JP2004220988A - 電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、実際に取得する観察像と同じ条件で、最適な観察像を得るためのサンプル画像としての仮観察像を短時間に得ることができる電子顕微鏡等を提供する。
【解決手段】電子顕微鏡は、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する。電子顕微鏡は、例えば、走査領域を複数の分割領域A,B,C,Dに分割し、分割領域毎に複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示する。複数の異なる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータから設定される。このように取得した仮観察像から所望の画像を指定することによって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザであっても最適な像観察条件を自動的に設定することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】電子顕微鏡は、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する。電子顕微鏡は、例えば、走査領域を複数の分割領域A,B,C,Dに分割し、分割領域毎に複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示する。複数の異なる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータから設定される。このように取得した仮観察像から所望の画像を指定することによって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザであっても最適な像観察条件を自動的に設定することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走査型、透過型等の電子顕微鏡およびその操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムならびにコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、微小物体を拡大する拡大観察装置として、光学レンズを使った光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等の他、電子レンズを使った電子顕微鏡が利用されている。電子顕微鏡は、電子の進行方向を自由に屈折させ、光学顕微鏡のような結像システムを電子光学的に設計したものである。電子顕微鏡には、試料や標本を透過した電子を電子レンズを用いて結像する透過型の他、試料表面で反射した電子を結像する反射型、収束電子線を試料表面上に走査して各走査点からの二次電子を用いて結像する走査型電子顕微鏡、加熱あるいはイオン照射によって試料から放出される電子を結像する表面放出型(電界イオン顕微鏡)等がある。
【0003】
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)は、対象となる試料に細い電子線(電子プローブ)を照射した際に発生する二次電子や反射電子を、二次電子検出器、反射電子検出器等それぞれの検出器を用いて取り出し、ブラウン管やLCD等の表示画面上に表示して、主として試料の表面形態を観察する装置である。一方、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)は、薄膜試料に電子線を透過させ、その際に試料中で原子により散乱、回折された電子を電子回折パターンまたは透過電顕像として得ることによって主に物質の内部構造を観察できる。
【0004】
電子線が固体試料に照射されたとき、電子のエネルギーによって固体中を透過するが、その際に試料を構成する原子核や電子との相互作用によって弾性的な衝突、弾性散乱やエネルギー損失を伴う非弾性散乱を生じる。非弾性散乱によって試料元素の殻内電子を励起したり、X線等を励起したり、また二次電子を放出し、それに相当するエネルギーを損失する。二次電子は衝突する角度によって放出される量が異なる。一方、弾性散乱によって後方に散乱し、試料から再び放出される反射電子は、原子番号に固有の量が放出される。SEMはこの二次電子や反射電子を利用する。SEMは電子を試料に照射し、放出される二次電子や反射電子を検出して観察像を結像している。
【0005】
一般に、SEMやTEM等の電子顕微鏡は光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等他の拡大観察装置に比べ、設定・調整項目が多く、その操作手順が分かり難い。そのためSEMの操作を支援する技術も開発されているが(例えば特許文献1)、一般にはSEMの操作は熟練した専門のオペレータが行うことが多い。
【0006】
このような状況に鑑みて本出願人は、電子顕微鏡の操作に不慣れな初心者でも操作でき観察画像が得られるように、プレビュー機能を実行可能なプレビューステップを含む複数のステップからなる操作手順を誘導可能な電子顕微鏡を開発した(特願2002−108931号)。プレビュー機能は、フローチャート等のガイダンスに従って複数の異なる簡易像観察条件を自動生成し、各条件に基づいて簡易的に複数の簡易観察像を結像し表示部に表示する。この方法によれば、初心者であってもガイダンスに従って必要な設定項目を順に設定し、複数の簡易観察像に基づいて適切な像観察条件を選択することができ、良好な観察画像を取得できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−338603号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のプレビュー機能による簡易観察像は、結像に要する時間の短縮等のためにスキャン速度(走査速度)を速くしており、そのため簡易観察像と実際に取得する観察像との間でチャージやコントラスト、ブライトネスの条件が異なるという問題があった。このため、簡易像観察条件が厳密な像観察条件とは一致しないことがあった。
【0009】
また、上記のプレビュー機能による簡易観察像では、予め設定された複数の簡易像観察条件による離散的な条件による簡易観察像しか得ることができず、連続的な条件変化を行うことができなかった。よって各簡易像観察条件間の中間条件による簡易観察像を得ようとするには、再度観察条件を調整して像観察を行う必要があり、さらに手間と時間がかかるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、実際に取得する観察像と同じ条件で、最適な観察像を得るためのサンプル画像としての仮観察像を短時間に得ることができる電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載される電子顕微鏡は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡である。この電子顕微鏡は、走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定するための像観察条件設定部と、前記像観察条件設定部の設定に従って分割領域毎に異なる像観察条件で試料表面の所望の走査領域を走査し仮観察像を結像するための結像部とを備えることを特徴とする。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の電子顕微鏡はさらに、請求項1に加えて、前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択するための指定部を備えている。この電子顕微鏡は、前記指定部で選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域を走査することで結像部が観察像を結像し表示部に表示可能に構成してなることを特徴とする。例えば、仮観察像上で所望の位置を指定することで、指定された位置における像観察条件を取得可能であり、さらに取得された像観察条件に設定し直して観察像を結像することができる。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項3に記載の電子顕微鏡は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能である。この電子顕微鏡は、走査中に像観察条件を連続的に変化させる条件を設定するための像観察条件設定部と、前記像観察条件設定部の設定に従い試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像するための結像部とを備えることを特徴とする。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の電子顕微鏡はさらに、請求項3に加えて、前記像観察条件設定部の設定に従い前記像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の所望の走査領域を走査することで得られた仮観察像上の所望の位置を指定するための指定部を備えている。この電子顕微鏡は、前記指定部で指定された仮観察像の位置に対応する像観察条件に固定して試料の表面の走査領域を走査することで結像部が観察像を結像し表示部に表示可能に構成してなることを特徴とする。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、撮像された仮観察像の各部位を対比しながら位置を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0015】
さらにまた、本発明の請求項5に記載の電子顕微鏡は、請求項1から4のいずれかに加えて、像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする。条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。この構成によって、像観察条件を変化させる範囲を特定できるので、条件の絞り込みや最適化などに便利に使用できる。
【0016】
さらにまた、本発明の請求項6に記載の電子顕微鏡は、請求項1から5のいずれかに加えて、像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする。この構成によって、ユーザは画質に大きな影響を与えるこれらのパラメータを意識することなく、複数の異なる像観察条件に対応する分割領域の観察像の画質から所望の画質の観察像を得ることができる。
【0017】
また、本発明の請求項7に記載の電子顕微鏡の操作方法は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能である。この電子顕微鏡の操作方法は、走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定するステップと、分割領域毎に異なる像観察条件で結像しながら試料表面の所望の走査領域の仮観察像を結像するステップとを備えることを特徴とする。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0018】
また、本発明の請求項8に記載の電子顕微鏡の操作方法はさらに、請求項7に加えて、前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択するステップと、選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域の観察像を結像するステップとを備えることを特徴とする。例えば、仮観察像上で所望の位置を指定することで、指定された位置における像観察条件を取得可能であり、さらに取得された像観察条件に設定し直して観察像を結像することができる。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の請求項9に記載の電子顕微鏡の操作方法は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作方法である。この方法は、像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像することを特徴とする。この方法は、例えば像観察条件の初期値および変化させるパラメータを設定し、設定に基づいて像観察条件を連続的に変化させながら観察像を順次取得し、試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像し、表示部に表示する。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0020】
また、本発明の請求項10に記載の電子顕微鏡の操作方法はさらに、請求項9に加えて、前記像観察条件を連続的に変化させて得られた仮観察像の所望の位置を指定するステップと、指定された仮観察像の位置における像観察条件に固定して試料表面の所望の走査領域を走査することで観察像を結像するステップとを備えることを特徴とする。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、撮像された仮観察像の各部位を対比しながら位置を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の請求項11に記載の電子顕微鏡の操作方法は、請求項7から10のいずれかに加えて、像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする。条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。この構成によって、像観察条件を変化させる範囲を特定できるので、条件の絞り込みや最適化などに便利に使用できる。
【0022】
さらにまた、本発明の請求項12に記載の電子顕微鏡の操作方法は、請求項7から11のいずれかに加えて、像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする。この構成によって、ユーザは画質に大きな影響を与えるこれらのパラメータを意識することなく、複数の異なる像観察条件に対応する分割領域の観察像の画質から所望の画質の観察像を得ることができる。
【0023】
また、本発明の請求項13に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定する機能と、分割領域毎に異なる像観察条件で結像しながら試料表面の所望の走査領域の仮観察像を結像する機能とを実現させる。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0024】
