JP3992458B2 - 小型滑走艇のエンジンマウント構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型滑走艇のエンジンマウント構造に関する。特に、ハルとデッキとで囲まれた船体内に、ジェット推進ポンプを駆動するエンジンが搭載された小型滑走艇におけるそのエンジンマウント構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な小型滑走艇には2サイクルエンジンが搭載されており、このエンジンは、そのシリンダが船体中央で略直立するような姿勢で搭載されていた。一方、近年においては、排気の低公害化や騒音の観点から、小型滑走艇に4サイクルエンジンを搭載しようとする動きが高まってきている。
しかしながら、4サイクルエンジンは、2サイクルエンジンに比べて、同じ排気量でもシリンダヘッドの構造等によりエンジンの全高が高くなることから、小型滑走艇の狭い船体内に4サイクルエンジンを、そのシリンダが略直立するような姿勢で搭載することは困難である。
そこで、4サイクルエンジンを、そのクランク軸を中心として一側に傾斜させた状態で船体内に搭載した小型滑走艇が既に提案されている(特開平10−252440号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、エンジンは、そのクランク軸と平行な割面で分割された上ケースと下ケースとを有しているが、従来のエンジンでは、その船体へのマウント部が左右いずれも下ケースに設けられていた。
このため、エンジン(特に4サイクルエンジン)を、そのクランク軸を中心として一側に傾斜させた状態で船体内に搭載しようとすると、エンジンを船体内にバランスよく搭載することが困難であったり、あるいはマウント部(例えばマウントアーム部)が大型化し、狭くて貴重な船体内空間が無駄になって補機部品や給排気系部品の配置が困難になったりするという問題があった。
【0004】
この発明の目的は、以上のような問題を解決し、エンジンを船体内にバランスよく搭載することができるとともに、船体内空間を有効に利用することができる小型滑走艇のエンジンマウント構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造は、ハルとデッキとで囲まれた船体内に、ジェット推進ポンプを駆動するエンジンが搭載され、このエンジンが、そのクランク軸と平行な割面で分割された上ケースと下ケースとを有しているとともに、前記クランク軸を中心として一側に傾斜した状態で取り付けられているものにおいて、
前記エンジンは過給機が設けられたエンジンであるとともに、該エンジンの船体へのマウント部が前記上ケースと下ケースとに対し、左右で振り分けられて設けられており, 前記エンジンは、その吸気ポート側が上側になるように、その排気ポート側が下側になるように傾斜して取り付けられているとともに、前記左右に振り分けられたマウント部のうち吸気ポート側のマウント部が前記下ケースに、排気ポート側のマウント部が前記上ケースに設けられ,前記吸気ポートには、前記過給機に接続されたインタークーラと、サージタンクとが接続され,該サージタンクの直下に前記インタークーラが配置されていることを特徴とする。
請求項2記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造は、請求項1記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造において、前記クランク軸の延長線上のエンジン前面にオイルタンクを接合し,該オイルタンクの底部を前記マウント部より低位置に配置したことを特徴とする
請求項記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造は、請求項1または2記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造において、前記エンジンの始動用スタータモータを前記上ケースに取り付け、このスタータモータを取り付けた側のマウント部が前記下ケースに設けられていることを特徴とする。
【0006】
【作用効果】
請求項1記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造は、ハルとデッキとで囲まれた船体内に、ジェット推進ポンプを駆動するエンジンが搭載され、このエンジンが、そのクランク軸と平行な割面で分割された上ケースと下ケースとを有しているとともに、前記クランク軸を中心として一側に傾斜した状態で取り付けられているものにおいて、前記エンジンの船体へのマウント部が前記上ケースと下ケースとに対し、左右で振り分けられて設けられているので、エンジンを、そのクランク軸を中心として一側に傾斜させた状態で船体内にバランスよく搭載することができる。
また、マウント部をコンパクトに構成できるので、狭くて貴重な船体内空間を有効に利用して補機部品や給排気系部品を配置することができるようになる。
