JP2001153044A - 容量可変型圧縮機の制御弁 - Google Patents

容量可変型圧縮機の制御弁

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JP2001153044A
JP2001153044A JP2000271796A JP2000271796A JP2001153044A JP 2001153044 A JP2001153044 A JP 2001153044A JP 2000271796 A JP2000271796 A JP 2000271796A JP 2000271796 A JP2000271796 A JP 2000271796A JP 2001153044 A JP2001153044 A JP 2001153044A
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pressure
chamber
control valve
valve
operating rod
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JP2000271796A
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English (en)
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Masaki Ota
太田  雅樹
Takeshi Mizufuji
健 水藤
Tomoji Taruya
知二 樽谷
Masanori Sonobe
正法 園部
Masahiro Kawaguchi
真広 川口
Akira Matsubara
亮 松原
Hiroshi Ataya
拓 安谷屋
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】容量制御弁を構成する作動ロッドに作用する圧
力によって容量制御動作が撹乱されることを回避し、制
御動作の正確性や的確性を向上させる。 【解決手段】制御弁は、弁室46を経由する給気通路2
8の開度を調節する弁体部43と、感圧室48を二つの
圧力室55,56に区画し両室間の差圧(PdH−Pd
L)に基づいて変位可能な可動壁54と、その可動壁の
変位動作を弁体部43に伝達する作動ロッド40と、該
ロッドを上方付勢して設定差圧を決定する電磁アクチュ
エータ100とを備え、前記差圧が設定差圧を実現する
ように開度調節動作する。作動ロッドの基端部を収容す
るソレノイド室63にはロッドの内部通路74を介して
圧力室56の圧力PdLが導かれている。作動ロッドの
先端部41の断面積と基端部44の有効受圧面積とはほ
ぼ等しくなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容量可変型圧縮機
に用いられる制御弁に関する。特に冷媒循環回路に設定
された二つの圧力監視点間の差圧が設定差圧に接近又は
収束する方向に、圧縮機のクランク室の内圧を誘導して
圧縮機の吐出容量を制御する容量可変型圧縮機の制御弁
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に車輌用空調装置の冷房回路は、凝
縮器(コンデンサ)、減圧装置としての膨張弁、蒸発器
(エバポレータ)及び圧縮機を備えている。圧縮機は蒸
発器からの冷媒ガスを吸入して圧縮し、その圧縮ガスを
凝縮器に向けて吐出する。蒸発器は冷房回路を流れる冷
媒と車室内空気との熱交換を行う。熱負荷又は冷房負荷
の大きさに応じて、蒸発器周辺を通過する空気の熱量が
蒸発器内を流れる冷媒に伝達されるため、蒸発器の出口
又は下流側での冷媒ガス圧力は冷房負荷の大きさを反映
する。車載用の圧縮機として広く採用されている容量可
変型斜板式圧縮機には、蒸発器の出口圧力(吸入圧Ps
という)を所定の目標値(設定吸入圧という)に維持す
べく動作する容量制御機構が組み込まれている。容量制
御機構は、冷房負荷の大きさに見合った冷媒流量となる
ように吸入圧Psを制御指標として圧縮機の吐出容量つ
まり斜板角度をフィードバック制御する。かかる容量制
御機構の典型例は、内部制御弁と呼ばれる容量制御弁で
ある。内部制御弁ではベローズやダイヤフラム等の感圧
部材で吸入圧Psを感知し、感圧部材の変位動作を弁体
の位置決めに利用して弁開度調節を行うことにより、斜
板室(クランク室ともいう)の圧力(クランク圧Pc)
を調節して斜板角度を決めている。
【0003】また、単一の設定吸入圧しか持ち得ない単
純な内部制御弁では細やかな空調制御要求に対応できな
いため、外部からの電気制御によって設定吸入圧を変更
可能な設定吸入圧可変型制御弁も存在する。設定吸入圧
可変型制御弁は例えば、前述の内部制御弁に電磁ソレノ
イド等の電気的に付勢力調節可能なアクチュエータを付
加し、内部制御弁の設定吸入圧を決めている感圧部材に
作用する機械的バネ力を外部制御によって増減変更する
ことにより、設定吸入圧の変更を実現するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】車載用圧縮機は一般に
車輌エンジンから動力供給を受けて駆動される。圧縮機
はエンジン動力(又はトルク)を最も消費する補機の一
つであり、エンジンにとって大きな負荷であることは間
違いない。それ故、車輌用空調装置は、車輌の加速時や
登坂走行時などエンジン動力を車輌の前進駆動に極力振
り向けたい非常時には、圧縮機の吐出容量を最小化する
ことで圧縮機に由来するエンジン負荷を低減するような
制御(一時的な負荷低減措置としてのカット制御)を行
うようにプログラムされている。前述の設定吸入圧可変
弁付き容量可変型圧縮機を用いた空調装置では、制御弁
の設定吸入圧を通常の設定吸入圧よりも高い値に変更す
ることで現吸入圧を新設定圧に比して低い値とすること
により、圧縮機の吐出容量を最小化する方向に誘導して
実質的なカット制御を実現している。
【0005】ところが、設定吸入圧可変弁付きの容量可
変型圧縮機の動作を詳細に解析したところ、吸入圧Ps
を指標としたフィードバック制御を介在させる限り、目
論見通りのカット制御(つまりエンジン負荷低減)が常
に実現するわけではないということが判明した。
【0006】図14のグラフは、吸入圧Psと圧縮機の
吐出容量Vcとの相関関係を概念的に表したものであ
る。このグラフから分かるように、吸入圧Psと吐出容
量Vcとの相関曲線(特性線)は一種類ではなく、蒸発
器での熱負荷の大きさに応じて複数の相関曲線が存在す
る。このため、ある圧力Ps1をフィードバック制御の
目標値たる設定吸入圧Psetとして与えたとしても、
熱負荷の状況によって制御弁の自律動作によって実現さ
れる実際の吐出容量には一定幅(グラフではΔVc)の
ばらつきが生じてしまう。例えば、蒸発器の熱負荷が過
大な場合には、設定吸入圧Psetを十分に高くしたつ
もりでも、実際の吐出容量Vcはエンジンの負荷を低減
するところまで落ちきらないという事態が生じ得る。つ
まり吸入圧Psに依拠した制御では、単に設定吸入圧P
setを高い値に設定変更しても、蒸発器での熱負荷の
変化が追従してこなければ、即座に吐出容量を落とせな
いというジレンマがある。
【0007】蒸発器での熱負荷を反映する吸入圧Psに
基づいて容量可変型圧縮機の吐出容量を調節する制御手
法は、車外の寒暖の変化にかかわらず人間の快適感を左
右する室温の安定維持を図るという空調装置本来の目的
を達成する上では極めて妥当な制御手法であった。しか
し、上記カット制御にみられるように、空調装置本来の
目的を一時的に放棄してでも、駆動源(エンジン)の事
情を最優先して緊急避難的に迅速な吐出容量ダウンを実
現するには、吸入圧Psに依拠した制御では十分に対応
できないというのが実状である。
【0008】本発明の目的は、蒸発器での熱負荷状況に
影響されることなく、圧縮機の吐出容量を制御可能な容
量可変型圧縮機の制御弁を提供することにあり、更に
は、該制御弁の構成部材に作用し得る各種の圧力によっ
て制御動作が阻害されたり撹乱されることがあまりな
く、容量制御動作の正確性や的確性に優れた制御弁を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、容量
可変型圧縮機の吐出圧領域とクランク室とをつなぐ給気
通路又は該圧縮機の吸入圧領域とクランク室とをつなぐ
抽気通路の一部を構成し得る弁室と、感圧室とを内部に
持つバルブハウジングと、前記弁室内に移動可能に設け
られ該弁室内での配置に応じて前記給気通路又は抽気通
路の開度を調節する弁体と、前記感圧室を冷媒循環回路
に設定された第1の圧力監視点の圧力が導かれる第1圧
力室と同回路に設定された第2の圧力監視点の圧力が導
かれる第2圧力室とに区画すると共に、前記第1及び第
2圧力室間の差圧に基づいて変位可能な区画部材と、先
端部及び基端部を有すると共にその先端部において前記
区画部材と作動連結されて該区画部材の変位動作を前記
弁体に伝達する作動ロッドと、前記作動ロッドを軸方向
に付勢することで前記二つの圧力監視点間の設定差圧を
決定する設定差圧決定手段とを備え、前記作動ロッドを
介しての区画部材と弁体との連動に基づき前記クランク
室の内圧を調節して圧縮機の吐出容量を制御する制御弁
であって、前記バルブハウジング内において作動ロッド
の基端部を収容する領域には、前記第1圧力室又は第2
圧力室に導かれる圧力と同種の圧力が導かれることを特
徴とするものである。
【0010】冷媒循環回路に設定された二つの圧力監視
点間の差圧(二点間差圧)を制御指標として利用するこ
とで、冷媒循環回路の蒸発器での熱負荷状況に影響され
ることなく、容量可変型圧縮機の吐出容量を制御するこ
とが可能となる。又、制御弁における設定差圧とは、圧
縮機の目標吐出容量を規定するための制御目標値であ
る。本発明(請求項1)において、区画部材は、前記二
点間差圧を機械的に検出しその差圧に基づく力を作動ロ
ッドを介して弁体に波及させるための機械要素として機
能する。前記二点間差圧に基づく力が区画部材を介して
作動ロッド及び弁体に及ぶ一方で、設定差圧設定手段に
よる付勢力が作動ロッドに及ぶ。このため、作動ロッド
は前記二点間差圧と付勢力との相関関係に基づいて動作
し、弁室内で弁体を位置決めする。その結果、給気通路
又は抽気通路の開度が調節され、圧縮機のクランク室内
圧が制御されて圧縮機の吐出容量が調節される。この制
御弁の内部自律的な弁開度調節動作により、区画部材に
よって検知された二点間差圧が設定差圧設定手段の付勢
力に基づいて決まる設定差圧に接近し又は収束する方向
にクランク室の内圧が誘導され、圧縮機の吐出容量が調
節される。換言すれば、この制御弁は、前記二点間差圧
を設定差圧に略一致させるための自己完結的な内部制御
方式の定容量弁として機能する。
【0011】更にこの制御弁によれば、作動ロッドの基
端域に作用する圧力が、作動ロッド先端域の第1圧力室
又は第2圧力室に導かれる圧力と実質的に同種であるた
め、作動ロッドの各端部に作用するガス圧に基づく押圧
力が相殺し合う状況が生まれ易い。従って、第1の圧力
監視点又は第2の圧力監視点の圧力等の圧力要因が個別
に、作動ロッドの変位動作に悪影響を及ぼして該変位動
作を拘束したり阻害する程度が少なくなる。そして、作
動ロッドの変位動作や弁体の位置決めが、前記二点間差
圧の状況を比較的忠実に反映したものとなって、容量制
御動作の正確性や的確性を向上させることが可能とな
る。
【0012】請求項2の発明は、請求項1に記載の容量
可変型圧縮機の制御弁において、前記第1及び第2の圧
力監視点は、容量可変型圧縮機の吐出圧力領域と冷凍回
路を構成する凝縮器とを含む両者間の冷媒通路に設定さ
れていることを特徴とする。
【0013】この構成によれば、二点間差圧に冷媒循環
回路の冷媒流量が反映されることとなり、同冷媒流量を
直接的に制御することが可能となる。請求項3の発明
は、請求項1又は2に記載の容量可変型圧縮機の制御弁