また、本発明の請求項14に記載の電子顕微鏡の操作プログラムはさらに、請求項13に加えて、コンピュータに、前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択する機能と、選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域の観察像を結像する機能とを実現させることを特徴とする。例えば、仮観察像上で所望の位置を指定することで、指定された位置における像観察条件を取得可能であり、さらに取得された像観察条件に設定し直して観察像を結像することができる。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0025】
さらに、本発明の請求項15に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、像観察条件の初期値および変化させるパラメータを設定する機能と、設定に基づいて像観察条件を連続的に変化させながら観察像を順次取得し、試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像する機能とを実現させる。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0026】
また、本発明の請求項16に記載の電子顕微鏡の操作プログラムはさらに、請求項15に加えて、前記像観察条件を連続的に変化させて得られた仮観察像の所望の位置を指定する機能と、指定された仮観察像の位置における像観察条件に固定して試料表面の所望の走査領域を走査することで観察像を結像する機能とを実現させることを特徴とする。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、撮像された仮観察像の各部位を対比しながら位置を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0027】
さらにまた、本発明の請求項17に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、請求項13から16のいずれかに加えて、像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする。条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。この構成によって、像観察条件を変化させる範囲を特定できるので、条件の絞り込みや最適化などに便利に使用できる。
【0028】
さらに、本発明の請求項18に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、請求項13から17のいずれかに加えて、像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする。この構成によって、ユーザは画質に大きな影響を与えるこれらのパラメータを意識することなく、複数の異なる像観察条件に対応する分割領域の観察像の画質から所望の画質の観察像を得ることができる。
【0029】
また、本発明の請求項19に記載されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、請求項13から18のいずれかに記載した電子顕微鏡の操作プログラムを記録したことを特徴とする。
【0030】
記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体を例示するものであって、本発明は電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体を以下のものに特定しない。
【0032】
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を随時省略する。
【0033】
本明細書において電子顕微鏡とこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらに観察像のデータ保存や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。
【0034】
以下の実施例ではSEMについて説明する。但し、本発明はTEMやその他の電子顕微鏡関連装置においても利用できる。本発明を具現化した一実施例に係るSEMについて、図1に基づいて説明する。SEMは一般に加速電子の電子線を発生させ試料に到達させるまでの光学系と、試料を配置する試料室と、試料室内を真空にするための排気系と、像観察のための操作系で構成される。また、図2〜図7に、この電子顕微鏡を操作する操作プログラムのユーザインターフェース画面および仮観察像のイメージ図を示す。この電子顕微鏡の操作プログラムは、図1のコンピュータ1にインストールされ、電子顕微鏡の像観察条件の設定や各種操作を行い、図2〜図7に示す観察像の表示を行う表示部を含むユーザインターフェース画面およびユーザインターフェース画面における仮観察像を、図1の表示部28に表示する。
【0035】
光学系は、加速電子の電子線を発生させる電子銃7、加速電子の束を絞り込んで細束化するレンズ系、試料から発生する二次電子や反射電子を検出する検出器を備える。図1に示す走査型電子顕微鏡は、光学系として電子線を照射する電子銃7と、電子銃7から照射される電子線がレンズ系の中心を通過するように補正するガンアライメントコイル9と、電子線のスポットの大きさを細く絞る収束レンズ12であるコンデンサレンズと、収束レンズ12で収束された電子線を試料20上で走査させる電子線偏向走査コイル18と、走査に伴い試料20から放出される二次電子を検出する二次電子検出器21と、反射電子を検出する反射電子検出器22を備える。
【0036】
試料室には、試料台、試料導入装置、X線検出用分光器等が備えられる。試料台はX、Y、Z移動、回転、傾斜機能を備える。
【0037】
排気系は、加速電子の電子線が気体成分通過中に極力エネルギーを失うことなく試料に到達するために必要で、ロータリーポンプ、油拡散ポンプが主として用いられる。
【0038】
操作系は二次電子像、反射電子像、X線像等を表示、観察しながら照射電流の調整、焦点合わせ等を行う。二次電子像等の出力は、アナログ信号であれば写真機によるフィルム撮影が一般的であったが、近年は画像をデジタル信号に変換した出力が可能となり、データの保存や画像処理、印刷等の多種多様な処理が可能である。図1のSEMは、二次電子像や反射電子像等の観察像を表示する表示部28と印刷のためのプリンタ29を備える。また操作系は、像観察条件として少なくとも加速電圧またはスポットサイズ(入射電子線束の直径)を設定するために必要な設定項目の設定手順を誘導(ガイダンス)する誘導手段を備える。
【0039】
図1に示すSEMは、コンピュータ1と接続され、コンピュータ1を電子顕微鏡の操作を行うコンソールとして使用し、また必要に応じて像観察条件や画像データを保存したり、画像処理や演算を行う。図1に示すCPUやLSI等で構成される中央演算処理部2は、走査型電子顕微鏡を構成する各ブロックを制御する。電子銃高圧電源3を制御することにより、フィラメント4、ウェーネルト5、アノード6からなる電子銃7より電子線を発生させる。電子銃7から発生された電子線8は、必ずしもレンズ系の中心を通過するとは限らず、ガンアライメントコイル9をガンアライメントコイル制御部10によって制御することで、レンズ系の中心を通過するように補正を行う。次に、電子線8は収束レンズ制御部11によって制御される収束レンズ12であるコンデンサコイルによって細く絞られる。収束された電子線8は、電子線8を偏向する非点収差補正コイル17、電子線偏向走査コイル18、対物レンズ19、および電子線8のビーム開き角を決定する対物レンズ絞り13を通過し、試料20に至る。非点収差補正コイル17は非点収差補正コイル制御部14によって制御され、走査速度等を制御する。同様に電子線偏向走査コイル18は電子線偏向走査コイル制御部15によって、対物レンズ19は対物レンズ制御部16によって、それぞれ制御され、これらの作用によって試料上を走査する。試料20上を電子線8が走査することにより、試料20から二次電子、反射電子等の情報信号が発生され、この情報信号は二次電子検出器21、反射電子検出器22によりそれぞれ検出される。検出された二次電子の情報信号は二次電子検出増幅部23を経て、また反射電子の情報信号は反射電子検出器22で検出されて反射電子検出増幅部24を経て、それぞれA/D変換器25、26によりA/D変換され、画像データ生成部27に送られ、画像データとして構成される。この画像データはコンピュータ1に送られ、コンピュータ1に接続されたモニタ等の表示部28にて表示され、必要に応じてプリンタ29にて印刷される。
【0040】
排気系ポンプ30は、試料室31内部を真空状態にする。排気系ポンプ30に接続された排気制御部32が真空度を調整し、試料20や観察目的に応じて高真空から低真空まで制御する。
【0041】
電子銃7はあるエネルギーをもった加速電子を発生させるソースとなる部分で、W(タングステン)フィラメントやLaB6フィラメントを加熱して電子を放出させる熱電子銃の他、尖状に構成したWの先端に強電界を印加して電子を放出させる電界放射電子銃がある。レンズ系には、収束レンズ、対物レンズ、対物レンズ絞り、電子線偏向走査コイル、非点収差補正コイル等が装着されている。収束レンズは電子銃で発生した電子線をさらに収斂して細くする。対物レンズは最終的に電子プローブを試料に焦点合わせするためのレンズである。対物レンズ絞りは収差を小さくするために用いられる。検出器には、二次電子を検出する二次電子検出器と反射電子を検出する反射電子検出器がある。二次電子はエネルギーが低いのでコレクタにより捕獲され、シンチレータにより光電子に変換されて、光電子倍増管で信号増幅される。一方、反射電子の検出にはシンチレータあるいは半導体型が用いられる。
【0042】
[試料台]
観察位置の位置決めは、試料20を載置した試料台33を物理的に移動させて行う。この場合は観察位置決め手段が試料台33で構成される。試料台33は試料20の観察位置を調整可能なように様々な方向への移動、調整が可能である。移動、調整の方向は、試料台の観察位置を移動、調整させるため、試料台のX軸方向、Y軸方向、R軸方向への移動および微調整が可能である他、試料の傾斜角度を調整するために試料台のT軸方向の調整、ならびに対物レンズと試料との距離(ワーキングディスタンス)を調整するために試料台のZ軸方向の調整が可能である。
【0043】
観察像の位置決めや観察視野の移動には、試料台を物理的に移動させる方法に限られず、例えば電子銃から照射される電子線の走査位置をシフトさせる方法(イメージシフト)も利用できる。あるいは両者を併用する方法も利用できる。あるいはまた、広い範囲で一旦画像データを取り込み、データをソフトウェア的に処理する方法も利用できる。この方法では、一旦データが取り込まれてデータ内で処理されるため、ソフトウェア的に観察位置を移動させることが可能で、試料台の移動や電子線の走査といったハードウェア的な移動を伴わないメリットがある。予め大きな画像データを取り込む方法としては、例えば様々な位置の画像データを複数取得し、これらの画像データをつなぎ合わせることで広い面積の画像データを取得する方法がある。あるいは、低倍率で画像データを取得することによって、取得面積を広く取ることができる。
【0044】
[eプレビュー]
本発明の実施の形態に係る電子顕微鏡は、例えば、手軽に使用したいユーザ向けの簡単操作による観察モードとしてのオート観察モードと、全てのパラメータを操作できる観察モードとしてのマニュアル観察モードとを備える。オート観察モードは、ガイダンスに従って複数のステップからなる操作手順をユーザに対して誘導可能に構成される。本発明の実施の形態に係る電子顕微鏡は、オート観察モードにおいて、仮観察像取得機能(プレビュー機能)としてeプレビューを備える。eプレビューとは、最適な観測条件を得るために電子顕微鏡もしくはコンピュータ側で推奨の像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察条件を作成し、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像して表示部28に表示するものである。例えば加速電圧や検出器の種類を変更した仮像観察条件を自動的に生成する。そして準備した仮像観察条件を順にSEMに設定し、それぞれの条件で試料を連続的に観察する。観察した仮観察像は一時的に保存し、表示部28に表示する。
【0045】
例えば操作者は、表示された仮観察像を観察し、チャージアップの発生を確認する。仮観察像の画面でチャージアップによる像障害が発生しているものがあれば、その手前の仮観察像で用いた加速電圧が、チャージアップが発生しない最大の加速電圧になる。必要に応じて、eプレビューは複数回実行する。例えばチャージアップが確認されない場合は、加速電圧を上げて再度eプレビューを行う。あるいは、チャージアップが生じない最大加速電圧を詳細に調べるために、eプレビューで使用する加速電圧の段階的な変化量を小さくして、あるいは連続的に変化させて絞り込みを行うこともできる。このようにして測定したチャージアップしない最大加速電圧を、除電終了電圧として設定する。設定は、表示部から該当する仮観察像を操作者が選択することで、自動的にその加速電圧をチャージアップしない最大加速電圧として電子顕微鏡またはコンピュータが保持し、設定する。またチャージアップしない最大加速電圧を操作者が手動で記録もしくは入力してもよい。
【0046】
[電子顕微鏡の操作プログラム]
次に、電子顕微鏡の操作を行うための電子顕微鏡の操作プログラムについて説明する。この電子顕微鏡の操作プログラムは、電子顕微鏡に接続されたコンピュータにインストールされ、実行される。電子顕微鏡の操作プログラムをインストールされたコンピュータが電子顕微鏡の操作プログラムと通信を行い、必要な情報を送受信して設定を行う。通信は、例えばRS−232CケーブルやUSBケーブルを介してシリアル通信で行われる。
【0047】
図2〜図7に、電子顕微鏡の操作プログラムのユーザインターフェース画面および仮観察像のイメージの一例を示す。なお、これらの画面において各入力欄や各ボタンなどの配置、形状、表示の仕方、サイズ、配色、模様などは適宜変更できることはいうまでもない。デザインの変更によってより見やすく、評価や判断が容易な表示としたり操作しやすいレイアウトとすることもできる。例えば詳細設定画面を別ウィンドウで表示させる、複数画面を同一表示画面内で表示する等、適宜変更できる。
【0048】
