JP3991556B2 - 容量可変型圧縮機の制御弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量可変機構に作用する制御圧に基づいて吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機に用いられる制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に車輌用空調装置の冷房回路は、凝縮器(コンデンサ)、減圧装置としての膨張弁(エキスパンションバルブ)、蒸発器(エバポレータ)及び圧縮機を備えている。圧縮機は蒸発器からの冷媒ガスを吸入して圧縮し、その圧縮ガスを凝縮器に向けて吐出する。蒸発器は冷房回路を流れる冷媒と車室内空気との熱交換を行う。熱負荷又は冷房負荷の大きさに応じて、蒸発器周辺を通過する空気の熱量が蒸発器内を流れる冷媒に伝達されるため、蒸発器の出口又は下流側での冷媒ガス圧力は冷房負荷の大きさを反映する。車載用の圧縮機として広く採用されている容量可変型斜板式圧縮機には、蒸発器の出口圧力(吸入圧Psという)を所定の目標値(設定吸入圧という)に維持すべく動作する容量制御機構が組み込まれている。容量制御機構は、冷房負荷の大きさに見合った冷媒流量となるように吸入圧Psを制御指標として圧縮機の吐出容量つまり斜板角度をフィードバック制御する。かかる容量制御機構の典型例は、内部制御弁と呼ばれる制御弁である。内部制御弁ではベローズやダイヤフラム等の感圧部材で吸入圧Psを感知し、感圧部材の変位動作を弁体の位置決めに利用して弁開度調節を行うことにより、斜板室(クランク室ともいう)の圧力(クランク圧Pc)を調節して斜板角度を決めている。
【0003】
また、単一の設定吸入圧しか持ち得ない単純な内部制御弁では細やかな空調制御要求に対応できないため、外部からの電気制御によって設定吸入圧を変更可能な設定吸入圧可変型制御弁も存在する。設定吸入圧可変型制御弁は例えば、前述の内部制御弁に電磁ソレノイド等の電気的に付勢力調節可能なアクチュエータを付加し、内部制御弁の設定吸入圧を決めている感圧部材に作用する機械的バネ力を外部制御によって増減変更することにより、設定吸入圧の変更を実現するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車載用圧縮機は一般に車輌エンジンから動力供給を受けて駆動される。圧縮機はエンジン動力(又はトルク)を最も消費する補機の一つであり、エンジンにとって大きな負荷であることは間違いない。それ故、車輌用空調装置は、車輌の加速時や登坂走行時などエンジン動力を車輌の前進駆動に極力振り向けたい非常時には、圧縮機の吐出容量を最小化することで圧縮機に由来するエンジン負荷を低減するような制御(一時的な負荷低減措置としてのカット制御)を行うようにプログラムされている。前述の設定吸入圧可変弁付き容量可変型圧縮機を用いた空調装置では、制御弁の設定吸入圧を通常の設定吸入圧よりも高い値に変更することで現吸入圧を新設定圧に比して低い値とすることにより、圧縮機の吐出容量を最小化する方向に誘導して実質的なカット制御を実現している。
【0005】
ところが、設定吸入圧可変弁付きの容量可変型圧縮機の動作を詳細に解析したところ、吸入圧Psを指標としたフィードバック制御を介在させる限り、目論見通りのカット制御(つまりエンジン負荷低減)が常に実現するわけではないということが判明した。図14のグラフは、吸入圧Psと圧縮機の吐出容量Vcとの相関関係を概念的に表したものである。このグラフから分かるように、吸入圧Psと吐出容量Vcとの相関曲線(特性線)は一種類ではなく、蒸発器での熱負荷の大きさに応じて複数の相関曲線が存在する。このため、ある圧力Ps1をフィードバック制御の目標値たる設定吸入圧Psetとして与えたとしても、熱負荷の状況によって制御弁の自律動作に基づいて実現される実際の吐出容量Vcには一定幅(グラフではΔVc)のばらつきが生じてしまう。例えば、蒸発器の熱負荷が過大な場合には、設定吸入圧Psetを十分に高くしたつもりでも、実際の吐出容量Vcはエンジンの負荷を低減するところまで落ちきらないという事態が生じ得る。つまり吸入圧Psに依拠した制御では、単に設定吸入圧Psetを高い値に設定変更しても、蒸発器での熱負荷の変化が追従してこなければ、即座に吐出容量を落とせないというジレンマがある。
【0006】
又、前記カット制御が一時的な負荷低減措置である以上、低吐出容量を所定時間だけ保持した後には圧縮機の吐出容量Vcをカット制御前の吐出容量Vcにまで復帰させる必要がある。その際、容量復帰があまりにも急激だと不快な衝撃や異音を感じさせてしまうため、容量復帰過程における吐出容量Vcの時間変化はある程度緩やかに直線的であることが好ましい。
【0007】
図15のグラフは、カット制御前後における負荷トルク(圧縮機の吐出容量Vcと相関する)の時間変化の各種パターンを示す。このグラフに実線で示すパターンがほぼ理想的な直線的復帰過程である。これに対し、従来の吸入圧Psに依拠した制御を採用する限り、設定吸入圧Psetの単調な復帰制御(つまりは電磁ソレノイドの通電量の単調な復帰)では、図15に実線で示すような緩やかな直線的復帰パターンは実現できず、図15に二つの二点鎖線で示すような復帰パターン(一方は即座に吐出容量Vcが立ち上がるパターン、他方は相当の遅延を経てから吐出容量Vcが急に立ち上がるパターン)に陥ってしまうことが経験的に確認されている。これもやはり、吸入圧Psと圧縮機の吐出容量Vcとが一義的な相関性を持たないことに由来する現象である。このようにカット制御モードでの容量低減後の容量復帰をより理想的なパターンに近づけるという技術目標を達成する上でも、従来の吸入圧Psに依拠した制御には限界があった。
【0008】
蒸発器での熱負荷を反映する吸入圧Psに基づいて容量可変型圧縮機の吐出容量Vcを調節する制御手法は、車外の寒暖の変化にかかわらず、人間の快適感を左右する室温の安定維持を図るという空調装置本来の目的を達成する上では極めて妥当な制御手法であった。しかし、上記カット制御にみられるように、空調装置本来の目的を一時的に放棄してでも、駆動源(エンジン)の事情を最優先して緊急避難的に迅速な吐出容量ダウンを実現し、その後に衝撃等を回避できる復帰パターンでもって元の吐出容量Vcまで復帰させるという制御を実現するには、吸入圧Psに依拠した制御では十分に対応できないというのが実状である。
【0009】
本発明の目的は、蒸発器での熱負荷状況に影響されることなく、室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御と、緊急避難的な吐出容量の迅速な変更及びその後の復帰とを両立させることが可能な容量可変型圧縮機の制御弁を提供することにある。特に、最低吐出容量付近の低吐出容量域においても容量制御の正確性に優れ、圧縮機の吐出容量を広範囲にわたって直接的に制御することができる制御弁を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1及び2の発明は、容量可変機構に作用する制御圧に基づいて吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機に用いられる制御弁であって、その制御弁内に設定された弁内通路の一部を構成すべくバルブハウジング内に区画された弁室と、前記弁室内に移動可能に設けられ該弁室内での位置に応じて前記弁内通路の開度を調節可能な弁体と、冷媒循環回路に設定された二つの圧力監視点間の差圧に感応すると共に一次圧としての前記差圧に基づいて前記弁体を押圧可能とする第1の感圧構造と、前記一次圧とは異なる二次圧に感応すると共にその二次圧に基づいて前記弁体を押圧可能とする第2の感圧構造とを備え、前記一次圧と前記二次圧との複合作用によって前記弁体を弁室内で位置決めし弁内通路の開度を調節することで前記制御圧を制御し、前記二つの圧力監視点は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域に設けられ、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の一方と、前記制御圧が作用する制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成することを特徴とするものである。
【0011】
この制御弁は、弁内通路の開度(つまり弁開度)を弁体で調節することにより容量可変型圧縮機の吐出容量制御に関与する制御圧を制御するための弁機構である。本発明の制御弁では、弁室内での弁体の位置決めに影響を及ぼす圧力要因として前記一次圧と二次圧とを利用する。一次圧は冷媒循環回路に設定された二つの圧力監視点間の差圧であり、その差圧はその回路を流れる冷媒流量つまりは圧縮機からの冷媒吐出量を反映し、圧縮機の吐出容量を推定する指標ともなる。従って、この一次圧(二点間差圧)に基づいて弁体を特定方向に押圧するような第1の感圧構造を採用することで、当該一次圧を、圧縮機吐出容量をフィードバック制御する際の弁開度調節のための機械的入力(又は駆動力)として利用することができる。さすれば、圧縮機の負荷トルクと相関性を持つ吐出容量を直接的に制御することが可能となり、従来の吸入圧感応型制御弁が内在していた欠点を克服する道が開ける。但し、前記一次圧の利用のみで圧縮機の容量制御が成功すればよいが、実際には困難な面がある。というのも、実際の冷媒循環回路では、二つの圧力監視点間の差圧と実際の冷媒流量とは必ずしも比例関係にはなく、むしろ一般的には非線形な関係にあり(図5参照)、特に小流量領域では流量変化に対する差圧の変化が極めて小さいのが実状である。このため、圧縮機の吐出容量を小容量に制御する必要がある場合に、一次圧のみに依拠して弁体の位置決めを行ったのでは、精緻且つ安定した制御が困難になる虞れがある。故に本発明の制御弁では、第1の感圧構造に加えて第2の感圧構造を採用し、一次圧とは異なる二次圧に基づいて弁体を押圧可能とすることで、一次圧だけを利用する場合の弱点を補うこととした。
【0012】
つまり本発明によれば、前記第1及び第2の感圧構造の併用により、一次圧と二次圧との複合作用に基づいて弁体を弁室内で位置決めすることができる。より具体的には、冷媒循環回路の冷媒流量が小さく一次圧も小さい場合には、一次圧よりも二次圧の方が弁体の位置決めに及ぼす影響力が相対的に高まる。他方、冷媒循環回路の冷媒流量が比較的大きい場合には、二次圧よりも一次圧が弁体の位置決めに及ぼす影響力が相対的に高まる。いずれにしても、冷媒循環回路での冷媒流量の多少にさほど影響されることなく、一次圧と二次圧との複合力が弁開度調節のための機械的入力として弁体に作用する。それ故、冷媒循環回路における想定冷媒流量のほぼ全範囲にわたって弁開度調節の制御性が向上し、圧縮機吐出容量の広範囲にわたる直接制御が実現可能となる。そして、かかる制御弁を用いれば、通常時において室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御が可能となるのみならず、非常時において緊急避難的な吐出容量の迅速な変更及びその後の復帰を実現することが可能となる。