において、前記作動ロッドの先端部の軸直交断面積と、
作動ロッドの基端部を収容する領域に導かれている圧力
に関する当該基端部の有効受圧面積とが略等しく設定さ
れていることを特徴とする。
【0014】この構成によれば、作動ロッドの先端部に
作用するガス圧に基づく押圧力と、作動ロッドの基端部
に作用するガス圧に基づく押圧力とを過不足なく相殺す
ることができる。従って、第1の圧力監視点又は第2の
圧力監視点の圧力等の圧力要因が個別に、作動ロッドの
変位動作に悪影響を及ぼして該変位動作を拘束したり阻
害することがなく、作動ロッドの変位動作や弁体の位置
決めが、前記二点間差圧の状況を最も正確に反映したも
のとなり、容量制御動作の正確性や的確性が向上する。
この点については、請求項4及び5の説明で更に詳しく
述べる。
【0015】請求項4の発明は、請求項3に記載の容量
可変型圧縮機の制御弁において、前記作動ロッドの先端
部は前記第2圧力室内に配置され、前記作動ロッドの基
端部を収容する領域には、前記第1圧力室に導かれてい
る圧力と同種の圧力が導かれていることを特徴とする
(後記第1実施形態参照)。
【0016】請求項4の主要な構成を模式的に示したの
が図15である。説明の便宜上、第1の圧力監視点(P
1)と繋がる第1圧力室の圧力をPH、第2の圧力監視
点(P2)と繋がる第2圧力室の圧力をPL、第1圧力
室側における区画部材の受圧面積をSA、作動ロッド先
端部の軸直交断面積及び作動ロッド基端部の有効受圧面
積をSB、設定差圧決定手段の付勢力をFAとする。図
15によれば、作動ロッドを基端部方向に押す力として
は、第1圧力室の圧力PHがある。他方、作動ロッドを
先端部方向に押す力としては、第2圧力室の圧力PL、
付勢力FAおよび作動ロッド基端部の収容領域に作用す
る圧力PHがある。区画部材と作動ロッド先端部とは作
動連結されているから、第2圧力室側における区画部材
の受圧面積は(SA−SB)となる。この図に基づいて
作動ロッドに作用する力の均衡を数式化すると、PH・
SA=PL(SA−SB)+FA+PH・SBの等式が
成り立つ。これを更に整理すると(PH−PL)=FA
/(SA−SB)となる。
【0017】この式は第一に、作動ロッドは、前記二点
間差圧(PH−PL)が設定差圧決定手段の付勢力FA
を第2圧力室側における区画部材の受圧面積(SA−S
B)で除して得られる設定差圧に一致するように位置決
めされる旨を示している。つまり該制御弁によれば、前
記二点間差圧を指標とした内部自律的な容量制御が可能
であることを立証している。上記式は第二には、制御弁
の弁開度は、区画部材により検知される差圧(PH−P
L)と、設定差圧FA/(SA−SB)との相互関係の
みで決まり、前記差圧以外の個々の圧力要因(例えば、
単独のPH、単独のPL、吐出圧Pd等)が弁開度の決
定に一切関与しないことを示している。つまり、請求項
1及び3の欄で説明したように、前記差圧以外の圧力要
因が個別に、作動ロッドの変位動作に悪影響を及ぼして
該変位動作を阻害したり拘束することがないことを立証
している。従って、この構成によれば、作動ロッドの変
位動作や弁体の位置決めが、前記二点間差圧の状況を正
確に反映したものとなり、容量制御動作の正確性や的確
性が向上する。
【0018】請求項5の発明は、請求項3に記載の容量
可変型圧縮機の制御弁において、前記作動ロッドの先端
部は前記第2圧力室内に配置され、前記作動ロッドの基
端部を収容する領域には、前記第2圧力室に導かれてい
る圧力と同種の圧力が導かれていることを特徴とする
(後記第2、第3及び第4実施形態参照)。
【0019】請求項5の主要な構成を模式的に示したの
が図16である。説明の便宜上用いる記号の意味は、図
15の場合と同じである。図16によれば、作動ロッド
を基端部方向に押す力としては、第1圧力室の圧力PH
がある。他方、作動ロッドを先端部方向に押す力として
は、第2圧力室の圧力PL、付勢力FAおよび作動ロッ
ド基端部の収容領域に作用する圧力PLがある。区画部
材と作動ロッド先端部とは作動連結されているから、第
2圧力室側における区画部材の受圧面積は(SA−S
B)となる。この図に基づいて作動ロッドに作用する力
の均衡を数式化すると、PH・SA=PL(SA−S
B)+FA+PL・SBの等式が成り立つ。これを更に
整理すると、(PH−PL)=FA/SAとなる。
【0020】この式は第一に、作動ロッドは、前記二点
間差圧(PH−PL)が、設定差圧決定手段の付勢力F
Aを第1圧力室側における区画部材の受圧面積SAで除
して得られる設定差圧に一致するように位置決めされる
旨を示している。つまり該制御弁によれば、前記二点間
差圧を指標とした内部自律的な容量制御が可能であるこ
とを立証している。上記式は第二には、制御弁の弁開度
は、区画部材により検知される差圧(PH−PL)と、
設定差圧FA/SAとの相互関係のみで決まり、前記差
圧以外の個々の圧力要因(例えば、単独のPH、単独の
PL、吐出圧Pd等)が弁開度の決定に一切関与しない
ことを示している。つまり、請求項1及び3の欄で説明
したように、前記差圧以外の圧力要因が個別に、作動ロ
ッドの変位動作に悪影響を及ぼして該変位動作を阻害し
たり拘束することがないことを立証している。従って、
この構成によれば、作動ロッドの変位動作や弁体の位置
決めが、前記二点間差圧の状況を正確に反映したものと
なり、容量制御動作の正確性や的確性が向上する。
【0021】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
か一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前
記作動ロッドは更にその先端部と基端部とを連結する連
結部を有し、その連結部の軸直交断面積は前記先端部の
軸直交断面積よりも小さく設定されており、且つ、その
連結部の周囲には、前記弁室と共に当該制御弁内におけ
る給気通路又は抽気通路を構成する連通路が確保されて
いることを特徴とする。
【0022】この構成によれば、作動ロッドの連結部の
周囲に確保された連通路には、圧縮機の吐出圧領域の圧
力(吐出圧Pd)、吸入圧領域(吸入圧Ps)又はクラ
ンク室の圧力(クランク圧Pc)のいずれかが及ぶ。そ
の連通路内圧力は、作動ロッドの先端部を当該先端方向
に押すと共に、作動ロッドの基端部を当該基端方向にも
押す。但し、二つの押圧力は互いに向きが反対であるこ
とから、両者は互いに打ち消し合い又は弱め合う関係に
ある。このため、前記連通路に作用する圧力が何であろ
うとも、作動ロッドに作用する先端方向及び基端方向の
押圧力の合力は微々たるものとなる。従って、作動ロッ
ドの連結部の周囲に連通路を確保し、その連通路を制御
弁内における給気通路又は抽気通路として利用しても、
特に閉弁状態から開弁状態に移行する上で、その連通路
に及ぶ圧力(Pd,Ps又はPc)が作動ロッドの変位
動作の致命的外乱とはなり得ず、そのような圧力が弁体
の位置決めに悪影響を及ぼす事態が回避される。つま
り、前記二点間差圧に応じた弁開度調節の精度が向上す
る。
【0023】請求項7の発明は、請求項6に記載の容量
可変型圧縮機の制御弁において、前記作動ロッドの基端
部の軸直交断面積をその基端部付近での前記連通路の口
径面積と略同等又はそれ以上とし、且つ、前記作動ロッ
ドの先端部の軸直交断面積と、前記作動ロッドの基端部
付近での前記連通路の口径面積とを略等しく設定するこ
とで、前記連通路内の圧力に関する作動ロッド先端部側
の受圧面積と作動ロッド基端部側の受圧面積とを略等し
くしたことを特徴とする。
【0024】この構成によれば、連通路内の圧力に関す
る作動ロッド先端部側の受圧面積は、作動ロッドの先端
部の軸直交断面積から連結部の軸直交断面積(SC)を
差し引くことで求められる。他方、連通路内圧力に関す
る作動ロッド基端部側の受圧面積は、作動ロッドの基端
部付近での連通路の口径面積から連結部の軸直交断面積
(SC)を差し引くことで求められる。そして、作動ロ
ッドの先端部の軸直交断面積と、前記作動ロッドの基端
部付近での前記連通路の口径面積とは略等しく設定され
ていることから、前記連通路内の圧力に関する作動ロッ
ド先端部側の受圧面積と作動ロッド基端部側の受圧面積
とは略等しくなる。このため、前記連通路に作用する圧
力が何であろうとも、作動ロッドに作用する先端方向及
び基端方向の押圧力は完全に相殺される。従って、作動
ロッドの連結部の周囲に連通路を確保し、その連通路を
制御弁内における給気通路又は抽気通路として利用して
も、その連通路に及ぶ圧力(Pd,Ps又はPc)が作
動ロッドの変位動作の外乱とはなり得ず、そのような圧
力が弁体の位置決めに悪影響を及ぼす事態が回避され
る。従って、前記二点間差圧に応じた弁開度調節の精度
が更に向上する。
【0025】請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれ
か一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前
記作動ロッドには、第1圧力室又は第2圧力室の圧力を
該作動ロッドの基端部に導くための内部通路が形成され
ていることを特徴とする。
【0026】この構成によれば、バルブハウジングの区
画壁部やバルブハウジングの外部を経由する特別な通路
を設けることなく、作動ロッドの内部通路を経由して第
1圧力室又は第2圧力室の圧力を作動ロッドの基端部に
導くことができる。これにより、作動ロッド以外の構成
部材(バルブハウジング等)の複雑化が必要最小限に抑
えられる。
【0027】請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれ
か一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁において、前
記設定差圧決定手段は、設定差圧を外部からの制御によ
り変更可能とすべく作動ロッドの基端部に配設された設
定差圧変更アクチュエータを含んでなることを特徴とす
る。
【0028】この構成によれば、設定差圧変更アクチュ
エータを用いて、制御弁の弁開度調節動作の基準となる
設定差圧を外部からの制御によって変更することが可能
となる。外部から設定差圧を変更すれば、それに応じて
圧縮機の吐出容量を変化させることができる。故にこの
制御弁は、外部制御によって圧縮機の吐出容量を任意調
節可能な外部制御方式の容量可変弁として機能でき、必
要時(又は非常時)には、冷媒循環回路の蒸発器での熱
負荷状況に影響されることなく圧縮機の吐出容量(ひい
ては負荷トルク)を短時間に急変させるような緊急避難
的な容量変更も可能となる。かかる制御弁によれば、通
常時において室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出
容量制御と、非常時における緊急避難的な吐出容量の迅
速な変更とを両立させることが可能となる。
【0029】請求項10の発明は、請求項9に記載の容
量可変型圧縮機の制御弁において、前記設定差圧変更ア
クチュエータの非作動時又は不活性時において、クラン
ク室の内圧が増大する方向に前記弁体及び作動ロッドを
位置決めする初期化手段を更に備えてなることを特徴と
する。
【0030】この構成によれば、電力供給の停止等によ
り設定差圧変更アクチュエータが非作動状態又は不活性
状態に陥った場合でも、初期化手段の自発的な作用によ
り、クランク室内圧を高めて圧縮機の吐出容量を減少方
向に誘導すること、つまり圧縮機の負荷トルクをゼロ又
は最小にすることができる。従って、容量可変型圧縮機
の安全性(非常事態に対する安全化対応能力)が高ま
る。又、圧縮機が低容量状態で停止すれば、圧縮機の次
回起動時における外部駆動源の負担を軽減することがで
きる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に、車輌用空調装置を構成す
る容量可変型斜板式圧縮機の制御弁についてのいくつか