請求項2記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造によれば、請求項1記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造において、前記エンジンは、その吸気ポート側が上側になるように、その排気ポート側が下側になるように傾斜して取り付けられているとともに、前記左右に振り分けられたマウント部のうち吸気ポート側のマウント部が前記下ケースに、排気ポート側のマウント部が前記上ケースに設けられているので、下ケース側のマウント部上方の空間を広く形成でき、この空間を利用して吸気系機器や部材を有効に配置することができる。
特に請求項3記載のように、エンジンが過給機付きのエンジンであり、その吸気ポートに、過給機に接続されたインタークーラとサージタンクとを接続する場合には、下ケース側のマウント部上方の広い空間を利用して、これらインタークーラとサージタンクとを無理なく配置することができる。
したがって、請求項2記載のエンジンマウント構造は、エンジンが過給機付きである場合に特に有効である。
請求項4記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造によれば、請求項1,2,または3記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造において、前記エンジンの始動用スタータモータを前記上ケースに取り付け、このスタータモータを取り付けた側のマウント部が前記下ケースに設けられているので、スタータモータをマウント部に干渉させることなくエンジンに近づけて配置することができる。
したがって、スタータモータを含むエンジン重量を船体中央部近くに集中化させることができ、船艇の旋回性を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る小型滑走艇のエンジンマウント構造の一実施の形態を用いた小型滑走艇の一例を示す概略側面図、図2は同じく平面図、図3は図1におけるIII−III部分拡大断面図(部分省略断面図)である。
【0008】
これらの図(主として図1)に示すように、この小型滑走艇10は、鞍乗り型小型船舶であり、船体11上のシート12に乗員が座り、スロットルレバー付きの操舵ハンドル13を握って操行可能である。
船体11は、ハル14とデッキ15とを接合して内部に空間16を形成した浮体構造となっている。空間16内において、ハル14上には、エンジン20が、そのクランク軸21(図6参照)が船11体の長手方向に向くように搭載され、このエンジン20で駆動される推進手段としてのジェットポンプ(ジェット推進ポンプ)30がハル14後部に設けられている。
船体11には、船体内(空間16)に吸気を供給する吸気ダクト18,19が設けられている。
【0009】
ジェットポンプ30は、船底に開口した取水口17から船体後端に開口した噴流口31およびノズル32に至る流路33と、この流路33内に配置されたインペラ34とを有しており、インペラ34のシャフト35がエンジン20の後述する出力軸22にカップリング80を介して連結されている。したがって、エンジン20によりインペラ34が回転駆動されると、取水口17から取り入れられた水が噴流口31からノズル32を経て噴出され、これによって船体11が推進される。エンジン20の駆動回転数、すなわちジェットポンプ30による推進力は、前記操作ハンドル13のスロットルレバー13a(図2参照)の回動操作によって操作される。ノズル32は、図示しない操作ワイヤーで操作ハンドル13と連係されていて、ハンドル13の操作で回動操作され、これによって進路を変更することができる。
なお、40は燃料タンク、41は収容室である。
【0010】
図4、図5は主としてエンジン20を示す図で、図4は図1におけるIV−IV部分拡大断面図(部分省略断面図)、図5は図1におけるV−V部分拡大断面図(部分省略断面図)である。図6はエンジン20の右側断面図、図7は左側面図(部分断面図)、図8はエンジン20を斜め後方から見た概略斜視図である。
このエンジン20はDOHC型で直列4気筒のドライサンプ式4サイクルエンジンであり、図1および図6から明らかなように、そのクランク軸21が船体11の前後方向に沿うように配置されている。
また、図4に示すように、エンジン20は、その縦軸Oが、クランク軸21を中心として一側(この場合反時計方向)に傾斜した状態で取り付けられている。
図4および図5に示すように、船体11の進行方向に向かってエンジン20の左側に吸気口(吸気ポート)20iが配置され、右側に排気口(排気ポート)20oが配置されている。
【0011】
吸気口20iには、スロットルボディ22とサージタンク(インテークチャンバ)23とが連結され、このサージタンク23に対し、その直下において、インタークーラ50が接続配置されている。図4において、52,53はインタークーラ50のエンジン20への取付ブラケットである。
インタークーラ50は、図4および図8に示すように、エンジン20のすぐ後方に配置された過給器(ターボチャージャ)70のコンプレッサ部71に配管72で接続されて連通する吸気入り口51iと、前記サージタンク23の吸気入り口23aにチューブ51cで接続された出口51oとを有するケース51と、このケース51内に収容された熱交換ユニットである冷却ユニット60とを備えている。