これらのプログラムのユーザインターフェース画面において、仮想的に設けられたボタン類や入力欄に対するON/OFF操作、数値や命令入力などの指定は、電子顕微鏡の操作プログラムをインストールされたコンピュータに設けられた入力デバイスで行う。本明細書において「押下する」とは、ボタン類に物理的に触れて操作する他、入力デバイスによりクリックあるいは選択して擬似的に押下することを含む。入出力デバイスはコンピュータと有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータに固定されている。一般的な入力デバイスとしては、例えばマウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイントなどの各種ポインティングデバイスが挙げられる。またこれらの入出力デバイスは、プログラムの操作のみに限られず、電子顕微鏡自体やその周辺機器の操作にも利用できる。さらに、インターフェース画面を表示するディスプレイ自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。
【0049】
なお、電子顕微鏡の操作プログラムをインストールされたコンピュータに接続された入出力デバイスから設定を行う態様の他、電子顕微鏡の操作プログラムや専用ハードウェアを電子顕微鏡に組み込み、電子顕微鏡のみで設定を行えるようにしても良い。この場合、入出力デバイスは電子顕微鏡に設けられあるいは接続され、必要に応じて設定用のモニタなどが接続される。
【0050】
[オート観察モード]
(試料分類ステップ)
図2に、オート観察モードにおける試料分類ステップの操作画面の一例を示す。表示部28には、結像された観察像を表示する第一の表示領域47と、位置表示、広域図、eプレビュー、および比較画像を表示する第二の表示領域48と、SEMの操作手順を誘導する操作フロー201と、観察する試料の材質を設定するオート観察用試料指定手段211と、前回に設定された像観察条件を観察条件として設定する前回条件設定手段212と、試料交換を指示する試料交換指示手段208とが表示される。
【0051】
操作フロー201は、例えば試料分類ステップ、位置決めステップ、eプレビューステップ(プレビューステップ)、条件選択ステップ、および観察ステップが順に表示される。操作フロー201の各ステップを以下に説明する。
【0052】
(1)試料分類ステップは、観察サンプルがどのような材質であるかを見極め、最初に電子線を照射する条件を決定するためのステップである。具体的には、サンプルが絶縁体の場合はチャージアップ現象が生じるためチャージアップし難い観察条件で、また、サンプルが導体の場合はチャージアップや試料の損傷等の問題よりも信号量や画質を優先した観察条件が設定される。
【0053】
(2)位置決めステップは、まず低倍率でSEM観察を行い、観察したい位置を決めて所望の倍率に設定するためのステップである。
【0054】
(3)eプレビューステップは、観察の目的に応じて、最適な観察条件を探すためのステップである。eプレビューステップにおいては、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する。
【0055】
(4)条件選択ステップにおいては、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像における像観察条件の変化による観察像の違いを見比べることで目的に最適な観察条件を選び、その観察条件を装置に設定するためのステップである。
【0056】
(5)観察ステップは、フォーカスやコントラスト、明るさ(ブライトネス)、非点収差等の微調整を行うためのステップである。また別の場所、別の倍率での観察が必要な場合はそれを行う。
【0057】
[試料分類ステップ]
試料分類ステップにおいては、操作フロー201での“試料分類”の表示が他のステップと異なる態様で表示される。例えば“試料分類”の項目表示が明るい緑色で表示され、他の“位置決め”、“eプレビュー”、“条件選択”、“観察”の項目表示が暗い緑色で表示される。もちろん、色相を変更して異なる態様として表示してもよく、項目枠と文字を反転して表示する、点滅、下線、太字、蛍光色等種々の異なる態様を用いることができる。これによって現在のステップが“試料分類”であることが判断できる。
【0058】
オート観察モードにおける試料分類ステップでは、図2に示すようにオート観察用試料指定手段211が設けられる。オート観察用試料指定手段211によって、試料の材質を指定し、これに応じた像観察条件が設定される。図2の例ではラジオボタンにより試料の材質を選択させる。ここでは導体のみの試料を設定するラジオボタン(第一のオート観察用試料指定手段)211a、または絶縁体を含む試料(または半導体)を設定するラジオボタン(第二のオート観察用試料指定手段)211bのいずれかがチェックされ、このチェックに基づいて、導体のみの試料、または絶縁体を含む試料(または半導体)に対応する像観察条件が設定される。また、前回条件設定手段212において、「前回と同じ条件で観察する」チェック欄212aがチェックされたときは、前回に設定された像観察条件が像観察条件として設定される。この他にも、チャージアップ防止を目的とした操作を誘導するチャージアップ防止項目、あるいは試料の蒸発防止を目的とした操作を誘導する蒸発防止項目等を試料分類ステップにおいて設定可能に構成することもできる。この場合、それぞれの項目に対して、チャージアップ防止に適した仮像観察条件、および蒸発防止に適した仮像観察条件がeプレビューにおいて設定される。
【0059】
(位置表示)
図2の表示例においては、第二の表示領域48に“位置表示”画面が表示されている。この“位置表示”画面において、円を複数の領域に分割されそれぞれに番号が付された領域は、試料台33上に同様に番号が付された領域のどの部分を観察しているかを判り易くするために表示されている。
【0060】
[位置決めステップ]
(位置決めステップ)
図2の試料分類ステップ終了後、「次へ」ボタンを押下すると、位置決めステップに移行する。図3にオート観察モードにおける位置決めステップの操作画面の一例を示す。表示部28に表示される位置決めステップの操作画面には、結像された観察像を表示する第1表示領域47と、位置表示、広域図、eプレビュー、および比較画像を切り替えて表示する第2表示領域48と、SEMの操作手順を誘導する操作フロー201と、位置決めステップにおける操作メッセージを表示する位置決め操作メッセージ領域221と、試料交換を指示する試料交換指示手段208とが備えられる。
【0061】
位置決めステップでは、試料分類ステップで設定された像観察条件に基づいて結像された観察像が第1表示領域47に表示されており、この観察像に対して観察位置決めや倍率調整を必要に応じて行う。第2表示領域48には第1表示領域47で表示されるよりも低倍率の“広域図”画面を表示し、第1表示領域47にて表示中の領域が第2表示領域48でどの領域に該当するかが枠線で表示される。例えば操作者に観察位置の位置決めと拡大倍率を手動で設定させる。また、必要に応じてフォーカス、コントラスト、明るさをそれぞれ調整する。位置決めステップ終了後、「次へ」ボタンを押下すると、図4のeプレビューステップに移行する。
【0062】
[eプレビューステップ]
(プレビュー機能)
図4に、オート観察モードにおけるeプレビューステップの操作画面の一例を示す。表示部28には、結像された観察像を表示する第一の表示領域47と、位置表示、広域図、eプレビュー、および比較画像を表示する第二の表示領域48と、SEMの操作手順を誘導する操作フロー201と、プレビュー機能を設定するプレビュー設定手段231と、予め設定された複数の仮像観察条件に対応する像観察条件から一の観察条件を設定する仮像観察対応条件設定手段232と、試料交換を指示する試料交換指示手段208とが表示される。eプレビューステップにおいても、図4に示すように操作フロー201の表示の内“eプレビュー”がハイライトされ、他のステップの表示よりも目立つことで現在のステップがプレビューステップにあることがユーザに示される。
【0063】
オート観察モードにおけるeプレビューステップでは、プレビュー設定手段231において「eプレビューを行う」チェック欄231aがチェックされることにより、eプレビュー実行が選択される。eプレビューの実行によって、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する。同一画像における仮観察条件の設定は、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させるように設定する。いずれのパラメータを変化させるかはユーザが指定することもできるし、電子顕微鏡側で予め設定しておいても良い。
【0064】
まず、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する例を説明する。この例においては、走査領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示する。図4では、第一の表示領域47をA,B,C,Dの4つの分割領域に分割する例を示している。図4では、走査領域が表示される第一の表示領域47と複数の分割領域A,B,C,Dとの関係の一例をわかりやすくするために、プレビューステップにおける第一の表示領域47に複数の分割領域A,B,C,Dの概略的な配置を例示している。実際には、複数の異なる像観察条件に基づいて結像された分割領域の観察像は、プレビュー実行後に第一の表示領域47に表示される。これら分割領域A,B,C,Dには、複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで、それぞれの像観察条件で結像された異なる観察像が表示され、仮観察像を構成する。
【0065】
分割領域毎に設定される複数の異なる像観察条件は、像観察条件設定部で設定される。像観察条件設定部はソフトウェア的に実現可能であり、図1の構成においてはコンピュータ1や中央演算処理部2でこれらの機能を実現することができる。ただ、像観察条件設定部を別個のハードウェアとして構成することも可能であることはいうまでもない。また像観察条件設定部の設定に従って、上記のコンピュータ1や中央演算処理部2が結像部となって分割領域毎に異なる像観察条件で試料表面の所望の走査領域を走査し仮観察像を結像する。
【0066】
これら分割領域A,B,C,Dに対応する複数の異なる像観察条件は、例えば像観察条件の内、加速電圧を段階的に変化させるとともに、検出器の種類を変更する。このような組み合わせの一例として、分割領域Aでは「最表面の細かい凹凸情報」に対応する第一の像観察条件(加速電圧2kVで二次電子検出)、分割領域Bでは「AとCの中間」に対応する第二の像観察条件(加速電圧5kで二次電子検出)、分割領域Cでは「高画質 低ノイズ」に対応する第一の像観察条件(加速電圧20kVで二次電子検出)、分割領域Dでは「材質の違い」に対応する第一の像観察条件(加速電圧20kVで反射電子検出)の4つの仮像観察条件がそれぞれ設定されている。図4中、第二の表示領域48に示すように、各条件は、具体的なパラメータで表示する他、結果としてどのような観察像が得られるかを説明することで、ユーザに観念的に把握し易くできる。
【0067】
これら4つの仮像観察条件は、図4において第二の表示領域48に表示されている。eプレビューが実行されると、それぞれの複数の異なる像観察条件が表示されている上に縮小観察画像が表示される。なお像観察条件のテキストは、仮観察画像表示後もマウスで選択もしくはマウスカーソルを近付けることでチップ表示することができる。
【0068】
また、eプレビューを実行しないこともできる。図4のeプレビューステップにおいて、「eプレビューを行う」チェック欄231aのチェックを外し、代わりに仮像観察対応条件設定手段232において、A「最表面の細かい凹凸情報」のラジオボタン232a、B「AとCの中間」ラジオボタン232b、C「高画質 低ノイズ」ラジオボタン232c、およびD「材質の違い」ラジオボタン232dの内いずれか一つを選択する。これらの条件は、上記eプレビューのために設定された仮像観察条件と対応している。仮像観察条件設定手段232のいずれかを選択すれば、自動的に「eプレビューを行う」チェック欄231aのチェックがオフになるようにしたり、「eプレビューを行う」をラジオボタンとして仮像観察条件設定手段232に組み込んでも良い。このようにして予め設定された複数の仮像観察条件からいずれかの条件が選択されると、選択された仮像観察条件から一の観察条件が設定され、eプレビューが行われることなく、選択されたラジオボタンに対応する像観察条件に基づいて観察像を結像し表示部28に表示するように制御される。この場合は条件選択ステップが不要となるので、図7に示す観察ステップの操作画面に切り替えられる。
【0069】
また、蒸発防止目的の仮像観察条件としては、真空度を130Paで固定し、加速電圧が7kVでスポットサイズを16、加速電圧が10kVでスポットサイズを16、加速電圧が15kVでスポットサイズを16、および加速電圧が20kVでスポットサイズを16とした4つの仮像観察条件を設定することもできる。このように蒸発防止目的の仮像観察条件としては、加速電圧を段階的に複数設定する例が挙げられる。試料の蒸発を防止するには、真空度を低く抑えることが挙げられるが、蒸発量は、真空度に対する依存性の他にも、加速電圧にも依存しているからである。これは加速電圧の違いによって試料が加熱される度合いが変わることによる。
【0070】
ここでは、複数の分割領域が、走査領域を縦(副走査方向)2×横(主走査方向)2の4つに分割して分割領域A,B,C,Dとして設定される例を示したが、縦方向のみ、あるいは横方向のみ複数の領域に分割するよう設定してもよい。例えば、電子線の走査ライン単位で走査領域を、副走査方向に分割して、複数の分割領域に設定することができる。特に、電子線の走査ライン単位で走査領域を複数の分割領域に設定することによって、スポットサイズのパラメータを複数設定した場合、領域毎の走査ラインずれを防止できる。
【0071】
図5に、結像された仮観察像の一例として、電子線の走査ライン単位で走査領域を複数の分割領域に設定し、走査領域を副走査方向(図面上、縦方向)に複数の短冊状の分割領域に分割した仮観察像の例を示す。図5の例では、上から下方向に向けて加速電圧が大きくなるようにそれぞれの分割領域毎に段階的に変化させながら走査している。図5では、下側の観察像はチャージアップが発生し、白っぽい画像となっている。
【0072】
また、ここでは、複数の異なる像観察条件として、加速電圧のパラメータを段階的に複数設定する例を示したが、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータを複数設定してもよいし、またこれらの像観察条件の内、複数の像観察条件のパラメータを段階的に複数設定して、これらを組み合わせて複数の異なる像観察条件を設定してもよい。特に、複数の異なる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスから少なくとも一つのパラメータを設定可能とすることが好ましい。