また、請求項1及び2の発明の構成によれば、 前記高圧領域は、外的熱負荷の影響を受けにくい。このため、前記冷媒循環回路を流れる冷媒流量、即ち、圧縮機の吐出容量を、より正確に反映することが可能になる。さらに、制御圧領域には、二つの圧力監視点の一方からの冷媒が導入され、この冷媒導入量が弁内通路の開度調節によって変更されるようになる。したがって、制御弁の感圧構造に冷媒を導入する通路を、制御圧を変更するための冷媒を制御圧領域に導入する給気通路の一部として兼用することができる。
とくに請求項1の発明は、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の低圧監視点側と、前記制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成し、前記バルブハウジング内には、前記第1の感圧構造によって区分されるとともに前記二つの圧力監視点からの冷媒が導入される高圧室及び低圧室が備えられ、前記低圧室は前記弁内通路に設けられて、前記制御圧領域には、前記低圧室に導入された冷媒が前記弁内通路を介して導入されることを特徴とする。一方、請求項2の発明は、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の高圧監視点側と、前記制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成し、前記バルブハウジング内には、前記第1の感圧構造によって区分されるとともに前記二つの圧力監視点からの冷媒が導入される高圧室及び低圧室が備えられ、前記低圧室と前記弁内通路とは圧力的に隔絶されていることを特徴とする。
これら請求項1及び2の発明の構成によれば、制御圧領域には高圧領域に設けられた高圧監視点側または低圧監視点側の冷媒が導入される。制御圧は、前記冷媒の導入量が変更されることで制御される。この制御圧の変化に伴って圧縮機の吐出容量が変化する。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記第1の感圧構造は、前記冷媒循環回路の冷媒流量の変化に伴い前記一次圧(二点間差圧)が増大又は減少傾向を示すとき、圧縮機からの冷媒吐出量が前記一次圧の変化を打ち消すものとなるように前記一次圧に基づく押圧作用を弁体に及ぼすことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、冷媒循環回路の冷媒流量の変化に伴い前記一次圧(二点間差圧)が増大又は減少傾向を示すときに、圧縮機からの冷媒吐出量が一次圧の変化を打ち消すものとなるように制御弁の弁開度が自律調節される。即ち第1の感圧構造は、冷媒循環回路の冷媒流量をある定められた流量に維持するための定流量弁的性質を当該制御弁に付与するための構造である。この制御弁を用いれば、種々の要因で冷媒循環回路の冷媒流量が変化したとしても、その変化を打ち消す方向で制御圧の調節つまりは吐出容量の調節が達成される。この点で、請求項2の制御弁は自己完結的な内部制御方式の定流量弁と理解することもできる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記二次圧は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域から採取される圧力を利用したものであることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、二次圧として利用する圧力が比較的高圧となるため、第2の感圧構造における二次圧の受圧面積を小さくしても、二次圧に基づく押圧作用を弁体の位置決めに影響力を有するものとすることができる。故に、第2の感圧構造を設計する際の自由度が大きくなり、特に小型化が容易となる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記第2の感圧構造は、前記二次圧が弁体を押圧する方向が圧縮機吐出容量を低下させ得る方向となるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、冷媒循環回路の冷媒流量が小さいために前記一次圧に基づいて弁体を圧縮機吐出容量を低下させる方向に十分押圧し得ない場合でも、前記二次圧が弁体を圧縮機吐出容量を低下させる方向に押圧することができる。従って、小流量時においても圧縮機吐出容量の制御性が十分に確保される。
【0019】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記二次圧は、前記高圧領域から採取される圧力と、前記冷媒循環回路を構成する蒸発器と前記圧縮機の吸入室とを含む両者の間の低圧領域から採取される圧力または前記制御圧との差圧であることを特徴とする。
【0020】
前記低圧領域から採取される圧力及び前記制御圧は前記高圧領域から採取される圧力に比較して低いものであるため、この構成によれば、前記二次圧として利用する差圧としては好適である。
【0021】
請求項7の発明は、請求項6に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記弁体は、前記第2の感圧構造として機能することを特徴とする。
この構成によれば、前記弁体を前記第2の感圧構造として兼用することで、該第2の感圧構造を特段に設ける必要がなくなるため、制御弁の構造を簡素なものにするとともに該制御弁を小型化することが可能になる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記弁内通路は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域と、前記制御圧が作用する制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成することを特徴とする。
【0025】
前記高圧領域の内圧は前記制御圧に比較して高圧である。この構成によれば、この高圧領域から前記制御圧領域への冷媒導入量が、前記両領域間に配置された前記弁内通路の開度調節によって直接的に調節されるようになるため、前記制御圧を制御することに対するレスポンスが向上する。
【0031】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、少なくとも前記第1の感圧構造に対し作動連結可能に設けられた流量設定手段を更に備えてなり、当該流量設定手段は、少なくとも前記一次圧に基づく押圧力と対抗する付勢力を与えその付勢力に応じて前記冷媒循環回路における冷媒流量の目標値を設定することを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、流量設定手段によって与えられる付勢力が一次圧に基づく押圧力と対抗することから、請求項12の制御弁では、二次圧によって補正された一次圧と、流量設定手段による付勢力とのバランスに基づいて弁体の位置決め(つまり弁開度調節)が行なわれると理解してもよい。二次圧による補正を受けているとしても、一次圧と二次圧との複合力の変化が冷媒循環回路での冷媒流量の変化を如実に反映することに変わりはない。故に、前記複合力と付勢力とが均衡する位置に向けて弁体がフィードバック的に変位した結果、弁開度がある値にほぼ定まるときには、圧縮機の制御圧が安定して吐出容量も固定化し、冷媒循環回路の冷媒流量もほぼ一定の値に収束傾向となる。かかる観点からすれば、少なくとも一次圧に基づく押圧力と対抗する付勢力を付与することができる機械的又は電気的構成は、その付勢力に応じて冷媒循環回路における冷媒流量の目標値を設定する流量設定手段として機能し得る。
【0033】
請求項10の発明は、請求項9に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記流量設定手段は、前記付勢力を外部からの電気制御によって変更可能な電磁アクチュエータを含んでなることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、電磁アクチュエータの電気制御によって付勢力を適宜変更できるため、冷媒循環回路における冷媒流量の目標値を外部からの制御により設定変更することができる。故に請求項13の制御弁は、電磁アクチュエータの付勢力を変更しない限り定流量弁的に振る舞うが、外部からの電気制御によって冷媒流量の目標値(又は圧縮機吐出容量の目標値)を必要に応じて変えられるという意味で外部制御方式の冷媒流量制御弁(又は吐出容量制御弁)として機能する。又、かかる冷媒流量(又は吐出容量)の外部制御性のために、必要時(又は非常時)には、冷媒循環回路の蒸発器での熱負荷状況にかかわりなく、圧縮機の吐出容量(ひいては負荷トルク)を短時間に急変させるような緊急避難的な容量変更も可能となる。従ってこの制御弁によれば、通常時において室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御と、非常時における緊急避難的な吐出容量の迅速な変更とを両立させることが可能となる。
【0035】
請求項11の発明は、請求項10に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記電磁アクチュエータへの非通電時において、前記制御圧が圧縮機の吐出容量を減少させる方向に前記弁体を位置決めする初期化手段を更に備えてなることを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、電力供給の停止等により電磁アクチュエータが非作動状態又は不活性状態に陥った場合でも、初期化手段の自発的な作用によって弁体を位置決めし、圧縮機の吐出容量が減少する方向に制御圧を誘導すること、つまりは圧縮機の負荷トルクをゼロ又は最小にすることができる。従って、容量可変型圧縮機の安全性(非常事態に対する安全化対応能力)が高まる。
【0037】
また、電磁クラッチ等を介することなくエンジン(駆動源)から直接動力を得る、所謂クラッチレス型圧縮機での本発明の採用は、電力供給の停止がそのまま圧縮機の停止状態又は最小吐出容量状態となるため好適な実施形態といえる。
【0038】
請求項12の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前記圧縮機は、制御圧としてのクランク室内圧を制御することでピストンストロークを変更可能に構成された斜板式又はワッブル式の容量可変型圧縮機であることを特徴とする。即ち、本件の制御弁は、斜板式又はワッブル式の容量可変型圧縮機の容量制御に最も適している。