の実施形態を説明する。
【0032】(第1実施形態:図1〜図5及び図13参
照)図1に示すように容量可変型斜板式圧縮機は、シリ
ンダブロック1と、その前端に接合されたフロントハウ
ジング2と、シリンダブロック1の後端に弁形成体3を
介して接合されたリヤハウジング4とを備えている。こ
れら1,2,3及び4は、複数本の通しボルト10(一
本のみ図示)により相互に接合固定されて該圧縮機のハ
ウジングを構成する。シリンダブロック1とフロントハ
ウジング2とに囲まれた領域にはクランク室5が区画さ
れている。クランク室5内には駆動軸6が前後一対のラ
ジアル軸受け8A,8Bによって回転可能に支持されて
いる。シリンダブロック1の中央に形成された収容凹部
内には、前方付勢バネ7及び後側スラスト軸受け9Bが
配設されている。他方、クランク室5において駆動軸6
上にはラグプレート11が一体回転可能に固定され、ラ
グプレート11とフロントハウジング2の内壁面との間
には前側スラスト軸受け9Aが配設されている。一体化
された駆動軸6及びラグプレート11は、バネ7で前方
付勢された後側スラスト軸受け9Bと前側スラスト軸受
け9Aとによってスラスト方向(駆動軸軸線方向)に位
置決めされている。
【0033】駆動軸6の前端部は、動力伝達機構PTを
介して外部駆動源としての車輌エンジンEに作動連結さ
れている。動力伝達機構PTは、外部からの電気制御に
よって動力の伝達/遮断を選択可能なクラッチ機構(例
えば電磁クラッチ)であってもよく、又は、そのような
クラッチ機構を持たない常時伝達型のクラッチレス機構
(例えばベルト/プーリの組合せ)であってもよい。
尚、本件では、クラッチレスタイプの動力伝達機構が採
用されているものとする。
【0034】図1に示すように、クランク室5内にはカ
ムプレートたる斜板12が収容されている。斜板12の
中央部には挿通孔が貫設され、この挿通孔内に駆動軸6
が配置されている。斜板12は、連結案内機構としての
ヒンジ機構13を介してラグプレート11及び駆動軸6
に作動連結されている。ヒンジ機構13は、ラグプレー
ト11のリヤ面から突設された二つの支持アーム14
(一つのみ図示)と、斜板12のフロント面から突設さ
れた二本のガイドピン15(一本のみ図示)とから構成
されている。支持アーム14とガイドピン15との連係
および斜板12の中央挿通孔内での駆動軸6との接触に
より、斜板12はラグプレート11及び駆動軸6と同期
回転可能であると共に駆動軸6の軸方向へのスライド移
動を伴いながら駆動軸6に対し傾動可能となっている。
なお、斜板12は、駆動軸6を挟んで前記ヒンジ機構1
3と反対側にカウンタウェイト部12aを有している。
【0035】ラグプレート11と斜板12との間におい
て駆動軸6の周囲には傾角減少バネ16が設けられてい
る。このバネ16は斜板12をシリンダブロック1に接
近する方向(即ち傾角減少方向)に付勢する。又、駆動
軸6に固着された規制リング18と斜板12との間にお
いて駆動軸6の周囲には復帰バネ17が設けられてい
る。この復帰バネ17は、斜板12が大傾角状態(二点
鎖線で示す)にあるときには駆動軸6に単に巻装される
のみで斜板その他の部材に対していかなる付勢作用も及
ぼさないが、斜板12が小傾角状態(実線で示す)に移
行すると、前記規制リング18と斜板12との間で圧縮
されて斜板12をシリンダブロック1から離間する方向
(即ち傾角増大方向)に付勢する。なお、斜板12が圧
縮機運転時に最小傾角θmin(例えば1〜5°の範囲
の角度)に達したときも、復帰バネ17が縮みきらない
ようにバネ17の自然長及び規制リング18の位置が設
定されている。
【0036】シリンダブロック1には、駆動軸6を取り
囲んで複数のシリンダボア1a(一つのみ図示)が形成
され、各シリンダボア1aのリヤ側端は前記弁形成体3
で閉塞されている。各シリンダボア1aには片頭型のピ
ストン20が往復動可能に収容されており、各ボア1a
内にはピストン20の往復動に応じて体積変化する圧縮
室が区画されている。各ピストン20の前端部は一対の
シュー19を介して斜板12の外周部に係留され、これ
らのシュー19を介して各ピストン20は斜板12に作
動連結されている。このため、斜板12が駆動軸6と同
期回転することで、斜板12の回転運動がその傾角θに
対応するストロークでのピストン20の往復直線運動に
変換される。
【0037】更に弁形成体3とリヤハウジング4との間
には、中心域に位置する吸入室21と、それを取り囲む
吐出室22とが区画形成されている。弁形成体3は、吸
入弁形成板、ポート形成板、吐出弁形成板およびリテー
ナ形成板を重合してなるものである。この弁形成体3に
は各シリンダボア1aに対応して、吸入ポート23及び
同ポート23を開閉する吸入弁24、並びに、吐出ポー
ト25及び同ポート25を開閉する吐出弁26が形成さ
れている。吸入ポート23を介して吸入室21と各シリ
ンダボア1aとが連通され、吐出ポート25を介して各
シリンダボア1aと吐出室22とが連通される。そし
て、蒸発器33の出口から吸入室21(吸入圧Psの領
域)に導かれた冷媒ガスは、各ピストン20の上死点位
置から下死点側への往動により吸入ポート23及び吸入
弁24を介してシリンダボア1aに吸入される。シリン
ダボア1aに吸入された冷媒ガスは、ピストン20の下
死点位置から上死点側への復動により所定の圧力にまで
圧縮され、吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出
室22(吐出圧Pdの領域)に吐出される。吐出室22
の高圧冷媒は凝縮器31に導かれる。
【0038】この圧縮機では、エンジンEからの動力供
給により駆動軸6が回転されると、それに伴い所定傾角
θに傾いた斜板12が回転する。その傾角θは、駆動軸
6に直交する仮想平面と斜板12とがなす角度として把
握される。斜板の回転に伴って各ピストン20が傾角θ
に対応したストロークで往復動され、前述のように各シ
リンダボア1aでは、冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出が
順次繰り返される。
【0039】斜板12の傾角θは、斜板回転時の遠心力
に起因する回転運動のモーメント、傾角減少バネ16
(及び復帰バネ17)の付勢作用に起因するバネ力によ
るモーメント、ピストン20の往復慣性力によるモーメ
ント、ガス圧によるモーメント等の各種モーメントの相
互バランスに基づいて決定される。ガス圧によるモーメ
ントとは、シリンダボア内圧と、ピストン背圧にあたる
クランク室5の内圧(クランク圧Pc)との相互関係に
基づいて発生するモーメントであり、クランク圧Pcに
応じて傾角減少方向にも傾角増大方向にも作用する。こ
の圧縮機では、後述する容量制御弁を用いてクランク圧
Pcを調節し前記ガス圧によるモーメントを適宜変更す
ることにより、斜板の傾角θを最小傾角θminと最大
傾角θmaxとの間の任意の角度に設定可能としてい
る。なお、最大傾角θmaxは、斜板12のカウンタウ
ェイト部12aがラグプレート11の規制部11aに当
接することで規制される。他方、最小傾角θminは、
前記ガス圧によるモーメントが傾角減少方向にほぼ最大
化した状態のもとでの傾角減少バネ16と復帰バネ17
との付勢力バランスを支配的要因として決定される。
【0040】斜板12の傾角制御に関与するクランク圧
Pcを制御するためのクランク圧制御機構は、図1に示
す圧縮機ハウジング内に設けられた抽気通路27及び給
気通路28並びに容量制御弁によって構成される。抽気
通路27は吸入室21とクランク室5とを接続する。給
気通路28は吐出室22とクランク室5とを接続し、そ
の途中には容量制御弁が設けられている。この制御弁の
開度を調節することで給気通路28を介したクランク室
5への高圧ガスの導入量と抽気通路27を介したクラン
ク室5からのガス導出量とのバランスが制御され、クラ
ンク圧Pcが決定される。クランク圧Pcの変更に応じ
て、ピストン20を介してのクランク圧Pcとシリンダ
ボア1aの内圧との差が変更され、斜板の傾角θが変更
される結果、ピストンのストロークすなわち吐出容量が
調節される。
【0041】(冷媒循環回路)図1及び図2に示すよう
に、車輌用空調装置の冷房回路(即ち冷媒循環回路)は
容量可変型斜板式圧縮機と外部冷媒回路30とから構成
される。外部冷媒回路30は例えば、凝縮器(コンデン
サ)31、減圧装置としての温度式膨張弁32及び蒸発
器(エバポレータ)33を備えている。膨張弁32の開
度は、蒸発器33の出口側又は下流側に設けられた感温
筒34の検知温度および蒸発圧力(蒸発器出口圧力)に
基づいてフィードバック制御される。膨張弁32は、熱
負荷に見合った液冷媒を蒸発器33に供給して外部冷媒
回路30における冷媒流量を調節する。外部冷媒回路3
0の下流域には、蒸発器33の出口と圧縮機の吸入室2
1とをつなぐ冷媒ガスの流通管35が設けられている。
外部冷媒回路30の上流域には、圧縮機の吐出室22と
凝縮器31の入口とをつなぐ冷媒の流通管36が設けら
れている。圧縮機は外部冷媒回路30の下流域から吸入
室21に導かれた冷媒ガスを吸入して圧縮し、圧縮した
ガスを外部冷媒回路30の上流域と繋がる吐出室22に
吐出する。
【0042】一般的傾向として圧縮機の吐出容量が大き
く冷媒循環回路を流れる冷媒の流量も大きいほど、回路
又は配管の単位長さ当りの圧力損失も大きくなる。つま
り、冷媒循環回路に沿って設定された二つの圧力監視点
P1,P2間の圧力損失(差圧)は該回路における冷媒
の流量と正の相関を示す。故に、二つの圧力監視点P
1,P2間の差圧ΔP(t)=PdH−PdLを把握す
ることは、圧縮機の吐出容量を間接的に検出することに
他ならない。本実施形態では、流通管36の最上流域に
当たる吐出室22内に上流側の圧力監視点P1を定める
と共に、そこから所定距離だけ離れた流通管36の途中
に下流側の圧力監視点P2を定めている。圧力監視点P
1でのガス圧PdH(つまり吐出圧Pd)を第1の検圧
通路37を介して、又、圧力監視点P2でのガス圧Pd
Lを第2の検圧通路38を介してそれぞれ容量制御弁に
導いている。その差圧(PdH−PdL)は、圧縮機の
吐出容量を推し量る指標として、制御弁によって圧縮機
吐出容量のフィードバック制御に利用される。
【0043】(容量制御弁)図3に示す容量制御弁は、
冷媒循環回路における二点間差圧を機械的に検出し、そ
の検出差圧を自己の弁開度調節に直接利用する。
【0044】図3に示すように制御弁は、その上半部を
占める入れ側弁部と、下半部を占めるソレノイド部とを
備えている。入れ側弁部は、吐出室22とクランク室5
とを繋ぐ給気通路28の開度(絞り量)を調節する。ソ
レノイド部は、制御弁内に配設された作動ロッド40を
外部からの通電制御に基づき付勢制御するための一種の
電磁アクチュエータであって、設定差圧変更アクチュエ
ータ100として機能する。作動ロッド40は、先端部
たる差圧受承部41、連結部42、略中央の弁体部43
及び基端部たるガイドロッド部44からなる棒状部材で
ある。弁体部43はガイドロッド部44の一部にあた
る。差圧受承部41、連結部42並びにガイドロッド部
44(及び弁体部43)の直径をそれぞれd1,d2及
びd3とすると、d2<d1<d3の関係が成立してい
る。そして、円周率をπとすると、差圧受承部41の軸
直交断面積SBはπ(d1/2)2であり、連結部42
の軸直交断面積SCはπ(d2/2)2であり、ガイド
ロッド部44(及び弁体部43)の軸直交断面積SDは
π(d3/2)2である。
【0045】制御弁のバルブハウジング45は、キャッ
プ45aと、入れ側弁部の主な外郭を構成する上半部本
体45bと、ソレノイド部の主な外郭を構成する下半部
本体45cとから構成されている。バルブハウジングの
上半部本体45b内には弁室46及び連通路47が区画
され、該上半部本体45bとその上部に固着されたキャ
ップ45aとの間には感圧室48が区画されている。
【0046】弁室46、連通路47及び感圧室48内に