【0073】
複数の像観察条件のパラメータを段階的に複数設定して、これらを組み合わせて複数の異なる像観察条件を設定する例としては、例えば、真空度を固定して加速電圧とスポットサイズを調整し、真空度を13Paで一定のまま、加速電圧が20kVでスポットサイズを16、加速電圧が10kVでスポットサイズを16、加速電圧が15kVでスポットサイズを12、加速電圧が20kVでスポットサイズを8、および加速電圧が10kVでスポットサイズを8とした5つの仮像観察条件を、チャージアップ防止目的の仮像観察条件として設定することができる。チャージアップを防止するには、高真空では加速電圧を低く抑えて試料の帯電を防止することが挙げられ、一方、低真空では空気分子が増えるので、これがイオン化して帯電を阻害するため高い加速電圧としてもチャージアップが生じ難い。このようにチャージアップの度合いは真空度に対する依存が大きいが、その他にスポットサイズの大きさ、加速電圧の高さによる依存性もあることから、例えば、チャージアップ防止目的の仮観察像を得るための仮像観察条件は、加速電圧とスポットサイズの大きさとを複数設定して組み合わせた複数の異なる像観察条件とすることが好ましい。
【0074】
次に、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する例を説明する。この例においては、像観察条件を連続的に変化させながら試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示する。この場合、例えば、電子線の走査方向に連続的に加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータを変化させることができる。具体的な例としては、加速電圧を1kVから2kVまで連続的に変化させてもよいし、また、加速電圧を15kV、スポットサイズを8に固定しコントラスト、ブライトネスを連続的に変化させることもできる。スポットサイズは走査ライン単位で副走査方向に連続的に変化させることが好ましい。
【0075】
また、走査領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に像観察条件の内、少なくとも一つを複数の異なる像観察条件に設定し、それぞれの分割領域において、他の像観察条件を連続的に変化させながら試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示することも可能である。具体的な例としては、コントラスト、ブライトネスを段階的に複数設定した分割領域を設定し、それぞれの分割領域において、加速電圧を1kVから2kVまで連続的に変化させながら走査することで観察像を結像し表示部28に表示することができる。
【0076】
また、連続的に変化させる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータの像観察条件の内、複数の像観察条件のパラメータの変化を連続的に設定して、これらの連続的な変化を組み合わせた像観察条件を設定してもよい。特に、連続的に変化させる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスから少なくとも一つのパラメータを設定可能とすることが好ましい。
【0077】
[条件選択ステップ]
図4の画面でeプレビュー実行後に「次へ」ボタンを押下すると、条件選択ステップに移行する。図6にオート観察モードにおける条件選択ステップの操作画面の一例を示す。この図に示す操作画面も、第1表示領域47と、第2表示領域48と、操作フロー201と、条件選択ステップにおける操作メッセージを表示する条件選択観察操作メッセージ領域241と、試料交換指示手段208等を備える。
【0078】
条件選択ステップでは、eプレビューの実行によって得られた仮観察像に基づいて、ユーザが得ようとする像観察の観察条件を設定する。仮観察像は上述のように、所望の走査領域を表示した一の画像において、像観察条件に含まれるパラメータの内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させて結像している。よって、ユーザは仮観察像の内から所望の画像が得られている領域を指定することで、指定された位置における像観察条件が特定され、この条件でもって通常の観察像を実行すれば所望の観察像の全体画像が得られる。この指定は、図4の画面において第1表示領域47からユーザは入出力デバイスを用いて行う。ユーザが仮観察像から所望の位置を指定するための指定部は、この例では仮観察像を表示する第1表示領域47と入出力デバイスで実現され、図1の構成においてはコンピュータ1や中央演算処理部2でこれらの機能をソフトウェア的に実現することができる。ただ、これらの部材を別個のハードウェアとして構成することも可能であることはいうまでもない。
【0079】
まず、eプレビューにおいて、走査領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで結像された仮観察像が表示部に表示されている図6の例を説明する。この場合、eプレビューステップにおいて、分割領域毎に得られた仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択して観察ステップにおける像観察条件として設定することができる。この操作は、例えば、ユーザが第一の表示領域47に表示されている仮観察像の所望の分割領域を入力デバイスによって押下することによって像観察条件が設定されるよう構成することができる。また、第二の表示領域48に一覧表示されている分割領域の縮小画像を入力デバイスによって押下することによって像観察条件が設定されるよう構成することもできる。条件選択ステップ終了後、「次へ」ボタンを押下すると、観察ステップに移行する。
【0080】
次に、eプレビューにおいて、像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の走査領域を走査することで結像された仮観察像が表示部に表示されている例を説明する。この場合、eプレビューステップにおいて、像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の走査領域を順次走査することで、得られた仮観察像の点を指定し、その指定された仮観察像の点に対応する像観察条件を観察ステップにおける像観察条件として設定することができる。この操作は、例えば、ユーザが第一の表示領域47に表示されている観察像の所望の点を入力デバイスによって押下することによって像観察条件が設定されるよう構成することができる。
【0081】
(観察ステップ)
図7に、オート観察モードにおける観察ステップの操作画面を表示部28に表示する一例を示す。観察ステップにおいては、分割領域毎に得られた仮観察像に基づいて選択された一の像観察条件、あるいは像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の走査領域を走査することで得られた仮観察像の指定された点に対応する像観察条件に基づいて、試料の表面の走査領域を走査することで観察像を結像し表示部28に表示する。観察ステップでは、結像された観察像に対して倍率調整、視野移動、コントラスト・明るさ・フォーカス調整等を必要に応じて行い、さらに高精度な画像の取り込み、保存、印刷、除電等の処理を行う。観察ステップの操作画面は上記と同様、第一の表示領域47と、第二の表示領域48と、操作フロー201と、試料交換指示手段208等の他、観察ステップにおける操作メッセージを表示する観察操作メッセージ領域251を備える。図7の表示例においては、第二の表示領域48に“広域図”画面が表示されている。
【0082】
以上の方法では、複数の観察像を簡易的に結像する方法と異なり、一枚の観察像を通常の像観察条件で結像しているため、像観察条件を同じにして仮観察像と通常の観察像で得られる画像を同等にできる。このため、簡易的に結像した簡易観察像と通常の観察像とで画質が若干異なってしまったり、簡易観察像と同様の観察像を得るために簡易観察像を撮像した簡易像観察条件を微調整しなければならないといった問題を回避できる。しかも、複数の観察像を取得するのでなく、一枚の観察像を結像する際に走査領域で段階的あるいは連続的に像観察条件を変化させているため、長時間を要することもない。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、実際に取得する観察像と同じ条件で、複数の異なる像観察条件に基づいて、あるいは像観察条件を連続的に変化させながら試料の表面の走査領域を走査することで、最適な観察像を得るためのサンプル画像としての仮観察像を短時間で結像し、表示部に表示することができる。これによって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、取得された仮観察像から所望の像観察条件を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る走査型電子顕微鏡の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムにおける試料分類ステップの操作画面を示すイメージ図である。
【図3】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムのオート観察モードにおける位置決めステップの操作画面を示すイメージ図である。
【図4】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムのeプレビューステップにおける第一の表示領域に分割領域の配置を例示した操作画面を示すイメージ図である。
【図5】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡において電子線の走査ライン単位で走査領域を複数の分割領域に設定した仮観察像を示すイメージ図である。
【図6】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムのオート観察モードにおける条件選択ステップの操作画面を示すイメージ図である。
【図7】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムにおける観察ステップの操作画面を示すイメージ図である。
【符号の説明】
1・・・コンピュータ
2・・・中央演算処理部
3・・・電子銃高圧電源
4・・・フィラメント
5・・・ウェーネルト
6・・・アノード
7・・・電子銃
8・・・電子線
9・・・ガンアライメントコイル
10・・・ガンアライメントコイル制御部
11・・・収束レンズ制御部
12・・・収束レンズ
13・・・対物レンズ絞り
14・・・非点収差補正コイル制御部
15・・・電子線偏向走査コイル制御部
16・・・対物レンズ制御部
17・・・非点収差補正コイル
18・・・電子線偏向走査コイル
19・・・対物レンズ
20・・・試料
21・・・二次電子検出器
22・・・反射電子検出器
23・・・二次電子検出増幅部
24・・・反射電子検出増幅部
25・・・A/D変換器
26・・・A/D変換器
27・・・画像データ生成部
28・・・表示部
29・・・プリンタ
30・・・排気系ポンプ
31・・・試料室
32・・・排気制御部
33・・・試料台
47・・・第1表示領域
48・・・第2表示領域
201・・・操作フロー
208・・・試料交換指示手段
211・・・オート観察用試料指定手段
212・・・前回条件設定手段
221・・・位置決め操作メッセージ領域
231・・・プレビュー設定手段
232・・・仮像観察対応条件設定手段
241・・・条件選択観察操作メッセージ領域
252・・・観察操作メッセージ領域
【発明の属する技術分野】
本発明は走査型、透過型等の電子顕微鏡およびその操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムならびにコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、微小物体を拡大する拡大観察装置として、光学レンズを使った光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等の他、電子レンズを使った電子顕微鏡が利用されている。電子顕微鏡は、電子の進行方向を自由に屈折させ、光学顕微鏡のような結像システムを電子光学的に設計したものである。電子顕微鏡には、試料や標本を透過した電子を電子レンズを用いて結像する透過型の他、試料表面で反射した電子を結像する反射型、収束電子線を試料表面上に走査して各走査点からの二次電子を用いて結像する走査型電子顕微鏡、加熱あるいはイオン照射によって試料から放出される電子を結像する表面放出型(電界イオン顕微鏡)等がある。
【0003】
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)は、対象となる試料に細い電子線(電子プローブ)を照射した際に発生する二次電子や反射電子を、二次電子検出器、反射電子検出器等それぞれの検出器を用いて取り出し、ブラウン管やLCD等の表示画面上に表示して、主として試料の表面形態を観察する装置である。一方、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)は、薄膜試料に電子線を透過させ、その際に試料中で原子により散乱、回折された電子を電子回折パターンまたは透過電顕像として得ることによって主に物質の内部構造を観察できる。
【0004】
電子線が固体試料に照射されたとき、電子のエネルギーによって固体中を透過するが、その際に試料を構成する原子核や電子との相互作用によって弾性的な衝突、弾性散乱やエネルギー損失を伴う非弾性散乱を生じる。非弾性散乱によって試料元素の殻内電子を励起したり、X線等を励起したり、また二次電子を放出し、それに相当するエネルギーを損失する。二次電子は衝突する角度によって放出される量が異なる。一方、弾性散乱によって後方に散乱し、試料から再び放出される反射電子は、原子番号に固有の量が放出される。SEMはこの二次電子や反射電子を利用する。SEMは電子を試料に照射し、放出される二次電子や反射電子を検出して観察像を結像している。
【0005】
一般に、SEMやTEM等の電子顕微鏡は光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等他の拡大観察装置に比べ、設定・調整項目が多く、その操作手順が分かり難い。そのためSEMの操作を支援する技術も開発されているが(例えば特許文献1)、一般にはSEMの操作は熟練した専門のオペレータが行うことが多い。
【0006】