【0039】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下に、車輌用空調装置を構成する容量可変型斜板式圧縮機の制御弁に具体化した第1の実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
【0040】
図1に示すように容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)は、シリンダブロック1と、その前端に接合されたフロントハウジング2と、シリンダブロック1の後端に弁形成体3を介して接合されたリヤハウジング4とを備えている。これら1,2,3及び4は、複数本の通しボルト10(一本のみ図示)により相互に接合固定されて該圧縮機のハウジングを構成する。シリンダブロック1とフロントハウジング2とに囲まれた領域には制御圧領域としてのクランク室5が区画されている。クランク室5内には駆動軸6が前後一対のラジアル軸受け8A,8Bによって回転可能に支持されている。シリンダブロック1の中央に形成された収容凹部内には、前方付勢バネ7及び後側スラスト軸受け9Bが配設されている。他方、クランク室5において駆動軸6上にはラグプレート11が一体回転可能に固定され、ラグプレート11とフロントハウジング2の内壁面との間には前側スラスト軸受け9Aが配設されている。一体化された駆動軸6及びラグプレート11は、バネ7で前方付勢された後側スラスト軸受け9Bと前側スラスト軸受け9Aとによってスラスト方向(駆動軸6の軸線方向)に位置決めされている。
【0041】
駆動軸6の前端部は、動力伝達機構PTを介して外部駆動源としての車輌のエンジンEに作動連結されている。動力伝達機構PTは、外部からの電気制御によって動力の伝達/遮断を選択可能なクラッチ機構(例えば電磁クラッチ)であってもよく、又は、そのようなクラッチ機構を持たない常時伝達型のクラッチレス機構(例えばベルト/プーリの組合せ)であってもよい。尚、本件では、クラッチレスタイプの動力伝達機構PTが採用されているものとする。
【0042】
図1に示すように、クランク室5内にはカムプレートたる斜板12が収容されている。斜板12の中央部には挿通孔が貫設され、この挿通孔内に駆動軸6が配置されている。斜板12は、連結案内機構としてのヒンジ機構13を介してラグプレート11及び駆動軸6に作動連結されている。ヒンジ機構13は、ラグプレート11のリヤ面から突設された二つの支持アーム14(一つのみ図示)と、斜板12のフロント面から突設された二本のガイドピン15(一本のみ図示)とから構成されている。支持アーム14とガイドピン15との連係および斜板12の中央挿通孔内での駆動軸6との接触により、斜板12はラグプレート11及び駆動軸6と同期回転可能であると共に駆動軸6の軸線方向へのスライド移動を伴いながら駆動軸6に対し傾動可能となっている。なお、斜板12は、駆動軸6を挟んで前記ヒンジ機構13と反対側にカウンタウェイト部12aを有している。
【0043】
ラグプレート11と斜板12との間において駆動軸6の周囲には傾斜角度減少バネ16が設けられている。このバネ16は斜板12をシリンダブロック1に接近する方向(即ち傾斜角度減少方向)に付勢する。又、駆動軸6に固着された規制リング18と斜板12との間において駆動軸6の周囲には復帰バネ17が設けられている。この復帰バネ17は、斜板12が大傾斜角度状態(二点鎖線で示す)にあるときには駆動軸6に単に巻装されるのみで斜板12及びその他の部材に対していかなる付勢作用も及ぼさないが、斜板12が小傾斜角度状態(実線で示す)に移行すると、前記規制リング18と斜板12との間で圧縮されて斜板12をシリンダブロック1から離間する方向(即ち傾斜角度増大方向)に付勢する。なお、斜板12が圧縮機運転時に最小傾斜角度θmin(例えば1〜5°の範囲の角度)に達したときも、復帰バネ17が縮みきらないようにバネ17の自然長及び規制リング18の位置が設定されている。
【0044】
シリンダブロック1には、駆動軸6を取り囲んで複数のシリンダボア1a(一つのみ図示)が形成され、各シリンダボア1aのリヤ側端は前記弁形成体3で閉塞されている。各シリンダボア1aには片頭型のピストン20が往復動可能に収容されており、各ボア1a内にはピストン20の往復動に応じて体積変化する圧縮室が区画されている。各ピストン20の前端部は一対のシュー19を介して斜板12の外周部に係留され、これらのシュー19を介して各ピストン20は斜板12に作動連結されている。このため、斜板12が駆動軸6と同期回転することで、斜板12の回転運動がその傾斜角度θに対応するストロークでのピストン20の往復直線運動に変換される。
【0045】
更に弁形成体3とリヤハウジング4との間には、中心域に位置する吸入室21と、それを取り囲む吐出室22とが区画形成されている。弁形成体3は、吸入弁形成板、ポート形成板、吐出弁形成板およびリテーナ形成板を重合してなるものである。この弁形成体3には各シリンダボア1aに対応して、吸入ポート23及び同ポート23を開閉する吸入弁24、並びに、吐出ポート25及び同ポート25を開閉する吐出弁26が形成されている。吸入ポート23を介して吸入室21と各シリンダボア1aとが連通され、吐出ポート25を介して各シリンダボア1aと吐出室22とが連通される。そして、蒸発器33の出口から吸入室21(吸入圧Psの領域)に導かれた冷媒ガスは、各ピストン20の上死点位置から下死点側への往動により吸入ポート23及び吸入弁24を介してシリンダボア1aに吸入される。シリンダボア1aに吸入された冷媒ガスは、ピストン20の下死点位置から上死点側への復動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出室22(吐出圧Pdの領域)に吐出される。吐出室22の高圧冷媒ガスは凝縮器31に導かれる。
【0046】
この圧縮機では、エンジンEからの動力供給により駆動軸6が回転されると、それに伴い所定傾斜角度θに傾いた斜板12が回転する。その傾斜角度θは、駆動軸6に直交する仮想平面と斜板12とがなす角度として把握される。斜板12の回転に伴って各ピストン20が傾斜角度θに対応したストロークで往復動され、前述のように各シリンダボア1aでは、冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出が順次繰り返される。
【0047】
斜板12の傾斜角度θは、この斜板12の回転時の遠心力に起因する回転運動のモーメント、傾斜角度減少バネ16(及び復帰バネ17)の付勢作用に起因するバネ力によるモーメント、ピストン20の往復慣性力によるモーメント、ガス圧によるモーメント等の各種モーメントの相互バランスに基づいて決定される。ガス圧によるモーメントとは、シリンダボア内圧と、ピストン背圧にあたる制御圧としてのクランク室5の内圧(クランク圧Pc)との相互関係に基づいて発生するモーメントであり、クランク圧Pcに応じて傾斜角度減少方向にも傾斜角度増大方向にも作用する。この圧縮機では、後述する制御弁を用いてクランク圧Pcを調節し前記ガス圧によるモーメントを適宜変更することにより、斜板12の傾斜角度θを最小傾斜角度θminと最大傾斜角度θmaxとの間の任意の角度に設定可能としている。なお、最大傾斜角度θmaxは、斜板12のカウンタウェイト部12aがラグプレート11の規制部11aに当接することで規制される。他方、最小傾斜角度θminは、前記ガス圧によるモーメントが傾斜角度減少方向にほぼ最大化した状態のもとでの傾斜角度減少バネ16と復帰バネ17との付勢力バランスを支配的要因として決定される。
【0048】
斜板12の傾斜角度制御に関与するクランク圧Pcを制御するためのクランク圧制御機構は、図1に示す圧縮機ハウジング内に設けられた抽気通路27、及び給気通路28,38並びに制御弁によって構成される。抽気通路27は吸入室21とクランク室5とを接続する。給気通路28,38は高圧領域である後記圧力監視点P2とクランク室5とを接続し、その途中には制御弁が設けられている。給気通路28,38は、圧力監視点P2と制御弁とを接続する後記第2の検圧通路38と、制御弁とクランク室5とを接続する連通路28とを備えている。そして、制御弁の開度を調節することで給気通路28,38を介したクランク室5への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路27を介したクランク室5からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク圧Pcが決定される。クランク圧Pcの変更に応じて、ピストン20を介してのクランク圧Pcとシリンダボア1aの内圧との差が変更され、斜板12の傾斜角度θが変更される結果、ピストン20のストロークすなわち吐出容量が調節される。
【0049】
(冷媒循環回路)
図1及び図2に示すように、車輌用空調装置の冷房回路(即ち冷媒循環回路)は上述した圧縮機と外部冷媒回路30とから構成される。外部冷媒回路30は例えば、凝縮器(コンデンサ)31、減圧装置としての温度式膨張弁32及び蒸発器(エバポレータ)33を備えている。膨張弁32の開度は、蒸発器33の出口側又は下流側に設けられた感温筒34の検知温度および蒸発圧力(蒸発器33の出口圧力)に基づいてフィードバック制御される。膨張弁32は、熱負荷に見合った液冷媒を蒸発器33に供給して外部冷媒回路30における冷媒流量を調節する。外部冷媒回路30の下流域には、蒸発器33の出口と圧縮機の吸入室21とをつなぐ冷媒ガスの流通管35が設けられている。外部冷媒回路30の上流域には、圧縮機の吐出室22と凝縮器31の入口とをつなぐ冷媒の流通管36が設けられている。圧縮機は外部冷媒回路30の下流域から吸入室21に導かれた冷媒ガスを吸入して圧縮し、圧縮したガスを外部冷媒回路30の上流域と繋がる吐出室22に吐出する。
【0050】
さて、冷媒循環回路を流れる冷媒の流量(冷媒流量Q)が大きくなるほど、回路又は配管の単位長さ当りの圧力損失も大きくなる。つまり、冷媒循環回路に沿って設定された二つの圧力監視点P1,P2間の圧力損失(差圧)は該回路における冷媒流量Qと正の相関を示す。故に、二つの圧力監視点P1,P2間の差圧(PdH−PdL=一次圧ΔPX)を把握することは、冷媒循環回路における冷媒流量Qを間接的に検出することに他ならない。本実施形態では、流通管36の最上流域に当たる吐出室22内に上流側の高圧監視点としての圧力監視点P1を定めると共に、そこから所定距離だけ離れた流通管36の途中に下流側の低圧監視点としての圧力監視点P2を定めている。圧力監視点P1でのガス圧PdHを第1の検圧通路37を介して、又、圧力監視点P2でのガス圧PdLを第2の検圧通路38を介してそれぞれ制御弁に導いている。
【0051】