は、作動ロッド40が軸方向(図では垂直方向)に移動
可能に配設されている。弁室46及び連通路47は作動
ロッド40の配置次第で連通可能となる。これに対し連
通路47と感圧室48とは、それらの境界に存在する隔
壁(バルブハウジング45の一部)によって圧力的に隔
絶されている。又、その隔壁に形成された作動ロッド4
0用のガイド孔49の内径も作動ロッドの差圧受承部4
1の径d1に一致する。なお、連通路47とガイド孔4
9とは相互延長の関係にあり、連通路47の内径も作動
ロッドの差圧受承部41の径d1に一致する。つまり、
連通路47とガイド孔49は共に、前記SBの軸直交断
面積(口径面積)を持つ。
【0047】弁室46の底壁は後記固定鉄心62の上端
面によって提供される。弁室46を取り囲むバルブハウ
ジングの周壁には半径方向に延びるポート51が設けら
れ、このポート51は給気通路28の上流部を介して弁
室46を吐出室22に連通させる。連通路47を取り囲
むバルブハウジングの周壁にも半径方向に延びるポート
52が設けられ、このポート52は給気通路28の下流
部を介して連通路47をクランク室5に連通させる。従
って、ポート51、弁室46、連通路47及びポート5
2は、制御弁内において吐出室22とクランク室5とを
連通させる給気通路28の一部を構成する。
【0048】弁室46内には作動ロッドの弁体部43が
配置される。連通路47の内径d1は、作動ロッドの連
結部42の径d2よりも大きく且つガイドロッド部44
の径d3よりも小さい。このため、弁室46と連通路4
7との境界に位置する段差は弁座53として機能し、連
通路47は一種の弁孔となる。作動ロッド40が図3の
位置(最下動位置)から弁体部43が弁座53に着座す
る最上動位置へ上動されると、連通路47が遮断され
る。つまり作動ロッドの弁体部43は、給気通路28の
開度を任意調節可能な入れ側弁体として機能する。
【0049】感圧室48内には、区画部材としての可動
壁54が軸方向に移動可能に設けられている。この可動
壁54は感圧室48を軸方向に二分し、該感圧室48を
P1圧力室(第1圧力室)55とP2圧力室(第2圧力
室)56とに区画する。可動壁54はP1圧力室55と
P2圧力室56との間の圧力隔壁の役目を果たし、両圧
力室55,56の直接連通を許容しない。なお、可動壁
54の軸直交断面積をSAとすると、その断面積SAは
連通路47又はガイド孔49の口径面積SBよりも大き
い(SB<SA)。
【0050】P1圧力室55は、キャップ45aに形成
されたP1ポート55a及び第1の検圧通路37を介し
て上流側の圧力監視点P1たる吐出室22と常時連通す
る。他方、P2圧力室56は、バルブハウジングの上半
部本体45bに形成されたP2ポート56a及び第2の
検圧通路38を介して下流側の圧力監視点P2と常時連
通する。即ち、P1圧力室55には吐出圧Pdが圧力P
dHとして導かれ、P2圧力室56には、配管途中の圧
力監視点P2の圧力PdLが導かれている。故に、可動
壁54の上面及び下面はそれぞれ圧力PdH,PdLに
曝される受圧面となる。P2圧力室56内には作動ロッ
ドの差圧受承部41の先端が進入しており、その差圧受
承部41の先端面には可動壁54が結合している。更に
P2圧力室56には、緩衝バネ57が配設されている。
この緩衝バネ57は、可動壁54をP2圧力室56から
P1圧力室55に向けて付勢する。
【0051】制御弁のソレノイド部(設定差圧変更アク
チュエータ100)は、有底円筒状の収容筒61を備え
ている。収容筒61の上部には固定鉄心62が嵌合さ
れ、この嵌合により収容筒61内にはソレノイド室63
が区画されている。ソレノイド室63には、プランジャ
としての可動鉄心64が軸方向に移動可能に収容されて
いる。固定鉄心62の中心には軸方向に延びるガイド孔
65が形成され、そのガイド孔65内には、作動ロッド
のガイドロッド部44が軸方向に移動可能に配置されて
いる。なお、ガイド孔65の内壁面と前記ガイドロッド
部44との間には若干の隙間(図示略)が確保されてお
り、この隙間を介して弁室46とソレノイド室63とが
連通している。つまり、ソレノイド室63には弁室46
と同じ吐出圧Pdが及んでいる。
【0052】ソレノイド室63は作動ロッド40の基端
部の収容領域でもある。即ち、ガイドロッド部44の下
端は、ソレノイド室63内にあって可動鉄心64の中心
に貫設された孔に嵌合されると共にかしめにより嵌着固
定されている。従って、可動鉄心64と作動ロッド40
とは一体となって上下動する。固定鉄心62と可動鉄心
64との間には戻しバネ66が配設されている。戻しバ
ネ66は、可動鉄心64を固定鉄心62から離間させる
方向に作用して可動鉄心64及び作動ロッド40を下方
に付勢する。このため、戻しバネ66は、可動鉄心64
及び作動ロッド40を最下動位置(非通電時における初
期位置)に戻すための初期化手段として機能する。固定
鉄心62及び可動鉄心64の周囲には、これら鉄心を跨
ぐ範囲にコイル67が巻回されている。このコイル67
には制御装置70の指令に基づき駆動回路72から駆動
信号が供給され、コイル67は、その電力供給量に応じ
た大きさの電磁力Fを発生する。そして、その電磁力F
によって可動鉄心64が固定鉄心62に向かって吸引さ
れ作動ロッド40が上動する。なお、コイル67への通
電制御は、アナログ的な電流値制御、又は、通電時のデ
ューティ比Dtを適宜変化させるデューティ制御ないし
PWM制御(パルス幅変調制御)のいずれでもよい。本
実施形態ではデューティ制御を採用する。制御弁の構造
上、デューティ比Dtを小さくすると弁開度が大きくな
り、デューティ比Dtを大きくすると弁開度が小さくな
る傾向にある。
【0053】(制御弁の動作条件及び特性に関する考
察)図3の容量制御弁の弁開度は、入れ側弁体たる弁体
部43を含む作動ロッド40の配置如何によって決ま
る。作動ロッド40の各部に作用する種々の力を総合的
に考察することで、この制御弁の動作条件や特性が明ら
かとなる。
【0054】作動ロッドの差圧受承部41の上端面に
は、緩衝バネ57の上向き付勢力f1によって減殺され
た可動壁54の上下差圧に基づく下向き押圧力が作用す
る。但し、可動壁54の上面の受圧面積はSAである
が、可動壁54の下面の受圧面積は(SA−SB)であ
る。また、差圧受承部41の下端面(受圧面積:SB−
SC)には、クランク圧Pcによる上向き押圧力が作用
する。下向き方向を正方向として差圧受承部41に作用
する全ての力ΣF1を整理すると、ΣF1は次の数1式
のように表される。
【0055】
【数1】 他方、作動ロッドのガイドロッド部44(弁体部43を
含む)には、戻しバネ66の下向き付勢力f2によって
減殺された上向きの電磁付勢力Fが作用する。又、図1
3を参照して、弁体部43、ガイドロッド部44及び可
動鉄心64の全露出面に作用する圧力を単純化して考察
すると、まず弁体部43の上端面は、連通路47の内周
面から垂下させた仮想円筒面(二本の垂直破線で示す)
によって内側部分と外側部分とに分けられ、前記内側部
分(面積:SB−SC)にはクランク圧Pcが下向きに
作用し、前記外側部分(面積:SD−SB)には吐出圧
Pdが下向きに作用するものとみなすことができる。他
方、ソレノイド室63に及んでいる吐出圧Pdは、可動
鉄心64の上下面での圧力相殺を考慮すれば、ガイドロ
ッド部44の軸直交断面積SDに相当する面積でもって
ガイドロッド部44を上向きに押している。上向き方向
を正方向として弁体部43及びガイドロッド部44に作
用する全ての力ΣF2を整理すると、ΣF2は次の数2
式のように表される。
【0056】
【数2】 尚、上記数2式を整理する過程で、−Pd・SDと、+
Pd・SDとが相殺されてPd・SB項のみが残った。
つまりこの計算過程は、図3及び図13のガイドロッド
部44(弁体部43を含む)の上下面に作用している吐
出圧Pdの影響を、該Pdがガイドロッド部44の一面
(下面)にのみ集約的に作用するものと仮定して考察す
るときに、弁体部43を含むガイドロッド部44の吐出
圧Pdに関する有効受圧面積がSD−(SD−SB)=
SBと表現できることを意味している。つまり吐出圧P
dに関する限り、ガイドロッド部44の有効受圧面積
は、ガイドロッド部44の軸直交断面積SDにかかわら
ず連通路47の口径面積SBに一致する。このように本
明細書では、ロッド等の部材の両端に同種の圧力が作用
している場合に、その圧力が部材の一方の端部にのみ集
約的に作用するものと仮定して考察することを許容する
ような実質的な受圧面積のことを特に、その圧力に関す
る「有効受圧面積」と呼ぶことにする。
【0057】ちなみに、数2式の結果は、弁体部43及
びガイドロッド部44の断面積がSBで弁体部43が連
通路47(口径面積SB)内に嵌入可能なロッド構成の
場合において、弁体部43の上端面にPcが作用しガイ
ドロッド部44の下端域にPdが作用するときと全く同
じ結果となっていることに注意されたい。
【0058】さて、作動ロッド40は差圧受承部41と
ガイドロッド部44とを連結部42で連結してなる一体
物であるから、その配置はΣF1=ΣF2の力学的均衡
を充足する位置に決まる。このΣF1=ΣF2の等式を
整理する過程で、左右両辺のPc(SB−SC)項が相
殺される。次の数3式は、前記等式を整理した後の形を
示す。
【0059】
【数3】 本実施形態では圧力監視点P1は吐出室22内に設定さ
れているから、Pd=PdHである。この関係を上記数
3式に代入して整理すると、次の数4式及び数5式のよ
うになる。
【0060】
【数4】
【0061】
【数5】 数5式の右辺において、f1,f2,SA,SBは機械
設計の段階で一義的に決まる確定的なパラメータであ
り、電磁付勢力Fのみがコイル67への電力供給量に応
じて変化する可変パラメータである。この数5式から次
の二つのことが言える。第1に、図3の容量制御弁は、
その弁開度調節動作の基準となる二点間差圧ΔP(t)
=PdH−PdLの設定値(即ち設定差圧TPD)を、
コイル67へのデューティ制御によって外部から一義的
に決定することが可能な構造となっている。つまり制御
弁は、外部制御によって設定差圧TPDを変更すること
が可能な設定差圧可変型の制御弁である。数5式の右辺
の分子が(F−f2+f1)であることから、図3の制
御弁における設定差圧決定手段は、設定差圧可変アクチ
ュエータ100、戻しバネ66及び緩衝バネ57によっ
て構成される。
【0062】第2に、作動ロッド40の配置を決定する
力学関係式(数5式)中には、二点間差圧(PdH−P
dL)以外の圧力パラメータ(例えばPcやPdを含む
項)が含まれず、従ってクランク圧Pcや吐出圧Pdの
絶対値が作動ロッド40の位置決めに影響を及ぼすこと
がない。換言すれば、前記二点間差圧以外の圧力パラメ
ータは作動ロッド40の変位動作の阻害又は拘束要因と
はなり得ず、容量制御弁は、前記二点間差圧ΔP(t)
と、電磁付勢力F及びバネ力f1,f2との力学的バラ
ンスのみに基づいて円滑に作動し得る。
【0063】このような動作特性を有する容量制御弁に
よれば、個々の状況下でおよそ次のようにして弁開度が
決まる。まず、コイル67への通電がない場合(Dt=
0%)には、戻しバネ66の作用が支配的となり作動ロ
ッド40は図3に示す最下動位置に配置される。このと
き、作動ロッドの弁体部43が弁座53から最も離れて
入れ側弁部は全開状態となる。他方、コイル67に対し
デューティ比可変範囲の最小デューティの通電があれ
ば、少なくとも上向きの電磁付勢力Fが戻しバネ66の
下向き付勢力f2を凌駕する。そして、ソレノイド部に
よって生み出された上向き付勢力(F−f2)が、緩衝
バネ57の上向き付勢力f1によって減殺された二点間
差圧(PdH−PdL)に基づく下向き押圧力に対向
し、その結果、前記数5式を満たすように作動ロッドの
弁体部43が弁座53に対して位置決めされ、制御弁の
弁開度が決定される。こうして決まった弁開度に応じ