図8において、91,92はインタークーラー50に接続された冷却水ホースである。
【0012】
一方、図4、図5に示すようにエンジン20の排気口20oには、排気マニホルド25が設けられており、この排気マニホルド25における排気出口25o(図8参照)が、ターボチャージャ70のタービン部73に接続されている。
なお、タービン部73にてタービンを回転させた排気は、図1、図2に示すように、排気管74,転覆時の水の逆流(ターボチャージャ70等への水の侵入)を防止するための逆流防止室75,ウォーターマフラー76,および排気・排水管77を経てジェットポンプ30による水流内へと排出される。
【0013】
図9はエンジンブロックを示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図である。
図9に示すように、エンジン20は、割面Dで分割される上ケース20mと下ケース20nとを有しており、これらケース20m、20nを締め付けボルト20k・・・で締め付けることによって、クランク軸21の軸受け穴20qと、後述するバランサの軸受け穴20L、20Rとが形成される。
下ケース20nの最下面20pは、上記締め付けボルト20kの頭部20k1よりも下方に位置して開口しており、オイルパン28(図5,図6参照)との接合面すなわちオイルパン28の取付面20pを形成している。
オイルパン28の取付面20pは、底面視(図9(b))で長いの口型形状に形成されており、締め付けボルト20kに対し、当該締め付けボルト20kの外側近傍に設けられている。
なお、オイルパン28の上面も、上記接合面20pと適合するように開口しており、上記接合面20pとの接合面を有している。
【0014】
図9に明示するように、また、図4,図5にも示されるように、エンジン20の船体11への4つのマウント部M1,M2,M3,M4は、上ケース20mと下ケース20nとに対し、左右で振り分けられて設けられている。
すなわち、船体進行方向に対して左側における前後のマウント部M1,M2は下ケース20nに一体的に形成されており、船体進行方向に対して右側における前後のマウント部M3,M4は上ケース20mに一体的に形成されている。
これらのマウント部M1,M2,M3,M4は、図4,図5に示すように、それぞれマウントラバーRを介し、ハル14に設けられたマウント受け部14aに対してボルト24(図8参照)で締め付けられ、これによってエンジン20が船体11内に搭載されている。
【0015】
また、図4からも明らかなように、エンジン20は、その吸気ポート20i側が上側になるように、その排気ポート20o側が下側になるように傾斜して取り付けられており、左右に振り分けられたマウント部のうち吸気ポート20i側のマウント部M1,M2が下ケース20nに、排気ポート20o側のマウント部M3,M4が上ケース20mに設けられている。
そして、吸気ポート20i側のマウント部M1,M2の上方において、前述したように、過給機70に接続されたインタークーラ50と、サージタンク23とが配置されている。
【0016】
さらに、図5に示すように、エンジンの始動用スタータモータ120が、上ケース20mに取り付けられており、このスタータモータ120を取り付けた側のマウント部M1,M2が下ケース20nに設けられている。
図5に示すように、スタータモータのピニンオンギヤ121は、減速ギヤ122を介してスタータ用ギヤ123に噛み合っている。スタータ用ギヤ123は、図6に示すようにワンウェイクラッチ124を介してバランサ駆動ギヤ113に連結されており、前記バランサ駆動ギヤ113は、ワンウェイクラッチ124の外周に配置され、ACGロータ110の背面に固定されている。
図5に示すように、バランサ駆動ギヤ113は、エンジン20内部の右方(図5においては左側)においてクランク軸21と平行に配置されたバランサ114R(図7参照)の先端に固定されたバランサギヤ115に対しアイドルギヤ116を介して噛み合っていることによってバランサ114Rを回転駆動すると同時に、エンジン20内部の左方(図5においては右側)においてクランク軸21と平行に配置されたバランサ114Lの先端に固定されたギヤ117と直接噛み合っていることによってバランサ114Lをバランサ114Rと逆方向に回転駆動する。
これら左右のバランサ114L、114Rは、前述した上ケース20mと下ケース20nとの割面D上においてクランクシャフト21の左右に配置され、前述した軸受け穴20L、20Rで回転可能に支持されている。
なお、スタータモータ120の軸線とバランサ114L、114Rの軸線とは平行に配置されており、一方のバランサ114Rのアイドルギヤ116は、クランクシャフト21を挟んでスタータモータ120と反対側に配置され、また、シリンダ20s(図4,図9(a)参照)を挟んでスタータモータ120と反対側に配置されている。
【0017】
図5〜図7に示すように、エンジン20の前部には、クランク軸21の延長線上にオイルタンク81と、オイルポンプ80と、オイルクーラ90とが一体的に設けられている。オイルポンプ80およびオイルクーラ90はオイルタンク81内に設けられている。またオイルタンク81の上部にはオイルフィルタ100が設けられている。