流通管36において両圧力監視点P1,P2間には、二点間圧力差拡大手段としての固定絞り39が配設されている。固定絞り39は、両圧力監視点P1,P2間の距離をそれ程離して設定しなくとも、両者P1,P2間での一次圧ΔPXを明確化(拡大)する役目をなしている。このように、固定絞り39を両圧力監視点P1,P2間に備えることで、特に圧力監視点P2を圧縮機寄りに設定することができ、ひいてはこの圧力監視点P2と圧縮機に備えられている制御弁との間の第2の検圧通路38を短くすることができる。なお、圧力監視点P2における圧力PdLは、固定絞り39の作用によりPdHに比較して低下された状態にあっても、クランク圧Pcに比較して充分に高い圧力に設定されている。
【0052】
図5は固定絞り39の特性を示すグラフである。このグラフは、固定絞り39の前後で発生する冷媒ガスの一次圧ΔPXと、固定絞り39を通過する冷媒ガスの単位時間あたりの流量(冷媒流量Q)との関係が非線形であることを示している。さらに詳述すれば、絶対的に大きな領域での一次圧ΔPXの変化によっては冷媒流量Qの変化量は小さく、逆に絶対的に小さな領域での一次圧ΔPXの変化によっては冷媒流量Qの変化量は大きくなっている。つまり、仮に固定絞り39の差圧たる一次圧ΔPXだけに依存して、絶対的に小さな領域での冷媒流量Qを調節しようとすると、一次圧ΔPXを微妙に変化させる必要がある。
【0053】
(制御弁)
図3に示すように制御弁は、その上半部を占める入れ側弁部と、下半部を占めるソレノイド部100とを備えている。入れ側弁部は、圧力監視点P2とクランク室5とを繋ぐ給気通路28,38の開度(絞り量)を調節する。ソレノイド部100は、制御弁内に配設された作動ロッド40を、外部からの通電制御に基づき付勢制御するための一種の電磁アクチュエータである。作動ロッド40は、先端部たる連結部42、略中央の弁体部43及び基端部たるガイドロッド部44からなる棒状部材である。弁体部43はガイドロッド部44の一部にあたる。連結部42及びガイドロッド部44(及び弁体部43)の直径をそれぞれd1及びd2とすると、d1<d2の関係が成立している。そして、円周率をπとすると、連結部42の軸直交断面積SBはπ(d1/2)2 であり、ガイドロッド部44(及び弁体部43)の軸直交断面積SDはπ(d2/2)2 である。
【0054】
制御弁のバルブハウジング45は、キャップ45aと、入れ側弁部の主な外郭を構成する上半部本体45bと、ソレノイド部100の主な外郭を構成する下半部本体45cとから構成されている。バルブハウジング45の上半部本体45b内には弁室46及び連通路47が区画され、該上半部本体45bとその上部に挿入固定されたキャップ45aとの間には感圧室48が区画されている。弁室46、連通路47及び感圧室48内には、作動ロッド40が軸方向(図では垂直方向)に移動可能に配設されている。弁室46及び連通路47は作動ロッド40の配置次第で連通可能となる。これに対して連通路47と感圧室48の一部(後記第2圧力室56)とは、常時連通されている。
【0055】
弁室46の底壁は後記固定鉄心62の上端面によって提供される。弁室46を取り囲むバルブハウジング45の周壁には半径方向に延びるポート51が設けられ、このポート51は給気通路28,38の下流部である連通路28を介して弁室46をクランク室5に連通させる。感圧室48(第2圧力室56)を取り囲むバルブハウジング45の周壁にも半径方向に延びるポート52が設けられ、このポート52は感圧室48(第2圧力室56)及び給気通路28,38の上流部である第2の検圧通路38を介して、連通路47を圧力監視点P2に連通させる。従って、ポート51、弁室46、連通路47、感圧室48(第2圧力室56)及びポート52は制御弁内通路として、圧力監視点P2とクランク室5とを連通させる給気通路28,38の一部を構成する。
【0056】
弁室46内には作動ロッド40の弁体部43が配置される。連通路47の内径d3は、作動ロッド40の連結部42の径d1よりも大きく且つガイドロッド部44の径d2よりも小さい。つまり、連通路47の軸直交断面積(口径面積)SCはπ(d3/2)2 であり、この口径面積SCは連結部42の断面積SBより大きくガイドロッド部44の断面積SDより小さい。このため、弁室46と連通路47との境界に位置する段差は弁座53として機能し、連通路47は一種の弁孔となる。作動ロッド40が図3の位置(最下動位置)から弁体部43が弁座53に着座する最上動位置へ上動されると、連通路47が遮断される。つまり作動ロッド40の弁体部43は、給気通路28,38の開度を任意調節可能な入れ側弁体として機能する。
【0057】
感圧室48内には、第1の感圧構造としての可動壁54が軸方向に移動可能に設けられている。この可動壁54は有底円筒状又は円柱形状をなすと共に、その底壁部で感圧室48を軸方向に二分し、該感圧室48を高圧室としてのP1圧力室(第1圧力室)55と低圧室としてのP2圧力室(第2圧力室)56とに区画する。可動壁54はP1圧力室55とP2圧力室56との間の圧力隔壁の役目を果たし、両圧力室55,56の直接連通を許容しない。なお、可動壁54の軸直交断面積をSAとすると、その断面積SAは連通路47の口径面積SCよりも大きい。
【0058】
P1圧力室55は、キャップ45aに形成されたP1ポート55a及び第1の検圧通路37を介して上流側の圧力監視点P1たる吐出室22と常時連通する。他方、P2圧力室56は、給気通路28,38の一部であるポート52及び第2の検圧通路38を介して下流側の圧力監視点P2と常時連通する。即ち、P1圧力室55には吐出圧Pdが圧力PdHとして導かれ、P2圧力室56には、配管途中の圧力監視点P2の圧力PdLが導かれている。故に、可動壁54の上面及び下面はそれぞれ圧力PdH,PdLに曝される受圧面となる。P2圧力室56内には作動ロッド40の連結部42の先端が進入しており、その連結部42の先端面には可動壁54が結合している。更にP1圧力室55には、戻しバネ57が収容されている。この戻しバネ57は、可動壁54をP1圧力室55からP2圧力室56に向けて付勢する。
【0059】
制御弁のソレノイド部100は、有底円筒状の収容筒61を備えている。収容筒61の上部には固定鉄心62が嵌合され、この嵌合により収容筒61内にはソレノイド室63が区画されている。ソレノイド室63には、プランジャとしての可動鉄心64が軸方向に移動可能に収容されている。固定鉄心62の中心には軸方向に延びるガイド孔65が形成され、そのガイド孔65内には、作動ロッド40のガイドロッド部44が軸方向に移動可能に配置されている。なお、ガイド孔65の内壁面と前記ガイドロッド部44との間には若干の隙間(図示略)が確保されており、この隙間を介して弁室46とソレノイド室63とが連通している。つまり、ソレノイド室63には弁室46と同じクランク圧Pcが及んでいる。
【0060】
ソレノイド室63は作動ロッド40の基端部の収容領域でもある。即ち、ガイドロッド部44の下端は、ソレノイド室63内にあって可動鉄心64の中心に貫設された孔に嵌合されると共にかしめにより嵌着固定されている。従って、可動鉄心64と作動ロッド40とは一体となって上下動する。ソレノイド室63には緩衝バネ66が収容され、該緩衝バネ66は可動鉄心64を固定鉄心62に近接させる方向に作用して可動鉄心64及び作動ロッド40を上方に付勢する。この緩衝バネ66は戻しバネ57よりもバネ力が弱いものが用いられ、このため戻しバネ57は、可動鉄心64及び作動ロッド40を最下動位置(非通電時における初期位置)に戻すための初期化手段として機能する。
【0061】
固定鉄心62及び可動鉄心64の周囲には、これら鉄心62,64を跨ぐ範囲にコイル67が巻回されている。このコイル67には制御装置70の指令に基づき駆動回路72から駆動信号が供給され、コイル67は、その電力供給量に応じた大きさの電磁力Fを発生する。そして、その電磁力Fによって可動鉄心64が固定鉄心62に向かって吸引され作動ロッド40が上動する。なお、コイル67への通電制御は、コイル67への印加電圧を調整することでなされる。印加電圧の調整は、電圧値そのものを変更する手段と、PWM(一定周期のパルス状電圧を印加し、そのパルスの時間的な幅を変更することで平均電圧を調整する方法。印加電圧はパルスの電圧値×パルス幅/パルス周期となる。パルス幅/パルス周期はデューティ比と呼ばれ、PWMを応用した電圧制御をデューティ制御と呼ぶこともある)による手段が一般的に採用されている。PWMとした場合、電流が脈動的に変化しこれがディザとなって電磁石のヒステリシスを軽減する効果も期待できる。また、コイル電流を測定し、印加電圧調整にフィードバックすることで電流制御とすることも一般的に行われている。本実施形態ではデューティ制御を採用する。制御弁の構造上、デューティ比Dtを小さくすると弁開度が大きくなり、デューティ比Dtを大きくすると弁開度が小さくなる傾向にある。
【0062】
(制御弁の動作条件及び特性に関する考察)
図3の制御弁の弁開度は、入れ側弁体たる弁体部43を含む作動ロッド40の配置如何によって決まる。作動ロッド40の各部に作用する種々の力を総合的に考察することで、この制御弁の動作条件や特性が明らかとなる。
【0063】
図4に示すように、作動ロッド40の連結部42の上端面には、戻しバネ57の下向き付勢力f1によって加勢された可動壁54の上下の一次圧ΔPX(=PdH−PdL)に基づく下向き押圧力が作用する。但し、可動壁54の上面の受圧面積はSAであるが、可動壁54の下面の受圧面積は(SA−SB)である。下向き方向を正方向として連結部42に作用する全ての力ΣF1を整理すると、ΣF1は次の数1式のように表される。
【0064】
(数1式)
ΣF1=PdH・SA−PdL(SA−SB)+f1
他方、作動ロッド40のガイドロッド部44(弁体部43を含む)には、緩衝バネ66の上向き付勢力f2によって加勢された上向きの電磁付勢力Fが作用する。ここで、弁体部43、ガイドロッド部44及び可動鉄心64の全露出面に作用する圧力を単純化して考察すると、まず弁体部43の上端面43aは、連通路47の内周面から垂下させた仮想円筒面(二本の垂直破線で示す)によって内側部分と外側部分とに分けられ、前記内側部分(面積:SC−SB)には吐出圧PdLが下向きに作用し、前記外側部分(面積:SD−SC)にはクランク圧Pcが下向きに作用するものとみなすことができる。他方、ソレノイド室63に及んでいるクランク圧Pcは、可動鉄心64の上下面での圧力相殺を考慮すれば、ガイドロッド部44の軸直交断面積SDに相当する面積でもってガイドロッド部44の下端面44aを上向きに押している。上向き方向を正方向として弁体部43及びガイドロッド部44に作用する全ての力ΣF2を整理すると、ΣF2は次の数2式のように表される。
【0065】
(数2式)
ΣF2=F+f2−PdL(SC−SB)−Pc(SD−SC)+Pc・SD=F+f2+Pc・SC−PdL(SC−SB)