て、給気通路28を介してのクランク室5へのガス供給
量が決まり、前記抽気通路27を介してのクランク室5
からのガス放出量との関係でクランク圧Pcが調節され
る。つまり制御弁の弁開度を調節するということはクラ
ンク圧Pcを調節することにほかならない。
【0064】なお、電磁付勢力Fが変化しない限り、図
3の制御弁はそのときの電磁付勢力Fに応じた設定差圧
TPDで作動する定容量弁であるが、外部制御によって
電磁付勢力Fを変化させ設定差圧TPDを適宜変更でき
ることで、容量制御弁としての実質を備える。
【0065】(制御体系)図2及び図3に示すように、
車輌用空調装置は該空調装置の制御全般を司る制御装置
70を備えている。制御装置70は、CPU、ROM、
RAM及びI/Oインターフェイスを備えたコンピュー
タ類似の制御ユニットであり、I/Oの入力端子には外
部情報検知手段71が接続され、I/Oの出力端子には
駆動回路72が接続されている。少なくとも制御装置7
0は、外部情報検知手段71から提供される各種の外部
情報に基づいて適切なデューティ比Dtを演算し、駆動
回路72に対しそのデューティ比Dtでの駆動信号の出
力を指令する。駆動回路72は、命じられたデューティ
比Dtの駆動信号を制御弁のコイル67に出力する。コ
イル67に提供される駆動信号のデューティ比Dtに応
じて、制御弁ソレノイド部の電磁付勢力Fが変化する。
この意味で、制御弁のソレノイド部、駆動回路72及び
制御装置70は、制御弁の自律的な開度調節の基準又は
目標となる設定差圧TPDを外部的に変化させるための
設定差圧変更手段を構成する。
【0066】前記外部情報検知手段71は各種センサ類
を包括する機能実現手段である。外部情報検知手段71
を構成するセンサ類としては、例えば、A/Cスイッチ
(乗員が操作する空調装置のON/OFFスイッチ)、
車室内温度Te(t)を検出するための温度センサ、車
室内温度の好ましい設定温度Te(set)を設定する
ための温度設定器、車速Vを検出するための車速セン
サ、エンジン回転数NEを検出するための回転数セン
サ、エンジンの吸気管路に設けられたスロットル弁の角
度又は開度を検知するためのアクセル開度センサがあげ
られる。なお、スロットル弁角度又は開度は、車輌の操
縦者によるアクセルペダルの踏込量を反映した情報とし
ても利用される。
【0067】次に、図4及び図5のフローチャートを参
照して制御装置70による制御弁へのデューティ制御の
概要を簡単に説明する。図4のチャートは、空調制御プ
ログラムの幹となるメインルーチンを示す。車輌のイグ
ニションスイッチ(又はスタートスイッチ)がONされ
ると、制御装置70は電力を供給され演算処理を開始す
る。制御装置70は、図4のステップS41(以下単に
「S41」という、他のステップも以下同様)において
初導プログラムに従い各種の初期設定を行う。例えば、
制御弁の設定差圧TPDやデューティ比Dtに初期値又
は暫定値を与える。その後、処理はS42以下に示され
た状態監視及びデューティ比の内部演算処理へと進む。
【0068】S42では、A/CスイッチがONされる
まで該スイッチのON/OFF状況が監視される。A/
CスイッチがONされると、処理は非常時判定ルーチン
(S43)へ進む。S43では、車輌が非定常的な状態
つまり非常時運転モードにあるか否かを外部情報に基づ
いて判断する。ここで言う「非常時運転モード」とは、
例えば、登坂走行のようなエンジンEが高負荷状態にあ
る場合とか、追い越し加速のような車輌の加速時(少な
くとも操縦者が急加速を欲している場合)を指す。例示
したいずれの場合も、外部情報検知手段71から提供さ
れる検出アクセル開度を所定の判定値と比較すること
で、そのような高負荷状態又は車輌加速状態にあること
を合理的に推定することができる。
【0069】S43判定がYES、つまり非常時運転モ
ードにあるときには、制御装置70は非常時対応制御
(S44)を行う。この非常時対応制御は、例えば、エ
ンジンの高負荷状態や車輌加速状態を最初に検知した時
点から所定期間ΔTだけ、前記駆動信号のデューティ比
Dtをその可変幅内の最小値又はゼロに強制的に設定変
更するというものである。デューティ比Dtが極小化さ
れている期間ΔTは、前記二点間差圧(PdH−Pd
L)にかかわらず容量制御弁が最大開度となり、クラン
ク圧Pcが即座に高まって傾角θが迅速に最小化され、
圧縮機の吐出容量が最小となる。これにより、エンジン
Eの負荷が少なからず軽減され、エンジン出力を車輌の
前進駆動力に極力振り向けることが可能となる。なお、
前記期間ΔTの間、空調装置の冷房能力は犠牲にされる
が、この期間ΔTは一時的な短期間であり、乗員の快適
性維持に重大な支障を来すことはまずない。
【0070】非常時判定ルーチンでの監視項目のいずれ
にも該当しない場合には、S43判定がNOとなる。そ
の場合には、車輌が定常的な状態つまり通常運転モード
にあるとみなされる。ここで言う「通常運転モード」と
は、プログラム的には非常時判定ルーチンの監視項目に
該当しない排他的な条件充足状態を意味し、つまるとこ
ろ、車輌が平均的な運転状況で使用されていると合理的
に推定できる状態を指す。S43判定がNOの場合に
は、処理は通常制御ルーチンRF5へ移行する。多くの
場合、図4のメインルーチンでの処理は通常制御ルーチ
ンRF5での処理を経てS42に復帰する。
【0071】図5の通常制御ルーチンRF5は、通常運
転モードでの空調能力即ち圧縮機の吐出容量のフィード
バック制御に関する手順を示す。差圧を検知する可動壁
54を備えた制御弁では、差圧ΔP(t)=PdH−P
dLに対する弁開度のフィードバック制御は機械的又は
内部自律的に完了するため、ルーチンRF5での処理の
本質は、蒸発器33での熱負荷状況にあわせて制御弁の
設定差圧TPDをリアルタイムで修正することにある。
図5のステップS51〜S53は、車輌エンジンEが常
用回転域を超える高速回転状態にあるときに圧縮機のデ
ッドロック等を未然防止するための危機回避措置に関す
る処理である。ステップS54〜S57は、デューティ
比Dtの回帰的補正による容量制御弁の設定差圧TPD
の修正に関する処理である。
【0072】S51において制御装置70は、実測され
たエンジン回転数NEが、所定の閾値回転数K以上であ
るか否かを判定する。この閾値回転数Kは、そのK以上
での高速回転を持続した場合に圧縮機に異常が起き易く
なるか否かという観点で定められており、例えば500
0rpmとか6000rpmという回転数である。S5
1判定がYESの場合、S52において現在のデューテ
ィ比Dtが所定の安全値DtSを超えているか否かを判
定する。この安全値DtSは、設定差圧TPDを過度に
高めず高速回転時において過度な大容量運転を強要し得
ないようなデューティ比の上限値であって、例えば40
%とか50%といった値である。S51判定及びS52
判定が共にYESの場合には、エンジン回転数NEがK
以上の高速回転状態であるにもかかわらず、デューティ
比Dtが過度な大容量運転を圧縮機に強要するような値
であることから、その場合には制御装置70は、S53
においてデューティ比Dtを安全値DtSに強制的に引
き下げ、その旨を駆動回路72に指令する。そして、閾
値回転数K以上の高速回転時に、圧縮機が大容量運転状
態に陥るのを未然防止する。S51判定もしくはS52
判定がNOの場合又はS53でのDt再設定の後、処理
はS54に進む。
【0073】S54において制御装置70は、温度セン
サの検出温度Te(t)が温度設定器による設定温度T
e(set)より大であるか否かを判定する。S54判
定がNOの場合、S55において前記検出温度Te
(t)が設定温度Te(set)より小であるか否かを
判定する。S55判定もNOの場合には、検出温度Te
(t)が設定温度Te(set)に一致していることに
なるため、冷房能力の変化につながるDt変更つまり設
定差圧TPDの変更の必要はない。それ故、制御装置7
0は駆動回路72にデューティ比Dtの変更指令を発す
ることなく、該ルーチンRF5を離脱する。
【0074】S54判定がYESの場合、車室内は暑く
熱負荷が大きいと予測されるため、S56において制御
装置70はデューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大さ
せ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比変更を
駆動回路72に指令する。すると、ソレノイド部の電磁
力Fが若干強まることで制御弁の設定差圧TPDも若干
増大する。すると、その時点での差圧ΔP(t)では上
下付勢力の均衡が図れないため、作動ロッド40が上動
して戻しバネ66が蓄力され、バネ66の下向き付勢力
f2の増加分が上向きの電磁付勢力Fの増加分を補償し
て再び数5式が成立する位置に作動ロッドの弁体部43
が位置決めされる。その結果、制御弁の開度(つまり給
気通路28の開度)が若干減少し、クランク圧Pcが低
下傾向となり、クランク圧Pcとシリンダボア内圧との
ピストンを介した差も小さくなって斜板12が傾角増大
方向に傾動し、圧縮機の状態は吐出容量が増大し負荷ト
ルクも増大する方向に移行する。圧縮機の吐出容量が増
大すれば、蒸発器33での除熱能力も高まり温度Te
(t)も低下傾向に向かうはずであり、又、圧力監視点
P1,P2間の差圧は増加する。
【0075】他方、S55判定がYESの場合、車室内
は寒く熱負荷が小さいと予測されるため、S57におい
て制御装置70はデューティ比Dtを単位量ΔDだけ減
少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比変
更を駆動回路72に指令する。すると、ソレノイド部の
電磁力Fが若干弱まることで制御弁の設定差圧TPDも
若干減少する。すると、その時点での差圧ΔP(t)で
は上下付勢力の均衡が図れないため、作動ロッド40が
下動して戻しバネ66の蓄力も減り、バネ66の下向き
付勢力f2の減少分が上向きの電磁付勢力Fの減少分を
補償して再び数5式が成立する位置に作動ロッドの弁体
部43が位置決めされる。その結果、制御弁の開度(つ
まり給気通路28の開度)が若干増加し、クランク圧P
cが増大傾向となり、クランク圧Pcとシリンダボア内
圧とのピストンを介した差も大きくなって斜板12が傾
角減少方向に傾動し、圧縮機の状態は吐出容量が減少し
負荷トルクも減少する方向に移行する。圧縮機の吐出容
量が減少すれば、蒸発器33での除熱能力も低まり温度
Te(t)も増加傾向に向かうはずであり、又、圧力監
視点P1,P2間の差圧は減少する。
【0076】このようにS56及び/又はS57でのデ
ューティ比の修正処理を経ることで、検出温度Te
(t)が設定温度Te(set)からずれていても制御
弁の設定差圧TPDが次第に最適化され、更に制御弁で
の内部自律的な弁開度調節も相俟って温度Te(t)が
設定温度Te(set)付近に収束する。
【0077】(効果)第1実施形態によれば、以下のよ
うな効果を得ることができる。 〇 本実施形態では、蒸発器33での熱負荷の大きさに
影響される吸入圧Psそのものを容量制御弁の開度制御
における直接の指標とすることなく、冷媒循環回路にお
ける二つの圧力監視点P1,P2間の差圧ΔP(t)=
PdH−PdLを直接の制御対象として圧縮機吐出容量
のフィードバック制御を実現している。このため、蒸発
器33での熱負荷状況に影響されることなく、エンジン
側の事情を優先すべき非常時には外部制御によって即座
に吐出容量を減少させることができる。それ故に、加速
時等におけるカット制御の応答性やカット制御の信頼性
及び安定性に優れている。
【0078】〇 通常時においても、検出温度Te
(t)及び設定温度Te(set)に基づいて、設定差
圧TPDを決定するデューティ比Dtを自動修正(図5
のS54〜S57)すると共に、二点間差圧ΔP(t)
を指標とした制御弁の内部自律的な弁開度調節に基づい
て圧縮機の吐出容量を制御することにより、前記検出温