このような状況に鑑みて本出願人は、電子顕微鏡の操作に不慣れな初心者でも操作でき観察画像が得られるように、プレビュー機能を実行可能なプレビューステップを含む複数のステップからなる操作手順を誘導可能な電子顕微鏡を開発した(特願2002−108931号)。プレビュー機能は、フローチャート等のガイダンスに従って複数の異なる簡易像観察条件を自動生成し、各条件に基づいて簡易的に複数の簡易観察像を結像し表示部に表示する。この方法によれば、初心者であってもガイダンスに従って必要な設定項目を順に設定し、複数の簡易観察像に基づいて適切な像観察条件を選択することができ、良好な観察画像を取得できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−338603号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のプレビュー機能による簡易観察像は、結像に要する時間の短縮等のためにスキャン速度(走査速度)を速くしており、そのため簡易観察像と実際に取得する観察像との間でチャージやコントラスト、ブライトネスの条件が異なるという問題があった。このため、簡易像観察条件が厳密な像観察条件とは一致しないことがあった。
【0009】
また、上記のプレビュー機能による簡易観察像では、予め設定された複数の簡易像観察条件による離散的な条件による簡易観察像しか得ることができず、連続的な条件変化を行うことができなかった。よって各簡易像観察条件間の中間条件による簡易観察像を得ようとするには、再度観察条件を調整して像観察を行う必要があり、さらに手間と時間がかかるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、実際に取得する観察像と同じ条件で、最適な観察像を得るためのサンプル画像としての仮観察像を短時間に得ることができる電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載される電子顕微鏡は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡である。この電子顕微鏡は、走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定するための像観察条件設定部と、前記像観察条件設定部の設定に従って分割領域毎に異なる像観察条件で試料表面の所望の走査領域を走査し仮観察像を結像するための結像部とを備えることを特徴とする。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の電子顕微鏡はさらに、請求項1に加えて、前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択するための指定部を備えている。この電子顕微鏡は、前記指定部で選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域を走査することで結像部が観察像を結像し表示部に表示可能に構成してなることを特徴とする。例えば、仮観察像上で所望の位置を指定することで、指定された位置における像観察条件を取得可能であり、さらに取得された像観察条件に設定し直して観察像を結像することができる。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項3に記載の電子顕微鏡は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能である。この電子顕微鏡は、走査中に像観察条件を連続的に変化させる条件を設定するための像観察条件設定部と、前記像観察条件設定部の設定に従い試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像するための結像部とを備えることを特徴とする。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の電子顕微鏡はさらに、請求項3に加えて、前記像観察条件設定部の設定に従い前記像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の所望の走査領域を走査することで得られた仮観察像上の所望の位置を指定するための指定部を備えている。この電子顕微鏡は、前記指定部で指定された仮観察像の位置に対応する像観察条件に固定して試料の表面の走査領域を走査することで結像部が観察像を結像し表示部に表示可能に構成してなることを特徴とする。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、撮像された仮観察像の各部位を対比しながら位置を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0015】
さらにまた、本発明の請求項5に記載の電子顕微鏡は、請求項1から4のいずれかに加えて、像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする。条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。この構成によって、像観察条件を変化させる範囲を特定できるので、条件の絞り込みや最適化などに便利に使用できる。
【0016】
さらにまた、本発明の請求項6に記載の電子顕微鏡は、請求項1から5のいずれかに加えて、像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする。この構成によって、ユーザは画質に大きな影響を与えるこれらのパラメータを意識することなく、複数の異なる像観察条件に対応する分割領域の観察像の画質から所望の画質の観察像を得ることができる。
【0017】
また、本発明の請求項7に記載の電子顕微鏡の操作方法は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能である。この電子顕微鏡の操作方法は、走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定するステップと、分割領域毎に異なる像観察条件で結像しながら試料表面の所望の走査領域の仮観察像を結像するステップとを備えることを特徴とする。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0018】
また、本発明の請求項8に記載の電子顕微鏡の操作方法はさらに、請求項7に加えて、前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択するステップと、選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域の観察像を結像するステップとを備えることを特徴とする。例えば、仮観察像上で所望の位置を指定することで、指定された位置における像観察条件を取得可能であり、さらに取得された像観察条件に設定し直して観察像を結像することができる。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の請求項9に記載の電子顕微鏡の操作方法は、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作方法である。この方法は、像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像することを特徴とする。この方法は、例えば像観察条件の初期値および変化させるパラメータを設定し、設定に基づいて像観察条件を連続的に変化させながら観察像を順次取得し、試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像し、表示部に表示する。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0020】
また、本発明の請求項10に記載の電子顕微鏡の操作方法はさらに、請求項9に加えて、前記像観察条件を連続的に変化させて得られた仮観察像の所望の位置を指定するステップと、指定された仮観察像の位置における像観察条件に固定して試料表面の所望の走査領域を走査することで観察像を結像するステップとを備えることを特徴とする。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、撮像された仮観察像の各部位を対比しながら位置を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の請求項11に記載の電子顕微鏡の操作方法は、請求項7から10のいずれかに加えて、像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする。条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。この構成によって、像観察条件を変化させる範囲を特定できるので、条件の絞り込みや最適化などに便利に使用できる。
【0022】
さらにまた、本発明の請求項12に記載の電子顕微鏡の操作方法は、請求項7から11のいずれかに加えて、像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする。この構成によって、ユーザは画質に大きな影響を与えるこれらのパラメータを意識することなく、複数の異なる像観察条件に対応する分割領域の観察像の画質から所望の画質の観察像を得ることができる。
【0023】
また、本発明の請求項13に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定する機能と、分割領域毎に異なる像観察条件で結像しながら試料表面の所望の走査領域の仮観察像を結像する機能とを実現させる。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0024】
また、本発明の請求項14に記載の電子顕微鏡の操作プログラムはさらに、請求項13に加えて、コンピュータに、前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択する機能と、選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域の観察像を結像する機能とを実現させることを特徴とする。例えば、仮観察像上で所望の位置を指定することで、指定された位置における像観察条件を取得可能であり、さらに取得された像観察条件に設定し直して観察像を結像することができる。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0025】
さらに、本発明の請求項15に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、像観察条件の初期値および変化させるパラメータを設定する機能と、設定に基づいて像観察条件を連続的に変化させながら観察像を順次取得し、試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像する機能とを実現させる。この構成によって、実際の観察条件と同様に観察像が結像され、しかも異なる像観察条件で取得されるため、ユーザは実際に結像された画像を見ながら所望の像観察条件を設定することができる。
【0026】
また、本発明の請求項16に記載の電子顕微鏡の操作プログラムはさらに、請求項15に加えて、前記像観察条件を連続的に変化させて得られた仮観察像の所望の位置を指定する機能と、指定された仮観察像の位置における像観察条件に固定して試料表面の所望の走査領域を走査することで観察像を結像する機能とを実現させることを特徴とする。この構成によって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、撮像された仮観察像の各部位を対比しながら位置を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【0027】
さらにまた、本発明の請求項17に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、請求項13から16のいずれかに加えて、像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする。条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。この構成によって、像観察条件を変化させる範囲を特定できるので、条件の絞り込みや最適化などに便利に使用できる。
【0028】
さらに、本発明の請求項18に記載の電子顕微鏡の操作プログラムは、請求項13から17のいずれかに加えて、像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする。この構成によって、ユーザは画質に大きな影響を与えるこれらのパラメータを意識することなく、複数の異なる像観察条件に対応する分割領域の観察像の画質から所望の画質の観察像を得ることができる。
【0029】
また、本発明の請求項19に記載されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、請求項13から18のいずれかに記載した電子顕微鏡の操作プログラムを記録したことを特徴とする。
【0030】
記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体を例示するものであって、本発明は電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体を以下のものに特定しない。
【0032】
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を随時省略する。
【0033】
本明細書において電子顕微鏡とこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらに観察像のデータ保存や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。
【0034】
以下の実施例ではSEMについて説明する。但し、本発明はTEMやその他の電子顕微鏡関連装置においても利用できる。本発明を具現化した一実施例に係るSEMについて、図1に基づいて説明する。SEMは一般に加速電子の電子線を発生させ試料に到達させるまでの光学系と、試料を配置する試料室と、試料室内を真空にするための排気系と、像観察のための操作系で構成される。また、図2〜図7に、この電子顕微鏡を操作する操作プログラムのユーザインターフェース画面および仮観察像のイメージ図を示す。この電子顕微鏡の操作プログラムは、図1のコンピュータ1にインストールされ、電子顕微鏡の像観察条件の設定や各種操作を行い、図2〜図7に示す観察像の表示を行う表示部を含むユーザインターフェース画面およびユーザインターフェース画面における仮観察像を、図1の表示部28に表示する。