尚、上記数2式を整理する過程で、−Pc・SDと、+Pc・SDとが相殺されてPc・SC項のみが残った。つまりこの計算過程は、ガイドロッド部44(弁体部43を含む)の上下面43a,44aに作用しているクランク圧Pcの影響を、該Pcがガイドロッド部44の一面(下面44a)にのみ集約的に作用するものと仮定して考察するときに、弁体部43を含むガイドロッド部44のクランク圧Pcに関する有効受圧面積がSD−(SD−SC)=SCと表現できることを意味している。つまりクランク圧Pcに関する限り、ガイドロッド部44の有効受圧面積は、ガイドロッド部44の軸直交断面積SDにかかわらず連通路47の口径面積SCに一致する。このように本明細書では、ロッド等の部材の両端に同種の圧力が作用している場合に、その圧力が部材の一方の端部にのみ集約的に作用するものと仮定して考察することを許容するような実質的な受圧面積のことを特に、その圧力に関する「有効受圧面積」と呼ぶことにする。
【0066】
さて、作動ロッド40は連結部42とガイドロッド部44とを連結してなる一体物であるから、その配置はΣF1=ΣF2の力学的均衡を充足する位置に決まる。次の数3式は、ΣF1=ΣF2を整理した後の形を示す。
【0067】
(数3式)
F−f1+f2=(PdH−PdL)SA+(PdL−Pc)SC
数3式において、f1,f2,SA,SCは機械設計の段階で一義的に決まる確定的なパラメータであり、電磁付勢力Fはコイル67への電力供給量に応じて変化する可変パラメータであり、吐出圧PdL及びクランク圧Pcは圧縮機の運転状況に応じて変化する可変パラメータである。この数3式から明らかなように、図3の制御弁は一次圧ΔPX(=PdH−PdL)と二次圧ΔPY(=PdL−Pc)にそれぞれの受圧面積を乗じたガス圧荷重と電磁付勢力F及びバネ57,66の付勢力f1,f2の合計荷重との釣り合いを充足するように弁開度調節が行われる。そして、この圧力PdL,Pcに感応する作動ロッド40(上下端面43a,44a)が第2の感圧構造をなしている。
【0068】
図6は上記数3式の力学関係式を充足する制御弁の特性を示すグラフであり、吸入圧Ps、クランク圧Pcを一定として一次圧ΔPXと二次圧ΔPYとの関係をコンピュータにてシミュレーションした結果である。パラメータはデューティ比Dtである。
【0069】
ここで、デューティ比Dtが一定ならばコイル67に流れる平均電流は一定値となり、電磁付勢力Fもほぼ一定値となる。つまり、図6に示した特性線は、数3式の右辺がほぼ一定であるとして計算したものと言える。数3式の右辺は先程も述べたように、一次圧ΔPXと二次圧ΔPYに基づくガス圧荷重の和であり、これが一定の荷重となるためには、二次圧ΔPYが増加すると一次圧ΔPXは減少しなければならず、結果的に特性線は右下がりのものとなる。このバランスが崩れると、弁の開度が減少或いは増大してクランク圧Pcが変化され、圧縮機の吐出容量の調節動作が行われることになる。
【0070】
このような動作特性を有する本実施形態の制御弁によれば、個々の状況下でおよそ次のようにして弁開度が決まる。まず、コイル67への通電がない場合(Dt=0%)には、戻しバネ57の作用(具体的にはf1−f2の付勢力)が支配的となり、作動ロッド40は図3に示す最下動位置に配置される。このとき、作動ロッド40の弁体部43が弁座53から最も離れて入れ側弁部は全開状態となる。他方、コイル67に対しデューティ比可変範囲の最小デューティ比Dt(min)の通電があれば、少なくとも上向きの電磁付勢力Fが戻しバネ57の下向き付勢力f2を凌駕する。そして、ソレノイド部100によって生み出された上向き付勢力F及び緩衝バネ66の上向きの付勢力f2が、戻しバネ57の下向き付勢力f1及び二次圧ΔPYによって加勢された一次圧ΔPXに基づく下向き押圧力に対抗し、その結果、前記数3式を満たすように作動ロッド40の弁体部43が弁座53に対して位置決めされ、制御弁の弁開度が決定される。こうして決まった弁開度に応じて、給気通路28,38を介してのクランク室5へのガス供給量が決まり、前記抽気通路27を介してのクランク室5からのガス放出量との関係でクランク圧Pcが調節される。
【0071】
ここで、図6に示す「二次圧ΔPY−一次圧ΔPX」特性を有する制御弁と、図5に示す「一次圧ΔPX−冷媒流量Q」特性を有する固定絞り39とを備えた冷媒循環回路の「二次圧ΔPY−冷媒流量Q」特性を、コンピュータにてシミュレーションした結果を図7のグラフに示す。なお、デューティ比DtはDt(min)からDt(max)の間で任意の値に変更されるものではあるが、図6及び図7のグラフにおいては「Dt(min),Dt(1)…Dt(4),Dt(max)」の限られた場合の特性線のみを示している。
【0072】
図7のグラフから、制御弁のコイル67への通電が或るデューティ比Dtの時、二次圧ΔPYが大きくなれば冷媒流量Qが小さくなることが分かる。特に、或る特性線において二次圧ΔPYが相対的に小さな領域では、この二次圧ΔPYの変化に対する冷媒流量Qの変化量は小さい。つまり、数3式の均衡を充足するのに、一次圧ΔPX要素の力学的比重は大きく、かつ二次圧ΔPY要素の力学的比重は小さくなる。ところが、二次圧ΔPYが大きくなるに連れて、この二次圧ΔPYの変化に対する冷媒流量Qの変化量は大きくなってゆく。つまり、数3式の均衡を充足するのに、一次圧ΔPX要素の力学的比重は小さくなり、かつ二次圧ΔPY要素の力学的比重は大きくなる。
【0073】
図7において単純増大直線103は、例えば、車輌のエンジンEがアイドリング状態(回転数が極低回転で安定されている状態)でなおかつ、冷房負荷が中負荷程度で安定された状態の時の冷媒循環回路の特性を示している。エンジンEがアイドリング状態の場合には、吐出容量が最大となったとしても圧縮機の仕事量(外部冷媒回路30への冷媒ガスの吐出量)は少なく、冷媒循環回路の冷媒流量QはQ1程度の少流量にしかならない。従って、直線103で示される冷媒循環回路特性を維持すべく、冷媒流量Qを圧縮機が最小吐出容量時のゼロ付近から最大吐出容量時のQ1までの間の絶対的に小さくかつ狭い範囲で調節しようとすると、図5に示す固定絞り39の非線形特性から、狭い範囲での一次圧ΔPXの調節が必要となる。
【0074】
しかし、図7から明らかなように直線103は、制御弁のコイル67に対する通電がデューティ比Dt(2)からDt(max)の範囲で行われた時の各特性線に対して、それぞれ略直角に交差されている。このことは、狭い範囲での一次圧ΔPXの調節に、Dt(2)からDt(max)の幅広い範囲のデューティ比Dtを使用できることを意味している。従って、狭い範囲での一次圧ΔPXを高精度で調節することができ、これは絶対的に小さくかつ狭い範囲での冷媒流量Qの高精度な調節を行い得ることを意味する。つまり、冷媒循環回路における想定冷媒流量のほぼ全範囲にわたって弁開度調節の制御性が向上するのである。
【0075】
(制御体系)
図2及び図3に示すように、車輌用空調装置は該空調装置の制御全般を司る制御装置70を備えている。制御装置70は、CPU、ROM、RAM及びI/Oインターフェイスを備えたコンピュータ類似の制御ユニットであり、I/Oの入力端子には外部情報検知手段71が接続され、I/Oの出力端子には駆動回路72が接続されている。少なくとも制御装置70は、外部情報検知手段71から提供される各種の外部情報に基づいて適切なデューティ比Dtを演算し、駆動回路72に対しそのデューティ比Dtでの駆動信号の出力を指令する。駆動回路72は、命じられたデューティ比Dtの駆動信号を制御弁のコイル67に出力する。コイル67に提供される駆動信号のデューティ比Dtに応じて、制御弁のソレノイド部100の電磁付勢力Fが変化する。
【0076】
前記外部情報検知手段71は各種センサ類を包括する機能実現手段である。外部情報検知手段71を構成するセンサ類としては、例えば、A/Cスイッチ(乗員が操作する空調装置のON/OFFスイッチ)、車室内温度Te(t)を検出するための温度センサ、車室内温度の好ましい設定温度Te(set)を設定するための温度設定器、エンジンEの吸気管路に設けられたスロットル弁の角度又は開度を検知するためのアクセル開度センサがあげられる。なお、スロットル弁角度又は開度は、車輌の操縦者によるアクセルペダルの踏込量を反映した情報としても利用される。
【0077】
次に、図8〜図10のフローチャートを参照して制御装置70による制御弁へのデューティ制御の概要を簡単に説明する。
図8のフローチャートは、空調制御プログラムの幹となるメインルーチンを示す。車輌のイグニションスイッチ(又はスタートスイッチ)がONされると、制御装置70は電力を供給され演算処理を開始する。制御装置70は、図8のステップS41(以下単に「S41」という、他のステップも以下同様)において初導プログラムに従い各種の初期設定を行う。例えば、制御弁のデューティ比Dtに初期値又は暫定値を与える。その後、処理はS42以下に示された状態監視及びデューティ比の内部演算処理へと進む。
【0078】
S42では、A/CスイッチがONされるまで該スイッチのON/OFF状況が監視される。A/CスイッチがONされると、処理は非常時判定ルーチン(S43)へ進む。S43では、車輌が非定常的な状態つまり非常時運転モードにあるか否かを外部情報に基づいて判断する。ここで言う「非常時運転モード」とは、例えば、登坂走行のようなエンジンEが高負荷状態にある場合とか、追い越し加速のような車輌の加速時(少なくとも操縦者が急加速を欲している場合)を指す。例示したいずれの場合も、外部情報検知手段71から提供される検出アクセル開度を所定の判定値と比較することで、そのような高負荷状態又は車輌加速状態にあることを合理的に推定することができる。本実施形態においては車輌の加速時についてのみ後に詳述することとする。
【0079】
非常時判定ルーチンでの監視項目のいずれにも該当しない場合には、S43判定がNOとなる。その場合には、車輌が定常的な状態つまり通常運転モードにあるとみなされる。ここで言う「通常運転モード」とは、プログラム的には非常時判定ルーチンの監視項目に該当しない排他的な条件充足状態を意味し、つまるところ、車輌が平均的な運転状況で使用されていると合理的に推定できる状態を指す。
【0080】
図9の通常制御ルーチンRF5は、通常運転モードでの空調能力に関する手順を示す。S51において制御装置70は、温度センサの検出温度Te(t)が温度設定器による設定温度Te(set)より大であるか否かを判定する。S51判定がNOの場合、S52において前記検出温度Te(t)が設定温度Te(set)より小であるか否かを判定する。S52判定もNOの場合には、検出温度Te(t)が設定温度Te(set)に一致していることになるため、冷房能力の変化につながるデューティ比Dtの変更の必要はない。それ故、制御装置70は駆動回路72にデューティ比Dtの変更指令を発することなく、該ルーチンRF5を離脱する。