オイルタンク81は、エンジン20の前面に接合されるタンク本体60と、このタンク本体60の前面に接合されるカバー82とで構成されており、タンク本体60の背部によって上記ACGロータ110、オイルポンプ80駆動用のカップリング111、バランサ駆動用ギヤ113、バランサギヤ115、アイドルギヤ116、バランサギヤ117、スタータモータ120のピニンオンギヤ121、減速ギヤ122、およびスタータ用ギヤ123が覆われている。
【0018】
以上のような小型滑走艇のエンジンマウント構造によれば次のような作用効果が得られる。
(a)ハル14とデッキ15とで囲まれた船体11内に、ジェット推進ポンプ30を駆動するエンジン20が搭載され、このエンジン20が、そのクランク軸21と平行な割面Dで分割された上ケース20mと下ケース20nとを有しているとともに、クランク軸21を中心として一側に傾斜した状態で取り付けられており、エンジン20の船体11へのマウント部M1,M2,M3,M4が上ケース20mと下ケース20nとに対し、左右で振り分けられて設けられているので、エンジン20を、そのクランク軸21を中心として一側に傾斜させた状態で船体11内にバランスよく搭載することができる。
また、マウント部M1,M2,M3,M4をコンパクトに構成できるので、狭くて貴重な船体内空間16を有効に利用して補機部品(例えばスタータモータ120)や給排気系部品(例えばスロットルボディ22,サージタンク23、あるいは排気マニホルド24等)を配置することができるようになる。
(b)エンジン20は、その吸気ポート20i側が上側になるように、その排気ポート20o側が下側になるように傾斜して取り付けられているとともに、左右に振り分けられたマウント部のうち吸気ポート20i側のマウント部M1,M2が下ケース20nに、排気ポート20o側のマウント部M3,M4が上ケース20mに設けられているので、下ケース20n側のマウント部M1,M2上方の空間を広く形成でき、この空間を利用して吸気系機器(例えばサージタンク23,インタークーラ50)や部材(例えばパイプ92)を有効に配置することができる。
特にこの実施の形態のように、エンジン20が過給機付きのエンジンであり、その吸気ポート20iに、過給機70に接続されたインタークーラ50とサージタンク23とを接続する場合には、下ケース20n側のマウント部M1,M2上方の広い空間を利用して、これらインタークーラ50とサージタンク23とを無理なく配置することができる。
したがって、このようなエンジンマウント構造は、エンジンが過給機付きである場合に特に有効である。
(c)エンジン20の始動用スタータモータ120を上ケース20mに取り付け、このスタータモータ120を取り付けた側のマウント部M1,M2が下ケース20nに設けられているので、スタータモータ120をマウント部M1,M2に干渉させることなくエンジン20に近づけて配置することができる。
したがって、スタータモータ120を含むエンジン重量を船体11中央部近くに集中化させることができ、船艇10の旋回性を向上させることができる。
【0019】
(d)エンジン20の上ケース20mと下ケース20nとを締め付ける締め付けボルト20kに対し、底面視で当該締め付けボルト20kの外側近傍に、オイルパン28の取付面20pを設けてあるので、エンジン20の全高を低くすることができる。
すなわち、底面視でオイルパン28の取付面20pを、締め付けボルト20kの内側に設けたのではオイルパン28の容量が小さくなり、締め付けボルト20kに対して大きく外側に設けたのではオイルパン28の幅が大きくなって船艇形状に合わせることが困難になる。また、底面視でオイルパンの取付面20pを、締め付けボルト20kにオーバーラップさせたのでは、その分エンジンの全高が高くなる。
これに対し、この実施の形態によれば、締め付けボルト20kに対し、底面視で当該締め付けボルト20kの外側近傍に、オイルパンの取付面20pを設けてあるので、エンジン20の全高を低くすることができる。
しかも、適正なオイルパンの容量を確保しつつ船体底部に合わせてかつ船体との間に適度のクリアランスを確保しつつオイルパン28を設けることができる。
【0020】
(e)上ケース20mと下ケース20nとの割面D上においてクランクシャフト21の左右にバランサ114L、114Rが配置されているので、このエンジン20によれば、バランサ114L、114Rが設けられているにもかかわらず、全高を低くすることが可能となる。
したがって、このエンジン20は、ハル14とデッキ15で囲まれた狭い船体内空間16しか有していない小型滑走艇10に搭載するのに適していると同時に、船艇10の重心も低くすることが可能となる。
また、クランクシャフト21と平行な割面Dで分割される上ケース20mと下ケース20nとの割面D上においてクランクシャフト21の左右にバランサ114L、114Rが配置されている結果としてクランクシャフト21の位置を相対的に低くすることができ、このクランクシャフト21の延長上において、ジェット推進ポンプ30の軸35を連結することが可能となる。
さらにまた、上記割面D上においてクランクシャフト21の左右にバランサ114L、114Rが配置されている結果としてシリンダ20s両側にスペースができるため、補機類を配置する上での自由度を確保することができる。