度と設定温度との差が小さくなる方向に吐出容量を誘導
して人間の快適感を満足させるという空調装置本来の目
的を十分に達成することができる。つまり本実施形態に
よれば、通常時における室温の安定維持を図るための圧
縮機の吐出容量制御と、非常時における緊急避難的な吐
出容量の迅速な変更とを両立させることができる。
【0079】〇 図3の制御弁は、電磁付勢力Fが変更
されない限り、F,f1,f2,SA,SBによって決
定される設定差圧TPD通りの二点間差圧を実現してそ
の二点間差圧に対応した定流量を維持すべく圧縮機の吐
出容量を自律的に制御する内部制御弁として機能する。
又、外部制御により電磁付勢力Fを変更することで設定
差圧TPDを適宜変更可能な設定差圧可変型の容量制御
弁として機能する。
【0080】〇 作動ロッドの差圧受承部41の軸直交
断面積とガイドロッド部44の有効受圧面積とを同じS
Bに設定すること(これは、連通路47とガイド孔49
とを同じ軸直交断面積SBに設定することでもある)、
及び、弁室46及びソレノイド室36とP1圧力室55
の双方に同じ吐出圧Pd(=PdH)を導入することに
より、作動ロッド40の位置決めに関する力学関係式
(数5式)に、吐出圧Pd(=PdH)や圧力PdLの
単独項が含まれる事態を回避して、該力学関係式をPd
H−PdLの差圧と機械的バネ力とによって一義的に表
現可能とした。つまり、前記二点間差圧(PdH−Pd
L)以外の圧力パラメータは作動ロッド40の変位動作
を阻害又は拘束する要因とはなり得ず、それ故に図3の
制御弁は、動作の正確性や的確性が格段に優れている。
【0081】〇 作動ロッドの連結部42の周囲の連通
路47にはクランク圧Pcが及んでいるが、前述の数式
を用いた特性解析から分かるように、作動ロッド40の
位置決め(つまり弁開度調節)にはクランク圧Pcの影
響が及ばない。即ち、連通路47とガイド孔49とを同
じ軸直交断面積SBに設定することにより、作動ロッド
40の差圧受承部41と弁体部43との間の領域に導入
されたクランク圧Pcに基づく上向きの力と下向きの力
とが相殺される構造となっている。故に、作動ロッド4
0はクランク圧Pcの大小に影響されずに円滑に変位で
き、図3の制御弁は、クランク圧Pcの変動を外乱とし
て受けることなく動作が安定する。
【0082】(第2実施形態:図6及び図7参照)前記
第1実施形態では、圧縮機の吐出室22と凝縮器31と
を結ぶ流通管36に沿って二つの圧力監視点P1,P2
を設定した。これに対し、第2実施形態では図6に示す
ように、蒸発器33と圧縮機の吸入室21とを結ぶ流通
管35に沿って二つの圧力監視点P1,P2を設定し
た。より具体的には、吸入室21を下流側の圧力監視点
P2とし、そこから上流側に所定距離だけ離れたところ
を上流側の圧力監視点P1として設定した。
【0083】図7は第2実施形態で用いられる容量制御
弁を示す。図7の制御弁の機械的構造は図3の制御弁と
全く同じであるが、制御弁内の各室への圧力導入の仕方
において両者は大きく異なる。即ち図7の制御弁では、
弁室46はポート51を介してクランク室5と連通し、
連通路47はポート52を介して吐出室22と連通して
いる。つまり、弁室46及び連通路47経由での吐出室
22からクランク室5へのガス流通方向が図3と図7の
制御弁では逆になっている。又、図7の制御弁では、P
1圧力室55には図6の圧力監視点P1の圧力がPsH
として導かれ、P2圧力室56には図6の圧力監視点P
2の圧力(つまり吸入圧Ps)がPsLとして導かれて
いる。図7の制御弁も図3の制御弁と同様、設定差圧可
変型の入れ側制御弁として機能する。
【0084】前記第1実施形態と同様、図7の容量制御
弁の弁開度も、入れ側弁体たる弁体部43を含む作動ロ
ッド40の配置如何によって決まる。作動ロッド40の
各部に作用する種々の力を総合的に考察することで、こ
の制御弁の動作条件や特性が明らかとなる。
【0085】作動ロッドの差圧受承部41の上端面に
は、緩衝バネ57の上向き付勢力f1によって減殺され
た可動壁54の上下差圧に基づく下向き押圧力が作用す
る。また、差圧受承部41の下端面には、吐出圧Pdに
よる上向き押圧力が作用する。下向き方向を正方向とし
て差圧受承部41に作用する全ての力ΣF1を整理する
と、ΣF1は次の数6式のように表される。
【0086】
【数6】 他方、作動ロッドのガイドロッド部44(弁体部43を
含む)には、戻しバネ66の下向き付勢力f2によって
減殺された上向きの電磁付勢力Fが作用する。又、弁体
部43、ガイドロッド部44及び可動鉄心64の全露出
面に作用するクランク圧Pcの相殺状況を勘案すると、
クランク圧Pcの作用を受ける弁体部43及びガイドロ
ッド部44の有効受圧面積は連通路47の断面積と同じ
SBとなり、結果的に当該ガイドロッド部44にはPc
・SBという大きさの上向き押圧力が作用する。更に弁
体部43の上端面には、吐出圧Pdによる下向き押圧力
が作用している。上向き方向を正方向として弁体部43
及びガイドロッド部44に作用する全ての力ΣF2を整
理すると、ΣF2は次の数7式のように表される。
【0087】
【数7】 作動ロッド40は差圧受承部41とガイドロッド部44
とを連結部42で連結してなる一体物であるから、その
配置は、ΣF1=ΣF2の力学的均衡を充足する位置に
決まる。この等式を整理する過程で、左右両辺のPd
(SB−SC)項が相殺される。次の数8式は、ΣF1
=ΣF2の等式を整理した後の形を示す。
【0088】
【数8】 第2実施形態では、圧力監視点P2は吸入室21内に設
定されているから、Ps=PsLである。又、圧縮機の
吐出容量が比較的大きいところで安定すると、クランク
圧Pcと吸入圧Ps(=PsL)との差が縮まる。この
場合には、数8式中のSB項が無限小状態にあるとみな
すことができ、次の数9式のような近似式が成立する。
数9式を更に整理したのが数10式である。
【0089】
【数9】
【0090】
【数10】 数10式の右辺において、f1,f2,SAは機械設計
の段階で一義的に決まる確定的なパラメータであり、電
磁付勢力Fのみがコイル67への電力供給量に応じて変
化する可変パラメータである。この数10式は、制御弁
の特性に関して前記第1実施形態の数5式と同様の物理
的意味を示唆するものであり、従って、図7の制御弁に
ついても図3の制御弁と同様のことが言える。即ち、図
7の制御弁は、その弁開度調節動作の基準となる二点間
差圧ΔP(t)=PsH−PsLの設定値(即ち設定差
圧TPD)を、コイル67へのデューティ制御によって
外部から一義的に設定することが可能な設定差圧可変型
の制御弁である。又、作動ロッド40の配置を決定する
方程式(数10式)中には、二点間差圧(PsH−Ps
L)以外の圧力パラメータ(例えばPcやPdを含む
項)が含まれず、従ってクランク圧Pcや吐出圧Pdが
作動ロッド40の位置決めに影響を及ぼすことがない。
換言すれば、クランク圧Pcや吐出圧Pdは作動ロッド
40の変位動作を阻害又は拘束する要因とはなり得ず、
制御弁は、前記二点間差圧と電磁付勢力F及びバネ力f
1,f2との力学的バランスのみに基づいて円滑に作動
する。
【0091】図7の制御弁によれば、図3の制御弁と同
様の作用及び効果を奏する。特に、前述の数式を用いた
特性解析から分かるように、作動ロッド40の位置決め
(つまり弁開度調節)には吐出圧Pdの影響が及ばな
い。即ち、連通路47とガイド孔49とを同じ軸直交断
面積SBに設定することで、作動ロッド40の差圧受承
部41と弁体部43との間の領域に導入される吐出圧P
dによる上向きの力と下向きの力とが相殺されて吐出圧
Pdが作動ロッド40の位置決めに影響を及ぼさない。
故に、図7の制御弁は、吐出圧Pdの変動を外乱として
受けることがなく動作が安定する。
【0092】(第3実施形態:図8参照)図8は本発明
の第3実施形態に従う容量制御弁を示す。前記第1及び
第2実施形態の制御弁と共通の構成要素又は部材につい
ては図面に同じ参照番号を付すことで説明を省略し説明
重複を回避する。
【0093】バルブハウジング45内には、作動ロッド
40が軸方向に移動可能に収容されている。作動ロッド
40は、差圧受承部(先端部)41、連結部42、弁体
部43及びガイドロッド部(基端部)44を有してい
る。但し、差圧受承部41とガイドロッド部44は同径
であり同じ軸直交断面積SBを持ち、連結部42の軸直
交断面積はSCである。
【0094】作動ロッド40の内部には、当該ロッドの
上端部(差圧受承部41)と下端部とを連通させる内部
通路74が形成されている。図3の制御弁と同様、P1
圧力室55には吐出室の圧力(Pd)がPdHとして導
かれ、P2圧力室56には図2の圧力監視点P2の圧力
がPdLとして導かれている。この圧力PdLは前記内
部通路74を介してソレノイド室63にも及んでいる。
【0095】P1圧力室55には、初期化手段としての
戻しバネ75が配設され、この戻しバネ75は可動壁5
4を作動ロッド40の上端面に当接させると共に、可動
壁54を介して作動ロッド40を下方に付勢する。他
方、ソレノイド室63には保持バネ76が配設され、こ
の保持バネ76は可動鉄心64を作動ロッド40の下端
面に当接させると共に可動鉄心64を介して作動ロッド
40を上方に付勢する。尚、戻しバネ75のバネ力f2
は、保持バネ76のバネ力f1よりも大きい。
【0096】図8の制御弁の動作条件や特性も、作動ロ
ッド40の各部に作用する種々の力を考察することで明
らかになる。図8の作動ロッドの差圧受承部41に作用
する力としては、作動ロッドの差圧受承部41の上端面
に作用するところの戻しバネ75の下向き付勢力f2、
可動壁54の上下差圧に基づく下向き押圧力:PdH・
SA−PdL(SA−SB)およびクランク圧Pcによ
る上向き押圧力がある。なお、差圧受承部41の下端面
の受圧面積は(SB−SC)である。下向き方向を正方
向として差圧受承部41に作用する全ての力ΣF1を整
理すると、ΣF1は次の数11式のように表される。
【0097】
【数11】 他方、作動ロッドのガイドロッド部44(弁体部43は
その一部)には、クランク圧Pcによる下向き押圧力、
上向きの電磁付勢力F及び保持バネ76の上向き付勢力
f1が作用する。更に、ソレノイド室63内での作動ロ
ッド40の下端面及び可動鉄心64の全表面に作用する
圧力PdLの相殺状況を勘案すると、圧力PdLの実質
的作用を受ける有効受圧面積はガイドロッド部44の軸
直交断面積SBに一致し、結果的にガイドロッド部44
にはPdL・SBという大きさの上向き押圧力が作用す
る。上向き方向を正方向として弁体部43及びガイドロ
ッド部44に作用する全ての力ΣF2を整理すると、Σ
F2は次の数12式のように表される。
【0098】
【数12】 作動ロッド40は差圧受承部41と弁体部43とを連結
部42で連結してなる一体物であるから、その配置は、
ΣF1=ΣF2の力学的均衡を充足する位置に決まる。
この等式を整理する過程で、左右両辺のPc(SB−S
C)項が相殺され、次の数13式のようになる。つま
り、差圧受承部41と弁体部43とが連結部42で連結
され、且つクランク圧Pcに関する差圧受承部41と弁
体部43の受圧面積が共に(SB−SC)で等しいため
に、作動ロッド40に作用するクランク圧Pcの影響は
完全に打ち消される。
【0099】
【数13】 この数13式からは更に、左右両辺のPdL・SB項が
相殺され、次の数14式及び数15式のようになる。つ
まり、作動ロッド40の先端部及び基端部の存在する領
域が同じ圧力(PdL)下にあり、しかも先端部の軸直
交断面積と基端部の有効受圧面積とが等しいことで、作
動ロッド40の上端面に覆われた可動壁54の下面中央
領域(面積SB)に代わって、作動ロッド40の下端面
(面積SB)が圧力PdLを受圧するが如き状況が作り
出される。
【0100】
【数14】
【0101】
【数15】 この数15式は、分母の形こそ違え前記数5式と物理的
には等価な式であり、図8の制御弁の特性が図3の制御