【0081】
S51判定がYESの場合、車室内は暑く熱負荷が大きいと予測されるため、S53において制御装置70はデューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大させ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路72に指令する。すると、ソレノイド部100の電磁力Fが若干強まり、その時点での一次圧ΔPX及び二次圧ΔPYでは上下付勢力の均衡が図れないため、作動ロッド40が上動して戻しバネ57が蓄力され、この戻しバネ57の下向き付勢力f1の増加分が上向きの電磁付勢力Fの増加分を補償して再び数3式が成立する位置に作動ロッド40の弁体部43が位置決めされる。その結果、制御弁の開度(つまり給気通路28,38の開度)が若干減少し、クランク圧Pcが低下傾向となり、クランク圧Pcとシリンダボア内圧とのピストン20を介した差も小さくなって斜板12が傾斜角度増大方向に傾動し、圧縮機の状態は吐出容量が増大し負荷トルクも増大する方向に移行する。圧縮機の吐出容量が増大すれば、蒸発器33での除熱能力も高まり温度Te(t)も低下傾向に向かうはずであり、又、圧力監視点P1,P2間の差圧は増加する。
【0082】
他方、S52判定がYESの場合、車室内は寒く熱負荷が小さいと予測されるため、S54において制御装置70はデューティ比Dtを単位量ΔDだけ減少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路72に指令する。すると、ソレノイド部100の電磁力Fが若干弱まり、その時点での一次圧ΔPX及び二次圧ΔPYでは上下付勢力の均衡が図れないため、作動ロッド40が下動して戻しバネ57の蓄力も減り、この戻しバネ57の下向き付勢力f1の減少分が上向きの電磁付勢力Fの減少分を補償して再び数3式が成立する位置に作動ロッド40の弁体部43が位置決めされる。その結果、制御弁の開度(つまり給気通路28,38の開度)が若干増加し、クランク圧Pcが増大傾向となり、クランク圧Pcとシリンダボア内圧とのピストン20を介した差も大きくなって斜板12が傾斜角度減少方向に傾動し、圧縮機の状態は吐出容量が減少し負荷トルクも減少する方向に移行する。圧縮機の吐出容量が減少すれば、蒸発器33での除熱能力も低まり温度Te(t)も増加傾向に向かうはずであり、又、圧力監視点P1,P2間の差圧は減少する。
【0083】
このようにS53及び/又はS54でのデューティ比Dtの修正処理を経ることで、検出温度Te(t)が設定温度Te(set)からずれていてもデューティ比Dtが次第に最適化され、更に制御弁での内部自律的な弁開度調節も相俟って温度Te(t)が設定温度Te(set)付近に収束する。
【0084】
図8のメインルーチンのS43判定でYESの場合、制御装置70は図10の加速時制御ルーチンRF8に示す一連の処理を実行する。まずS81(準備ステップ)において、現在のデューティ比Dtを復帰目標値DtRとして記憶する。DtRは、後述するS87でのデューティ比Dtの戻し制御における目標値である。S82において、その時の検出温度Te(t)を加速カット開始時の温度Te(INI)として記憶する。そして制御装置70は、S83で内蔵タイマの計測動作をスタートさせ、S84でデューティ比Dtを0%に設定変更してコイル67への通電停止を駆動回路72に指令する。これにより、制御弁の開度は戻しバネ57の作用で一義的に最大(全開)となり、クランク圧Pcが増大する。S85において、タイマによって計測された経過時間が予め定められた設定時間STを超えたか否かを判定する。S85判定がNOである限り、デューティ比Dtは0%に維持される。換言すれば、タイマースタートからの経過時間が少なくとも設定時間STを超えるまで制御弁の開度は全開に保たれ、圧縮機の吐出容量及び負荷トルクが確実に最小化される。そして、加速時におけるエンジン負荷の低減(極小化)を少なくとも時間STだけは確実に達成する。一般に車輌の加速は一時的なものであるため設定時間STは短くてよい。
【0085】
時間STの経過後、S86において、そのときの検出温度Te(t)が、前記加速カット開始時温度Te(INI)に許容増加温度βを加えた温度値よりも大きいか否かを判定する。この判定は、少なくとも時間STの経過により許容増加温度βを超えて温度Te(t)が増大したか否かを調べるものであり、冷房能力の復帰が直ちに必要であるか否かを判断することを目的とする。S86判定がYESの場合には室温上昇の兆候がみられることを意味するので、その場合には、S87においてデューティ比Dtの戻し制御が行われる。この戻し制御の趣旨は、デューティ比Dtを徐々に復帰目標値DtRに戻すことで斜板12の傾斜角度の急変による衝撃を回避することにある。S87の枠内に示したグラフによれば、S86の判定がYESになったときが時点t4であり、デューティ比Dtが復帰目標値DtRに到達したときが時点t5である。所定時間(t5−t4)をかけて直線的パターンのDt復帰が実施される。尚、時間隔(t4−t3)は、前記設定時間STとS86判定でNOを繰り返す時間との和に相当する。デューテイ比Dtが目標値DtRに到達すると、サブルーチンRF8の処理が終了し、処理がメインルーチンに戻される。
【0086】
(効果)本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
○本実施形態では、蒸発器33での熱負荷の大きさに影響される吸入圧Psそのものを制御弁の開度制御における直接の指標とすることなく、冷媒循環回路における二つの圧力監視点P1,P2間の一次圧ΔPX、及び吸入圧Ps以外の圧力PdL,Pc間の二次圧ΔPYを直接の制御対象として圧縮機の吐出容量のフィードバック制御を実現している。このため、蒸発器33での熱負荷状況にほとんど影響されることなく、エンジンE側の事情を優先すべき非常時には外部制御によって即座に吐出容量を減少させることができる。それ故に、加速時等におけるカット制御の応答性やカット制御の信頼性及び安定性に優れている。
【0087】
○通常時においても、検出温度Te(t)及び設定温度Te(set)に基づいてデューティ比Dtを自動修正(図9のS51〜S54)すると共に、一次圧ΔPX及び二次圧ΔPYを指標とした制御弁の内部自律的な弁開度調節に基づいて圧縮機の吐出容量を制御することにより、前記検出温度と設定温度との差が小さくなる方向に吐出容量を誘導して人間の快適感を満足させるという空調装置本来の目的を十分に達成することができる。つまり本実施形態によれば、通常時における室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御と、非常時における緊急避難的な吐出容量の迅速な変更とを両立させることができる。
【0088】
○可動壁54は、冷媒循環回路の冷媒流量Qの変化に伴い一次圧ΔPXが増大又は減少傾向を示すとき、圧縮機からの冷媒ガスの吐出量が一次圧ΔPXの変化を打ち消すものとなるように、一次圧ΔPXに基づく押圧作用を作動ロッド40に及ぼす。従って、種々の要因で冷媒循環回路の冷媒流量が変化したとしても、その変化を打ち消す方向でクランク圧Pcの調節つまりは吐出容量の調節を達成することができる。
【0089】
○二次圧ΔPYの高圧PdLは、冷媒循環回路を構成する凝縮器31と圧縮機の吐出室22とを含む両者の間の高圧領域の中の監視点P2から採取される圧力を利用したものである。この構成によれば、二次圧ΔPYを比較的高圧とすることができ、作動ロッド40における二次圧ΔPYの受圧面43a,44aの面積を小さくしても、二次圧ΔPYに基づく押圧作用を作動ロッド40(弁体部43)の位置決めに影響力を有するものとすることができる。故に、作動ロッド40(弁体部43)を設計する際の自由度が大きくなり、特に小型化が容易となる。更に、冷媒循環回路の冷媒循環量Qが小さい場合、図5に示した非線形な差圧流量特性のため、一次圧ΔPXは非常に小さくなり、作動ロッド40(弁体部43)の位置決めに影響を与えることが出来なくなる。このような場合でも、二次圧ΔPYの影響が作動ロッド40(弁体部43)に及ぶことが保証される。従って、一次圧ΔPXと二次圧ΔPYとの複合作用による作動ロッド40(弁体部43)の位置決めが安定し、弁開度調節の安定性や制御性が向上する。
【0090】
○作動ロッド40における二次圧ΔPYの感圧構造は、この二次圧ΔPYが作動ロッド40を押圧する方向が圧縮機の吐出容量を低下させ得る(クランク圧Pcを上昇させ得る)方向となるように構成されている。従って、冷媒循環回路の冷媒流量Qが小さいために前記一次圧ΔPXに基づいて作動ロッド40を圧縮機の吐出容量を低下させる方向に十分押圧し得ない場合でも、前述のように一次圧ΔPXの低下に相反して高まった二次圧ΔPYでもって、作動ロッド40を圧縮機の吐出容量を低下させる方向に押圧することができる。その結果、冷媒流量Qが小流量時においても、圧縮機の吐出容量の制御性が十分に確保される。
【0091】
○二次圧ΔPYを、冷媒循環回路を構成する凝縮器31と圧縮機の吐出室22とを含む両者の間の高圧領域から採取される圧力(本実施形態ではPdL)と、クランク圧Pcとの差圧とした。クランク圧Pcは前記高圧領域から採取される圧力に比較して十分に低いものであるため、二次圧ΔPYを更に大きくすることが可能になる。
【0092】
○作動ロッド40(弁体部43)を、圧力PdL,Pcに感応する第2の感圧構造とした。これによれば、第2の感圧構造を特段に設ける必要がなくなるため、制御弁の構造を簡素なものにするとともに該制御弁を小型化することが可能になる。
【0093】
○二つの圧力監視点P1,P2を、凝縮器31と吐出室22とを含む両者の間の高圧領域に設けた。前記高圧領域は、外的熱負荷の影響を受けにくい。このため、前記冷媒循環回路を流れる冷媒流量、即ち、圧縮機の吐出容量を、より正確に反映することが可能になる。
【0094】
○ポート51、弁室46、連通路47、感圧室48(第2圧力室56)及びポート52を、制御弁内通路として、圧力監視点P2とクランク室5とを連通させる給気通路28,38の一部を構成するものとした。圧力監視点P2における圧力はクランク圧Pcに比較して高圧である。そのため、圧力監視点P2側からクランク室5への冷媒導入量が、これら圧力監視点P2とクランク室5との間に配置された前記制御弁内通路の開度調節によって直接的に調節されるようになるため、クランク圧Pcを制御することに対するレスポンスが向上する。
【0095】
○P2圧力室56に冷媒を導入する検圧通路38を、クランク圧Pcを変更するための冷媒をクランク室5に導入する給気通路28,38の上流部分として兼用し、同給気通路28,38の一部とした。そのため、吐出室22から弁室46に冷媒を導入する経路を検圧通路38とは別個に設けた場合に比較して、該経路や、該経路を弁室46に接続する制御弁のポートを設ける必要がなくなるため、加工を減らすことができるとともに、前記制御弁の小型化が可能になる。
