JP3992128B2 - 溶接ナット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願発明は、溶接ナットに関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接ナットは鉄板に溶接されると図7、9に示されるように、溶接ナット本体と鉄板の間に約 0.05mm〜0.1mmの隙間を生じた状態で溶接されていた。
とくに、自動車部品等において、図7、9の状態で溶接された部品と他の部品をボルトで締結して組み立てを行うと、溶接ナットと鉄板の隙間から雨水等の水滴れが発生するという問題が生じていた。
このような問題を解決するために、従来は、図7、8に示すように、溶接部分をリング状にして水滴れを防止したり、図9、10に示すように、溶接後にシーリング剤を溶接ナットの接地部分に塗って水滴れを防止していた。
しかし、リング状の溶接突起の場合は、溶接が困難なために、高価な溶接機を使用しなければならず、また、シーリング剤の場合は、シーリング剤を塗る工程が必要になり、高価になるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この出願発明は、このような従来の問題点を解決するものであり、溶接突起の周辺、とくに、溶接突起の周囲に溝を設けることにより、溶接時に溶接ナットの駄肉を入れ、隙間を無くすことにより、溶接ナットと鉄板を密着させることに成功した。
この出願発明は、鉄板に隙間を設けることなく、溶接ナットを鉄板に密着して溶接することを目的とするものであり、高価な溶接機を使用しなくても、あるいは シーリング作業を行なわなくても、溶接ナットと鉄板の密着溶接作業を安価な方法で行える溶接ナットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この出願発明は、取付面の全体が平坦であって、シール用の突起をもたない溶接ナットの取付面の外周のみに設けた、平面形状が略長方形であってやや弧状であり断面形状が略三角形であって頂部が平坦である複数個の溶接突起の周囲に、溶接突起に隣接してコ字状に連続しており断面形状が台形である溝を有する円形溶接ナットに関する。
【0005】
【作用】
この出願発明は、溶接時に溶接ナットの駄肉を溝に入れることにより密着した状態で溶接することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
この出願発明の溶接ナットは、溝を溶接突起の周囲に設けることがとくに好ましい。
【0007】
この出願発明の溶接ナットは、溝が連続していることがとくに好ましい。
【0008】
この出願発明の溶接ナットは、溝が溶接突起に隣接していることがとくに好ましい。
【0009】
この出願発明の溶接ナットは、溶接突起の平面形状が略長方形であることがとくに好ましい。
【0010】
この出願発明の溶接ナットは、溶接突起の断面形状が、頂点から垂直に線を引いたときに対象であることがとくに好ましい。
【0011】
この出願発明の溶接ナットは、溶接突起の断面形状が略三角形であることがとくに好ましい。
【0012】
この出願発明の溶接ナットは、溶接突起が複数個であることがとくに好ましい。
【0013】
この出願発明の溶接ナットは、溶接突起が溶接ナットの外側に配置されていることがとくに好ましい。
【0014】
溶接突起の断面形状はとくに限定されないが、頂部の面積は下部の面積に比べて小さいものがとくに好ましい。
具体的には、略三角型、略半円形、略半球状が好ましく、とくに、略三角形が好ましい。
【0015】
溶接突起の頂部は、平坦であることことがとくに好ましい。
このような形状にすることにより、溶融初期に、突起の頂点が加熱されやすくなり、溶接時に発生する振動で頂点の部分がスパークしても下部を安定にすることができる。
【0016】
溶接突起の平面形状は、溶融後の溶接強度が突起の投影面積に比例して上昇するので、長方形、楕円形、四角形、円形、三角形などが好ましく、長方形、楕円形であることがより好ましく、長方形であることがとくに好ましい。
また、外周に沿って弧状であることがとくに好ましい。
【0017】
溶接突起の数は、とくに限定されないが、複数個、とくに3〜4個あることが好ましい。
【0018】
溶接突起が3個の場合は、溶接突起が溶接面に対して安定しており、また、溶接時の電気の流れが安定する点で好ましい。
溶接突起が4個の場合は、溶融後の溶接強度が優れているので好ましい。