【0035】
光学系は、加速電子の電子線を発生させる電子銃7、加速電子の束を絞り込んで細束化するレンズ系、試料から発生する二次電子や反射電子を検出する検出器を備える。図1に示す走査型電子顕微鏡は、光学系として電子線を照射する電子銃7と、電子銃7から照射される電子線がレンズ系の中心を通過するように補正するガンアライメントコイル9と、電子線のスポットの大きさを細く絞る収束レンズ12であるコンデンサレンズと、収束レンズ12で収束された電子線を試料20上で走査させる電子線偏向走査コイル18と、走査に伴い試料20から放出される二次電子を検出する二次電子検出器21と、反射電子を検出する反射電子検出器22を備える。
【0036】
試料室には、試料台、試料導入装置、X線検出用分光器等が備えられる。試料台はX、Y、Z移動、回転、傾斜機能を備える。
【0037】
排気系は、加速電子の電子線が気体成分通過中に極力エネルギーを失うことなく試料に到達するために必要で、ロータリーポンプ、油拡散ポンプが主として用いられる。
【0038】
操作系は二次電子像、反射電子像、X線像等を表示、観察しながら照射電流の調整、焦点合わせ等を行う。二次電子像等の出力は、アナログ信号であれば写真機によるフィルム撮影が一般的であったが、近年は画像をデジタル信号に変換した出力が可能となり、データの保存や画像処理、印刷等の多種多様な処理が可能である。図1のSEMは、二次電子像や反射電子像等の観察像を表示する表示部28と印刷のためのプリンタ29を備える。また操作系は、像観察条件として少なくとも加速電圧またはスポットサイズ(入射電子線束の直径)を設定するために必要な設定項目の設定手順を誘導(ガイダンス)する誘導手段を備える。
【0039】
図1に示すSEMは、コンピュータ1と接続され、コンピュータ1を電子顕微鏡の操作を行うコンソールとして使用し、また必要に応じて像観察条件や画像データを保存したり、画像処理や演算を行う。図1に示すCPUやLSI等で構成される中央演算処理部2は、走査型電子顕微鏡を構成する各ブロックを制御する。電子銃高圧電源3を制御することにより、フィラメント4、ウェーネルト5、アノード6からなる電子銃7より電子線を発生させる。電子銃7から発生された電子線8は、必ずしもレンズ系の中心を通過するとは限らず、ガンアライメントコイル9をガンアライメントコイル制御部10によって制御することで、レンズ系の中心を通過するように補正を行う。次に、電子線8は収束レンズ制御部11によって制御される収束レンズ12であるコンデンサコイルによって細く絞られる。収束された電子線8は、電子線8を偏向する非点収差補正コイル17、電子線偏向走査コイル18、対物レンズ19、および電子線8のビーム開き角を決定する対物レンズ絞り13を通過し、試料20に至る。非点収差補正コイル17は非点収差補正コイル制御部14によって制御され、走査速度等を制御する。同様に電子線偏向走査コイル18は電子線偏向走査コイル制御部15によって、対物レンズ19は対物レンズ制御部16によって、それぞれ制御され、これらの作用によって試料上を走査する。試料20上を電子線8が走査することにより、試料20から二次電子、反射電子等の情報信号が発生され、この情報信号は二次電子検出器21、反射電子検出器22によりそれぞれ検出される。検出された二次電子の情報信号は二次電子検出増幅部23を経て、また反射電子の情報信号は反射電子検出器22で検出されて反射電子検出増幅部24を経て、それぞれA/D変換器25、26によりA/D変換され、画像データ生成部27に送られ、画像データとして構成される。この画像データはコンピュータ1に送られ、コンピュータ1に接続されたモニタ等の表示部28にて表示され、必要に応じてプリンタ29にて印刷される。
【0040】
排気系ポンプ30は、試料室31内部を真空状態にする。排気系ポンプ30に接続された排気制御部32が真空度を調整し、試料20や観察目的に応じて高真空から低真空まで制御する。
【0041】
電子銃7はあるエネルギーをもった加速電子を発生させるソースとなる部分で、W(タングステン)フィラメントやLaB6フィラメントを加熱して電子を放出させる熱電子銃の他、尖状に構成したWの先端に強電界を印加して電子を放出させる電界放射電子銃がある。レンズ系には、収束レンズ、対物レンズ、対物レンズ絞り、電子線偏向走査コイル、非点収差補正コイル等が装着されている。収束レンズは電子銃で発生した電子線をさらに収斂して細くする。対物レンズは最終的に電子プローブを試料に焦点合わせするためのレンズである。対物レンズ絞りは収差を小さくするために用いられる。検出器には、二次電子を検出する二次電子検出器と反射電子を検出する反射電子検出器がある。二次電子はエネルギーが低いのでコレクタにより捕獲され、シンチレータにより光電子に変換されて、光電子倍増管で信号増幅される。一方、反射電子の検出にはシンチレータあるいは半導体型が用いられる。
【0042】
[試料台]
観察位置の位置決めは、試料20を載置した試料台33を物理的に移動させて行う。この場合は観察位置決め手段が試料台33で構成される。試料台33は試料20の観察位置を調整可能なように様々な方向への移動、調整が可能である。移動、調整の方向は、試料台の観察位置を移動、調整させるため、試料台のX軸方向、Y軸方向、R軸方向への移動および微調整が可能である他、試料の傾斜角度を調整するために試料台のT軸方向の調整、ならびに対物レンズと試料との距離(ワーキングディスタンス)を調整するために試料台のZ軸方向の調整が可能である。
【0043】
観察像の位置決めや観察視野の移動には、試料台を物理的に移動させる方法に限られず、例えば電子銃から照射される電子線の走査位置をシフトさせる方法(イメージシフト)も利用できる。あるいは両者を併用する方法も利用できる。あるいはまた、広い範囲で一旦画像データを取り込み、データをソフトウェア的に処理する方法も利用できる。この方法では、一旦データが取り込まれてデータ内で処理されるため、ソフトウェア的に観察位置を移動させることが可能で、試料台の移動や電子線の走査といったハードウェア的な移動を伴わないメリットがある。予め大きな画像データを取り込む方法としては、例えば様々な位置の画像データを複数取得し、これらの画像データをつなぎ合わせることで広い面積の画像データを取得する方法がある。あるいは、低倍率で画像データを取得することによって、取得面積を広く取ることができる。
【0044】
[eプレビュー]
本発明の実施の形態に係る電子顕微鏡は、例えば、手軽に使用したいユーザ向けの簡単操作による観察モードとしてのオート観察モードと、全てのパラメータを操作できる観察モードとしてのマニュアル観察モードとを備える。オート観察モードは、ガイダンスに従って複数のステップからなる操作手順をユーザに対して誘導可能に構成される。本発明の実施の形態に係る電子顕微鏡は、オート観察モードにおいて、仮観察像取得機能(プレビュー機能)としてeプレビューを備える。eプレビューとは、最適な観測条件を得るために電子顕微鏡もしくはコンピュータ側で推奨の像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察条件を作成し、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像して表示部28に表示するものである。例えば加速電圧や検出器の種類を変更した仮像観察条件を自動的に生成する。そして準備した仮像観察条件を順にSEMに設定し、それぞれの条件で試料を連続的に観察する。観察した仮観察像は一時的に保存し、表示部28に表示する。
【0045】
例えば操作者は、表示された仮観察像を観察し、チャージアップの発生を確認する。仮観察像の画面でチャージアップによる像障害が発生しているものがあれば、その手前の仮観察像で用いた加速電圧が、チャージアップが発生しない最大の加速電圧になる。必要に応じて、eプレビューは複数回実行する。例えばチャージアップが確認されない場合は、加速電圧を上げて再度eプレビューを行う。あるいは、チャージアップが生じない最大加速電圧を詳細に調べるために、eプレビューで使用する加速電圧の段階的な変化量を小さくして、あるいは連続的に変化させて絞り込みを行うこともできる。このようにして測定したチャージアップしない最大加速電圧を、除電終了電圧として設定する。設定は、表示部から該当する仮観察像を操作者が選択することで、自動的にその加速電圧をチャージアップしない最大加速電圧として電子顕微鏡またはコンピュータが保持し、設定する。またチャージアップしない最大加速電圧を操作者が手動で記録もしくは入力してもよい。
【0046】
[電子顕微鏡の操作プログラム]
次に、電子顕微鏡の操作を行うための電子顕微鏡の操作プログラムについて説明する。この電子顕微鏡の操作プログラムは、電子顕微鏡に接続されたコンピュータにインストールされ、実行される。電子顕微鏡の操作プログラムをインストールされたコンピュータが電子顕微鏡の操作プログラムと通信を行い、必要な情報を送受信して設定を行う。通信は、例えばRS−232CケーブルやUSBケーブルを介してシリアル通信で行われる。
【0047】
図2〜図7に、電子顕微鏡の操作プログラムのユーザインターフェース画面および仮観察像のイメージの一例を示す。なお、これらの画面において各入力欄や各ボタンなどの配置、形状、表示の仕方、サイズ、配色、模様などは適宜変更できることはいうまでもない。デザインの変更によってより見やすく、評価や判断が容易な表示としたり操作しやすいレイアウトとすることもできる。例えば詳細設定画面を別ウィンドウで表示させる、複数画面を同一表示画面内で表示する等、適宜変更できる。
【0048】
これらのプログラムのユーザインターフェース画面において、仮想的に設けられたボタン類や入力欄に対するON/OFF操作、数値や命令入力などの指定は、電子顕微鏡の操作プログラムをインストールされたコンピュータに設けられた入力デバイスで行う。本明細書において「押下する」とは、ボタン類に物理的に触れて操作する他、入力デバイスによりクリックあるいは選択して擬似的に押下することを含む。入出力デバイスはコンピュータと有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータに固定されている。一般的な入力デバイスとしては、例えばマウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイントなどの各種ポインティングデバイスが挙げられる。またこれらの入出力デバイスは、プログラムの操作のみに限られず、電子顕微鏡自体やその周辺機器の操作にも利用できる。さらに、インターフェース画面を表示するディスプレイ自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。
【0049】
なお、電子顕微鏡の操作プログラムをインストールされたコンピュータに接続された入出力デバイスから設定を行う態様の他、電子顕微鏡の操作プログラムや専用ハードウェアを電子顕微鏡に組み込み、電子顕微鏡のみで設定を行えるようにしても良い。この場合、入出力デバイスは電子顕微鏡に設けられあるいは接続され、必要に応じて設定用のモニタなどが接続される。
【0050】
[オート観察モード]
(試料分類ステップ)
図2に、オート観察モードにおける試料分類ステップの操作画面の一例を示す。表示部28には、結像された観察像を表示する第一の表示領域47と、位置表示、広域図、eプレビュー、および比較画像を表示する第二の表示領域48と、SEMの操作手順を誘導する操作フロー201と、観察する試料の材質を設定するオート観察用試料指定手段211と、前回に設定された像観察条件を観察条件として設定する前回条件設定手段212と、試料交換を指示する試料交換指示手段208とが表示される。
【0051】
操作フロー201は、例えば試料分類ステップ、位置決めステップ、eプレビューステップ(プレビューステップ)、条件選択ステップ、および観察ステップが順に表示される。操作フロー201の各ステップを以下に説明する。
【0052】
(1)試料分類ステップは、観察サンプルがどのような材質であるかを見極め、最初に電子線を照射する条件を決定するためのステップである。具体的には、サンプルが絶縁体の場合はチャージアップ現象が生じるためチャージアップし難い観察条件で、また、サンプルが導体の場合はチャージアップや試料の損傷等の問題よりも信号量や画質を優先した観察条件が設定される。
【0053】
(2)位置決めステップは、まず低倍率でSEM観察を行い、観察したい位置を決めて所望の倍率に設定するためのステップである。
【0054】
(3)eプレビューステップは、観察の目的に応じて、最適な観察条件を探すためのステップである。eプレビューステップにおいては、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する。
【0055】
(4)条件選択ステップにおいては、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像における像観察条件の変化による観察像の違いを見比べることで目的に最適な観察条件を選び、その観察条件を装置に設定するためのステップである。
【0056】
(5)観察ステップは、フォーカスやコントラスト、明るさ(ブライトネス)、非点収差等の微調整を行うためのステップである。また別の場所、別の倍率での観察が必要な場合はそれを行う。
【0057】
[試料分類ステップ]
試料分類ステップにおいては、操作フロー201での“試料分類”の表示が他のステップと異なる態様で表示される。例えば“試料分類”の項目表示が明るい緑色で表示され、他の“位置決め”、“eプレビュー”、“条件選択”、“観察”の項目表示が暗い緑色で表示される。もちろん、色相を変更して異なる態様として表示してもよく、項目枠と文字を反転して表示する、点滅、下線、太字、蛍光色等種々の異なる態様を用いることができる。これによって現在のステップが“試料分類”であることが判断できる。
【0058】
オート観察モードにおける試料分類ステップでは、図2に示すようにオート観察用試料指定手段211が設けられる。オート観察用試料指定手段211によって、試料の材質を指定し、これに応じた像観察条件が設定される。図2の例ではラジオボタンにより試料の材質を選択させる。ここでは導体のみの試料を設定するラジオボタン(第一のオート観察用試料指定手段)211a、または絶縁体を含む試料(または半導体)を設定するラジオボタン(第二のオート観察用試料指定手段)211bのいずれかがチェックされ、このチェックに基づいて、導体のみの試料、または絶縁体を含む試料(または半導体)に対応する像観察条件が設定される。また、前回条件設定手段212において、「前回と同じ条件で観察する」チェック欄212aがチェックされたときは、前回に設定された像観察条件が像観察条件として設定される。この他にも、チャージアップ防止を目的とした操作を誘導するチャージアップ防止項目、あるいは試料の蒸発防止を目的とした操作を誘導する蒸発防止項目等を試料分類ステップにおいて設定可能に構成することもできる。この場合、それぞれの項目に対して、チャージアップ防止に適した仮像観察条件、および蒸発防止に適した仮像観察条件がeプレビューにおいて設定される。