【0096】
○ソレノイド部100は、一次圧ΔPXに基づく押圧力と対抗する電磁力Fを与え、その電磁力Fに応じて冷媒循環回路における冷媒流量の目標値(設定差圧TPD)を設定する。このように、ソレノイド部100によって与えられる電磁力Fが一次圧ΔPXに基づく押圧力と対抗することから、本実施形態の制御弁では、二次圧ΔPYによって補正された一次圧ΔPXと、ソレノイド部100による電磁力Fとのバランスに基づいて作動ロッド40の位置決め(つまり弁開度調節)が行なわれると理解してもよい。二次圧ΔPYによる補正を受けているとしても、一次圧ΔPXと二次圧ΔPYとの複合力の変化が冷媒循環回路での冷媒流量Qの変化を如実に反映することに変わりはない。故に、前記複合力と電磁力Fとが均衡する位置に向けて作動ロッド40がフィードバック的に変位した結果、弁開度がある値にほぼ定まるときには、圧縮機のクランク圧Pcが安定して吐出容量も固定化し、冷媒循環回路の冷媒流量Qもほぼ一定の値に収束傾向となる。かかる観点からすれば、少なくとも一次圧ΔPXに基づく押圧力と対抗する電磁力Fを付与することができるソレノイド部100は、その電磁力Fに応じて冷媒循環回路における冷媒流量Qの目標値(設定差圧TPD)を設定する流量設定手段として機能し得る。
【0097】
○制御弁はソレノイド部100のコイル67の通電制御によって、一次圧ΔPXに基づく押圧力と対抗する電磁力Fを適宜変更できるため、冷媒循環回路における冷媒流量Qの目標値(設定差圧TPD)を外部からの制御により設定変更することができる。故に本実施形態の制御弁は、ソレノイド部100の電磁力Fを変更しない限り定流量弁的に振る舞うが、外部からのコイル67の通電制御によって冷媒流量Qの目標値(設定差圧TPD)を必要に応じて変えられるという意味で外部制御方式の冷媒流量制御弁(又は吐出容量制御弁)として機能する。又、かかる冷媒流量(又は吐出容量)の外部制御性のために、必要時(又は非常時)には、冷媒循環回路の蒸発器33での熱負荷状況にかかわりなく、圧縮機の吐出容量(ひいては負荷トルク)を短時間に急変させるような緊急避難的な容量変更も可能となる。従ってこの制御弁によれば、通常時において室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御と、非常時における緊急避難的な吐出容量の迅速な変更とを両立させることが可能となる。
【0098】
○圧縮機を含めた冷媒循環回路全体の「二次圧ΔPY−冷媒流量Q」特性が、例えば図7に一点鎖線104で示すものであれば(多くのばあい、104のような特性を示す)、デューティ比Dtを外部制御することで、その104に沿って冷媒流量Q(ひいては圧縮機の吐出容量Vc)をほぼ一義的に変化させることができる。このため、特に、加速時制御時における吐出容量Vcの復帰パターンを図15に実線で示すようなある程度緩やかな直線的パターンとすることが容易となり、加速時制御による衝撃や異音の発生を効果的に防止又は抑制することが可能となる。
【0099】
○戻しバネ57は、ソレノイド部100のコイル67への非通電時において、圧縮機の吐出容量を減少させる方向(弁開方向)に作動ロッド40(弁体部43)を位置決めする構成である。従って、コイル67への通電停止等によりソレノイド部100が非作動状態又は不活性状態に陥った場合でも、戻しバネ57の自発的な作用によって作動ロッド40を位置決めし、圧縮機の吐出容量が減少する方向にクランク圧Pcを誘導すること、つまりは圧縮機の負荷トルクをゼロ又は最小にすることができる。従って、圧縮機の安全性(非常事態に対する安全化対応能力)が高まる。また、コイル67への非通電状態を維持することで圧縮機の吐出容量を最小とすることができるため、クラッチレス型圧縮機に好適なものとなる。
【0100】
○圧縮機は、制御圧としてのクランク室内圧Pcを制御することで、ピストン20のストロークを変更可能に構成された斜板式の容量可変型圧縮機であり、本実施形態の制御弁はこの斜板式の容量可変型圧縮機の容量制御に最も適している。
【0101】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、前記第1の実施形態において主に制御弁及び給気通路の構成を変更したものであり、その他の点では第1の実施形態と同一の構成になっている。従って、第1の実施形態と共通する構成部分については図面上に同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0102】
図12に示すように制御弁CVの入れ側弁部は、圧力監視点P1とクランク室5とを繋ぐ給気通路28の開度(絞り量)を調節する。
ソレノイド部100の作動ロッド40は、先端部たる差圧受承部41、連結部42、略中央の弁体部43及び基端部たるガイドロッド部44からなる棒状部材である。差圧受承部41、連結部42並びにガイドロッド部44(及び弁体部43)の軸直交断面積(直径)をそれぞれSC(d3),SB(d1)及びSD(d2)とすると、SB(d1)<SC(d3)<SD(d2)の関係が成立している。
【0103】
連通路47と感圧室48とは、それらの境界に存在する隔壁(バルブハウジング45の一部)によって圧力的に隔絶されている。つまり、その隔壁に形成された作動ロッド40用のガイド孔49の内径は作動ロッドの差圧受承部41の径d3に一致する。なお、連通路47とガイド孔49とは相互延長の関係にあり、連通路47の内径d4も作動ロッドの差圧受承部41の径d3に一致する。つまり連通路47の口径面積SEとガイド孔49の口径面積(差圧受承部41の軸直交断面積)SCとが等しくなるように設定されている。なお、感圧室48内の可動壁54の軸直交断面積SAはガイド孔49の口径面積SCよりも大きい(SC<SA)。
【0104】
バルブハウジング45の連通路47の周壁部分には半径方向に延びるポート50が設けられ、このポート50は給気通路28の上流部を介して連通路47を圧力監視点P1(吐出室22)に連通させる(図11参照)。バルブハウジング45の弁室46の周壁部分に設けられたポート51は給気通路28の下流部を介して弁室46をクランク室5に連通させる。従って、ポート50、連通路47、弁室46及びポート51は、制御弁内において圧力監視点P1(吐出室22)とクランク室5とを連通させる給気通路28の一部を構成する。
【0105】
P1圧力室55は、キャップ45aに形成されたP1ポート55a及び第1の検圧通路37を介して上流側の圧力監視点P1(吐出室22)と常時連通する。他方、P2圧力室56は、バルブハウジング45の感圧室48の周壁部分に設けられたP2ポート55b及び第2の検圧通路38を介して下流側の圧力監視点P2と常時連通する。
【0106】
固定鉄心62と可動鉄心64との間にはバネ69が配設されている。バネ69は、可動鉄心64を固定鉄心62から離間させる方向に作用して可動鉄心64及び作動ロッド40を下方に付勢する。なお、このバネ69及び緩衝バネ57は、可動鉄心64及び作動ロッド40を最下動位置(非通電時における初期位置)に戻すための初期化手段として機能する。
【0107】
図12に示すように、作動ロッドの差圧受承部41の上端面には、緩衝バネ57の下向き付勢力f1によって加勢された可動壁54の上下差圧に基づく下向き押圧力が作用する。但し可動壁54の上面の受圧面積はSAであるが、可動壁54の下面の受圧面積は(SA−SC)である。差圧受承部41の下端面(受圧面積:SC−SB)には、ガス圧PdHによる上向き押圧力が作用する。ここで、図13を参照して、弁体部43、ガイドロッド部44及び可動鉄心64の全露出面に作用する圧力を単純化して考察する。まず弁体部43の上端面の、連通路47の内周面から垂下させた仮想円筒面(二本の垂直破線で示す)の内側部分(面積:SE−SB)にはガス圧PdHが下向きに作用し、外側部分(面積:SD−SE)にはクランク圧Pcが下向きに作用するものとみなすことができる。また、ガイドロッド部44(弁体部43を含む)には、バネ69の下向き付勢力f2によって減殺された上向きの電磁付勢力Fが作用する。下向き方向を正方向として作動ロッド40及び可動壁54に作用する力を整理すると数4式のように表される。
【0108】
上記の数4式を整理すると下記の数5式のようになる。
【0109】
(数5式)
(PdH−PdL)(SA−SC)+(PdH−Pc)SE= F−f1−f2
数5式から明らかなように、図12の制御弁CVは、一次圧ΔPX(=PdH−PdL)と二次圧ΔPY(=PdH−Pc)にそれぞれの受圧面積を乗じたガス圧荷重と電磁付勢力F及びバネ57,69の付勢力f1,f2の合計荷重との釣り合いを充足するように弁開度調節が行われる。そして、この圧力PdH,Pcに感応する作動ロッド40(弁体部43)が第2の感圧構造をなしている。
【0110】
コイル67への通電がない場合(Dtがゼロ)には、バネ69の作用が支配的となり作動ロッド40は図12に示す最下動位置に配置される。このとき、給気通路28は全開状態となる。他方、コイル67に対しデューティ比可変範囲の最小デューティの通電があれば、少なくとも上向きの電磁付勢力Fがバネ57,69の下向き付勢力(f1+f2)を凌駕する。
【0111】
制御弁CVでは、数5式を満たすように作動ロッド40が位置決めされ、給気通路28の開度が決定される。
この実施形態の制御弁CVでは、一次圧ΔPX(=PdH−PdL)が増大し、給気通路28の開度が大きくなったとき、圧力監視点P1側の冷媒のクランク室5への導入量が増加する。この冷媒導入により、圧力監視点P1の圧力は低下傾向を示すことになり、前記一次圧ΔPX(=PdH−PdL)は拡大方向に推移しにくくなる。つまり、冷媒流量を一定に保とうとする制御を行う上では、その一定流量への制御収束を阻むハンチングが発生しにくくなる。従って、このハンチングによるクランク圧Pcの変動に基づく斜板12などの振動や騒音が発生しにくくなる。
【0112】
(その他の変更例)
○P1圧力室55及びP2圧力室56に導かれる圧力をそれぞれ、図2において別例として示す上流側の圧力監視点P1(蒸発器33と吸入室21との間の流通管35の途中)でのPsH及び圧力監視点P2(吸入室21)でのPsLとしても良い。
【0113】
○制御弁を、給気通路28,38ではなく抽気通路27の開度調節によりクランク圧Pcを調節する、所謂抜き側制御弁としても良い。
○制御弁を、給気通路28,38及び抽気通路27の両方の開度調節によりクランク圧Pcを調節する三方弁構成としても良い。
【0114】
○ワッブル式の容量可変型圧縮機に適用すること。
○前記両実施形態の制御弁では、ソレノイド室63にクランク圧Pcが及ぶようにし、二次圧ΔPYをPdL(またはPdH)とクランク圧Pcとの差圧とした。これに対して、例えば、ソレノイド室63に、蒸発器33と吸入室21とを含む両者の間の低圧領域から採取される圧力(例えば、Ps)が及ぶように構成して、二次圧ΔPYをPdL(またはPdH)と該低圧領域から採取される圧力との差圧としてもよい。
