択してその選択された検出系で生成された信号にもとづく前記試料の像を前記像表示器に別々の表示領域に表示するように前記信号選択器を制御するとともに、前記複数の検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスを、前記選択された検出系で生成された信号についてのコントラスト及び/又はブライトネスとの各コントラスト同士又は各ブライトネス同士を、それぞれ連動して調整すると共に、前記コントラストとブライトネスとを互いに独立に調整する、前記コンピュ−タによって制御される制御器とを含むことを特徴とする荷電粒子線装置。
- 請求項4において、前記制御器は、前記どちらかの表示領域に表示される像を観察しながら前記ポインティングデバイスを操作することに応答して前記コントラスト及びブライトネスを調整することを特徴とする荷電粒子線装置。
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