【0059】
(位置表示)
図2の表示例においては、第二の表示領域48に“位置表示”画面が表示されている。この“位置表示”画面において、円を複数の領域に分割されそれぞれに番号が付された領域は、試料台33上に同様に番号が付された領域のどの部分を観察しているかを判り易くするために表示されている。
【0060】
[位置決めステップ]
(位置決めステップ)
図2の試料分類ステップ終了後、「次へ」ボタンを押下すると、位置決めステップに移行する。図3にオート観察モードにおける位置決めステップの操作画面の一例を示す。表示部28に表示される位置決めステップの操作画面には、結像された観察像を表示する第1表示領域47と、位置表示、広域図、eプレビュー、および比較画像を切り替えて表示する第2表示領域48と、SEMの操作手順を誘導する操作フロー201と、位置決めステップにおける操作メッセージを表示する位置決め操作メッセージ領域221と、試料交換を指示する試料交換指示手段208とが備えられる。
【0061】
位置決めステップでは、試料分類ステップで設定された像観察条件に基づいて結像された観察像が第1表示領域47に表示されており、この観察像に対して観察位置決めや倍率調整を必要に応じて行う。第2表示領域48には第1表示領域47で表示されるよりも低倍率の“広域図”画面を表示し、第1表示領域47にて表示中の領域が第2表示領域48でどの領域に該当するかが枠線で表示される。例えば操作者に観察位置の位置決めと拡大倍率を手動で設定させる。また、必要に応じてフォーカス、コントラスト、明るさをそれぞれ調整する。位置決めステップ終了後、「次へ」ボタンを押下すると、図4のeプレビューステップに移行する。
【0062】
[eプレビューステップ]
(プレビュー機能)
図4に、オート観察モードにおけるeプレビューステップの操作画面の一例を示す。表示部28には、結像された観察像を表示する第一の表示領域47と、位置表示、広域図、eプレビュー、および比較画像を表示する第二の表示領域48と、SEMの操作手順を誘導する操作フロー201と、プレビュー機能を設定するプレビュー設定手段231と、予め設定された複数の仮像観察条件に対応する像観察条件から一の観察条件を設定する仮像観察対応条件設定手段232と、試料交換を指示する試料交換指示手段208とが表示される。eプレビューステップにおいても、図4に示すように操作フロー201の表示の内“eプレビュー”がハイライトされ、他のステップの表示よりも目立つことで現在のステップがプレビューステップにあることがユーザに示される。
【0063】
オート観察モードにおけるeプレビューステップでは、プレビュー設定手段231において「eプレビューを行う」チェック欄231aがチェックされることにより、eプレビュー実行が選択される。eプレビューの実行によって、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する。同一画像における仮観察条件の設定は、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させるように設定する。いずれのパラメータを変化させるかはユーザが指定することもできるし、電子顕微鏡側で予め設定しておいても良い。
【0064】
まず、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを段階的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する例を説明する。この例においては、走査領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示する。図4では、第一の表示領域47をA,B,C,Dの4つの分割領域に分割する例を示している。図4では、走査領域が表示される第一の表示領域47と複数の分割領域A,B,C,Dとの関係の一例をわかりやすくするために、プレビューステップにおける第一の表示領域47に複数の分割領域A,B,C,Dの概略的な配置を例示している。実際には、複数の異なる像観察条件に基づいて結像された分割領域の観察像は、プレビュー実行後に第一の表示領域47に表示される。これら分割領域A,B,C,Dには、複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで、それぞれの像観察条件で結像された異なる観察像が表示され、仮観察像を構成する。
【0065】
分割領域毎に設定される複数の異なる像観察条件は、像観察条件設定部で設定される。像観察条件設定部はソフトウェア的に実現可能であり、図1の構成においてはコンピュータ1や中央演算処理部2でこれらの機能を実現することができる。ただ、像観察条件設定部を別個のハードウェアとして構成することも可能であることはいうまでもない。また像観察条件設定部の設定に従って、上記のコンピュータ1や中央演算処理部2が結像部となって分割領域毎に異なる像観察条件で試料表面の所望の走査領域を走査し仮観察像を結像する。
【0066】
これら分割領域A,B,C,Dに対応する複数の異なる像観察条件は、例えば像観察条件の内、加速電圧を段階的に変化させるとともに、検出器の種類を変更する。このような組み合わせの一例として、分割領域Aでは「最表面の細かい凹凸情報」に対応する第一の像観察条件(加速電圧2kVで二次電子検出)、分割領域Bでは「AとCの中間」に対応する第二の像観察条件(加速電圧5kで二次電子検出)、分割領域Cでは「高画質 低ノイズ」に対応する第一の像観察条件(加速電圧20kVで二次電子検出)、分割領域Dでは「材質の違い」に対応する第一の像観察条件(加速電圧20kVで反射電子検出)の4つの仮像観察条件がそれぞれ設定されている。図4中、第二の表示領域48に示すように、各条件は、具体的なパラメータで表示する他、結果としてどのような観察像が得られるかを説明することで、ユーザに観念的に把握し易くできる。
【0067】
これら4つの仮像観察条件は、図4において第二の表示領域48に表示されている。eプレビューが実行されると、それぞれの複数の異なる像観察条件が表示されている上に縮小観察画像が表示される。なお像観察条件のテキストは、仮観察画像表示後もマウスで選択もしくはマウスカーソルを近付けることでチップ表示することができる。
【0068】
また、eプレビューを実行しないこともできる。図4のeプレビューステップにおいて、「eプレビューを行う」チェック欄231aのチェックを外し、代わりに仮像観察対応条件設定手段232において、A「最表面の細かい凹凸情報」のラジオボタン232a、B「AとCの中間」ラジオボタン232b、C「高画質 低ノイズ」ラジオボタン232c、およびD「材質の違い」ラジオボタン232dの内いずれか一つを選択する。これらの条件は、上記eプレビューのために設定された仮像観察条件と対応している。仮像観察条件設定手段232のいずれかを選択すれば、自動的に「eプレビューを行う」チェック欄231aのチェックがオフになるようにしたり、「eプレビューを行う」をラジオボタンとして仮像観察条件設定手段232に組み込んでも良い。このようにして予め設定された複数の仮像観察条件からいずれかの条件が選択されると、選択された仮像観察条件から一の観察条件が設定され、eプレビューが行われることなく、選択されたラジオボタンに対応する像観察条件に基づいて観察像を結像し表示部28に表示するように制御される。この場合は条件選択ステップが不要となるので、図7に示す観察ステップの操作画面に切り替えられる。
【0069】
また、蒸発防止目的の仮像観察条件としては、真空度を130Paで固定し、加速電圧が7kVでスポットサイズを16、加速電圧が10kVでスポットサイズを16、加速電圧が15kVでスポットサイズを16、および加速電圧が20kVでスポットサイズを16とした4つの仮像観察条件を設定することもできる。このように蒸発防止目的の仮像観察条件としては、加速電圧を段階的に複数設定する例が挙げられる。試料の蒸発を防止するには、真空度を低く抑えることが挙げられるが、蒸発量は、真空度に対する依存性の他にも、加速電圧にも依存しているからである。これは加速電圧の違いによって試料が加熱される度合いが変わることによる。
【0070】
ここでは、複数の分割領域が、走査領域を縦(副走査方向)2×横(主走査方向)2の4つに分割して分割領域A,B,C,Dとして設定される例を示したが、縦方向のみ、あるいは横方向のみ複数の領域に分割するよう設定してもよい。例えば、電子線の走査ライン単位で走査領域を、副走査方向に分割して、複数の分割領域に設定することができる。特に、電子線の走査ライン単位で走査領域を複数の分割領域に設定することによって、スポットサイズのパラメータを複数設定した場合、領域毎の走査ラインずれを防止できる。
【0071】
図5に、結像された仮観察像の一例として、電子線の走査ライン単位で走査領域を複数の分割領域に設定し、走査領域を副走査方向(図面上、縦方向)に複数の短冊状の分割領域に分割した仮観察像の例を示す。図5の例では、上から下方向に向けて加速電圧が大きくなるようにそれぞれの分割領域毎に段階的に変化させながら走査している。図5では、下側の観察像はチャージアップが発生し、白っぽい画像となっている。
【0072】
また、ここでは、複数の異なる像観察条件として、加速電圧のパラメータを段階的に複数設定する例を示したが、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータを複数設定してもよいし、またこれらの像観察条件の内、複数の像観察条件のパラメータを段階的に複数設定して、これらを組み合わせて複数の異なる像観察条件を設定してもよい。特に、複数の異なる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスから少なくとも一つのパラメータを設定可能とすることが好ましい。
【0073】
複数の像観察条件のパラメータを段階的に複数設定して、これらを組み合わせて複数の異なる像観察条件を設定する例としては、例えば、真空度を固定して加速電圧とスポットサイズを調整し、真空度を13Paで一定のまま、加速電圧が20kVでスポットサイズを16、加速電圧が10kVでスポットサイズを16、加速電圧が15kVでスポットサイズを12、加速電圧が20kVでスポットサイズを8、および加速電圧が10kVでスポットサイズを8とした5つの仮像観察条件を、チャージアップ防止目的の仮像観察条件として設定することができる。チャージアップを防止するには、高真空では加速電圧を低く抑えて試料の帯電を防止することが挙げられ、一方、低真空では空気分子が増えるので、これがイオン化して帯電を阻害するため高い加速電圧としてもチャージアップが生じ難い。このようにチャージアップの度合いは真空度に対する依存が大きいが、その他にスポットサイズの大きさ、加速電圧の高さによる依存性もあることから、例えば、チャージアップ防止目的の仮観察像を得るための仮像観察条件は、加速電圧とスポットサイズの大きさとを複数設定して組み合わせた複数の異なる像観察条件とすることが好ましい。
【0074】
次に、同一画像において、像観察条件の内、特定の一以上のパラメータを連続的に変化させた仮観察像を結像し表示部28に表示する例を説明する。この例においては、像観察条件を連続的に変化させながら試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示する。この場合、例えば、電子線の走査方向に連続的に加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータを変化させることができる。具体的な例としては、加速電圧を1kVから2kVまで連続的に変化させてもよいし、また、加速電圧を15kV、スポットサイズを8に固定しコントラスト、ブライトネスを連続的に変化させることもできる。スポットサイズは走査ライン単位で副走査方向に連続的に変化させることが好ましい。
【0075】
また、走査領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に像観察条件の内、少なくとも一つを複数の異なる像観察条件に設定し、それぞれの分割領域において、他の像観察条件を連続的に変化させながら試料の表面の走査領域を走査することで仮観察像を結像し表示部28に表示することも可能である。具体的な例としては、コントラスト、ブライトネスを段階的に複数設定した分割領域を設定し、それぞれの分割領域において、加速電圧を1kVから2kVまで連続的に変化させながら走査することで観察像を結像し表示部28に表示することができる。
【0076】
また、連続的に変化させる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネス等のパラメータの像観察条件の内、複数の像観察条件のパラメータの変化を連続的に設定して、これらの連続的な変化を組み合わせた像観察条件を設定してもよい。特に、連続的に変化させる像観察条件は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスから少なくとも一つのパラメータを設定可能とすることが好ましい。
【0077】
[条件選択ステップ]
図4の画面でeプレビュー実行後に「次へ」ボタンを押下すると、条件選択ステップに移行する。図6にオート観察モードにおける条件選択ステップの操作画面の一例を示す。この図に示す操作画面も、第1表示領域47と、第2表示領域48と、操作フロー201と、条件選択ステップにおける操作メッセージを表示する条件選択観察操作メッセージ領域241と、試料交換指示手段208等を備える。
【0078】
条件選択ステップでは、eプレビューの実行によって得られた仮観察像に基づいて、ユーザが得ようとする像観察の観察条件を設定する。仮観察像は上述のように、所望の走査領域を表示した一の画像において、像観察条件に含まれるパラメータの内、特定の一以上のパラメータを段階的あるいは連続的に変化させて結像している。よって、ユーザは仮観察像の内から所望の画像が得られている領域を指定することで、指定された位置における像観察条件が特定され、この条件でもって通常の観察像を実行すれば所望の観察像の全体画像が得られる。この指定は、図4の画面において第1表示領域47からユーザは入出力デバイスを用いて行う。ユーザが仮観察像から所望の位置を指定するための指定部は、この例では仮観察像を表示する第1表示領域47と入出力デバイスで実現され、図1の構成においてはコンピュータ1や中央演算処理部2でこれらの機能をソフトウェア的に実現することができる。ただ、これらの部材を別個のハードウェアとして構成することも可能であることはいうまでもない。