【0115】
○第2の実施形態において、P1圧力室55の冷媒をポート50に導入するようにしてもよい。この場合、P1圧力室55とポート50とをバルブハウジング45の外部または内部に設けた通路で連通させることによって、前記給気通路28の上流部分を省略することが可能になる。
【0116】
○第2の実施形態において、連通路47の口径面積SEとガイド孔49の口径面積SCとを異なる値に設定してもよい。
(前記各請求項に記載した以外の技術的思想のポイント)
(1)制御弁において、前記第1の感圧構造は、バルブハウジング内に移動可能に設けられた可動壁を含み、その可動壁は、バルブハウジング内を冷媒循環回路に設定された第1の圧力監視点の圧力が導かれる第1圧力室と同回路に設定された第2の圧力監視点の圧力が導かれる第2圧力室とに区画するものであること。
【0117】
(2)制御弁は、前記弁体と第1の感圧構造とを作動連結するための作動ロッドを更に備えており、前記第2の感圧構造は、その作動ロッドに形成された前記二次圧を受圧可能な受圧面を含むものであること。
【0118】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜12に記載の制御弁によれば、冷媒循環回路の蒸発器での熱負荷状況に影響されることなく、室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御と、緊急避難的な吐出容量の迅速な変更及びその後の復帰とを両立させることが可能となる。特に、最低吐出容量付近の低吐出容量域においても容量制御の正確性に優れ、圧縮機の吐出容量を広範囲にわたって直接的に制御することが可能となる。
【0119】
特に請求項10及び11に記載の制御弁によれば、必要時には外部制御によって圧縮機の吐出容量を迅速に変更することが可能となるのみならず、吐出容量を一旦低下させた後に元の吐出容量まで、衝撃や異音等をあまり感じさせることなく円滑に復帰させることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の容量可変型斜板式圧縮機の断面図。
【図2】同じく冷媒循環回路の概要を示す回路図。
【図3】同じく制御弁の断面図。
【図4】同じく作動ロッドの位置決めを説明するための断面図。
【図5】同じく固定絞りの特性を示すグラフ。
【図6】同じく制御弁の特性を示すグラフ。
【図7】同じく固定絞り及び制御弁を備えた冷媒循環回路の特性を示すグラフ。
【図8】同じく容量制御のメインルーチンのフローチャート。
【図9】同じく通常制御ルーチンのフローチャート。
【図10】同じく加速時制御ルーチンのフローチャート。
【図11】第2の実施形態の冷媒循環回路の概要を示す回路図。
【図12】同じく制御弁の断面図。
【図13】同じく作動ロッドの位置決めを説明するための断面図。
【図14】従来技術での吸入圧と吐出容量との相関関係を示すグラフ。
【図15】カット制御前後における吐出容量の時間変化を示すグラフ。
【符号の説明】
5…制御圧領域としてのクランク室、12…容量可変機構を構成する斜板、19…同じくシュー、20…同じくピストン、28,38…給気通路、30…圧縮機とで冷媒循環回路を構成する外部冷媒回路、43…弁体及び第2の感圧構造としての弁体部、45…バルブハウジング、46…弁内通路を構成する弁室、47…同じく連通路、51…同じくポート、52…同じくポート、54…第1の感圧構造を構成する可動壁、55…高圧室としての第1圧力室、56…弁内通路を構成する低圧室としての第2圧力室、57…流量設定手段及び初期化手段としての戻しバネ、66…流量設定手段としての緩衝バネ、100…流量設定手段としての電磁アクチュエータであるソレノイド部、Pc…制御圧としてのクランク室内圧、P1…高圧監視点としての圧力監視点、P2…低圧監視点としての圧力監視点。
Claims (12)
- 容量可変機構に作用する制御圧に基づいて吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機に用いられる制御弁であって、
その制御弁内に設定された弁内通路の一部を構成すべくバルブハウジング内に区画された弁室と、
前記弁室内に移動可能に設けられ該弁室内での位置に応じて前記弁内通路の開度を調節可能な弁体と、
冷媒循環回路に設定された二つの圧力監視点間の差圧に感応すると共に一次圧としての前記差圧に基づいて前記弁体を押圧可能とする第1の感圧構造と、
前記一次圧とは異なる二次圧に感応すると共にその二次圧に基づいて前記弁体を押圧可能とする第2の感圧構造とを備え、
前記一次圧と前記二次圧との複合作用によって前記弁体を弁室内で位置決めし弁内通路の開度を調節することで前記制御圧を制御し、
前記二つの圧力監視点は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域に設けられ、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の一方と、前記制御圧が作用する制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成し、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の低圧監視点側と、前記制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成し、前記バルブハウジング内には、前記第1の感圧構造によって区分されるとともに前記二つの圧力監視点からの冷媒が導入される高圧室及び低圧室が備えられ、前記低圧室は前記弁内通路に設けられて、前記制御圧領域には、前記低圧室に導入された冷媒が前記弁内通路を介して導入されることを特徴とする容量可変型圧縮機の制御弁。 - 容量可変機構に作用する制御圧に基づいて吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機に用いられる制御弁であって、
その制御弁内に設定された弁内通路の一部を構成すべくバルブハウジング内に区画された弁室と、
前記弁室内に移動可能に設けられ該弁室内での位置に応じて前記弁内通路の開度を調節可能な弁体と、
冷媒循環回路に設定された二つの圧力監視点間の差圧に感応すると共に一次圧としての前記差圧に基づいて前記弁体を押圧可能とする第1の感圧構造と、
前記一次圧とは異なる二次圧に感応すると共にその二次圧に基づいて前記弁体を押圧可能とする第2の感圧構造とを備え、
前記一次圧と前記二次圧との複合作用によって前記弁体を弁室内で位置決めし弁内通路の開度を調節することで前記制御圧を制御し、
前記二つの圧力監視点は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域に設けられ、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の一方と、前記制御圧が作用する制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成し、前記弁内通路は、前記二つの圧力監視点の高圧監視点側と、前記制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成し、前記バルブハウジング内には、前記第1の感圧構造によって区分されるとともに前記二つの圧力監視点からの冷媒が導入される高圧室及び低圧室が備えられ、前記低圧室と前記弁内通路とは圧力的に隔絶されていることを特徴とする容量可変型圧縮機の制御弁。 - 前記第1の感圧構造は、前記冷媒循環回路の冷媒流量の変化に伴い前記一次圧が増大又は減少傾向を示すとき、圧縮機からの冷媒吐出量が一次圧の変化を打ち消すものとなるように一次圧に基づく押圧作用を弁体に及ぼすことを特徴とする請求項1又は2に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記二次圧は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域から採取される圧力を利用したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記第2の感圧構造は、前記二次圧が弁体を押圧する方向が圧縮機吐出容量を低下させ得る方向となるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記二次圧は、前記高圧領域から採取される圧力と、前記冷媒循環回路を構成する蒸発器と前記圧縮機の吸入室とを含む両者の間の低圧領域から採取される圧力または前記制御圧との差圧であることを特徴とする請求項4または5に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記弁体は、前記第2の感圧構造として機能することを特徴とする請求項6に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記弁内通路は、前記冷媒循環回路を構成する凝縮器と前記圧縮機の吐出室とを含む両者の間の高圧領域と、前記制御圧が作用する制御圧領域とを連通する給気通路の一部を構成することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 少なくとも前記第1の感圧構造に対し作動連結可能に設けられた流量設定手段を更に備えてなり、当該流量設定手段は、少なくとも前記一次圧に基づく押圧力と対抗する付勢力を与えその付勢力に応じて前記冷媒循環回路における冷媒流量の目標値を設定することを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記流量設定手段は、前記付勢力を外部からの電気制御によって変更可能な電磁アクチュエータを含んでなることを特徴とする請求項9に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記電磁アクチュエータへの非通電時において、前記制御圧が圧縮機の吐出容量を減少させる方向に前記弁体を位置決めする初期化手段を更に備えてなることを特徴とする請求項10に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
- 前記圧縮機は、制御圧としてのクランク室内圧を制御することでピストンストロークを変更可能に構成された斜板式又はワッブル式の容量可変型圧縮機であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
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