すなわち、この小型滑走艇用エンジン20によれば、小型滑走艇10に搭載するのに適していると同時に船艇10の重心も低くでき、補機類を配置する上での自由度も確保できるという効果が得られる。
(f)クランクシャフト21の端部に設けたACGロータ110の背面に、バランサの駆動ギヤ113を密着させて設けてあるので、バランサ114L、114Rの駆動系をコンパクトにすることができ、エンジン20の全長も短くすることができる。
(g)ACGロータ110の背部にエンジン始動系のワンウェイクラッチ124を設け、このワンウェイクラッチ124の外周にバランサの駆動ギヤ113を設けてあるので、始動系のワンウェイクラッチ124とバランサの駆動ギヤ113とがオーバーラップしている分だけさらにエンジン20の全長を短くすることができる。
(h)オイルタンク81がACGロータ110、バランサ114(L、R)、およびスタータモータ120の駆動室を覆っているので、別途カバーを設ける必要がなくなり、エンジン20の全長を一層短くすることができる。
しかも、オイルタンク81内のオイルによる吸音効果により騒音も低下する。
(i)スタータモータ120とバランサ114L、114Rとを平行に配置し、一方のバランサ114Rのアイドルギヤ116をクランクシャフト21を挟んでスタータモータ120と反対側に配置してあるので、スタータモータ120とバランサの駆動系とをクランクシャフト回りにコンパクトに配置することができ、結果として、エンジン20の重心を低くすることができて船艇10全体の重心も低くすることができる。
(j)一方のバランサ114Rのアイドルギヤ116をエンジンのシリンダ20sを挟んでスタータモータ120と反対側に配置してあるので、スタータモータ120とバランサの駆動系とをエンジンの縦軸寄りにコンパクトに配置することができる。
したがって、スタータモータ120および上記駆動系を含むエンジン重量を船体11中央部近くに集中化させることができ、船艇10の旋回性を向上させることができる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る小型滑走艇のエンジンマウント構の一実施の形態を用いた小型滑走艇の一例を示す概略側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】図1におけるIII−III部分拡大断面図(部分省略断面図)。
【図4】図1におけるIV−IV部分拡大断面図(部分省略断面図)。
【図5】図1におけるV−V部分拡大断面図(部分省略断面図)。
【図6】エンジン20の右側断面図。
【図7】エンジン20の左側面図(部分断面図)。
【図8】エンジン20を斜め後方から見た概略斜視図。
【図9】エンジンブロックを示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図。
【符号の説明】
10 小型滑走艇
11 船体
14 ハル
15 デッキ
20 エンジン
D 割面
M1〜4 マウント部
20m 上ケース
20n 下ケース
20i 吸気ポート
20o 排気ポート
20s シリンダ
21 クランク軸(クランクシャフト)
23 サージタンク
30 ジェットポンプ(ジェット推進ポンプ)
50 インタークーラ
70 過給機
113 バランサの駆動ギヤ
114 バランサシャフト
116 バランサのアイドルギヤ
120 スタータモータ

Claims (3)

  1. ハルとデッキとで囲まれた船体内に、ジェット推進ポンプを駆動するエンジンが搭載され、このエンジンが、そのクランク軸と平行な割面で分割された上ケースと下ケースとを有しているとともに、前記クランク軸を中心として一側に傾斜した状態で取り付けられているものにおいて、
    前記エンジンは過給機が設けられたエンジンであるとともに、該エンジンの船体へのマウント部が前記上ケースと下ケースとに対し、左右で振り分けられて設けられており, 前記エンジンは、その吸気ポート側が上側になるように、その排気ポート側が下側になるように傾斜して取り付けられているとともに、前記左右に振り分けられたマウント部のうち吸気ポート側のマウント部が前記下ケースに、排気ポート側のマウント部が前記上ケースに設けられ,前記吸気ポートには、前記過給機に接続されたインタークーラと、サージタンクとが接続され,該サージタンクの直下に前記インタークーラが配置されていることを特徴とする小型滑走艇のエンジンマウント構造。
  2. 前記クランク軸の延長線上のエンジン前面にオイルタンクを接合し,該オイルタンクの底部を前記マウント部より低位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造。
  3. 前記エンジンの始動用スタータモータを前記上ケースに取り付け、このスタータモータを取り付けた側のマウント部が前記下ケースに設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の小型滑走艇のエンジンマウント構造。
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