弁の特性と本質的に同等であることを示唆している。つ
まり、図8の戻しバネ75を図3の戻しバネ66と等価
なバネ要素とみなし、且つ、図8の保持バネ76を図3
の緩衝バネ57と等価なバネ要素とみなすことができる
限り、図8の制御弁は図3の制御弁と同様、設定差圧可
変型の制御弁として機能することができる。図8の制御
弁における設定差圧決定手段は、設定差圧変更アクチュ
エータ100、戻しバネ75及び保持バネ76によって
構成される。又、クランク圧Pc、吐出圧Pd(=Pd
H)あるいは圧力PdLが個別に作動ロッド40の位置
決めに影響を及ぼすことがなく、これらの圧力が作動ロ
ッド40の変位動作を阻害又は拘束する要因とはなり得
ず、容量制御弁は、前記二点間差圧ΔP(t)と、電磁
付勢力F及びバネ力f1,f2との力学的バランスのみ
に基づいて円滑に作動することができる。故に、図8の
制御弁も図3の制御弁と同様の作用及び効果を奏する。
【0102】なお、数5式と数15式とで右辺の分母の
形が異なるのは、専ら作動ロッド40の下端部領域に導
かれる圧力が、P1圧力室55と同じ圧力PdHである
か、P2圧力室56と同じ圧力PdLであるかの違いに
よる。第1実施形態と第3実施形態から言えることは、
本件の設定差圧可変型制御弁によれば、作動ロッド40
の基端部領域に導かれる圧力がPdH又はPdLのいず
れの場合でも、可動壁壁54と作動連結した作動ロッド
40の両端域に作用する圧力を相殺できる。そして、作
動ロッド40の位置決めがPdHとPdLとの差圧には
依存するが、その差圧以外の個々の圧力要因には影響さ
れない弁構造とすることができる。
【0103】(第3実施形態の別例:図9参照)図9
は、図8の制御弁における設定差圧変更アクチュエータ
としてのソレノイド部をスプールを利用した圧力アクチ
ュエータで置換した容量制御弁を示す。
【0104】即ち、バルブハウジングの下半部本体45
cに作動室80を区画し、その作動室80内にフランジ
状のスプール81を設ける。スプール81は作動ロッド
40に一体化されており、制御弁の軸方向に一体移動可
能である。スプール81により作動室80は高圧室82
と低圧室83とに二分される。低圧室83は常時クラン
ク室5(クランク圧Pcの領域)に連通している。他
方、高圧室82は通路84を介して吐出圧Pdの領域
(例えば吐出室22)に繋がっている。但し、その通路
84の途中には、制御装置70により全開又は全閉に制
御される開閉弁85が設けられている。高圧室82には
保持バネ76が配設されている。保持バネ76は、図8
の場合と同様、作動ロッド40を上方に付勢する。更に
スプール81には、高圧室82と低圧室83とをつなぐ
絞り通路87が形成されている。
【0105】作動ロッド40を上方に付勢又は強制移動
する必要があるときには、制御装置70は駆動回路72
を介して開閉弁85を所定時間だけ開弁させる。すると
吐出圧Pdのガスが高圧室82に導入されるが、絞り通
路87の効果で高圧室82の内圧は直ちに低下せず、両
室82,83間の圧力差が大きくなる。この圧力差は、
感圧室48内の戻しバネ75の付勢力に打ち勝って作動
ロッド40を上動させる付勢力又は押圧力を生み出す。
制御装置70によって開閉弁85が閉弁されると、高圧
室82内の高圧ガスは絞り通路87及び低圧室83を介
してクランク室5に放出されるばかりとなる。その放出
過程でスプール81は戻しバネ75によって押し戻さ
れ、作動ロッド40はそれに作用する全ての力が均衡す
る位置に位置決めされる。このように、図9のような圧
力アクチュエータを、設定差圧可変型の容量制御弁にお
ける設定差圧変更アクチュエータ100として用いるこ
とができる。
【0106】なお、図9の制御弁も、作動ロッド40の
先端部領域(即ちP2圧力室56)と基端部領域79と
は内部通路74によって連通されており、且つ先端部と
基端部の軸直交断面積は等しくSBに設定されているこ
とから、図8の制御弁と同様に、圧力PdLは単独で作
動ロッド40の位置決めに影響を及ぼさない。又、作動
ロッドの差圧受承部41と弁体部43との間の領域に導
入されるクランク圧Pcが作動ロッド40に及ぼす影響
が相殺されることも、図8の制御弁と同様である。従っ
て、図9の制御弁においてもPdL,Pc等の圧力が個
別に作動ロッド40の位置決めに悪影響を及ぼすことが
ない。
【0107】(第4実施形態:図10及び図11参照)
図10及び図11は本発明の第4実施形態に従う容量制
御弁を示す。この第4実施形態の制御弁は、クランク室
5への高圧ガス導入量を制御する入れ側制御弁としての
性格と、クランク室5からのガス放出量を制御する抜き
側制御弁としての性格とを併せ持つ三方弁型の容量制御
弁である。なお、前記第1〜第3実施形態の制御弁と共
通の構成要素又は部材については図面に同じ参照番号を
付すことで説明を省略し重複説明を回避する。
【0108】バルブハウジング45内には、作動ロッド
40が軸方向に移動可能に収容されている。作動ロッド
40は、先端部としての差圧受承部41、その差圧受承
部41と一体化した弁体部43、連結部42及び基端部
としてのガイドロッド部44を有している。差圧受承部
41、弁体部43及びガイドロッド部44はいずれも同
径であり同じ軸直交断面積SBを持つ。弁体部43とガ
イドロッド部44とを連結する連結部42は、前記SB
よりも小さな軸直交断面積SCを持つ。作動ロッド40
の上端部はP2圧力室56内に進入し、作動ロッド40
の下端部はソレノイド室63内に進入している。そし
て、作動ロッド40内には、P2圧力室56とソレノイ
ド室63とを連通させる内部通路74が形成されてい
る。
【0109】バルブハウジング45内において軸方向に
連続するガイド孔49、弁室兼連通路47およびガイド
孔65(固定鉄心62内に続く)の内径はいずれも等し
く、且つ、その内径は作動ロッド40の差圧受承部等の
外径に対応している。つまりガイド孔49、弁室兼連通
路47およびガイド孔65はいずれも同じ軸直交断面積
SBとなっている。
【0110】図10及び図11に示すように、弁室兼連
通路47の下部領域は、ポート51を介して吸入室21
に常時連通している。他方、弁室兼連通路47の上部領
域はポート52を介してクランク室5に連通可能となっ
ている。そして、作動ロッドの弁体部43の配置に応じ
て、ポート52(又は弁室兼連通路47の上部領域)と
ポート51(又は弁室兼連通路47の下部領域)とが遮
断される場合(図10参照)と、両ポートが連通される
場合(図11参照)とが出現する。図11に示す両ポー
ト51,52の連通時には、当該容量制御弁は抜き側制
御弁として機能する。つまり、ポート52を区画してい
る段差77と弁体部43との間の絞り量に基づき、抽気
通路27の開度が制御され、クランク室5から吸入室2
1へのガス放出量が調節される。
【0111】加えて、作動ロッドの弁体部43内には、
前記内部通路74からロッドの径方向に延びる第2内部
通路78が形成されている。この第2内部通路78は、
当該制御弁が抜き側制御弁として機能している場合に
は、図11に示すようにガイド孔49の内周壁によって
閉塞され何らの機能も果たさない。これに対し、図10
に示すように弁体部43の下端面が段差77よりも下に
配置されることで制御弁経由の抽気通路27が閉塞状態
に陥ると、第2内部通路78はポート52と連通する。
このとき、圧力監視点P2が、検圧通路38、ポート5
6a、P2圧力室56、内部通路74、第2内部通路7
8、ポート52及び抽気通路27の上流部を介してクラ
ンク室5に連通し、圧力PdLの高圧ガスがクランク室
5に導入される。このため、図10の状態の制御弁は入
れ側制御弁として機能する。なお、P2圧力室56の圧
力PdLは、前記内部通路74を介してソレノイド室6
3に導かれている。
【0112】図10及び図11の制御弁の作用を概説す
る。設定差圧変更アクチュエータ100としてのソレノ
イド部への非通電時には、上向きの電磁付勢力Fは発生
せず、初期化手段としての戻しバネ75の下向き付勢力
が保持バネ76の上向き付勢力を凌駕して、作動ロッド
40が図10に示す最下動位置(初期位置)に強制配置
される。このとき、当該制御弁は全開状態の入れ側制御
弁と化し、作動ロッドの二つの内部通路74,78を介
して圧力監視点P2(図2参照)の高圧ガスがクランク
室5に導入され、クランク圧Pcの昇圧が図られる。
【0113】他方、ソレノイド部に対し最小デューティ
比での電力供給がありさえすれば、作動ロッド40が上
動して第2内部通路78がガイド孔49の内周壁によっ
て閉塞されると共に、当該制御弁は設定差圧可変型の抜
き側制御弁と化す。作動ロッドの弁体部43と段差77
との間の絞り量すなわち該制御弁経由での抽気通路27
の開度は、デューティ制御される電磁付勢力Fによって
決まる設定差圧TPDと、第1及び第2圧力監視点P
1,P2間の実際の差圧(PdH−PdL)との相関関
係によって決まることは、図3や図8の制御弁の場合と
同様である。
【0114】なお、図11に示すように、作動ロッドの
連結部42の周囲には、吸入圧Psが及んでいる。但
し、その吸入圧Psが弁体部43に及ぼす上向き押圧力
Ps(SB−SC)と、吸入圧Psがガイドロッド部4
4に及ぼす下向き押圧力Ps(SB−SC)とは互いに
相殺される関係にあり、吸入圧Psは作動ロッド40の
位置決めに対していかなる影響も及ぼさない。作動ロッ
ドの連結部42の周囲に及ぶ圧力が吸入圧Psかクラン
ク圧Pcかの違いを除き、図11の制御弁と図8の制御
弁とで作動ロッド40に作用する力に本質的な違いはな
い。従って、図10及び図11の制御弁は、図8の制御
弁と同様、設定差圧を外部制御で変更しない限り、圧縮
機の吐出容量を設定差圧TPDに対応する差圧(PdH
−PdL)を実現するようなものに制御する容量制御弁
として機能する。
【0115】図10及び図11の三方弁型制御弁も、図
3や図8に示す制御弁と同様の作用及び効果を奏する。 (第4実施形態の別例:図12参照)図12は、図10
及び図11の制御弁における設定差圧変更アクチュエー
タとしてのソレノイド部を、スプールを利用した圧力ア
クチュエータで置換した容量制御弁を示す。概略的には
図12の制御弁は、図11の制御弁の上半部と図9の制
御弁の下半部とを合体したタイプと理解できる。但し、
バルブハウジング45の内部構造の複雑化を避けるた
め、若干の追加的工夫が加えられている。即ち、図12
に示すように、圧力アクチュエータの低圧室83は、ク
ランク室5ではなく吸入室21に連通されている。ま
た、弁室兼連通路47の下端は低圧室83に繋げられ、
作動ロッドの弁体部43とスプール81とは連結部42
によって直結されている。この連結部42の軸直交断面
積SCは弁室兼連通路47の軸直交断面積SBよりも小
さく、且つ当該連結部42は常に弁室兼連通路47及び
低圧室83内に存在する。故に、図12の状態から作動
ロッド40を下動させ弁体部43を弁室兼連通路47に
嵌入させて該通路を塞がない限り、クランク室5と吸入
室21とは、ポート52、弁室兼連通路47及び低圧室
83を介して常時連通する。つまり、ポート52、弁室
兼連通路47及び低圧室83は、制御弁内において抽気
通路27の一部を構成する。そして、弁体部43と段差
77との絞り量に応じて該抽気通路27の開度が調節さ
れ、該制御弁は、図10及び図11の制御弁と同様、設
定差圧可変型の抜き側制御弁として機能する。
【0116】他方、圧力アクチュエータの高圧室82と
低圧室83が均圧化し、戻しバネ75が保持バネ76を
凌駕するときには、作動ロッド40は図12の状態から
下動して弁体部43が弁室兼連通路47に嵌入される。
この場合には、前記抽気通路27が閉塞状態に陥るのみ
ならず、作動ロッド40の二つの内部通路74,78を
介して圧力監視点P2とクランク室5とが連通し、当該
制御弁が入れ側制御弁として機能する。
【0117】このように図12の制御弁は、選択的に抜
き側制御弁又は入れ側制御弁として機能する三方弁型の