【0019】
溶接突起の周囲に設けられる溝は、溶接ナットの溶接突起が溶融したときに駄肉を吸収できるものであればよい。
【0020】
溝の平面形状は、溶接突起に隣接していればよく、とくに、溶接突起の周囲を囲むものであることがとくに好ましい。
【0021】
溝の断面形状は、駄肉が入るようになっていればよく、とくに限定されないが、台形になっていることがとくに好ましい。
【0022】
以下、この出願発明を図面に基づいて説明する。
図1は、この出願発明の溶接ナットの軸方向からみた平面図であり、図2は、この出願発明の溶接ナットのフランジ方向からみた平面図であり、図3は、この出願発明の溶接ナットの側面図であり、図4は、この出願発明の溶接後の状態を示す断面図であり、図5は、この出願発明の溶接ナットの部分拡大図であり、図6は、従来の溶接ナットの平面図であり、図7は、図6の溶接ナットの溶接後の状態を示す側面図であり、図8は、従来の他の溶接ナットの平面図および側面図であり、図9は、図8の溶接ナットの溶接後の状態を示す側面図であり、図10は、従来の他の溶接された溶接ナットの平面図であり、図11は、図10の溶接ナットの溶接後の状態を示す側面図である。図12は、この出願発明の溶接突起と溝との関係を示す図である。
【0023】
溶接工程について図1〜4により具体的に説明する。
図1、図2、図3に示すように、3個の溶接突起2をもつ溶接ナット1を鉄板4に配置し、溶接する。
このようにすることにより、図4、図5に示すように、溶接ナット1の溶接突起2の駄肉5は溝3に吸収され、溶接ナット1と鉄板4は密着した。
【0024】
図6は、従来の溶接ナット1を示すものであり、図7に示すように、駄肉5によって溶接ナット1と鉄板4の間に隙間6が生じる。
【0025】
図8は、従来の溶接ナット1を示すものであり、リング状の溶接突起7により図9に示すように、溶接ナット1と鉄板4の間に隙間6が生じない。
【0026】
図10は、従来の溶接ナット1を示すものであり、図11に示すように、駄肉5によって溶接ナット1と鉄板4の間に隙間6が生じるが、隙間6をシーリング材8によって埋めるので隙間6が生じない。
【0027】
図12は、この出願発明の溶接ナット1の溶接突起2と、溝3との関係を示すものであり、溶融したときに、溶接突起のAの部分は溶接ナット1の外側へ、また、溶接突起のBの部分は溶接ナットに設けられた溝Cに吸収されることを示すものである。
【0028】
【発明の効果】
この出願発明により、溶接突起の周辺、とくに、溶接突起の周囲の溝に溶接後の駄肉が吸収されて隙間が生じないので、溶接ナットと鉄板が密着するという優れた効果がある。
また、これまでのような高価な溶接機を使用しなくても、あるいは シーリング作業を行わなくても、溶接ナットと鉄板の密着溶接作業を安価な方法で行うことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この出願発明の溶接ナットの軸方向からみた平面図。
【図2】 この出願発明の溶接ナットのフランジ方向からみた平面図。
【図3】 この出願発明の溶接ナットの側面図。
【図4】 この出願発明の溶接後の状態を示す断面図。
【図5】 この出願発明の溶接ナットの部分拡大図。
【図6】 従来の溶接ナットの平面図。
【図7】 図6の溶接ナットの溶接後の状態を示す側面図。
【図8】 従来の他の溶接ナットの平面図および側面図。
【図9】 図8の溶接ナットの溶接後の状態を示す側面図。
【図10】 従来の他の溶接された溶接ナットの平面図。
【図11】 図10の溶接ナットの溶接後の状態を示す側面図。
【図12】 この出願発明の溶接ナットの溶接突起と溝との関係を示す図。
【符号の説明】
1 溶接ナット
2 溶接突起
3 溝
4 鉄板
5 駄肉
6 隙間
7 リング状の溶接突起
8 シーリング材
A 溶融突起の中央から外側の部分
B 溶融突起の中央から内側の部分
C 溝
L 溶融突起の中央から溝までの距離
L1 溝の幅
Claims (1)
- 取付面の全体が平坦であって、シール用の突起をもたない溶接ナットの取付面の外周のみに設けた、平面形状が略長方形であってやや弧状であり断面形状が略三角形であって頂部が平坦である複数個の溶接突起の周囲に、溶接突起に隣接してコ字状に連続しており断面形状が台形である溝を有することを特徴とする円形溶接ナット。
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