【0079】
まず、eプレビューにおいて、走査領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に複数の異なる像観察条件に基づいて試料の表面の走査領域を走査することで結像された仮観察像が表示部に表示されている図6の例を説明する。この場合、eプレビューステップにおいて、分割領域毎に得られた仮観察像に基づいて複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択して観察ステップにおける像観察条件として設定することができる。この操作は、例えば、ユーザが第一の表示領域47に表示されている仮観察像の所望の分割領域を入力デバイスによって押下することによって像観察条件が設定されるよう構成することができる。また、第二の表示領域48に一覧表示されている分割領域の縮小画像を入力デバイスによって押下することによって像観察条件が設定されるよう構成することもできる。条件選択ステップ終了後、「次へ」ボタンを押下すると、観察ステップに移行する。
【0080】
次に、eプレビューにおいて、像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の走査領域を走査することで結像された仮観察像が表示部に表示されている例を説明する。この場合、eプレビューステップにおいて、像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の走査領域を順次走査することで、得られた仮観察像の点を指定し、その指定された仮観察像の点に対応する像観察条件を観察ステップにおける像観察条件として設定することができる。この操作は、例えば、ユーザが第一の表示領域47に表示されている観察像の所望の点を入力デバイスによって押下することによって像観察条件が設定されるよう構成することができる。
【0081】
(観察ステップ)
図7に、オート観察モードにおける観察ステップの操作画面を表示部28に表示する一例を示す。観察ステップにおいては、分割領域毎に得られた仮観察像に基づいて選択された一の像観察条件、あるいは像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の走査領域を走査することで得られた仮観察像の指定された点に対応する像観察条件に基づいて、試料の表面の走査領域を走査することで観察像を結像し表示部28に表示する。観察ステップでは、結像された観察像に対して倍率調整、視野移動、コントラスト・明るさ・フォーカス調整等を必要に応じて行い、さらに高精度な画像の取り込み、保存、印刷、除電等の処理を行う。観察ステップの操作画面は上記と同様、第一の表示領域47と、第二の表示領域48と、操作フロー201と、試料交換指示手段208等の他、観察ステップにおける操作メッセージを表示する観察操作メッセージ領域251を備える。図7の表示例においては、第二の表示領域48に“広域図”画面が表示されている。
【0082】
以上の方法では、複数の観察像を簡易的に結像する方法と異なり、一枚の観察像を通常の像観察条件で結像しているため、像観察条件を同じにして仮観察像と通常の観察像で得られる画像を同等にできる。このため、簡易的に結像した簡易観察像と通常の観察像とで画質が若干異なってしまったり、簡易観察像と同様の観察像を得るために簡易観察像を撮像した簡易像観察条件を微調整しなければならないといった問題を回避できる。しかも、複数の観察像を取得するのでなく、一枚の観察像を結像する際に走査領域で段階的あるいは連続的に像観察条件を変化させているため、長時間を要することもない。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、実際に取得する観察像と同じ条件で、複数の異なる像観察条件に基づいて、あるいは像観察条件を連続的に変化させながら試料の表面の走査領域を走査することで、最適な観察像を得るためのサンプル画像としての仮観察像を短時間で結像し、表示部に表示することができる。これによって、電子顕微鏡の操作に不慣れなユーザでも、取得された仮観察像から所望の像観察条件を指定することによって、最適な像観察条件を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る走査型電子顕微鏡の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムにおける試料分類ステップの操作画面を示すイメージ図である。
【図3】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムのオート観察モードにおける位置決めステップの操作画面を示すイメージ図である。
【図4】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムのeプレビューステップにおける第一の表示領域に分割領域の配置を例示した操作画面を示すイメージ図である。
【図5】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡において電子線の走査ライン単位で走査領域を複数の分割領域に設定した仮観察像を示すイメージ図である。
【図6】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムのオート観察モードにおける条件選択ステップの操作画面を示すイメージ図である。
【図7】本発明の一実施例に係る電子顕微鏡の操作プログラムにおける観察ステップの操作画面を示すイメージ図である。
【符号の説明】
1・・・コンピュータ
2・・・中央演算処理部
3・・・電子銃高圧電源
4・・・フィラメント
5・・・ウェーネルト
6・・・アノード
7・・・電子銃
8・・・電子線
9・・・ガンアライメントコイル
10・・・ガンアライメントコイル制御部
11・・・収束レンズ制御部
12・・・収束レンズ
13・・・対物レンズ絞り
14・・・非点収差補正コイル制御部
15・・・電子線偏向走査コイル制御部
16・・・対物レンズ制御部
17・・・非点収差補正コイル
18・・・電子線偏向走査コイル
19・・・対物レンズ
20・・・試料
21・・・二次電子検出器
22・・・反射電子検出器
23・・・二次電子検出増幅部
24・・・反射電子検出増幅部
25・・・A/D変換器
26・・・A/D変換器
27・・・画像データ生成部
28・・・表示部
29・・・プリンタ
30・・・排気系ポンプ
31・・・試料室
32・・・排気制御部
33・・・試料台
47・・・第1表示領域
48・・・第2表示領域
201・・・操作フロー
208・・・試料交換指示手段
211・・・オート観察用試料指定手段
212・・・前回条件設定手段
221・・・位置決め操作メッセージ領域
231・・・プレビュー設定手段
232・・・仮像観察対応条件設定手段
241・・・条件選択観察操作メッセージ領域
252・・・観察操作メッセージ領域
Claims (19)
- 像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡であって、
走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定するための像観察条件設定部と、
前記像観察条件設定部の設定に従って分割領域毎に異なる像観察条件で試料表面の所望の走査領域を走査し仮観察像を結像するための結像部と、
を備えることを特徴とする電子顕微鏡。 - 前記電子顕微鏡はさらに、
前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択するための指定部を備えており、
前記指定部で選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域を走査することで結像部が観察像を結像し表示部に表示可能に構成してなることを特徴とする請求項1に記載の電子顕微鏡。 - 像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡であって、
走査中に像観察条件を連続的に変化させる条件を設定するための像観察条件設定部と、
前記像観察条件設定部の設定に従い試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像するための結像部と、
を備えることを特徴とする電子顕微鏡。 - 前記電子顕微鏡はさらに、
前記像観察条件設定部の設定に従い前記像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の所望の走査領域を走査することで得られた仮観察像上の所望の位置を指定するための指定部を備えており、
前記指定部で指定された仮観察像の位置に対応する像観察条件に固定して試料の表面の走査領域を走査することで結像部が観察像を結像し表示部に表示可能に構成してなることを特徴とする請求項3に記載の電子顕微鏡。 - 像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子顕微鏡。
- 像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子顕微鏡。
- 像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作方法であって、
走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定するステップと、
分割領域毎に異なる像観察条件で結像しながら試料表面の所望の走査領域の仮観察像を結像するステップと、
を備えることを特徴とする電子顕微鏡の操作方法。 - 電子顕微鏡の操作方法はさらに、
前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択するステップと、
選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域の観察像を結像するステップと、
を備えることを特徴とする請求項7記載の電子顕微鏡の操作方法。 - 像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作方法であって、
像観察条件を連続的に変化させながら試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像することを特徴とする電子顕微鏡の操作方法。 - 電子顕微鏡の操作方法はさらに、
前記像観察条件を連続的に変化させて得られた仮観察像の所望の位置を指定するステップと、
指定された仮観察像の位置における像観察条件に固定して試料表面の所望の走査領域を走査することで観察像を結像するステップと、
を備えることを特徴とする請求項9記載の電子顕微鏡の操作方法。 - 像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の電子顕微鏡の操作方法。
条件を変化させる範囲を指定する方法としては、例えば既に像観察条件を変化させて結像された仮観察像上で、所望の位置を指定を2点指定し、指定された位置における像観察条件をそれぞれ上限、下限として範囲を設定することで、この範囲内で像観察条件変化させて再度仮観察像を結像する方法がある。あるいは、変化させたいパラメータと変化させたい範囲を直接指定する方法もある。 - 像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の電子顕微鏡の操作方法。
- 像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作プログラムであって、コンピュータに
走査領域を複数の分割領域に分割するとともに、分割領域毎に複数の異なる像観察条件を設定する機能と、
分割領域毎に異なる像観察条件で結像しながら試料表面の所望の走査領域の仮観察像を結像する機能と、
を実現させるための電子顕微鏡の操作プログラム。 - 電子顕微鏡の操作プログラムはさらに、コンピュータに
前記分割領域毎に異なる像観察条件にて結像された仮観察像に基づいて、複数の異なる像観察条件から一の像観察条件を選択する機能と、
選択された一の像観察条件に基づいて試料表面の所望の走査領域の観察像を結像する機能と、
を実現させることを特徴とする請求項13記載の電子顕微鏡の操作プログラム。 - 像観察条件に基づいて、電子銃に加速電圧を印加して電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子または反射電子を1以上の検出器で検出しながら試料表面の所望の走査領域を走査することで、観察像を結像し表示部に表示可能な電子顕微鏡の操作プログラムであって、コンピュータに
像観察条件の初期値および変化させるパラメータを設定する機能と、
設定に基づいて像観察条件を連続的に変化させながら観察像を順次取得し、試料表面の所望の走査領域を走査することで仮観察像を結像する機能と、
を実現させるための電子顕微鏡の操作プログラム。 - 電子顕微鏡の操作プログラムはさらに、コンピュータに
前記像観察条件を連続的に変化させて得られた仮観察像の所望の位置を指定する機能と、
指定された仮観察像の位置における像観察条件に固定して試料表面の所望の走査領域を走査することで観察像を結像する機能と、
を実現させることを特徴とする請求項15記載の電子顕微鏡の操作プログラム。 - 像観察条件を変化させる範囲を指定可能に構成してなることを特徴とする請求項13から16のいずれかに記載の電子顕微鏡の操作プログラム。
- 像観察条件の変化は、加速電圧、スポットサイズ、コントラスト、ブライトネスの内少なくとも一のパラメータを変化させることを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の電子顕微鏡の操作プログラム。
- 請求項13から18のいずれかに記載した電子顕微鏡の操作プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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JP2003008905A JP2004220988A (ja) | 2003-01-16 | 2003-01-16 | 電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体 |
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JP2006190567A (ja) * | 2005-01-06 | 2006-07-20 | Hitachi High-Technologies Corp | 電子線装置 |
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