容量制御弁であり、図10及び図11の制御弁と同様の
作用及び効果を奏する。
【0118】(その他の変更例) 〇 図8及び図9に示す制御弁において、P1圧力室5
5及びP2圧力室56に導かれる圧力をそれぞれ、図6
の圧力監視点P1でのPsH及び図6の圧力監視点P2
でのPsLとしてもよい。
【0119】〇 図8,図9,図10,図11及び図1
2に示す制御弁において、作動ロッド40の内部通路7
4の上端をP2圧力室56ではなくP1圧力室55に連
通させ、P1圧力室55に導かれている第1圧力監視点
P1の圧力(PdH)を、作動ロッド40の基端部領域
に導いてもよい。この場合には、図15の原理図に示し
たのと同じ状況が生み出され、第1実施形態の制御弁
(図3)と同様の作用及び効果を奏する。
【0120】○ 第1圧力監視点P1を吐出室22と凝
縮器31とを含む両者間の吐出圧力領域に設定するとと
もに、第2圧力監視点P2を蒸発器33と吸入室21と
を含む両者間の吸入圧力領域に設定すること。
【0121】○ 第1圧力監視点P1を吐出室22と凝
縮器31とを含む両者間の吐出圧力領域に設定するとと
もに、第2圧力監視点P2をクランク室5に設定するこ
と。或いは、第1圧力監視点P1をクランク室5に設定
するとともに、第2圧力監視点P2を蒸発器33と吸入
室21とを含む両者間の吸入圧力領域に設定すること。
つまり、圧力監視点P1,P2は、上記各実施形態のよ
うに、冷媒循環回路の主回路である冷凍回路(外部冷媒
回路30(蒸発器33)→吸入室21→シリンダボア1
a→吐出室22→外部冷媒回路30(凝縮器31))へ
設定すること、さらに詳述すれば冷凍回路の高圧領域及
び/又は低圧領域に設定することに限定されるものでは
なく、冷媒循環回路の副回路として位置付けられる、容
量制御用の冷媒回路(給気通路28→クランク室5→抽
気通路27)を構成する、中間圧領域としてのクランク
室5に設定しても良い。
【0122】(前記各請求項に記載した以外の技術的思
想のポイント)請求項1〜10に記載の制御弁におい
て、冷媒循環回路に設定された二つの圧力監視点(P
1,P2)のうち、相対的に上流側の圧力監視点(P
1)の圧力が第1圧力室に導かれ、相対的に下流側の圧
力監視点(P2)の圧力が第2圧力室に導かれているこ
と。
【0123】請求項1〜10に記載の制御弁において、
設定差圧決定手段の付勢力は、前記第1及び第2圧力室
間の差圧に基づく押圧力と反対向きに設定されているこ
と。請求項1〜10に記載の制御弁において、前記弁体
は、前記作動ロッドの先端部と基端部との間に設けられ
ていること。
【0124】請求項1〜10に記載の制御弁において、
前記区画部材は、バルブハウジングの軸方向に移動可能
な可動壁であること。
【0125】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜10に
記載の制御弁によれば、冷媒循環回路の蒸発器での熱負
荷状況に影響されることなく圧縮機の吐出容量を制御す
ることが可能となる。更には、該制御弁を構成する作動
ロッド等に作用し得る各種の圧力によって制御動作が阻
害されたり撹乱されることがなく、容量制御動作の正確
性や的確性が向上する。
【0126】特に請求項9及び10に記載の制御弁によ
れば、必要時には外部制御によって圧縮機の吐出容量を
迅速に変更することが可能となり、室温の安定維持を図
るための圧縮機の吐出容量制御と、緊急避難的な吐出容
量の迅速な変更とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】容量可変型斜板式圧縮機の断面図。
【図2】第1,第3及び第4実施形態における冷媒循環
回路の概要を示す回路図。
【図3】第1実施形態に従う設定差圧可変型容量制御弁
の断面図。
【図4】容量制御のメインルーチンのフローチャート。
【図5】通常制御ルーチンのフローチャート。
【図6】第2実施形態における冷媒循環回路の概要を示
す回路図。
【図7】第2実施形態に従う設定差圧可変型容量制御弁
の断面図。
【図8】第3実施形態に従う設定差圧可変型容量制御弁
の断面図。
【図9】第3実施形態の別例たる設定差圧可変型容量制
御弁の断面図。
【図10】第4実施形態に従う設定差圧可変型容量制御
弁の断面図。
【図11】第4実施形態に従う設定差圧可変型容量制御
弁の断面図。
【図12】第4実施形態の別例たる設定差圧可変型容量
制御弁の断面図。
【図13】第1実施形態での有効受圧面積を説明するた
めの断面図。
【図14】従来技術での吸入圧と吐出容量との相関関係
を示すグラフ。
【図15】請求項4に対応する発明の主要な構成を示す
原理図。
【図16】請求項5に対応する発明の主要な構成を示す
原理図。
【符号の説明】
5…クランク室、12…斜板(カムプレート)、20…
ピストン、21…吸入室(吸入圧領域)、22…吐出室
(吐出圧領域)、27…抽気通路、28…給気通路、4
0…作動ロッド、41…差圧受承部(先端部)、42…
連結部、43…弁体部(弁体)、44…ガイドロッド部
(基端部)、45…バルブハウジング、46…弁室、4
7…連通路(又は弁室兼連通路)、48…感圧室、54
…可動壁(区画部材)、55…P1圧力室(第1圧力
室)、56…P2圧力室(第2圧力室)、63…ソレノ
イド室(作動ロッド基端部の収容領域)、66…戻しバ
ネ(初期化手段)、74…内部通路、75…戻しバネ
(初期化手段)、79…作動ロッド基端部の収容領域、
100…設定差圧変更アクチュエータ(66,75,1
00等は設定差圧決定手段を構成する)、P1…第1の
圧力監視点、P2…第2の圧力監視点、Pc…クランク
圧(クランク室の内圧)、Pd…吐出圧、Ps…吸入
圧。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽谷 知二 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 園部 正法 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 川口 真広 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 松原 亮 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 安谷屋 拓 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H045 AA04 AA10 AA12 AA27 BA12 CA03 DA24 DA47 EA13 EA16 EA17 EA26 EA33 EA35 EA38 EA42 EA44 3H076 AA06 BB00 BB32 CC12 CC16 CC17 CC20 CC41 CC84

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容量可変型圧縮機の吐出圧領域とクラン
    ク室とをつなぐ給気通路又は該圧縮機の吸入圧領域とク
    ランク室とをつなぐ抽気通路の一部を構成し得る弁室
    と、感圧室とを内部に持つバルブハウジングと、 前記弁室内に移動可能に設けられ該弁室内での配置に応
    じて前記給気通路又は抽気通路の開度を調節する弁体
    と、 前記感圧室を冷媒循環回路に設定された第1の圧力監視
    点の圧力が導かれる第1圧力室と同回路に設定された第
    2の圧力監視点の圧力が導かれる第2圧力室とに区画す
    ると共に、前記第1及び第2圧力室間の差圧に基づいて
    変位可能な区画部材と、 先端部及び基端部を有すると共にその先端部において前
    記区画部材と作動連結されて該区画部材の変位動作を前
    記弁体に伝達する作動ロッドと、 前記作動ロッドを軸方向に付勢することで前記二つの圧
    力監視点間の設定差圧を決定する設定差圧決定手段とを
    備え、 前記作動ロッドを介しての区画部材と弁体との連動に基
    づき前記クランク室の内圧を調節して圧縮機の吐出容量
    を制御する制御弁であって、 前記バルブハウジング内において作動ロッドの基端部を
    収容する領域には、前記第1圧力室又は第2圧力室に導
    かれる圧力と同種の圧力が導かれることを特徴とする容
    量可変型圧縮機の制御弁。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の圧力監視点は、容量
    可変型圧縮機の吐出圧力領域と冷凍回路を構成する凝縮
    器とを含む両者間の冷媒通路に設定されていることを特
    徴とする請求項1に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
  3. 【請求項3】 前記作動ロッドの先端部の軸直交断面積
    と、作動ロッドの基端部を収容する領域に導かれている
    圧力に関する当該基端部の有効受圧面積とが略等しく設
    定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    容量可変型圧縮機の制御弁。
  4. 【請求項4】 前記作動ロッドの先端部は前記第2圧力
    室内に配置され、前記作動ロッドの基端部を収容する領
    域には、前記第1圧力室に導かれている圧力と同種の圧
    力が導かれていることを特徴とする請求項3に記載の容
    量可変型圧縮機の制御弁。
  5. 【請求項5】 前記作動ロッドの先端部は前記第2圧力
    室内に配置され、前記作動ロッドの基端部を収容する領
    域には、前記第2圧力室に導かれている圧力と同種の圧
    力が導かれていることを特徴とする請求項3に記載の容
    量可変型圧縮機の制御弁。
  6. 【請求項6】 前記作動ロッドは更にその先端部と基端
    部とを連結する連結部を有し、その連結部の軸直交断面
    積は前記先端部の軸直交断面積よりも小さく設定されて
    おり、且つ、その連結部の周囲には、前記弁室と共に当
    該制御弁内における給気通路又は抽気通路を構成する連
    通路が確保されていることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
  7. 【請求項7】 前記作動ロッドの基端部の軸直交断面積
    をその基端部付近での前記連通路の口径面積と略同等又
    はそれ以上とし、且つ、前記作動ロッドの先端部の軸直
    交断面積と、前記作動ロッドの基端部付近での前記連通
    路の口径面積とを略等しく設定することで、前記連通路
    内の圧力に関する作動ロッド先端部側の受圧面積と作動
    ロッド基端部側の受圧面積とを略等しくしたことを特徴
    とする請求項6に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
  8. 【請求項8】 前記作動ロッドには、第1圧力室又は第
    2圧力室の圧力を該作動ロッドの基端部に導くための内
    部通路が形成されていることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機の制御弁。
  9. 【請求項9】 前記設定差圧決定手段は、設定差圧を外
    部からの制御により変更可能とすべく作動ロッドの基端
    部に配設された設定差圧変更アクチュエータを含んでな
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載
    の容量可変型圧縮機の制御弁。
  10. 【請求項10】 前記設定差圧変更アクチュエータの非
    作動時又は不活性時において、クランク室の内圧が増大
    する方向に前記弁体及び作動ロッドを位置決めする初期
    化手段を更に備えてなることを特徴とする請求項9に記
    載の容量可変型圧縮機の制御弁。
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